~アニア村~湯煙オーバーロード   作:塩もみシラス

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帝国のワーカー

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▽帝国。帝都にある帝城▽

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ジルクニフ

「アポロニア大帝国にシーケローネーの卵・・・。まさか、今更になってそんな大昔の話が出るとはな」

 ジルクニフはフールーダの話を聞きながらそのマジックアイテムの利用法を頭の中で考える。

フールーダ

「私も聞いたときは驚いたものです。陛下」

 世の中子供が欲しくても出来ない者もいるし、優秀なのにその手の事に無頓着な者もいる。

 フールーダ・パラダインがいい例で魔法の研究に人生をついやしてしまっていて、正直もったいないと思ったことは多い。

ジルクニフ

「覚えるべき事も、やるべき事も多くて『昔の歴史なんて学んでられるか』と、その手の勉学をやらなかったからな。じいが知っていてくれて助かった」

フールーダ

「ほっほ。しかしいつまでもこの老いぼれに頼られても困りますな。今からでも歴史を学び直してはいかがか?」

 子供がみな親のようになるなどとは思ってないものの、魔法の素質というのは傾向として遺伝されやすいと考えられているのも事実だった。

ジルクニフ

「冗談はよしてくれじい。今でもやる事は山積みだ、そんな時間はないさ。それより話の続きをしてくれるか?」

フールーダ

「畏まりました陛下。アポロニア大帝国が滅んだ後、当時最も数と勢いがあった民衆が中心となり出来た国がリ・エスティーゼ王国。兵士となるべく洗脳と英才教育を施されつつあった子供と、その指導をしていた兵士が中心になってできたのがスレイン法国。そして最後に当時最も勢力が弱かった大帝国の国王の側近達が作られた国が、我がバハルス帝国です」

ジルクニフ

「なるほどな。我がバハルス帝国の帝国は大帝国の名残か。そしてその時もっとも勢いがあった勢力が立地のよい王国となり、当時の大帝国の敵であったであろう亜人共と戦うべく教育された者達が作った国が法国・・・。色々と納得が行くな」

フールーダ

「さすがは陛下。その通りでございます。建国の時期に大きな差があるのは、帝国は当時勢力がもっとも弱く国と呼べるようになるのに時間必要だった為。王国は一般の民衆が集まっただけあって指導者が定まっておらず、長く権力争いが続いたのが原因と言われてます。申し訳ありませんが、法国についてはよく分かっておりません」

ジルクニフ

「しかし、昔の話なのによくそれだけ分かるものだね」

フールーダ

「我が帝国は大帝国の側近が作った国だけあって、当時の資料が今尚残されておりますからな。おそらく王国にも法国にも帝国ほど残って無いでしょうな」

ジルクニフ

「もう目は通したのか?」

フールーダ

「勿論でございます。ただ・・・、なにぶん古い書物であっただけに劣化が激しく半数は使い物にならなくなっておりましたが・・・」

ジルクニフ

「そうか・・・、今よりもずっと劣った技術で作られた書物だろうし仕方ないか。この辺もどうにかしなくてはな、古いからと言ってすべて読めなくなっていましたでは話にならない。それで、今回の件じいはどう考える?」

フールーダ

「分かりませぬ。可能性は半々といった所ですな」

ジルクニフ

「半々・・・?無いとは言わぬのだな。破壊されたのだろ?」

フールーダ

「そこに間違いはございません。ただ、複数存在していたようで残っていても不思議はないかと」

ジルクニフ

「正確な数字が分からないが、大規模で使われたとすれば1つでは無理があったという線もあるか・・・。帝国には残されて無いのか、側近が作った国だろう?」

フールーダ

「まず無いでしょうな。火種であったシーケローネーの卵を保持する事は危険と判断し、すべて放置したとありました。その後民衆によって破壊されたようなので帝国にはまずありますまい」

ジルクニフ

「頭の痛い話だ・・・。その村・・・アニアと言ったか?帝国の国境にあれば容易に調査できたものを・・・」

フールーダ

「どうしますかな?」

ジルクニフ

「ワーカーを使うしかあるまい。帝国の兵を送ることは出来ないのは勿論だが、帝国の差し金と思われればいらぬ厄介事を生みかねない。ワーカーならその辺理解してるだろうし、帝国のなら最悪切り捨てた上で口封じに始末するのも容易だ。シーケローネーの卵は欲しいが最悪他の国にやるくらいなら破壊したいな」

フールーダ

「それがよろしいでしょうな。では、早速ワーカーの候補をリストアップしてまいります」

ジルクニフ

「頼んだよじい」

 そう言って、ジルクニフは今帝国にいる優秀な人材(年齢問わず)に多少強引にでも側室まで持たせ子供を作らせる計画を頭の中で描く。

 自分の代ではその成果は出て来ないだろう。だが、次の皇帝の代ではいい成果が期待できるだろう。

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▽帝国。とある酒場▽

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 バハルス帝国にいくつも存在するワーカーの一つフォーサイトがその酒場に集まっていた。

 彼等がいるのは酒場の中でも奥にあって簡単な仕切りがあって、テーブルは円形で皆がそれを囲むように座っていた。

ロバーデイク

「指名での依頼が来たということですが、説明してくれますか?」

イミーナ

「指名ねぇ・・・、危険でロクでもないやつじゃないといいけど~・・・」

ヘッケラン

「まぁまぁ、言いたい事は分かるがまずは話を聞けって」

アルシェ

「ヘッケランは乗り気なの?」

ヘッケラン

「依頼内容は受けてからとの事だが・・・」

イミーナ

「はい、それアウト!」

ヘッケラン

「いや、それだけで・・・」

ロバーデイク

「そうですね。その手のは表にできない事情がある上に一度聞いたら引き返せないパターンが多い・・・」

アルシェ

「そして危険・・・」

ヘッケラン

「いやでもな」

イミーナ

「あんたねぇ、駆け出しの素人じゃないんだからすぐわかるでしょうよ」

アルシェ

「もしかして、それだけ報酬が良いの?それなら興味ある」

ヘッケラン

「まぁ、妥当な額だったな前金で60成功報酬で100」

アルシェ

「ワーカーに回ってくるような依頼なら割と普通・・・」

イミーナ

「逆に怪しいわね・・・。依頼内容は受けてから~なんてのはもっとあってもいいはずでしょ?」

ロバーデイク

「だがヘッケランはそれでも受けてもいいと?」

ヘッケラン

「ああ。俺はやっても良いと思う」

アルシェ

「ヘッケランがそう言うなら私は受けたい。私にはお金が必要だから・・・」

イミーナ

「ああもう!そんな事言われたら断りにくくなるじゃない」

アルシェ

「ごめん」

ロバーデイク

「アルシェは悪くないですよ。最近は仕事も少なかったですし他の仕事より稼げるのは確かですからね」

イミーナ

「それで依頼したやつは誰?それで決めましょ」

ヘッケラン

「なぁ、もう少し俺を信用してくれてもいいと思うんだが・・・。ほら俺一応リーダーだし」

ロバーデイク

「ヘッケランの場合相手が美人だったから乗り気という線も・・・」

ヘッケラン

「い、いや・・・確かにちょっと可愛い娘だったけど(仲介の娘が)」

イミーナ

「あ゛ん?」

イミーナはジト目でヘッケランを見る。

ヘッケラン

「えっと、それは依頼を仲介してくれた人で、本当の依頼人は帝国の高官と言う話で・・・」

 しまったと思いヘッケランは慌てて補足説明をする。

ロバーデイク

「それは国絡みか、はたまた個人の依頼か・・・」

 イミーナは未だに何かを怪しむような視線をヘッケランに向ける。

ヘッケラン

「それに!危険はほとんど無いって話だったしさ」

 イミーナはため息を一つし「まぁいいか」と言ってこれくらいにしておく事にした。

イミーナ

「国からのって事ならちょっとは信用はできるけど・・・。嘘の依頼という線は?」

 国がワーカーに依頼を出す場合でも危険や表に出来ない事情を抱えてる場合がほとんどであるが、国からの依頼とする以上全滅する可能性の高い使い捨て感覚の依頼はまずない。

 というのも、死人が出た場合その死体が調べられれば様々な情報を引き出されてしまうからだ。出身地から職業・・・場合によってはその依頼人まで数多くの事を語ってしまうのだ(捕虜として捕まった場合も同じ)。

 危険なのは変わらないが、それは他の依頼も同じなので国からとなると多少の信頼が持てる。

 ただ死んでも構わないような場合、大抵は元がばれないように間に適当な貴族等を立たせて分からないようにするのだが・・・。

ヘッケラン

「それは・・・・・・」

ジルクニフ

「無いとも。このジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスが保障しよう」

 突然の帝国の皇帝の登場でみな目を白黒させる。

 よく見ればその後ろには帝国の切り札とも言われるフールーダ・パラダインの姿もあった。

イミーナ

「嘘・・・本人・・・?」

ロバーデイク

「なっ・・・。皇帝陛下自らっ」

ヘッケラン

「・・・・・・・・・」

アルシェ

「鮮血帝が・・・なんで・・・」

ロバーデイク

「ヘッケランは知ってたのですか?」

イミーナ

「ヘッケラン?」

ヘッケラン

「うそぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

イミーナ

「知らなかったんかいっ!」

ジルクニフ

「なかなか面白いチームだね。一応先ほどここを貸切にさせて貰ったが、今みたいに叫ばれたら流石に外まで声が届くだろうから少し落ち着いてもらえるかな?」

ヘッケラン

「こ、皇帝陛下!さ、しゃくせんタイムよろしいでしょうか!」

 いきなりの皇帝ジルクニフの登場でパニックになりかけるヘッケランだった。

ジルクニフ

「ん?ああ、仲間内で話がしたいということかな?まだ混乱してるようだし仕方ないね。店主悪いがこの建物の中の人払いをすべてお願いできるかな?あなたを含めて」

酒場の店主

「も、もちろんです!」

ジルクニフ

「ありがとう。後日帝国から相応の埋め合わせはさせて貰うよ」

 ジルクニフはそう言って酒場の中央のカウンター席に腰を下ろす。

 容姿や服装や家柄を考えればこれほどこの場に相応しくない者はないだろう。その事によって異様な雰囲気が漂っていた。

 そんな中、フォーサイトのメンバーは店の隅で小さく円陣を組み小声で話し始めた。

ヘッケラン

「うぉぉい!皇帝陛下直々だぞ!ちょっとまずくないか?!(小声です)」

ロバーデイク

「ちょっとまずいなんてもんじゃないですよ!ヤバイです!(小声です)」

イミーナ

「確かにヤバイわね。想像以上だわ・・・超カッコイイじゃない!ちょっと心がトキメイちゃった(小声です)」

ヘッケラン

「オイっ・・・!(小声です)」

ロバーデイク

「・・・はい?(小声です)」

アルシェ

「まぁ中身は別として、確かに見た目はカッコイイ。ちょっとドキッとした(小声です)」

ロバーデイク

「それは見た目ではなく、皇帝という肩書きに驚いただけでは・・・(小声です)」

イミーナ

「そ、そうね・・・。ちょっと心臓がバクバクしちゃっただけだからね、ヘッケラン(小声です)」

ヘッケラン

「だよな、だよな!カッコ良さなら俺だって負けてないよな!(小声です)」

イミーナとアルシェは若干冷めた目でヘッケランを上から下まで眺め鑑定する。

イミーナ&アルシェ

「・・・・・・・・・・・・無いわ(小声です)」

 見た目より機能性を重視した冒険者にありがちな格好で良くも悪くもない顔立ち、一国の顔として見た目を重視した服装に顔だちも整った皇帝と比べるのも変な話ではるが、真珠と石ころだ。

ヘッケラン

「そんな事ないだろぉぉ!(小声です)」

 ヘッケランも目の前の皇帝ほどカッコイイ等とは思ってないものの、他の冒険者やワーカー達と自分を見比べてかなりイケてるだろうと思っていたのだ。

アルシェ

「でも今ので落ち着いてきたかも・・・(小声です)」

イミーナ

「あ、わかるー(小声です)」

ロバーデイク

「それは落ち着くと言うより冷めたと言うべきでは・・・。私もですが(小声です)」

ヘッケラン

「俺はまだホットなままなんだけどっ!」

イミーナ

「あっバカ!(小声です)」

 ヘッケランはついうっかり立ち上がって叫んでしまった事に気がつき、恐る恐る皇帝をの方を見てみる。

 それに気がついたジルクニフはにこやかに笑いながら軽く手を振ってみせた。

 どうやら怒っては無いらしいと安心した時さらに気がついてしまった。

ロバーデイク

「ヘッケラン!そんなに見たら皇帝に失礼ですよ!(小声です)」

 ヘッケランを無理やり引っ張り作戦会議?を再開する。

ヘッケラン

「なぁ・・・(小声です)」

イミーナ

「どうしたのよ?(小声です)」

ヘッケラン

「カウンター席の皇帝陛下の奥で・・・、フールーダ・パラダインが!シェイカー持って!シェイクしながら!腰振ってたんだけど、どういう状況だよぉぉ!!(小声ですギリ)」

ロバーデイク

「まぁ、他ではまずお目にかかれない貴重な光景ではありますね(小声です)」

アルシェ

「待たせすぎたのかも・・・(小声です)」

イミーナ

「一理あるわね(小声です)」

ヘッケラン

「なんでそんな落ち着いてるんだよ!(小声ですギリ)」

イミーナ

「あんたの方がそれより珍しいくらいパニクッてるからでしょ!(小声です)」

 イミーナは少し強めにヘッケランの頭をはたく。

 ヘッケランははたかれた箇所をさすりながら、いつもらしからぬ自分の行動に気がつき反省する。

ヘッケラン

「はい・・・(小声です)」

ロバーデイク

「ヘッケランが少し落ち着いたところでそろそろ決めましょう(小声です)」

イミーナ

「そうね。依頼を受けるか、断るか・・・(小声です)」

ジルクニフ

「あ、それは無理だよ。君達には受ける以外の選択肢はない」

 ジルクニフはニヤリと笑う。

 それとは対象的に危険を感じ取り顔つきが変わるフォーサイトの面々。

ジルクニフ

「あと勘違いはしてほしくないから付け足すが、盗み聴きする気は無かったんだよ。先ほどホットなままだとか言ってたのが聞こえたのでね。落ち着いて貰う為に君達の分もカクテルを作って貰った」

 そう言ってトレイに乗った人数分の淡いワイン色のカクテルを、皆に見せながらヘッケラン達の近くのテーブルに置く。

ヘッケラン

「受ける以外の選択肢がないとはどういう事ですか?」

ジルクニフ

「スイッチが入ったのかな?先ほどまで落ち着きがなかったのが嘘のようだね。流石はミスリルクラスの実力者といった所か、安心したよ」

イミーナ

「どういう事か答えなさいよ」

フールーダ

「陛下に対してなんという口の聞き方か!礼儀を弁えねばっ」

 フールーダが言おうとした所を片手で止める。

ジルクニフ

「構わないさじい。元々こちらが卑怯な手を用いてるのだし、礼を欠いてるのは明らかにこちらだ」

ロバーデイク

「・・・卑怯な手?」

ジルクニフ

「その通りだ。私がここに来て人払いをした時点で君達は断る事ができない状況にしたんだからね」

アルシェ

「・・・?」

 皆どういう事か分からないといった顔をするのを見つつジルクニフは話を続ける。

ジルクニフ

「君達は私の機嫌次第で国家の重要機密を知ってしまったとして、処分できるという状況なんだよ?」

アルシェ

「私達はまだ詳しい依頼内容も知らない。当たり前だけど、国家の重要機密なんて知らないはず」

ジルクニフ

「君達はそうだろう。だが他の人はどう考えるかな?ワーカーである君達と皇帝である私、そして人払いの済んだ酒場での密会・・・。ここで君達を始末してもそういう事にしてしまえる状況にしたんだよ」

ロバーテイク

「私達を始末する為のフールーダ・パラダインですか・・・。これが皇帝・・・いや鮮血帝ですか」

ジルクニフ

「もしくは、皇帝である私を殺そうとした為に始末した。というのでも構わないよ」

そう言ってジルクニフちらりとアルシェを見やる。

 アルシェは緊張からか喉をならす。

 ヘッケラン達はそのやりとりが何か分からず反応に困っているとジルクニフが話を続けた。

ジルクニフ

「ここを逃げ出せたとしても堂々と指名手配なり追っ手を差し向けるなり出来る。君達には受けるしかないのさ。理解して貰えたかな?」

 正直よく分からない事だらけな上、頭もパニック中だが逃げる事ができないのだと悟りヘッケランは一つ質問をした。

ヘッケラン

「一つだけ聞かせてくれ。なぜ俺達だったのかを・・・」

ジルクニフ

「1つは君達が帝国のワーカーだからだね。依頼の達成内容でも変わるがすべてが終わった後でも情報が他国に流れるのを避ける為だ。そこを考えるとどうしても帝国内のワーカーの方がいい、帝国内でなら多少の情報漏れがあっても打てる手はいくらでもあるからね。もう一つは適任なのが君達しかいなかったから、だからこうして逃げ場を無くした訳さ」

ヘッケラン

「他に適任がいないというのは?」

ジルクニフ

「今回の依頼で君達には、ごく平均的なよくいるアイアンの冒険者を演じて貰うからさ。歳が行き過ぎてもダメ。アイアンとは思えないような風格があってもダメ。天武と言ったかな?あれの場合は性格的にアイアンの真似事ができないと思われたしね」

 ヘッケランは自分の知るミスリルクラスのワーカーを頭の中で並べる。確かに平均年齢でみれば自分達は若い部類だった。

 ハーフエルフでヒューマンとはちょっと違う為イミーナは除くが。

ジルクニフ

「総合的に考えた結果。ミスリルクラス以上のワーカーでそれが可能だったのは君達しかいなかった」

イミーナ

「アイアンに見えるって言われてるようでいい気はしないわね・・・」

 フォーサイトはワーカーだ。その為、冒険者のプレートのような明確な強さを示す物がないので少しくらい低く見られても仕方ない所がある、が。流石にアイアンは低すぎて笑えない。

 彼等が今まで数々の危険を乗り越えながらこなしてきた依頼による実績は明らかにミスリル以上であり、そこに誇りもあった。

ジルクニフ

「そこは考え方を変えて欲しいな。若さに見合わずミスリル並の力量を持つ君達を買っている。そう思って欲しい」

ヘッケラン

「物は言いようだな・・・」

ロバーデイク

「ホントに・・・」

ジルクニフ

「それでどうする?フォーサイトの諸君」

ヘッケラン

「みんなすまない」

イミーナ

「ヘッケランのせいじゃないわよ。みんなこのクソったれ皇帝が悪いのよ」

ジルクニフ

「そんな事を面と向かって言われたの初めてだ、けど嫌いではないよ」

 イミーナは反射的にあっかんべーの態度をとるのを見て他のメンバーは内心焦るもなんとか態度に出さずに耐える。

 ジルクニフはそれを見てやれやれという感じで肩を竦める。

 実際、正面から言われたのは初めてだった。

 正面ではにこやかにしつつも裏で陰口を叩くやつは腐るほど知っている。そこに陰湿さを感じて辟易していたのだが、正面から言われると裏表のなさにいっそ好感すら持てた。

ロバーデイク

「仕方ありませんよ。相手は鮮血帝・・・歴代の皇帝の中でも天才と呼ばれてるのですから。回避する手段は無かったと思われます」

ヘッケラン

「本当にすまない」

アルシェ

「大丈夫。私、分かってるから」

イミーナ

「アルシェ~、そこは私達でしょ?仲間なんだから」

 イミーナは後ろからアルシェに抱きついた。まるで「私達のこと忘れてない?」と問いかけるようであり、単に自分の存在を主張するようでもあった。

ロバーデイク

「ええ、その通りですとも」

 どうするか決めたらしい雰囲気を見てジルクニフは改めて質問をする。

 もっとも答えは分かりきってるのだが。

ジルクニフ

「返答は?」

ヘッケラン

「やってやる・・・やってやろうじゃないか!」

ジルクニフ

「その言葉を待っていたよ」

 ジルクニフは今日一番の笑みを浮かべる。

 策がうまく嵌った楽しさと、相手が自分に屈した時のような優越感を彼は感じながら・・・。

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