同じ様な場面は省略したダイジェスト版の手抜きとなっております。
粉雪がちらつく中、青年が一人外に設置されたバスケットゴールに向かってボールを放っている。スポーツウェアの下に、防寒用ウェアを着込みながら黙々と練習している姿から、彼がどれだけバスケットボールに打ち込んでいるかが見て分かる。
投げ放ったボールが、バスケットゴールのリングに当たり、あらぬ方向へ飛んでいってしまう。
長いこと練習をしていたせいか、ボールにだけ意識を集中していた彼は碌に確認もせず、ボールを追って道路に出てしまう。
ボールを拾い上げて気付く。猛スピードでこちらに車が向かって来ていることに。
「うあああああああああ!」
咄嗟に逃げることも出来ず、驚きのあまり腰が抜けてしまう。車も急に出てきた青年に反応出来ず、ブレーキ無しで突っ込んでくる。
死。
その言葉が頭を過る。目の前に迫る鉄の恐怖から思わず目を背けてしまった。
「決めたよ。君に」
衝撃は──無かった。だが、次に目に映った光景に青年は安堵よりも困惑を覚える。
急ブレーキも無しに走ってきた車が、どういう訳か衝突の直前で停止している。それはあまりに不自然な停まり方であった。
混乱する彼に、中性的な見た目を持つ少年が、青年が投げ捨ててしまったボールを拾いながら近付いてきた。
少年曰く、青年は本来の歴史ではここで車に撥ねられていたという。
理解を超えた出来事の連続にただ戸惑うしか出来ない青年であったが、少年が今この場で契約をすれば助かることを示唆する。
どんな契約か中身など全く分からない。しかし、今も突き付けられている死を目の前に、青年の選択肢など無いに等しかった。
「どうする?」
少年は青年に、時計の針が無い内部機構だけ透けて見える懐中時計、あるいはストップウォッチにも見える物を差し出す。
「分かった……契約する」
それを受け取り、契約を了承する言葉を言った瞬間、手に持つそれに変化が起きる。光の針が一周すると、ある絵柄がそこに浮かび上がっていた。
少年は浮かび上がった絵柄に満足気な笑みを浮かべる。
「今日から君が、仮面ライダークローズだ」
その言葉が何を意味するのかなど青年には分からない。少年は笑いながら手に持つそれ──アナザークローズウォッチのスイッチを入れる。
『クロォォズ』
おどろおどろしい声と共に、起動させたアナザークローズウォッチを青年の体内に押し込む。
その瞬間から青年の意識は途切れた。
◇
「アアア……」
低く漏れ出す様な声。眼前でその声を聞かされているテニスウェアの青年は恐怖していた。
青い半透明の仮面越しに見える吊り上がった瞳の無い白い目。唇が無く剥き出しの状態で食い縛っているかの様に連なった鋭い歯。
上半身には鎧の様な青を基調としたプロテクターを纏っているが、よく見れば繋ぎ目が無く体と同化していた。腹部にはベルトらしき物を装着しているが、これもまた肉体と同化しており、四角状の不細工な粘土細工の様な物にボトルらしき青い筒。縁にハンドルの様なものが付いていた。
青と黒が混じり合った色をした体には『CROSS―Z』『2017』という文字が刻まれている。
異形の怪人──アナザークローズを前に何とか逃げようとするが、怪人はそれを片手で抑えてしまっていた。
「おい! 何をやっている!」
偶然それを見つけた別の青年。怪人の姿に一瞬戸惑うも、テニスウェアの青年を救う為に勇敢にも殴り掛かる。
しかし、それをあっさり片手でいなされ、テニスウェアの少年共々地面に投げ捨てられてしまった。
アナザークローズは何処からボトルを取り出し、先端を捻って青年たちに向ける。
青年たちは細かい粒子の様にその身が崩され、ボトルの中に吸い込まれてしまった。
「テニス……空手……」
変化したボトルを心なしか満足そうに見る。
「筋肉……筋肉ゥゥ……」
◇
「何だ? あいつ……」
「スマッシュじゃ無さそうだ……」
現れた謎の怪人──アナザークローズに仮面ライダービルドこと桐生戦兎、仮面ライダークローズこと万丈龍我は、今までに無い初めて見るタイプの敵に困惑する。
「何かクローズっぽい様な……」
「にしては生々しい見た目だな」
「オレ……クローズ……」
喋るアナザークローズ。それを聞き捨てならないのが、万丈であった。
「いや! クローズは俺だ!」
「オレ、クローズ……」
「だから俺だって言ってんだろ!」
「オレ、クローズ……」
「だから!」
「話が進まないからもう止めろ」
不毛な言い争いになりそうなのを戦兎が止める。
「見た目だけじゃなく中身も万丈っぽいな」
「どういう意味だ! それ!」
「お馬鹿ってことだ」
「馬鹿とはなんだ! せめて筋肉を付けろ!」
「筋肉、筋肉ゥゥゥ」
「……やっぱり中身も似ているな」
呆れながら、戦兎は腰に変身ベルト──ビルドドライバーを装着する。万丈も不満そうだったが、同じくビルドドライバーを装着。
戦兎は、ウサギの成分が入ったラビットフルボトルと戦車の成分が入ったタンクフルボトルを取り出し、万丈はドラゴンの成分が入ったドラゴンフルボトルをドラゴン型自立行動メカ──クローズドラゴンに挿し込んだ。
『ウェイクアップ!』
戦兎は二本のフルボトルをビルドドライバーに挿し込み──
『ラビット!』
『タンク!』
『ベストマッチ!』
万丈はクローズドラゴンをベルトに挿し込む。
『クローズドラゴン!』
音声が鳴り響くと同時に、ベルトに備わっているハンドルを回す。
周囲に現れるパイプに赤と青の液体が流し込まれ、戦兎の前後で人の半身を生成し、万丈も同様に蒼いボディが前後に生成される。
『Are You Ready?』
『変身!』
前後に生成されたボディが戦兎と万丈を挟み、仮面ライダーへと変身させる。
『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!』
『ウェイクアップバーニング! ゲットクローズドラゴン! イエーイ!』
戦兎は、赤の青のボディを持つ仮面ライダービルドに。万丈は、ドラゴンを模した仮面ライダークローズに変身する。
変身した二人は、同時にアナザークローズへと迫る。
初撃を放ったのはクローズ。しかし、アナザークローズはそれを手刀で叩き落し、軽々と防ぐと、続いて拳を放ってきたビルドにカウンターのパンチを胸部に叩き付け、後退させる。
アナザークローズは、二本のボトルを取り出し、それを丸ごと呑み込む。
『空手家!』
『テニスプレイヤー!』
腰のハンドルを回し始める。
『略奪筋肉ッ!』
「フゥゥゥ……」
アナザークローズが唸ると、その体を突き破る様に至る所から濁った色をした青い炎が噴き出す。途端、目に見えない程の速度で動き、正面のビルドの顔面に青炎を纏った正拳突きを打ち込み、ぐらついたビルドを蹴って足場にして、反対側に立つクローズ目掛けて飛び掛かり、クローズの脳天にテニスのスマッシュの様な掌底が炸裂。クローズは、アスファルトが砕ける勢いで頭を地面に叩き付けられた。
体を起こそうにも上から押さえつけるアナザークローズの力が強く、跳ね除けることが出来ない。
燃え盛る青い炎。見覚えがあるそれに思わずクローズは叫ぶ。
「まるで……本当にクローズじゃねえか……!」
◇
苦戦するビルドとクローズ。しかし、未来から来た常磐ソウゴこと仮面ライダージオウ。明光院ゲイツこと仮面ライダーゲイツによって助けられる。
しかし、その最中、ビルドとクローズはアナザーライダーの影響によって力を失ってしまう。
アナザーライダーを倒すには、それと同じライダーの力を使うしかない。
未来の戦兎からビルドの力を受け取っていたジオウは、打倒アナザークローズの為にその力を使い、ビルドアーマーとして纏う。
これで行けるかもしれないと思ったジオウであったが、戦いの中で手応えから小さな違和感を覚えた。
「何だか少し足りないかも」
倒せるには倒せるかもしれない。だが、時間が掛かる。一気に倒さなければ逃げられてしまう可能性も出てくる。
そこで思い付く。クローズにはクローズの力だと。事前にゲイツには仮面ライダークローズの力を宿したウォッチ──クローズライドウォッチを手渡していた。
「さっき渡したクローズの力を使って!」
「何……?」
「それを使えば確実にこいつを倒せる!」
ゲイツはクローズライドウォッチを取り出す。龍の紋章と2017と表記されている。
「それを使ってアーマーを──」
「何故俺がお前の命令を聞かなければならない」
「ええっ! 命令じゃなくてお願いだって!」
ゲイツの目的は、未来で魔王となるジオウを魔王となる前に滅ぼすことである。二人の関係はハッキリ言ってしまえば敵である。今は共闘しているが、それも成り行きにしか過ぎない。
「だとしてもジオウの、いや、オーマジオウの言葉で俺は絶対に動かん」
「そんなこと言っている場合じゃ──」
「だから──」
「えっ?」
「ここから先は、全て俺の意思だ」
手にしていたクローズライドウォッチを半回転させスイッチで起動、そこに浮かび上がる顔は──
『クローズ!』
腰に付けたベルト──ジクウドライバーの右側にはゲイツの顔を描かれたゲイツライドウォッチ。中央には液晶の画面。左側には何も装填されていないスロットがある。
ゲイツはそこにクローズウォッチを装填。ドライバー上部のスイッチを拳で叩き、ロックを解除すると、ベルトが斜めに傾く。
それを両手で挟み込み、一回転させた。
『ライダーターイム!』
浮かび上がる『くろーず』という文字。
『仮面ライダーゲイツ!』
背後に転送される様にして現れる青い外装。
『アーマーターイム!』
ゲイツの顔に描かれた『らいだー』という文字が『くろーず』へと置き換わったとき、青い外装がゲイツの赤のボディへ装着される。
『ウェイクアップバーニング! クローズ!』
身に纏うはクローズのドラゴンの力。右肩に龍の頭が突き出し、左肩には龍の尾が突き出ている。青の装甲に炎を彷彿とさせる黄色のラインが走り、右手には装甲と一体化した両刃の剣が備わっている。
この姿こそ仮面ライダーゲイツクローズアーマー。
「これがクローズの力か……」
初めて使用する力。変化した自分をまじまじと見てしまう。すると、いつの間にか近付いてきた万丈が、ゲイツの胸に軽く拳を当てる。
「俺の力を使うんだ、魂を燃やしていけよ!」
熱く苦しさを感じさせるその台詞に対し、ゲイツは何も言わなかった。答える代わりに、行動を以って示す。
「はあっ!」
ゲイツは走り出し、ジオウが押さえていたアナザークローズを、右手の両刃剣──ビートクローザークローザーで斬りかかる。
アナザークローズの胸から腰にかけ火花が飛び散って怯み、続けてジオウが手に持つドリルでアナザークローズを突いた。
吹き飛ばされるアナザークローズ。すぐに立ち上がろうとするが、刃に青い炎を纏わせたゲイツの斬撃がそれを許さない。
「成程。この力──」
アナザークローズが口を開き、そこから濁った青い炎を吐き出すが、放たれた斬撃を押し返すことが出来ず、濁った青い炎は裂かれ、透き通る様な青い炎がアナザークローズの体に斬り傷を刻み込む。
「負ける気がしないな」
「おい! 俺の台詞まで取るな!」
万丈が文句を言うが、ゲイツは無視する。
「これで何かいけそうな気がする! 回せばいいんだよね?」
ジクウドライバーの横でハンドルを回すジェスチャーをすると、空中に次々と公式が浮かび上がってくるが、公式というよりもジオウが数学に対するイメージをそのまま具現化した様な言葉の羅列であった。
「何かちがくね?」
「最悪だ」
ゲイツは仮面の下で呆れているのか、何も言わず無言で止めの準備に入る。
『フィニッシュタァァイム!』
『クローズ!』
ジオウもまた準備に入る。
『フィニッシュタァァイム!』
『ビルド!』
二人同時にロックを解除し、ドライバーを一回転させる。
ジオウの前に、アナザークローズへ一直線に伸びるグラフを模した滑走路が現れ、ゲイツの背後には青い炎による龍が現れる。
『ボルテック! タイムブレーク!』
『ドラゴニック! タイムバースト!』
滑走路に乗り、ドリルを高速回転させながら加速するジオウ。
跳び上がり、背後の龍から吐き出された青い炎を纏いながら撃ち出されるゲイツ。
ジオウのドリルがアナザークローズを貫いた直後、ゲイツの刈る様な回し蹴りがアナザークローズに打ち込まれた。
爆発し、その身を砕かれるアナザークローズ。
爆発の後にはアナザークローズにされた青年が気を失った状態で倒れ、彼からの抜け出たアナザーライダーウォッチは、アナザークローズの結末に沿う様に砕け散った。
◇
2017年。
青年は背中に当たったバスケットボールの衝撃で意識を取り戻す。
何か長く、恐ろしい夢でも見ていたかの様な感覚であった。
ふと気付き、隣に衝突し合っている車があることに。
「何だったんだ?」
釈然としないが、今は優先しなければならないことがある。
「あの、事故で! 救急車を!」
携帯電話で病院に連絡を入れながら、青年は事故に遭った人たちの安否を急ぐのであった。
設定
アナザーサブライダー
アナザーライダーと同じ力ではあるが、メインライダーの力が効きにくい
メインライダーの力でも復活しない様に倒せるが、時間が掛かる。
同じサブライダーの力で倒すのが最も効率的。
アナザークローズ
身長:197.0cm
体重:102.4kg
特色/能力:筋力吸収。ボトルにした相手の最も優れた筋力を奪い、自分のものにする。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ