仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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アナザーディケイドVE その3

 仮面ライダーエグゼイドが変身する為に必要なライダーガシャット、ゲーマドライバーを創り出した男──檀黎斗。比類なき才能故に自らを神と称する男が生み出した最高傑作であるゴッドマキシマムマイティXガシャットがゲーマドライバーに挿し込まれる。

 

『マキシマムガシャットォ!』

 

 ゲーマドライバーに付けられたハンドルを開く。

 

『ガッチャーン! フゥゥメェェェツゥゥ!』

 

 黎斗の頭上に『GOD MAXIMUM MIGHTY X』という文字とデフォルメされたキャラクターが並ぶラベルの様な絵が浮かび、黎斗の前には顔に紫の光の線で描かれた顔に手足が付いたキャラクターの等身大のパネルが出現する。

 

『最上級の神の才能! クロトダーン! クロトダァァン!』

 

 自己主張と自己賛美が凄まじい音声の中で絵から飛び出て来る巨大な顔。ゴーグル型の仮面の下に赤黒い目と白い瞳。

 そして、黎斗もパネルを通過すると顔と同じ姿の仮面ライダーへと変身。仮面ライダーエグゼイドに似ているが、黒と紫を主としており、ヘッドパーツも黒。頭上に浮かんでいる巨大な顔と全く同じ顔の仮面ライダー──ゲンム。

 ゲンムはゴッドマキシマムマイティXガシャットから出ている小さなゲンムの頭を押し込み、ジャンプする。

 

『ゴッドマキシマァァム! エェックス!』

 

 巨大な顔が開き、その中にゲンムが入り込む。巨大な顔に収納されていた手足が解放され、ヘッドパーツ部分が左右に開くと中からゲンムの顔が現れる。巨大な顔はゲンムを守る個性的且つ堅牢なる鎧と化した。

 仮面ライダーゲンム・ゴッドマキシマムゲーマーレベルビリオン。エグゼイドに於いて仮面ライダーのレベルはそのまま強さに繋がる。一部の例外を除いて最高レベルは百まで。だが、ガシャットとドライバーの生みの親でありゲームマスターである黎斗だからこそ許される規格外のレベル十億。

 長髪の男──戦極凌馬が両手を交差させ、右手に持つレモン型の錠前──レモンエナジーロックシードをドライバーに填め込み、開錠状態であったレモンエナジーロックシードを閉錠する。

 

『ロックオン!』

 

 戦極凌馬は仮面ライダー鎧武が変身する際に使用する戦極ドライバーの開発者である。今の戦極が装着しているのは、彼が作り出した次世代ドライバー──ゲネシスドライバー。

 戦極はゲネシスドライバーの右側に付いたレバーを押し込む。

 

『ソーダ!』

 

 レモンエナジーロックシードが上下に開く。そして、ロックシード内のエネルギーが液体状となってロックシード下部に設けられているポッドの中に絞り出されていく。

 戦極の頭上に大きなレモンが出現。落下して戦極の頭に覆い被さるとレモンが変形。

 

『レモンエナジーアームズ!』

 

 変形するレモンから飛び出た果汁の様なエネルギーが戦極の体を覆うと、エネルギーから実体へ変わり、戦極の体に鮮やかな青のボディスーツを装着させる。

 変形したレモンの一部は装甲となり、ボディスーツの上から右肩と胸部に装着。胸部左側には冠の紋章が施されていた。装甲以外の部分は背部から垂らすマントと化す。

 レモンが装甲となることで露わになった頭部は、額には王冠型の装飾、格子状の黄色の仮面を付け、口は銀色のマスクで覆われている。

 

『ファイトパワー! ファイトパワー! ファイファイファイファイファファファファファイッ!」

 

 戦いに不向きな見た目の戦極には不似合な程勇ましい掛け声が鳴り響く。因みにドライバーやロックシードから流れる音声は戦極が作ったものであり、今流れている音声も彼の趣味である。

 最後に黄色の輝きが右手に集まり、弓の形となる。遠近どちらにも対応出来るゲネシスドライバー変身者共通の弓型の武器──ソニックアロー。

 五爵の位の中で最上級である公爵の名を持つライダー、仮面ライダーデュークレモンエナジーアームズ。

 ドライバーから伸びるチューブを通っていくウサギと戦車の成分。成分は白衣の男の前後で二色の装甲を形成すると、白衣の男を前後から挟み込み装甲を装着させる。

 

『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!』

 

 仮面ライダービルドラビットタンクフォーム。桐生戦兎が変身するビルドと見た目は同じだが、白衣の男が巻いているドライバーことビルドドライバーは、彼が設計し、自分自身に合わせて作り出したプロトタイプ。それにより戦兎が変身するビルドよりも高い性能を発揮出来る。

 白衣の男こと葛城忍こそベスト・オブ・ベストのビルドである。そして、同時に戦兎の実父でもある。

 ゲンム、デューク、ビルドの三人が並ぶ光景を見て、ツクヨミは混乱する。アナザーディケイドVEが召喚したライダーだが、彼に真っ向から反旗を翻しており、更に三人の内檀黎斗は見覚えがあり、ビルドも見覚えがある。反対に黎斗が変身したゲンムは初見であり、ビルドに変身した葛城忍も初めて見る。

 

「一体どうなっているの……」

「知るか。それにしてもどいつもこいつも喧しいな」

 

 アナザーゲイツMAが吐き捨てる様に言う。当初の予定ではアナザーゲイツMAが足止めをし、その隙にツクヨミがスウォルツから力を奪い返す筈であった。だが、この三人の登場で大きく変更する必要が出てくる。

 そして、何よりも三人の動きに注目しなければならない。彼らの動き方によってはツクヨミたちが有利にも不利にもなる。

 

「飛流。今は様子を見ましょう」

「俺に指図をするな。──だが、今は言う通りにしてやる。巻き添えなんて馬鹿馬鹿しい」

 

 アナザーゲイツMAは構えを解くが、その白眼は虎視眈々とアナザーディケイドVEの隙を狙っている。

 

「いやいや。これは目移りするねぇ!」

 

 戦いの最中であるが、デュークは喜色と抑えきれない好奇心に満ちた声を上げながら、ゲンム、ビルド、アナザーディケイドVEに視線をせわしなく向けていく。

 研究者であり科学者でもあるデュークにとっては未知の技術が並び立つこの状況に己の性を押さえることが出来ない。

 

「こんな状況でなければ、そちらの技術についてじっくりと調べたいところだよ」

「気持ちは分からなくはないが、今は押さえてくれ」

 

 デュークの好奇心に同意しながらも、ビルドは自重する様に促す。

 

「いいぞぉ! このシチュエーション! インスピレーションが湧いて来る! ありとあらゆるものが私の神の才能を刺激するぅぅ! ははははははは!」

 

 それ以上に興奮した様子のゲンムが高笑いを上げる。四方八方に響き渡りそうな大声量である。

 

「くだらん」

 

 三人を見て、アナザーディケイドVEは吐き捨てる。

 

「お前たちは俺が呼び出した存在。俺の役に立つ以外に存在理由など無い」

 

 アナザーディケイドVEは銀色のオーロラを出現させ、三人のライダーをその中に還そうとする。

 三人に迫るオーロラ。だが、途中でその動きを止めた。

 

「何……?」

 

 力を込めるが、オーロラはそれ以上先には進まない。すると、嘲る笑い声が響き渡る。

 

「はははは! 無様だなぁ! スウォルツ!」

「加古川飛流……!」

 

 アナザーディケイドVEを馬鹿にするアナザーゲイツMA。その手はオーロラに向けられていた。手を握り締めるとオーロラは丸められた紙の様にくしゃくしゃに圧縮され、消えてしまう。

 アナザーゲイツMAの能力が、アナザーディケイドVEを妨害する。

 

「そのまま飼い犬に嚙み殺されろっ!」

 

 その言葉の直後に、高く速い跳躍をするビルドがアナザーディケイドVEに接近していた。

 間合いに入ると同時に繰り出される右足の蹴り。アナザーディケイドVEは咄嗟に腕で防ぐ。

 右足裏に仕込まれた履帯がアナザーディケイドVEの腕を削り取ろうとするが、アナザーディケイドVEの体皮はその程度ではビクともしない。

 これ以上は効かないと判断したビルドは、左足で腕を踏み付ける。左脚に組み込まれたバネが一気に伸縮してビルドを異名の通りムーンサルトさせる。

 ビルドがムーンサルトをした直後、陰になっていたせいで見落としていたがその後方でソニックアローを構えるデュークの姿があった。デュークはビルドと入れ替わる形でソニックアローから光矢を連射する。

 アナザーディケイドVEは手刀にてそれらを全て叩き落す。更にその内の一本は、デュークに向けて打ち返してみせた。

 

「おっと」

 

 打ち返された光矢が眼前まで迫るが、デュークは顔を傾けるだけで簡単に回避してしまう。そのタイミングに合わせてデュークの隣にビルドが着地した。

 

「成程。これは参った。どうやら、私たちでは勝てる見込みは低いらしい」

「──そのようだな」

 

 ほんの短い攻防でデュークとビルドはアナザーディケイドVEとの実力差を把握し、勝てないと客観的に判断する。

 デュークは研究者故にアナザーディケイドVEの性能を解析した結果、ビルドは宇宙からの凶悪な侵略者を相手に長年雌伏の時を過ごしてきた故に楽観視をしない。

 

「となると──」

「後は彼に任せるとしよう」

 

 相手の実力を冷静に分析出来るということは、逆に味方の実力も分析出来る。味方といっていい立場なのかは分からないが、今この時点に於いては敵のみ共通である。

 

「いいぞぉ! 私のゲームをプレイする資格は十分あると見たぁ!」

「ゲームだと?」

 

 上機嫌そうに笑うゲンムに、アナザーディケイドVEは不機嫌そうに反応する。

 

「最高神が生み出す新たなゲーム! それを初めて味わえる栄誉に歓喜するがいい!」

 

 ゲンムは天と地に片手ずつ向ける。

 

「『エスケープディザスター』起動っ!」

 

 空が急速に黒雲に覆われ、足元が揺れ始め、強い風が吹き始める。

 

「何を──むっ!」

 

 閃光。直後、アナザーディケイドVEのすぐそばに落雷が落ち、雷鳴が轟く。

 

「『エスケープディザスター』はありとあらゆる災害から様々な方法を駆使して逃れるゲーム!」

 

 またも閃光。頭上に降り注いでくる落雷を、アナザーディケイドVEは手刀で払い除けるが、落雷は一つでは無い。黒雲から雨の代わりに無数の雷が降って来た。

 

「ちいっ!」

 

 アナザーディケイドVEは防ぐのを止め、黒雲から逃れようとする。

 

「雷だけだと思ったのか?」

 

 地面の揺れが激しくなる。すると大地に亀裂が生じ、その亀裂からあろうことか溶岩が噴き出し始める。

 噴き出し溶岩は高く舞い上がり、火山弾となって落ちて来た。

 アナザーディケイドVEは指先から放つ光弾でこれらを迎撃。ただ、被害が及ぶのはアナザーディケイドVEだけではない。

 

「危ない危ない」

「無茶をする……」

 

 デュークとビルドは降ってくる火山弾を避けながらゲンムとアナザーディケイドVEから離れる。

 全ての火山弾を迎撃し終えたアナザーディケイドVE。その時、彼が横から突き出された拳で殴り付けられる。

 

「くっ! 加古川飛流……!」

「ざまあないなぁ! スウォルツ!」

 

 雷、溶岩というまともではない状況下の中でアナザーディケイドVEとアナザーゲイツMAのそれに勝るとも劣らない激しい攻防が起きる。

 アナザーディケイドVEの分裂する斬撃。アナザーゲイツMAはそれを腕の一振りで全て払い、懐に飛び込みながら拳を突き出す。

 アナザーディケイドVEは持ち上げた脚でそれを防ぎ、アナザーゲイツMAの背中に肘を振り下ろすが、肘が刺さる前にアナザーゲイツMAは離れる。

 距離が開くとアナザーディケイドVEは指先から光弾を放つが、アナザーゲイツMAがマントを翻すと光弾は撃ち落とされる。

 

「ほう。乱入者か! いいぞ! 『エスケープディザスター』は他のプレイヤーとの協力は勿論だが、蹴落とし合うのも想定している!」

 

 アナザーディケイドVEとアナザーゲイツMAの戦いもゲンムにとってはゲームの範疇内。気を良くしたゲンムは更なる災害を追加する。

 

「風よ吹き荒べ!」

 

 風が勢いを増したかと思えば、黒雲から糸の様なものが下に向かって伸びていた。やがて、それが地面にまで辿り着くとあらゆるものを巻き込む竜巻と化す。

 

「はははは。もう滅茶苦茶だねぇ」

 

 現状をその一言で纏めるデューク。ビルドは無言であったが同じ気持ちである。

 雷鳴轟き、溶岩が溢れ出る音が四方で聞こえ、竜巻が荒れ狂う惨状の中、その中心でアナザーディケイドVEとアナザーゲイツMAが戦い続ける。

 アナザーゲイツMAはアナザーディケイドVEの拳を受け止め、アナザーディケイドVEもアナザーゲイツMAの拳を止め、至近距離で互いに睨み合う。

 

「あの状況からよくここまでの力を得たものだ……!」

「お前にも、常盤ソウゴにも復讐するまで俺は絶対に死なない……!」

「復讐することしか頭に無い道化がっ!」

「裏でコソコソと動くのが得意な奴が王様気取りの方が笑える!」

「ほざけ!」

 

 アナザーディケイドVEは時間を操り、全てのものを停止させようとする。

 

「うっ」

 

 急激な脱力感。体から力が急速に抜けていくせいで上手く発動出来ない。

 

「これは……!」

 

 アナザーディケイドVEから放たれる虹色の光が何処へ伸びて行く。首を後ろに向けると、光はツクヨミの掌へと吸い込まれていた。

 ツクヨミの能力をスウォルツが吸収したように、今度はツクヨミがスウォルツの能力を吸収する。

 油断をしていた──と言いたい所だが、雷と溶岩、竜巻などの天変地異が起こる中で生身一つでアナザーディケイドVEに接近を試みたツクヨミの胆力の凄まじさなどアナザーディケイドVEには予想も出来ない。

 

「これを狙っていたのか……!」

「散々奪って来たんだ! 今度はお前が奪われろ!」

 

 アナザーゲイツMAは掴む手に力を込めて、アナザーディケイドVEを逃さない。

 ゲンムの能力によって生み出された絶好の好機。神の恵みと言えるかもしれない。しかし、その好機を壊すのも神の気まぐれであった。

 

「この『エスケープディザスター』には裏設定が一つある。地球に起こる天変地異の原因は宇宙からの隕石によるもの!」

 

 ゲンムが聞いてもいないのにゲームの説明を独りで始める。だが、これが更なる災厄を招き寄せる。

 

「つまり! このゲームは『コズミッククロニクル』と同一の世界観を持つ! この瞬間! 二つのゲームがクロスオーバーする!」

 

 ゲンムが両手を天に向けた。

 

「『コズミッククロニクル』起動!」

 

 その時、全員が空から妙な威圧感を覚え、空を見上げてしまう。彼らが見たものは、赤く燃え上がる隕石がこちらに向かって無数に降ってくる光景であった。

 どう見ても敵味方区別無しの無差別攻撃である。

 

「ちぃっ! 馬鹿かあいつは!」

 

 アナザーゲイツMAはアナザーディケイドVEから手を離し、ツクヨミを抱え上げると急いで離れる。

 ツクヨミの能力吸収は不十分であったが、隕石に巻き込まれてしまえば元も子もなくなる。

 

「……これ以上付き合ってられん」

 

 アナザーディケイドVEはそう言うと、銀色のオーロラを出現させてその中に消えてしまった。

 

「待てぇ! 最後までゲームを続けろぉぉ!」

 

 逃げるアナザーディケイドVEにゲンムは怒声を飛ばすが、既に消えてしまったアナザーディケイドVEに届く筈も無い。

 

「やれやれ。短い時間でこうも貴重な体験させられるとはね」

『ロックオン!』

 

 皮肉か本音か分からない言葉を言いながら、デュークはドライバーのエナジーロックシードをソニックアローに填めた。

 

『レモンエナジー!』

 

 矢と一体となったレバーを引き絞ると、矢先端にレモンイエローの輝きが灯る。

 

「流石にこれは見過ごせない」

『タカ! ガトリング!』

『Are You Ready?』

 

 ビルドはフルボトルを交換、装甲を換装する。

 

『天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェア!』

 

 橙と黒の二色となったビルドは背部から翼を出して飛翔。機関銃型武器──ホークガトリンガーを隕石群に向けながらマガジンを回転させる。

 

『10、20、30、40、50、60──』

 

 ツクヨミを一先ず安全な場所へ避難させるアナザーゲイツMA。

 

「……ありがとう」

「勘違いをするなよ? お前も俺のターゲットの一人だ。俺が復讐を果たすまでお前は生きる責任がある。──俺との約束を忘れるなよ」

「……ええ、分かっているわ」

 

 それならいいと言って鼻を鳴らすと、アナザーゲイツMAは埋め込んでいる頭骨の一つを割る。

 

『ブレイブゥ……』

 

 水色の兜を被り、その顔面には赤紫の骨の様な仮面を張り付け、左右の側頭部からは捻じれた角が生え出ている。胸部には赤紫色の目と口のみの怪獣の様な顔が有り、生きているらしく眼球を動かし、口から舌を垂らしている。

 アナザーブレイブファンタジーを召喚したアナザーゲイツMAは、アナザーブレイブファンタジーの背に触れる。

 

「あが、があああああ!」

 

 アナザーブレイブファンタジーは弓なりになり、胸部の顔が盛り上がっていく。胸部の顔は大きく口を開き、その中から炎と氷の二枚の刃を露出させた。

 腕は背部に回り、両脚は捻じれて一つになる。数秒も待たずしてアナザーブレイブファンタジーは人の姿から斧の形へ変形させられた。

 身の丈程もある斧をアナザーゲイツMAは片手で担ぎ上げると、隕石群の落下地点へと向かって行く。

 それと入れ違いになる形で銀色のオーロラがツクヨミの傍に出現。身構えるツクヨミであったが、中から出て来たのはアナザーワールドから帰ってきたソウゴであった。

 

「──えっ。何ここ!? 異世界!?」

 

 雷、噴火、竜巻、隕石など普通では見られない光景が目の前に広がり、ソウゴは思わずそう叫んでいた。

 

「門矢士! 場所を間違えたんじゃ──っていない!」

 

 オーロラの方を見ると、一緒にいた筈の士の姿が無い。一人だけ別の場所に移動してしまったらしい。

 

「ソウゴ!」

「えっ! ツクヨミ!? 無事だったの!?」

 

 思いもよらない場所でツクヨミと再会。無事であったことが知れて、ソウゴは安堵の笑みを浮かべる。

 

「ツクヨミ。一体ここで何を──」

「──ごめんなさい。ソウゴ」

 

 ツクヨミの手から波動が放たれ、ソウゴの動きが停止する。

 

「今の私は貴方たちの許へは帰れない。──スウォルツを倒すまでは」

(ツクヨミ……! それってどういうこと……!)

 

 声を発して言葉の意味を知りたいが、喉を震わすことすら叶わない。

 

「……あと、あの三人のこともお願い」

(三人……?)

 

 ツクヨミの言う三人が誰のことを指しているのか分からぬまま、ツクヨミはソウゴの視界から居なくなる。

 ソウゴから急いで離れたツクヨミは、心の中でソウゴに謝っていた。本当なら今すぐにでもソウゴたちの許へ帰りたいが、そうなると加古川飛流を野放しにすることになる。

 加古川飛流とツクヨミはある約束を交わした。スウォルツを倒すまで協力すると。スウォルツを倒した後、その代償としてツクヨミは命を懸けた。故にスウォルツが倒すまでツクヨミは飛流から離れることが出来ない。もし、離れたら飛流の復讐の牙はスウォルツだけでなくソウゴにも向けられる。

 飛流の復讐心を上手くコントロールしてスウォルツを倒す。それが今のツクヨミの使命。

 ツクヨミは取り戻した能力がどれほどのものか確かめる為に空に手を翳す。そこから放たれる波動は、落ちて来る隕石群の時間を全て停止させた。少なくとも奪われる前ぐらいの力は取り戻せた感触がある。

 隕石群が停止したタイミングでデュークはレバーから手を離し、ビルドはホークガトリンガーのトリガーを引き、アナザーゲイツMAは斧を振るう。

 デュークのソニックアローが空目掛けて射られると、空中でレモンの形をしたエネルギー体と化す。そのレモンが弾けると中から果汁の様に光矢が隕石群を射抜く。

 

『フルバレット!』

 

 ホークガトリンガーから発射されるタカ型のエネルギー弾が、異なる軌道で飛翔しながら隕石群に体当たりし、内包したエネルギーを爆発させる。

 アナザーゲイツMAは斧を振るう度に炎と氷の塊が飛ばされ、隕石群を凍結させたり、着弾と共に炎上して隕石を砕く。

 三人のライダーたちの攻撃により落ちる筈であった隕石群は全て空中で破壊され、被害が及ぶことは無かった。

 ツクヨミは急いでアナザーゲイツMAへと近寄る。

 

「スウォルツを探しましょう」

「──ああ」

 

 ソウゴと会わせたくなかったツクヨミは、アナザーゲイツMAを連れて急いでこの場から去る。アナザーゲイツMAも特に文句を言うことは無く、去っていった。

 残されたのはアナザーディケイドVEによって呼び出された三人のダークライダー。

 すると、ゲンムは拍手を二人に送る。

 

「見事のものだ。コズミッククロニクルをクリアするとは。だが、あれはまだ初級レベル! 次は──」

「まあまあ、待ちたまえ。君のゲームに対する情熱は、研究者という立場からしても非常に理解出来る。しかし、それで遊ぶ前に色々と整理したり、落ち着いたりする必要があるだろう? 私たちは情報交換する必要がある」

 

 デュークは早口で一気に喋り切る。

 

「まずは知ることだ。我々が何者なのかを」

 

 ビルドもそれに賛成する。

 ゲンムは少し考える態度を見せたが、一理あると思ったのかドライバーからガシャットを抜く。

 

『ガッチョーン! ガッシューン』

「成程。言っていることは──」

「あっ。檀黎斗王!」

「誰だぁ! 神である私を勝手に王などにグレードダウンする奴は!」

 

 三人の目が向けられた先、そこには時間停止を解除されたソウゴの姿があった。

 

 

 ◇

 

 

 激情態ライダーとの戦闘を終えたゲイツとウォズは取り敢えずクジゴジ堂に戻り、ソウゴと合流するつもりであった。クジゴジ堂内に入ると、順一郎が慌てた様子で何か準備をしている。

 

「何かあったんですか?」

「何かあったじゃないよー! ゲイツ君! それにウォズ君も! 家族が会いに来ているなら言ってよぉ! 今からおもてなしの料理を作らないと!」

「家族……?」

「我々の……?」

 

 言っている意味が分からず、ゲイツとウォズは急いでクジゴジ堂内奥へ向かうと、テーブルを囲んで座る四人の姿。一人はソウゴだが、もう一人も見覚えがあるが、残りの二人をゲイツは全く知らない。

 

「おい! ジオウ! 誰だこいつら!?」

「しー! しー! ゲイツ! 今は話を合わせて!」

 

 大声を出すゲイツをソウゴは宥めようとする。

 

「順一郎さん! この連中は──」

「え? そこに座っているのがゲイツ君のお父さんの──」

「──葛城忍です」

「で、そっちがウォズ君のお兄さんの──」

「初めまして、戦極凌馬だ」

「最後にそっちがツクヨミちゃんの従兄弟の──」

「檀黎斗神だっ!」

 

 身内を名乗る不審人物たちにゲイツは啞然としてしまう。

 

「……ゲイツ君。お父さんと名字が違うのは複雑な事情があるからって聞いたよ。でも、深くは聞かないよ。野暮ってもんだからね。あと、ウォズ君の名字って戦極だったんだね。今日、初めて知ったよー。っていうかツクヨミちゃんの従兄弟の檀さん、どっかで見た事があるようなぁー」

 

 順一郎は吞気に言いながら、おもてなしの料理の続きをする為に台所へ向かう。

 

「……ジオウ。取り敢えず事情を説明しろ……!」

 

 声を押し殺し、一刻でも早くこの混沌とした状況を抜け出したい為に、ゲイツはソウゴへ説明を求めた。

 

 




強過ぎる能力は、書いてて加減が難しいですね。好き放題させるのは楽しいですが。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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