仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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話が先に進まないのは書きたいことが多いのが原因で……それは思い付いたシチュエーションを詰め込み過ぎたせいだから……つまり独自設定を妄想した作者のせい……はっ! 全て私のせいだ! ははははは!


アナザーディケイドVE その5

 各々が戦う相手を見定めると、合図も無く戦いが始まる。

 デュークは様子見を兼ねてソニックアローから光矢を鎧武・闇へ発射。鎧武・闇はその場から駆け出しながら銃と刀が一体となった武器──無双セイバーで光矢を撃ち落とす。

 

「おおっ」

 

 難無く光矢を撃ち落とされたのを見て、デュークは軽く驚きながら光矢の連射。鎧武・闇は走る速度を緩めることなく全ての光矢を撃ち落としながら前進する。

 デュークは攻撃をしながらも頭部に仕込んである解析装置によって鎧武・闇を分析していく。

 デューク内の戦極の目には解析されたデータが表示されていく

 

「はいはいはいはい。いいね、もっと見せてくれ!」

 

 戦いながらも鎧武・闇を観察するのは研究者としての性か。

 

「うーん? この波長は……」

 

 解析しながら鎧武・闇のデータにデュークは唸る。鎧武・闇のデータに既視感を覚えたのだ。

 どこで見たのか思い出そうとした時、接近していた鎧武・闇が無双セイバーで斬りかかってきた。

 

「はあっ!」

「おっと!」

 

 無双セイバーの刃を、ソニックアローの刃で受けたデュークであったが、伝わってくる手応えに驚く。

 

「おおおおおおお!」

 

 鎧武・闇は咆哮を上げながら無双セイバーを上下左右に振り、あらゆる角度からデュークを攻める。

 

「これは驚いた。私に迫る程の性能じゃないか」

 

 デュークは開発者本人が変身していることもあって専用にチューンアップされている。一方で鎧武・闇は前世代の戦極ドライバーに後付けでエナジーロックシードをセットしたもの。純粋な性能を比べると一段下がる。

 事実、デュークはジンバーレモンの鎧武と戦い完勝したことがあった。だが、今の鎧武・闇にはそれも難しい。

 鎧武・闇の無双セイバーを弾き上げながらデュークは一歩踏み込み、強烈な肘打ちを鎧武・闇の胴体に打ち込む。だが、後退させられたのはデュークの方であった。肘が胴に入ると鎧武・闇も踏み込み弾き飛ばしてしまう。

 

「おおっと。これは予想外だ……」

 

 以前の鎧武ならさっきの肘打ちで突き飛ばされていた筈。立場が逆転してしまっていた。

 

「うおおおおおっ!」

 

 一撃一撃に喧しい程の咆哮を上げる鎧武・闇。だが、その咆哮に比例するように鎧武・闇の攻撃は重く、鋭い。デュークですら防ぐのがやっとな程に。

 

「この剝き出し闘争心! その闘争心がここまでドライバーの性能を上げるとは! 一体何が君をここまで変えたのかな!」

 

 激しい剣戟の中でもデュークは好奇心を絶やすことなく、猛攻をしのぎながら鎧武・闇を分析しようとする。

 振り下ろされる無双セイバー。デュークはソニックアローのリム部分が受けると、その状態からソニックアローのトリガーを引いて放し、近距離から光矢を発射。

 鎧武・闇は尋常ではない反射神経で体を動かし、光矢の直撃を肩に掠らせるにまで抑え、お返しと言わんばかりに無双セイバーの銃口から弾を打ち返すと、無理な体勢で撃ったせいで鎧武・闇の弾もデュークの肩を掠めていく。

 よろめくデューク。だが、突如としてデュークの体が色が消えていき、瞬く間に透明となって周囲に同化してしまう。

 鎧武・闇は消えたデュークを探す様に無双セイバーから弾丸をばら撒くがどれも手応えが無い。

 鎧武・闇の鎧から火花が噴き出る。不可視となったデュークからの一撃によるもの。

 すぐ近くにいると判断した鎧武・闇は無双セイバーは振り回すが、デュークにかすりもしない。

 

「卑怯だとは思わないでくれよ?」

 

 鎧武・闇の動きが突然止まった。消えていたデュークの姿が浮かび上がる。デュークは鎧武・闇の脇腹にソニックアローの刃を押し当てていた。

 

「私も思う所が無いと言えば嘘になるが、さっきのは研究者として地道にチューンアップしてきた結果なんだ。──これもね」

 

 ソニックアローが変化する。押し当てている弓部分が真っ直ぐと伸び、片刃の直剣となる。デュークは変形完了と共にソニックアローを一気に振り抜く。

 刃が滑り、一際激しい火花が飛び散り、鎧武・闇は片膝を突いた。

 姿を消す光学迷彩。ソニックアローを使い手に最も適した形への変形。アイテム、武器の両方に携わる技術者だからこその特権である。

 

「さて、もうちょっと──おっと!」

 

 倒れたかと思った鎧武・闇が急に立ち上がり、無双セイバーを振るうがデュークのソニックアローがそれを防御し、逆に鎧武・闇の手から無双セイバーを弾き飛ばす。

 

「大人しくしてくれないか? じゃないと……おや?」

 

 鎧武・闇の斬られた脇腹が何か蠢いているのが見えると、そこから植物の蔦が飛び出してきた。葉も蔦も黒い植物。デュークのよく知る植物に酷似している。

 

「まさか、ヘルヘイムの!?」

 

 デュークの意識が植物に向けられ大きな隙が出来ると、鎧武・闇は失った無双セイバーの代わりにソニックアローを召喚し、デュークの鎧を斬り付けようとする。

 

「くっ!」

 

 寸前で攻撃に気付いたデュークが素早く後ろに下がる。ソニックアローの刃はデュークの鎧に僅かに触れ、鎧に浅い傷を付けた。

 鎧武・闇はソニックアローだけでなく、空いた方の手に本来の専用武器である大橙丸を召喚して装備する。くし切りされたオレンジの見た目をした刀であるが、黒いオレンジロックシードの影響で黒く変色している。

 鎧武・闇のソニックアローと大橙丸の組み合わせを見て、デュークは仮面の下で顔を顰める。

 

「余計な口出しかもしれないけど、その組み合わせは止めた方が良い。何処かの三流のようで君もつまらない男と誤解される」

 

 鎧武・闇は戦極の戯言に耳を貸す筈も無く、大橙丸とソニックアローを構えて走りだす。

 初撃は大橙丸による横振り。デュークは後方に仰け反ってそれを回避。すぐに姿勢を戻すとソニックアローで反撃する。

 上段から斬撃を鎧武・闇は大橙丸、ソニックアローを交差して受け止める。デュークはすかさず前蹴りで鎧武・闇を蹴り飛ばして距離を開けると、今度は下から上に向けて斬り上げる。

 

「おおおおおおお!」

 

 だが、今度は大橙丸一本で止められてしまう。

 

「力が増している……!」

 

 鎧武・闇の闘争心が増すごとに性能も向上していく。更に戦えば、戦う程に鎧武・闇の闘争心は掻き立てられていく。

 

「くっ……!」

 

 デュークのソニックアローが鎧武・闇の大橙丸に押し返され始める。デュークは両手で握り締め、振り抜こうとするが鎧武・闇の腕一本による大橙丸とそれでやっと拮抗出来るだけ。

 その隙にソニックアローで斬られ、デュークは怯む。鎧武・闇は追い打ちを掛けようとするが──

 

『レモンエナジースカッシュ!』

 

 デュークがゲネシスドライバーのレバーを押し込む。デュークの額中央に赤い宝石の様な装置から光が発せられるとデュークが数体出現する。

 設計者特権による立体映像が生み出すデュークの幻影。鎧武・闇はその幻影に刃の動きを鈍らせる。

 だが、すぐに鎧武・闇から黒い植物が伸び、目に映る全てのデュークに巻き付こうとする。

 一体目外れ、二体目外れ、三体目、四体目も外れ。この場にいるデュークは五体。ならば最後の一体が必然的に本物。

 黒い植物が五体目のデュークに絡み付く──が外れ。

 

「残念だったね」

『ロックオン!』

 

 本物のデュークは幻影の後方にソニックアローを構えて立っていた。幻影を生み出しと同時に光学迷彩で姿を消して幻影と入れ替わっていたのである。

 

「もう少し調べてみたいが、これ以上は私も危険だ」

 

 デュークがソニックアローのトリガーを引き絞る。するとソニックアローのリム部分が長くなり、そこから光の弦がトリガーに向けて数本伸び、結び付く。リム部分がしなり、ソニックアローの一撃が強化される。

 デュークの動きを見て、鎧武・闇は黒い植物を動かして戦極ドライバーからブラックレモンエナジーロックシードを外し、ソニックアローに填め込む。

 

『ロックオン!』

 

 枝分かれして黒い植物は鎧武・闇の手の代わりにソニックアローのトリガーを引き、更に戦極ドライバーにある小刀──カッティングブレードを一回倒す。

 

『ソイヤッ! オレンジスカッシュ!』

 

 ブラックオレンジロックシードのエネルギーが鎧武・闇の体を伝ってソニックアロー、大橙丸へ流れ込んでいく。

 この動きを不味いと思ったデュークはソニックアローのトリガーを離す。

 

『レモンエナジー!』

 

 射ち出された光矢には螺旋状の光を纏っており、それが光矢の威力を高める。

 

『レモンエナジー!』

 

 射ち出されたデュークの光矢に輪切りのオレンジとレモンの形をした黒いエネルギーが並び、それを鎧武・闇が射った黒色の光矢が通過していく。

 眩く輝く矢と暗く黒い矢という対照的な二本が、真っ向から鏃を衝突させ合う。

 一瞬の拮抗の後に回転し貫通力を高めたデュークの光矢が鎧武・闇の光矢を射抜く。

 自分の技術、研究の方が上だとほくそ笑むデュークであったが、直後に鎧武・闇が振り下ろした大橙丸から放たれる黒い斬撃がデュークの矢を真っ二つに斬り裂いた。

 

「──それは計算外だった」

 

 デュークの光矢が鎧武・闇の光矢を貫いた際に多少威力を削げられたとはいえ、色は違うが前世代のロックシードの力によって防がれるとは思ってもいなかった。少なくともデュークの計算上では大橙丸ごと貫いていた筈である。

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 鎧武・闇が叫ぶと生やしていた植物が増え、荒ぶる。

 

「一体何を埋め込められたらそんな風になるのやら」

 

 荒ぶる黒い植物は落ちていた無双セイバーを拾い上げ、鎧武・闇は変則的な三刀流となる。

 

「まるでオーバーロードだ」

 

 デュークの口調にも余裕が無くなってきた。戦いの激しさが増すと戦闘力も増す鎧武・闇とこれ以上戦うのは危険と察する。

 

「あまり使いたくは無かったのだが……」

 

 

 ◇

 

 

 両眼に宿るは無機質な殺意。ただ目の前の敵を抹殺することのみを考える戦闘マシーンと化したビルドハザードフォーム。

 その殺意を向けられ、同じビルドである忍の胸に宿ったのは恐怖ではなく悔恨であった。

 

「お前をそんな風に変えてしまったのは、私のせいだな、巧」

 

 ハザードフォームへと変身させるハザードトリガーを作ったのは忍の息子の葛城巧である。だが設計、考案したのは忍自身。

 因果応報という言葉が頭を過った瞬間、ハザードフォームは紫煙の様なオーラを拳に宿しながら突っ込んでくる。

 顔面を砕く勢いで放たれる拳。ビルドは片手では捌けないことを瞬時に判断し、両手を叩き付ける様にしてその拳を逸らす。

 しかし、ハザードフォームの攻撃が一発で終わる筈も無く、同じ箇所を狙って同じ速度、間隔の機械的な動きをした拳が繰り出される。

 拳、手刀、肘など全てを使ってそれらを紙一重で逸らし続けるビルドであったが、突然その動きが止まる。見るとハザードフォームの膝がビルドの腹を突き上げていた。

 一度でも動きが止まればハザードフォームの拳を防ぐことは出来ない。ハザードフォームはビルドの肩を掴んで逃げられない様にすると、その顔に拳を打ち込み続ける。

 親子の情愛など欠片も無い殺意のみの拳の連打。完全にビルドを殺す勢いであった。

 しかし、ビルドは苦鳴一つ洩らさず殴られながらもドライバーのボトルを交換する。そして、殴打の衝撃で意識が飛びそうになるのを堪えてハンドルを回す。

 

『ゴリラ! ダイヤモンド!』

『Are You Ready?』

 

 ビルドの前後に形成される別装甲。ハザードフォームは機械的な判断で前後のそれを攻撃と誤認し、ビルドから離れてしまう。

 前後の装甲がビルドを挟み込む。

 

『輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド! イェイ!』

 

 ゴリラとダイヤモンドの成分を含んだ茶と水色の装甲に換装したビルドは、離れたハザードフォームにすかさずゴリラの力を宿した右の巨拳を放つ。

 ハザードフォームは咄嗟に右腕でそれをガードするが、強化されていてもビルドの右拳の方が力が勝っており、ガードごと殴り抜けられてしまう。

 ガードの上から殴られたハザードフォームは飛び、背中を地面に打ち付けて尚滑っていく。

 その間にビルドはフルボトルを交換。

 

『天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェア!』

 

 ホークガトリングになったビルドは翼によって飛翔。地面にいるハザードフォームにホークガトリンガーの銃口を向ける。その時には既にハザードフォームも立ち上がっており、無機質な目でビルドを見上げていた。

 ビルドはホークガトリンガーの弾倉を回転させようとすると──

 

『MAXハザードオン!』

 

 ハザードフォームはビルドドライバーに挿し込まれているハザードトリガーのスイッチを押し、ハンドルを回す。

 

『ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン! Ready Go!』

 

 両拳のみに宿っていた紫煙の様なエネルギーがハザードフォームの全身から漂い始める。

 

『オーバーフロー! ヤベーイ!』

 

 ハザードフォームの真骨頂とも言える自己強化『オーバーフローモード』。

 強化を終えたハザードフォームは徐に拳を振り上げ、足元に向かって叩き付ける。

 一撃で舗装された地面が砕け、大小様々な破片が宙に浮かぶとハザードフォームはその破片を上空目掛けて全て蹴り飛ばす。

 高々と打ち上げられる破片。すると、ハザードフォームもまた跳び上がり、破片の一つを踏み付けたかと思えば、それを足場にして更に跳ね上がる。

 上昇する破片に追い付きながら飛んでいるビルドの高さまで移動しようとしていた。

 ビルドはホークガトリンガーでハザードフォームを狙うが、ハザードフォームの動きは素早く銃口を向けた時には既に別の破片に飛び移っている。そして、動きもただ真っ直ぐ昇だけではなく左右、斜め上下などの不規則な動きでビルドを攪乱する。

 ハザードフォームを狙うのを止め、周囲に舞う破片を全て撃ち抜いて足場を奪うやり方に切り替えようとするビルド。

 ハザードフォームが一際大きい破片を粉砕しながら跳び上がった時、ハザードフォームの姿を見失ってしまう。

 

『Ready Go!』

 

 音が聞こえたのは頭上。見上げたビルドの先にはこちらを見下ろすハザードフォームの目。

 

『ハザードフィニッシュ!』

 

 ハザードの力を込めた足から放たれるオーバーヘッドキック。脳天目掛けて振り下ろされる蹴りに対し、ビルドは咄嗟にホークガトリンガーを盾にする。

 ホークガトリンガーが蹴り砕かれ、僅かに軌道がずれた蹴りがビルドの肩に当たる。

 

「くっ」

 

 ビルドは初めて苦鳴の様な声を零すと、ハザードフォームの蹴りによって地面に叩き落された。

 急降下していくビルド。翼を羽ばたかせて落下の勢いを弱めようとする。その甲斐もあって速度は緩まるものの完全に勢いを止めることは出来ず、背中から地面に着地。落下の衝撃で地面に亀裂が入る。

 ビルドは呻き声を上げそうになるが、ハザードフォームはその余裕すら与えずビルドを踏み砕く為に落下。

 ダメージが残る体を動かしてビルドはフルボトルを換えようとする。

 落下してきたハザードフォームは、一切の容赦も無く足裏を叩きつける。落下と蹴りそのものの威力が合わさって地面に深い亀裂が生じる程の破壊が起こった。

 だが、ハザードフォームは踏み付けた地面にビルドの姿は無い。

 

『忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック! イェーイ!』

 

 コミックの黄と忍者の紫。漫画と忍び装束を合わせた装甲へ変わったビルドがハザードフォームから離れた位置に立っていた。その手には刀身に4コマの漫画が描かれた刀──4コマ忍法刀を握っている。

 ビルドとハザードフォーム。性能では完全にハザードフォームが上回っている。ここまで抵抗出来たのは、忍に調整を合わせて性能を底上げされたビルドと、忍自身が格上を相手にどうやって戦うか密かに研究をしてきた為である。

 だが、それもそろそろ限界近い。故に一つの決断をしなければならない。いざとなれば冷徹になれる忍ですら今まで躊躇していた。

 実の息子相手に本気の暴力を振るうことに。

 

「やむを得ない、か……」

 

 

 ◇

 

 

「ふむ……アナザーモンスター。いや、この雑な混ざり具合から見てアナザーキメラの方がいいか……」

 

 複数のアナザーウォッチを取り込んだ元オーラであった異形を見て、ゲンムは吞気に名前を決めようとしている。

 

「そんな、場合じゃ、ないだろっ! あんた何を考えてるんだ!」

 

 ゲンムの拘束からやっと抜け出せたグランドジオウは噛み付く様にゲンムに言うが、ゲンムには馬耳東風。

 

「そんなもの新しいゲームのアイディアに決まっているだろう」

 

 さも当然のことの様に言い切るゲンムに、グランドジオウは話が通じない相手であると痛感させられる。

 

「だったら俺とゲームをしようぜ。死神のゲームだ!」

 

 エターナルが飛び込みながらエターナルエッジをゲンムに振り下ろす。ゲンムの腕が難無くそれを受け、弾き飛ばした。

 空中で錐揉みした後に着地するエターナル。そこにゲンムが右拳を突き出すと、腕部が伸びる。

 伸びてきた拳にエターナルは纏っているローブを翻す。すると、ゲンムの拳はローブの動きに合わせて逸らされた。

 

「はっはー! 死神如きが檀黎斗神に勝てると思うかぁ! とおっ!」

 

 ゴッドマキシマムゲーマからゲンムが脱皮するように飛び出し、ゲンムは水色の剣身と橙色の斧身を持つ複合武器──ガシャコンキースラッシャーをエターナルに振るう。

 

「なら比べてみるか? おっと」

 

 ガシャコンキースラッシャーをエターナルエッジで止めるが、そのすぐ後に後ろへ飛び退く。

 主を失ったゴッドマキシマムゲーマは自立して動き、胸部の巨大な目から赤い光線を放ちエターナルを狙ったが、エターナルに動きを見抜かれて避けられてしまう。

 

「待てぇぇぇ!」

 

 エターナルを追い掛けるゲンム。そのゲンムを追うゴッドマキシマムゲーマ。

 取り残されてしまったグランドジオウは、必然的に──ゲンム命名の──アナザーキメラと戦うことになってしまう。

 

「さて、どう戦う? ジオウ」

 

 アナザーディケイドVEは変身を解いてスウォルツに戻っており、余興でも楽しむかの様な余裕を見せる。

 アナザーキメラはグランドジオウを敵と認識したのか、左右長さの違う手をゆっくりと持ち上げる。

 

『アア……アアアア……!』

 

 まるで赤子の様な声を上げるアナザーキメラ。敵であったとはいえ、こんな姿にされてしまったことに同情を覚えるが、だからといって戦わない訳にはいかない。

 叩きつけようとする両手。動きが遅いのであっさりとグランドジオウは躱してしまう。外れた両手は地面を叩き、地震の様な揺れと亀裂を生じさせる。見た目通りの力であった。

 

「はあっ!」

 

 せめて少しでも早くその姿から解放する為にグランドジオウは跳び上がり、アナザーキメラの顔面に蹴りを繰り出す。

 飛び込んだグランドジオウの足がアナザーキメラの顔に触れ、そのまま埋もれる。

 

「えっ!」

 

 足から伝わるのは液体の様な感触。見るとアナザーキメラの体は透明の液体になっていた。

 アナザーウィザードの魔法による液化。そうとは知らずにグランドジオウはそのままアナザーキメラを通過してしまう。

 

「これって……!?」

 

 グランドジオウが振り返ると液化したアナザーキメラが自分の体に触れ、そのまま吸い込まれる様にして内へ内へと縮小し、消えてしまう。

 

「何処に……!」

『アアア……!』

「なっ!」

 

 いつの間にか背後に瞬間移動していたアナザーキメラ。

 液化した体を反射物に見立て、鏡面世界を移動するアナザー龍騎の能力。

 グランドジオウはすぐさまアナザーキメラから離れる。アナザーキメラは前方に手を伸ばすと空間にチャックの様なものが現れ、チャックが開くと別空間が開く。アナザーキメラがその別空間に手を入れると、グランドジオウの真横に同じチャックが出現。中からアナザーキメラの手が飛び出してグランドジオウを掴む。

 

「うあっ!」

 

 アナザー鎧武によるクラック召喚能力。

 そのまま引っ張られ、グランドジオウはアナザーキメラの目の前に移動させられる。

 

『アアアアッ!』

 

 アナザーキメラの凹みの様な目から放たれる火球と竜巻。アナザークウガとアナザーWの持つ能力。

 火炎と竜巻によって呑み込まれるグランドジオウだったが、最硬の装甲を貫くことは出来ず、グランドジオウは両腕の力で掴んでいるアナザーキメラの手を解いた。

 

「もしかして、アナザーライダーの能力を!」

 

 一連の攻撃でアナザーキメラの能力を理解する。取り込んだアナザーライダーの力を断片的にだが使用することが出来るのだ。

 アナザーキメラが鳴き声を上げる。アナザーキメラの周囲に半透明のロケット、ランチャー、ガトリングが現れる。これはアナザーフォーゼの持つ力によるもの。

 

「不味い!」

 

 すぐさま射程から離れようとするが、その途端グランドジオウの動きが遅くなる。

 

(これは……重加速!)

 

 アナザードライブの重加速の発動により全ての動きが遅くなる。

 そんな状態で発射される各種モジュール。ロケット、ミサイル、弾丸全てが重加速の影響でゆっくりと動くが、それでもグランドジオウの動きよりは速い。

 じりじりと迫って来る弾幕にグランドジオウは為す術も無い、と思った時、光の柱が現れグランドジオウを覆うと彼を何処かに連れ去ってしまった。

 

「──何?」

 

 消えたグランドジオウ。そのグランドジオウを連れて行った光の柱にスウォルツは見覚えがある。そして、気付いた。

 

「そうか。そういうことか……!」

 

 

 ◇

 

 

 縦横無尽に振り回されるゴッドマキシマムゲーマの伸縮自在の手足。大振りのそれはエターナルにとっては避けやすいが、大振りと大振りの間を埋める様にゲンム本体が攻めてくる。

 ライダーとしてのスペックは完全にゲンムの方が上回っている。だが、変身者の実力はエターナルの方が勝っていた。傭兵として数々の戦場を渡り歩いて磨いてきた技術と直感によってゲンムたちの攻撃を紙一重で捌いていく。

 

「ふぅははははははは! 逃げてばかりかぁ!」

 

 逃げるエターナルを挑発するゲンムだが、エターナルは挑発に乗らずに冷静に対処していく。反撃の時を窺って。

 ゴッドマキシマムゲーマの両目が光線を発射。エターナルはこれを待っていた。

 

「もらった!」

 

 エターナルはローブを振るう。ローブに光線が当たると角度を変えて反射。斬りかかろうとしていたゲンムに命中する。

 

「ぬあっ!」

 

 光線の直撃を受け、ゲンムは吹っ飛ぶ。ゲンムの動きが止まるとゴッドマキシマムゲーマも同調して動きが止まった。

 

「さあ、パーティータイムだっ!」

 

 エターナルはローブを脱ぎ捨て、あるガイアメモリを起動させる。

 

『ゾーン!』

 

 そして、それをドライバー側面にあるスロットに挿す。

 

『ゾーン! マキシマムドライブ!』

 

 ゾーンメモリの物体移動能力が発動し、エターナルの周囲に二十四本のガイアメモリが出現。エターナルの手足や腕に巻き付けられたコンバットベルトのスロットに挿し込まれる。

 AからZの頭文字を持つ二十六のガイアメモリを同時に起動させることで生み出されるエネルギーは相乗効果によって膨大なものとなり、エターナルを包み込む緑のオーラとなって視覚化する。

 

「むっ!」

 

 ゲンムもエターナルが発する緑のオーラに危険なものを感じ取ったのか笑うのを止める。

 エターナルはエターナルエッジのスロットにエターナルメモリを挿す。

 

『エターナル! マキシマムドライブ!』

 

 緑のオーラが収束し、巨大な光球を形作る。

 

「終わりだぁ!」

 

 エターナルエッジを振るうことで放たれる光球。ゲンムはゴッドマキシマムゲーマの許へ走り出し、ある程度近く付くと飛び込んだ。

 そのすぐ後に起こる巨大な爆発。二十六のガイアメモリから生み出される圧倒的な破壊の力をゲンムはその身に浴びせられた。

 

「はっ──うん?」

 

 自ら勝利を確信して笑うエターナルであったが、その笑いも怪訝な声に覆い被される。

 

「ふふふふ、はははははは! ふあははははははははは!」

 

 爆発の中から聞こえる品の無い声。爆発が消え去った後は金色の光を放つゲンムの姿。

 

「残念だったが無意味だぁ! 今の私は無敵! あらゆる攻撃も通用しなぁい!」

 

 かつてあるライダーを倒す為に開発したゲーム『ハイパームテキ』。その時の黎斗にとっての集大成であったが、檀黎斗神となりゴッドマキシマムゲーマーとなった彼にとってそのゲームを再現することなど容易。ただし、十秒間だけという制限を超えることが出来ないが。

 

「まるで子供の理屈だな」

 

 輝くゲンムを見て呆れた様子のエターナル。最強の一撃を防がれたことへの焦りは全く無い。

 彼はダークライダー。本来の歴史ならば彼は死んでいる。だが、死なないという可能性もあった。そして、その可能性から引っ張りだされた存在。その可能性には理由がある。そして、エターナルは死に向かう筈の運命を変える分岐点を自ら持つダークライダーなのである。

 

「──お前に同情するよ」

「何?」

「俺にこれを使わせたことだ!」

『ゾーン! マキシマムドライブ!』

 

 ゾーンメモリの力を完全解放。すると、スロットに収まっていたエターナルを除くメモリが消失する。同時にエターナルから緑のオーラが消えた。

 

「ああ……?」

 

 オーラを自ら解除したエターナルを不審に思うゲンムだったが──

 

「うっ! あぐああああああ!」

 

 突然ゲンムが苦しみ出す。ゲンムの体が膨張を繰り返し、変形し始める。

 

「私に、何をしたぁぁぁぁ!」

「プレゼントしてやったんだよ。俺のメモリを。お前の体内に直接な」

「何、だとぉぉぉぉ!」

 

 人とガイアメモリが一体となることでドーパントと呼ばれる怪人が誕生する。一本でも悪影響を及ぼす代物だが、それを二十五本。しかも、エターナルのガイアメモリは最新型であるT2ガイアメモリ。メモリ側が逆に人体や精神を操って支配することが出来る。

 ゲンムの体はT2ガイアメモリにより強制的にドーパントへ変えられようとしている。その間に無敵化の時間が切れ、ゲンムから輝きが消える。

 T2ガイアメモリによる強制的ドーパント化。だが、エターナルの攻撃は終わりではない。

 

「さあ、地獄を楽しみな!」

『エターナル! マキシマムドライブ!』

 

 エターナルは蒼炎の様なエネルギーを纏って跳躍。空中で回転することで蒼炎が∞のマークを描く。

 蒼炎を纏うエターナルの右足がゲンムへと叩き込まれた。

 マキシマムドライブによる一撃はメモリブレイクというガイアメモリを排出、破壊する作用を起こす。

 エターナルはこれを悪用。T2ガイアメモリが肉体、精神に強く結び付く特性を利用し、マキシマムドライブによってそれを強制排出。致死レベルのフィードバックを起こし、肉体と精神を完全に破壊する。

 

「ぐあああああああああああ!」

 

 エターナルの一撃よってゲンムは爆散。体内から飛び散るT2ガイアメモリ。通常のメモリブレイクではT2ガイアメモリは破壊されず、全てエターナルのスロットへ戻って来る。

 

「死神が神殺しなんて洒落てると思わないか?」

 

 エターナルが自ら分岐点を示した様に、デュークとビルドもまた生き残れた理由を示す。

 デュークが取り出したのは真っ赤な果物を模ったエナジーロックシード。

 ゲネシスドライバーのレモンエナジーロックシードを外しながら、取り出したエナジーロックシードを開錠する。

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

 ビルドは取り出した物のカバーを開け、その下にあるスイッチを押す。

 

『ハザードオン!』

 

 ハザードフォームのドライバーに挿されている物と同じ物がビルドのドライバーに挿される。

 そして、この男もまた分岐点を生み出したのには理由がある。

 

「──はあ?」

 

 勝った直後なのにエターナルは困惑した声を上げる。ゲンムを倒した跡に何故か紫の土管が生えているのだ。

 

「ふおっ!」

 

 その土管から飛び出してきたのは倒した筈のゲンム。

 

「やるな。まさか、私のライフを一つ奪うとは」

「ライフだと……?」

「そう。君のせいでライフを一つ失い、残りは──」

 

 ゲンムの頭上に残りのライフの数値が表示される。その数──

 

「999999999だぁぁぁ!」

「……俺より生き汚い奴は初めてだ」

 

 十億の命を持っていたゲンムに、エターナルは感心と呆れを半々に混ぜた感想を洩らした。

 

 

 ◇

 

 

『ジオウ! ゲイツ! ウォズ!』

 

 ゲイツはジクウドライバーに挿したジオウトリニティライドウォッチのボタンを回す。三人の顔が表示されるとジクウドライバーを回転。

 

『トリニティターイム!』

 

 ゲイツの左右に光の柱が現れ、その中から腕時計の様な姿となったジオウとウォズが現れる。

 右肩にジオウ、左肩にウォズの顔が装甲として装着され、ゲイツの顔側面にマゼンタと緑のベルト型のパーツが付けられる。

 

『三つの力! 仮面ライダージオウ! ゲイツ! ウォズ! トーリーニーティー! トリニティ!』

 

 ゲイツの顔が胸部へと移動するとその下から新たな仮面が出現。通常のトリニティは『ライダー』の文字であるが、ゲイツを主体として変身した為か『らいだー』に変わっており、配色もジオウとゲイツが入れ替わっている。

 仮面ライダーゲイツトリニティ。空間の壁を超えて三位一体となった仮面ライダーがここに誕生する。

 

『ゲイツ! 無事だったんだね!』

「ああ」

『流石は我が魔王の臣。同じ臣として素直に賞賛させてもらおう』

「いつから俺がジオウの配下になった!?」

 

 ゲイツトリニティの姿をゴッドマキシマムゲーマーへと変身したゲンムがじっと眺めている。黎斗2Pと同じくこちらも色が本物よりも薄い。

 

「顔が多過ぎる……いや、待て。逆にこれぐらい分かり易い主張の方が子供受けがいいかもしれない……」

 

 容姿に対し感想を述べた後ブツブツと呟いて独りの世界に入っていくゲンム2P。

 

『檀黎斗神だよね? 何か薄くない……?』

「理由は後で説明してやる」

『……何でもありだね、彼は』

 

 いつの間にかアナザーワールドに居るゲンム2Pに戸惑い気味な様子のジオウとウォズ。ゲンム2Pにこれ以上時間を割くことを勿体無いと感じてゲイツは説明を後回しにする。

 

『──まあいいや。じゃあ、早速このアナザーワールドを……』

『待つんだ。我が魔王。──どうやらスウォルツも勘付いたみたいだ』

「何だと?」

 

 静止した風景が張り付けられたアナザーワールド内でその音声は良く響いた。

 

『ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オンステージ!』

『ウェイクアップ! ゴートゥーヘル! ゴートゥーヘル!』

 

 地が裂けて巨大な樹木が降誕し、天からは禍々しい翼を広げた巨体の悪魔がゲイツトリニティとゲンム2Pを強襲する。

 




前書きにも書いた様に今回は独自設定が結構あります。こういうのが見たいなー、やりたいなーという欲望を文章にしてみました。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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