アナザースペクター「お前の
「お前を倒す為にここに留まっている」
アナザーバースの件でクジゴジ堂を離れたゲイツは、アナザーバロンの後にさっきの言葉と共にクジゴジ堂へ戻ってきた。
ソウゴにとっては喜ばしいことだが、今までに増して露骨に戦いを挑む様になってきたのは少し悩む所である。尤も、就寝時は襲うことなく起床と共に襲い掛かり、食事の時間となれば一度中断するという律義さはあるが。
家に居れば何時までもゲイツが戦いを挑んでくると思い、ゲイツの目を盗んでソウゴは外出する。
特に行く宛もなく辿り着いた場所は、高架下の広場。オブジェやベンチが置いてあり、遊具などは無いが、マウンテンバイク用のコースが設けられていた。
ソウゴの目の前をマウンテンバイクが走っていく。その先には子連れの親子が居り、マウンテンバイクがすぐ近くを通り過ぎていくと、母親は迷惑そうな表面と共に子供を引き寄せていた。
「うあっ!」
マウンテンバイクに乗っていた青年が、後ろから何かに引っ張られてマウンテンバイクから引き摺り落とされる。
土で衣服を汚しながら、青年が立ち上がると目の前に怪人が俯きながら立っていた。
否、立っているというには不思議な程その怪人は脱力し切っており、まるで浮いている様にも見えた。
全身に黒いコートを纏い、頭部もフードを被っている。
青年が怪人を見たのに合わせ、怪人も顔を上げる。
額からは波打つ二本の角。深い皺が刻まれた青い顔は、人の顔に青い皮を被せ、それを引っ張ったかの様な表情をしている。吊り上がった黒い半透明のバイザー。そこから薄らと瞳の無い白眼が見える。
口は耳まで裂けているが、開かない様にしているのか糸でジグザグに縫われている。
胸の中心には大きな目が縫い込まれており、その下には中央に目があるベルトらしきものが巻かれていた。
頭、胸、腰、合計四つの目が青年を睨む。
「誰も、傷付けさせない……!」
怨念の様な声と共に、怪人は両腕を広げる。すると、青年の体が一瞬跳ねる様な動きをした後、倒れ込んでしまう。
「うああああああああ!」
人が倒れたことと怪人の出現に周囲から悲鳴が上がる。
悲鳴が聞こえ、ソウゴが騒ぎの方に目を向けた。『SPECTER』『2015』と描かれた背中、そして異形の怪人。答えは一つしかない。
「アナザーライダー!」
ソウゴは駆け出しながら、ジクウドライバーとジオウライドウォッチを取り出す。
「変身!」
『ライダーターイム!』
走りながら変身までのプロセスを終わらせ、アナザーライダーの前に立つまでに変身を完了させる。
『仮面ライダージオウ!』
『ジカンギレード! ケン!』
すぐさま剣モードのジカンギレードを出現させ、構える。
ジオウの姿を見つけると、アナザーライダー──アナザースペクターはゆっくりとフードを捲る。
フードで隠れていたが、青い面には境目があり、頭部の部分はどす黒い皮膚をしており、青いはそれに縫い付けられていた。
ジオウを敵と認識したのか、アナザースペクターは笑う様に口を開く。ミシミシという音と共に縫い付けられた口が開き、歯牙が隙間を埋める様に並ぶ口内を見せる。
不気味で威嚇染みた行為だが、ジオウは恐れる事なくアナザースペクターに斬りかかる。
「てやっ!」
そこにアナザースペクターは居なかった。
「へ? え?」
周囲を探す。すると後方にアナザースペクターが立っている。
「はあ!」
再び斬りかかる。しかし、アナザースペクターは音も無く姿を消す。
慌てて探すジオウ。すると前方に姿を現す。
「何だコイツ……まるで幽霊みたいだ……」
この時になってジオウは相手の得体の知れ無さに不気味さを覚えた。
アナザースペクターは、構えることなく脱力した体勢のままジオウを挑発する様に棒立つ。
「なら!」
『ジュウ!』
ジカンギレードの刃を手元に向けて倒し銃モードに変え、銃口をアナザースペクターに向ける。
引き金を引こうとした瞬間、見えない何かに顔の中心を殴られる。
「いった!」
仮面越しに鼻を押さえるジオウ。目の前で火花が散る。
「何が──」
次に顔を上げたときには、アナザースペクターの姿は消えており、今度は出る気配は無かった。
◇
アナザースペクターを逃した後、ソウゴは不可思議現象研究所と名乗る面々に勘違いをされて捕まった。
そこで、ソウゴはアナザースペクターが三年前から一般人を襲っていること知り、それを依頼したミカという女性に会う。
彼女は自分の兄を探しており、警察官の兄が三年前ある事故に巻き込まれた後に姿を消し、代わりに怪人が現れた現場を見ていた。
兄と怪人、何か関係があると思い、アナザースペクターを追っていたのである。
そして、ソウゴは不可思議研究所で新たな事実を聞かされる。アナザースペクターを守る仮面ライダーが存在している。
ソウゴの中で仮面ライダーは自分とゲイツしか居ない。全く記憶に無い仮面ライダーの存在は、ソウゴを驚かせるには十分であった。
そこでツクヨミからの連絡が入る。ゲイツと共にアナザースペクターを見つけたのだ。
この情報によりソウゴとアナザースペクターが深く関わっている可能性が薄れる。
誤解していたのか考え始める面々。
誤解が薄まってきたのが分かり、ソウゴは手伝いたいと自ら進言する。
すると、不可思議現象研究所メンバー内でリーダーと思わしき青年が、信じることに決め、ソウゴはいつもの様に自己紹介をする。
「俺は常盤ソウゴ。王様になりたい男だ」
別の誤解が生まれた。
◇
とある薬品工場内でアナザースペクターと仮面ライダーゲイツの戦闘が行われていた。
技術や経験がゲイツの方が圧倒的に上回っており、一方的に追い詰めていく。
『フィニッシュタァァイム!』
『ゴースト!』
見た目から正体を大凡察し、ジカンザックスにゴーストライドウォッチを填めて斬りかかろうとする。
そのとき、アナザースペクターは胸前で指を組む。
振り下ろされる筈のジカンザックスが途中で動きを止める。
「何っ!」
腕を何かに掴まれている様な感触。だが、見えない。
「なら!」
片手でライドウォッチを起動。
『ドライブ!』
ジクウドライバーに装填し、ライダーアーマーを呼び寄せる。
『アーマーターイム!』
『ドライブ! ドライブ!』
ゲイツの背後に現れたドライブアーマーは、ゲイツの頭上を跳び越えて、アナザースペクターの頭部を蹴り付けると、空中で分解され、そのままゲイツに装着される。
「ふん!」
アーマーを纏うと同時に、ドライブの力によってゲイツの動きは加速する。
アナザースペクターが顔を上げたときには、目の前に無数の残像を残しながら動き回るゲイツの姿。どれが本物か分からない。
「後ろだ!」
背後からの声。振り返ったときにはもう遅い。ジカンザックスの刃は既にアナザースペクターの胴体に押し当てられている。
『ザックリカッティング!』
仮面ライダーゴーストの力を宿した一撃がアナザースペクターに炸裂した。
◇
アナザースペクターを戦闘不能状態に追い込んだゲイツ。しかし、そこに現れたウールから衝撃の事実を知る。
アナザースペクターの変身者、ミカの兄マキムラは姿を消したときの事故で既に死んでおり、アナザーライダーの力で辛うじて生を繫ぎ止めている状態だったのだ。
アナザースペクターを倒せばマキムラは死ぬ。
重い真実だけの残し、ウールはアナザーウォッチを再起動させて去る。アナザースペクターも同じくその場を去っていった。
例えそれが現実であってもゲイツはアナザーライダーを見逃す訳にはいかず、後を追う。
そこで彼は新たなライダーと出会う。
「何者だ?」
「通りすがりの仮面ライダーだ」
金を主とした外装。頭部には鍬形の顎の様な一対の角。赤い目。そして、腹部には無数の
ゲイツはその仮面ライダーに見覚えがあったが、言及する暇も無く金色の仮面ライダーはゲイツに戦いを仕掛ける。
素早い片手の連打が、ゲイツの顔面、胸部、腹部に刺さる。
「ぐあっ!」
怯みながらも反撃を繰り出すが、大振りのそれは軽々と見切られ、膝が脇腹を穿ち、縦拳がゲイツの胸元を強打する。
「うあああ!」
数メートルほど飛ばされた後にゲイツはすぐに立ち上がる。そして、纏っているドライブアーマーの性能を発揮させ、金色の仮面ライダーに高速戦闘を仕掛ける。
姿を捉えられない程の速度で四方から攻撃するゲイツ。しかし、どれもこれも紙一重で回避されてしまう。
「ならば!」
ゲイツは両腕に装備しているサポートメカ、シフトスピードスピードを発射した。赤い軌跡を描きながら金色の仮面ライダーに体当たりしていく。
「ほう?」
それでも二台のサポートメカの攻撃も避けるが、動きは制限されていく。
「そこだ!」
加速したゲイツが拳を突き出す。それを金色の仮面ライダーは紙一重で避ける──ことが出来ず、肩にゲイツの拳が掠っていった。
「中々やるな。なら──」
ドライバーの左右を引き、中央を九十度回転させる。
「少し本気で行くか」
金色の仮面ライダーは、その手に一枚のカードを持っていた。
ドライバーにそのカードを挿し込み、ドライバーの左右を押し込む再び九十度回転させる。
『アタックライド・イリュージョン』
金色の仮面ライダーから抜け出る様に、左右に同じ姿の仮面ライダーが一体ずつ現れる。
驚愕させる暇も与えず、左右のライダーもまたカードを取り出し、それをバックルに挿し込む。
『フォームライド・アギトフレイム』
『フォームライド・アギトストーム』
左右のライダーの姿が変わる。
一体は金から赤を主体とした色に変わり、右肩には鋭角な肩装甲が追加され、その手に片刃の長剣を握る。
もう一体は青を主体とした色であり、左肩に丸みのある肩装甲。その手には両端に薙刀状の刃が付いた杖を持つ。
「馬鹿な……」
今までの常識には無かった事態に、ゲイツはその言葉を洩らすしか出来なかった。
しかし、主の動揺とは他所にサポートメカのシフトスピードスピードたちは、異常な事態など気にすることなく突進を繰り出す。
「ふん!」
それは一瞬のことであった。赤のライダーが刃を二度振るっただけで、高速で動いていたシフトスピードスピードが斬り落とされる。
「はあ!」
続けて青いライダーが杖を振り回す。すると旋風が巻き起こり、ゲイツを渦巻く風の中に閉じ込める。
加速して脱出しようとするも空気の壁が分厚く、思い通りに動くことが出来ず、ゲイツを阻む。
「センスはあるが──俺には及ばない」
金色の仮面ライダーがカードを取り出し、バックルに挿し込む。
『ファイナルアタックライド・ア、ア、ア、アギト!』
「はあああ……」
左右に大きく手を開き、ゆっくりと、それでいて無駄の無い動きで構える。頭部の角が展開し、一対から三対へと変わる。
足元に金色の仮面ライダーを模した紋章が浮かび上がり、両足に吸い込まれる様にして消えていく。
金色の仮面ライダーが跳び上がると同時に、左右のライダーたちも跳ぶ。
三人のライダーは、空中で重なり合い一体と化す。右肩に赤の、左肩に青の名残を残し
風によって身動きがとれないゲイツに両足に込めた力を蹴りに載せて打ち込む。
「ぐあああああああ!」
衝撃とダメージで変身が強制的に解除されるゲイツ。
金色の仮面ライダーは、一仕事終えたかの様に手を払いながらゲイツたちに背を向ける。
「また会おう」
◇
謎の仮面ライダーによって負傷したゲイツ。それを不可思議現象研究所の天空寺タケルによって助けられる。
アナザースペクターを助けたライダー、未来の知識があるゲイツはその正体を仮面ライダーアギトであると知っていた。しかし、その仮面ライダーが何故アナザースペクターを助けたのかが謎であった。
その謎が解ける前に一つの謎が解ける。アナザースペクターの行動理由である。
未来の情報があるツクヨミによって、アナザースペクターは事故が起きる現場に現れ、その原因を事前に潰していたことが明らかとなった。
次なる事故現場を予想し、そこに向かうソウゴたち。
ソウゴたちの予測通り、そこではアナザースペクターが暴れていた。
二対一で戦うジオウたち。その戦いの中で、ジオウはゲイツからゴーストライドウォッチを手渡される。
『アーマーターイム!』
『カイガン! ゴースト!』
仮面ライダーゴーストの力をその身に宿すジオウ。同じくウィザードアーマーを纏ったゲイツがアナザースペクターと戦いを繰り広げる。
ゴーストの力を宿したことでジオウには分かった。アナザースペクターの体から半透明の第三の手が伸びていることに。最初の戦いのとき、ゲイツとの戦いのときに感じた正体不明の攻撃がこれである。
しかし、不可思議なことも分かってしまえば恐れることでは無い。第三の腕の攻撃を防ぎながら、ジオウとゲイツはアナザースペクターを追い詰め、追い詰め──それ以上何かをすることは出来なかった。
アナザースペクターを倒せば中の人間は死ぬ。その事実は彼らに止めを打たせることを躊躇わせる。
そこに再び乱入してくるのは金色の仮面ライダー──仮面ライダーアギト。
二人に拳を打ち込み、アナザースペクターから離れさせる。
「仮面ライダーアギト……!」
リベンジに燃えるゲイツの声。それをアギトは鼻で笑う。
『アタックライド・イリュージョン』
ジオウたちの前で二体に分身するアギト。
「増えたっ!」
「驚くにはまだ早い」
「折角だ。和洋といくか」
二体のアギトに握られるカード。同じ動き、同じタイミングでバックルに挿し込まれる。
『カメンライド・響鬼』
『カメンライド・キバ』
鬼を模した仮面ライダー。蝙蝠、あるいは吸血鬼を模した仮面ライダーへと姿を変える。
「別のライダーになった!」
「お前が魔王って奴か。──ちょっと遊ぼうか」
未来の魔王は、この日破壊者と出会う。
アナザースペクター回だけど、どこぞの破壊者のせいで影が薄いことに。
でも書いてて色々と便利な能力が多いんですよねー。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ