仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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新年最初の投稿となります。
書いている内にあれこれと入れたせいで話が長くなってしまいましたが、取り敢えず戦いが一つ終わりました。


アナザーディケイドVE その17

 ディケイドCFとディケイド激情態は睨み合ったまま互いに武器の切っ先を相手に突き付ける。ディケイドCFはライドブッカー、ディケイド激情態はキバーラサーベル。

 相手の出方を窺う両者。道を違えど同一人物である故に相手がどう攻めて来るのかが容易にイメージが出来る。二人の頭の中では数多く戦いが繰り広げられており、その中で自分が勝つ道筋を模索していた。

 時間にすれば五分程の膠着状態。しかし、彼らの脳は数十時間は戦った様な疲労状態にある。それ程までに勝ち筋が見つからない相手であった。

 やがて、勝つ為の道筋が見えたのか合図も切っ掛けも無く二人のディケイドは同時に拳を振るう。

 上段から振り下ろされるキバーラサーベルを、ディケイドCFはライドブッカーを横薙ぎに払うことで弾く。ディケイド激情態が一歩後退するのに対しディケイドCFは一本踏み込んで突きを繰り出した。

 その瞬間ディケイド激情態は跳び上がり、ディケイドCFの突きは足元を通過。降りてくるディケイド激情態を待ち構えるディケイドCFだが、跳び上がったディケイド激情態が降りて来ない。

 ディケイド激情態は空中で滞空しており、そこから急降下して斬撃を放つ。

 速度によって威力を得たキバーラサーベルの一撃は、防いだディケイドCFを数歩後退させる程。

 ディケイド激情態は一撃を与えると再び空に上がる。キバーラサーベルの効果か、ディケイド激情態は翼が無くとも飛翔が出来ていた。

 

「だったら!」

 

 ケータッチに触れると電子音声が読み上げる。

 

『電王!』

 

 もう一度ケータッチに触れることでディケイドCFの隣にライダーが実体化する。

 

『カメンライド・ライナー』

 

 白、赤、黒、金の配色が施され、肩以外に目立った装甲を付けていないシンプルな見た目。頭部には顔の半分を覆う赤色の目に追加される紫、水色、金の飾り。頭頂部にはパンタグラフ型のアンテナが付いている。

 これといった特徴の無い姿の電王ライナーフォーム。だが、真に目を引くのはライナーフォームが持っている大型剣の方である。

 両刃の刀身の下には円陣を組む電王の各フォームの仮面。かなり大型であり剣と盾が一体と化した見た目をしていた。

 デンカメンソードという名前通りの見た目をした大型剣を持つ電王ライナーフォーム。本体と合わせて五つの仮面が並ぶのは中々インパクトがある。

 

『ファイナルアタックライド・デ、デ、デ、電王!』

 

 ディケイドCFがドライバーにカードを装填すると、周囲一帯を囲む様に光のレールが出現する。

 

「ちっ」

 

 飛翔していたディケイド激情態も光のレールの中に捕らえられ、小さく舌打ちをした。

 ディケイドCFと電王ライナーフォームがレールの上に乗ると、その上を滑走する。すると、レールの先端がディケイド激情態の後を追って伸び始めた。

 ディケイド激情態は飛行速度を上げて突き放そうとするが、レールが伸びる速さもその上を走るディケイドCFたちの速度もそれを上回っており、どんどん距離を詰めていく。

 

「……仕方ないか」

 

 ディケイド激情態はやむを得ないという様子でカードを出し、それをドライバーに装填。

 

『アタックライド──』

 

 一方でディケイド激情態を追うディケイドCFたちだったが、足元から聞き慣れたエンジン音が響いてきた。視線を下に向けるとディケイドCFにとっても愛車であるマシンディケイダーが無人で走行してくるのが見えた。

 

『デンライナー・ゴウカ』

「……何だと?」

 

 ディケイド激情態のドライバーが読み上げた音声に、ディケイドCFは思わず聞き返してしまう。すると、地面を走行していたマシンディケイダーが光に包まれ、その中で変形し出すとデンライナー・ゴウカへと変形し警笛を鳴らしながらレールを形成して空へ駆け上って来る。

 

「──我ながら無茶苦茶だな」

 

 バイクが四両編成の電車になるという変形前よりも明らかに大きくなっている事態に驚きを通り越して呆れてしまう。

 デンライナーはディケイドCFたちと並走する形となり、各車両が武装を展開。先頭車両はキャノン砲を、二車両目は犬の頭部型のミサイル砲、三車両目は猿型の爆弾投擲機、四車両目は鳥型のミサイル。それらの兵器の照準のディケイドCFらに定められ、一斉発射される。

 

 

「ちっ」

 

 今度はディケイドCFが舌打ちをすると、走っているレールの形を変化。レールを蛇行させ或いは山型、螺旋状にしてミサイルや砲弾、爆弾を躱していく。

 ディケイド激情態は攻撃を躱すディケイドCFを見ながら更なるカードをドライバーに読み込ませる。

 

『アタックライド・デンライナー・イスルギ』

『アタックライド・デンライナー・レッコウ』

『アタックライド・デンライナー・イカヅチ』

 

 デンライナー・ゴウカから光が飛び出すと、それらは新たに造られていくレールを走る電車へと変わる。

 青い車両のイスルギ。兜の様な形をした黄色の車両のレッコウ。龍の頭部を模した紫の車両イカヅチ。

 三本のレールはデンライナー・ゴウカが走るレールと合流。各デンライナーが連結して八両編成となるとイスルギ、イカヅチ、レッコウの武装も解放。

 先頭車両であるイカヅチは先端部分が持ち上がり龍の首と化し、二車両目のレッコウは折り畳まれていた角が立ち上がり大きな刃となり車体からは斧を持つサブアームが展開し、三車両目のイスルギは上部が変形して亀を彷彿とさせる形となる。

 全ての武装を展開したデンライナー。それがディケイドCFと電王ライナーフォームに牙を剝くのは皮肉に思えた。

 

「仕方ない!」

 

 ディケイドCFは意を決しレールの向かう先を変える。彼らが向かう先にはデンライナー。

 デンライナー・イカヅチの龍頭に全ての車両のエネルギーが集中し、開かれた龍の口に高密度のエネルギーの輝きが宿る。

 このまま発射されればディケイドCFは跡形も無く消し飛ばされる。

 

「させるかっ!」

 

 ディケイドCFたちはレールの上を急加速。すると、彼らの体がデンライナー型のエネルギーによって覆われる。

 ディケイドCFがライドブッカーを構える。先頭を走る電王ライナーフォームがその動きに合わせてデンカメンソードを振り上げる。

 繋がるディケイドCFのレールとデンライナーのレーティング。このまま行けば正面衝突するかと思いきや、ディケイドCFたちのレールが進路を変え、デンライナーの側面を移動するレールを形成する。

 デンライナーが兵装を発射するよりも早く側面に移動したディケイドCFたち。デンライナーの兵装がすぐさまそちらに向けられるが、ディケイドCFたちの動きの方が速かった。

 電王ライナーフォームがデンカメンソードからデンライナー側面に刃を突き立てる。同じくディケイドCFもライドブッカーをデンライナーの車体に刺し込んでいた。刃から伸びる赤い光刃とマゼンタの光刃が反対側まで突き抜け、その状態でレールを疾走し先端から最後尾まで一気に斬り抜けて行く。

 車体を斬り裂かれたデンライナーが輝き、元のマシンディケイダーに戻る。マシンディケイダーは真っ二つにされた状態で落ちていき、地面に触れる前に爆散する。

 その光景を何処か物悲し気に見下ろすディケイドCF。ディケイド激情態の持ち物であっても同じ愛車を破壊することに感じるものがあった。

 しかし、ディケイドCFとは違い当の本人にはそんな哀愁など無い。それを示すかの様に攻撃し終えたディケイドCFを強襲し、その肩にキバーラサーベルを叩き込む。

 役目を終えた電王ライナーフォームが消え、足元にあったレールも消滅し、ディケイド激情態はキバーラサーベルを打ち込んだままディケイドCFごと地面に降下。

 

「油断したな!」

「──いや! 予想通りだっ!」

 

 ディケイドCFは肩にキバーラサーベルを喰い込ませたままケータッチの画面を押す。

 

『キバ! カメンライド・エンペラー』

 

 黄金に輝く鎧。燃える様な真紅のマントに蝙蝠型の複眼。仮面ライダーキバの真の姿であるエンペラーフォームが呼び出されるとディケイド激情態の顔面を蹴り、ディケイドCFから離す。

 

「くっ!」

 

 まともに攻撃を受けてしまったディケイド激情態は、キバーラサーベルの力で何とか体勢を整えようとするが、こちらに向かって急降下してくるディケイドCFとキバエンペラーフォームの姿を見て咄嗟にキバーラサーベルを翳す。

 

『ファイナルアタックライド・キ、キ、キ、キバ!』

 

 キバーラサーベルの側面に撃ち込まれるディケイドCFとキバエンペラーフォームの両足によるキック。二人分の蹴りを辛うじて防いだディケイド激情態であったが、キバエンペラーフォームの両足が纏う蝙蝠の翼型の赤いエネルギーが、鋭い翼を何度も叩き付けることでキバーラサーベルをへし折ってしまう。

 

「何っ!?」

 

 がら空きになった胴体にディケイドCFとキバエンペラーフォームのキックが命中。空中で蹴り飛ばされ、背中から地面に激突。ディケイド激情態が落下した地面にはその衝撃によってディケイドとキバの紋章が作られていた。

 少し遅れて地面に降り立つディケイドCFたち。役目を終えたキバエンペラーフォームは光に還る。

 仰向けの体勢のまま動かないディケイド激情態。出来ればこのまま動かずにいれば、ディケイドCFもソウゴたちの助勢に向かえるが──

 

「何故だ……」

 

 ──ポツリと呟きながらディケイド激情態が上半身を起こす。事はディケイドCFの望んだ通りに進まない。

 

「何故お前は破壊出来ない? お前は俺だ。なのに俺とどうしてこうも違う」

 

 同じ破壊者の役目を与えられた存在。しかし、明らかに自分と違う存在と化していることに疑問が尽きない。

 

「……同じ様に見えても俺とお前は全く違う。ただそれだけだ」

 

 最早正すことも出来ない存在となったディケイド激情態に突き放す様に言う。

 ディケイド激情態は無言で立ち上がり、素早い動作でカードをドライバーに投げ入れる。

 

『ファイナルフォームライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』

 

 突然のファイナルフォームライドにディケイドCFは身構えるがディケイドCFの体に一切の変化は起こらない。ディケイド激情態にとって想定内のことらしく驚いた様子も無くドライバーからカードを飛び出させ、掴む。

 

「分かっていたが効果無しか……その姿のせいか? それとも纏っているそいつらの御陰か? ……気に入らないな」

 

 もう使えないと判断してファイナルフォームライドのカードを握り潰す。何処までも抗うディケイドCFに虚無感から来る破壊ではなく憎悪による破壊衝動が湧いてくる。

 ディケイド激情態の脳裏に数枚のカードが浮かぶ。出来ることならば使用などしたくなかった。それを使用すればディケイド激情態の勝利は揺るぎないものとなるだろう。だが、同時に尊厳を自ら傷付けることとなる。破壊者である自分がここまで必死にならないと勝てないと認める様なものだからだ。

 しかし、憎悪の破壊に燃えるディケイド激情態はその禁断に手を出す。

 

『アタックライド・イリュージョン』

 

 ディケイド激情態がイリュージョンのカードを使用し、分身を五人生み出して計六人となる。

 ディケイド激情態が何を仕掛けて来るのか警戒するディケイドCF。

 

『アタックライド・インビジブル』

 

 更にインビジブルの効果によりディケイド激情態が視界から消える。

 

『アタックライド・クロックアップ』

 

 そして、そこに加えられるカブトの能力。これにより不可視のディケイド激情態六人による高速攻撃を捌かなければならない。

 ディケイドCFは仮面の下で顔を顰める。似た組み合わせをしたことがある立場からすればどれ程厄介なものか理解出来てしまった。

 ここで攻めてくると集中するディケイドCFであったが、ディケイド激情態はそこから更に一枚加えた。

 

『アタックライド・ムテキ』

 

 仮面ライダーエグゼイドのゲームガシャットであるハイパームテキガシャット。その能力は文字通り無敵になること。それをアタックライドで再現したことでディケイドCFは不可視且つ無敵で高速で動き回るディケイド激情態六人を相手にしなければならない。

 

「……それは反則だろう」

 

 その事実にディケイドCFが理不尽を通り越して呆れた声を零した直後、ディケイドCFの顔が真横を向き、胴体がくの字に曲がる。

 顔を殴られ、胴体を蹴られたと認識すると同時に数え切れない程の打撃がディケイドCFを襲う。

 

「ぐわあああっ!」

 

 防御など間に合う筈も無い。間に合っても防御の隙間を的確に突いてくる。そして、ディケイド激情態の攻撃は過激さを増していく。

 

『アタックライド・ギガント』

 

 仮面ライダーG4が装備する巡航ミサイル四発を撃ち出す兵器の名。ディケイドCFは殴られながら視界を巡らせるがギガントすらも透明になっているので何処から撃たれるのか分からない。

 

『アタックライド・ストライクベント』

 

 それに気を取られている間に胸部に押し当てられる感触。何も無い空間から炎が噴き出た。

 

「ぐううっ!」

 

 恐らくは仮面ライダー龍騎のドラグクローによるもの。炎の勢いによって後退させられるディケイドCF。ようやく立ち止まった時に聞こえてくる噴射音。それがギガントの巡航ミサイルが発射された音だと即座に気付き、己の直感を信じて横へ跳ぶ。

 起こる爆発。爆風を背中に受けて地面を転がっていくディケイドCF。

 このまま戦い続ければ確実に負ける。絶体絶命の状況を切り抜ける方法、ディケイドCFには一つだけあった。

 立ち上がったディケイドCFがケータッチに指を伸ばす──頬に突き刺さる衝撃。恐らくは膝によるもの。ディケイドCFの行動を妨害するディケイド激情態の一撃により意識が一瞬だけ飛ぶ。

 仰け反るディケイドCFの後頭部に打ち込まれる別の衝撃。殺意しか感じない攻撃だが、それが気付けとなってディケイドCFの意識が戻ってくる。

 絶え間なく浴びせられる破壊を込めたディケイド激情態の攻撃。無敵化によって反撃することすら許されないそれに耐えながらディケイドCFはケータッチに触れる。

 

『カブト!』

 

 ようやく触れることが出来たケータッチ。召喚されるのは銀と赤の装甲に変わったカブトの強化形態。

 

『カメンライド・ハイパー』

 

 仮面ライダーカブトハイパーフォーム。だが、それを呼び出すと同時にディケイド激情態も仕掛けてくる。

 

『アタックライド・ドリル』

『アタックライド・ドリル』

 

 読み上げられるカードの音声は同じ。それに疑問を持つ前に穿つ様な衝撃がディケイドCFに与えられる。

 

「ぐおおおおおっ!?」

 

 高速回転する何かが装甲を一点集中で攻める。カブトハイパーフォームも同様の攻撃を受けておりディケイドCFと同じく仰け反る姿となっている。

 

(耐えたら貫かれる!)

 

 そう判断したディケイドCFは両脚を脱力させ、衝撃に身を任せて吹き飛ぶ。動きが連動しているカブトハイパーフォームも同じく吹っ飛ばされた。

 ディケイドCFは自分の装甲に目を向ける。腹部を守る黒い装甲が螺旋状に削れており、後少し判断が遅かったら間違いなく装甲を突き破って生身にまで届いていた。

 恐らく使用したのは仮面ライダーフォーゼのドリルと仮面ライダーウィザードのドリル。物質化したフォームのドリルをウィザードのドリルの魔法によって強化したものである。少し前にブレイドとウィザードの力を同時に発動させた様に似た能力を重ね合わせることで能力を爆発的に上昇させたのだ。

 

「終わりだ!」

 

 姿無きディケイド激情態の宣言。次なる声は本当に幕引きを告げるもの。

 

『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』

 

 目視することは出来ないが恐らくは六方向から逃げ道を塞ぐ様にしてカード型のエネルギーが連なっているのが想像出来た。仮にディケイドCFが同じ立場だったのならそう攻めるからだ。

 

「終わりじゃないさ!」

『ファイナルアタックライド・カ、カ、カ、カブト!』

 

 カブトハイパーフォームの胸部、手足、背部の装甲が展開し、背中から羽の様に粒子が噴射される。

 同調した動きで跳び上がるディケイドCFとカブトハイパーフォーム。その動きをディケイド激情態は鼻で笑う。前方に向かって攻撃しようとしているが、生憎そこに本体である自分は居ない。

 必死に抗おうとも分身一体を倒す為にカブトハイパーフォームを呼ぶのは割に合わない現実を嗤う──とこの時までは思っていた。

 ふと、自分の考えに疑問を抱く。本当に考えも無しに召喚したのかという疑問。ディケイドCFも愚かでは無い。ならば何故に態々カブトハイパーフォームを召喚したのか。

 同じ門矢士である為に相手の狙いを即座に理解する。

 

「しまった──!」

 

 すぐにそれを中断させなければならないが、気付くのが一歩遅かった。

 ディケイドCFは右足にマゼンタ、カブトハイパーフォームは七色の光を発光させ、空中で飛び蹴りの体勢に移ると二人の前方に光の渦が生じ──

 

 

 

「分かっていたが効果無しか……その姿のせいか? それとも纏っているそいつらの御陰か? ……気に入らないな」

 

 ディケイド激情態はイリュージョンのカードを取り出し、ドライバーに挿し込む──寸前に目の前に出現した光の渦から飛び出してきたディケイドCFとカブトハイパーフォームの蹴りが命中し、手からイリュージョンのカードを落としながら蹴り飛ばされた。

 

「がはっ!?」

 

 予想外の不意打ち。ディケイド激情態は十数メートル程飛んで行く。突然現れたディケイドCFとカブトハイパーフォームに少し驚いた態度を見せるもう一人のディケイドCFであったが──

 

「──大体分かった」

 

 ──の言葉で事情を凡そ察する。

 カブトハイパーフォームの能力であるハイパークロックアップ。クロックアップを超える高速活動だけでなく、もう一つの能力として時間軸を移動するというものがある。それによってディケイドCFたちは過去に跳び、ディケイド激情態があの四枚のカードを使用する前まで戻ったのだ。

 無事役割を果たしたカブトハイパーフォームは消滅すると、ディケイドCFはもう一人のディケイドCFに声を掛ける。

 

「同じ姿じゃ味気無い」

「そうだな」

 

 もう一人のディケイドCFはケータッチを外し、挿入しているカードを入れ替える。

 

『W、オーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド』

 

 読み上げられるのは別のライダーたちの名。

 

『ファイナルカメンライド・ディケイド!』

 

 もう一人のディケイドCFは、姿は同じでも胸部に並ぶカードが異なるディケイドCFは2ndへ再変身。

 二人のディケイドCFがディケイド激情態の前に立ち塞がる。

 

「くそっ……! 反則しやがって……!」

 

 腹を抑えながら立つディケイド激情態がディケイドCFが行った時間跳躍に毒吐く。

 

「悪いが先にやったのはお前の方だ。まあ、お互い様ってことだな」

「く、おおおおおおおお!」

 

 ディケイド激情態は叫びながらあるカードをドライバーに挿し込もうとする。

 

「ぐあっ!」

 

 ディケイドCFが撃った光弾が手首に着弾。その手からカードがひらひらと落ちていく。

 

『W! カメンライド・エクストリーム』

 

 そこへ走り込んで来るディケイドCF2nd。その隣に右が緑、左が黒、そして中央がクリスタルの様に輝く仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリームを伴って。

 

『ファイナルアタックライド・ダ、ダ、ダ、W!』

 

 左右からディケイド激情態に撃ち込まれる斬撃。多色に輝くエクストリームと剣──プリズムソードとディケイドCF2ndのライドブッカーによる斬撃が直撃して再びディケイド激情態は吹っ飛ばされる。

 

「……やはり持っていたか」

 

 ディケイドCF2ndへ追い付いたディケイドCFは地面に落ちてあるカードに視線を下ろす。そのカードには『HYPER CLOCK UP』の文字が描かれており、一歩遅ければディケイド激情態によって時間改変が行われていた。

 ディケイドCFはそのカードをライドブッカーで撃ち抜く。

 

「何処までも、邪魔を……!」

「そろそろ決着を付けよう」

 

 互いに限界が近いのは分かっている。次の攻撃が全力で行える最後の一撃。そこに全てを出し尽くす。

 

「俺は、全てを破壊する……! それだけだ! おおおおおおおおおおおお!」

 

 ディケイド激情態から飛び出す十八枚のカード。ディケイドを除くクウガからビルドまでの紋章が描かれたそれらがディケイド激情態のバックルとへ飛び込んでいく。

 最後のカードは自らの手で。ディケイドの紋章が描かれたカードを構える。二人のディケイドCFもまた同じカードを構えていた。

 そして、カードの力が解き放たれる。

 

『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』

 

 ディケイドCFの前にクウガからディケイドまでの紋章が入ったカード型のエネルギーが並び、ディケイドCF2ndの前には逆にディケイドからビルドまでの紋章が入ったカード型のエネルギーが連なる。

 一方でディケイド激情態の方は二人とは異なり、クウガから始まりビルドで終わる十九枚のカード型のエネルギーが円を作り、それが無数に並んで砲身の様な形となっていた。

 

『たああああああああ!』

 

 三人のディケイドが右足を突き出した体勢でカードの中へと飛び込み、カードのエネルギーが取り込みながら相手に向かって真っ直ぐ飛んで行く。

 全てのエネルギーを取り込んだ状態のディケイドCFたちのキックとエネルギーの砲身から加速して発射されるディケイド激情態のキックが激突する。

 莫大なエネルギーが衝突した瞬間、線の様な光が周囲に飛び散っていく。光に触れたものは問答無用で消滅し、ディケイドCFたちの周りは段々と消し飛ばされていく。

 小細工一つ無い力と力のぶつかり合い。二対一、スペックでもディケイドCFたちの方が上。だというのに徐々にディケイド激情態に押されていくのが分かる。

 底の知れないディケイド激情態の執念がディケイドCFたちの全てを上回ろうとしていた。

 

(……お前はこの強さを得る為に一体どんな旅をしてきたんだろうな)

 

 ディケイド激情態のこの強さにディケイドCFは敬意を覚えると同時に強くならざるを得なかったもう一人の自分に同情する。圧倒的な強さなのに哀しみしか感じない。

 

「壊れろぉぉぉぉぉ!」

 

 ディケイド激情態がその名の通り激情の叫びを上げると、ディケイドCFたちが押され始める。

 このままでは押し負ける。しかし、この戦いに於いてディケイドCFたちには在り、ディケイド激情態には無いものがある。

 ディケイドCFはそのカードをドライバーに入れる。

 

「力を借りるぞ! ソウゴ!」

『ファイナルアタックライド・ジ、ジ、ジ、ジオウ!』

 

『カメン』というジオウの紋章が描かれたカードがディケイドCFたちの前に出現し、二人へ取り込まれる。

 

「ジオウだと!?」

 

 ジオウの存在を知らなかったディケイド激情態は未知の二十番目のライダーの名に驚愕する。

 ジオウのカードによる両者の力は完全に拮抗。白色の輝きは極限にまで達し、やがて──

 

 

 

 

 二人の門矢士は何も無い真っ白な空間で対峙していた。

 

「……俺が破壊される日が来るとはな」

「勘違いをするな。俺はお前を破壊なんてしない」

「どういうことだ?」

「言っただろう。俺とお前の破壊は違う、と」

 

 困惑するもう一人の士に、士は呆れた様に肩を竦める。

 

「少し頭を冷やせ。そして、もう一度旅をしてこい。……今度は一人旅じゃなくて仲間を連れてな」

 

 士の提案にもう一人の士はふっ、と小さく笑う。

 

「──考えておく」

 

 その言葉を残し、もう一人の士は光となって消えていく。

 残された士は、遥か未来で戦うソウゴに最後の言葉を送る。

 

「悪いが俺がやれることはここまでだ。後はお前が切り拓け、ソウゴ」

 

 士もまた光となって消えていった。

 

 

 

 

 ディケイドとディケイドの戦いは終わった。周囲一帯は何も残っておらず、どれだけ激しい戦いであったのかを物語っている。

 最後に両者が激突した場所には巨大なクレーターが出来ており、その中心にはディケイドのライダーカードが二枚落ちていた。

 




反則組み合わせには反則技で対抗する、という感じ強引な感じの攻略方法を考えてみました。
後はどんな方法で攻略出来るでしょうね?

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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