人生には分岐点というものが存在する。だが、それは何時如何なる時に来るのか誰にも分からない。後に当時を振り返った時に初めて気付くこともある。
そもそもの話、選ばなかった選択肢を選んだIFがどのようなことになるかなど誰にも分からない。誰しもが選んだ時にそれが最善だと思っている。
故に常磐ソウゴが選んだこの選択もまた彼が最善だと思った末のもの。
それが新たな波乱を呼び寄せるなどこの時の彼には想像も付かなかっただろう。
◇
戦いは佳境を迎えていた。
壊れてしまったライドウォッチは順一郎の手によって修理され、ソウゴの中に刻まれた仮面ライダーたちの記憶によって復活する。
ツクヨミとゲイツリバイブはライドウォッチの完全復活までの時間を稼ぐ為に身を呈そうとしていた。
ソウゴは片手にビルドライドウォッチを握り締めながら別のライドウォッチを復活させようと急ぐ。
ふと、その時ソウゴは背中に悪寒を感じ、壊れたライドウォッチに手を伸ばすのを止めてアナザーディケイドVEの方を見てしまう。
手刀を構えるアナザーディケイドVE。構えるアナザーディケイドVEからは視覚化しそうな程の濃密な悪意が漂っている。
悪寒の正体は間違いなくそれであった。
ゲイツリバイブが負傷しているツクヨミに負担を掛けない為に前へ出ている。
通常ならばアナザーディケイドVEの手刀と悪意はゲイツリバイブに向けられたものと感じるだろう。しかし、この時のソウゴはアナザーディケイドVEの黒いヘドロの様な悪意がゲイツリバイブではなくツクヨミに向けられていると直感した。
アナザーディケイドVEは手刀から光刃を出し、突き出す。しかし、それはゲイツリバイブを貫く為のものではない。
突き出された先に銀色のオーロラが現れ、先端がオーロラの向こう側へ消える。
すると、もう一つのオーロラがツクヨミの背後に発生する。アナザーディケイドVEに気を取られているツクヨミはオーロラに気付かない。
アナザーディケイドVEはほくそ笑みながら光刃を突き出して遠隔からツクヨミを刺し貫こうとした。
ガキン、という弾かれる音がすぐ背後聞こえ、ツクヨミは慌てて振り返り驚く。
「えっ!」
いつの間にか現れていたオーロラ。そこから伸びている光刃。そして、それを絡み取る『ライダー』の文字。
アナザーディケイドVEは奇襲を防がれた事に驚くよりも先に怒りを覚え、叫ぶ。
「俺の邪魔をするかっ! ジオウっ!」
少し遅れて駆け付けたジオウが『ライダー』の文字に防がれているアナザーディケイドVEの光刃を素手で掴む。
『仮面ライダー! 仮面ライダー! 仮面ライダー!』
本来収まるべき『ライダー』の文字が仮面に無く、変身完了が済んでいないのでジクウドライバーが何度も何度も同じ音声を繰り返す。
「ゲイツ!」
「分かっている!」
光刃を押え込んでいるジオウが叫ぶ。何を伝え様としているかなどその一言で理解出来た。
「離せ! 離せぇぇ!」
アナザーディケイドVEは光刃を引き抜こうとするが、ジオウの必死の抵抗によって中々抜くことが出来ずにいた。
「スウォルツ!」
「ぬう! がはっ!」
ゲイツリバイブは気を取られているアナザーディケイドVEの横顔にジカンジャックローを打ち込む。
丸鋸がアナザーディケイドVEの顔面を削り取ろうと高速回転する。桁外れの装甲を持つアナザーディケイドVEは顔面部分も硬く、ジカンジャックローと拮抗して火花を巻き上げていた。
「うおおおおおおお!」
打ち込む腕に力を込めながらジカンジャックローのスイッチを連続して押す。
『のこ切斬!』
丸鋸の回転速度が何倍にもなり、あまりの摩擦に高熱が発生する。
アナザーディケイドVEは熱を感じると共に顔面が少しずつ削れ始めているのか感じた。
「くっ……!」
このまま耐えることは得策ではないと判断すると刺し込んでいた光刃を消す。
掴んでいた光刃が急に消えて前のめりになるジオウ。ついでに絡みついていた『ライダー』の文字も解放されてジオウの顔面に入り、ようやく変身が完了する。
『仮面ライダージオウ!』
ジオウがジカンギレードを構える。丁度そのタイミングでアナザーディケイドVEはゲイツリバイブから離れようとしていた。
後退しようとするアナザーディケイドVE。ゲイツリバイブは追う為にもう一歩踏み込んだ。
アナザーディケイドVEの顔面を削っていたジカンジャックローが滑る様に移動し、アナザーディケイドVEの側面部から横に伸びる角へと接触。
渾身の力でゲイツリバイブが振り抜くと角が根本から折れた。
「があっ!?」
体の一部でもある角が折られた衝撃で苦鳴を上げるアナザーディケイドVE。体を大きく横に倒してしまう。
ゲイツリバイブは追撃を与えようとジカンジャックローを振り上げた時、アナザーディケイドVEの体がバネ仕掛けの様に起き、その反動で勢いをつけた拳をゲイツリバイブの脇腹に打ち込む。
「ぐあっ!?」
今度はゲイツリバイブの方が苦鳴を上げる番であった。アナザーディケイドVEの拳は剛烈の装甲を砕き、衝撃を中まで通していたのだ。
息が詰まりゲイツリバイブの動きが一瞬止まる。その僅かな隙の間、アナザーディケイドVEの右足が閃光の如く動いていた。
砕けて脆くなった箇所に叩き込まれるアナザーディケイドVEの蹴り。脆くなっている箇所に再び打撃が重ねられることによって装甲は完全に砕かれた。
絶対的とも言えた剛烈の装甲が壊れていく音をゲイツリバイブは聞く。少し遅れて聞こえたのは自らの骨が折れる音。
「──がっ」
生々しく響く肋骨が折れていく音に体が反応し、全身の汗腺が開いて冷たい汗が噴き出していく。脇腹から発生する鮮烈な痛みによって血の気も引いていき視界が暗く、狭まっていく。
「ふぅん!」
打ち込んだ足を振り抜いたアナザーディケイドVE。硬直していたゲイツリバイブがボールの様に地面を跳ねていく。その途中で変身が解除され、硬い地面の上を生身で何度も打ち付けていく。
「ゲイツ!」
痛恨の一撃入り傍目から見ていても戦闘継続が難しい重傷。それを見たジオウはその場から走り出していた。
何かをしなければ、という衝動に駆られての行動。しかし、結果としてこの行動によりアナザーディケイドVEの意識がゲイツからジオウへと向けられ、ゲイツへの追撃が無くなる。
「そんな姿で勝てると思っているのか? 舐めるな!」
この状況に於いてジオウのみの力など侮辱に等しい。
「ふん!」
アナザーディケイドVEが手を突き出す。手から放たれる時を操る力の波動。不可視のそれはすぐに空間を満たし、力で満たされた空間内はアナザーディケイドVEの意のまま時が止められる。
ジカンギレードを構えて走っている途中でジオウの動きが強制停止された。強過ぎる反動を忌避してアナザージオウⅡウォッチを使用しなかったことをこの時になって後悔してしまう。尤も二度目の変身をしようものなら一度目以上の破壊衝動に襲われてしまっていただろうが、今のジオウが知る由も無い。
時間停止で動けなくなったジオウを嘲笑するアナザーディケイドVEであったが、すぐにその嘲笑を消すこととなる。
アナザーディケイドVE以外の力が干渉し出し、時間停止に綻びが生じる。
「ツクヨミ……!」
理由はすぐに分かった。時間停止の影響を受けている筈のツクヨミが動けない状態でも力を行使してアナザーディケイドVEの力を中和しているのだ。
彼にとっては忌々しい行為である。アナザーディケイドVEはツクヨミから時間を操る力を全て吸収した。後に一部奪い返されたがそれでもアナザーディケイドVEの方が圧倒的に上回っている──筈なのである。
だというのにツクヨミはアナザーディケイドVE以下の力で拮抗してみせた。それはツクヨミがアナザーディケイドVE以上の素質と才能を持つ証明である。
「貴方の……好きには……させない……!」
声を絞り出しながら抗うツクヨミ。彼女もまた傷を負っている身。気力で何とか戦っていたが限界も近い。今も時間操作の力を行使しているだけで意識が飛びそうになっている。
ツクヨミの状態も思わしくないことを察したジオウは、少しでも負担を減らす為にアナザーディケイドVEへ挑む。
ジカンギレードを構えてスイッチを押す。
『タイムチャージ!』
カウントダウンを始めるジカンギレード。タイミングを見計らってジカンギレードをアナザーディケイドVEへ振り下ろす
「はあっ!」
振り下ろされるジカンギレード。しかし、アナザーディケイドVEは掌で難無く受け止めてしまう。
『ゼロタイム!』
しかし、その直後にカウントダウンが終わりジカンギレードに蓄積されていたエネルギーが解放される。
『ギリギリ斬り!』
剣身がマゼンタに輝き、より鋭さを増したジカンギレードが振り抜かれる──筈であった。
「くっ!」
「言った筈だ。舐めるな、と」
ジカンギレードの刃がアナザーディケイドVEの指に挟まれた状態で動かなくなる。ジオウが押し込めても引いても微動だにしない。
刃の切れ味でも力でもアナザーディケイドVEの皮膚一枚裂くことすら出来ない。
アナザーディケイドVEは左右非対称となった顔でジオウを睨む。ゲイツによって付けられた肉体の傷。ツクヨミによって付けられたプライドへの傷。その二つがアナザーディケイドVEの中で合わさり激情と化す。更にはジオウの生半可な攻撃すらもアナザーディケイドVEの怒りの火に油を注ぐ。
グランドジオウが無いジオウなど恐れることなど無い。しかし、それでも折れずに挑んで来ようとするジオウの存在そのものが鬱陶しい。
「はあっ!」
ジカンギレードを引っ張り、引き寄せられたジオウの鳩尾にアナザーディケイドVEの膝が突き刺さった。
「うっ!」
息を詰まらせるジオウ。その拍子にジカンギレードを落としてしまう。苦しさから丸められた背に容赦無く肘を下ろし、地面に叩き伏せる。
「ぐうっ!」
足元に倒れたジオウの顔面をアナザーディケイドVEは無慈悲に蹴り上げた。
「うぐっ!」
縦回転しながら宙返りをさせられ、再び地面に落とされるジオウ。
「我が魔王!」
「ソウゴ!」
ウォズとツクヨミが悲痛な声を上げる。ツクヨミはすぐにでも駆け出したい衝動に駆られるが、アナザーディケイドVEの時間干渉を中和することが精一杯で動けない。もし、ここで力を解いてしまえばこの周囲一帯の時間が止まってしまう。
アナザーディケイドVEは倒れているジオウの背を踏み付け、じわじわと力を込めていく。
「う、うう……!」
圧迫され、苦しむ声を洩らすジオウ。
「ジ、ジオウ……!」
ゲイツが立ち上がって助けようとするが、負傷によりすぐに倒れてしまう。今の段階ではジオウよりもゲイツの傷の方が重い。それでも這ってでもジオウを助けようとゲイツは激痛を押し殺しながら藻掻く。
アナザーディケイドVEはジオウの苦しむ声を聞いて恍惚感すら覚えていた。その声が心地良くつい足に力が入る。
「ぐああ……!」
これだけ苦しめているがアナザーディケイドVEはジオウを殺す気など無い。想定したシナリオではジオウがオーマジオウに成ることが絶対である。だが、ジオウがオーマジオウになることを渋るのであればとことん追い詰めるまでのこと。
最低でも骨の一本や二本程折ることに決め、アナザーディケイドVEが足に力を込める──
『仮面ライダーウォズ! ウォズ!』
「させないよ!」
仮面ライダーへと変身したウォズがジカンデスピアで文字通り横槍を入れてくる。
顔面目掛けて突き出された穂先を容易く掴み取るアナザーディケイドVE。その行動はウォズにとっては予想通りのもの。
『フィニッシュタイム!』
穂先に緑色のエネルギーが溜まっていく。
『爆裂DEランス!』
緑のエネルギーが放たれ、アナザーディケイドVEの顔を刺突。
「ぬうっ!?」
顔面で起きた爆発によりよろめくアナザーディケイドVE。その隙にウォズが踏み付けられていたジオウを引き摺り出して救出する。
「大丈夫かい!? 我が魔王!?」
ジオウを引き摺りながらの後退。状態を確認しつつジカンデスピアを突き出してアナザーディケイドVEの動きに即座に対応出来る様にしておく。
「うん……ありがとう、ウォズ」
「どういたし──」
その瞬間、ウォズの姿が視界から消えた。ウォズの居た場所には拳を突き出しているアナザーディケイドVEが立っており、少し遅れて何かが壊れる音がする。
ジオウが音の方に目を向けると、消えたウォズが建物の壁面にめり込んでいた。
「ウォ──」
名を叫ぶ前にアナザーディケイドVEがジオウの頭部を鷲掴みにし、片手で持ち上げる。
「うあああ……!」
軋む頭蓋。その気になれば生卵の様に潰すことは可能だが、アナザーディケイドVEは敢えて握り潰す一歩手前という絶妙な力加減でジオウの頭を握り締め、彼に苦痛を継続して与える。
「このまま握り潰されたいか? それが嫌なら逃れる方法はただ一つ──オーマジオウに成るしかない」
「誰が……!」
アナザーディケイドVEの企み通りに動くことを拒否するジオウ。その返答を聞いたアナザーディケイドVEはほんの一瞬だけ指の力を増す。
「があっ!?」
頭蓋骨が罅割れる寸前の音が脳内に響き渡る。
「お前の意見など求めん。俺が成れと言ったのならお前は成るしかない」
傲慢に言い放つとジオウの頭を更に締め上げる。ジオウは圧迫される痛みに呻くしかない。
「ジ、オウ……!」
ゲイツは這いながらジオウを助けようとするがそれが精一杯。這っても這っても伸ばす手の先にいるジオウは遥か遠い。
「ソウゴ……!」
歯を食い縛りながら力を使い続けるツクヨミ。力の負荷のせいで傷が悪化していくが構うことは無かった。ただ、それだけしか出来ない自分の無力感に押し潰されそうになる。
「我が魔王……!」
磔の様に壁へ埋め込まれているウォズが何とか抜け出そうとする。アナザーディケイドVEにより腹部へ強烈な一撃を貰っているので僅かに動く度に痛みがウォズの体を蝕むが、持ち前の忠誠心でそれに耐え、体を動かし続ける。
「ぐ、ううう……!」
ジオウは頭蓋を圧迫される苦しみに耐えながらも諦めるということはしなかった。ジオウの手には唯一力を取り戻したビルドライドウォッチが握られている。
アナザーディケイドVEを倒すのには力及ばないが、それでもこの状況を変えることが出来ると信じ、アナザーディケイドVEに気付かれる前に素早くジクウドライバーのスロットに──
「気付かないと思っているのか?」
アナザーディケイドVEはその足搔きすら嘲るともう一方の手を伸ばしてジクウドライバーの空きスロットを掴む。
「ふん!」
掴む手に力が込められるとスロットが握り潰されてしまった。
「ああ……!」
火花を散らすスロット部分。完全に破壊されてしまい、ライドウォッチを挿し込むことが出来なくなった。これではライダーアーマーを召喚することが出来ない。
「くくくく。儚い希望だったな?」
ジオウの精神に確かなダメージを与えたことが分かったのでアナザーディケイドVEは上機嫌に笑う。
少ない抵抗手段を奪い、アナザーディケイドVEは執拗にジオウを痛め続ける。
「スウォ、ルツ……!」
「俺の言う通りにしていればそんなに苦しむことも無かったというのに」
アナザーディケイドVEは嘲笑し、ジオウを更に嬲ろうとし──
「がはっ!」
──突然の攻撃を顔面に受け、思わずジオウを手放してしまった。
地面に落ちるジオウ。誰かがジオウを助けてくれたのは分かったが、現状で助けてくれる人物に心当たりは無かった。
「誰だ!?」
アナザーディケイドVEは怒りのままジオウの方を見て、固まる。
ジオウも顔を上げて自分を助けてくれた人物を見て、同じ様に固まった。
「ど、どういうことだ……!?」
「これって……!?」
ジオウを助けたもの、それは──
◇
とある薄暗い建物の中で一人の青年が集中して作業を行っていた。作業台となっている机には細かな機械の部品が並んでおり、青年は工具を巧みに使ってそれらを組み立てている。
熱心に作業を続けている青年であったが、不意に手が止まった。
「今のは……」
工具を置いて虚空を見上げる青年。彼の耳には世界を超えた異なる世界で苦しむジオウの声が届いていた。
「おい! 戦兎!」
突っ込む様にしてスカジャンの青年──万丈龍我が部屋に入って来る。
「今の聞こえたか! あいつの声だったよな!」
「そう騒ぎなさんな──ちゃんと聞こえているよ。お前の馬鹿でかい声で聞こえなくなるだろ」
二人は共に虚空を見つめながら異なる時空で共に戦ったジオウの苦鳴を聞いていた。
「何とかなんねぇのかよ! 戦兎!」
「急に言われてどうにか出来る訳ないだろ。ちょっとは考えろ」
「知るかっ! 仲間がこんなに苦しんでいるのに俺たちは何も出来ねぇのかよ!」
万丈は壁に拳を打ち付け、悔しさを爆発させる。
「──もしかしたら何とかなるかもな」
「ホントかよ! どうするんだ!?」
「科学的でも無くて根拠も無いことだが──」
そう言って戦兎は声のする方に向け、拳を突き出す。
「俺もあいつも仮面ライダーだ。もし、そこに繋がりがあるのなら──」
すると、戦兎の拳が輝き、幾つもの光を生み出して何処かへ飛んで行く。
「おおお! なら俺も!」
万丈も同じく拳を突き上げる。光が生まれ、飛んで行く。
「力を貸すよ、王様。ラブ&ピースの力で頑張れよ」
遠くいる同じ仮面ライダーの仲間へ想いと共に力を託す。
◇
アナザーディケイドVEは目の前の光景から目を離すことが出来なかった。
ジオウを守る様にして立つのは間違いなくビルドアーマー。アーマーのみが独立して動いていることにも驚いたが、ジオウはビルドライドウォッチで召喚すら行っていない。そもそも、その機能は先程アナザーディケイドVEが破壊したばかりである。
ジオウが見ている前でビルドアーマーがポーズを決める。その人間くさい仕草はある人物を彷彿とさせる。
「戦兎……?」
ビルドアーマーの謎の召喚には驚かされたが、所詮はライダーアーマーを一体呼び出しただけに過ぎない。
恐れることなど何も無い。
「少し驚かされたが、そんなもの──」
『クローズ!』
「何っ!?」
空間から召喚される二体目のライダーアーマーであるクローズアーマーが召喚と同時に青い炎を拳に纏わせてアナザーディケイドVEの胸部を強打する。
「があっ!?」
またも勝手に呼び出されるライダーアーマー。だが、アナザーディケイドVEの驚きはそこで終わらない。
『スパークリング!』
赤と青に白の色が加わり、全体に鋭さのあるパーツが追加されたビルドアーマーが新たに召喚。
ラビットタンクフォームの強化系であるラビットタンクスパークリングフォームは、空中から飛び蹴りをアナザーディケイドVEに繰り出す。その際に無数の泡が発生し、アナザーディケイドVEに蹴りが命中すると一斉に弾けて衝撃を生み出す。
「ぐはっ!?」
立て続けの攻撃によりアナザーディケイドVEも転倒させられてしまう。
クローズアーマーがジオウの隣に立ち、ファイティングポーズをとる。
「龍我も……!」
ジクウドライバーでもライドウォッチも使用していない。ラビットタンクスパークリングフォームなどライドウォッチすら持っていない。なのに、まるでジオウを助ける為に駆け付けてきてくれた。否、そうとしか思えなかった。
ジオウの窮地に駆け付けてくれたのは彼らだけではない。
『アクセル!』
唸るエンジン音。疾走する一台のバイク。ジオウに急接近してきたそれはバイクから人型へと変形する。
「照井刑事っ!」
仮面ライダーアクセルこと照井竜の力もまた世界を超えてここに現れる。
『アクア!』
水色の半透明の装甲。水飛沫と共に参上するのは未来のライダーである仮面ライダーアクアのアクアアーマー。
『ポセイドン!』
青、水色、赤の三色に分かれサメ、クジラ、オオカミウオをモチーフにした装甲。かつては敵として戦い、後に和解を成した仮面ライダーポセイドンのポセイドンアーマー。
『ダークドライブ!』
黒一色の装甲にタイヤを襷掛けしたドライブに酷似したアーマー。仮面ライダーダークドライブを元にしたダークドライブアーマー。
「ミハル……! 英志……!」
ジオウの危機に時間を超えて戦友の力が贈られる。
「馬鹿な……! 何が起こっているというのだ……!?」
ライドウォッチも無しに次々と出現するライダーアーマーらにアナザーディケイドVEは恐怖に近い驚きを覚えていた。
「ライダーどもの歴史は全て消えた筈だ!」
「……消えないよ」
ジオウは体をゆっくりと起こす。アナザーディケイドVEから受けたダメージは残っている。しかし、今のジオウはその程度のことでは止まらない。全身に漲ってくる活力が彼を突き動かす。
「どんなに歴史が壊されても、仮面ライダーは壊れない!」
ライドウォッチは確かに他の仮面ライダーたちの能力や歴史を奪うものかもしれない。それまんまと利用されて一度は仮面ライダーたちを歴史から消してしまった。
だが、ライドウォッチはそれだけで終わるものではないのが今分かった。
ライドウォッチはジオウと他の仮面ライダーたちが繋がった証なのだ。ジオウが自分たちの力を正しく使ってくれると信じた証明。
ジオウを信じてくれるのならば、そこにライドウォッチが生まれる。
「今なら……行ける気がする……!」
ジオウはジクウドライバーのロックを外す。傾くジクウドライバー。本来ならば空きスロットにライドウォッチが必要なのだが、ジオウは構うことジクウドライバーを一回転させた。
世界が回る様にジクウドライバーが一回転して元の位置に戻る。半壊したジクウドライバーは何も叫ばない。
だから、代わりにジオウが叫ぶ。
「アーマータイムッ!」
ジオウの叫びが命無きライドウォッチたちの歴史を呼び起こす。ケースに入っていたライドウォッチらが飛び出していき、ジオウの周囲まで行くと独りでに起動していく。
『クウガ!』
『アギト!』
『龍騎!』
『ファイズ!』
『剣!』
『響鬼!』
『カブト!』
『電王!』
『キバ!』
『ディケイド!』
『W』
『オーズ!』
『フォーゼ!』
『ウィザード!』
『鎧武!』
『ドライブ!』
『ゴースト!』
『エグゼイド!』
起動したライドウォッチから召喚されていくライダーアーマーたち。
ジオウの呼び掛けに応じる様にして現れていく光景にアナザーディケイドVEは圧倒されてしまう。
「こんな……! こんなことが……!」
目の前で起こっていること信じられないアナザーディケイドVEに、ジオウは言う。
「ライダーの力を思い知れ!」
一旦最終回的な話を書いたので少し気が抜けてしまったので、今回はこれぐらいで。分岐後のアナザーディケイドVE戦は一、二話で終わる予定となります。
一度は考えるアーマーを纏って戦うのではなく、アーマーと一緒に戦う展開です。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ