ゲイツが過去でアナザースペクターを倒す為に行動していた頃、時を同じくしてソウゴもまた2015年で行動していた。
彼は、魂となった自分を唯一認識出来るタケルと協力し、ミカの兄が巻き込まれ事故を事前に防ぐつもりであった。
タケルの協力により、二人を事故から救い出すことに成功。アナザースペクターの存在が消えたことで歴史が修正されソウゴの魂は時を超えて2018年の肉体へ戻る。
しかし、これを良く思わないタイムジャッカーが妨害に入り、ミカの兄はアナザーライダーへ変身させられ、歴史が再修正され再びソウゴの魂は肉体から離れてしまう。
結果だけを見れば修正前と殆ど変わらない。だが、一つ変わったことがある。ソウゴらの介入により、ミカの兄は生きたままアナザーライダーへと変えられたのだ。
再び2018年に戻り、ソウゴはタケルの幼馴染であるアカリという人物に準備させた装置によって、魂だけの不可視な存在からゲイツたちにも見える様になった。
そして──
「後は任せたよ。ソウゴ」
タケルの手からソウゴにライドウォッチが渡される。そのライドウォッチを見て、ゲイツは目を丸くした。謎のライダーによって失った筈のゴーストライドウォッチであったからだ。
同時に理解する。ゲイツが持っていたゴーストライドウォッチは、オーマジオウから盗んだものであったが、タケルこそが本来の持ち主であり、仮面ライダーゴーストであることを。
ゴーストライドウォッチをもう一度手に入れ、アナザースペクターを倒す為の準備が整い、三人が過去へ跳ぼうとしたとき──
「まさか本当に2018年で会うとはな」
新たな人物がクジゴジ堂に現れる。
「また会ったな」
「お前は……!」
2015年で出会い、傷の手当てをしてもらった人物との再会にゲイツは驚く。
「マコト兄ちゃん! どうしてここに?」」
「アカリから聞いた」
口振りからタケルとも知り合いであることが分かる。アナザースペクターを倒す為に2015年で出会った人物が、仮面ライダーゴーストと知り合いだということに何かしらの因縁を感じる。
事情を知らないソウゴとツクヨミは、マコト兄ちゃんと呼ばれた青年に対し『誰?』という表情を浮かべていたので、慌ててタケルが紹介する。
「この人は、俺の幼馴染で名前は──」
「深海マコトだ」
温厚な性格のタケルとは逆に、大人びて冷静そうな青年──深海マコトは、タケルの言葉を継いで名乗る。
「……お前があの時言った意味不明な言葉の意味が、ようやく分かった様な気がする」
「え、ええと。何か言ったっけ、俺?」
過去改変の際に、タケルはマコトと会っており、その別れ際に『2015年の俺によろしく』という言葉を残していた。タイムスリップを人に簡単に喋るべきでは無いと考えたタケルは惚けるが、それを見抜いているのかマコトは小さく笑った。
「そ、それよりも! マコト兄ちゃん、ここへ何をしに?」
「落し物を届けにな」
「落とし物?」
マコトはそう言うと、ゲイツの前に立ちある物を取り出す。
青の外装。目の形の紋章。2015の文字。紛れもなくライドウォッチである。
「マコト兄ちゃん! それ!」
「2015年にお前が落とした物だろう?」
マコトに言われ、ゲイツはポケットを探る。そこには謎の仮面ライダーによって力を失ったブランクウォッチ入れてあった筈だが、感触は無く確かに無くなっていた。
「何も描いて無かった筈なのに、いつの間にか形が変わってしまったがな」
「わざわざ三年前の物を届けに来たのか?」
ゲイツにとってはほんの数十分前の出来事だが、マコトとって三年も前のことである。律儀に届けに来たことに驚きを隠せない。
「──不思議だが、これを手にしたときからぼんやりとだがこの日のことが視えていた。お前と会い、こうやって手渡す日を」
マコトはゲイツにライドウォッチを差し出す。
「俺は、お前がこれをどう使うのか分からない。だが、これを持っていて伝わってきたことがある」
「伝わってきたこと?」
「これは、自分の『生き様』を見せる為の力だ」
「生き様……」
「これで、お前の生き様、見せてみろ!」
激励と共にゲイツはライドウォッチを受け取る。一度は力と共に失われたライドウォッチが、再び力を取り戻して自分の手の中にある。二度と手放さないと強く握り締める。
「──これで二度目だな。礼を言う」
マコトは、ゲイツの礼に微笑を浮かべるとすべきことは全て済んだと言わんばかりに背を向ける。
「俺が出来ることは終わった。じゃあな」
最後に別れの言葉を残し、マコトはクジゴジ堂から去って行く。
「──行くぞ、ジオウ」
「行こうか! ゲイツ!」
◇
「祝えっ!」
2015年。アナザースペクターとジオウ、ゲイツが戦う中、ゲイツは謎の仮面ライダーから何故か手渡されたライドウォッチをジオウへと渡し、ジオウはその中に宿るアーマーを纏う。
仮面ライダージオウディケイドアーマー。その姿となったジオウを、高所で見下ろしながらウォズがいつもの様に謳う。
誇らし気に謳うウォズの側に、それを冷めた眼差しで見る人物が居た。ふてぶてしい表情をした茶髪の青年。
「全ライダーの力を受け継ぎ、過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウディケイドアーマー!」
「お前……誰に向かって言ってんだ?」
言い終えたウォズに向かって青年は至極真っ当なことを言うと、ウォズは答えず、誤魔化す様に咳払いをする。
ディケイドアーマーを纏ったジオウは、そのアーマーの力でライドウォッチから新たなアーマーを呼び出し装着する。
「祝えっ! 全ライダーの力を──」
「くどい」
ウォズの手から開いていた預言書を取り上げ、口上を中断させる。
お約束とも言える儀式を止めさせられ、心なしかウォズが消沈して見える。
青年は、そのまま観戦を続けるかと思いきや、徐に立ち上がる。
「どうしたんだい?」
「気付かれた。──あのゲイツって奴にな。良かったな。あの訳の分からない台詞を聞いてくれている奴がいて」
皮肉を言いながら青年は高所から降りていく。
「高み見物で済ますつもりじゃなかったのかい?」
「気が変わった。少し遊んでくる」
ウォズに背を向けながら、肩越しあるものを見せる。
マゼンタカラーに様々な紋章が円形に刻印されたドライバー。あの謎の仮面ライダーが付けていたものであった。
「そうかい。好きにするといい」
「言われなくとも好きにさせてもらう」
青年の姿が、ウォズの視界の範囲から消える。ウォズは暫くの間周囲を確認する。近くに青年は居ないと確信した後──
「祝えっ!」
──中断された儀式を再開させた。
◇
「──ん?」
聞き覚えのある声が頭上から聞こえた気がしてゲイツは上を見上げる。角度のせいで見えづらいが人の姿を二人捉えた。
片方はウォズに違いなかったが、もう片方は顔が見えず判別出来ない。しかし、何故か既視感を覚える。どこかで会った様な気がした。
余所見をするゲイツに、アナザースペクターがその隙を狙い襲い掛かってくる。
大振りの拳を、身を屈めて間一髪で避けた後、そのまま鳩尾に拳を一発打ち込んで下がらせる。
ゲイツは、もう一度上を見上げる。ウォズは居るが、もう一人の姿が見当たらない。
「ゲイツっ!」
ジオウの焦った声が飛ぶ。同時に、ゲイツは死角から熱を帯びたものが飛んでくるのを感じ、急いで前方に跳び込む様にして転がる。
ゲイツが立っていた場所に炎の塊が着弾し、火柱を上げた。
燃え盛る火柱の向こう。熱で生まれる陽炎越しに見えるは、格子状のマスクを付けた仮面ライダーが、龍の頭を模した手甲を突き出して構えていた。
2015年でゲイツと戦ったときに謎の仮面ライダーが最初に見せた姿であった。あの時は戦いに意識を囚われていて思い出せなかったが、今なら分かる。あの姿の名を。
「そのライダー、龍騎だったな?」
「正解だ。御褒美にまた遊んでやる」
手甲を撫でながら相変わらず余裕を持った上からの物言いをする龍騎。
「ジオウ! そのアナザーライダーは任せる!」
ゲイツは龍騎と相対する。
「ゲイツ……分かった!」
ジオウはゲイツの気持ちを汲み取り、アナザースペクターとの戦いに専念することを決める。
「二対一でも俺は構わんが?」
「お前の相手は俺だけで十分だ」
「そうか」
ゲイツが駆け出す。その手にライドウォッチを握り。
龍騎は手甲を撫でるのを止め、手甲──龍の口をゲイツに向けると、そこから炎を吐かせた。
直線上を走る炎。疾走するゲイツがそれを浴びる──かと思いきや、直前に上体を低くし、炎の下に潜り込む。
龍騎は、炎を下向きにしようとするが、ゲイツは身を低くした体勢から更に前に飛び込んで龍騎との距離を一気に縮めると、地面を転がりながらも滑らかな動きで立ち上がり、ライドウォッチを起動させ、ドライバーにセット。
『クローズ!』
『アーマーターイム!』
最早慣れた動きでアーマーを召喚し、右手を龍騎に振り下ろす寸前でそれを纏う。
『ウェイクアップバーニング! クローズ!』
クローズアーマーの右手に装備されたビートクローザークローザーが、直前の動きと流れる様に重なり、隙の無いまま両刃の剣が龍騎の脳天を断とうとする。
だが、間に挟まれた手甲がそれを防ぐ。
「龍に対して龍か。中々趣が分かっているじゃないか?」
「黙れ!」
右手に左腕を当て、力を更に込めながら一気に押す。
ゲイツの圧力によって後方へと追いやられていく龍騎。二人はジオウたちからどんどん離れていく。
「これくらい離ればいいか?」
「──何だと?」
銀閃が走り、クローザークローザーが弾かれる。ゲイツの両刃剣を弾いてみせたのは、龍騎が持つ片刃の剣。赤い柄に大きく反りがある柳葉刀とよく似た刀剣。
「一対一で戦いたかったんだろ? 気を遣ってやったんだが?」
「ふざけたことを……!」
強固とも言うべき余裕。それを打ち砕く為にゲイツは刃を振るう。
横振りのそれを龍騎は剣で受け、反撃に手甲を突き出す。ゲイツは拳でそれの軌道をずらした後、斬撃を繰り出す。
銀の残像が火花を伴って両者の間で起こる。数度繰り返されるが、十を超える前に龍騎の剣がゲイツの両刃剣を斬り上げ、そこから斬り返して下ろされた一撃がゲイツの装甲を斬る。
斬撃、音、衝撃、火花が一瞬の間に起こる。後ろによろめくゲイツ。が、そこで踏み止まり、右足を振り上げると龍騎の剣の柄を下から蹴り上げ、その手から剣を放させる。
「──やるな」
蹴られた腕を軽く振る。すると、その手の中に手品の様にいつの間にかカードを握っている。
「ならこれはどうだ?」
『アタックライド・アドベント』
ドライバーに挿し、音声が鳴ると空に咆哮が響き渡る。
上を見上げれば、上空に一匹の赤い龍がこちらに向かっていた。
長い髭に胴体から尾までの境目の無い長い体は東洋の龍だが、生物とは程遠い光沢のある金属の様な外見をしていた。
空から強襲してきた龍は体を鞭の様に振るってゲイツは吹き飛ばす。
「ぐあっ!」
飛ばされながらも何とか着地するゲイツであったが、今度は龍が火球を吐き出してきた。
隕石の様に、炎の塊が次々と降って来る。
火球は地面に落ちると爆発し、炎上。直撃しなくともそこから発生した熱波がゲイツを炙る。
灼熱の地獄の中でゲイツは構える。全身から青い炎の様なエネルギーが噴き出すと、ゲイツは上空に向け拳を突き出した。
噴き出し炎は、拳に乗って空へと放たれ、その形を龍に変える。
空を駆ける青と赤。対とも言える色をその身に彩る二匹の龍が絡み合い、蒼炎と赤炎を放つ。
地の上でも二人の龍が上空の龍と同じく衝突し合おう。
ゲイツはクローズウォッチを斧モードのジカンザックスのスロットに装填する。
『フィニッシュタァァイム!』
『クローズ!』
ジカンザックスの刃、そしてビートクローザークローザーの刃に宿る蒼炎。
龍騎もそれを見て、手甲から炎を放つ。
一直線に伸びてくる業火。それに向けて、ゲイツは刃を交差させながら振るった。
『ザックリカッティング!』
放たれた炎は×の字となり、前方の業火を斬り裂きながら龍騎に迫ると、爆発を起こした。
熱の余波がゲイツの顔を叩くが、ゲイツは顔を逸らすことなく爆発によって生じた炎を睨む。
これで終わったとは微塵も考えていない。
『カメンライド──』
その考えを肯定する様に響く音声。
『──ファイズ』
『Complete』
炎の中に赤の光がライン上を走り、その姿を形作る。
新たに変身した姿はゲイツも良く知っていた。その力はゲイツも持っているし、力も身を以って知っている。
故にここから先は、彼にとっては未知の体験であった。
「十秒間だけだが、付いて来れるか?」
『フォームライド・ファイズアクセル』
胸部の装甲が左右に開き、内部機構を露出する。展開した装甲は肩に掛かると、全身に走る赤のラインが銀色へと変化。失われた赤の代わりに、頭部の複眼が黄色から赤へと変わった。
姿が変わったファイズは、ゲイツに見せる様に右手に巻かれた腕時計型のデバイスを掲げる。
そこから先のゲイツの行動は半ば本能に等しい。腕に填めていたライドウォッチを外し、起動状態にするとすぐさまドライバーへと装填。ライダーアーマーを呼び出そうとし──ファイズはデバイスのボタンを先に押す。
『Start Up』
世界の速度がファイズの加速に置いて行かれる。ファイズの見る世界は、高速の世界へと塗り替えられた。
ゲイツはドライバーを両手に挟み込み、それを回してアーマーを召喚しようとしていた最中だが、加速するファイズにとっては遅過ぎる。
一秒を何等分にもする間にファイズはゲイツに接近すると、顔目掛け拳を打ち込む。緩やかに後ろへ仰け反るゲイツ。そこに追い打ちの膝、蹴りが連続して入る。
ゲイツの両足は地面から離れ、スローモーション映像の様に後方へゆっくりと飛んで行く。しかし、その両手は意地でもドライバーから離れない。
飛んで行くゲイツの背後に簡単に先回りするファイズ。その無防備な背に更なる追撃を加えようとしたとき──
『アーマーターイム!』
加速する世界に響く音声。同時に、ファイズ以外の者がこの高速の世界に侵入してくる。
それが現れたのは、ファイズの背後。気配を察し、体を横に傾けるファイズ。通過するアーマーの拳。その腕を掴み、投げ飛ばすと共に宙に浮いている間に横蹴りをアーマーに放つ。
アーマーは、ファイズの一撃でその身を分解されるが、それはアーマーの敗北を意味している訳では無い。分解されたアーマーのパーツは、飛んでいるゲイツに次々と当たり、先に纏っているクローズアーマーを弾き飛ばしながら装着する。
『ドライブ! ドライブ!』
纏うと同時にゲイツもまた高速の世界に足を踏み入れる。
自分の状況をすぐさま認識すると、空中で身を翻し、背後に立つファイズに回し蹴りを放つ。
上段で放たれたそれを右腕で防ぐと、左手で拳を作り、頭部を刈る様なフックで反撃する。着地と同時にゲイツは身を低くしてそれを躱すとその場で高速で回転。旋回しながらジカンザックスを上中下と軌道を変えながら振るう。
その連撃を回避するファイズであったが、完全に避け切ることが出来ず胴体に一撃を貰う。しかし、その一撃を受けながらファイズもまた蹴りを出しており、それがゲイツの脇腹へ入る。
互いの一撃で吹き飛ばされる両者。二人が立ち上がるタイミングでファイズの加速が止まる。
『Time Out』
『Reformation』
元のファイズへと姿が戻る。
「付いて来たか。中々やるじゃないか」
ファイズが褒めるが、ゲイツは反応を見せない。
「……お前は前に俺が魔王を助けたい、と言ったな」
「んん? まあ、そんなことを言った気がするな」
「それは間違いだ」
「ほう?」
「俺は奴を倒す! 助けるつもりは無い!」
ゲイツの言葉を、ファイズは鼻で笑う。
「なら、何故俺と戦う? 俺と一緒に戦った方が楽に魔王を倒せると思うが?」
「楽だと? そんなこと知ったことか! 奴を倒すのはあの時代の俺達がやるべきことだ! 部外者が出る幕じゃない!」
「知ったことじゃないな。俺は破壊者だ。魔王も例外じゃない。それにだ──」
ファイズはカードを取り出し、ドライバーに挿す。
『カメンライド・ゴースト』
『レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴ、ゴースト!』
ゲイツを前に打ちのめした仮面ライダーゴーストの姿に変わる。
「俺に負けているようじゃ、魔王を倒すなんて百年早いな」
挑発するゴーストに、ゲイツは強く拳を握り締める。
「……たとえ何度負けようと、何度倒れようと必ず俺は立ち上がる。魔王を倒すその時まで何度でもだ!」
ゲイツがライドウォッチを取り出す。そのライドウォッチを見て、ゴーストは疑問を含んだ様な声を洩らす。それは三回の戦いの中で初めて見せるライドウォッチであった。
外装を親指でスライドさせ描かれている仮面ライダーの顔を浮かばせる。
「俺の生き様! 見せてやる!」
『スペクター!』
目の前のゴーストへ。そして、ここにはいないマコトへ魂の声を放つ。
『アーマーターイム!』
『カイガン! スペクター!』
ゲイツの背後に呼び出されるスペクターアーマー。上半身はフードの付いたジャケットであり、下半身は関節部ごとに分かれたパーツで形成されていた。一見するとアーマーというよりも衣服という印象を受ける。
スペクターアーマーは背後からゲイツに被さり、装着していたドライブアーマーを弾く様に脱がす。
胸に描かれる目の紋章、ジャケットの両肩にも同じ紋章が描かれている。額からは刃の様に薄く鋭い角が二本生える。顔の『どらいぶ』という文字が消え、そこが『すぺくたー』の文字へと置き換わったとき、ゲイツは被っていたフードを外す。
「ほお……」
ゲイツの新しいアーマー──スペクターアーマーを見て、ゴーストは少しだけ興味を示すかの様な声を出す。
「新しい力か。それで何が出来る?」
ゲイツは胸の前で指を組み、印を作る。すると、両肩の目の紋章からパーカーゴーストが一体ずつ召喚される。
「それだけか?」
期待が失望に変わる。それならばゴーストにも出来る。
「ここからだ」
宙を飛ぶパーカーゴーストたち。彼はゴーストに攻撃を仕掛けるのではなく、それぞれ別の方向に飛んで行く。
パーカーゴーストたちが向かう先にあるのは、ゲイツが召喚したクローズアーマーとドライブアーマー。各パーツに分かれて地面に転がるそれに、パーカーゴーストたちが入り込む。
分解されたパーツは、黒い靄の様なもので繋ぎ合わりながら立ち上がり、顔の部分にはパーカーゴーストと同じ光る目が宿る。
パーカーゴーストを宿らせることにより、二体のライダーアーマーを操ってみせる。
「──面白い!」
その声を合図として戦いが始まる。先行したのは、ドライブアーマーだった。
高速で地を駆け、瞬く間にゴーストへ接近すると上段蹴りを繰り出す。手で弾きながらドライブアーマーの背後に周り、その背に肘打ちをし体勢を崩すとゴーストは両刃の剣を取り出す。
『ガンガンセイバー!』
体勢が戻らない内に、ドライブアーマーの背を斬ろうとするが、割って入った剣がそれを防ぐ。クローズアーマーのビートクローザークローザーである。
そこからクローズアーマーとゴーストの剣の斬り合いが始まる。
金属音が鳴り、火花が連続して起こる。しかし、技量ではゴーストの方が勝っているおり、振り下ろされたクローズアーマーの刃を鍔で受け止め弾いた後に、肩に袈裟切りを放つ。
クローズアーマーの肩から火花が起こるが、クローズアーマーは怯むことなく斬り付けた刃を掴む。中身が無い故に、痛みや衝撃で動きが鈍くなることが無くなっていた。
剣の動きを止めたクローズアーマーは、ゴーストの顔に目掛け蹴りを放つ。
「ちっ」
咄嗟にガンガンセイバーを手離してそれを避けるゴースト。そこに、ゲイツと体勢を直したドライブアーマーが接近戦を挑んでくる。
上下に散らばる打撃。相手の攻撃の合間を埋める絶妙なコンビネーションで繰り出されるそれを、ゴーストも最初は捌けていたが、徐々に押され始め、一発、二発と当たる様になり、最後にはゲイツとドライブアーマーが同時に放った腹部への蹴りの直撃を許してしまう。
「くっ!」
蹴られた箇所を押さえながら後退させられるゴースト。
横一列に並ぶゲイツとアーマーたち。
ゲイツの指先がライドウォッチへ伸びる。
『フィニッシュタァァイム!』
『スペクター!』
三人が同時に跳び上がる。
ゴーストもまたカードを出し、ドライバーに挿入する。
『ファイナルアタックライド・ゴ、ゴ、ゴ、ゴースト!』
『オメガ! タイムバースト!』
ゲイツの背に青い光を放つ巨大な目の紋章が現れ、その力がゲイツとライダーアーマーの右足に宿る。
ゴーストもまた足元に橙の光で描かれた目の紋章を現し、そこから生まれる力を右足に宿す。
「たあああああああ!」
「はあああああああ!」
上空から降り注ぐ三つの力を、地上から跳び上がったゴーストが迎え撃つ。
青と橙。二つの視覚化された力が衝突し合った時、大地を震わす程の大きな爆発が起き、その場に居る全員を包み込んだ。
◇
結局ゲイツはあの仮面ライダーに勝つことは出来なかった。爆発の後に姿を消したが、その後にクジゴジ堂で呑気に食事をしている姿を見ている。わざわざ変身前の姿で。
門矢士。それがあの謎の仮面ライダーの名である。
食事が済んだら、何かしら意味深な言葉を残して去ってしまったが、その去り際にゲイツを見て──
「引き分けということにしてやる」
──と変わらぬ上からの物言いで引き分けという形となった。当然、そんな言い方をされてゲイツは納得をしなかったが。
◇
ゲイツは包帯を手に巻き、顔に絆創膏を貼られた、見るからに痛々しい体を動かしながらある場所を目指していた。
着いた場所は交番であった。暫く様子を眺める。すると、交番から一人の警察官が出てくる。ミカの兄であるマキムラであった。
2015年にジオウによってアナザーライダーの呪縛から解き放たれたが、2018年もどうやら無事な様子であった。
門矢士から貰った謎の多いライドウォッチをジオウに使わせたのはゲイツである。その責任からの、何かしらの影響が無いかの確認である。
マキムラを見ていると、誰かが走り寄ってくる。ミカであった。
彼女は兄と共に近くのベンチに座り、何かを差し出す。
弁当箱であり、その中身を見て二人は笑顔を浮かべながら一緒に食事を始めた。
問題無いと分かり、ゲイツは交番から離れていく。
「ん?」
前から歩いて来る二人の男女。片方は深海マコトであり、もう片方は見知らぬ女性であった。
ゲイツが立ち止まったのを見て、マコトも立ち止まる。
「どうしたの? お兄ちゃん?」
女性の方はマコトの妹らしい。
「──いや、何でもない。知り合いかと思ったが、勘違いだったみたいだ」
アナザースペクターを倒したことで歴史は修正され、ゲイツには記憶があるが、マコトにとってはこれが初対面となっている。
マコトたちがゲイツの横を通り過ぎていく。その最中──
「──礼を言う」
──三度目の礼。あの仮面ライダーに負けなかったことへの礼であった。
突然礼に、二人は振り返り戸惑った様子で去って行くゲイツの背を見ることしか出来なかった。
アナザースペクター
身長:202.5cm
体重:96.5kg
特色/能力:人間の魂を吸い取る/不可視の第三の手
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ