並び立つライダーアーマーたち。ジオウが装着していない為、中身が空洞だがそれを埋める様にアーマー内部には人型の光が満ちており、それが体の代わりとなっていた。
率いる様に中央へ立つジオウ。各ライダーたちの名のカタカナで表した複眼がジオウと同じ方向を向いている。
誰も見た事が無い圧巻と言える光景であった。
「こんなことが……!」
ゲイツは傷の痛みを忘れてその光景を呆然と見る。ゲイツにとっていつも予想や期待を上回ることをしてくれるジオウだが、この光景は別格であった。
「凄い……!」
ツクヨミは勢揃いするライダーアーマーたちを見て、それしか言えなかった。ジクウドライバーやライドウォッチではなくジオウが呼び掛けることで集った力。
嘗てはジオウの底知れない力に恐れを抱き、彼と敵対する道を選んでしまったツクヨミ。今、目の前では恐怖を覚えた時以上の力がある。しかし、あの時とは違いツクヨミの中には恐怖は無かった。
過去のツクヨミはジオウの──ソウゴのことを信じ切ることが出来なかった。だが、今のツクヨミは信じることが出来る。ジオウが最高最善の王となることを。
「我が魔王……!」
常磐ソウゴが見せつけた底知れない可能性にウォズは感動すら覚えていた。ウォズが持つ『逢魔降臨暦』にすら記されていないジオウの力。紡いできた縁が一つとなり、大いなる力と化す。それを成したジオウはまさに王と呼ぶべき存在であった。
「常磐……ソウゴ……!」
多対一。数で見れば圧倒的不利な状況の中でアナザーディケイドVEは忌々しそうにその名を口に出す。まるで自分との対比と見せつける光景に王としての格の差を思い知らされる様な気持ちであった。
しかし、アナザーディケイドVEはそれを認めない。
王としての差など決して認めることなど出来ない。
「行くぞ!」
ジオウが開戦の声を上げる。自ら先頭に立ち、ライダーアーマーたちを率いて走り出す。
「その程度──むっ!?」
ジオウらの方法で跳び上がる二つのアーマー。ディケイドアーマーとWアーマーであった。
Wアーマーは二つに分離し、緑と黒のメモリスティック型のロボットに変形。ディケイドアーマーを中心にして空中で左右に移動する緑のメモリドロイドサイクロンと黒のメモリロイドジョーカー。
メモリドロイドは両足を緑と紫の色に発行させ、ディケイドアーマーは右足にマゼンタの光を宿すとアナザーディケイドVE目掛けて急降下。
三方向から繰り出されるトリプルキックに対し防御するアナザーディケイドVEだが、中身の無いアーマーとは思えない程の重さがその一撃にはあった。
『トリプルエクストリーム!』
キックと同時にそんな幻聴が聞こえ、アナザーディケイドVEはガードの体勢のまま地面を滑っていく。
「くっ! ──なっ!?」
ガードの構えを解いたアナザーディケイドVEの眼前にジカンギレードを構えるジオウとブレイラウザーを振り上げるブレイドアーマー、デンガッシャーを肩に乗せた電王アーマーが突っ込んで来る。
最初の一撃を与えたのはブレイドアーマー。ガードを緩めたことで隙が出来た脇腹にブレイラウザーによる斬撃。切れ味もさることながら剣身に雷を纏わせており、斬撃と共にアナザーディケイドVEの体内に電撃が流し込まれる。
「ぐうううっ!」
電撃による硬直の中でジオウのジカンギレードと電王のデンガッシャーが交差する様に振るわれ、アナザーディケイドVEの体に傷を刻む。
持ち前の耐久力でそれを受け切ったアナザーディケイドVEだったが、すぐさま次のライダーアーマーが仕掛けてくる。
アナザーディケイドVE目掛けて放たれる炎の巴紋。思わず防御するアナザーディケイドVE。しかし、炎の巴紋はアナザーディケイドVEに接触すると何倍にも大きくなり、炎の鼓と化してアナザーディケイドVEを拘束する。
「か、体が!?」
動けないアナザーディケイドVEの前に現れたのは響鬼アーマー。その両手には先端に鬼の顔が彫られた石を付けた撥──音撃棒が握られている。
音撃棒を振り上げて炎の鼓を強打。ドン、という重い響きが広がっていく。
人が瞬きするぐらいの一瞬の間に二本の音撃棒が連続して叩かれ、重い音が長く伸びていく。
音撃棒と鼓が奏でるのは清めの音。本来は大地の穢れから成るモノを浄化する為の音だが、アナザーディケイドVEという邪悪を祓い清めるには打って付けと言えた。
「こんな、音、など……!」
細胞一つ一つを揺さぶられる感覚を味わいながらも反抗しようとするアナザーディケイドVE。野心と激情に満ちた彼の心には清めの音ですら届かない。
響鬼アーマーが音撃棒を同時に振り上げる。強烈なる一打を放つ為の構え。そして、その背後でも同じく構えるライダーアーマーが居た。
無駄を一切削ぎ落し、達人の中の達人がやっと辿り着ける様な静の動き。アーマーだけだというのに元の力の持ち主の息吹すら感じさせる。
黄金のライダーアーマー──アギトアーマーの足元にアギトの紋章が現れ、それがアギトアーマーの足に吸い込まれていく。
力の収束が終わると共にアギトアーマーは跳躍。そして、空中で蹴りの体勢へと入るとそのまま急降下。
響鬼アーマーが鼓を叩く瞬間に合わせてアギトアーマーのキックが鼓に炸裂。二体のアーマーが繰り出す強打にアナザーディケイドVEは吹っ飛ばされる。
「これしきぃ!」
アナザーディケイドVEは地面を砕きながら着地し、震え一つ無い両脚で自らの体を支える。立て続けに受けた攻撃もアナザーディケイドVEの能力によって飛ばされている内に回復してみせた。
響鬼アーマーとアギトアーマーの音撃を受けてもアナザーディケイドVEの裡にあるのは湧き立つ程の怒りのみ。清めの音であろうとアナザーディケイドVEの黒く歪んだ心には届かない。
「むっ!?」
周囲を漂う様に移動するのはゴーストアーマー。名の通り幽霊を思わせる重さの感じられない動きでアナザーディケイドVEを翻弄しようとする。
ゴーストアーマーが指を絡ませ、印を作る。それが発動条件となってゴーストアーマーの両肩にある眼──眼魂ショルダーから偉人たちの魂を召喚。パーカーゴーストと呼ばれるそれが一斉にアナザーディケイドVEに攻撃を仕掛け様とするが──
「死人如きが!」
アナザーディケイドVEが手刀を振り抜く。そこから発せられる黒い斬撃が数メートルも離れているパーカーゴーストたちを一閃した。
一振りで一掃されてしまうパーカーゴーストであったが、彼らの消滅と入れ替わって新たに出現するものがあった。
正方形のブロック。それが空中に幾つも固定されている様に浮かんでいる。そして、そのブロックの上を跳躍するのはエグゼイドアーマー。
ブロックとブロックを素早くジャンプしてアナザーディケイドVEを翻弄する。そこにゴーストアーマーも混じってアナザーディケイドVEの狙いを定められない様にしている。
「ウロチョロと……!」
アーマーなどに翻弄されてしまうことに苛立ちを覚えながらもエグゼイドアーマーの動きを先読みして着地地点にあるブロックを光弾で撃ち抜いて破壊する。
これでエグゼイドアーマーは着地先を失い急停止しなければならない、と思いきやエグゼイドアーマーはブロックを蹴って跳んだ先はアナザーディケイドVEであった。
「何っ!?」
意表を突かれて回避が間に合わないアナザーディケイドVE。エグゼイドアーマーの中にある天才ゲーマーの力が既に相手の行動を読み抜いていた。
エグゼイドアーマーがハンマーとなった右腕を突き出す。
『HIT!』というエフェクトが浮かび上がり、衝突音が鳴り響く。しかし、エグゼイドアーマーのハンマーはアナザーディケイドVEの掌でしっかりと受け止められていた。
「甘いな……!」
最初は驚かされたが戦ってみて分かる。一体一体の力はアナザーディケイドVEに届くものではない。それが分かれば恐れることなど何も無い。
「ふん!」
アナザーディケイドVEはベルトの前に手を通過させる。アナザーディケイドVEから光が飛び出し、それらがアナザーディケイドVEの姿と成る。アタックライド・イリュージョンの力で六人に増えると分身体がエグゼイドアーマーを蹴り飛ばす。
『これで形勢逆転だな』
六人のアナザーディケイドVEは同時に喋る。分身体の一体が空気に溶け込む様に姿を消し、別の一体がその場から高速で動き出す。
アタックライド・インビジブルとクロックアップの効果を発揮し、今度は逆にジオウたちを翻弄しようと目論む。
だが、それに動揺するジオウではない。何故ならば彼には肩を並べて戦ってくれる心強い存在がいるからだ。
「言った筈だ! ライダーの力を思い知れって!」
ジオウはジカンギレードを振り翳してアナザーディケイドVE本体へ何体かのライダーアーマーたちを引き連れて挑む。
◇
高速の世界を移動するアナザーディケイドVEの分身体。彼の目に映る全てが緩やかな時間の中で動いており、分身体の動きについていっていない。
「ふっ」
その鈍さを嘲りながら高速世界の中からライダーアーマーたちを襲撃。気付かぬ内に殴打されたライダーアーマーたちが面白い様に吹っ飛んで行く。
ライダーアーマーの内の一体であるアクセルアーマーが分身体の攻撃に気付き、人型からバイク形態へと変化して分身体の後を追う。
しかし、いくら速くとも分身体の速度に追い付けるものではなく全身に炎を纏いながら疾走するアクセルアーマーの側面に分身体は移動すると、車体を全力で蹴り上げた。
認識外の一撃によりアクセルアーマーはバラバラになりながら宙へと舞う。
これで一体破壊したと思った矢先、分身体は顔面に拳を打ち込まれる。
「ぐっ!?」
思いもよらない一撃に分身体の足が止まる。よろめく体を踏み止まらせ、殴った相手を睨み付ける。
赤を主体とした装甲に加え、両肩にはカブトゼクターを模したアーマーを装着。額からも真っ直ぐ伸び、先端が二又に分かれた角を付けたカブトアーマーが、睨む分身体を相手に自分が何者を示す様に右手の人差し指で天を指す。
「カブトかっ!」
動揺は無い。本を正せばクロックアップは仮面ライダーカブトの力。同じ力を引き継ぐカブトアーマーがこの世界に入って来るのは当たり前のこと。そして、同時に分身体にとって幸運でもある。
クロックアップが使用出来るのはカブトアーマーのみ。カブトアーマーさえ倒してしまえば今の分身体を止めるものは誰もいない。
「はっ」
独り果敢に挑もうとしているカブトアーマーの行動を蛮勇と鼻で笑い、アクセルアーマーの様にバラバラにして地面に散らしてしまおうと考え、拳を突き出す。
その瞬間にカブトアーマーが分身体の視界から消える。と同時に分身体の胸、腹に立て続けに衝撃が与えられた。
分身体の攻撃を掻い潜ったカブトアーマーによるパンチの連打。分身体はカブトアーマーが三撃目を放つ前に肘を振り下ろすが、カブトアーマーもそれを察して攻撃を中断して素早く離れる。
カブトアーマーが離れた途端に分身体の上段蹴りがカブトアーマーの頭部を狙う。しかし、正確な見切りでそれを回避すると蹴りの間合いに入らない様に先程よりも大きく離れた。
ライダーアーマーなのに酷く人間らしい動きを見せる。能力だけではなく変身者の動きまで再現しているのではないかと分身体は思い始めた。
分身体が距離を詰めると同時に前蹴りを出す。カブトアーマーは滑る様に横へ移動し、手刀で蹴りを叩き落とす。そのせいで前のめりになる分身体に対し、カブトアーマーは数発顔に打ち込んで怯ませた後、膝で腹部を突き上げる。
並の相手なら悶絶して暫くの間動けなくなる連撃であったが、分身体は止まることなく腕を振り回してカブトアーマーを殴ろうとする。
カブトアーマーは側頭部に来たそれを両腕を交差して防ぐが、分身体の一撃は思っていた以上の威力があり交差した腕を突き抜けて衝撃がカブトアーマーの頭を打ち、膝を折らせる。
技はかなりのものだが防御と攻撃は分身体の方が上回っている。このままカブトアーマーを破壊しようとした時、その音は聞こえた。
『アクセルトライアル!』
今だに空中で散らばって行くアクセルアーマー。その外装が剥がれ落ち、下から青い装甲が露出。分厚い重装甲から軽装甲に変わった途端、ばらけていたアーマーが一つに集い、新たなアーマー──トライアルアーマーとなる。
その瞬間、トライアルアーマーもまた高速世界に突入し、カブトアーマーを助けるべく分身体の首筋に回し蹴りを叩き込んだ。
「ぐっ!」
急所狙いの鋭い一撃。しかし、分身体を倒すにはまだ──
「がはっ!」
トライアルアーマーの蹴りが分身体の痛みが引くよりも先に放たれた。
一撃が軽いことはトライアルアーマー自身も熟知している。故に一撃の軽さを数で補う。
返す勢いで踵が頬を貫き、更に足の甲が顎を蹴り上げ、跳ね上がった顔に再度蹴りが打ち込まれる。
分身体からすれば訳が分からない。速度に関してなら同等の筈なのにトライアルアーマーが繰り出す攻撃を避けることが出来ない。
「があああ!」
攻撃を受けながらも反撃に転じる分身体。しかし、その攻撃はカブトアーマーによって捌かれ、大きな隙を生み出してしまう。すると、トライアルアーマーとカブトアーマーによる同時攻撃が分身体の胸を突く。
「くうっ!」
これ以上のダメージは危ういと分身体は焦る。所詮はアナザーディケイドVEが生み出した分身の一体に過ぎない。本体とは違って一定のダメージを受けると消滅してしまう。
そんな危機感を抱く分身体であったが、その焦りを見抜くかの様にカブトアーマーは徐に分身体の前で百八十度向きを変えて無防備な背中を晒す。
露骨なまでの挑発。何かを仕掛けるつもりなのだと分かり切った行為。だが、本体のプライドの高さも引き継いでいる分身体にとって見て見ぬ振りなど出来なかった。
「ふざけた真似をっ!」
分身体の思考が憤怒の熱で一気に焼かれ、後先考えぬまま拳を振り上げる。
『ガタック!』
その熱を瞬時に冷ます声が背後から聞こえた。
宙に浮かぶのはガタックライドウォッチ。起動したライドウォッチから新しいライダーアーマーが召喚される。
メタリックブルーの外装。頭部にはクワガタムシの顎に似た一対の角。両腕には曲剣が折り畳まれている。
仮面ライダーカブトと戦友である仮面ライダーガタックの力を備えたガタックアーマーが登場と共に分身体目掛けて空中回し蹴りを繰り出す。
カブトアーマーは最初からガタックアーマーが来るのを分かっていたかの様に抜群のタイミングで振り返ると共に上段回し蹴りを放っていた。
二つの蹴りの軌道に挟まれている分身体に逃げる道筋は無く、前後から刈る様な蹴りが頭部に炸裂する。
「──がっ」
呻く言葉を言い終える前に事前に跳び上がっていたトライアルアーマーが空中で前転することで加速による勢いを付け、その速度から繰り出される踵を分身体の頭頂部に振り下ろす。
三方向からのライダーアーマーによるキック。
許容量を上回るダメージを負い、分身体は消滅する。
ジオウの力がライドウォッチを引き寄せ、その力を解放する様にライドウォッチもまたライドウォッチを呼び寄せ、その力を引き出す。
◇
アタックライド・インビジブルの効果により不可視の存在となった分身の一体。誰にも見えず、触れることも出来ない内にライダーアーマーたちを破壊する為に動き出す。
しかし、ライダーアーマーの中でもその動きを感知しているものがいた。
動き出す分身体の前に立ち塞がるのはゴーストアーマー。幽霊という名に相応しく消えることも出来れば、見えざる相手を視ることも出来る。
妨害されることは想定外のことだが恐れるに足りず。ライダーアーマー一体ではアナザーディケイドVEの力を持つ分身体には遠く及ばない。
分身体が胴を薙ぐ回し蹴りを出す。ゴーストアーマーはその場で大きく上半身を仰け反らせ、分身体の蹴りを空振りさせると重さを感じさせない動きで仰け反っていた上半身を戻し、体勢を崩している分身体の脇腹に正拳を打ち込む。
だが、分身体が想定していた様にゴーストアーマーの力のみでは分身体の頑丈な体に十分なダメージを与えることが出来ず、分身体はゴーストアーマーの拳を貰ったままゴーストアーマーの顔を裏拳で殴り飛ばした。
よろめくゴーストアーマーに追撃の拳が迫る。
その時、空中に魔法陣が描かれ、そこから伸びる鎖が分身体の腕に巻き付く。
「何っ!?」
腕を絡め取られる分身体。魔法陣は次々と発生し、そこから伸びる幾本もの鎖がアナザーディケイドVEの四肢や胴体に巻き付き、拘束する。
分身体の動きを止めたのはウィザードアーマーの魔法。ウィザードアーマーの目は通常では見えない分身体を見通しており、魔法という超常的な力によって分身体を封じてしまう。
「この、程度……!」
まだ自分の姿を見えるものが居たことに分身体は歯嚙みしつつ、体に何重にも巻き付く魔法の鎖を力で引き千切ろうとする。
理の外にある魔法で出来た鎖だが、破壊者という同じく理の外にある力によって鎖に亀裂が生じ、そこから千切れ始める。
しかし、ゴーストアーマーもウィザードアーマーも焦る様子は無い。
何故ならこれは時間稼ぎに過ぎない。
『スペクター!』
『ビースト!』
盟友である蒼の幽鬼と金色の獅子を呼び寄せる為の。
召喚されたスペクターアーマーとビーストアーマーは身動きが取れない分身体を同時に拳で突く。
鎖で雁字搦めにされているので攻撃自体は鎖が盾となって防げるが、衝撃を殺すことは出来ず、強く突き飛ばされると文字通り手も足も出させない状態なので無様に転倒してしまう。
「くっ!」
痛みは全く無いが恥を晒されたという羞恥心が分身体にこみ上げてくる。
「があああっ!」
仰向けに倒れた体勢のまま鎖を破壊する分身体。これでゴーストアーマー、ウィザードアーマーに反撃が出来る──と思うがその行動も考えも遅かった。
分身体が睨み付けようとした時、地上にアーマーたちの姿が無い。上空から気配を感じ、分身体が見上げる。
空にはゴーストアーマー、スペクターアーマーが背後に大きな目の紋章を出現させ、ウィザードアーマー、ビーストアーマーは眼前に魔法陣を展開している。
紋章がゴーストアーマーたちの右足に吸い込まれて発光。ウィザードアーマーたちが魔法陣を潜るとウィザードアーマーは右足を燃え上がらせ、ビーストアーマーは獅子の頭部を顕現させる。
上空から分身体目掛けて繰り出される必殺の一撃。しかし、ただの必殺技では終わらない。
四体のアーマーの前方に再び赤い魔法陣が出現。各ライダーアーマーが魔法陣に右足を突っ込むと、反対側から巨大化した状態で出て来る。
分身体が抵抗する間も無く圧砕。透明化した分身体は人知れずに消え去った。
◇
残る分身体は本体も含めて四体。しかし、その数が変わるのも時間の問題であった。
ポセイドンアーマーがオオカミウオを模した槍を地面に突き立てる。先端を中心にして横に広がっていく亀裂。すると亀裂の中から水が噴き出し、津波となって分身体へ向かっていく。
大量の水を被せられる分身体。だが、怒涛の水流の中でも耐えていた。ただの水ならば何の問題も無い。
そうただの水だけならば。
「がっ!?」
鋭い痛みを感じ、分身体は泡を吹き出す。水流の中で分身体の胴体へと喰らい付くエネルギー体のサメ。それだけに留まらずエネルギー体のクジラが脚を噛み付き、オオカミウオが手に噛み付く。
津波が通り過ぎた後、海洋生物によって身動きが出来なくなっている分身体が残される。
この好機に動く二体のライダーアーマー。
アクアアーマーは水飛沫を上げながら地面を滑走。
オーズアーマーは跳躍し、分身体に照準を定める様に『タカ』『トラ』『バッタ』と描かれたメダル型のエネルギーを三枚連ならせる。
『タジャドルコンボ!』
オーズアーマーの隣にタジャドルアーマーも出現。その背には角度によって緑、赤、青の三色に見える光の翼を広げている。
オーズアーマーがメダル型のエネルギーを通過しながら降下。同じくタジャドルアーマーも足を猛禽の爪に変形させ炎を纏わして獲物を狙う。
天地両方から迫る攻撃に分身体が避ける術も無く、アクアアーマーの滑走から繰り出される下から上への蹴りとオーズアーマー、タジャドルアーマーのキックが三つ同時に命中して分身体を消し飛ばす。
「ちっ……!」
自分と同じ分身体が消えるのを横目で見ていた別の分身体。アナザーディケイドVEの力が有ればライダーアーマーなど難なく倒せると思っていた。
「ぐおおおおっ!?」
しかし、現実は違った。この分身体もまた高速回転から繰り出される連続攻撃によって苦しめられていた。
攻撃を行っているのはドライブアーマーとダークドライブアーマー。過去と未来のライダーアーマーは地面に焦げた跡が残る程の回転をしながら独楽の様に分身体へ何度も攻撃を行っている。
ドライブアーマーは拳、ダークドライブアーマーはブレイドガンナーを模したアーマー備えつきの武器を回転によって勢いを増した状態で攻撃する。
「調子に──」
分身体が反撃を行うとした時、二体のアーマーは揃って急停止。そのせいで反撃を不発にさせられるとUターンをして拳撃と斬撃を返し反撃へのカウンター。
左右から挟み込んで攻撃。それによって弾き飛ばされる分身体。
飛んで行った先に待ち構えるのは鎧武アーマー。両手に持つ大橙丸Zで分身体輪切りにしてやると言わんばかり構える。
『バロン!』
だが、そこに登場するのはバロンアーマー。鎧武アーマーを手助けする為に馳せ参じたかと思いきや、短槍──バナスピアーGで鎧武アーマーを後ろに押し退け様とする。
『俺がやる。貴様には任せておけん』
──と傲慢に言い放っているかの様な態度。だが、鎧武アーマーもそれで退くことはせずバロンアーマーと揉め始める。
自分が先に出ることで争い始める二体のアーマー。決着を待つことなく分身体が迫ってきたおり、そして──
「がはっ!」
──擦れ違い様に分身体に刻まれる大橙丸ZとバナスピアーGの傷。ほんの少し前までいがみ合っていたとは思えない連携で分身体にダメージを与えた──と思いきや分身体を攻撃した後、再び揉め始めたのでドライブアーマーとダークドライブアーマーが二体を引き離す。
「ぐ、ぐぐ……!」
分身体の体にはしっかりと斬撃と突きの跡が残っており、その箇所を押さえながら分身体は立ち上がる。
怒りに燃えて反撃しようと考えていた分身体であったが、それを許す相手では無かった。
鎧武アーマーが大橙丸Zを振り抜き、バロンアーマーがバナスピアーGで地面を突く。大橙丸Zから放たれるオレンジ色の斬撃が分身体に触れるとオレンジの形になって内部に分身体を閉じ込める。更に地面からバナナ型のエネルギーが伸び、あらゆる角度から分身を突いて動きを縫い止める。
動けなくなった分身体にドライブアーマーとダークドライブアーマーが右手のシフトブレスを向け、そこからシフトカーとネクストシフトカーを撃ち出した。
発射されたシフトカーはエネルギーを発生させ、それを纏うことにより実物大のトライドロンとネクストライドロンに変化。
分身体の周囲を高速で回転し、そのあまりの速度に赤と黒の帯状と化す。
そこに恐れることなく飛び込んでいくドライブアーマーとダークドライブアーマー。高速回転するトライドロンらを壁面にして蹴ることで分身体へ連続キックを繰り出し続ける。
キックの速度は一蹴りごとに加速し、最後にはドライブアーマーとダークドライブアーマーの姿は肉眼で追えることが出来なくなり、赤と黒の輪の中を同色の二色の線が塗り潰す光景となっていた。
分身体は為す術も無く二体の連携によって消し飛ばされる。
半分以上の分身体が既に倒されてしまった。だが、四体目の分身体も消えるのも時間の問題である。何故なら──四体目の分身体は宇宙にいた。
「──っ!」
無酸素で声も発することも出来ず、無重力で自由に動くことも出来ない無限に広がる宇宙。
その中で藻掻くアナザーディケイドVEの分身体。彼の前ではロケットの姿になっているフォーゼアーマー。
しかし、フォーゼアーマー一体だけならこんなにも簡単に宇宙まで運ばれることは無かった。分身体が抵抗する間も無く宇宙まで飛ばされたのは、フォーゼアーマーの隣にいるもう一体の銀色のロケットのせいである。
フォーゼアーマーがロケットから人型へ戻ると、銀色のロケットも自らを覆っている銀色の装甲を剥がす。剥がされた装甲はスカートとなり、中からなでしこアーマーが姿を見せた。
どういう理由か分からないが、フォーゼアーマーの隣になでしこアーマーが出現した途端フォーゼアーマーの噴射速度が倍以上になり、二体のアーマーのせいであっという間に宇宙へ連れられてしまった。
地上では分身体の力の方が上だが、宇宙ではその力を発揮することは出来ずフォーゼアーマーとなでしこアーマーの独壇場となる。
だが、宇宙を得意としているライダーアーマーはこの二体だけではない。
『メテオ!』
青く燃える隕石が宇宙を流れて行く。途中で変形し、メテオアーマーとなる。
三体のライダーアーマーが揃うと同時にフォーゼアーマーとなでしこアーマーは腕に備えたロケットから炎を噴射させ、メテオアーマーも全身から青い炎を発し宇宙に星の尾を描く。
宇宙を駆けるライダーアーマー三体から同時に放たれるキックにより、宇宙遊泳をさせられていた分身体は地球目掛けて落下。大気圏を突き破って元居た場所へと落ちていく。
隕石となって落ちて来るのを見上げるのは三体のライダーアーマー。ビルドアーマー、ビルドスパークリングアーマー、クローズアーマー。
ビルドアーマーが跳躍して地面を叩く様に踏む。すると、地面からグラフ型の固定装置が出現し、発射台の様に空へと伸びる。
そのグラフの上に乗るビルドアーマーたち。ビルドアーマーとビルドスパークリングアーマーは片足裏に仕込んであるキャタピラーでグラフ上を疾走。クローズアーマーにはその様なギミックは無いが、代わりに青い焔のドラゴンを召喚しそれと一体となってグラフに沿って飛翔する。
グラフのY軸から飛び出していくビルドアーマーたち。三体の前方にワームホールを表す様な図形と共に赤と青の泡が無数に発生。更にクローズアーマーの蒼炎のドラゴンがその図形に巻き付く。
ビルドスパークリングアーマーの能力によって作られたその中に突入すると反対側から加速した状態で射出。そこに図形に絡まっているドラゴンが蒼炎を吐き出すことで背を押して速度を上昇させる。
地上に落ちてきた分身体を迎え撃つビルドアーマーたちのキック。上空で挟み込まれることで分身体は空で大輪を咲かす様な大きな爆発と共に消え去った。
残された五体目の分身体と戦うのは龍騎アーマー、ファイズアーマー、キバアーマー。
ファイズアーマーは右手にデジタルカメラ型パンチングユニット──ファイズショットを填め、龍騎アーマーは右肩に付けてある龍の頭を模した肩装甲を外し手甲にすると、それを分身体の体を打つ。
ファイズショットが閃光を放つが分身体はビクともせず、龍騎アーマーたちを一蹴。そこに入れ替えって飛び込んできたキバアーマーが左右の拳による激しい連打を行うが、それも効かず、分身体の手刀による斬り上げによって龍騎アーマーたちの様に吹き飛ばされる。
倒れ伏す龍騎アーマーたちを一掃しようと手を翳す分身体であったが──
「ぬぅっ!?」
視界を覆い隠す程の白い羽根によって妨害される。
『ファム!』
ツクヨミが纏っていたファムアーマーが離れて独りでに動き出し、倒れている龍騎アーマーの傍に立つ。
倒れている龍騎アーマーを見下ろし、手を差し伸べる──のではなくその頭を小突いた。発破を掛ける様なファムアーマーの行動に龍騎アーマーは応える様に立ち上がり、龍の手甲を突き出すと口部から炎が吐かれ、分身体の周囲に舞っている羽根に引火。分身体は今度は炎に包まれる。
「くっ!」
纏わりつくそれを手で振り払い、今度こそとどめを刺そうとする。
『カイザ!』
声の後に撃ち出された黄色の光弾。分身体は反射的にそれを払い除け様とするが、触れた瞬間に光弾は網目状に広がって分身体の体を拘束する。
光の網に締め付けられる分身体が見たのは、襟首を直す様な仕草をしているカイザアーマー。分身体の視線に気付くと鼻で笑う様なジェスチャーをする。
龍騎アーマーは両足を大きく広げ、両腕を龍の顎に見立てた構えをとり、ファイズアーマーは手首をスナップさせた後、片脚を前に出して膝を曲げ、腰を下ろした構えになり、キバアーマーは右足を高々と振り上げた後、左足一本で高く跳躍する。
龍騎アーマーも跳び上がると何処からともなく飛んで来る赤龍──ドラグレッダー。
ファイズアーマーも跳躍と共に空中で前転し、分身体へ伸ばした右足から赤い光が飛び、分身体の前で円錐状に展開する。
ドラグレッダーが炎を吐き、それに背を押された龍騎アーマーが蹴りの体勢のまま降下。
ファイズアーマーは展開された赤い円錐の中へ伸ばした右足から突っ込んでいく。
キバアーマーの右脚甲が左右に展開し、蝙蝠の翼の様な形となると急降下。
三つの必殺技を同時に受ける分身体。その体には炎で作り上げられたΦとキバの紋章が浮かび上がり、蹴り飛ばされた勢いで何度も地面を跳ねた後に消滅する。
◇
ジオウがライダーアーマーたちと共に死力を尽くしながらアナザーディケイドVEと戦っている。まともに体を動かすことが出来ないゲイツ、ウォズ、ツクヨミは無念の気持ちでそれを見ていることしか出来なかった。
何か一つでもいい。ジオウの為にすることが有るはず。そう思いながらも肉体はそれを裏切る様に痛みという悲鳴を上げて、動くことを禁じる。
「少しでも、ほんの少しでもいい……! 俺の体が動けば……!」
ゲイツが自らの無力さを慟哭する。
だが、その声に反応するものが在った。
『ポッピー!』
ツクヨミから飛び出したポッピーライドウォッチがそのままアーマーとして召喚される。そして、その体から楽譜線と音符をゲイツたちへ伸ばす。
楽譜線はゲイツたちを囲う。すると、ゲイツたちの体に変化があった。
あれほどゲイツたちを蝕んでいた痛みが和らいでいく。それに伴い傷が塞がり始める。ポッピーライダーアーマーの能力より体が治癒されていく。
しかし、傷が深いせいで完治するのにはまだ時間が掛かる。それでも先程よりもましになった体ならば僅かながらジオウの手助けが出来る。
無念に染まっていたゲイツたちの心に希望が灯った。
◇
「たあっ!」
振り下ろされるジカンギレード。アナザーディケイドVEはそれを容易く受け止め、お返しと言わんばかりジオウの顔を殴打。
「ぐっ!」
仰け反るジオウの上体。他のライダーアーマーたちがジオウを助ける為に動くが──
「ふん!」
アナザーディケイドVEの掌から放出される力によって全員押し飛ばされてしまった。
「まだまだぁ……!」
反撃を受けてもジオウは折れることなどせず、受け止められているジカンギレードを押し込む。
アナザーディケイドVEは押し止めている自らの腕が僅かに押されてのを感じて内心驚いた。まるで周りから力を貰っているかの様にジオウの力が増している様に思える。
(こいつを調子付かせる訳にはいかない!)
ジオウの力がどこまで高まるのかを恐れ、その心を折る為にアナザーディケイドVEは片手で掴んでいたジカンギレードを両手で握り締める。
「はあああっ!」
破壊の力を込めるとジカンギレードに罅が生じる。アナザーディケイドVEが何をしようとしているのか察してジカンギレードを引き抜こうとするが間に合わなかった。
「ふん!」
ジオウの目の前でジカンギレードの剣身が木っ端微塵に砕け散る。
最初に手にした武器が破壊される様に少なからず動揺する。そして、無手となってしまったジオウにアナザーディケイドVEが構えた手刀を防ぐ手段が無い。
「ジオウ!」
仲間の声がした。ジオウはその声の方に向けて無意識に手を伸ばす。
振るわれるアナザーディケイドVEの手刀。だが、それがジオウに届くことは無かった。
「何っ!?」
ジオウが握り締めているジカンザックスがアナザーディケイドVEの手刀を受けていた。
それを投げ放ったのはゲイツ。戦うことは出来ずともジオウを手助けすることは出来る。
「小癪な!」
アナザーディケイドVEが禍々しく輝いている拳でジカンザックスを殴りつける。その一撃でジカンザックスが粉砕された。
「はあ!」
再び無手となったジオウの首元にアナザーディケイドVEの手刀が迫る。
「我が魔王!」
金属音と共に手刀が防がれる。防いでいるのはウォズのジカンデスピア。
「たあっ!」
ジオウはジカンデスピアの柄でアナザーディケイドVEの脇腹を打つ。比較的防御の薄い箇所に命中し、アナザーディケイドVEの動きが僅かに硬直する。
ジオウはその隙にジカンデスピアを両手で回し、アナザーディケイドVEの脳天に向けて穂先を振り下ろした。
「その程度!」
ジカンデスピアの穂先を両手で挟んで受け止めると力を流し込む。穂先に生じた罅は柄まで伸びていき、ジカンデスピアを粉々に破壊してしまう。
これで全ての武器を破壊した、と思ったアナザーディケイドVEの眼前に突き付けられたのは銃口。
それがツクヨミのファイズフォンXの銃口であると認識する前に銃口から光弾が発射され、アナザーディケイドVEの眉間に着弾した。
「ぐおおおおおっ!」
至近距離で閃光が弾けてアナザーディケイドVEの両眼は白く焼かれる。一時的に視力を失ったアナザーディケイドVEはこの間に攻撃されない為に片手を滅茶苦茶に振り回してジオウらが近付けさせない様にする。
アナザーディケイドVEの能力があれば数秒もすれば視力は回復する。その数秒を稼ぐ為の足掻き。
その甲斐あってか足掻く間はジオウたちの攻撃は無かった。やがて、白一色であった視界に輪郭が戻り、色が戻って来る。
良好になった視界でジオウたちを睨め付け様とするアナザーディケイドVE。だが、彼の目に映ったのはジオウたちの姿では無かった。
視界を覆う様に見えるは燃える様に光る紋章。その紋章がクウガの紋章であると気付いのは、クウガアーマーのキックがアナザーディケイドVEの顔面に直撃する瞬間であった。
「ぐあっ!?」
背中で地面を滑って行くアナザーディケイドVE。その顔面には焼き付く様にクウガの紋章が浮かんでいる。
「こんな、こんなことなど、認めん……! 認めんぞぉぉぉぉぉ!」
アナザーディケイドVEが咆哮する。すると、その体が変形してドライバーとなって宙へ浮き上がる。浮き上がったドライバーを中心とした光の線が伸びていき、輪郭を創り上げると閃光を放った後、巨大なアナザーディケイドVEの姿となった。
アナザーディケイドVEの能力の極致。この圧倒的差によってジオウを絶望に追い込もうとする。
しかし、それを見上げるジオウに微塵の恐怖も無かった。
ジオウにはアナザーディケイドVEの攻撃が届かない確信があったからだ。
アナザーディケイドVEがその大きな手をジオウへと向ける。
『バース!』
それを妨害するのはコイン型の光弾と赤い球体の光弾。出現したバースアーマーの一斉射撃が阻む。
アナザーディケイドVEが鬱陶しそうにバースアーマーを踏み潰そうとした時──
『アクセルブースター!』
トライアルアーマーからブースターアーマーへと変化したアクセルが全身から炎を噴出させ、アナザーディケイドVEに擦れ違う様に胴体を光刃で斬り付ける。
またも攻撃を妨げられるアナザーディケイドVE。
『檀黎斗!』
何故か発せられるのはライダーの名では無く人の名。檀黎斗が施した改造によってイレギュラーなライドウォッチと化した檀黎斗ライドウォッチからはゲンムアーマー、ゾンビゲーマーアーマー、ゴッドマキシマムゲーマーアーマーの三体のライダーアーマーが召喚された。
高笑いでもするかの様な動作を見せた後、構えるゲンムアーマーであったがその瞬間にアナザーディケイドVEによって踏み潰される。
呆気無く散ってしまったゲンムアーマーであったが、その直後にアナザーディケイドVEの目の前に土管が召喚された。
いきなりのことに驚くアナザーディケイドVE。土管の中から踏み潰した筈のゲンムアーマーが飛び出してアナザーディケイドVEの顔面を蹴り飛ばす。
そして、ゾンビゲーマーアーマーは自身の影から黒い分身を大量に召喚してアナザーディケイドVEの体を這わせ、ゴッドマキシマムゲーマーアーマーは両手を天に突き上げる。
空から隕石がアナザーディケイドVEへ降り注ぐと同時にアナザーディケイドVEの体に纏わり付いていた黒い分身が一斉に爆発。
上半身、下半身に大きな爆発が起こりアナザーディケイドVEは転倒してしまう。
「認めん……! こんなことが……!」
ジオウたち勝てないという現実を直視することが出来ず、譫言の様に目の前でこと、自分の身に起こっていることを否定し続けるアナザーディケイドVE。
その時点でジオウたちとアナザーディケイドVEとの勝負は決まっていた。
『フィニッシュタァァイム!』
『ジオウ!』
その音声にアナザーディケイドVEは慌てて立ち上がる。
彼が見たのは円を組んで跳躍しているジオウと十九体のライダーアーマーたち。
『タイムブレーク!』
ライダーアーマーたちに仮面ライダーたちの幻影が重なると共にアナザーディケイドVE目掛けて全員突撃する。
「おおおおお!」
迫る二十のライダーたちに恐怖の感情を覚えながらアナザーディケイドVEは黒く輝く拳をジオウたち目掛けて突き出した。
「たあああああああああああっ!」
ジオウの叫びの後、世界に届く様な閃光が起こる。
光が消えた後、残されるのは拳を突き出した体勢のまま固まっているアナザーディケイドVEと、彼の背後に背を向けて立っているジオウとライダーアーマーたち。
「こんな、ことが……」
アナザーディケイドVEは視線を下げて自分の胸部を見る。
そこに在ったのは各ライダーたちの足跡によって作り出された円。
自分たちの歴史は不滅であることを。紡いで来た歴史は今も尚繋がっていることを証明するかの様に。
「これが、仮面ライダーたちの……ぐおおおおおおおおおおおおっ!」
その身を以ってライダーたちの歴史の重さを知り、アナザーディケイドVEは自らが起こした爆発の中へ消えていった。
あと一話短い話を挟んだ後に今度こそ本当に劇場版の話に入ります。
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