仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

132 / 163
Over Quartzer その1

 光の柱に運ばれるソウゴ。一際強い光が発せられ、思わず目を瞑る。すると、今まであった浮遊感は無くなり、足元に大地の感触が伝わって来た。

 閉じていた目を開く。ソウゴの視界に広がっていたのは広々とした青い平原であった。

 そこにいるのはソウゴだけではない。老若男女問わず色んな人々がそこに居り、自分たちが何処にいるのか分からずに戸惑っている様子であった。

 

「ここがツクヨミの世界?」

 

 ツクヨミが生まれた家しか知らないソウゴはやや不安そうに零す。見渡すと遠くに建物が並んでいるのが見えた。奇抜なものではなく自分たちの感性に近いデザインの建築物。

 

「ジオウ!」

「ソウゴ!」

 

 知っている声が聞こえた。ゲイツとツクヨミがソウゴを見つけて走り寄って来ていた。

 

「貴方もこっちに来たのね!」

 

 ツクヨミはてっきり元の世界に残ると思っていたので、ソウゴが無事にやって来た姿を見て安堵していた。ソウゴも無事な様子のツクヨミとゲイツを見て同じ気持ちであった。

 

「──ちょっと待て。お前がここに来たということは、元居た世界はどうなっているんだ?」

 

 ゲイツは尤もな疑問を口に出す。

 

「……飛流が俺をこの世界に送ってくれた」

「そんな……!」

 

 沈痛な面持ちで飛流が自ら犠牲になったことを語る。ツクヨミはそれを聞き、二の句が継げなくなる。

 

「奴め……」

 

 ゲイツにとって加古川飛流は最初から気に食わない男であった。常にこちらを敵視していることやアナザーゲイツの力を持つこと。そして、圧倒的な力を持っているのに復讐という個人的な理由に固執していること。

 ソウゴの話を聞いて最初から最後まで気に食わない男だと訂正する。ゲイツ自身が出来なかったことを成したことが気に入らない。それに対して少なからず感謝の念を抱いてしまっている自分自身も気に入らない。

 

「味な真似を……」

 

 その言葉がゲイツなりの飛流に対する感謝の言葉であった。

 

「……ねえ、ウォズは?」

 

 ソウゴは周囲を見ながらウォズが見えないことに気付く。一緒のタイミングで飛ばされてきた筈だが一向に現れない。

 

「そういえば……」

「放っておいてもその内姿を見せるだろう?」

 

 ゲイツの言う通り、神出鬼没のウォズならば彼の話をしていたら『私をお探しかい? 我が魔王』と言って何処からともなく現れる。そんなイメージがあった。

 しかし、どういう訳だろうか。この時のソウゴにはいつまで経ってもウォズが傍に現れることは無い、というネガティブなイメージが浮かんでいた。

 何かしらの根拠がある訳では無い。ソウゴの直感が何故かそう囁くのだ。

 その時、突然地響きが起こる。別世界に連れて来られていた人達は度重なる異変に悲鳴や戸惑いの声を上げた。

 

「うわあ! 地震だ!」

「何だよ! 今度は何だよ!」

「きゃああああああ!」

 

 集団パニックが起こり始め、誰もが訳が分からないまま突発的な行動に走ろうとする。

 ソウゴたちは周りの人々を何とか宥めることを試みるが、混乱している彼らの耳にはソウゴたちの声は届かない。

 そんなことをしている間も地震が段々と大きくなってくる。

 やがて、地面の中から巨大な構造物が迫上してきた。

 

「何あれ……?」

 

 土を固め、周りを石で囲んだものを土台とし、その中に同じ形のものを作り上げ、更にそこにもう一度同じものが作られた三段構造。

 見た目は古き王や権力者が眠る為の墓である古墳。詳細に言うならば前方後円墳に近い形をしていた。

 パニックになっていた人々は急に現れた古墳を見て、現れたのが古墳なのは理解した。だが、何故古墳が出て来たのかが分からない。度を超えて意味不明な現象のせいで逆に冷静になりパニックも沈静化する。

 ソウゴたちも他の人々と似た様な心境であった。呆然とした様子で古墳全体を眺めるソウゴたち。

 古墳の三段目の円形部分はより高く土を盛られて高台になっており、こちらを見下ろせそうであった。

 

「あっ!」

 

 ソウゴは気付いた。ゲイツとツクヨミも気付いた。高台に人の姿があり、それが自分たちの知る人物であることに。

 

「ウォズ……!」

 

 見つけることが出来なかったウォズが何故か高台の上に立っている。

 

「ウォ──」

「祝えっ!」

 

 ソウゴが名を呼ぼうとした時、ウォズが八里四方へ響き渡る彼の代名詞というべき台詞によって掻き消されてしまう。

 その声に合わせて古墳に炎が走り、炎が消えるとその跡に重厚な装甲を持つ兵士たちが旗を掲げて並んでいた。

 肩マントの様な下に伸びる肩装甲。金、青、黒の三色で構成された金属の鎧。目と思わしき部分には横に伸びたスリットがある。

 並び立つ兵士たちにソウゴたちは見覚えがあった。

 

「何であれが……」

「あれはカッシーン!? 何故ここに!?」

「どういうことなの? 全然分からない……!」

 

 兵士たちの名はカッシーン。オーマジオウの忠実な僕である機械兵士。ソウゴ、ゲイツも以前戦ったことがある。

 

「どうしてここに……? まさか、オーマジオウが現れるというのか!?」

「それは……違うかも」

 

 ゲイツの予想をソウゴは否定する。何故だ、と言われたら答えることが出来ないが。今のオーマジオウがこの様な行動を起こすとは到底思えなかった。

 周囲の人々も突然現れ、突然叫んだウォズに呆気にとられているのか騒めきも無く沈黙した様子でそれを眺めている

 

「過去と未来をしろしめす時の王者! 常磐ソウゴが真の大魔王となった瞬間である!」

 

 続いてウォズから宣言されたのはソウゴが大魔王となったというもの。これにはソウゴたちも絶句してしまう。

 ウォズが何を考えているのか分からないことは多々あった。それでも何だかんだで上手く付き合えていると思っていた。しかし、今回のウォズの行動は全く意図が伝わってこない。

 あの戦いを生き抜き、勝ち残った後にしてはウォズのこの行動には慎みが無いというべきか、もっと言えば空気の読めていない奇行としか表現できない意味不明なものであった。

 周囲の人々もこれには言葉を失う──と思いきや。

 全員が黙ったまま何故かソウゴを凝視してきた。全員が揃ってソウゴを見ている。中には顔見知りがいるかもしれないが大半は名前も知らない初対面の人々ばかりである。ソウゴたちは周りの反応に不気味さを覚える。

 

「何これ? 何が起こっているの……?」

「何故奴らはソウゴのことを知っている?」

 

 ゲイツ、ツクヨミの尤もな疑問を浮かべるもウォズはそれを無視して事を進めていく。

 

「いざ、常磐ソウゴよ。──玉座へ」

 

 ウォズが立つ高台には獣皮であしらわれた玉座が設置されてある。ウォズはそこへソウゴを導こうとする。

 

『おおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 人々から歓声が上がった。ソウゴが大魔王となったことを祝福するかの様に。しかし、ソウゴたちからすれば周りの反応は異常でしかない。いきなり未知の地に連れて来られ、混乱したり自分たちの身の安全を優先するよりも先にソウゴのことを祝っているのである。

 

「ソーウーゴ」

 

 誰かがソウゴの名を呼ぶ。

 

「ソーウーゴ」

「ソーウーゴ」

 

 それに呼応して始まるコール。

 

「ソーウーゴ」

「ソーウーゴ」

「ソーウーゴ」

「ソーウーゴ」

「ソーウーゴ」

 

 名を叫び人の数はどんどん増えて行く。

 

『ソーウーゴ! ソーウーゴ! ソーウーゴ! ソーウーゴ!』

 

 最後にはこの場にいる全ての人々が拳を振り上げながら一心不乱にソウゴの名を叫び続け、地響きの様なコールが繰り返される。

 よく言えば熱狂、悪く言えば狂気を帯びた人々の祝福。ソウゴたちが感じたのは後者。ソウゴが大魔王となったことを祝う者たちの目には正気が感じられない。

 戸惑っているソウゴたち。群衆は自ら人混みを割り玉座までの道を作り上げる。

 

『ソーウーゴ! ソーウーゴ! ソーウーゴ! ソーウーゴ!』

 

 立ち尽くしているソウゴの背を群衆が押し、彼を玉座まで導こうとする。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 抵抗する間も無く玉座まで運ばれていくソウゴ。

 

「ジオウ! ──うおっ! 何をする!?」

「止めて! 離して!」

 

 ゲイツとツクヨミがそれを止めようとするが、群衆は彼らの腕や衣服を掴んで阻む。

 ソウゴは気付けば古墳の前にまで来ていた。目の前には高台まで上る為の階段がある。周りを見ると人々がソウゴを取り囲み、逃げ道を塞いでいた。ソウゴはもう古墳を上っていく選択しかない。

 一段一段古墳を上がって行くソウゴ。ウォズはその姿を無表情で見下ろしていた。

 ソウゴが玉座へと辿り着いた時、ソウゴは目を見開いた。

 玉座を囲む様に並び立つ数名の男たち。全員がウォズと同じ服装をしている。その中でも玉座を挟む様にして立つ二人の男。その内の一人はソウゴが戦国時代に会い、戦った男──カゲン。あの時のジーパン、革ジャンではなくウォズと格好になっている。もう一人はゲイツと戦ったジョウゲン。彼もまた周りと同じ格好をしている。

 そして、中央に置かれている玉座。そこに彼が居た。

 先程まで誰も座っていなかった玉座に威風堂々と座る赤い衣の男。その眼光、全身から発せられる気、全てが他者を圧する。

 

「良い面構えになったな」

 

 玉座に座る男は開口一番にそう言った。まるでソウゴのことを知っているかの様に。

 

「とても替え玉には見えないぞ」

 

 続いて放たれた言葉にソウゴは混乱する。意味は分かるが、何故そんなことを言われたらのか理解するのに思考が追い付かない。

 

「あの時のガキがここまで成長するか。──全く、王というのも難儀なものだ。適当に選んでも当たりを引いてしまう」

「はい。我が魔王」

 

 男の軽口に対し、ウォズはソウゴに使うべき『我が魔王』という言葉で答える。

 

「ウォズ……?」

 

 色々と聞きたいことがあるソウゴだが、ウォズのその一言で吹っ飛ばされた。

 

「──ああ、言い忘れていたな」

 

 男はソウゴに傲慢な笑みを浮かべながら覇気に溢れた両眼で射抜く。

 

「頭が高い。跪け」

 

 不可視の圧力がソウゴの体に掛かり、立っていられなくなり男の前で強制的に跪く体勢になってしまう。

 

「ソウゴ!」

「ジオウ!」

 

 異常事態が起きていると察したゲイツとツクヨミは未だにソウゴの名を叫び続けている群衆を掻き分けてソウゴの許へ向かい出す。

 圧して来る力に抗おうとするソウゴ。両手で踏ん張り体を起こそうとするが、肩に衝撃加えられ再び崩れそうになる。

 必死になって見上げると男がソウゴを見下ろしながら、ソウゴの肩に足を乗せていた。

 

「あんたは……?」

 

 力を跳ね返すことは出来ずとも睨み付けながら問うことは出来る。

 

「常磐SOUGOだ」

 

 自分と同じ名にソウゴは動揺する。

 

「今まで替え玉を良く努めてくれた」

 

 労いの言葉。しかし、その声は冷ややかなものであった。

 

「ふん!」

「うあっ!」

 

 SOUGOがソウゴの顔面を蹴り付ける。ソウゴは横に飛び、高台から斜面に落ちて斜面を転がり落ちていく。

 最上段から最下段まで転がり落ちたソウゴは呻き、すぐには動けなかった。

 

「ソウゴッ!」

「ジオウッ!」

 

 古墳を上り、高台近くまで来ていたゲイツたちは古墳を落ちていくソウゴを見て慌てて引き換えそうとする。だが、その道をカッシーンたちによって塞がれる。今まで旗持ちとして立っていただけだったのに急に動き出した。

 

「明光院ゲイツとツクヨミ──いや、アルピナだったな」

 

 ソウゴを蹴り飛ばしたSOUGOは二人に声を掛ける。

 

「お前たちも随分と成長したみたいだ。俺達にとっては嬉しい誤算とも言える」

 

 SOUGOは二人に向けて手を伸ばす。

 

「どうだ? 俺達の仲間にならないか?」

 

 二人に向けて勧誘の言葉を送った。

 

「ふざけるな!」

「一体、貴方たちは何者なの!?」

 

 聞く気が無い様子のゲイツたちにSOUGOは一笑して伸ばした手を引っ込める。

 

「俺達はクォーツァー。歴史の管理者だ」

 

 教えられた組織の名。そして、規模の大き過ぎる役目に啞然とさせられてしまう。

 だが、ゲイツは一早く正気に戻り、SOUGOではなくウォズを大声で呼ぶ。

 

「どういうことだ!? お前もクォーツァーだったというのか!? レジスタンスだけでなくオーマジオウやジオウのことも欺いていたというのか! 答えろ! ウォズ!」

 

 今までソウゴに尽してきたことはクォーツァーの為にした噓偽りに過ぎないのかと問い質すゲイツ。

 

「……私が君の質問に答える義務なんてない」

 

 ウォズの答えは冷徹に突き放すものであった。

 

「なら力尽くでも答えてもらうぞ!」

 

 ゲイツがジクウドライバーを装着しゲイツライドウォッチ、ゲイツリバイブライドウォッチを両手に構える。ツクヨミも同じくジクウドライバーを装備してツクヨミライドウォッチを取り出した。

 

「おいおい」

 

 ゲイツたちの行動に対しSOUGOは苦笑を浮かべる。

 

「俺の誘いよりもウォズの方が優先か? 大事にされてるなぁーウォズ」

 

 SOUGOが嫌味っぽく言うとウォズは大仰に頭を下げた。

 

「申し訳ございません。彼らは少々礼儀が欠けているので」

 

 ゲイツたちを小馬鹿にした受け答えするウォズにSOUGOは凄絶な笑みを浮かべる。

 

「なら、俺直々に躾てやるとしよう」

「──我が魔王の御意思のままに」

 

 SOUGOはある物を取り出し、装着する。

 

『ジクウドライバー!』

 

 それはゲイツたちと同じジクウドライバー。

 

「なっ!?」

「どうして貴方がそれを!?」

「俺達が作った物を俺達が持っていて何がおかしい?」

 

 驚いている二人を嘲る様に答える。

 ジクウドライバーを持っているのならば、当然アレも持っている。二人の内心に応えてSOUGOはそれを取り出した。

 

『バールクス!』

 

 未知なるライドウォッチから発せられる未知なる名。ライドウォッチの状態でも尋常ではない力を感じ取れる。それこそグランドジオウライドウォッチに匹敵、否それ以上かもしれない。

 SOUGOはジクウドライバーのスロットにバールクスライドウォッチを挿し込む。背後に出現する黄金の時計盤。時計盤周りは飛蝗の薄羽と脚によって飾られ、無機物と有機物が融和した形となり長針、短針の中央にあるSの字に似た秒針が時を刻み込む。

 SOUGOは右手を高々と上げ、頂点で手首を返すとゆっくりと下ろす。眼前で右手を翳す形となるとその言葉を叫ぶ。

 

「変身!」

『ライダーターイム!』

 

 長針、短針が左右に開き、『ライダー』の文字が時計盤に浮かび上がる。

 時計盤から文字が飛び出すと共にSOUGOの体から太陽の如き閃光が放たれ、ゲイツたちは眩しさから思わず顔を背けてしまう。

 

『仮面ライダーバールクース!』

 

 光の中に『ライダー』の文字が飛び込むと閃光は消え、そこには一人の仮面ライダーが立っていた。

 黒と黒緑の全身。両肩、額、口部を覆う黄金のムーブメント。赤色に輝く『ライダー』の複眼がゲイツたちへと向けられた。

 

「祝えっ!」

 

 ウォズが片手を振り上げる。他のクォーツァーたちもウォズに続いて片手を上げた。

 

「太陽と月の名の下に世に理を紀す創造の王者! その名も仮面ライダーバールクス! 真の大魔王が降臨した瞬間である!」

 

 バールクスの登場を祝福によって彩ってみせるウォズ。そんな彼をゲイツは睨むがウォズは彼に視線を向けることはしなかった。

 

「さあ、変身しろ。待っていてやる」

 

 尊大な態度で変身を促すバールクス。癪に障る態度であったが、仮面ライダーにならなければ話にならない

 

『変身!』

『ライダーターイム!』

 

 ゲイツとツクヨミは揃って変身する。

 

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈! 剛烈!』

『仮面ライダーツクヨミ! ツ・ク・ヨ・ミ!』

 

 仮面ライダーへと変身した二人は一気に駆け出して距離を詰める。バールクスはそれを悠然とした態度で待つ。他のクォーツァーもその場から一歩も動かない。バールクスの強さに対する絶大な信頼が感じられた。

 ゲイツリバイブはジカンジャックローを突き出し、ツクヨミは光刃を振るう。そこから起こる出来事は一瞬のことであり、ゲイツリバイブたちは認識することは出来なかった。

 何をしたのか分かるのはバールクスのみ。

 バールクスはまず迫って来ていたジカンジャックローを蠅でも掃うかの様に手の甲で弾き、返す力でツクヨミの手首を手刀で叩く。この一撃により二人の体勢は大きく崩されると、バールクスは肘から伸びる刃状の突起にて二人を一振りで斬り付けた。

 

「ぐあっ!」

「きゃあ!」

 

 攻撃されたと理解した時には二人とも地面を転がり回っている。

 

「何だこのスピードとパワーは……!」

「強い……!」

 

 ゲイツリバイブは全く見えなかったバールクスの動きと剛烈の装甲に裂傷を与える力に戦慄する。ツクヨミもまたゲイツリバイブと同様の感想を抱いていた。

 たった一度の攻防で感じ取ってしまう互いの実力差。しかし、ここで止まる訳にはいかなかった。

 

「ならば!」

『スピードターイム!』

「待って、ゲイツ!」

 

 ツクヨミの制止を無視してゲイツリバイブは剛烈から疾風へ形態を変える。

 

『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風! 疾風!』

 

 どれ程通用するかは分からないが、ゲイツリバイブ疾風の最高速を以ってバールクスに一撃を与えることを決意したゲイツリバイブ。ジカンジャックローをのこモードからつめモードへ切り換えると、一歩踏み込み瞬時に最高速度に達する。

 ゲイツリバイブ本人も感覚が追い付くかどうかギリギリの速度でバールクスに接近すると、擦れ違い様その首筋にジカンジャックローを振るった。

 確かな手応えを感じ取ったゲイツリバイブ。一気に上昇して斬り付けたバールクスを見下ろすと、こちらを見上げているバールクスと目が合う。

 

「何かしたか?」

 

 ゲイツリバイブの覚悟の一撃をせせら笑うバールクス。一撃を与えた筈なのにバールクスはどう見ても無傷であった。

 

「ならば!」

 

 もう一度攻撃を仕掛けるゲイツリバイブ。空から急降下し、最高速度で擦れ違い様にバールクスの首を断つ勢いで斬り付ける。

 先程と同じ感覚がジカンジャックローの爪に伝わり、そのまま離脱しようとするとジカンジャックローが何かに掴まれてしまい、肩が脱臼しそうな勢いで急停止させられる。

 

「ぐああああっ!」

 

 肩の激痛に耐えながらバールクスの方を見るゲイツリバイブ。そして、何故バールクスが無傷なのかを知った。

 ジカンジャックローの爪がバールクスの喉に突き刺さっている。しかし、その周辺は液体状に変化しており、ジカンジャックローはその部分に絡め取られていたのだ。

 

「痛くも痒くもないな──バイオブレード!」

 

 バールクスが叫ぶとジクウドライバーから鍔の無い両刃の直剣が抜き出し、その刃でゲイツリバイブの翼を斬り落とす。

 

「があっ!」

 

 飛べなくなったゲイツリバイブに顔面に拳を打ち込むバールクス。ジカンジャックローから手を離し、殴り飛ばされるゲイツリバイブであったが──

 

『シャドームーン!』

「はっ!」

 

 バールクスの手から放たれる緑の稲妻状の光線を浴び、それによって拘束されてしまう。

 

『フィニッシュタァァイム!』

『バールクス! タイムブレーク!』

 

 空中で藻掻くゲイツリバイブを尻目にバールクスはジクウドライバーを操作し、バールクスライドウォッチの力を解放。

 光線を放射している手を手前に引いてゲイツリバイブを引き寄せると、赤色に輝く拳でゲイツリバイブを迎え撃つ。

 

「はあっ!」

「ぐあああああああ!」

 

 鳩尾に突き刺さる拳。その一撃によって変身は解除され、気絶しているゲイツはバールクスの足元で横たわる。

 

「ゲイツ!」

 

 ツクヨミがゲイツを呼ぶが反応は無い。このままでは全滅すると思ったツクヨミはバールクスたちに掌を向ける。

 そこから放たれる波動によって時間は停止。誰も動けなくなった。

 この隙に二人を救出し、この場から離脱することを決めたツクヨミは、まずはゲイツを助け出そうと動くが──

 

「中々強力な力だ。気に入った」

 

 静止した時の中で響き渡るバールクスの声。慄くツクヨミが見たのは、時間停止の影響を受けずに動いているバールクス。

 

「知らなかったか? お前では王の時間は止められない」

 

 バールクスはジクウドライバーの左右を両拳で挟む格好をとる。バールクスの両腕にあるライドウォッチホルダーに填め込まれた四つのライドウォッチを見せつけ、叫ぶ。

 

「キングストーンフラッシュ!」

 

 バールクスライドウォッチと四つのライドウォッチから放たれる凄まじい光。太陽の光すらも凌ぐ光が衝撃となったツクヨミを襲う。

 

「きゃああああ!」

 

 光はツクヨミを吹き飛ばすだけに留まらず、時間停止の力すらも消し飛ばしてしまい、ツクヨミの能力が強制的に解除される。

 キングストーンフラッシュの閃光で吹き飛ばされたツクヨミは、変身を解除されてしまいゲイツと同じく気絶してしまった。

 

「まあ、こんなものだろうな」

 

 当然の結果だと言わんばかりの態度で自らの勝利に酔うことはしない。代わりにその拳を突き上げた。

 

『SOーUーGO! SOーUーGO! SOーUーGO! SOーUーGO!』

 

 群衆は忘我のままバールクスの勝利を讃え続ける。

 ソウゴたちが倒れ、群衆はその現実を祝う光景。ウォズはそれを痛みに耐える様な表情で黙って見ていた。

 




ここから劇場版の話となります。初っ端からバールクスの出番を盛りました。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。