アナザーライダーの原動力とは何か? 目的は個々によっては異なるが共通するものもある。それは目的の為ならば他人を犠牲に出来ること。
あるアナザーライダーは我が子を救う為に見ず知らずの人間を昏睡状態にした。あるアナザーライダーは恋人の命を存えさせる為に他人の命を奪って、恋人に与えた。
そうやって目的の為ならば躊躇なく他人を犠牲にするのがアナザーライダーの共通と言える。
ならば、それを忌避する者がアナザーライダーになったのならばどうなるのであろうか?
アナザージオウは二刀流の剣を振るい、カッシーンに斬撃痕を刻む。しかし、思っていたよりも傷は浅く、カッシーンは攻撃を受けながらも反撃をしてきた。
「くっ!」
三又槍を上手く剣で逸らしながらカッシーンの脳天に長針を模した剣を叩き込み、頭部を真っ二つにするとカッシーンはやっと止まる。
一体倒すだけで異常な疲労がアナザージオウの中のソウゴを襲う。
アナザージオウは加古川飛流の恨みと憎しみの力によって産み落とされたジオウのアナザーライダー。しかも、飛流がソウゴに向ける憎悪が生半可なものではない為にアナザージオウを超えてアナザージオウⅡにまで成長させた。
しかし、今のソウゴが変身しているのはアナザージオウ。元の力よりも大幅に弱体化してしまっている。
理由としてソウゴの戦いの原動力が憎悪ではないこと。他人への悪意で戦うことをしないのでアナザージオウⅡの力の糧にはならず、更にアナザージオウⅡに変身することで本来ならば増幅する筈の負の感情を、ソウゴが持ち前の精神力で押さえつけていることによりアナザージオウⅡの力も抑止された。
結果としてソウゴはアナザージオウの姿で戦うことを余儀なくされる。
カッシーンが突き出した三又槍に短針に似た剣を縦に構える。又部分に剣が入ることで三又槍は止められ、その状態で手首を返すことにより槍を絡め、カッシーンの体勢を崩す。
間髪入れずがら空きになった胴体に長針の剣で撫で斬る。カッシーンの胴体から火花が飛び散り、機能停止する。
感覚としてジオウⅡに変身した時に近いものを感じた。アナザージオウの力に慣れないせいでやや体が重く感じるが、それでもジオウⅡの時に近い動きが出来る。
しかし──
「うぅ……」
胸の内に普段の戦いには無い不自然な高揚感と戦闘衝動が湧き立ってくる。目の前の敵ともっと倒せ、もっと滅茶苦茶にしろ、もっと壊せというアナザージオウウォッチによる声無き強要。実際、カッシーンを倒した時感じたことの無い爽快感がソウゴを貫く。今までの戦いでは経験したことの無いそれに拒否感と気持ち悪さを覚えた。
だが、その不愉快な感覚は戦えば戦う程に熱の様に体の内に籠って行く。いずれは爆発するのではないかと不安を抱く。
「とおぉぉっ!」
その不安と消し去る気迫に満ちた雄々しい声が耳に飛び込んできた。
光太郎ことバッタ男がバッタの脚力を生かした中段蹴りをカッシーンの脇腹へ打ち込む。カッシーンの鋼の体にその蹴りは受け止められる。すると、すかさず二発目が同じ箇所へ命中。脇腹が足の形に凹み、間髪入れずにそこへ三発目の蹴りを直撃させ、凹みを亀裂に変えた。
脇腹から火花と部品を零すカッシーンだが、その状態からでも三又槍をバッタ男へ振り下ろす。バッタ男は頭上から来る振り下ろしに対し、片腕で防いだ。
だが、特殊な改造を施された外骨格でも生体には違いないので受け止めた腕には罅が入り、その罅からは体液が滲み出る。滲み出る体液は人の──
「たあぁぁ!」
バッタ男は肘打ちを弱点となっている脇腹へ繰り出す。ただの肘打ちではな無い、バッタ男の腕には無数の突起が生え揃っている。それによって殺傷力を高められており、カッシーンの脇腹に突起が引っ掛かると力任せに腕を動かし、損傷個所を広げながら抉る。
胴体が半ばまで抉られたカッシーンは遂に機能停止して動かなくなる。
勝っても次のカッシーンがバッタ男に挑み、彼に休む暇を与えない。だが、それに屈することなくバッタ男は全力で戦う。
快勝などとは程遠い血や汗を流し続ける戦い。華麗さなど無く泥臭く戦い続ける。しかし、その戦いには紛れもなく熱があった。戦士が闘志を燃やすことで生まれる同じ戦士が感じ取れる熱が。
アナザージオウはその熱とバッタ男の魂の声を背中で感じることで闇に引っ張られそうな心が浄化されていく思いであった。
自分の背後にはこれ程までに頼もしい存在がいる。ならばこそ無様な戦いを見せられない。バッタ男の熱がアナザージオウにも伝わり、活力となる。
アナザージオウは二本の剣の柄頭を繋ぎ合わせ両剣に変えると、手を腹部に装着されている黒いジクウドライバーの前を通過させる。
黒いジクウドライバーに付けられたアナザージオウウォッチが黒とマゼンタを合わせた色に輝く。
「はっ!」
両剣を振り抜くと時計盤型の斬撃が周囲に広がり、アナザージオウを囲っていたカッシーンの胴体を通過。その一振りによりカッシーンの下半身から上半身がずり落ちる。
その時、アナザージオウの頭の中にある光景が浮かび上がる。それに戸惑いつつもアナザージオウは叫ぶ。
「光太郎! 跳んで!」
バッタ男はアナザージオウの突然の声に驚きながらも体は既に動いており、なるべく敵の居ない場所へ跳んでいた。
直後にバッタ男が居た場所に真上から光弾を降り、床を破壊する。バッタ男が見上げると天井付近に飛行ユニットで滞空しているカッシーンが居り、背部から大型のクローアームを展開し、そこから光弾を発射していた。
周りのカッシーンに気を取られていたせいで着弾まで全く気付くことが出来なかった。アナザージオウが声を掛けていなかったらバッタ男の体では致命傷を負っていたかもしれない。
そして、同時に疑問に思う。アナザージオウは未だにこちらに背を向けた態勢でカッシーンらを相手取っていた。すると、カッシーンが動く前にアナザージオウが右へ一歩動く。そのすぐ後にカッシーンが三又槍を振り下ろすが、そこにいるべき筈のアナザージオウは居らず、空振りした所を両剣で一刀両断にされる。
全く見向きもせずに頭上のカッシーンの存在に気付いたことと先程の動きといいバッタ男は歴戦の直観から一つの推測を立てる。
(まさか君は未来を予測することが出来るのか!?)
そうなればこれ以上無い程に心強い。そして、何よりも嬉しく思うのはバッタ男という異形の姿になっても恐れることなく光太郎と呼び続けてくれることであった。
バッタ男として戦う姿など誰にも見せた事が無い。そもそも、光太郎にとってもバッタ男の姿は過去の辛い記憶を呼び覚ます。
ゴルゴムによって生体改造された時のこと、同じく改造されていた信彦を救う事が出来なかったこと、自分を救ってくれた養父の死、幸福の絶頂から絶望の底まで落とされた記憶を嫌でも思い出す。
自分を恐れることの無い存在に自分の背を預けて戦う。一人では戦い続けることは出来ないことを嫌でも知っている。だからこそ、アナザージオウの存在を大きく感じる。
(これが……もし……)
姿形が似ている訳では無い。ただ両刃の剣を振るう姿、二刀流を構える姿がどうしても彼を連想してしまう。
(もし……信彦なら……俺の馬鹿野郎! 何を考えている!)
考えると同時に共に戦ってくれているアナザージオウに対し途轍もなく失礼な事を思ってしまった自分を恥じ、その邪念を振り払うが如くがむしゃらにカッシーンと戦う。
突き出された三又槍の柄を掴んで押さえ込むバッタ男。すると、クローアームがカッシーンの背部から伸びてバッタ男の首を絞めようとする。
「はあっ!」
バッタ男の上段蹴りがクローアームに打ち込まれ、クローアームを一本へし折る。もう一本の方でバッタ男を掴もうとするが、バッタ男はすぐに側面へ回り込み、伸ばされたクローアームを逆に掴むと関節部分に手刀を打ち下ろす。
一撃目で関節部分が逆に曲がり、二撃目で内部のコードが露出。二本のクローアームを使用出来なくするとバッタ男はすかさずカッシーンの頭部に前蹴りを命中させ、頭部を破壊して機能停止させた。
普段とは違う姿で戦うことで苦戦を強いられると思いきや徐々にカッシーンを圧倒し出す。理由はアナザージオウとバッタ男がお互いの存在によって奮起し、精神面を安定させている影響が大きい。
「やあっ!」
アナザージオウは空から攻撃を行おうしていたカッシーンに両剣を投擲する。両剣はカッシーンの胸部を貫き、空中で爆散させた。これにより残りのカッシーンの数は残り二体にまで減る。
アナザージオウは再び黒いジクウドライバー前に手を通す。すると、黒い光に縁取られたマゼンタ色の『ZIーO』という文字が二体のカッシーンの周りに幾つも出現し、カッシーンたちの逃げ道を塞ぐ。
「光太郎! 行くよ!」
「ああ! とおっ!」
アナザージオウとバッタ男は同時に跳躍。必殺の一撃を繰り出す予備動作にカッシーンらはすぐに逃げようとし、『ZIーO』の文字に三又槍で払う。
その行動が命取りとなった。三又槍を打ち付けられた途端、『ZIーO』の文字群は最も鋭利な箇所でカッシーンたちを全方向から刺す。
『ZIーO』が攻撃に反応し、自動的に反撃を行う。逃げ道をこじ開けるどころかこの場に縫い止められてしまった。
『ぐおおおおおっ!』
同じ声、同じタイミングで同じ内容の苦鳴を上げるカッシーンたち。身を捩って拘束を外そうとするが無駄であった。
アナザージオウとバッタ男は最高点に達するとそこから急降下。共に右足を伸ばしてキックの体勢へ移行。アナザージオウの右足は文字と同じく黒とマゼンタに輝き、バッタ男の右足は発光することは無かったが、右足に力を集中させたせいか右膝から下の外骨格が膨張した筋肉により軋み音を立てる。
「ライダァァァキィィック!」
その一撃に魂を込めてバッタ男は技の名を叫ぶ。
仮面ライダーの代名詞というべき技はカッシーンたちの胴体を貫き、その際に駆け巡る衝撃によって爆散。
燃え上がる真紅の爆炎を背に受けながらアナザージオウとバッタ男は並び立つ。
変身を解き、人の姿となる二人。その途端、光太郎の膝が折れる。長期間の監禁からの戦闘である。それに加えて慣れないバッタ男の姿で戦った。大分消耗してしまい、万全な状態の彼ならばまず無いであろう緊張の糸が途切れてしまい、心身の疲労という形で重く圧し掛かってきたのだ。
光太郎が手を地面に着ける前にソウゴが光太郎に肩を貸す。
「大丈夫?」
ソウゴもまた慣れないアナザージオウの力で戦った直後で疲労している状態であった。その証拠にソウゴの両脚がガクガクと震えている。しかし、そんなことなど気にすることなく光太郎の心配をする。
「ありがとう……」
そのありがとうには二つの礼が込められていた。バッタ男となった自分と一緒に戦ってくれたことへの礼。そして、バッタ男というもう一つの姿を知って尚躊躇することなく肩を貸し、心配をしてくれたことへの礼。
「いいってお礼なんて。俺だって光太郎に助けられたし」
バッタ男云々に関しての礼はソウゴには伝わっていない。ソウゴからすれば姿形が変わろうが光太郎は光太郎でしかない。バッタ男、改造人間などということはすっぽりと頭から抜けており気にすらしていなかった。
「──さあ、行こう! 今なら奴らに包囲される前に外へ脱出出来る筈だ!」
ソウゴはそれに頷き、二人は外へ目指して歩き出す。
◇
屋敷の外へ脱出出来たゲイツとツクヨミは鬱蒼とした森の中を走り抜けていた。
「ツクヨミ! 追手は来ているか!」
「ううん! まだ来てない!」
時折、後方を確認しながらクォーツァーの追手が居ないかどうかを確認する。しかし、どういう訳か追手の気配が全く無い。そもそもあの屋敷からあっさりと出られた。相手の意図が分からない。逃げている自分たちを弄んでいるのか、それとも別の企みがあるのか。
生い茂る木々を避けながら進んでいくと開けた場所が現れた。
そこに着いた時、ふと違和感を覚えて二人は空を見上げる。上空ではダイマジーンたちが手を繋ぐように並び、巨大な七角形を作り上げ何かの準備を始めている。
「何だあれは……?」
ダイマジーンを召喚したということは、てっきりこの世界を破壊し尽くすものだと思っていた。しかし、破壊活動はせずに空に不気味な図形を描いていることに別の目的を感じる。
「クォーツァーは一体何を企んでいるの……?」
「安心したまえ。我々のすべきことに君たちは何の関わりも影響も無い」
木に背中を預け、ペラペラと『逢魔降臨暦』を捲っているウォズがそこに居た。
「ウォズ……!」
ゲイツは裏切られたことへの怒りを燃やした瞳でウォズを睨み付ける。
「ウォズ……」
裏切られたことへの戸惑いと悲しみに満ちた目でツクヨミは彼を見る。
名を呼ばれてウォズは『逢魔降臨暦』を閉じ、二人の近くへ歩み寄って来る。
「あれは何だウォズ!」
頭上のダイマジーンについて問う。
「言った筈だ。君たちには何の関係も無いことだと」
答えている様で答えになっていないウォズの返し。
「ウォズ、貴方は本当に──」
ツクヨミが最後まで言う前にゲイツがそれを制止する。
「結局、奴は敵だった。……それだけだ。下がっていろ、ツクヨミ」
ツクヨミに、そして自分に言い聞かせる様なゲイツの言葉。すると、ウォズはゲイツに向けてあるものを投げ放つ。
投げられた物に驚愕しながらゲイツはそれを受け止める。ウォズが投げたのはゲイツライドウォッチ、ゲイツリバイブライドウォッチ、ジクウドライバーであった。
「どういうつもりだ……?」
「丸腰の君と戦っても意味が無い──決着を付けようじゃないか? ゲイツ君」
敵に対して自ら武器を与える行為にゲイツは戸惑いを覚える。
「こんな勝手な真似をして良いのか?」
「彼らは私に君たちの始末を任せた。だが、手段までは指定されていない。なら、正々堂々と君たちを討とうと思ってね」
ウォズの腹部には既にビヨンドライバーが巻かれており、続いてギンガミライドウォッチを起動させる。
「裏切り者と思われても構わないが、卑怯者と思われるのは心外でね」
『ギンガ!』
その言い様にゲイツは一瞬だけ笑い、すぐに表情を引き締めるとジクウドライバーを装着。両手でゲイツライドウォッチとゲイツリバイブライドウォッチのスイッチを押す。
『ゲイツ!』
『ゲイツリバイブ! 疾風!』
二人は同時にスロットにウォッチを挿し込む。開戦の言葉の代わりにその言葉を叫んだ。
『変身!』
『ライダーターイム!』
『ファイナリータイム!』
共に発生する時計盤型のエネルギー。ゲイツからは『らいだー』の文字、ウォズからは星々を伴った『ギンガ』の文字が飛び出し、二人に先行して衝突。文字と星々が入り混じる中で二人の姿は仮面ライダーと化す。
『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ・疾風! 疾風!』
『ギンギンギラギラギャラクシー! 宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー! ファイナリー!』
ゲイツリバイブ疾風、ウォズギンガファイナリーの初撃。瞬間、ゲイツリバイブは青い疾風となってウォズとの距離を瞬時に詰める。その動きに反応し、エナジープラネットを纏わせた掌打を繰り出すが、ゲイツリバイブの動きはウォズの反応に一歩勝り、掌打を放つ腕が伸び切る前にウォズの脇腹へジカンジャックローの爪による一撃を与えた。
「ぐうっ!」
持ち前の装甲によってダメージを最小限にまで抑えることが出来るが、それでも完全に消すことは出来ない。ダメージによる一瞬の硬直はゲイツリバイブに二手、三手の猶予を齎す。
ウォズの脇腹を斬り付けながら通り過ぎるゲイツリバイブ。ウォズが振り返る前にすかさず反転してその背に一撃。
「ぐっ!」
息を詰まらせるウォズの正面に回り込むと、その側頭部に神速の蹴りを打ち込んだ。
首が傾くウォズ。しかし、倒れる程のダメージは負っていない。次なる一撃を与えようとしていたゲイツリバイブだが、ウォズもまた既に行動を起こしていた。
速度では勝てないと理解しているウォズ。ゲイツリバイブのペースに嵌れば抜け出すことは容易ではない。故に最初の掌打を外した時から相手の数手先を予測して動いていた。
右手に纏わせたエナジープラネットを正面にいるゲイツリバイブではなく、自分の胸前に伸ばす。それを迎えるのは左手のエナジープラネット。
ゲイツリバイブは何をするか気付いたが、今度はウォズの方が速かった。
エナジープラネット同士が衝突し、空間が歪む様なエネルギーがドーム状に広がる。
「ぐおおおっ!」
自爆同然の攻撃によって吹き飛ばされるゲイツリバイブ。一方でウォズの方は爆心地の中心で平気そうに立っていた。エナジープラネットの源である太陽光によって生成されるピュアパワーを身体に満たすことで事前に守りを固めており、それによってエナジープラネットが放ったエネルギーを中和してみせたのだ。
吹き飛ばされていたゲイツリバイブだが、空中で態勢を整えると同じ手を食わない様に先程の攻撃の範囲内に入ることはせず、ウォズを中心にしてその周りを高速で移動し始める。
ウォズは周りを青い環によって囲まれる。ゲイツリバイブは段々と速度を増していき、青い残像すらも置き去りにして最終的にはウォズの周りを十数人のゲイツリバイブが過去形となった。
高速移動によって生み出された分身が一斉にジカンジャックローのスイッチを押す。ウォズもまたギンガミライドウォッチを外して操作。
『ワクセイ!』
『投影! ファイナリータイム!』
ウォズがフォームチェンジを行うタイミングでゲイツリバイブたちは一斉攻撃を開始。
『つめ連斬!』
無数の音声が重なりながら放たれるジカンジャックローの技。隙間を埋める様に密集して撃ち出される爪型の光弾が全周囲から迫る。
『水金地火木土天海! 宇宙にゃこんなにあるんかい! ワクワク! ワクセイ! ギンガワクセイ!』
ギンガファイナリーからワクセイフォームへと切り替わった瞬間、ウォズの体から同じく全周囲にエナジープラネットが展開される。
エナジープラネットが発生させる力場によって爪型光弾は軌道を捻じ曲げられ、全ての光弾がウォズを避ける様に逸れていく。
『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』
同時にこれはゲイツリバイブへの防御だけではない。次なる攻撃への布石でもあった。
『水金地火木土天海エクスプロージョン!』
周囲に展開されていたエナジープラネットが上空へと打ち上げられ、ゲイツリバイブの分身目掛けて落下。
ゲイツリバイブ疾風の持ち味である速度を潰す為に数と移動の制限を兼ねた星々の爆撃。
地面に触れたエナジープラネットは次々に爆発を起こし、ゲイツリバイブの分身らを消し飛ばしていき、最後にはウォズの周囲は白光に包まれる。
「ゲイツ!」
ツクヨミの叫びも掻き消す爆発音。
光が消え、爆発音が遠くへ木霊していくと残されたのはウォズとゲイツリバイブのみ。
「──流石だね」
ウォズはゲイツリバイブを称賛する。ゲイツリバイブは疾風から剛烈へ姿を切り替えていた。爆撃を躱せないと即座に悟るとダメージを最小限に抑える為に疾風から剛烈になり防御を固めたのだ。
全てを避け切りダメージをゼロにするという誘惑を振り切り、痛みを覚悟して耐える選択をしたゲイツリバイブの精神力は褒めるしかない。
「っおおおおお!」
爆発により体から白煙を立ち昇らせながらゲイツリバイブは両腕を盾の様に構えて突進。真っ直ぐ突っ込んで来るゲイツリバイブにウォズはエナジープラネットを撃ち出した。
ゲイツリバイブは回避動作すら見せず、エナジープラネットは命中。爆発が生じるがそれを身に受けてもゲイツリバイブは走る速度を一切緩めない。
「うおおおおお!」
「はあああああ!」
ウォズはエナジープラネットを連射。ゲイツリバイブはそれを浴びながら最短距離を突き進む。
惑星爆弾の弾幕を突き進んだ末に近距離まで辿り着いたゲイツリバイブは、のこモードのジカンジャックローを振り翳す。
『のこ切斬!』
渾身の力によって放たれる一撃。ウォズの顔面を打ち抜く為に真っ直ぐ伸びる。
「──君は相変わらず真っ直ぐだね」
しかし、その一撃もウォズの掌が難無くと受け止めてしまった。掌から発せられる宇宙のエネルギーが触れることすら許さない。
「ぐうぅぅ! お前が捻くれ過ぎなだけだ!」
それでも押し込めようとするゲイツリバイブ。しかし、丸鋸は空回りし続けるのみ。
「そうかもしれないねぇ! 結局、私と君とは根本が違うんだ!」
「根本が違う? 笑わせるなぁ!」
ウォズが逆にゲイツリバイブを押し返し始める。だが、ゲイツリバイブも力でそれに対抗し、両者の力は拮抗して不動の状態となった。
「俺が真っ直ぐ? 違う! 俺の最初の目的は奴を倒すことだった! 未来の為に理不尽に奴の命を奪おうとした! だが、ジオウはそんな俺を受け入れた!」
最初、敵すら受け入れるその器量に得体の知れなさを覚えると共に興味も抱いた。
「お前も最初はジオウを利用するつもりだったのかもしれない! だが、仲間として共に戦い、共に暮らすことでお前も感じたものがある筈だ!」
監視や仮初めから始まり、何時しか常磐ソウゴの仲間として在りたい。そんな気持ちが芽生えていた。
「俺とお前は似た者同士だ! ジオウと──ソウゴに惹かれた者同士だ!」
ゲイツリバイブの叫びと共に拮抗していた筈の力がゲイツリバイブへ傾く。触れる筈の無い宇宙のエネルギーすらもジカンジャックローが削り取り、ウォズの掌を弾く。
「ウォズ!」
ゲイツリバイブの拳がウォズの頬へ突き刺さった。
本心を曝け出すと共に打ち込まれた一撃。ウォズの体はグラリと傾き──踏みとどまる。
殴ったゲイツリバイブの拳を叩き落し、ゲイツリバイブへ顔を寄せ、そして──
「──ッ! ウォズ! お前っ!?」
「……さあ、遊びはここまでだよ、ゲイツ君」
『タイヨウ!』
『投影! ファイナリータイム!』
ウォズの胸の紋章から高熱の熱風が吹き荒れ、ゲイツリバイブはその熱風に押し返されていく。
『灼熱バーニング! 激熱ファイティング! ヘイヨー! タイヨウ! ギンガタイヨウ!』
タイヨウフォームとなったウォズはすかさず地面に両掌を着ける。
大地は瞬時に乾き、やがて溶岩の様に赤熱化。そして灼熱の大地を突き破って鎌首をもたげる赤色の蛇──プロミネンスが発生する。
「ぐああああっ!」
噴き上がる紅炎がゲイツリバイブを苦しめる。噴出した炎によって後退させられると、移動した先にも炎が噴き上がった。
炎の熱でウォズに近付くことすら出来ない。
「これで終わりだよ」
『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』
ウォズから真っ白な光を放ち、それがドーム型に広がっていく。どんどんと拡大されていく光はツクヨミすらも呑み込もうとしていた。
「ツクヨミッ!」
ゲイツリバイブが急いでツクヨミへ駆け寄り、彼女と共にこの場から離脱しようとする。
『バーニングサンエクスプロージョン!』
地上へ顕現した太陽が、世界を白夜へ染め上げる強烈な閃光を放つ。その光から逃れる術は無く、ゲイツリバイブとツクヨミが光の中へと消えた。
白光が消える。ウォズを中心として焼け焦げた大地。全てのものが真っ白な灰と化す。
残されたのはウォズ一人。ゲイツリバイブとツクヨミが居たという証もまた白い灰の中に消えてしまった。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ