仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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Over Quartzer その5

 空中に映し出されている映像から反射的に目を閉じる程の光が放たれる。クォーツァーのメンバーの殆どが目を逸らす中で、SOUGO、ジョウゲン、カゲンの三人のみが目を細めるものの映像から目を離すことはしなかった。

 逃げたゲイツとツクヨミをウォズが処分するかどうかをクォーツァーたちは遠隔から監視していた。ウォズが失敗せずに役目を果たせるかという部分もあるが、大半はSOUGOの為の余興、暇潰しであった。

 映像から光が消えると、たっているのはウォズ唯一人。ゲイツたちの姿は灰が積もる大地へ消えてしまっていた。

 

「ふん……」

 

 その光景を見たSOUGOの態度は何とも言えないもの。ウォズにゲイツたちを倒せと命じた張本人だというのに、役目を果たしたウォズを褒めることはしなかった。

 すると、黙って映像を見ていたジョウゲンとカゲンが徐に椅子から立ち上がる。

 

「……出番だ。俺は行く!」

 

 戦いへ赴くことを宣言するカゲン。戦いは既に終わっている筈なのに戦場へ向かおうとする。

 

「そうだねぇ。俺も行こっと」

 

 それに同行する意志を見せるジョウゲン。魔王の側近二人が何かしらの目的で出向こうとするが、他のクォーツァーのメンバーは過剰戦力とも言える二人の出陣に戸惑いを露わにしている。

 二人は横目でSOUGOに確認を取る。SOUGOは小さく笑いながら頷き、二人の出陣を認めた。

 颯爽と部屋を出ていこうとする二人。

 

「分かっていると思うが──」

 

 その間際にSOUGOは声を掛ける。

 

「許可するのは()()までだ。()()()は許可しない」

 

 主語が無く何を指しているのか分からない命令。実際に他のクォーツァーのメンバーはSOUGOの言っていることが分からなかった。だが、ジョウゲンとカゲンは命令の意味を理解しており、ジョウゲンは誤魔化す様に笑い、カゲンは沈黙する。

 

「全く、お前らは……」

 

 命令に対して了承する態度を見せないことに呆れつつ、SOUGOは微笑を浮かべていた。彼からすれば、ただ首を縦に振り、意思すら放棄した有象無象よりもジョウゲン、カゲンぐらい手を焼く配下の方が面白いし、可愛げがある。

 

「さっさと行け」

 

 手で払う仕草をし、二人を送る。

 暫くすると入れ替わる様にクォーツァーのメンバーの一人が慌ただしく入ってきた。

 

「ご報告したいことが!」

 

 焦りの浮かぶ表情にただならぬことが起こっているのが分かる。

 

「聞いてやる。言え」

「はっ! 地下牢に閉じ込めておいた例の二人が脱走しました!」

「──何? 替え玉と南光太郎が?」

 

 その報せに他のクォーツァーがざわめき出す。片やライドウォッチとジクウドライバーを奪われ、片やライドウォッチによって力を奪われ、どちらも変身出来ない状態であった。それなのに変身しなければまず脱出出来ない地下牢から抜け出したことに驚きを隠せない。

 

「……ふっ」

 

 SOUGOの一笑にクォーツァーのざわめきが消え、王が次に発する言葉を待つ。

 

「替え玉と王の成り損ないにしてはやるじゃないか」

 

 見下しつつも二人を褒めるSOUGO。この事態はイレギュラーであることに違いないが、SOUGOの王の余裕を崩す程のことではない。その自信に満ちた態度は他のクォーツァーのメンバーにも伝播していき、落ち着きを与える。

 

「やるべきことは分かっているな?」

「はっ! すぐにカッシーンたち奴らを追跡します……二人の処遇の方はいかがいたしましょうか?」

「王の温情は一回のみだ。捕らえ次第殺せ」

「分かりました」

 

 SOUGOの無情な裁定に何一つ疑問を抱かずに従う。

 

(──とはいえカッシーン程度を幾ら集めても結果は分かっているがな)

 

 SOUGOはカッシーンたちではソウゴと光太郎の抹殺はまず無理であると察していた。SOUGOはソウゴと光太郎を下に見ているが、実力は過小評価していない。カッシーンが束に成ろうとも勝てないことを理解していた。ならば、何故カッシーンたちで追い詰めることを許可したのか。

 一言で言えば余興である。

 SOUGOは自分の計画が成就することに微塵の疑いも抱いていない。ただ、分かり切った結果を待つだけなど退屈の極み。その退屈を少しでも紛らわせる為のちょっとした遊びである。

 

(それに追わなくとも奴らはいずれ俺の前に現れる)

 

 SOUGOはそう予感する。尤も、彼からすれば決定事項の様なものであった。

 替え玉とはいえ一時は魔王の称号を与えたソウゴ。そして、クォーツァーですら実態を正確に把握することが出来ないキングストーンとそれに選ばれ次代の創世王の候補となった光太郎。二人が自分の前に現れるのは必然であると思っている。

 

「──いつでも来い。そして、お前たちが如何に意味の無い存在か思い知るがいい」

 

 

 ◇

 

 

 大量のカッシーンを蹴散らしたソウゴと光太郎。互いに肩を貸しながら追手のカッシーンが来ないか警戒しながら外へと繋がるであろう通路をひたすら走る。

 

「うーん……あっちの様な気がする」

「ああ。俺もそんな気がしていた」

 

 内部構造がどうなっているのか全く分からず、窓など一切存在せず外の情報を遮断されているので、脱出している二人はほぼ勘頼みで移動していた。

 しかし、その勘も馬鹿に出来るものではなく、埃っぽいニオイが混じる空気が段々と新鮮な空気に変わっていくのが分かる。それは外に近付いている証である。

 幸いにも追手が来る様子も無い。この絶好の機会を逃さず、出口に向かって全力で走り続けた。

 やがて、大きな扉の前に辿り着く。警戒しながらその扉を押す二人。扉が開くと同時に爽やかな風が流れ込み、待ちかねていた太陽の光が差し込んで来た。

 

「外だ!」

 

 ソウゴは脱出出来たことを喜びながら陽の下へ飛び出す。当然、同じく脱出出来た光太郎も同じ様な反応をするかと思っていたが──

 

「うっ!」

 

 日差しの下に光太郎が出た瞬間、彼は呻いた。その顔からは冷や汗が流れ出し、顔色が一気に悪くなる。

 

「光太郎?」

 

 様子がおかしい光太郎を心配してソウゴが声を掛けた。だが、声が返って来ない。

 

「光太郎! どうかしたの!?」

 

 カッシーンとの戦いの時に怪我でもしたのかと思い、さっきよりも強い口調声を掛けた。しかし、二度目も返事は無い。

 その途端、肩を貸していたソウゴへ重さが急に圧し掛かって来る。肩が下がり、バランスが崩れて転倒しそうになるが何とか耐える。

 

「光太郎? 光太郎!?」

 

 急な負担は光太郎が意識を失ってしまったからであった。

 横たわらせて呼び掛けても返事は無い。完全に気絶していた。

 

「何処か休めるところを探さないと……!」

 

 ソウゴは光太郎を背負う。

 

「うっ……!」

 

 その重さに思わず呻く。成人男性一人を背負っているのだから無理も無い。ましてやソウゴは、実戦経験は豊富だが特に体を鍛えている訳でも無かった。

 光太郎を背負いながらノロノロと歩き出すソウゴ。一先ず光太郎を休ませる場所を見つけることを優先する。

 こんな状況下で人一人背負って移動するなど相手に見つけてくれて言っている様なものである。しかし、ソウゴの頭の中には最初から光太郎を見捨てるという選択肢は無い。

 汗を流し、歯を食い縛り、いつ敵に見つかるかもしれないというプレッシャーを感じながらソウゴは一歩一歩進んで行く。

 地下牢のあった建物から暫くの間、歩き続けようやく家が並ぶ場所まで来た。ソウゴの疲労はかなりのものであったが、それでも休めるであろう場所を見つけるとその苦労も忘れられる。

 

「はぁ、はぁ……もうちょっとだから……」

 

 背負っている光太郎へそう声を掛け、休められそうな場所を探し始めるソウゴ。

 

「常磐ソウゴ。南光太郎。発見」

 

 その時、後方から聞こえる無機質な声。聞き覚えのある声に流れ出ていた汗が一気に冷たく感じる。

 後ろを見たソウゴ。その目に映るのは大量のカッシーン。ソウゴたちを捕まえる為の追手である。

 

「ただちに処刑せよ」

 

 捕まえる所の問題ではない。命を狙われている。

 ソウゴは逃げる為にすぐに走り出す。だが、背負っている光太郎の重さで半分の速度も出ない。

 最初に距離があったが徐々に距離が詰められていく。捕まえるのも時間の問題であった。

「こんな所でやられる訳には……!」

 

 カッシーンたちとの距離を確認する為、もう一度後方を確認する。カッシーンらは背中のクローアームを展開し、今まさに光弾で狙い撃とうとしている状態であった。

 

「不味い!」

 

 ソウゴは急いで角を曲がる。直後にさっきまでいた場所に光弾が通過していった。

 辛うじて光弾を避けることが出来たが、このままではカッシーンたちに追い付かれるのも時間の問題である。それに今も目を覚まさない光太郎のこともある。

 ソウゴは覚悟を決め、何処かに光太郎を隠し、もう一度アナザージオウの力で戦おうと考えた時、建物の扉が急に開き、そこから伸びた手がソウゴを掴んで建物の中へ引っ張り入れる。

 建物の中に入るとバランスを崩して転倒してしまう。長年人の出入りがされていない建物なのか埃が舞い上がり、埃のニオイが広がっていく

 

「な、何!?」

「静かにしろ!」

 

 そう言われてソウゴは思わず口を閉じた。建物のすぐ近くでカッシーンたちの足音が聞こえてくる。

 気配を殺し、息を潜めて足音が去っていくのをじっと待つソウゴ。物音一つ立てると見つかってしまうと思い、転倒した体勢のまま微動だにしない。

 やがて、足音が遠のいていき、カッシーンらはソウゴたちを探す為にここから離れていく。

 十分に離れたと分かるとソウゴは大きく息を吐いた。

 

「ありがとう。助かっ──」

 

 自分たちを助けてくれた者へ礼を言おうとして言葉を失った。

 見覚えのある白いジャケットを羽織った青年。

 

「そっちの奴は大丈夫か? まっ、こんな状況だ。助け合うのは──」

「詩島、剛……!」

「──当然、って何で俺の名前を知っているんだ?」

 

 かつて共に戦った仮面ライダーマッハこと詩島剛は、ソウゴに名を呼ばれて首を傾げる。まるで初対面かの様に。

 

「あっ」

 

 ソウゴはこれがライドウォッチによるものだとすぐに分かった。ソウゴにマッハライドウォッチを託したことにより、彼の中にある仮面ライダーとして歴史は全て奪われてしまった。それは、ソウゴと一緒に戦った時の記憶すらも。

 

「どっかで会ったことあるのか……? あ、もしかして俺の写真のファンとか……?」

 

 記憶の無い剛は、カメラマンとしての自分を一方的に知っているのかと思い、ソウゴにカメラを見せる。

 

「詩島剛……ごめん」

「何だよ、急に謝って……」

「俺、あんたに謝らないといけないんだ……!」

 

 ライドウォッチ継承の真実を知り、ソウゴはその罪と向き合わなければならないと思っていた。その機会が唐突に来る。だが、ソウゴは臆することなく自らの罪を懺悔する。

 

「俺、いいように使われてあんたから仮面ライダーの力を歴史を奪ったんだ?」

「俺が仮面ライダー? 急に何を言い出すんだ、お前……?」

「……今から話すことは信じられないかもしれないけど、本当のことなんだ」

 

 ソウゴは剛へ話した。彼が仮面ライダーマッハであること。以前、ソウゴと会った事があり一緒に戦ったこと。そして、マッハライドウォッチを受け取ったこと。

 しかし、それはクォーツァーによる計画であり、結果としてソウゴが剛から仮面ライダーの力と歴史を奪うことになったこと。

 ソウゴは隠さずに全てを話した。

 

「……」

 

 聞き終えた剛は眉間に皺を寄せて沈黙していた。いきなり自分が仮面ライダーマッハであると教えられても記憶が無いので困惑するしかない様子。

 

「だから……ごめん。ライドウォッチもくれたのに、俺は王様に成るどころか……利用されているだけだった」

 

 深々と頭を下げるソウゴ。もしかしたら殴り飛ばされるかもしれないと思ったが、それぐらいは当然と思っていた。それ以上の目に遭っても文句を言える立場ではない。

 

「俺が仮面ライダーだったなんて、俄かに信じ難い話だが……信じてやるよ。あと、顔を上げろ」

 

 言われるがまま顔を上げて剛の顔を見る。ソウゴの予想に反して、剛の表情に怒りは無かった。

 

「一つお前に言っておく。記憶が無いから断言出来ないが、俺がお前に仮面ライダーの力をやったのは、きっとお前が王様だとかそんなの関係無かった筈だ」

「え……?」

「こいつになら俺の力を貸してやれる! ってそう思ったからだ。王様云々なんて知らねぇ。俺が常磐ソウゴって奴を信じたからだ!」

 

 力強く言う剛。同時にそれはクォーツァーの計画に嵌められたのはソウゴ一人の責任ではないと言っていた。

 

「で、でも、俺は……仮面ライダーだけじゃなくて、あんたの大事な記憶も……仲間との思い出も……!」

 

 許されようとしている自分に罪悪感を覚えたのか、己の傷を抉る様に抱えている罪を告白しようとするが、ソウゴの肩に剛が手を置く。

 

「お前は悪くない」

 

 剛に言われ、ソウゴは堪える様に顔に力を込める。

 

「何て言うかな……お前の話を聞いてて責める気が起きないんだよな。良かれと思ってやってきたことが裏目に出たってことだよな? 何だか共感出来るというか……」

 

 記憶が無いが、残滓はあるのかソウゴの境遇に同情と共感を覚える剛。彼の失われた過去を知れば納得出来るかもしれない。

 

「……ありがとう」

「気にすんな。んじゃあ、その話はこれで終わりだ。これからの話をしよう。──お前はこれからどうするつもりなんだ?」

「まず、ゲイツとツクヨミを探さないと……あっ、ゲイツとツクヨミっていうのは俺の仲間の名前。それと……ウォズに会ってもう一度話したい」

 

 ウォズがクォーツァーのメンバーで最初から裏切っていた。その事実に強いショックを受けたソウゴであったが、冷静になってきた今になってウォズの行動におかしな点があったことに気付く。

 地下牢でクォーツァーの目的とソウゴの役割を教えられた時、彼は光太郎の存在を示唆していた。光太郎と協力すれば地下牢から脱出出来ることを遠回しに教えていたような気がする。

 そして、いつの間にか手に入れていたアナザージオウウォッチ。もし、これをソウゴのポケットに密かに入れることが出来る者が居るとすれば地下牢で接触してきたウォズしか考えられない。万が一の保険としてソウゴならばアナザージオウの反動に打ち勝つと信じて渡していたとしたら。

 

「ウォズはもしかしたら……」

 

 

 ◇

 

 

 その頃、ウォズは独りで行動していた。誰にも見つからない様に。

 彼が目指すのはとある建物。一見すると何の変哲もない建物であるが、その建物はクォーツァーの中でも一部にしか知らされていない。

 SOUGOが他のクォーツァーたちを率いて計画の最終段階に入ろうとしている今こそが潜入する絶好の機会である。そして同時に、この機を逃せば永遠に巡って来ない唯一無二のチャンスであった。

 建物周りにはカッシーンもクォーツァーのメンバーもいない。不用心と思われるかもしれないが、それだけ極秘にしているという表れでもあった。

 建物の扉を慎重に開き、中を確認。内部にも見張りがいないと分かるとウォズは物音一つ立てずに内部へ侵入していく。

 気配一つ見逃さない程神経を尖らせて進んで行くウォズ。しかし、ウォズのその慎重さとは裏腹に妨害など無くスムーズに奥へ進めていく。

 やがて、一際大きな扉の前に辿り着くと、ウォズは扉をゆっくりと開ける。

 扉の向こう側は至って簡素な作りであった。窓や装飾品、家具など一切無い。唯一置かれてあるのは中央に設置された台座。

 そして、その台座の上には常磐ソウゴがこれまで集めてきたライドウォッチが填められたライドウォッチダイザーが置かれてある。

 ウォズは目的の物は発見し、置かれてあるライドウォッチダイザーに触れた瞬間──

 

「ウォズ、やはり来たか」

 

 背後から声を掛けられ、ウォズは思わず硬直する。

 ライドウォッチダイザーに触れながら首だけ後ろに向ける。壁に背を預けてウォズを見ているカゲンの姿がそこに在った。何時現れたのか全く分からず、声を掛けられるまでその存在に気付くことが出来なかった。

 

「ここへ、何をしに来た?」

 

 詰問ではなくただ尋ねているだけに聞こえる平坦な口調。だからこそ、重圧を覚える。

 

「──我が魔王が計画の最終段階に入ると知ってね。ならば、これを届けるべきと思ったからさ。これは我が魔王の計画が成功した象徴みたいなものだからね」

「そんな指示も無いのにか?」

「言われるまでも無く先に仕事を済ませておくのが忠臣というものさ」

 

 そう言い放つウォズにカゲンは初めて無表情を緩めた。

 

「お前にそこまでさせるか、感慨深いな」

 

 話を無視して一人納得するカゲン。ウォズの方もカゲンに誤魔化しなど通じないことが分かっていた。

 そして、いい加減見破られていることにも気付く。

 

「……いつから私を疑っていたんだい?」

「最初からだ」

 

 カゲンの発言にウォズは面食らう。

 

「……そこまで私は疑わしい存在だったのかい? これでも尽してきた方だと思っていたが……」

「正確に言えば、お前たちが白ウォズと呼ぶ存在が居た時からだ」

 

 思いもよらない所で白ウォズの名前が出され、ウォズは驚く。

 

「分岐した未来が生み出した白ウォズ。その分岐が何か分かっているか?」

「それは……ゲイツ君がオーマジオウを倒し、救世主となる未来の──」

「違う。白ウォズという存在は、お前がクォーツァーを裏切った分岐点から生まれたものだ」

 

 初めて知る事実にウォズは動揺する。つまりは──

 

「成程……白ウォズが確認された時点で私は既に背信者扱いをされていたということか……」

 

 滑稽な話である。私心た」

「チャンス……?」

「ゲイツとツクヨミ。この二人をお前が始末出来るか、どうかだ」

 

 ウォズへと与えられた任務。それこそがウォズの真意を確認する為の最後のチャンスであった。

 

「……それならキチンとやった筈だが? どうせ君たちも見ていたんだろう?」

「あの二人の首を持って来ていたら、お前の忠誠心を信じた」

 

 何か確実な証拠を持って来たのならば、クォーツァーもウォズへの疑いを晴らしていた。しかし、ウォズのとった行動はタイヨウフォームで焼き尽くすというゲイツたちの跡形も無くすという方法。丁寧に視界を遮る程の光を放ってさえいる。

 疑いの余地を残した時点でウォズへの処罰は決まっていた。

 それに──

 

「生きているんだろう? あの二人は?」

「……」

 

 無表情のまま睨むウォズを見て、疑いは間違いでなかったことを悟る。カゲンは心置きなくウォズを処罰することが出来る。

 

「残念だが……嬉しいぞ、ウォズ!」

「何が嬉しいのかな……?」

 

 ウォズとカゲンは同時にドライバーを装着。

 

「成長したお前と、本気で戦える!」

「いつまでも師匠面をしないでくれるかな? 私はとっくに君の下から離れているんだ」

 

 構えられたライドウォッチの起動。

 

『ゾンジス!』

『ギンガ!』

 

 ジクウドライバーにライドウォッチをセットするとカゲンは指でJの文字を作り出し、ウォズもビヨンドライバーにギンガミライドウォッチを填め込む。

 

『変身!』

 

 建物内に木霊する二つの声。

 

『ライダーターイム!』

『投影! ファイナリータイム!』

 

 狭い空間内で『ライダー』の文字と各惑星が衝突し、入り乱れる様に暴れる。

 

『仮面ライダーゾンジスー!』

『ギンギンギラギラギャラクシー! 宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー! ファイナリー!』

 

 仮面ライダーゾンジスと仮面ライダーウォズギンガファイナリーが近距離で対峙する。

 

「狭いな、ここでは」

 

 そのまま戦闘開始かと思いきや、ゾンジスのその言葉と共に両手を組む。その動きを怪訝な様子で見ながら警戒するウォズ。

 

『ZO!』

『J!』

 

 ゾンジスのライドウォッチホルダーに収められている二つのライドウォッチが起動され、ゾンジスの両手は深緑色の光を放つ。

 

「ふんっ!」

 

 両手を鉄槌の様な地面へ叩き付けるゾンジス。その衝撃で床が割れ、建物も一瞬揺れた。それで終わりかと思いきや、再び建物が揺れ出す。今度は一瞬ではなく徐々に揺れが強くなっていく。

 揺れが激しくなると、ウォズも真っ直ぐ立っていることが出来なくなり倒れそうになって反射的に地面に手を着ける。すると、床に亀裂が生じ始めていることに気付く。そして、その亀裂が盛り上がっていることにも気が付いた。それは、下から何かが押し上げていることを意味している。

 すぐに亀裂から離れるウォズ。直後、亀裂を突き破って現れたのは土に塗れた植物の根。自然発生したものとは思えない巨大なものであり、幾本ものそれが触手の様に暴れ狂う。更にその根は短時間で成長しており、どんどんと太くなっていく。

 このままでは建物が破壊されるのも時間の問題であり、ウォズはライドウォッチダイザーを掴むと壁に向けてエナジープラネットを発射。

 大穴を開けてそこから室外へと飛び出すと、もう一度エナジープラネットを撃って壁を破壊し、建物の外へ脱出する。

 急いで建物から離れるウォズ。建物の天井が突き破られ、そこから青々とした葉が生い茂る枝が伸びていき、先程まであった建物が瞬く間に樹齢何百年もありそうな巨木に取り込まれてしまった。

 

「ここなら存分に戦えるな、俺と!」

 

 巨大樹から飛び降りてきたゾンジス。ウォズはライドウォッチダイザーを守る様に構えた。

 その時、空から何かがこの地へ降り立って来る。現れたのは無数のカッシーンであった。

 

「カゲン様。我々も加勢致します」

 

 騒音を聞きつけやって来たカッシーンたちは与えられた命令通りにカゲンへの助力をする為、全てのカッシーンがウォズに三又槍を向けた。

 

「──意外だね。君は数に頼らない戦い方をすると思っていたよ」

 

 不利な状況ながらもゾンジスへ皮肉を言うウォズ。

 その言葉をゾンジスは鼻で笑う。

 

「お前相手にこいつらが何体集まっても、無意味──だが」

 

 ゾンジスは徐にライドウォッチホルダーからライドウォッチを一つ取り外す。ウォズに向けて外枠を回転させ、ライドウォッチの絵柄を浮かび上がらせた。

 

「これを使えば、役に立つ!」

「そ、それは!?」

 

 現れた顔を見てウォズは驚愕する。かつて見たシン、ZO、Jとも異なる。それどころか仮面ライダーですらない。

 ゾンジスがライドウォッチをアクティブにするとカッシーンたちに変化が生じる。

 

「が、か、ここ、おおお」

「か、体、が!」

「か、勝手に、動っ!」

「がががが、あががが!」

 

 大量のカッシーンたちが一つに固まり始めたかと思えば、体内から部品やワイヤー、コードなどを伸ばして自分たち変形させていく。

 

「これは……!」

 

 強制的に改造されていくカッシーンたちにウォズは言葉を失ってしまう。

 そして、ゾンジスはライドウォッチを持つ手を掲げてそのスイッチを押す。

 

『ドラス!』

 

 変形したカッシーンだったものは、ゾンジスの手に纏わせられていき、ゾンジスの身の丈を遥かに超える巨大な手を形成する。

 これこそがゾンジスの四個目のライドウォッチの能力。自然と大地を操る能力と対極にある機械、金属を隷属させる力。

 

「ウォズ! お前は俺が殺す!」

 

 




次回から戦いが更に増えて行く予定です。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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