仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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Over Quartzer その7

 アマゾン。その言葉が何を意味するのかゲイツは知らない。しかし、その絶叫の様な言葉と共にジョウゲンの体から発せられた熱波は以前の比では無く、ゲイツは熱波によって吹き飛ばされてしまう。

 

『ライダーターイム!』

『仮面ライダーザモナスー!』

 

 変身し終えたザモナスの周囲は、ザモナスの発した熱波によって燃え上がっていた。焼け焦げた道の上をザモナスは歩いていく。

 

「くっ……!」

 

 油断したつもりは無かったのに簡単に吹き飛ばされてしまったことを恥じるゲイツ。同時に彼が言った本気の戦いというのが本当のことだと思い知らされる。

 

「その姿じゃ、キツイいんじゃない? 待っててあげようか?」

 

 ゲイツからゲイツリバイブに変身するのをわざわざ待つと言うザモナス。ゲイツもゲイツリバイブの力でなければ対抗出来ないのは理解している。しかし、舐められていると感じた彼はそれに反発した。

 

「ふざけるな! 本気の戦いにそんな悠長な暇が──」

「良かった」

 

 ザモナスはいつの間にかゲイツの懐に入り込んでいる。間近でザモナスの気配に触れた時、本当に以前と同一人物なのか疑ってしまった。

 軽薄と余裕に満ちたものではなく、獰猛さと飢えに満ちた気配。ザモナスは影に隠れていた本当の姿を、今ゲイツに見せている。

 

「俺も待ってくれなんて言われたら、本当にガッカリしてたよ」

『アマゾンネオ!』

 

 ザモナスの右手から赤熱して液体化した金属が滴り始めると、フック状のクロー──アマゾンネオクローに形成され、そのクローを躊躇いも無くゲイツの肩に突き立てる。

 

「ぐあああああっ!」

 

 装甲を突き破り生身まで届く。装甲の内側に生暖かい感触が伝っていくのが分かった。

 クローをしっかりと肉に食い込んだことを確認する様に二、三度クローを下に引っ張る。その度に電流の如く痛みが駆け抜けていくが、ゲイツも今度は苦鳴を上げることはせず悠長なことをしているザモナスにジカンザックスを横薙ぎに払う。

 

「はっ」

 

 ゲイツ必死の反撃も一笑に付し、刃が届く前にゲイツの鳩尾にザモナスの前蹴りが入る。

 

「かはっ!」

 

 臓腑に触れる程深く食い込むザモナスの蹴りに、ゲイツは息と声を絞り出させられる。そして、そのまま脚を発条にしてゲイツは蹴り飛ばされた。

 地面と平行に宙を飛んで行くゲイツ。だが、その体は突然空中で急停止させられる。

 

「ぐぅ!」

 

 再び起こる肩の激痛。よく見れば肩に刺さっているクローからワイヤーが伸びており、それがザモナスの持ち手と繋がっている。ザモナスが引っ張ったことで勢いが殺され、ゲイツは空中で停止。その反動でクローがより深く中に入り込む。

 急停止させられたゲイツはそのまま地面に伏すが、当然ながらザモナスの攻撃はその程度では終わらない。今度は伸びたワイヤーを巻き戻し始めた。

 

「──っ!」

 

 傷口を抉るなどという生易しいものではない。自身の体重がクローに全て載っており、伝わる痛みで神経が焼け落ちそうになる。

 

『アマゾンネオアルファ!』

 

 しかし、その痛みで思考を途切れさせる暇は無い。引き寄せられるゲイツを待ち受けるけたたましい駆動音。それを響き渡らせているのは以前の戦いで見せた機関銃とチェーンソーが一体化した武器──ネオアルファスイーパー。

 ザモナスはネオアルファスイーパーを地面に突き立て、土煙を起こしながら引っ張られるゲイツがネオアルファスイーパーの真正面に来るように位置を調整する。

 このままでは頭から股まで真っ二つにされると知ったゲイツは、痛み覚悟を身を捩り、ジカンザックスでワイヤーを斬り付ける。

 

「ぐっ!」

 

 ワイヤーはゲイツの思っていた以上に頑丈であり、一撃では切れ込みすら入らない。更に斬りつけた衝撃波はワイヤーを伝ってゲイツに刺さっているクローに届き、斬った分の衝撃がゲイツの傷に返って来た。

 視界が真っ白になり、痛みの激しさに神経がおかしくなり始めて動悸も起こる。だが、それが収まるのを待つ時間はゲイツに残されていない。

 

『タイムチャージ!』

 

 グリップにあるスイッチを押すことでジカンザックスがエネルギーの充填を始める。肩にクローが刺さっているのでライドウォッチを填め込められない為の苦肉の策であった。

 

『5』

 

 しかし、チャージまで五秒は掛かる。ただ待っていたらゲイツの方が先に真っ二つになってしまう。

 

『4』

「ふんっ!」

 

 ゲイツは覚悟を決め、爪先を地面に突き立ててブレーキを掛けた。クローが刺さっている肩に引き千切れる様な痛みが発生する。

 

『3』

「ッ!」

 

 そんなことをすれば痛みが生じるなど分かっていたこと。故にゲイツは痛みで絶叫する様なことはせず、絶叫ごと奥歯を噛み締める。

 ゲイツの抵抗によりワイヤーが引っ張られる速度が落ちる。このまま行けば五秒以上は掛かりそうだったが、ゲイツは律義に時間を待つだけのことはしない。

 

『2』

 

 待機中でもワイヤーにジカンザックスを斬り付ける。しかも何度も。少しでもワイヤーに切れ目が出来ることを狙っての行動であった。斬り付ける度に衝撃が傷へ流れ込んでいくが、初撃の時とは違い既に覚悟を決めているゲイツは怯まないし止まらない。

 

『1』

 

 何度も何度もジカンザックスの刃を叩き付けた結果、ワイヤーに僅かな切れ込みが出来る。

 

『ゼロタイム!』

 

 その切れ込みを狙い、エネルギーに満ちたジカンザックスを振り下ろす。

 

『ザックリ割り!』

 

 出来た切れ込みに寸分違わぬ精密させジカンザックスを叩き込むゲイツ。それによりワイヤーは切断された。

 ゲイツとの繋がりを急に断たれて仰け反るザモナス。しかし、すぐにクローの持ち手を投げ捨てると新たな武器を生成する。

 赤熱した金属が新たに形作るは円筒状の武器。円筒の先には穴が開いており、見た目からして銃に思えた。

 ネオアルファスイーパーと円筒の武器をゲイツへと向ける。ゲイツは立ち上がっている途中だったがザモナスがそれを待つ義理など無い。

 同時に引かれる二つの引き金。ネオアルファスイーパーの機関銃からは弾丸がばら撒かれ、円筒の武器からは弾の代わりに針が撃ち出された。

 弾と針がゲイツの命を奪う為に迫る。

 常人ならばまず逃げることを選択する状況。だが、この時のゲイツの選択は真逆であった。ゲイツは立ち上がるのを中断し、地面に顎が触れるかと思える程身を低くし、眼前にジカンザックスを翳すという防御のみで弾丸と針が来る前方へ飛び込んだのだ。

 通常、銃などで相手を狙う時扱いに慣れている者ならば相手の避ける方向を想定して撃つ。しかし、ゲイツ真っ向から迎える動きをした。

 その結果、ザモナスの放った弾丸と針は狙いを外される形となりゲイツは背中に最小限のダメージを受ける程度で済んだ。

 弾丸と針の下を潜り抜けた直後に伸び上がるゲイツ。ドライバーには既にゲイツリバイブライドウォッチが装填されている。

 

「やるねぇ」

 

 命知らずの大胆さと無駄の無い動きを称賛しながらザモナスは銃口の位置を調整してゲイツを狙い撃つ。

 

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈!』

 

 直前に飛び出した物体化した『らいだー』の文字が盾となって機関銃の弾と針を弾き飛ばす。その間にもゲイツは距離を詰めていた。

 

『剛烈!』

 

 ゲイツからゲイツリバイブ剛烈に成った直後、ジカンジャックローの丸鋸がザモナスへ突き出される。ザモナスはネオアルファスイーパーの回転刃でそれを難無く受け止めた。

 いつかの戦いの時の様に回転する刃同士が互いに削り合い、壮絶な音色を奏でる。

 回転刃同士の接触は振動となって両者の体に跳ね返って来る。生身であったのなら手から腕にかけての血管が瞬時に破壊され、肉が裂けて骨が粉砕されてもおかしくはなく、全身を震わす振動が足元を伝わって地面に罅を生じ始めさせていた。

 二人とも片手が塞がっている状態で、ザモナスは円筒の武器──アマゾンネオニードルを至近距離から撃とうとする。それを見越していたゲイツリバイブはアマゾンネオニードルから針が発射される前に銃口に拳を叩き込み、銃口を潰して発射出来なくしてしまう。

 アマゾンネオニードルが使い物にならなくなると、これもまたすぐに放り棄てる。

 

『アマゾンオメガ!』

 

 そして、武器を生成するのではなく腕部からヒレ状のカッターを生やし、ゲイツリバイブの胴体を斬り付ける。

 カッターの刃が滑り、火花が散る。ゲイツリバイブの厚みある装甲に一筋の傷が生まれた。だがその傷は浅く、ゲイツリバイブにダメージを与えるには程遠い。

 

『のこ切斬!』

 

 お返しと言わんばかりジカンジャックローのスイッチを押す。丸鋸から発せられる橙色の光輪がネオアルファスイーパーの回転刃を圧倒し出す。

 

「はあっ!」

 

 踏み込みながらジカンジャックローによって殴り抜け、以前の様にネオアルファスイーパーを破壊しようとする。ザモナスもそれを分かっており、ネオアルファスイーパーをあっさりと手放し、ゲイツリバイブから離れる。

 持ち主を失ったネオアルファスイーパーはいとも簡単に破壊され、残骸と化す。

 

「またやられちゃった」

 

 同じシチュエーションで武器を破壊されたザモナスであったが、特に動揺は無い。

 

「やっぱり玩具じゃダメだねぇ」

 

 装備した武器を玩具と見下すザモナス。ゲイツリバイブは『あんな凶悪な玩具が何処にある?』と内心吐き捨てた。

 

「戦うならこっちだよねぇ?」

 

 ザモナスがそう言って見せるのは先程腕部に生やしたヒレ状のカッターであった。三つ連なって並ぶ黒い刃が陽光を反射する。

 ザモナスからより危険な気配が増す。ゲイツリバイブはそれを本能的に感知していた。

 

(気味の悪い奴だ……そして、危うい気配も感じる。戦いを長引かせたら何をしてくるか分からない)

 

 速攻で戦いを終わらせることにし、ゲイツリバイブライドウォッチの上下を入れ替える。

 

『スピードターイム!』

 

 装甲が左右に展開して翼となり、橙色から青色へ変化。

 

『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風! 疾風!』

 

 ゲイツリバイブ疾風となるとその名の通りに青い疾風となってザモナスの周りを飛び回る。

 

「相変わらず速いね、それ」

 

 周囲に吹き荒れる青い風に吞気な感想を言うザモナス。

 ゲイツリバイブは同じ高速移動していたマッハが彼に捉えられているのを知っているので距離を置いて戦う。

 加速するゲイツリバイブ。その加速が限界に達した時、無数のゲイツリバイブがザモナスを取り囲んでいた。

 

「へぇー」

 

 圧巻の光景を前にしても面白い手品を見せられた程度の声しか出さないザモナスに対し、無数のゲイツリバイブはつめモードのジカンジャックローにゲイツリバイブライドウォッチをセットする。

 

『ジカンジャック! 疾風!』

 

 ジカンジャックローの青い爪を媒体として青いエネルギーによって作り出される一対の爪。ジカンジャックローの爪と比べて数倍の大きさがある。

 その巨大爪を振り上げる無数のゲイツリバイブ。数によってザモナスを圧倒する考えが見える。

 

『スーパーつめ連斬!』

 

 一斉に振るわれるジカンジャックロー。ゲイツリバイブの分身から巨大爪が光弾として放たれる。

 逃げ場を全て潰す数の暴力。それに対してザモナスは逃げる素振りすら見せない。

 次の瞬間、無数の爪がザモナスの体に突き刺さる。

 針鼠の様に全身に光の爪を生やす姿となったザモナス。しかし、その足はしっかりと立ったままであった。そして、刺さった箇所からは粘度がある黒い液体が零れ出る。

 一見すると血液に見えるかもしれないが、出る量が尋常ではなく瞬く間にザモナスの周りが黒い液体で満たされた。

 すると、黒い液体が盛り上がっていき人の背丈程の高さまでいくと液体が形を変えて生物の姿と成る。生み出されたのは蟻や芋虫、蝶、モズという生物を模したもの。

 ゲイツリバイブも以前に黒い液体から怪人を生み出す光景を見ている。ザモナスはそれをあらゆる生命を生み出す『創生』と語っていた。

 次々とザモナスの体液から生命が誕生していくのを不気味に思っていたが、それよりも不気味に思えたのがザモナスであった。

 ザモナスは全身に刺さっている光爪を無造作に抜いて行く。抜いた跡には大きな穴が開いているが、次の光爪を抜いている間にその穴は塞がってしまった。

 尋常ではない再生能力。ゲイツリバイブが繰り出した渾身の攻撃も瞬く間に無かったことにされていく。

 最早、即死以外の攻撃は通じないと察したゲイツリバイブはザモナスを守る盾として彼を囲んでいる怪人たちを撃破しながらザモナスの急所に最大の一撃を与える方法を考える。

 その時、高速で動いている筈のゲイツリバイブの胸に衝撃と共に一筋の傷が生じた。

 

「なっ!」

 

 いつの間に攻撃されたのか分からず動揺するゲイツリバイブ。その動揺を表すかの様に分身の何体かが消える。

 驚いているゲイツリバイブを再び襲う衝撃。片翼に傷ができ、またもゲイツリバイブが鈍くなり分身の数が半数まで減る。

 高速で移動し続けているゲイツリバイブを攻撃する謎の攻撃。行っているのは間違いなくザモナスである。

 攻撃を見極める為にザモナスに意識を集中させた時、何かが高速で迫っているのが見えた。

 急いでそれを回避するゲイツリバイブ。謎の攻撃を躱した直後、背中に鋭い痛みが走る。

 

「がっ!?」

 

 攻撃が一つではないことを今更ながら理解したゲイツリバイブはそのまま墜落していくが、その間にも攻撃が止むことは無くゲイツリバイブの全身を斬りつけていき、両翼も飛べない程にボロボロとなる。

 

「がはっ!」

 

 地面に落下したゲイツリバイブであったが、すぐに顔を上げてザモナスの方を見る。そこで彼はザモナスの攻撃の正体を知る。

 ザモナスの体から無数に生えていた。細く紐状であったが、一本一本の動きや強度、切れ味は凄まじく、集中していなければ躱すことが出来ず疾風形態とはいえゲイツリバイブの装甲を傷付ける程。数も多く、避けようとして避け切れなかったのはそのせいであった。

 伸びていた触手がザモナスの体に戻っていく。倒れ伏しているゲイツリバイブを見下ろしていると、ザモナスを囲っていた怪人の一匹がゲイツリバイブへ近付こうとしていた。

 親であるザモナスの敵は自分の敵と言わんばかりの行為。その忠犬の様な怪人の行為に対しザモナスは──

 

「ダメだよー。勝手なことしちゃあ」

 

 子供を叱る様に怪人の頭に手を乗せ──握り潰す。

 頭部を失った怪人は元の黒い液体へと戻り、ザモナスは手にベッタリと付いた黒い液体を汚そうに手を振って落とす。

 ゲイツリバイブはその光景を啞然とした様子で見ている。

 

「そいつらは……お前が生み出したものだろうが」

「そうだねぇ。可愛らしいとは思うんだけど、それ以上に何か殺したくなっちゃうんだよねぇ、()()()()

 

 ザモナスという男がますます分からなくなってくる。ただ分かるとすれば、ザモナスという男はゲイツリバイブが今までに出会った事の無い狂気を宿しているという事だけ。

 

「君たちは勝手なことをしないでねぇ。そうしたら、何でも好きなもの上げるからさぁ」

 

 今したことなど無かったかのように怪人たちに優しく言葉を掛ける。怪人たちはその場から直立不動となって従う。ザモナスの好きなものを上げるという言葉に釣られたのではなく、ザモナスに恐怖して動かなくなったとしか見えなかった。

 動かなくなった怪人たちの間を通り抜けながらザモナスはゲイツリバイブへ接近していく。

 疾風の損傷が激しいせいで暫くの間、高速移動が出来なくなったゲイツリバイブは、やむを得ずに近接戦闘を重視した剛烈へ形態を変える。

 

『パワードターイム!』

 

 両翼が閉じて胸部装甲となり、青色から橙色に変色。

 

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈! 剛烈!』

 

 両翼が破損した状態であった為、剛烈の胸部装甲には幾つもの裂け目が出来ており、万全とは言い難い状態である。

 

『パワードのこ!』

 

 だが、泣き言を言っている暇など無い。ザモナスは今も近付いてきているのだ。

 のこモードのジカンジャックローを、ザモナスが間合いに入ると同時に突き出す。しかし、その一撃は空を切る。

 消えるザモナス。何処へ行ったのか探すゲイツリバイブ。

 

『フィニッシュタァァイム!』

 

 ここに居ると告げる音声。ゲイツリバイブが見上げると、高々と右足を上げた状態で跳躍しているザモナス。

 

『ザモナス! タイムブレーク!』

 

 迎撃しようとするゲイツリバイブであったが、ザモナスの攻撃の方が速い。

 ジカンジャックローを突き上げ様としていたゲイツリバイブの右肩に振り下ろされるザモナスの右踵。ザモナスの脹脛部分には腕部と同じく連なったカッターが生えており、振り下ろしと落下の衝撃でそれが剛烈の装甲を突き抜けて深々と刺さる。

 

「ぐあっ!」

 

 剛烈の装甲ならば耐えられると思っていたゲイツリバイブは、想像以上の衝撃と痛みにまた地面に伏せそうになる。

 それを気力で辛うじて耐えるが、膝はダメージで震えており、今にも折れそうであった。

 

「う、おおおお!」

 

 苦し紛れの反撃を試みたゲイツリバイブは、ザモナス目掛けて拳を放つ。しかし、ザモナスは片足の力のみで後方宙返りをしてそれを難無く避けてしまった。

 ザモナスが着地した瞬間、彼は地面を蹴り付けて一気に接近しながら右腕を持ち上げる。その腕部に並ぶ刃が瞬時に巨大化した。

 負傷したゲイツリバイブにそれを回避する余裕は無く、ザモナスの斬撃が胴体を薙ぐ。

 

「──がっ!」

 

 比較的装甲が薄い箇所を狙っての一撃は、ゲイツリバイブを苦悶させるには充分であった。

 しかし、ゲイツリバイブの苦難はそこで終わらない。ザモナスが打ち込んだ場所にはジクウドライバーがあり、ましてやそこにはゲイツリバイブライドウォッチがあった。

 刃はゲイツリバイブライドウォッチに食い込んでおり、ザモナスが刃を抜きながら後退する。裂かれた箇所から内部に収められていた水色の砂が外へ零れ落ちて行く。

 すると、ゲイツリバイブの姿が解除され仮面ライダーゲイツへ戻ってしまった。

 

「これは……!?」

 

 自分の姿に驚くゲイツ。元に戻ってしまったことが意味するのは一つ。ザモナスによってゲイツリバイブライドウォッチが破壊されてしまったのだ。

 ゲイツリバイブの状態でもザモナスに敵わなかった。それよりもスペックが落ちるゲイツの姿では勝ち目など無い。

 ゲイツは絶望的な状況へ追い込まれる。ザモナスはそれを観察する様に見ていた。この状況でゲイツがどう反応するのか窺っている。

 

「ぐっ……!」

 

 戦況は最悪の一言。力では負け、僅かな勝ち筋も失ってしまった。ここで心折れても誰もゲイツを責めることはしないだろう。しかし、こんな状況でも心が折れることを誰でも無くゲイツ自身が許さない。

 傷付きボロボロになった体でゲイツはジカンザックスを構える。負傷した肩のせいで片手では力が入らず握れないので両手で強く握り締めた。

 ゲイツは絶対に諦めない。やるべき事を成すまで決して。

 人によっては無様に映る姿かもしれない。だが、ザモナスはその光景に感動していた。ザモナスの思い描く主人公像にゲイツは寸分狂いなく当て嵌まる。

 そして、その姿を見た時、ザモナスはある衝動に駆られる。

 唐突に話は変わるが、ザモナスことジョウゲンには今使用している仮面ライダーたちの力以外にもう一つの候補があった。

 とある組織が生み出した改造人間。通称『ホッパー』と呼ばれる者たちの力である。

 平成の時代に生まれた仮面ライダーであり、『1号』『2号』『Version3』という名を持っており、平成ライダーでありながら前時代の側面を持つライダーであった。

 ジョウゲンの王であるSOUGOは、平成ライダーたちを前時代の生まれ変わりである彼らの力を用いて排除することを、この上ない皮肉と考えてジョウゲンに薦めていた。

 しかし、ジョウゲンが選んだのは結局今の力であった。彼らの歴史を知り、自分に合っていると判断しての選択である。そして、ジョウゲンは見事にそれを使いこなした。

 ゲイツはジッと見ているザモナスに飛び掛かり、ジカンザックスを振り下ろす。ザモナスは片手で難無くそれを受け止めてしまった。その状態でもザモナスはまだゲイツを見つめている。

 ゲイツはその視線に凄まじく恐れと嫌悪感を覚えた。

 ザモナスとゾンジスは現在使用しているライドウォッチの性能を完全に引き出すことが出来る。ジオウとゲイツでさせライダーアーマーを介して力の一部を使用することしか出来ない。

 一方でライドウォッチの使用には一部デメリットが存在する。それは使用者にライドウォッチの元となったライダーの影響を多少与えることである。ジオウとゲイツはライダーアーマーという一種の安全装置を通していることで元となったライダーの台詞や戦い方の一部を真似する程度で納まっている。だが、ライダーアーマーを介さないザモナスたちはライドウォッチが内包しているライダーの影響を強く受ける。

 バールクス、ゾンジスはその影響を自身の精神力で抑え付けることが出来る。だが、ザモナスはそれを敢えてしない。それが最もライドウォッチの能力を引き出せると思っているからだ。

 そして、その影響がここで表面化してしまう。

 

「──ねえ、ゲイツ君」

 

 気持ち悪さを覚える程に穏やかな声であった。

 

 ち ょ っ と 食 べ て い い ?

 

 その言葉の意味をゲイツが理解する前にザモナスの口部が開き、歯牙をゲイツの首筋に突き立て、噛み付く。

 

「ぐわあああああああ!」

 

 ザモナスが扱うライドウォッチ(アマゾンズ)の影響──食人衝動。

 




前回に続いて特殊タグを使用してみました。
アマゾンズはヤバい→アマゾンズならライドウォッチもヤバい→そのライドウォッチを使うジョウゲンもヤバい、という感じになりました。

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