夢を、それもとびっきり質の悪い夢を見ている気分であった。
頭の上に広がる宇宙の光景。自分が今立っている場所は月面。そんな月面には青々とした自然が見渡す限り生い茂っており、地球と殆ど変わらない。
そして、その自然の中に悠然と立つのは緑と銀の二色の巨人。
右半身は様々な植物に覆われ、今も成長を繰り返している。左半身は光沢を放ち、光るラインが入った銀色の装甲で覆われている。
体の中央で植物と金属という相反する存在が交わり、一体化し植物、金属どちらか分からない融け合った存在になっていた。
相反する力を巨体に宿すこの巨人こそがゾンジス。ついさっきまでウォズと変わらない身長だったが、四十メートル、七十メートルと途方も無い成長を遂げていた。
見上げる光景に現実感がまるで無い。ライドウォッチが見せる幻覚だと説明された方がまだ説得力がある。
呆然とゾンジスを見上げているウォズの前でゾンジスは軽く片足を上げ、一本前進。その一踏みだけで月が揺れる。
バランスを崩す程の揺れを感じながら、ウォズはこれが間違いようの無い現実であることを突き付けられた。
「私としたことが……」
一瞬でも現実逃避をしてしまった自分を叱咤し、これから戦うべき相手とキチンと向き合う。
当然のことながら目線は合わないが、ウォズはゾンジスからも見られている感覚がした。
ゾンジスがもう一歩踏み出し、更に前進。近付いてくるゾンジスにウォズが構えるが、ふとゾンジスの足元で不可思議な現象が起こっていることに気付く。
ゾンジスの踏み付けた周囲に生える植物が急速に成長し続けているのだ。
一定の大きさまで成長すると、今度は逆に枯れ始める。そして、ゾンジスが踏み込んだ足を上げた時には枯れた草木の中に新しい芽が生え始めていた。
ゾンジスの力によって植物を強制的に成長させ、育ち切ったら今度は成長させる時に消費した以上のエネルギーを搾取し、次なる世代の種を撒かせる。何ともエゴに満ちた自然のサイクルがゾンジスの足元で行われている。
移動する度に力を溜め込んでいくゾンジス。あまり歩かせるべきではないと分かっているが、まだ対処の仕方が思いつかないウォズはゾンジスの移動に合わせて下がる。尤も、ゾンジスの一歩はウォズの全速力数十メートル分に相当するが。
数歩移動してウォズとの距離が最初から縮まらないのを見て、煩わしいと思ったのかウォズに見せつける様に拳を握る。
初めて仕掛けてくる攻撃に、ウォズは必要以上の距離をとる為に移動を開始。
百メートルを一秒も満たない速度で走破出来るウォズの全力の後退。
直後にウォズが現在居る位置から五十メートル程離れた場所にゾンジスの拳が振り下ろされ、ウォズの両足が地面から浮き上がる程の衝撃を生む。
ひとまず最初の一撃を避けることが出来たウォズ。次の攻撃に備えようと思った時、その足が思わず止まった。
月面に深々と突き刺さるゾンジスの右拳。右拳から伸びる右腕の表面が変化し、筒状の突起が無数に生える。
それが何を意味するのかウォズは持ち前の聡明さで理解してしまった時、無数の突起から一斉に実弾が発射された。
「ぐうっ!」
両掌を前方に翳し、そこにエネルギーを集中させることで障壁を張る。その障壁に容赦無く数百の弾が浴びせられた。
一発一発が砲弾並みのサイズがあるというのに、まるで機関銃で吐き出されたかの様な密度の弾幕が張られる。
一発程度ならば余裕で防いでみせるが、一度に数百も当たればウォズでも障壁ごと後退させられてしまう。しかも、その弾幕は途切れることなく秒の間を置かずに撃ち続けられているのだ。
(まるで戦艦だ……!)
大きさに加えて圧倒的な火力。歯を食い縛って身を守るだけで精一杯のウォズ。ウォズが例えた様に生身で戦艦に挑んでいる絶望を味わわされる。
豪雨の如くウォズへ降り注がれる砲弾。防御の為に伸ばした両手が弾幕の圧力で折れそうになってくる。
外れた砲弾は月面を破壊していき、地形を変えていく。月面に新たなクレーターが大量に生まれる。
このまま耐え続ければ、両手が破壊されるとウォズが予想した時、唐突に弾丸が止まった。
前のめりになりそうになるのを堪え、ウォズは何事かとゾンジスの方を見る。ゾンジスは何か特別なことが起きた訳では無い。ただ、月面に突き刺さっていた右拳を引き抜いただけ。
たったそれだけでのことでウォズへの攻撃を止めてしまった。だが、その事実がウォズに更なる絶望を与える。
(今のは……ただのついで、ということかい……!)
ウォズが予想した通り、ゾンジスが行ったことは右拳が外れたので、ついでに能力を試してみただけに過ぎない。
あれだけの密度の攻撃も今の自分がどれだけのことが出来るかを把握する為の言わば確認作業。ウォズは、その確認作業の為に命の危機を覚悟したのだ。
屈辱で全身が震えそうになるが、同時にそれが今のウォズとゾンジスの差を語っている。
ゾンジスを見上げて睨み付けるウォズ。ゾンジスの方も高い位置からウォズを見下ろしていた。すると顔面の『ライダー』の文字が緑色に発光し出す。
緑の光は光線として発射され、見下ろしているウォズを狙って月面を切り裂きながら直進する。
ウォズの視点からすれば視界一杯に広がる光の壁が迫って来る光景であり、弾幕の衝撃で痺れる体に鞭打って横へ走り、光の壁の端へ向かう。
ゾンジスが顔ごと下げた顎を、今度は上向きにするという至極単純な動作が終わる前にウォズは全力で逃げる。先程の様に防ぐという発想が思いつかなかった。月面を奔る光線の圧倒的な力を目の当たりにし、そんな考えに至る方が身の程知らずと言える。
結果としてウォズの判断は英断であった。光線が通過する間際、ウォズは僅差で光線の範囲外へと逃れることが出来た。これは即座に逃げるという判断を下したから間に合った。
少しでも迷っていれば今頃は、月面に深々と刻まれる海溝の様な光線跡の奥深くで消滅していたかもしれない。
ゾンジスによって造られた底の見えない溝を見て、自然と喉を鳴らす。また一つ絶望を味わうこととなった。
『必死だな。ウォズ。怖いか? 俺の力が?』
地響きと錯覚しそうなゾンジスの声が頭上から聞こえて来る。鼓膜を震わす巨大な声による挑発の言葉。
ゾンジスの言う事は図星であった。寧ろ、これに恐怖を覚えない方が人間以前に生物として大事なものが欠損していると言える。
「そう見えるかい?」
ウォズはそれを表に出さず、あくまで余裕を崩さない。表面上は。しかし、ウォズの内心を見抜いているかの様にゾンジスは鼻で笑う動きを見せる。
『強がりは捨て、素直になれ。俺は笑わん』
「──そういう態度が逆に腹立たしいのさ」
強者から弱者への温情。される側にしてみれば屈辱以外の何ものでもない。
ウォズが両手を上へ突き出す。
「これでも強がりと言えるかい?」
すると、月周辺を漂う大小の隕石がギンガファイナリーの力に引き寄せられ、月面に向かって落下してきた。
宇宙の力を利用した質量攻撃。ゾンジスの巨体にダメージを与えるには今のところこの方法しか思いつかない。
数十もの隕石がゾンジスの頭上へ降り注ぐ。
『──ふっ』
ウォズの反撃を一笑するゾンジス。
『ぬおおおおおっ!』
両肘を軽く曲げた状態で腕を左右に広げ、気迫の込められた声を上げる。ゾンジスの全身から先程腕に生えていた筒状の突起と同様のものが生える。
体全体から撃ち出される実弾の嵐。全方向を埋め尽くす程の弾が降って来た隕石を粉々に砕いていく。
落ちて来る隕石の中には直径が数百メートルを超える巨大なものも含まれていたが、秒間数千、数万に届く砲弾の雨に砕かれていき、最後に残った数十メートルの塊もゾンジスの顔面から放たれた光線によって跡形も無く蒸発する。
あれだけあった隕石も、全て月上空で塵一つ残さずに消えてしまった。
ゾンジスの一斉発射は隕石迎撃だけでなく並行してウォズも狙われる。
脚に生える砲身から腕の時以上の弾幕をばら撒かれ、防御をしていたウォズだったが、あっけなく吹っ飛ばされてしまう。
「ぐあっ!」
防御したのでダメージを最小限に済ませられたが、いよいよ戦う手段が無くなってくる。
そんなウォズとは対照的に、ゾンジスは覆すことの出来ない絶対的な差を見せつける為に新たな攻撃を仕掛けてくる。
ゾンジスは徐に両手を胸の前に持ってくる。そして、胸部装甲の中央にある隙間を両手の指を差し込むと、胸部装甲を左右に開いた。
開かれた胸部装甲下には、緑色の円形の弾頭らしきものが収納されている。その形を見たウォズは、それがミサイルであると思った。
胸部から発射されるミサイル──かと思いきや撃ち出されたのは楕円状の物体であり、噴射炎を出すことなくウォズから数十メートル程離れた場所に着弾。やはり、ミサイルとは違い爆発することなく地面に突き立てられた状態となる。
「何だあれは……?」
ミサイルによる爆撃かと思っていたウォズは、想像とは違った光景に当惑する。
そんなウォズの戸惑いなど関係無くゾンジスはどんどんと楕円状の物体を撃ち出し、植える様に地面に命中させ、その数は百を超える。
一体これが何なのかと思った矢先、楕円状の物体がグニャリと形を変えだす。
見た目は金属のようだが、水銀を思わせる自由自在の変形によって楕円から人型に変わっていく。
姿が変わる物体。それが何に形を変えているのかが分かり、ウォズも仮面の下で顔色を変えた。
変形し終えたモノは、全身から緑の光沢を放ち金属の様にも見えるが、同時に生物を彷彿とさせる器官も有しており、一見すると生物かロボットか判断し辛い外見をしている。
そして、何よりも特徴的なのは全部が全部共通の形をしている。そう、それはゾンジスと全く同じ姿であり、それが百を超える数並び立っている。
力、火力と圧倒してきたゾンジスが最後に見せるのは数の力。自分の体の一部を切り離すことで生産することが出来る彼の兵隊。
「こんなことが……」
言葉が詰まる。あるのか、許されるのか、と続く言葉を吐き出したかったが、目の前の理不尽に対する憤慨によって感情が高まり過ぎて上手く言葉に出来なかった。今でも十分強いというのに更なる強さを重ねられれば誰だろうとウォズに近い感情か諦観を覚えるだろう。
『行け』
ゾンジスは静かに──発する声量は雷轟並だが──号令を下すとゾンジス兵士である──ソルジャー・ゾンジスたちがウォズへ殺到する。
「くっ!」
先頭を走っていたソルジャー・ゾンジスが飛び掛かると共に拳を振り下ろしてきた。それをエナジープラネットを纏わせた掌打で弾く。拳を逸らされたソルジャー・ゾンジスの脇腹に反撃の一撃を打ち込み突き飛ばすが、すぐに二人目のソルジャー・ゾンジスが距離を詰め、攻撃しているウォズの顔を殴りつける。
「ぐあっ!」
脳を揺さぶられる打撃。だが、ウォズが倒れまいと踏み止まる。
幸いというべきか、ソルジャー・ゾンジスの力は元のゾンジスよりも弱体化している。でなければウォズの力で簡単に捌くことも出来ないし、まともに入れば昏倒している。
しかし──
「ぐはっ!」
踏み止まっていたウォズの腹部に別のソルジャー・ゾンジスの前蹴りが突き刺さる。前のめりになるウォズ。その背に沢山の拳、肘、足が叩き付けられた。
ゾンジスよりも非力であっても数が多ければ、そんなものは簡単に補えてしまう。
蹲るウォズの横腹に刺さる爪先。横転させられるかと思いきや、背中を踏み付けられてその場に固定されると、頭、腕、胴体、脚と全身を余すことなく攻撃され始める。
戦いではなく一方的な殴る蹴るというリンチ。しかも、どの攻撃も容赦がなく機械の様な一定の間隔で繰り返される。
(これは……死ぬね)
緩やかに動きを止め始める思考。痛みが飽和して段々と痛みが感じなくなってきた。眠りに似た闇がウォズの意識を引き摺り込もうとしてくる。
ソウゴたちを裏切り様な真似をしてまで機会を窺い、本心とは裏腹の行動を強要された挙句に命を懸けて勝つつもりであった相手に蹂躙される。
笑ってしまうぐらい惨めな最期。──そう、このまま一方的にやられれば。
『タイヨウ! アクション!』
ウォズを取り囲んで攻撃していたソルジャー・ゾンジスたちが一斉に炎上し出す。
『投影! ファイナリータイム!』
宇宙空間でも燃え上がらせる程の強力な火力。炎上していたソルジャー・ゾンジスたちは一気に炭化してしまう。
『灼熱バーニング! 激熱ファイティング! ヘイヨー! タイヨウ! ギンガタイヨウ!』
ギンガファイナリーからタイヨウフォームに形態を変えると同時に全身から熱波を発し、周囲のソルジャー・ゾンジスたちを焼き払う。
「まだだ……! このまま終わっては……! 我が魔王やゲイツ君たちに顔向け出来ない……!」
ここで諦めて敗北してしまうなどソウゴの臣下として名折れ。同じ臣下であるゲイツやツクヨミに恥をかかせてしまう。
『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』
ウォズの体にプロミネンスが起こる。発せられた熱は温度を上昇させ、ソルジャー・ゾンジスたちを次々と焼いていく。
『バーニングサンエクスプロージョン!』
ウォズの内部で蓄積されていた熱が一気に解放され、爆発の様な熱波として広がっていく。
熱波に呑み込まれたソルジャー・ゾンジスたちは熱によって炭化し、続いてくる衝撃波によって粉砕され消し飛んでしまった。
百を超えるソルジャー・ゾンジスたちは、ウォズの灼熱の太陽によって瞬く間に全滅する。
「はあ……はあ……」
ウォズなりの必死の抵抗を見せたが、ゾンジスはそれに対し鼻で笑う様な仕草をする。
彼からすれば、ウォズの抵抗は無意味に等しいからだ。
ゾンジスは胸部からソルジャー・ゾンジスたちを直接放った。今度は先程の倍の量であり、昆虫の様に背部から薄羽を展開させて飛翔してくる。
百程度の兵士など幾らでも作り出すことが出来ると言わんばかり、敢えて数を増やし、ウォズの心に絶望を叩き込む。
「くっ……!」
再び迫り来る数の暴力。ウォズは諦めることはせず、タイヨウフォームからギンガファイナリーへと形態を戻す。
『超ギンガエクスプロージョン!』
飛翔してくるソルジャー・ゾンジスたち目掛け跳び上がったウォズが、宇宙のエネルギーを纏わせた右足でソルジャー・ゾンジスたちを貫いていく。
大群を真っ二つに割られていく大群。ウォズはこのまま突き抜けからワクセイフォームに形態変化させエナジープラネットによる爆撃で一網打尽にしようかと思っていた。
目論見通りソルジャー・ゾンジスの大群を突き抜けたウォズ。そんな彼を待っていたのは巨大な壁。
「しまっ──」
それがゾンジスの拳であると分かった時にはウォズの全身にゾンジスの拳が打ち込まれ、月面向かって殴り飛ばされる。
ウォズが月面に叩き付けられるとその衝撃で月面に新たなクレーターが形勢された。
「がっ……はっ……」
クレーターの中心でウォズは動けないでいる。
たった一撃。それだけ当てるだけでゾンジスには十分であった。ウォズもそれなりに頑張っていたと思うゾンジスだが、結果を見ればそれが如何にささやかな抵抗であったことを物語る。
(勝てない、のか……?)
大きなダメージを受けて碌に動くことの出来ないウォズは、ぼんやりとそんなことを思ってしまう。
ゾンジスの何もかもが今のウォズを遥かに上回っており、その差を埋めることはほぼ不可能に近い。
倒す為に策を練り、抗ってみせたが万策尽きてしまった。
理不尽なまでに圧倒的な力によりウォズは敗北を認めざる──
(理不尽……?)
その言葉にウォズは試していないある可能性を思いつく。
(もしかして、
ゾンジスを打倒出来る可能性だったが、同時にウォズにとっても危険な賭けでもあった。
しかし、最早後の無いウォズに迷っている暇など無い。
「やるしか……ない!」
重傷の中でウォズは覚悟を決めた。
『ジカンデスピア! ヤリスギ!』
ウォズは仰向けのままビヨンドライバーから槍モードのジカンデスピアを取り出す。
ゾンジスはウォズの行動に疑問を抱く。今更、槍一本取り出した所で何かが変わる筈が無いというのに。
ウォズはジカンデスピアの穂先をゾンジスに向ける──のではなく己に向けた。
ジカンデスピアを自分に向けて突く。穂先が貫いたのはギンガミライドウォッチ。
『何の真似だ?』
ウォズの中で最強の力である筈のギンガミライドウォッチを破壊する行為にゾンジスも驚きしか覚えられない。
「……これで解放される」
ジカンデスピアを引き抜く。貫かれたギンガミライドウォッチの傷から真上に向けて光の奔流が昇っていく。
ギンガミライドウォッチを破壊した反動でビヨンドライバーが火花を発する。以前ゾンジスから受けた破損も合わさって限界に近い状態にまで来ている。
『そういうことか……!』
ゾンジスもウォズの目的を察する。
『ギンギンギラギラギャラクシー! 宇宙の彼方のファンタジー!』
光の奔流から声が聞こえて来る。真上に昇っていた光が反転し、地面へと降り注ぐと落下した場所で光が人型に変わっていく。
『仮面ライダーギンガ!』
かつて宇宙から飛来してきた正体不明の仮面ライダー。共闘の末に倒してライドウォッチの中へと封印したが、ウォズがそれを破壊したことで封印が解かれる。
「おお……宇宙……! 我が父にして母なる銀河よ……! 私は帰って来た……!」
解放された直後のギンガは、自分が宇宙空間に居ることに気付いて感極まった声を出す。
「だが……」
ギンガの宝石の原石の様な両眼が、ウォズが仕留め損ねたソルジャー・ゾンジスたちを睨む。
「不要なものがいるな」
『ギガンティックギンガ!』
両掌を突き出し、そこから放たれる本家本元のエナジープラネット。ソルジャー・ゾンジスの一体に命中すると球体のエナジープラネットが無数に分裂して周囲のソルジャー・ゾンジスたちにも着弾していく。
その一撃によって残されたソルジャー・ゾンジスたちは一掃された。
「そして、お前もまた不要」
ギンガの目が倒れているウォズに向けられる。
「その姿、不愉快だ」
ウォズのギンガファイナリーの姿に不快感を示す言葉を吐く。破壊されたギンガミライドウォッチの力がまだ残っているのかウォズの姿はギンガファイナリーのままであったが、所々が粒子の様に解け始めており、解除されるのも時間の問題であった。
「宇宙の理は一つ。ギンガは二つも必要無い」
ギンガが掌にエナジープラネットを集束させていく。分かっていた展開ではあった。仮面ライダーギンガは決してウォズの味方ではない。彼の中で定まっている独自のルールの味方なのだ。
そのままエナジープラネットが発射されようとした時──
『仮面ライダーギンガか……』
名を呼ばれたギンガの動きが止まる。そして、名を読んだゾンジスの方に目を向けた。
『イレギュラーのお前とこうして遭うことになるとは……面白い!』
新たな敵の出現にも愉し気な様子のゾンジス。ギンガは無機質な目でそれを見上げていた。
「お前の存在は、宇宙の法を歪める」
ゾンジスから危険なもの、或いはギンガの中にあるルールを逸脱したものを感じ取ったのかターゲットをウォズからゾンジスに変更し、ゾンジスに向かって歩き始める。
『ギガンティックギンガ!』
歩きながらエナジープラネットを連射し、ゾンジスを牽制するギンガ。ゾンジスはエナジープラネットが何発も着弾しても怯む様子も無く、同じく前進していく。
両者の距離が瞬く間に縮まって行く。
『こんなものか?』
ギンガの攻撃を嘲るゾンジス。
「まだまだ、これからキバって──」
「あっ」
最後まで言い切る前にゾンジスの足がギンガを真上から踏み付けた。あまりに呆気無い決着にウォズは間の抜けた声を出してしまう。
『むっ』
踏み付けたゾンジス本人は違和感を覚えた。全力で踏み付けた筈だが、妙な感触を感じる。もう一度押し込もうとして足に力を入れるが、何故かそこから踏み込めない。逆に何かしらの力で押し返され始める。
「如何に巨大であろうと、宇宙の前では全てが矮小な存在に成り下がる」
ゾンジスの巨大な足を押し返しながらギンガが姿を現した。右掌から不可視の力を放ち、それによってゾンジスの足裏に直接触れることなく持ち上げていく。
「ふんっ!」
声を出し、右掌を突き上げるとゾンジスの片脚が大きく上げられ、そのせいでバランスを崩して後退させられる。
あのゾンジスの巨体が後退される事自体が異常であった。
『やるなぁ……』
ギンガの想像以上の手応えにゾンジスから愉しむ余裕が消える。
「やはり、強い……だが」
確かにギンガは強いが、ゾンジスを倒せる程の強さは感じられない。先程の攻撃を受けてもゾンジスが無傷であった様に、ギンガの火力が足りないのだ。
幾ら攻撃を防いでいても相手にダメージを与えられなければいずれはギンガもゾンジスに敗北する。
敵の敵に何かを期待するのは間違っているとは理解しつつ、起死回生を狙って自滅覚悟で呼び出したギンガには何かしらゾンジスへ対抗して欲しかった。
「ふむ……」
ギンガは一人何かを納得し、両掌を宇宙へ向ける。
「惑星よ! 宇宙よ! 我が故郷にして理である銀河よ! 理を乱す者に裁きを下す力を!」
すると、ギンガの声に応える様に宇宙から光がギンガへ降り注がれる。右腕を上に突き上げるポーズへと変え、その光を全身で受けるギンガ。
その光の中でギンガの体は巨大化していき、光が収まった時にはゾンジスと同じ七十メートルサイズへとなっていた。
『ほう? お前も面白い真似が出来るな!』
『宇宙の法則の前にあらゆる不可能は可能となる』
巨人と巨人が睨み合い、次の瞬間互いの顔面に拳を打ち込み合う。
凄まじい衝撃が発生し、ウォズはその衝撃によって地面を転がって行く。
「無茶苦茶だ……」
自分で招いた光景だが、双方のあまりの理不尽さにそう言わずにはいられなかった。
光の巨人っぽい仮面ライダーを呼び出しました。宇宙の力だから何でもありにします。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ