砕け散ったサイキョージカンギレードの光刃の欠片が周囲を舞う中でバールクスはグランドジオウを凝視していた。
(……ふん)
バールクスはグランドジオウに最強の一撃を敢えて放たせたのは、今も散っている欠片の様にグランドジオウの自信を粉々に打ち砕くのが理由であった。
自信と誇りと共に放つ一撃をいとも簡単に防がれた挙句破壊されたとあれば、積み上げられてきた自信や誇りは圧倒的差という絶望に大きく傷付く、或いは粉砕されてもおかしくはない。
せいぜいその情けない面を拝んでみようかと思っていたバールクスであったが、少しだけ感心した様に心中で鼻を鳴らす。
光刃が砕かれた時、グランドジオウは確かに動揺していた。しかし、すぐにその動揺が収まっているのをマゼンタ色の複眼を見て気付く。
替え玉の王として用意されたが、戦ってきた中でそれなりに折れない矜持を手に入れてきたのが分かる。
グランドジオウはサイキョージカンギレードの刃先が地面に着く前に止める。そして、水平になる様に構えた。
「……成程」
既にグランドジオウが何をするのか見抜いたバールクスは、これから徹底的にグランドジオウを潰すことを決めた。
「時間よ──」
何故ならグランドジオウの心は全く折れていないからだ。
「──戻れ!」
額にあるジオウのレリーフが動き、指を反時計回りに回す。そのタイミングに合わせてグランドジオウはサイキョージカンギレードを突き出す。
散らばって消えていく筈だった光刃の欠片がサイキョージカンギレードへと集っていく。ジオウのレリーフが時間の流れを逆行させることで破壊された光刃が復活。今度は上段斬りではなく突きとなってバールクスへ伸びて行く。
「まあまあの工夫だな」
周囲の影を消し去る程の光量を発する光刃の突きに対し、バールクスの余裕は崩れない。
前方へ出されるバールクスの掌。初撃を受け止めた時の様に無駄な力を省き、悠然とした動きであった。
バールクスの掌に光刃の刃先が触れる。グランドジオウは触れると同時に大きく一歩踏み込んだ。
しかし──
「──いや、工夫というのは過大評価だったな」
グランドジオウは確かに全力で踏み込んだ。だが、それ以上先に進めない。
「お前がやっているのはただの悪足搔きだ」
バールクスの掌によって刃先は止められ、そこから一ミリたりとも食い込むことは無かった。
「何で……!?」
理不尽過ぎる現実にグランドジオウは思わず本音を零してしまう。サイキョージカンギレードの柄が砕けそうになるぐらい強く握り締めながら突き出しても微動だにせず、奥歯に罅が入りそうにぐらい食い縛って前進しようとしてもその場で足踏みするだけで終わってしまえば、誰でもそう叫びたくなる。
バールクスが見せつける様に片足を上げ、一歩踏み込む。グランドジオウの足元で砂煙が立つ。グランドジオウの立ち位置が一歩分だけ下がっていた。
バールクスがもう一歩前に出る。グランドジオウはまた一歩分下がった。
「くうぅ……!」
攻撃しているのはグランドジオウの方である。なのにバールクスが光刃を押し込めば、それごとグランドジオウは後退させられてしまう。
おかしさしか感じられない力の差。
「ふっ」
耐えようとしているグランドジオウを嘲笑し、バールクスは走り出す。だが、グランドジオウが後退することは無かった。
バールクスは光刃を掌で砕きながら前進しているからだ。
「小細工など俺には通じん!」
あっという間に光刃を全て破壊し、グランドジオウの手前まで移動してきたバールクス。
「くっ!」
グランドジオウはサイキョージカンギレードを振るうが、バールクスは腕部から伸びるブレード状の突起で軽々と受け止める。
「軽いなぁ? まるでお前が纏っている平成ライダーの歴史の様だ」
「侮辱するな!」
グランドジオウは振り抜こうとするが、バールクスは片腕でサイキョージカンギレードを弾き返し、グランドジオウの懐の潜り込むと左右の拳で腹を素早く突き上げる。
グランドジオウが前のめりになると背後へ移動し、その背に後ろ回し蹴りを叩き込む。
転倒しそうになるのをサイキョージカンギレードを杖にして支え踏み止まるが、すぐにバールクスの追撃が迫る。
『ダブル!』
『電王!』
『ドライブ!』
『ファイズ!』
『鎧武!』
レリーフに触れることなく五体のライダーを同時に召喚してみせたグランドジオウ。数では有利となったが、バールクスは現れた平成ライダーたちを見て鼻で笑う。
「数だけ揃えた所で──」
見下すことを止めないバールクスの嘲りを妨げる為にファイズが助走を付けた蹴りで、電王がソードモードのデンガッシャーで先制攻撃を行った。
バールクスの脇腹にファイズの横蹴りが入り、肩にはデンガッシャーの斬撃が命中する。
「──何の意味も無いがな」
だが、攻撃を受けても喋るのを中断せず、まるで意味が無いと言わんばかりに話を続ける。
ファイズと電王に入れ替わりドライブと鎧武が前に出る。鎧武が無双セイバーと大橙丸の二刀流で素早く斬り付けた後、ドライブが斬り付けた箇所に高速の拳打を打ち込む。
残像が生み出される速度で放たれる拳がバールクスの胴体を打ち続けるが、バールクスは平然としておりまるで効いていない。それどころか今まで攻撃を受けてもその場から一歩も動いていなかった。
ドライブの渾身の力を込めて胸部中央に最後の一撃を叩き込む。
「まだやるのか?」
バールクスはそれに見向きもせず、グランドジオウの方を見て無意味と嘲る様に問う。
ドライブが後ろに下がりWと交代する。
Wは風を纏った右ハイキックをバールクスの側頭部に打ち込もうとするが──
『シャドームーン!』
──赤い線がWの中央を通り抜けていく。
「不思議なもんだ」
Wは右足を上げる体勢のまま動かない。
「自分からは真っ二つに割れるのに、こっちから真っ二つにするのはダメなのか?」
Wの体が中央からゆっくりと左右に分かれる──寸前にWは消滅する。
バールクスの手には新たな武器が握られており、それがWを一撃で葬った。
「光栄に思え。王の剣で倒される栄誉をくれてやる」
バールクスが握るのは両刃の剣。柄と棘が打ち込まれたナックルガードは金。柄とナックルガードは一体となっており、それはBLACKの胸にあったゴルゴムの紋章を模した形をしていた。
真紅に輝く剣身が、見ている者に悪寒を与える程の異様な圧力を放つ。
バールクスが握る剣の名はサタンサーベル。世界を統べる創世王の聖剣にして魔剣。グランドジオウにとってのサイキョージカンギレードと同じく王の為に創られた剣である。そして、それは王であるバールクスにとっても同じ。
本来ならば完全に使いこなすことは不可能な筈だが、RXとシャドームーンという二人の世紀王の力を所有しているバールクスはそれを無理矢理可能とする。
「ふん!」
バールクスが動く。一踏みでバールクスは最高速度に達し、赤い軌跡を残しながらグランドジオウが召喚した平成ライダーたちへ接近。
目にも止まらない速さでサタンサーベルを一振り、二振りとWを倒した時の様な赤い線を描いていき、バールクスが止まった時には平成ライダーたちの体に深い斬撃痕が刻まれる。
バールクスの攻撃はそれで止まらない。立ち止まったバールクスの手は既にジクウドライバーに触れていた。
『フィニッシュタァァイム!』
『シャドームーン!』
『バールクス!』
バールクスが頭上にサタンサーベルを掲げる。サタンサーベルが輝くと稲妻状の赤い光が発生し、四方へと伸び斬撃で動けない平成ライダーたちへ巻き付く。
赤い光は縄の様に平成ライダーたちを拘束すると、反重力が起こり体を宙に浮かび上がらせる。
『タイムブレーク!』
サタンサーベルから鏃型の光弾が五つ放たれると、光弾は赤い光を伝っていく。逃れる術の無い平成ライダーたちを光弾が貫き、五人のライダーが消滅する。
グランドジオウはすかさず新たな平成ライダーを召喚。
『クウガ!』
『フォーゼ!』
『ゴースト!』
『ウィザード!』
『響鬼!』
クウガ、フォーゼ、ゴースト、ウィザード、響鬼が並び立つが、バールクスは新たに呼び出された平成ライダーたちを見ても呆れた様に肩を竦めるだけ。『何も分かっていない』と言いたげ態度であった。
『BLACK RX!』
「リボルケイン!」
RXライドウォッチが起動するとバールクスはジクウドライバーからRXの武器リボルケインを引き抜く。
リボルケイン、サタンサーベルの二刀流となったバールクスは平成ライダーたちに光り輝く剣身を突き付け、不敵な態度を見せる。
リボルケインの輝きに恐れる事なく走り出す平成ライダーたち。
だが、決着は一瞬であった。
まるでバールクスが光と化したかの様な速度で平成ライダーたちの間を通り抜けたかと思えば、五人の平成ライダーたちはいつの間にか付けられた傷から光を鮮血の様に噴き出しながら爆散する。
「平成ライダーの力が通じない……!?」
攻撃も防御も速度も何一つバールクスへ届かない。ただ圧倒されるだけ。
「平成ライダー自体に意味が無いからな」
グランドジオウの動揺に対しバールクスはさも当然の様に言い放つ。
「平成ライダーを意味が無いなんて言うな……!」
「ここまで見せつけてもまだ言うのか? そこまで言うのなら証明してみせろ、平成ライダーの意味を。──まあ、無理な話だがな」
バールクスの挑発にグランドジオウは怒りを露にし、バールクスの言葉を否定する為に平成ライダーを召喚する。
『カブト!』
『アギト!』
『キバ!』
『ディケイド!』
『エグゼイド!』
追加で呼び出される平成ライダー。真っ先に動いたのはカブト。
『CLOCK UP』
時間の流れに干渉し高速移動を開始するカブト。同じ能力もしくはクロックアップに匹敵する高速移動能力を持たねばまずカブトの動きについてはいけない。
クロックアップのままカブトはバールクスへ接近し右上段蹴りを繰り出す。
「うろちょろと鬱陶しい」
バールクスはまるで最初から動きが見えていたかの様にカブトの蹴りをサタンサーベルの柄頭で打ち落とし、カブトの背後へ回ると首を腕で締め上げ身動きを封じる。
「どうして……!?」
グランドジオウですらクロックアップの動きが見えなかったのにバールクスはあっさりと対応してみせた。
「言っただろうが。意味が無い、と。意味の無い存在が何をしようが俺には通じない」
そう言い切るとバールクスはライドウォッチを起動。
『ロボライダー!』
ロボライダーライドウォッチの能力が発動すると抵抗していたカブトが急に止まる。
「死ぬまで踊って来い」
バールクスがカブトを解放した途端、カブトは悶え苦しみ始めたかと思えば、獣染みた動作で仲間である平成ライダーへ襲い掛かったのだ。
達人を思わせるスマートな動きとはかけ離れた動作の大きいテレフォンパンチでキバを殴りつけ、次にアギトへ左右の大振りのフックを叩き込んだ。
次の標的に移る前にディケイドとエグゼイドが二人掛かりで羽交い締めにする。拘束されてもカブトは暴れ続ける。
何故カブトが敵味方区別を無くして暴れるのか。実はカブトのベルトにはいざという時に変身者の意思を無視して標的を倒す暴走スイッチが仕込まれている。通常時ならばまずそのスイッチが発動することは無いが、バールクスはロボライダーライドウォッチの能力により外部から強制干渉することでカブトを暴走させた。
押さえ込まれ様としていたカブトであったが、箍の外れた力にライダー二人でも完全に押さえ込むことが出来ない。カブトは暴れ狂う中でベルト横へ手を伸ばし──
『CLOCK UP』
クロックアップを発動。一瞬にしてディケイドとエグゼイドの拘束から抜け出したかと思えば、ディケイドたちが不可視の打撃を受けて宙に舞う。そこから間もなくしてキバとアギトも同様に空中へ殴り飛ばされた。
「なんてことを……!」
最初は仲間の為に使われたクロックアップが、今は仲間を嬲る為に使用されている。バールクスの悪趣味な催しにグランドジオウは強い怒りと嫌悪を覚える。
「はははは。まあまあの見せ物だ」
当の本人は同士討ちを嗤い、劇でも見ているかの様な感想を述べながらリボルケインとサタンサーベルを構える。
「だが、もう飽きた」
バールクスは跳躍し宙に舞っている平成ライダーたちへ飛び掛かると一瞬の交差をした後、地面へ降り立つ。
アギト、キバ、ディケイド、エグゼイドの体には十字の傷が刻まれており、その傷から火花を飛び散らせながら空中で爆散。
『CLOCK OVER』
そのタイミングに合わせてカブトのクロックアップが解除され、暴走が噓であったかの様にバールクスの前で力無く立つ。
「ご苦労」
労いの言葉であったが、不要なものを切り捨てる冷たい響きしかなく無抵抗なカブトにサタンサーベルを一閃させ、実際に切り捨ててしまう。
崩れ落ちながら消滅するカブトを見向きもせず、バールクスはグランドジオウを見る。
「残り四人。いや、お前も含めれば五人か。さあ、もっと足掻いて、足搔いて、足掻いて、俺の言葉が絶対であることをお前自らが証明しろ」
グランドジオウは明らかにおかしなことが起こっているのは分かっていた。幾ら何でも通じなさ過ぎる。力や速さが及ばないのではなく平成ライダーたちの行動がバールクスの前では意味を為さなくなる。
それこそバールクスが言った、平成ライダーたちに意味が無いかの様に。
「そんな筈が無い……!」
ライドウォッチを受け継いだグランドジオウはそれでもバールクスの言葉を跳ね除ける。ライドウォッチを通じて知った平成ライダーたちの歴史がバールクスの言葉一つで無意味にされることなどあってはならない。
『ビルド!』
『ブレイド!』
『オーズ!』
『龍騎!』
召喚していなかった四人の平成ライダーに加え、グランドジオウもサイキョージカンギレードを構えて打倒バールクスの為に共に並ぶ。
仲間たちと戦意を見せるグランドジオウに対し、バールクスは滑稽と言わんばかりに笑い出す。
「意味が無い連中が意味も無いことをするか……くくく……道化だな」
バールクスの悪意ある嘲りにもグランドジオウは構えを崩さない。
「特に替え玉──グランドジオウだったか? お前は特に滑稽だ。初め見た時は思わず吹き出しそうになったぞ?」
バールクスはそれでも悪意を流し続ける。
「黄金の鎧に平成ライダー共のレリーフだと? こんなにも見かけだけの奴も珍しいと思った程だ! 俺から言わせれば黄金はメッキ。レリーフは張りぼてだ。まあ、替え玉が着飾るには相応しい恰好だとは言えるがな!」
グランドジオウは血が沸騰し、逆流しそうな気持であった。今まで生きてきた人生の中でここまで悪意ある罵倒は初めての経験である。バールクスに比べればスウォルツの傲慢さが謙虚にすら思えてくる。
「そうやって見下してばかり……! それがあんたの思い描く理想の王様なのか!?」
「理想……? 馬鹿め。俺が王である時点で全てが肯定される。俺が頂点だ」
グランドジオウはやはりバールクスとは相容れないと悟る。何から何まで自分とは考えも思いも違う。
「はああああああっ!」
これ以上言葉を交わすことは不毛と思い、グランドジオウは平成ライダーたちを率いてバールクスへ迫る。
だが、これまでの戦いを全て圧倒してきたバールクスにとっては最早児戯。グランドジオウが参戦したからといって何も変わらない。
この戦いすらもただ圧倒するだけで終わる。
「たあああっ!」
先駆けとなったグランドジオウがサイキョージカンギレードを横薙ぎに払う。
『バイオライダー!』
バールクスの体がバイオライダーライドウォッチによって液状化し、地面へ吸い込まれることでその斬撃を難無く回避してしまう。
「何処だ……! 何処から来る……!」
周囲だけでなく地面も警戒するグランドジオウたち。前にバイオライダーの能力を有したタイムマジーンに苦しめられたこともあって些細な変化も見逃さない様にする。
もしも地面に水溜り、または濡れた箇所があればそこからバールクスが飛び出て来る可能性があった。
すると、地面を揺さぶる地響きが起こり始め、グランドジオウらはその揺れに襲われる。揺れはかなり大きく、グランドジオウたちは倒れない様に踏み止まろうとする。
地面に亀裂が生じる。亀裂はどんどん大きくなり断層と化した。すると、その断層から勢い良く何かが噴き出して来る。
身構えるグランドジオウたち。その体にポツポツと落ちて来る水滴。やがて、それは大雨の様に降り注いでくる。
断層から噴き出してきたのは大量の水。恐らくは地下水である。それが急に噴き出してきたのはバールクスの影響によるとしか考えられない。
この降り注ぐ水に乗じて攻撃してくるのかと考え、神経を張り巡らすグランドジオウ。
『バイオブレード!』
聞こえたのは間違いなくバールクスの声。その声の方を全員が向き、そして立ち尽くす。
声がした場所に立つのは龍騎のみ。
どういうことかと思った瞬間、龍騎の胸部から白刃が飛び出し、近くに居たオーズへ突き刺さる。
「うっ!?」
オーズはこの一突きが致命傷となって爆発。龍騎から飛び出している白刃は胸から上と斬り裂いていき、内側から液状化したバールクスが出て来ると龍騎は爆散して消える。
噴出した地下水に乗じて既に龍騎の体内に潜んでいたのだ。
「お前ぇぇっ!」
バールクスの残酷な戦い方に怒りのままサイキョージカンギレードを振り回すが、液状化のまま飛び回るバールクスには何の効果も無い。刃が入っても液体である為にそのまますり抜けてしまう。
液状化した体でビルドへ接近すると、液体となった体で尾を描く様に動く。その尾の部分に触れたビルドの体には深い斬撃の痕が生まれ、ビルドは爆発。
続け様に渦の形となってブレイドを呑み込む。渦の中で白刃が煌めき、それが消えると切り刻まれたブレイドは消滅。
そこからグランドジオウの傍へ移動すると、ビルドを倒した時と同じ攻撃をグランドジオウへ与える。
「うああっ!」
グランドジオウが吹き飛ばされる。装甲にはウォーターカッターに触れたかの様な傷が出来ていた。
「ふん。まあ、思った通りの結末だったな」
液状化を解き、実体化したバールクスがグランドジオウを見下ろす。
「所詮は歴史を再現しただけの平成ライダーだ。本物と比べれば木偶だな」
貶しつつも意外なことに平成ライダーを認める様な発言をするバールクス。
「中身が無ければ仲間もいない。守るべきモノも皆無。奇跡も何も起こらない平成ライダーなど脅威にもならない」
平成ライダーたちは絶体絶命の状況になっても守るべきモノの為に自らを奮い立たせるか、死線を共に潜り抜けてきた仲間のサポートで奇跡を起こすことが出来る。
「──まあ、だから醜いのだがな」
バールクスにとっては土壇場で手に入れた強さなど気に入らない。それなら最初から強い方が良いに決まっている。そういう奇跡によって得た不安定な強さもバールクスにとって平成ライダーたちを醜いと思う要素の一つであった。
「醜いって言うな……!」
グランドジオウはバールクスの言葉を否定しながら立ち上がる。
「ここまでやってもまだ分からないのか? お前、頭の中身まで平成が詰まっているのか?」
頑ななグランドジオウに呆れながらバールクスはこめかみを指で叩く。
「何度でも言ってやる……! 平成ライダーは意味の無い存在じゃない……!」
「俺が意味が無いと言えば意味が無いんだよ、この世界では。俺が
「ルールを敷いた……?」
平成ライダー自体に意味が無い。それがこの世界に於ける絶対であり法であり理である。
意味が無いからこそ他の者に危害を加えることが出来ない。何故なら存在しないに等しいから。
そんなことなど通常なら有り得ないことだが、バールクスが居ればそれは有り得ないことでは無くなる。
「それが俺の『創世』の力! この世界に『
これが今までグランドジオウを含む平成ライダーたちがバールクス一人に手も足も出なかった理由。
『創世』という世界を創り変える能力。
「そん、な……!?」
バールクスに絶対に勝てないとウォズが言った意味をこの時になって真に理解した。この世界に居る限り、否、世界が変わってもバールクスと戦う限り平成ライダーたちは絶対にバールクスには勝てない。
「……どうやら準備が終わった様だな」
バールクスが頭上を見上げる。グランドジオウもまた頭上を見た。
上空で待機をしていたダイマジーンらが手を繋ぎ合わせている。その輪の中に多角形の異空間が形勢されると凄まじい勢いで人々を吸い込み始める。
「平成の世に生まれし者達よ! その命、この王に返上するがいい!」
遂に始まってしまったクォーツァーの計画。平成に生まれた人々が吸い上げられ、異空間へ消えて行く。
「止め、ろぉぉぉぉ!」
グランドジオウもまた例外ではなく上から凄い力で持ち上げられそうになるが何とか耐えていた──致命的な隙を晒しながら。
『BLACK RX!』
『シャドームーン!』
再度バールクスに握られるリボルケインとサタンサーベル。二本の武器を重ね合わせると融合し、両方の特徴を兼ね合わせた長剣となる。
「ふん!」
剣身が青白く発光。バールクスは長剣を両手で握ると一瞬でグランドジオウの傍に移動。上段に構えた長剣を振り下ろす。
「くっ!」
グランドジオウは咄嗟にサイキョージカンギレードで長剣を受け止めようとするが、輝く剣身はサイキョージカンギレードを両断。
無防備となった胴体に長剣が突き刺さった。
「うっ!」
背中まで突き抜ける長剣の刃。流し込まれた力が青白い火花となってグランドジオウの背部から散っていく。
「さらばだジオウ!」
『フィニッシュタァァイム! バールクス!』
バールクスはグランドジオウを突き刺したまま長剣を持ち上げる。
「うああああああああああっ!」
その激痛にグランドジオウは叫ぶ。
バールクスは長剣を引き抜く。グランドジオウの体は地面に落下せず、頭上の異空間によって上へと引っ張られていく。
「替え玉の王よ!」
『タイムブレーク!』
バールクスはしゃがみ込み、地面を掌で叩きながら跳び上がる。そして、空中で姿勢を変えながら赤色に輝く両足をグランドジオウへと叩き込んだ。
「うぐあっ!」
止めの一撃により高く蹴り上げられるグランドジオウ。既に意識は無くなっており、変身が解除されてソウゴの姿へ戻る。
降り立ったバールクスは小さくなっていくソウゴを見て高らかに宣言する。
「これで平成ライダーは終わりだ」
劇場版ボスなので強さと設定をかなり盛りました。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ