半透明の姿。幽霊になってまで自分の許へ駆け付けたくれたゲイツとウォズに嬉しさを覚える反面、やはり彼らが死んでしまったという現実とそうなってしまった事への申し訳なさを覚える。
「やっぱり……二人共、ごめん! 俺が──」
『それ以上詰まらんことを言うなら、殴り飛ばすぞ?』
『乱暴だねぇゲイツ君は。──でも、多分私も怒るよ?』
二人にそう言われればソウゴも口を噤むしかない。
「ふっ。死して尚尽すか」
『羨ましいか?』
「かもしれん」
皮肉を言われたと思ったゲイツが皮肉で返すが、思っていた以上に素直な言葉を返されて後に続く言葉を失ってしまう。
ソウゴとオーマジオウは似ても似つかない存在だと思っていたが、この様な部分を見るとどうしても今のソウゴと重なってしまう。
『申し訳ございません、我が魔王。貴方に忠誠を捧げた身ですが、今の我が魔王が心配になってしまったので、こういう身ですが馳せ参じました。……まあ、貴方にとっては元裏切り者の戯言かもしれませんが』
「構わん」
オーマジオウはその一言でウォズを許す。オーマジオウにとって怨敵と言えるクォーツァーのメンバーに対して甘過ぎる対応かもしれないが、事実を知ってもオーマジオウはウォズを責める素振りすら見せなかった。
『……その寛容な御心、心より感謝します』
ウォズも最期までソウゴへ尽してきたが、オーマジオウへの敬意を失うことはせず、恭しく礼をする。
憎むべき敵、仕えていた王に対して二人が意外な程冷静な対応をした後、ソウゴの方を見る。
『何だその顔は? 見ていて腹が立って来るっ!』
『ゲイツ君。我が魔王に失礼だよ──と言いたい所だが、今回ばかりは君に同意させてもらうよ。私もこんな顔を見たくない』
ゲイツ、ウォズから辛辣な反応をされ、ソウゴは目を瞬く。
『ジオ……ソウゴ。オーマジオウが言った様に俺達が本当にお前の犠牲になったと思っているのか?』
いつもの呼び方ではなく初めてソウゴの名を呼ぶ。
「でも、ゲイツもウォズも……その、死んじゃってるし……」
直接的な表現を避けたかったが上手い表現が見つからず、仕方なく思ったまま言うソウゴ。ゲイツはいつも見せる眉間に皺を寄せた表情でソウゴを睨む。
『舐めるなよ、ソウゴ!』
「ええ……」
ゲイツに叱られ、ソウゴは困惑した声を上げる。
『よく聞け! 俺がこうなったのは全部俺の実力不足が原因だ! あの時、油断さえしなければ……! 兎に角、俺が奴と相打ちになって死んだのは俺の責任だ!』
死んだのはソウゴに関わったからではなく自らの弱さによる自己責任と主張する。
『いいか! 俺は戦士だ! 自分の行いには如何なることでも責任を持つ! それが俺の理想とする戦士だ! 俺はお前に全てを背負わせる程様な情けない真似はしない!』
何もかも他人のせいにすれば、それはそれで楽な生き方なのかもしれないが、そんなことはゲイツの戦士としての誇りが許さなかった。そして、それを背負おうとするソウゴにも怒りを覚える。尤も、その怒りは心配や自分の身を大事にしろ、という想いから来るものであった。
『ゲイツ君。普段から我が魔王を怒鳴っていることが多いんだ。聞き慣れ過ぎて響きが薄いよ? こういう時こそ 咤するじゃなくて優しい言葉を掛けるべきだと思うのだが……?』
『優しい言葉だと……?』
『こういう時にしか言えない本音というのがあるだろう?』
普段から隠し事が多いウォズが言うと皮肉にしか聞こえないが、ゲイツも一理あると思ったのか眉間の皺を更に深くして苦渋に満ちた表情をする。
時間にすれば十秒程の沈黙だったが、やがてゲイツが決意した表情となり、ソウゴの真正面に立って向き合う。
『一度しか言わないからよく聞け!』
「う、うん」
『──俺は確かにお前の為に戦い、その過程で命を落とした。それは紛れもない事実だ……だが、幸せだった』
その言葉にソウゴは目を見開いた。
『お前の時代に来たこと、そこでお前と友となったこと、俺は胸を張って言える。紛れもなく俺にとって幸福な時であった、と』
普段のゲイツなら絶対に言わないであろう素直な気持ちの吐露。それこそ死に際ぐらいにしか言わないだろう。今のゲイツは死んでいるが。
『だから、犠牲なんて思うな! そんな言葉一つで片付けるな! 俺は不幸じゃない最後まで幸福だった! ソウゴ! お前の友として戦えたことがっ!』
死ぬ、ということは解釈によって違いは出るが不幸という要素を孕んでいるものである。実際にソウゴも自分の為にゲイツとウォズが犠牲になったと思った時、そう思ってしまった。しかし、それを当の本人が否定したらソウゴも何も言えなくなる。
『……と言ってもきっとお前は背負ってしまうんだろうな。……お前は優しい奴だからな』
ゲイツもどう口で言っても、ソウゴが大なり小なり自分の死に負い目を感じるだろうと理解していた。簡単に割り切る様な人物ではない。だからこそ、惹かれたと言える。
『ふふっ。本当に忠誠というのは難儀なものだね。心の底から王を想っているからこそ王の為に命懸けになれるが、そのせいで王を哀しませてしまうのだからね』
矛盾していると分かっているが、それでも己の心にあるものを押さえ切れずに動いてしまう。
『もし……もし、俺に後悔があるとすれば……俺がお前にそんな思いをさせたことだ』
戦い、散った時に後悔は無かった。だが、ゲイツもまさか死んだ後に知ったことで後悔するとは思ってみなかった。
「ゲイツ……」
友からの本気の言葉に、ソウゴの輝きを失った瞳が再び輝きを灯し始める。本気で悔やんでいるソウゴの心を動かすには、やはり本気の言葉と想いしかない。
『……俺から言えることは以上だ。おいっ! ウォズッ! 人に散々言わせたんだ! お前も何か言えっ!』
『さて、何を言うべきか? 私が言いたかったことは全部ゲイツ君が言ってくれたからねぇ?』
『こいつ……!』
ウォズの惚けた態度にゲイツは頬をひくつかせるが、ウォズはそんなゲイツの顔を見て『冗談だよ』と軽く笑う。冗談を言われた当人の機嫌はますます悪くなったが。
『さっさと言え!』
『分かっているよ』
ゲイツの怒鳴り声を軽く流しながらウォズはソウゴと目を合わせる。
『我が魔王。さっさとそんな情けない顔は止めて、いつもの飄々としながらも抜け目がなく、でも抜けている所があるが魔性も秘めた顔付きに戻って欲しいね』
「そんな風に思ってたんだ……」
褒めているのか貶しているのか判断し難いウォズの評価にソウゴは複雑な表情をする。
『──我が魔王。君が人々の幸福を願っている様に、我々も君の幸福を願っている。全てのものを背負ってしまうなら、この願いも背負ってくれないか?』
この先もソウゴは何かを失うことがあるだろう。だが、その時にせめてもの心の支えになるように自分たちの願いをソウゴへ託す。
民の幸福を願う王様が、幸せになってくれることを願うことは何もおかしくはない。
「俺は……」
絶望の底にあった筈なのに心の奥底から力が湧いて来るのを感じる。
『さあ、立つんだ我が魔王。そして、前を向くんだ』
『立ち止まるなソウゴ! そして、戦え!』
厳しい言葉かもしれないがゲイツとウォズはソウゴのことをちゃんと理解していた。ソウゴは、ここで立ち止まってしまうことを絶対に後悔することを。
「俺は……!」
湧き上がる力は全身を駆け巡り、やがて熱となる。理想と魂を奮わせ、燃やすことで生み出される熱に。
「俺は王様になる! 世界を良くする為に!」
揺るがされた夢。だが、友の言葉で自分が選んだ道を心から誇れる。得難き友人達と出会うことが出来たこの夢が間違っている筈など無いのだ。
もう揺らぐことは無い。この先、ソウゴはずっと自らが王になることを望んで生きていける。
「それがお前の選ぶ道なら、私が言えることは唯一つ……お前の王道を突き進めっ!」
オーマジオウの激励と共にソウゴが付けていたオーマジオウドライバーから黄金の光が飛び出す。
黄金の光が飛び出したオーマジオウドライバーはジクウドライバーへと戻り、光はソウゴの右手の中へ集まり、ある物と化す。
「これって……!?」
──黒の外装に波打つ金の線で装飾されたライドウォッチ。描かれた顔はオ―マジオウのもの。そう、黄金の光はオーマジオウライドウォッチとなった。
オーマジオウからジオウへと送られる最後の継承。この事実に送られたソウゴだけでなく、ゲイツとウォズも驚愕している。
「……お前はオーマジオウとなってその力を得る道では無く、ジオウとしてオーマジオウの力を継承した」
オーマジオウは自分のオーマジオウドライバーに触れながら、ソウゴのジクウドライバーを見る。
「その違いを覚えておくことだ」
「俺とオーマジオウの違い……」
ソウゴもオーマジオウドライバーと自分のジクウドライバーを見比べる。
「──さあ、行け。お前がここに留まる理由はもう無い」
オーマジオウは、ソウゴの後ろに広がる先の見えない荒野を指差す。
「行けって……でも」
ソウゴがゲイツとウォズを見る。すると、二人は無言で首を横に振る。ここでお別れだと言わんばかりに。
二人は死人。ライドウォッチとオーマジオウが創り出したこの特殊な空間おかげで言葉を交わすことが出来る。
死人は想いや願いを託すことはしても、引き留める様なことをしてはならないのだ。
ソウゴは何か言いたそうな顔をするが、その顔を引き締めて二人に背を向ける。何かを言ってしまうと未練が生まれてしまう。
だが、せめて一言だけ言いたい。
「ありがとうっ!」
ゲイツにウォズ、そしてオーマジオウへと送る感謝の言葉。
後ろ髪を引かれる気持ちはある。しかし、ソウゴはそれを振り払って走り出した。
この荒野が何処へ続いているのかはソウゴには分からない。それでもソウゴは全力で走り続ける。
「──それでいい。立ち止まらず真っ直ぐ走り続けろ、若き日の私よ。お前が行くべき道は太陽と月が照らしてくれる」
小さくなるソウゴの背を見ながらオーマジオウは微かな声で呟いた。
『……我が魔王。貴方の力を手にした彼は、クォーツァー──バールクスに勝てますか?』
ウォズが気になっていた疑問をオーマジオウへ投げ掛ける。
バールクスはオーマジオウに直接手を出すことはしなかった。だが、逆にオーマジオウもまたバールクスに仕掛けることはしなかった。オーマジオウがクォーツァーを認識していなかったなどとは考えられない。
そのことが意味するのは、バールクスとオーマジオウは拮抗する力を持っているということ。
「私の力を手に入れ、若き日の私はようやく奴と同じ舞台に立てる」
『──っ! そうですか……』
薄々気付いていたが、オーマジオウが断言したとなると少なからず動揺する。そして、これ以上何も出来ない自分に不甲斐なさを覚える。
「……お前たちはまだ若き日の私の為に戦えるか?」
『……どういう意味だ?』
『何か策があるのですか?』
オーマジオウには何かしらの案がある様子。
「私を信じ、全てを委ねられるか?」
『御託はいい。さっさと言え。俺は乗る』
覚悟を試すつもりの問いであったが、ゲイツがあまりあっさりと了承してしまった為に流石のオーマジオウも次の言葉を言うのに間が出来てしまった。
「……お前は私を憎んでいると記憶しているが?」
『勘違いをするな。今でもお前のことは嫌いだ』
そう吐き捨てるゲイツだが、言い終えた後に『──だが』と付け加える。
『オーマジオウがつまらない小細工をする奴だとは思っていない。……いつだってオーマジオウはその圧倒的な力で俺達レジスタンスを捻じ伏せて来たんだからな』
オーマジオウの強さを知っているからこそ裏に何かがあると疑わない。
『それにだ……今の俺にあいつの為に何が出来るなら悪魔だろうと魔王だろうと手を組んでやる』
「そうか……お前はどうなのだ? ウォズ」
『私が我が魔王のことを疑うなどあり得ません』
ウォズの方も既に答えを出していた。二人の了承を得たオーマジオウは、二人に両掌を翳す。
掌から光が放たれ、それを浴びたゲイツとウォズがライドウォッチへと戻り、落ちる前にオーマジオウに引き寄せられ、その手の中に収まる。
「──もう一人、力を借りる必要があるな」
オーマジオウはそう呟き、荒野から姿を消した。
◇
「ぐ、おおおおおおっ!」
「く、おの、れ……!」
類を見ないリボルケイン同士によるリボルクラッシュの相打ちにより、気を抜けば即座に死へと繋がる耐久戦がRXとバールクスの間で続けられていた。
いつまで続くか分からない泥沼の戦い──かと思いきや、終わりは唐突にやってくる。
少しの油断も許されない戦いの中でRXとバールクスは弾かれた様に同時に頭上を見上げたのだ。
彼らの視線の先にはダイマジーンらが造り出した異空間。二人にしか分からない何かを感じ取っていた。
「無事だったか……!」
「何だと……!?」
RXの声には安堵。バールクスの声には驚愕が混じっている。
すると、RXはバールクスの気が取られている内にバールクスの胴体を蹴り飛ばし、互いに貫いていた武器を引き抜く。
後退させられるバールクスであったが、彼はRXの行為を嗤った。
「血迷ったか!」
バールクスがそう嗤うのも無理は無い。RXはリボルクラッシュのエネルギーを体内に溜め込んだ状態でバールクスから離れたのだ。RXには現在リボルクラッシュ二発分のエネルギーが蓄積している。RXが戦ってきた怪人であったのなら即座に爆散してもおかしくない。
RXだからこそ、その膨大な光のエネルギーに耐えられる──僅かな間だけだが。
「う、おおおおおおっ……ソウゴ……! まだここへ、戻る道が、見つかっていないんだな……! なら……! このRXが……君が進むべき道を照らす……!」
RXの手からリボルケインとシャドーセイバーが離れ、落ちる途中で光に還る。最早、それを維持する集中力すらRXには惜しい。
「キングストーンよ……! ソウゴを……! 導けぇぇぇぇぇぇ!」
異空間へ向けて、全身に溜め込まれた光のエネルギーをキングストーンフラッシュとしてサンライザーを通じて外へ放出する。
「ぬうぅぅ!」
その輝きと力はバールクスも怯ませるものであり、RXの妨害をすることも出来ない。
だが──
「くっ……! 持ってくれ……! 俺の体よ……!」
幾ら外部に放出しようとも既に致死以上のエネルギーを内包しているRXにはキングストーンフラッシュという行為そのものに凄まじい負担が掛かっていた。
RXの装甲に罅が入り出す。外からの衝撃ではなく内側から来るエネルギーの圧によるものであった。その罅は容赦無くRXの全身に伸びて行く。
「がはっ……!」
光のエネルギーを完全に制御し切らず、反動がRXの体を蝕み膝から力が抜くていき、今にも倒れそうな体勢となる。
「まだだ……! 俺は諦めん……!」
折れる事の無い精神力で耐えようとするが、それよりも先に肉体の方が限界を迎えようとしていた──その時であった。
ならば、力の半分を俺に渡せ、RX。
「シャドームーン……!」
RXが横を見れば、そこにはシャドームーンの幻影が立っている。
お前一人ではその力を完全に制御出来ないが、俺とお前ならば──
「──ああ、頼む!」
RXの体にシャドームーンの幻影が重なる。
お前のベルトだけではこのエネルギーは放出し切れん! 全身を使え! 俺がコントロールする!
「分かった! お前の言葉、信じるぞ! 信彦っ!」
サンライザーだけでなく全身を使ったキングストーンフラッシュ。当然のことながら初めての試みであったが、RXは恐れなかった。今の彼には心強い味方がいる。
「おおおおおおおおっ!」
RXの全身が発光する。その光量は太陽がこの地に出現したかの様であった。
「くっ!」
出力を増したキングストーンフラッシュによりますます近付けなくなるバールクス。輝く光の浴びせられながら彼は見た。
全身から光を放出しているせいでRXの体だけが黒い輪郭として光の中で浮かび上がっている。
それはさながら太陽に月が重なることで起こる日食。或いは、嘗てのRXの名を体現させた
太陽と月が合わさることで奇跡の力が生み出される。
「キングストーン!」
シャドー!
『フラッシュ!』
閃光が世界を通り抜けていく。その後に広がる光景は──
「何だと!?」
──空中に浮かぶ人、建物を含む全てのものが静止していた。
「時間停止か……!」
ありとあらゆるものが時間を止められ、空中で固定されている。あろうことか異空間への吸引までも止められていた。
「はあ……はあ……戻って来たか……! ソウゴッ!」
力を振り絞り消耗し切っている状態のRXだが、彼は確かに感じ取っていた。戻って来ると信じたソウゴの存在を。
そして、バールクスもまたその存在に気付く。
「随分と派手な帰還だな……常磐ソウゴッ!」
バールクスが睨み付ける先、空中で停止する横向きになっている引き抜かれた鉄塔。そこにソウゴは立っていた。
「届いたよ、光太郎の光。ありがとう、俺を信じて戦ってくれて」
その想いに報いる為、目指した王の道を突き進め為、ソウゴはオーマジオウライドウォッチのスイッチを押す。
『オーマジオウ!』
ジクウドライバーの右スロットへ挿し込まれるオーマジオウライドウォッチ。中央のロックを解除し、ソウゴは構える。
「変身っ!」
ジクウドライバーが回転すると共に世界も回る。ソウゴを中心にして。
『キングターイム!』
ソウゴの背後に黄金の光が集い、それが巨大なオーマジオウの像と化す。オーマジオウの仮面から飛び出す『ライダー』の文字。同時にソウゴの体を幾重の黄金の円環が包み込み、今の彼に相応しい王の姿を作り上げる。
『仮面ライダージオウ! オーマー!』
金を主としたインナースーツ。首回りを守る二重の装甲。胸部には時計のメタルバンドを模した外装で一周して覆われており、ショルダーアーマーの役目を果たしている。
背中にはマントの様に時計の長針、短針に似たプレートを装着させている。
黄金へと色を変えたジオウの仮面。頭部両側面にはパーツが追加されており、『王』という文字にも見える。
オーマジオウの像から飛び出した『ライダー』の文字がジオウの顔面に填め込まれる。そして、その額には何処からか飛んで来たジオウライドウォッチが装着された。
新たな変身にして到達点の一つとなったジオウ。その姿を見届け、満足したかの様にオーマジオウの像は光に戻って行く。
祝え!
ここには居ない、そして、聞こえる筈の無いウォズの声。それはジオウの幻聴ではなく、バールクスにもクォーツァーにも他の人々にも聞こえた。
時空を超えて大魔王の力を受け継ぎ、全ての時代をしろしめす最終王者! その名も仮面ライダージオウ オーマフォームの誕生である!
その祝福を受けながらジオウオーマフォームは光の流星となって地面へ飛び降りる。同時に空中に固定されていた者たち全員に光の時計盤が浮かび上がり、その針が逆巻かれると全員が地面に引き寄せられる様に戻って行き、最終的には何事もなかったかの様に地面へ降り立った。
「全ての平成生まれの時間を戻しただと……!」
その光景を見ていたバールクスは忌々しそうに言う。異空間へ吸い込まれそうだった者たちの時間を戻すこと吸い込まれる前に戻し、無傷で救出してのけたのだ。
地面へ降り立ったジオウオ―マフォーム。次の瞬間にはRXの隣に立っていた。
「そんなボロボロになっても俺を導いてくれてありがとう……」
「俺はただ君が進む道を照らしただけだ……ここへ戻って来れたのは間違いなく君自身の力だ、ソウゴ」
ジオウオーマフォームがRXに掌を翳す。黄金の時計盤が現われ、針が逆回転すると罅割れ、ボロボロになっていたRXの体が治って行く。そして、RXは瞬く間に無傷の状態となっていた。
「何て凄まじい力だ……」
「これが王様になる為の、世界を良くする為の力だ」
RXの傷を治したジオウオーマフォームがバールクスと向き合う。
「戻って来たか、替え玉の王よ」
「ああ。あんたを倒す為に」
バールクスはその台詞を一笑する。オーマジオウの力を取り込んだのは少々厄介かもしれないが、ジオウは所詮平成ライダー。バールクスの『創世』が敷いたルールの中では無意味な存在である。
RXから受けた傷もジオウオーマフォームがRXを治している間にRXライドウォッチの能力で既に完治している。
姿が変わった所でバールクスがジオウオーマフォームを恐れる理由など何一つ無かった。
「俺を倒すだと? 笑わせて──」
気付けばジオウオーマフォームがバールクスの目の前に立っていた。RXへ接近する時にも見せたジオウオーマフォームの瞬間移動。目を離していないバールクスですら反応が遅れてしまう。
そして、バールクスが言い終える前にジオウオーマフォームの拳がバールクスの頬に突き刺さり、そのまま殴り抜ける。
「がはっ!」
ジオウオーマフォームの拳から伝わる衝撃。その衝撃が肉体を貫くことで生まれる痛み。そのどちらもバールクスにとって有り得ないこと。
殴り飛ばされたバールクスは数十メートルも飛ばされた後、足裏で急停止するがガクンと膝が折れる。
「馬鹿な……! 平成ライダーが俺にダメージを与えるなど……!」
絶対的ルールの中では平成ライダーはバールクスに危害を与えることが出来ない筈なのに、現にバールクスはダメージを負っていた。
「オーマジオウの力は時空を、世界を破壊することが出来る」
いつの間にかジオウオーマフォームがバールクスの前に立っている。
「俺がお前の
この世界に敷かれたバールクスのルールはオーマフォームに破壊され、無力化されていたのだ。
「頭に乗るなよ、替え玉如きが……!」
「もう俺はそんな言葉で揺らがない!」
バールクスは立ち上がる様に長剣を振り上げ、ジオウオーマフォームは時間逆行で修復したサイキョージカンギレードを振り下ろす。
王と王。三度目の戦いが始まる。
やっと出せましたオーマフォーム。
因みにこの作品ではバールクス&ザモナス&ゾンジス≧オーマジオウ>バールクスというイメージで書いています。
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ