仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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幕間に近い回かも。


Over Quartzer その22

 クォーツァーの計画の要であるダイマジーン達を追うジオウオーマフォーム。既にダイマジーン達は異空間と共に大気圏外まで移動していた。

 空気が薄くなり、気圧も低くなり、空の色が青から濃紺へと変わっていき、その濃紺もやがて宇宙の黒へ成りつつある。

 

(思っていた以上に離されてる……!)

 

 元から距離があったことに加え、カッシーン達の妨害のせいもあって連続ショートワープでも徐々にしか距離が詰められていない。いずれはダイマジーン達に追い付くであろうが、それでは時間が掛かり過ぎる。

 地上ではまだカッシーン達に追われている人々が居る。それと戦っている者達も居る。そして、バールクスと戦って足止めしている平成ライダー達がいる。それを考えると時間を掛けていられない。

 

(こうなったら……!)

 

 ジオウオーマフォームは決断し、オーマジオウライドウォッチのスイッチを押す。

 

『キングフィニッシュタァァイム!』

 

 重々しい声が必殺の開始を告げると、ジオウオーマフォームは右拳を握り締めながらジクウドライバーのロックを解除し、ドライバーを一回転させた。

 

『キングタイムブレーク!』

 

 ジオウオーマフォームの拳が金色のオーラを纏う。この一撃がどれだけの威力を秘めているのかジオウオーマフォーム自身も把握し切れていない。だが、自分とオーマジオウの力を信じ、宇宙に向かって拳を突き出す。

 

「はああああっ! 行っけぇぇぇぇ!」

 

 ジオウオーマフォームの拳から迸る数多の光の礫。数え切れない光が一方向に進むことによりあたかも天の川の様な光の帯となる。

 離脱しているダイマジーンの一体がセンサーに異常を感知する。ダイマジーンの人工頭脳はその情報を最初誤作動が起きたと判断した。表示されているエネルギーの数値があまりに馬鹿げた数を示していたからだ。

 合理的に思考し、それを宇宙空間に飛び出て際に宇宙線によって発生した誤作動と最終決断を下し、改めてセンサーによる感知を行う。

 その瞬間、ダイマジーンのセンサーが破壊。誤作動を思って再試行した結果、感度を上げ過ぎたセンサーがジオウオーマフォームの放ったエネルギーを過剰に感知してしまい、受け止め切れずに自壊してしまった。

 他のダイマジーンらもそのダイマジーンの異常を検知し、この状態を維持することは危険と判断して仕方なく手を離して異空間の形成を一旦解除し、離れようとする。

 直後、光が怒涛の如く突き抜けていく。

 間一髪の所の回避に成功したと思考するダイマジーンらであったが、その内の二体が異常を感じ取る。

 離したと思っていた手がまだ繋がっていることに気付いた。おかしなことに気付き、二体のダイマジーンがいつまでも手を繋げているダイマジーンの方を見る。

 二体のダイマジーンは本体を失った手だけを持っていた。

 光を認識した時には既に手遅れだったのだ。最初にジオウオーマフォームの攻撃を察知したダイマジーンは、両腕だけを残して跡形も無く消滅した。しかも、ダイマジーンを消滅させた光は失速することなく宇宙を駆け抜けていき、前を阻む全てを消し去りながら宇宙の果てまで飛んでいった。

 ジオウオーマフォームの一撃により異空間は無くなり、平成生まれの者達がリセットされる危険が無くなる。

 一見すればジオウオーマフォームの狙い通り。しかし、当の本人の感想は違っていた。

 

「外した……!」

 

 ジオウオーマフォームはダイマジーン一体ではなくダイマジーンの全滅を狙っていた。しかし、放った力が大き過ぎたせいで上手くコントロールが出来ず、微妙に狙いが逸れてしまった。それによって一体撃破という成果になってしまっていた。

 普通ならば一体でも大戦果であり、初めて使用した力であることも考慮すれば十分過ぎる結果であるが、自らに厳しいジオウオーマフォームにとっては悔いの残る攻撃となってしまった。

 だが、同時に被害の少ない場所で自身の全力が如何程のものかを知ることが出来た。もしも、知らずに地上で使っていたら地表が無くなっていたかもしれない。

 一体失ったダイマジーンらは、緊急事態の場合に予め用意されていたプログラムに従い、散らばって地球へ降下していく。

 その光景は、地上に居たバールクスも見ていた。

 

「ちぃ! 替え玉めぇ……!」

 

 異空間を維持する為のダイマジーンが欠けてしまった為、クォーツァーの計画は一旦中断される大幅に遅れが発生する。

 

「だが、都合がいい……! 後は……!」

 

 バールクスは両腕に鉄球が吊り下げられ鎖が巻かれている状態でジクウドライバーにセットされたバールクスライドウォッチを輝かせる。

 他のライドウォッチはノベルゲーマーのせいで使用不能状態となっているが、バールクスライドウォッチだけはまだ機能が生きていた。

 

「消えろっ!」

 

 バールクスライドウォッチがキングストーンフラッシュを放つ。その光を浴びたことでバールクスの拘束は解け、使用停止されていた他のライドウォッチが機能を取り戻す。

 不可思議な力を打ち消すには、同じく不可思議な力が相応しい。

 

「これで……むっ!」

 

 残りのライダー達を倒そうと思っていた矢先、彼らを率いる様に中央に立つジオウオーマフォームが居る。大気圏まで移動していたのに一瞬で戻って来ていた。

 

「面倒なことをしてくれたな……! お前のせいで俺達の時間を掛けた崇高且つ完璧な計画が大きく狂った……!」

「崇高でも完璧なんかでもない! 最初から間違っていた計画だ!」

 

 バールクスは自分達の計画が狂わされたことに憤怒し、ジオウオーマフォームは平成という時代とそこに生きる人々を消し去ることを正しいと思っているバールクスに激怒する。

 名は同じでありながら掲げる理想も進むべき王道も全く異なる両者。唯一共通するのは、目の前の男は存在してはならないという認識のみ。

 激情を込めた視線が衝突し合い、その激しさは何も無い場所から炎が起こりそうな程であった。

 バールクスが長剣を構え、ジオウオーマフォームが召喚したライダー達と構えるタイミングで轟音と地響きが起こる。

 それは、宇宙から降下していたダイマジーン達が地面に降り立ったことを意味する。

 

「──ふっ」

「……何がおかしいの?」

 

 急に鼻で笑ったバールクスを訝しみ、ジオウオーマフォームが問う。

 

「随分と悠長だと思ったからだ──お前が」

「悠長?」

 

 ジオウオーマフォームはつい聞き返す。

 

「ダイマジーン共には万が一計画が中断された事態に備えてセットさせておいたプログラムがある」

 

 仮面越しでもバールクスが悪意に満ちた笑みを浮かべているのが分かった。

 

「周囲にある平成に属するものを全て破壊しろ。それが奴らに与えられた指示だ」

 

 異空間による平成の一掃が叶わなかった場合、ダイマジーンらは直接的な手段に移り、平成という時代に関わっている全てを抹消する為に行動を開始する。

 

「時間は掛かる。手間も掛かる。が、ああやって平成生まれ共を吸い込んでリセットしてやった方が、これから平成生まれ達が味わう恐怖も無かっただろうに」

 

 嫌味の様に厭らしく言うバールクス。これから起こる惨劇を引き金を引いたのは、ジオウオーマフォームだと言わんばかり。

 

「……やっぱり分かってないね」

「──何?」

 

 ボソッと呟いたジオウオーマフォームの言葉をバールクスは耳聡く拾っていた。そこに含まれるのは、まるで世間知らずと接するかの様な呆れ。

 

「何にも分かっちゃいない。お前は自分の相手が何なのかさえ、全く理解していない」

「相手……? 俺の敵は目の前にいる貴様だろう!」

「それが見えていないって言っているんだ」

 

 その時、凄まじい音と共にダイマジーンの一体が爆散する。それを皮切りに、ダイマジーン達が次々と破壊され、崩れ落ちていく音が響き渡っていく。

 

「どういうことだ……!?」

 

 ジオウオーマフォームはここに居るというのに、離れた場所に居るダイマジーン達が撃破されていく様子にバールクスの理解が追い付かない。

 

「──お前の相手は俺だけじゃない」

 

 ジオウオーマフォームは起こることが分かっていたのか驚くことはせず、バールクスに自分が何を相手にしているのか、その真実を突き付ける。

 

「お前の相手は平成ライダーそのものだっ!」

 

 

 ◇

 

 

 そのダイマジーンは、与えられたプログラムに従い足元で逃げ惑う人々を選別していた。赤い光を放ち、光が通過したものをスキャンして平成に属する者かどうかを調べる。

 数百を超える数の人間を瞬時に調べ終えると、対象を抹殺する為に動き出す──寸前のことであった。

 

「ぃぃぃいやはははははははっ!」

 

 心の底から愉しんでいるものにしか発せられない哄笑。ダイマジーンはその笑い声を聞いた瞬間に与えられた命令の優先順位を変更する。本来ならば平成生まれの抹殺が優先されるが、何事にも例外が存在する。

 脅威を感じ取り、破壊される危険性があると判断された場合、そちらの抹殺が最優先となる。

 ダイマジーンのセンサーが声の主を捕捉──したかと思えば即座に捕捉から外れてしまう。

 

「ひぃぃぃぃひゃははははははははははっ!」

 

 ダイマジーンを囲う様にして建ち並ぶビル群。その屋上を凄まじい速度で対象が飛び回っている。

 ダイマジーンのセンサーですらハッキリと姿を捉えられず、赤い影が高速でビルからビルへと飛び移っているしか分からない。

 

「うぇははははははははははっ!」

 

 飛び回っている最中でも赤い影は笑うのを止めない。その笑いには正気が感じられず、まさに狂笑そのもの。

 赤い影の動きに翻弄されているダイマジーンだが、いつまでも捕捉し続けている訳にもいかず、相手の動きを予測して移動するであるビルを狙い、長い腕を掲げて攻撃しようとした。

 そこで異常に気付く。腕が重く、上がらない。ダイマジーンは自身の腕を見る。腕には白い糸が絡められており、それはビルの屋上に繋がっていた。

 気付けば白い糸はダイマジーンの体中に巻き付けられており、ダイマジーンの動きを完全に封じている。

 ビルからビルへ繋げてられた白い糸は蜘蛛の巣状になっており、ダイマジーンはそれに捕らえられた獲物そのもの。

 獲物の動きが止まれば、当然次は張り巡らされた蜘蛛の巣の主が自らの欲を満たす為に動く。

 

『Ready Go!』

 

 音声が聞こえて来たのはダイマジーンの頭上。音に反応してダイマジーンが見上げ様としたが一歩遅かった。

 

「ぃぃぃいやっはー!」

 

 狂える赤蜘蛛が、虚空から見えざる糸を垂らしてぶら下がる。獲物に破滅を齎す一撃を与える為に。

 

『キルバススパイダーフィニッシュ!』

 

 ダイマジーンの脳天へと叩き込まれるオーバーヘッドキック。ダイマジーンの頭部はひしゃげ、首は幾重に折り畳まれた後、ダイマジーンの頭部は胴体へと埋め込まれる。

 人と変わらない体格から繰り出される信じられない一撃。ダイマジーンはまだ動けたが、辛うじてであり、まともな戦闘をすることは最早出来ない。

 しかし、そのダイマジーンの相手は敵に情けも容赦もしなかった。

 

『Ready Go!』

 

 またも聞こえるあの音声。頭部が胴体に埋没しているダイマジーンは確認することは出来なかったが、ダイマジーンに向かって白と黒で彩られた天球儀をイメージした姿のライダーが飛んで来ていた。

 

『ブラックホールフィニッシュ!』

 

 そのライダーは黒い渦となっている途方も無いエネルギーを纏っており、それを纏ったままダイマジーンに右足を打ち込む。

 黒い渦は球体となってダイマジーンの巨体を覆う程の大きさとなる。

 

『チャオ!』

 

 黒い球体に閉じ込められたダイマジーンは球体へ吸い込まれ、音も残骸も無く球体と共に消滅した。

 辺りには最初からダイマジーンなど居なかったかの様な静寂に満ちる。

 ダイマジーンを跡形も無く消し去ったのは、宇宙からの侵略者でありビルドの宿敵でもあるエボルトが変身した仮面ライダーエボルブラックホールフォーム。

 エボルはビルの屋上へ降り、ダイマジーンが消えた辺りを詰まらなそうに眺めている。

 

「綺麗さっぱり消し去る破壊もこれはこれで趣がある──が、少し静か過ぎないか? なあ? エボルトォ?」

 

 本名を呼び、馴れ馴れしくエボルの肩に腕を回すのは、ダイマジーンを一撃で戦闘不能状態まで追い込んだ赤蜘蛛こと仮面ライダーキルバス。

 エボルの実兄であるが、その性格は他者を弄び、蹂躙することを何とも思っていないエボルですらウンザリする程の破滅と虚無と愉悦に満ちた性格をしていた。

 

「何で俺がお前と一緒何だか……」

 

 心底嫌そうにボヤく。自分の思うままに好き勝手に振る舞ってきたエボルでさえ、キルバスにはついていけない。

 そんなエボルの態度を気にすることなくキルバスは一方的に喋る。

 

「時代をリセットする! その考え方は悪くない! 寧ろ面白い! ──だが、俺以外がそれをするのは気に入らない! お前もそうだろ? エボルトォォ?」

「あー、はいはい」

 

 エボル自身もキルバスの考え方に賛同出来る部分はあったが、同類と思われたくないので気の無い返事をする。

 

「だからよぉぉ! そいつら全員皆殺しにして俺がその計画を実行してやる! エボルトォォォォォ! お前にも手伝ってもらうぞ! ふぉぉぉはあぁぁぁぁ!」

 

 一人で決めて、一人で興奮して、一人でさっさと行ってしまう。残されたエボルは、天を見上げ、思わず宿敵の口癖を出してしまった。

 

「最悪だ……」

 

 

 ◇

 

 

 そのダイマジーンは正体不明の攻撃に襲われていた。堅牢の筈のダイマジーンの装甲は所々が内側から大きく膨れ上がっており、焼かれた餅の様な有様になっている。

 防御を固めても、周囲に障壁を張っていても、その声が聞こえた時には既に攻撃を受けていた。

 

『エクスプロージョン! ナウ』

 

 直後に籠った爆発音が鳴り、ダイマジーンの体の一部が膨れて変形する。

 ダイマジーンが幾ら防御を固めても無駄である。

 頭から足元まである白いローブを纏い、加工前の宝石の様な仮面を付けた白い魔法使い──仮面ライダーワイズマンの魔法は、ダイマジーンの体内で発動している。

 ワイズマンが魔法を発動させた時点で為す術など無い。

 度重なる内部攻撃によってダイマジーンの巨体が崩れ落ち、ワイズマンの前で首を垂れる格好となる。

 ワイズマンは指輪を変え、掌のマークが付いたワイズドライバーの前に翳す。

 

「私の(希望)を消し去るなど、何者だろうと許されない……!」

 

 娘を溺愛し、それが原因で自分だけでなく多くの人々の人生を狂わしてきた白い魔法使いは怒りに満ちた声を吐き出す。

 

『イエェス! スペシャル!』

 

 ワイズマンの前方に魔法陣が出現する。

 

「分かったか!?」

『アンダスタンドゥ?』

 

 魔法陣から金色の魔力が放たれ、ダイマジーンの頭部を消し飛ばす。

 ダイマジーンが完全に機能停止になった時、その場にはワイズマンの姿は無くなっていた。

 

 

 ◇

 

 

 走り続ける人々。それを追い掛けるダイマジーン。人々が必死になって走っても、それはダイマジーンの一歩にも及ばない。

 ダイマジーンの手が逃げる者達の背中に伸びて行く。抹殺対象者と非対象者が混じっているので規模の大きな攻撃は出来ず、今の様に地道に抹殺していくしかない。

 だが、それを行うのは感情の無い機械。気の遠くなる様な真似でもダイマジーン達の精神がどうにかなることは無い。

 ダイマジーンは自らの行いに何ら疑問を抱かず、見た目通りの無機質さで対象者を捕捉し、そして──

 

『P

 

 a

 

 u

 

 s

 

 e』

 

『Restart』

 

 次の時にはその手が散りばめられた無数の光弾によって貫かれ、鋸状の光輪により腕の半ばを切断される。

 ダイマジーンはいつの間にか破壊され、斬り飛ばされていた自分の腕を見ていた。

 全てがダイマジーンにとって解析不能であった。攻撃された瞬間をダイマジーンは見ていない。

 周囲の異常を察知しようとするダイマジーン。すると、先程まで存在しなかったものをセンサーが感知する。

 容姿は仮面ライダーエグゼイドに似ているが、緑と黒の二色のみで彩られ、頭部には王冠の如くブレード状のアンテナを付けている。

 腰回りに付けた回路の様なデザインのマントを揺らしながら淡々と歩きながらダイマジーンに近寄って来ている。

 ダイマジーンが警戒を表し、けたたましい駆動音を鳴らすと、その仮面ライダーは人差し指を口の前に当てる。

 

「静かに……。審判の時は厳粛であるべきだ──私が下すその時まで」

 

 ダイマジーンが裁かれる者。そして、自らが裁く者と語る。しかし、ダイマジーンは聞く耳など持たず、もう一方の手で建物を破壊し、残骸を仮面ライダーに向けて放つが──

 

「ルールに従えないとは……愚かな」

 

 腹部に付けてあるゲームパッド型のドライバー──バグルドライバーⅡの両端にあるスイッチに触れ──

 

『P   クロノスの名の下に全ての時間が静止する。その中でクロノスのみが動く。

     ダイマジーンが放った瓦礫を階段にして、ダイマジーン顔付近まで昇る

 a   そして、再びバグルドライバーⅡのボタンを二度押し込む。

    『キメワザ!』

 u   クロノスの足元に時計盤が生じる。

    『クリティカルクルセイド!』

 s  己自身を針に見立て、時を逆行する回し蹴りがダイマジーンの頭部を打つ。

    『終焉の一撃!』

 e』  その言葉の通り、全てを終えたクロノスはドライバーの両ボタンを押す。

 

『Restart』

 

 時が再起動する声を聞くことは無くダイマジーンの頭部が粉砕される。ダイマジーンは最期の瞬間まで自分の身に何が起こったのか分からぬままであった。

 

 

 ◇

 

 

 ダイマジーンという圧倒的な力と恐怖。幼い兄妹はただ逃げることしか出来なかった。

 二人共恐ろしさで顔が引き攣り、涙で濡れている。だが、ダイマジーンは無慈悲に兄妹を狙う。

 ダイマジーンの突き出した手が建物を貫く。いとも簡単に崩落する建物。その下には兄妹達が居た。

 兄は最後まで妹と繋ぐ手を離さず、妹は手が白くなるまで強く兄の手を握った。瓦礫はそんな二人の絆を嘲笑うかの様に圧し潰し──

 

『TIME VENT』

 

 ──ダイマジーンの突き出した手が建物を貫く寸前、無数の黄金の羽根が舞い、それらがダイマジーンを切り裂く。

 思わぬ攻撃に怯むダイマジーン。一方、兄妹はそれに気付かず一心不乱に逃げていった。

 ダイマジーンが破壊する筈であった建物の屋上。そこには不死鳥のイメージを反映された姿の黄金のライダーが腕を組んで立っている。

 

「──これはライダーバトルではない」

 

 厳かな声を出すと虚空から羽を閉じた不死鳥が模られた錫杖を取り出す。

 

「故に加減をする必要が無い」

 

 錫杖の柄頭で地面を突く。閉じていた羽が広げられると、錫杖の内部には黄金に輝く不死鳥が描かれたカードがセットされている。この不死鳥、本体のみ描かれており、両翼が無い。

 

「最初から全力で戦わせてもらおう」

 

 黄金のライダーことオーディンはベルトに挿し込まれてあるカードデッキから二枚のカードを抜き取る。

 疾風が吹き荒れる右翼のカード。烈火が宿る左翼のカード。オーディンがそれを投げ放つと二枚のカードがオーディンの錫杖にセットされ、不死鳥の姿を完成させる。

 

『SURVIVE』

 

 真の力を解き放つオーディン。それに歓喜するかの様に空から黄金に燃える不死鳥──ゴルトフェニックスが現れる。

 

「真の無限の前に……お前はどこまで戦い続ける?」

 

 

 ◇

 

 

 その決着は呆気無いものであった。

 宇宙から降下し、周囲の平成生まれをサーチし、それが終わって動き出し始めようとした時──緑の光がダイマジーンの股下から脳天を一直線に抜けて行く。

 ダイマジーンは我が身に起こったことを認識する前に一歩踏み出す。ダイマジーンの体は綺麗に真っ二つに割れ、火花と部品を散らしながら左右に倒れた。

 

「随分とデカい玩具だな」

 

 その姿を嘲る白いライダー。全身の至る箇所にコンバットベルトを巻き、それら全てにガイアメモリが挿入されてある。

 計二十六本のガイアメモリを一人で操るのは、かつてジオウ達と戦ったこともあるダークライダー──仮面ライダーエターナル。

 

「それにしても、全く……」

 

 エターナルは自らの置かれている状況を笑う。

 

「何度も何度も死人を墓から掘り起こすなよ」

 

 蘇らせた者に嫌味を言いながら、エターナルは専用の武器であるエターナルエッジを構え直す。

 その刃先を向ける先にはカッシーンの大群が居た。

 

「──まあ、何の因果か死に損なった身だ。一時でもせいぜい楽しませてもらう。そして、お前らも──」

 

 エターナルはカッシーン達に対し、親指を下に向ける。

 

「地獄を楽しみな!」

 

 

 




今回はここまで。ボスライダー達が次々と参戦する回となりました。
今週は色々とやる事があったのでやや手抜きな感じで。

先にどちらが見たいですか?

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