ソウゴと光太郎と分かれた後の剛を待ち構えていたのは試練の連続であった。
空に浮かぶダイマジーン達によって発生した平成生まれを吸い込む異空間。剛も平成生まれであった為、対象になっていたので、体が浮かび上がりそうになるのを建物の柱にしがみついて耐え、その柱も建物ごと吸い込まれそうになると重りになるものを体に巻き付け、重量に歯を食い縛りながら汗だくになって移動していた。
ジオウオーマフォームの活躍もあって異空間は閉ざされたが、次に剛を待ち構えていたのはカッシーン達による平成狩りだった。
追い掛けて来るカッシーン達から身を隠す。または、カッシーンから奪った三又槍で迎え撃つなどして必死に抵抗した。
戦闘経験など皆無の剛であったが、元々の身体能力が高いこと、それに加えて戦いでは素人の筈なのに緊張で体が固くなったり、動きが鈍くなったりせず思い通りに体を動かすことが出来た。
逃げながらではあるがカッシーン達ともある程度渡り合えたのだ。
「これも仮面ライダーだったお陰か? ……記憶に無いけど」
そう納得し、カッシーンの追手を振り切りながら街を彷徨う剛。
そこに待ち受けていたのは第三の試練。それは前二つとは比べ物にならない程厳しいものであった。
「はあ……はあ……」
肩で息をする剛。頬に擦り傷が出来ており、血が滲んでいる。頬だけでなくパーカーの袖も斬られた箇所があり、腕まで達し白いパーカーに赤い染みが付いていた。三又槍を杖にして辛うじて体を支えているが体力は限界に近い。
消耗している剛の周りにはカッシーン達が並んでおり、逃げ道を完全に塞いでいた。
もう少し戦い様があったかもしれないが、それは一人であった場合。剛の背後には逃げ遅れた人達が恐怖で震えていた。
人を守りながら戦うことがこれ程までに難しく、苦しいものであったと剛は知らなかった。人を守るどころか自分の命すら守り切れないかもしれない。
剛はちらりと背後を見る。涙を流しながら怖がる弟を同じ様に涙を流しながら抱き締める姉。震える子供達を抱き締める母親。自分もまた命の危機に恐れているが、それを必死に隠そうとしている。そして、その三人を守る様に父が全員を包み込む。カッシーン達が襲って来ても真っ先に自分が狙われる様にカッシーン達に背を向けて家族を抱き締め、自らを盾にしていた。
剛がその姿を見た時、覚えたのは羨望であった。姉と母は剛にとって愛すべき存在だが、父に対して良い記憶など無かった。守っているこの家族は剛にとって理想の家族の姿と言えた。
だからこそ──
「守らなくちゃいけないだろう……!」
心に火が灯る。恐怖も痛みも火が点いた心の前では無いに等しい。
「おおおおっ!」
杖にしていた三又槍を振り上げる。あれだけ重かったのに今は軽く感じられた。
一番近くに居たカッシーンの頭に三又槍を振り下ろす。カッシーンは難無く片手でそれを受け止めた。
攻撃を防がれた剛に横から来た別のカッシーンが槍を払う。咄嗟に頭を下げ、頭髪が数本斬り飛ばされるという紙一重の回避を見せた。
「うらああっ!」
カッシーンが受け止めている柄の部分を支店にして柄頭を下から突き上げた。カッシーンの股辺りに命中し、カッシーンが怯む。
「はあああっ!」
防御が下がった瞬間を狙い、剛は三又槍を突き出した。穂先がカッシーンの目に突き刺さる。
必死の反撃でやっとカッシーンを一体撃破した剛。しかし、彼の反撃はここまでであった。倒れたカッシーンと入れ替わって前に出て来たカッシーンが、撃破直後の剛の腹に前蹴りを打ち込む。
「がはっ!」
金属の塊が与える重い衝撃に、剛は手から三又槍を離し、地面を転がって行く。
「ああっ!」
剛が蹴り飛ばされる光景に家族の一人が悲痛な声を上げる。守ってくれた恩人が傷付くこと、そして僅かにあった希望が潰えたことへ絶望する声。
うつ伏せになり冷たいアスファルトの感触を頬で感じ、内臓が揺さぶられる不快感を覚えながらも剛の耳にはその声が入って来る。
家族の父が止めろと叫ぶ声が聞こえる。
母が子供に手を出さないでと喚く声が聞こえる。
姉が声を押し殺しながら泣く声が聞こえる。
弟が泣き叫ぶ声が聞こえる。
救いを求める声が聞こえる。
(そんなの聞いたら……)
家族の声を雑音とでも言う様に一切聞く耳を持たず、カッシーンの手が伸びて行く。
「──倒れている訳にはいかないだろっ!」
カッシーンを真横から体当たりする剛。疲労も痛みも無視してこの家族を救う為に全身全霊を込める。
「行けぇぇぇ! 逃げろぉぉぉ!」
剛の必死な叫びに背中を押され、カッシーン達が剛に注目している間に家族はこの場から逃げ出す。
カッシーンが剛のパーカーを掴み、引き剝がそうとするが剛は抗い、簡単には離れない。業を煮やし、カッシーンが剛の背に三又槍の柄頭を打ち込む。
「ぐうぅっ!」
突き抜ける痛みに脂汗が滲み出るが、それでも剛は力を緩めない。せめて逃げる家族の姿が見えなくなるまでは絶対に離れない。
他のカッシーンが横から剛を殴りつける。別のカッシーンが蹴り付けてくる。カッシーン達による集団リンチ。しかし、剛はそれにも抗い、決して屈しようとはしなかった。
しかし、どれだけ強い精神力を持っていても肉体には限界が存在し、剛の覚悟とは裏腹に膝から力が抜ける。
「くそ……」
蓄積したダメージで立てなくなる剛。カッシーン達はそんな剛に容赦の無い追撃を加えようとし──広がる光の波に吹き飛ばされ、カッシーン達は全て爆発する。
「──何だ?」
ここまでかと思っていたら、いきなりカッシーン達が吹っ飛ばされた上に破壊された。唐突な出来事に痛みを忘れて呆然としてしまう。
「相変わらずだな、詩島剛」
「無茶で無謀で無鉄砲としか言いようが無いですね、貴方は。──ですが、そんな貴方の姿を美しく思いますよ」
剛の方へ歩いて来る二人の男性。
片や黒いファーが付いた赤いレザーコートを着て、前髪を一房垂らす何処か近寄りがたい威圧感と王者の風格を持つ男。
片や暗緑色の上着に灰色のズボンの姿。眼鏡を掛けた茶髪の神経質そうな印象を受ける男。
対照的な印象の二人が剛に話し掛けて来る。それもまるで知り合いかの様に。
剛は二人の男と初めて会う。会う筈なのに──
「ハート……ブレン……?」
口からさも当然の様に名前が出て来た。言った後に『誰だ?』と思ってしまう。剛は二人を知らない筈なのに知っていた。
その言葉をきっかけに剛の手の中が輝き、光の中からとある物が出現する。
白い車体に赤のストライプが入った四輪車のミニカー。これもまた剛にとって見覚えがあるもの。
それを強く握り締めると剛の腹部が光り、光はマッハドライバー炎へと変わる。
「思い……出した! って何でお前らがここにいるんだ!? ハート! ブレン!」
仮面ライダーマッハとしての記憶が蘇ると同時に剛は、嘗ては敵対していたロイミュードで、破壊され実体が無くなっている筈のハートとブレンの登場に改めて驚く。
「それにそんなものまで付けて!?」
ハートは左腕にシフトブレス、腹部に量産型ドライブドライバーことAIドライバーを装着。ブレンもまたカラーリングの異なるドライブドライバーを付けている。ただし、シフトブレスは付けていない。
「ハートはまだ分かる! でも、何でお前もそれ付けてるんだよ!?」
「ああ、俺もそれが気になっていた……」
以前、ハートが復活した際に身に付けていたので理解出来たが、ブレンがドライバー付けている意味が分からない。仲間であるハートも理由が分からない様子。
「だから言ったじゃないですか、ハート! 私も! 仮面ライダーになったって!」
「嘘だろ……」
「本当だったのか……」
ブレンの仮面ライダー宣言に二人揃って啞然とさせられる。
「何ですかその目は! 優秀で気高く知性に溢れている私が仮面ライダーになることがそんなに変ですか!?」
半信半疑の視線を受け、ブレンが感情的になる。
「落ち着け、ブレン。お前が仮面ライダーかどうかは……これから分かる」
ハートがブレンを静まらせた後、鋭い視線を横に向ける。
踏み締められる大地の音。幾重にも重なる足音が巨大な音と化していた。
剛を襲っていた時とは比にならない程の数のカッシーンの大群がこちらへと向かって来ている。
だが、彼らは臆することなく自然と剛を中心として横並びとなる。
「──しかし、こうなるとメディックが居ないことが悔やまれる」
ハートとブレン。そして、もう一人共に行動していた女性型ロイミュードのメディックが存在したが、この場では不在であった。
「ええ、私も残念ですよ。彼女の──自分だけ仮面ライダーに変身出来なくて悔しがっている! ──顔を見られなくて……実に残念だぁぁぁぁぁ!」
言葉に反して実に嬉しそうな表情のブレン。早口で二人に聞き取れなかった部分に彼の本音があった。
ハートはブレンの台詞を言葉通りに受け取ったが、剛の方はブレンの態度にやや呆れた表情を浮かべる。
三人この様に並ぶとどうしても思ってしまう。
「まさか、こんな事になるなんて……夢でも見てる気分だ」
「確かに摩訶不思議で荒唐無稽で理解不能な今を夢と思ってもおかしくありません。ですが──」
「悪い夢じゃないだろ?」
「……かもな」
剛は小さく笑うとすぐにその表情を引き締め、戦士の顔となる。
マッハドライバー炎のスロットを持ち上げ、そこに剛とチェイスの力が合わさったシフトカー──シフトライドクロッサーをセット。
『シグナルバイク! シフトカー!』
シフトライドクロッサーをセットしたスロットを叩き付ける様にマッハドライバー炎へ押し込む。
『ライダー!』
ハートとブレンは身に付けているドライバーのエンジンキー型のスイッチを回す。
『Start Your Engine!』
起動状態となる二つのドライバー。
ハートはシフトブレスを胸の前に翳す。シフトブレスには既に生物的な意匠が施された赤いシフトカー──シフトハートロンが挿し込まれており、ハートの右手がシフトハートロンに触れる。
『Fire All Core!』
レバーとなっているシフトハートロンを上げる。
『ドライブ! タイプミラクル!』
ハートは両手を組み、祈る様に目を閉じる。
ブレンは右手を大きく振り上げ、垂直に伸ばす。肘を引いて人差し指を眼鏡の蔓へ当てる。
「レッツ──」
剛は変身のポーズを構え、ハートは閉じていた目を開き、ブレンは蔓を上げ眼鏡の位置を修正する。
『変身!』
前動作は不揃いでも発する声は一つ。
シフトカー、ドライバーから発生したタイヤ型のエネルギー。それが分解され、各部のパーツとして実体化する。
『マッハ! チェイサー!』
『ハート・ザ・カメンライダー!』
『ブレン・ザ・カメンライダー!』
剛が変身した姿は、既存のマッハと異なる部分が多々あった。本来ならば白色の頭部、胸部、右肩の外装が青色に染め直され、胴体は仮面ライダーチェイサーと同じ鈍色のボディースーツとなっている。マッハとチェイサー、二人のライダーの要素が混じった姿。
マッハの胸部装甲中央からチェイサーの下腹部付近まで赤と紫のラインが入り、マッハとチェイサーの繋がりを示すかの様であった。
ハートの姿は白いストライプが入った真紅のボディ。基礎となっているのは仮面ライダードライブのタイプトライドロンだが、両肩には蕾の様な形の装甲が付けられ、腰回りには外套が装着されているなどの追加がある。
そして、最も異なるのは頭部であり、大きく湾曲した角が頭部の左右から伸び、昆虫を思わせる緑の複眼に加え、口部は般若を彷彿とさせる作りになっている。
ブレンの姿は仮面ライダーに似ているが配色は大きく異なり、全身が鮮やかなエメラルドグリーン。両肩にマントを付け、腰前からも草摺を垂らす。
黄色の複眼に額から節のある触角の様なヘッドパーツを伸ばす。一番特徴的なのは額から脳天に掛けて金属のチューブやパーツが密集しており、あたかも脳みその様な造形となっていた。
「追跡──」
ハートが変身した仮面ライダーハートは大群を前に王者として堂々と構える。
「撲滅──」
ブレンが変身した仮面ライダーブレンはこれからの戦いを計算する為に人差し指でこめかみに触れる。
「いずれもマッハ!」
そして、剛が変身したその姿の名は──
「仮面ライダー……マッハチェイサー!」
名を告げるマッハチェイサーの背中に付けられたマフラーが風に靡く。そのマフラーにも赤と紫のラインがしっかりと入っていた。
「さて、行こうか。俺達が生きた時代を守る為に」
「ええ、ハート。貴方となら何処まででも」
◇
剛は今起こっていることは夢の様だと言った。その言葉はあながち間違っていない。
クォーツァーという今の平成を否定する者達へ平成を生きて来た平成ライダー達が全力で抗う。平成ライダー達の次元も区分も関係無く。
「がはっ!」
カッシーン達の一体が斬り裂かれて機能停止を起こす。
多くを率いて平成生まれの者達を処分する筈の彼らであったが、たった二人のライダーによって足止めされていた。
「ふん!」
二本の緑の旗を振るう度に重力が狂い、あるカッシーンは浮き上がり、別のカッシーンは地面にめり込む。
兜には日輪を模した立物を付け、白のスーツの上に重厚な緑の鎧を纏う仮面ライダー斬月カチドキアームズ。
武器である二本の旗を振り回わせば十のカッシーン達が圧倒される。
同じ様にカッシーン達を圧倒するのは、こちらも同じく斬月であったが、カチドキアームズとは異なる装備をしている。
知る者が居れば、それは仮面ライダー斬月・真という姿という回答を出すだろう。しかし、それでも知識の中にある斬月・真と異なる姿に首を傾げる筈だ。
右側に付いた橙色の肩当てにメロンの筋を連想させる胸当て。そこまでは同じだが、本来の斬月・真には無い腰回りの草摺と蝙蝠付韋が装備しており、甲冑らしさが際立っている。
額にある立物も通常の斬月・真が三日月の形をしているが、この斬月・真は弧を描かずにほぼ真っ直ぐ上に伸びている。
特徴すべきはその手に持つソニックアロー。従来の形は弓と変わらないが、異なる斬月・真が持つのは片方だけが倍以上の長さを持ち、先端部分には返しが付いている。弓というよりも大太刀に近い形状をしていた。
その斬月・真はソニックアローの一太刀でカッシーンを真っ二つにする。
斬月・真よりも濃さと
斬月カチドキアームズが専用の武器火縄甜瓜DJ銃を取り出し、大剣へと変える。
大太刀と大剣を構える二人の斬月にカッシーン達は知らず知らずのうちに後退をさせられていた。
◇
カッシーン達と乱闘する五色のライダー。その姿はライダーなのだが、どことなく違ったものを感じる。
「アカライダー!」
「アオライダー!」
「キライダー!」
「ミドライダー!」
「モモライダー!」
『仮面戦隊……』
『ゴライダー!』
名乗りと共にゴライダーの背後で五色の爆発が起こり、周りに居たカッシーン達はそれによって吹き飛ばされる。
◇
「ふん!」
カッシーン達相手に一人奮闘するライダー。
ドライバーにはワインボトル型の変身アイテムが挿され、振るう武器はコルク抜きに似ている。
動く度に胸に描かれたGの文字が赤く輝く。
「ふうん!」
武器にワインレッドの輝きが宿ると、そのライダーはカッシーン達の大群を駆け抜ける。
振るわれた武器によりカッシーン達は一斉に空中へと舞い上がり、与えられたダメージによって爆散する。
空にはその仮面ライダーの名を示す赤炎のGの文字が描かれていた。
◇
カッシーン達を次々と倒していくのか仮面ライダークウガ、W、カイザ。しかし、戦う姿を見て驚かされるだろう。
モノクロカラーな上平面な姿のクウガ、W、カイザが戦っている。まるで漫画から抜け出したかの様に。
(俺、戦います)
(さあ、お前の罪を数えろ!)
(貴様らの存在は罪……)
言葉ではなく吹き出しによって描かれる各ライダーの台詞。
高々と跳躍するクウガ。風の力によって浮き上がるW。カイザブレイガンを構えるカイザ。
(おおおおおおおっ!)
(ジョーカーエクストリーム!)
降下したクウガのキックが砕き、左右がずれたWが間髪入れずにキックを連続して打ち込む。それぞれ狙っていたカッシーンはそれによって爆散。
カイザブレイガンが発射した光弾が相手を拘束し、そこへカイザブレイガンを振り上げたカイザが突撃して✕の字に斬り裂く。
(罪には
◇
RXは苦戦を強いられていた。だが、RXならカッシーン達程度なら相手にならない。今、RXが戦っているのはカッシーン達では無かった。
重音を響かせながらRXを取り囲むのは、RXの倍以上の身長を持つ鉄の巨人──タイムマジーン達であった。
ロボ形態となったタイムマジーン達。通常、ライドウォッチ型の頭部には搭乗者の顔が描かれている。RXを囲んでいるタイムマジーンらの頭部には全てカッシーンの顔が描かれていた。そして、配色の無い銀一色で統一されている。
これらは全てクォーツァーがこの日の計画の為に用意しておいた量産型タイムマジーン。
ジオウとゲイツが乗るタイムマジーンと性能の差は無く、そのパワーと火力によってRXを追い詰めていた。
それに加えてRXはバールクスと戦って間もない状態である。シャドームーンの力を得ても連戦すれば否が応でも消耗してしまう。
とは言え、そんな不利な状態でもRXの周囲には既に破壊された量産型タイムマジーンが二、三体転がっていた。
RXが握るリボルケインの破壊力を恐れて量産型タイムマジーンは距離を取り、ビームやミサイルを発射する。
「くっ!」
RXの足元にビーム、ミサイルが着弾し爆発が生じる。爆炎と土煙によってRXの姿が隠れてしまう。
すかさずセンサーによってRXの位置を特定しようとするが──
「たあっ!」
土煙を突き破ってリボルケインが投擲される。投げ放たれたリボルケインは量産型タイムマジーンの胸に突き刺さった。
RXの位置を特定した他の量産型タイムマジーンがすぐに一斉発射を試みが──
「シャドービーム!」
RXが放つシャドービームが突き刺さったリボルケインと結び付き、量産型タイムマジーンを自分の許へ引き寄せる。
RXに行われる一斉発射。RXは引き寄せた量産型タイムマジーンを盾にしてそれを防ぐ。
一際大きな爆発が起こる。
その爆発からRXが飛び出し、地面へと着地。間近で爆発を受けたせいで体から煙が上がっていた。
そんなRXを追い詰める様に残骸を踏み付けて量産型タイムマジーン達が迫って来る。少しは数を減らせたが、それでもまだ数え切れない程居た。
それでもRXは不屈の闘志を見せつけ、折れる事無くリボルケインを構えた。
その時、RXの視界に白い羽根が舞う。
「これは……」
突然の現象にRXも戸惑う。空中を舞う無数の羽根。それが溶ける様に消え去ると──
「ライダァァキックッ!」
RXの頭上を跳び越えた影が雷光の輝きを放つ右足を量産型タイムマジーンの頭部に炸裂させ、破壊。
キックの反動を利用してRXの隣に降り立つ。
「君は……!?」
黒のスーツに手足や胸に青に近い緑のプロテクターを付けた姿。飛蝗を思わせる頭部に牙の形状が見える口部。両手両足には千切られた鎖が付いた輪を填めていた。
黄色の複眼付近には傷の様な金色のラインが入り、腕や脚にも同色のラインが入っている。
その姿はRXの良く知る先輩ライダー達に酷似していた。だが、RXの記憶には無い仮面ライダーである。
「──手を貸そう」
「一体何者なんだ? 君は……?」
謎の仮面ライダーは金色のマフラーを風に揺らしながらRXへと自らの名を教える。
「仮面ライダー──3号」
仮面ライダー3号という名にRXは衝撃を受ける。彼の知る三番目のライダーとは違ったのだ。
「仮面ライダー3号だと……!? 君、いや貴方は──」
「俺はお前の先輩なんかじゃ無いさ。あんなに立派じゃない」
RXは3号が自嘲する様に笑った風に見えた。
「お前にも色々と迷惑を掛けたからな……その罪滅ぼしだ」
「迷惑? 君が俺に?」
「分からないならそれで良い」
3号とRXは初対面の筈である。しかし、3号の口振りはRXを知っているかの様であった。
「話は後だ。──来るぞ」
「──ああ!」
突然現れた3号に謎は残るが、RXの直感は彼を信用出来ると感じ、共闘を選ぶ。
ふと、RXは視界の端に何かがひらひらと飛んで行くのが見えた。視線で追うとそれは青い羽の蝶。珍しいと感じたが、すぐに量産型タイムマジーンらにより意識と視線を戻される。
並び立つRXと3号に量産型タイムマジーンが火器を構え、発射──する寸前に上空から降り注ぐミサイルと機関銃の雨によって量産型タイムマジーンらが爆散する。
「何っ!?」
上空からの奇襲に空を見上げる二人。上空では時代遅れのプロペラ機が飛んで行き、何かを降下させる。
それはムササビの被膜の様にマントを広げ、RX達の前に降りた。
「よお。先輩方」
モスグリーンの飛行服、胸には銅色の装甲が付けられている。マフラー代わりの白い布で首元を隠していた。
頭部は茶色。複眼は赤。顎周りは金色の金属で覆われ、口部を覆う銀のマスクは人の唇の形をしていた。
その姿も正しく仮面ライダー。しかし、3号に比べると邪悪な意志をそのライダーから感じる。
警戒するRX。3号もまた同様であった。そんな二人を、顎を撫でながら観察する謎のライダー。
「お前は……何者だ?」
3号が名を問う。
「仮面ライダー……4号」
その名と共に4号は邪悪に笑った。
今回も幕間に近い回となります。
次回からジオウ側に戻る予定です。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ