その、歴史は人知れず歪められた。
あるべき人の営みは消え去り、地球の全てが人工知能搭載人型ロボ──ヒューマギアへと置き換えられ、人類は絶滅寸前にまで追い込まれた歴史へなってしまった。
ヒューマギアを作り出した会社飛電インテリジェンスの若き社長にして仮面ライダーゼロワンでもある飛電或人もまたその歴史の歪みに巻き込まれ、いつの間にか社長の座が謎のヒューマギア──ウィルに就かれていた。
「この会社は我々ヒューマギアのものだ」
『バルカン』
「バルカン……?」
ウィルが持つ時計らしき物体が、或人の知るライダーの名を出す。
「そう。私がバルカンだ」
ウィルはそれを体内へ取り込む。機械の体と融合し出し、黒いエネルギーがウィルの体を包み込むと、彼を異形へと変える。
右半身から青い獣毛を、左半身からは白い獣毛を生やした体。口吻が長く伸び、そこから牙を覗かせた頭部はオオカミに似ていた。
後頭部から青と白が混じった鬣を生やしており、足元近くまで伸びたそれは鬣と同時に尻尾の様にも見える。
腹部には銃らしき形をしたドライバーが付けられているが、その銃は鎖で巻かれて使用不能状態であった。
右腕部に『VULCAN』、左腕部に『2019』の刻印。或人は知る由も無かったが、その刻印こそがアナザーライダーの証明。
アナザーバルカンは指先から生える鋭爪を或人に向け、冷酷に告げる。
「人間は皆殺しだ」
◇
アナザーバルカンことウィルに敗れ、更にゼロワンの力を失い追われる身となった或人。そんな彼を助けてくれたのはレジスタンスである不破諫と刃唯阿であった。
知人との再会に喜ぶが、彼らには或人との記憶が無い。
或人はレジスタンスの基地で或人の秘書であったイズと再会し、そこで或人は歴史が改竄されていることを知る。
人類を抹殺する為に襲撃してくるウィルとヒューマギア。
そこに歴史改変を正す為に常磐ソウゴたちも合流。
新たな時代を掛けた戦いが始まる。
◇
「くっ……! ぐぅ……!」
激しい戦闘が続き、或人の体も限界を迎えようとしている。しかし、それでも戦うことを止めず、亡くなった父でありヒューマギアである飛電其雄から託されたフォースライザーを使用しようとする。
本来人が使用する設計はされておらず変身の度に大きな負荷が掛かり、或人が消耗している原因の一つでもあった。
これ以上の使用は命にかかわる。だが、或人は皆の夢を守る為に覚悟してフォースライザーを装着する──前に後ろから伸びた手がそれを奪い取ってしまう。
「──ッ不破さん!? 何で!?」
「それ以上変身したら戦う前にくたばるぞ」
ぶっきらぼうながらも或人の体を気遣う。
「でも! それがなきゃ俺は……!」
「これを使え」
「これって……!」
不破が或人に渡したのは銃であると同時に変身ツールでもあるエイムズショットライザー。
「代わりに俺がこれを使う」
フォースライザーを躊躇無く装着する不破。途端に赤黒い電流が発生し、不破の体を蝕む。
「う、おおおおおおおっ!」
『BULLET!』
不破はその激痛すらも自らの原動力に変えるが如く叫び、フォースライザーへ叩き込む様にシューティングウルフプログライズキーを挿入。
「変身!」
『FORCE RISE』
プログライズキーに内蔵されたデータがオオカミの形となって実体化して不破の前に飛び出す。不破はそのオオカミに拳を振り下ろした。
不破に触れたオオカミのデータ──ライダモデルは分解、変形し、白い無数の弾丸となって不破に接触し、接触した箇所からアンダースーツと化していく。
残ったデータは青い装甲へ変換され、アンダースーツから伸びる白いワイヤーがそれらに伸び、引き寄せて外装として装着。
『SHOOTING WOLF!』
『The elevation increases as the bullet is fired』
一見すると細身で軽装甲。だが、白い仮面の右目から伸びる赤いラインが変身者の憤怒を露にしているかの如く赤く輝き、凄まじい威圧感を放つ。
『BREAK DOWN』
「おおおおおおおおおっ!」
変身完了の言葉と共に仮面ライダーバルカン改め仮面ライダーゼロバルカンは咆哮を上げた。
◇
歴史を正す為に奔走していたソウゴたちの前に立ち塞がるのは、今回の事件の黒幕であるタイムジャッカー──フィーニスが現れる。
フィーニスの真の目的は歴史改変を行うことでオーマジオウの力を持ったソウゴが自分の前に現れること。そして、全てのライダーの力を継承したソウゴからライダーの力を奪うことで新たな時代の始まりのライダーとなることであった。
まんまとソウゴから全ての仮面ライダーの力を奪うことに成功したフィーニス。その手の中で新たなアナザーウォッチが創造されるのだが──
「おや?」
──フィーニスにとって予想外のことが起きた。一つしかなかったアナザーウォッチがフィーニスの手の中で二つに分裂したのだ。
「成程……そういうことか。まあ、僕にとっては嬉しい誤算だね」
二つのアナザーウォッチを嬉しそうに見ながら、二つのアナザーウォッチを起動する。
『一号ォォ』
『二号ォォ』
起動した二つのアナザーウォッチがフィーニスの体内へ取り込まれる。
フィーニスの体から赤黒い煙状のエネルギーが噴き出し、段々と膨れ上がっていく。そして、それらは二つに分かれ、別々の姿となった。
『始まりのライダーは僕らだっ!』
変身した片方は十メートルを超える巨体を持ち、下半身がバイクとなっている巨人。
暗い水色と黒の体躯。胸の中央には裂けた様な赤い十字。太く長い腕に指先には鋭利な爪。口部を覆うクラッシャーは開いており、その中では牙が連なっている。
薄いピンク色の複眼を不気味に輝かせるこのアナザーライダーが、フィーニスが言う始まりのライダーの片割れアナザー一号。
そして、そのアナザー一号と並ぶのは、アナザー一号に勝るとも劣らない異形の巨人であった。
アナザー一号とは配色の違う暗緑と黒の体。胸には同じく赤い十字がある。
注目すべきはその両腕。アナザー一号は下半身がバイクになっていたが、このアナザーライダーは右腕と左腕がバイクの前輪と後輪の形をしていた。しかも下半身がその前輪、後輪よりも足が短い、というよりも両腕の前輪後輪が大きく、長い為に両足が地面に着いておらず、両腕で立っている状態になっている。
赤黒い目に不気味な光を宿すこのアナザーライダーは、アナザー二号。
仮面ライダーの原点は間違いなく一号であろう。しかし、その歴史を語る上で二号の存在を欠かすことは出来ない。
二号がいなければ一号の歴史は無く、一号がいなければ二号の歴史は無い。どちらも切っても切れない存在なのだ。
『私たちこそ原点にして頂点! 時代の創造主だ!』
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