仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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説明&交流回みたいな話です。


アナザーポセイドン2051 その4

「じゃあ、改めて自己紹介をしよっか」

 

 アナザーポセイドンと戦った場所から少し離れた広場で、ソウゴ、ゲイツ、ミハルが三角形を描く様に立っていた。

 姿が見えないみはるは、ゲイツがツクヨミを呼び、安全の為彼女にクジゴジ堂に連れていってもらっている。

 

「俺は常磐ソウゴ。で、さっき変身していときの名はジオウ」

「……明光院ゲイツ。仮面ライダーゲイツだ」

「何かこういうことキチンとすると、ちょっと恥ずかしいね」

「要らんお喋りはいい」

「ゲイツってちょっと怖そうに見えるけど、良い奴だから安心して」

「余計なことを言うな」

 

 無愛想な自己紹介をするゲイツをフォローする様にソウゴが付け足すと、ゲイツは眉間に深い皺を寄せながらソウゴの顔下半分を鷲掴みにする。

 ギリギリと締め上げられているが、ソウゴの顔から笑みが消えていないところを見ると、じゃれ合いの一種の様に見えた。

 

「俺は、湊ミハル。仮面ライダー……ポセイドン? でいいのかな?」

「……何で疑問形なんだ? 自分の名前だろうが」

「その、俺、ずっと一人で戦ってきたから固有の名前とか必要無かったし、それに敵からも『仮面ライダー』としか呼ばれてなかったから……あ、ポセイドンって付けたのは、俺のベルトの名前がポセイドンドライバーだから。……多分そんな名前だったと思う」

「一々ハッキリしない奴だな」

「ご、ごめん……」

 

 気弱さ故かすぐに謝ってしまう。

 

「取り敢えず話を進めよう。ミハルって、やっぱり未来から来たライダーってことでいいんだよね」

「うん。2051年から」

「2051年か……主水が来たよりも十年先かぁ」

「主水?」

 

 ゲイツの手から解放されたソウゴが感慨深そうに呟く名に、ミハルは聞き返す。

 

「ミハルと同じ未来から来た仮面ライダーだよ。仮面ライダークイズ、知ってる?」

「聞いたことがあるような、無いような……。ごめん、さっきも言った様に一人で戦っていたから、自分以外のライダーにはあんまり詳しくはないんだ……」

 

 期待を裏切ってしまったと思ったのか、また謝る。

 

「いいよ、気にしなくて。ちょっと聞いてみただけだから」

「それにしても、俺以外にも未来から来た仮面ライダーが居るなんて……だからあの時計屋ですぐに分かったのかぁ」

「ゲイツも未来から来たんだよ」

「ええっ!」

「おい。あまりペラペラと喋るな」

 

 自分のことを勝手に喋られることに嫌そうな顔をするゲイツ。そんなゲイツを、口を開けたままポカンとした表情で見詰めてしまうミハル。

 ゲイツは、溜息を吐くと自分が2068年から来たことをややこしくなるので事情は伏せて軽く説明する。ソウゴが勝手に教えるよりも自分から言った方がまだましである、という判断からであった。

 

「タイムマシンで……凄いなー……。俺の時代でも時間の研究はしているらしいけど、まだタイムスリップは出来ないんだよね」

 

 時間を跳び越えるなどという稀有な経験をしているのは自分だけだと思っていたミハルは、既に先人がいることを素直に驚く。と同時に自分だけでは無いという孤独感の薄れ、自分のいた時代に戻れるかもしれないという希望が見えた。

 

「ミハルはどうやって過去に来たの?」

「あれは──」

 

 ミハルは2019年に飛ばされる直前のことを思い出しながら語る。

 人々が怪人たちに襲われているのを見つけ、倒す為に仮面ライダーへと変身し、怪人たちを全員倒して変身を解いた直後、突如として目の前の空間に波紋の様なゆらぎが起こり、その現象に驚いているうちに、ゆらぎは裂け目に変わり、その裂け目が強い力で周囲を吸い込み始め、その吸引に巻き込まれて気付いたときにはここにいた。

 ミハルが説明し終えると、ソウゴとゲイツは難しい表情となる。

 

「その裂け目が出来た理由ってやっぱり……」

「ああ。黒ウォズが言っていたあの隕石だろうな」

 

 ミハルを見つける前に黒ウォズが見せた新聞記事の内容を思い出していた。

 

「そうだ。俺の方も聞きたいことがあるんだ。あの俺に良く似たライダーみたいな怪人はいったい……?」

「あれはアナザーライダーだ」

「アナザーライダー?」

「その時代の仮面ライダーに成り代わって力と記憶を奪い、歴史を改竄する存在だ」

 

 ゲイツから説明された内容にミハルは驚き、同時にある疑問が浮かぶ。

 

「あのアナザーライダーがいるってことは、俺の力と記憶も奪われている筈だけど、俺、変身も出来たし、記憶もあるけど?」

「そうなんだよねー」

「前の仮面ライダークイズのときもそうだった。お前の様に変身能力も記憶も維持出来ていた。奴との共通点……この時代で生み出されたアナザーライダーだからなのか?」

 

 明確な答えを持っていない為、ゲイツは更に眉間に皺を寄せて考える。

 

「じゃあ、詳しそうな人に聞いてみる?」

 

 ソウゴの言葉にミハルは首を傾げ、ゲイツは嫌そうな表情を浮かべる。

 

「黒ウォズー! どっかで聞いてるんでしょ?」

「クロウォズ?」

「呼んだかい? 我が魔王」

「うわっ!」

 

 背後に急に現れた黒ウォズに、ミハルは飛び上がり、そのままこける。

 

「いったっ! って誰!? 誰!?」

 

 不意打ちの様に現れたこともあるが、手には得体の知れない本を持ち、明らかにこの時代にそぐわない姿をしている黒ウォズに、ミハルは怯えと警戒を混ぜた様な反応を見せる。

 

「大丈夫だって。黒ウォズは、俺の協力者みたいなものだから」

「そう、なの……?」

 

 ジロジロと上から下まで疑う様な眼差しを向けるミハル。一方で黒ウォズの方は、特に気分を害した様子は見せない。というよりも、ミハルの存在を眼中に入れていない態度であった。

 

「たぶん、話は聞いてたと思うけど、黒ウォズは何か知ってる?」

「いつも私が盗み聞きをしていると思っているのなら心外だが――まあ、何故彼がライダーの力も記憶を失わずいられるか予想は出来る」

「じゃあ、教えて」

 

 黒ウォズは、『あくまで推測だが』と前置きを入れてから説明する。

 

「君たちが考えている様に、あのアナザーライダーがこの時代で誕生したことが重要なんだ。考えてもみたまえ、もし今まで通りにあのアナザーライダーが彼の力を奪い、歴史を変えたらどうなる?」

「ミハルが未来で仮面ライダーじゃなくなる?」

「そうだ。そして、同時にもう一つの事実が無くなる」

「……そうか。こいつが未来から過去に来るということも無くなるということか」

「その通り。彼は仮面ライダーだったからこそ、未来から過去に来たという流れになった。もし、その流れが無くなったら……?」

「俺が居ないせいでアナザーライダー自体が存在を出来なくなる……?」

 

 ミハルが思い付いた答えを言うと、黒ウォズは頷き、肯定する。

 

「そう。つまり歴史に大きな矛盾が生まれるということさ。アナザーライダーの歴史の改竄、それによって起こる矛盾を無くそうとする力、その二つの力が吊り合い、均衡が保たれた結果、仮面ライダークイズや今の彼の様に能力も記憶も失わずに済んでいるという訳さ。タイムジャッカーがわざわざ時間を超えてアナザーライダーを誕生させるのも、こういった事態を避ける為だろうね」

「なるほどー。色々と知っているね、黒ウォズは」

「お褒めに預かり光栄です。我が魔王」

 

 黒ウォズは恭しく頭を下げる。

 

「こちらにとってもこの事態は好都合だ。ポセイドンの力が無ければあのアナザーライダーは倒せないからな」

「俺の力が? どういうこと?」

「アナザーライダーは、そのアナザーライダーが生まれた時代で同じライダーの力を使わないと倒せないんだ」

「そうなの!?」

「俺達が倒しても、一時的に変身出来なくなるだけだ。すぐにタイムジャッカーが現れ、ウォッチを起動させたら、またアナザーライダーは復活する。幸い、生まれた時代は現代だから問題無いとして――」

「ちょっとごめん」

 

 気になることがあり、ミハルは口を挟む。

 

「そのタイムジャッカーって? さっきも聞いたけど……」

「時間改変を目論む連中だ。奴らと契約することでアナザーライダーが生まれる。用は元凶だ」

「じゃあ、あの子の父親も……」

「恐らくは何らかの理由で契約したんだろうな。尤も、無理矢理契約させる場合もあるがな」

「……俺があのアナザーライダーを倒せば、あの子の父親は無事に戻ってくるんだよね」

「うん。戻ってくるよ」

「なら──」

「ちょっと待った」

 

 今度は黒ウォズが口を挟んでくる。

 

「アナザーライダーについて少し補足しておこう。実は倒す手段はもう一つある」

「え? あるの?」

「おい!」

 

 何を言うのかを察し、ゲイツが止めようとするが、間に合わなかった。

 

「彼らがキミの力を奪い、その身に宿すことで同じくアナザーライダーが倒せることが出来る」

「俺の、力を奪う……?」

「彼らには、その方法がある」

 

 ミハルの目がソウゴとゲイツに向けられる。その目は明らかに動揺していた。

 

「余計なことを……!」

 

 不信感を植え付ける様な台詞を吐いた黒ウォズに、ゲイツは怒りを見せる。

 

「私はあくまで補足しただけさ」

「黒ウォズ」

「何だい? 我が魔王」

「俺はミハルから力を奪うなんてことはしないよ」

 

 真っ直ぐに黒ウォズを見詰めながらソウゴは宣言する。

 

「──我が魔王の望みのままに。だが、『もう一人』はどう思っているのやら」

 

 カタン、という音が背後に聞こえ、全員がそちらの方を見る。風に煽られて空き缶が倒れた音であった。黒ウォズの方に向き直ると、既に彼は消えていた。

 

「……とにかく今はあのアナザーライダーを探そう」

「う、うん」

 

 ソウゴの言葉に、ミハルは少し躊躇いながら同意する。先程まで打ち解け始めいた空気が一気にギクシャクしたものへと変わった。

 

「──手分けして探すぞ。ジオウ、お前はこいつと一緒に行動しろ」

「俺とミハルが?」

「この辺りのことは詳しく無いし、連絡手段も無い。お前が側にいた方がアナザーライダーを見つけた時にすぐに連絡がとれる」

「ああ、そうだね」

 

 ゲイツはそれだけ言うと、さっさとこの場を離れてアナザーライダーを探しに行く。

 残される二人。

 

「あ、あのさ……」

「何?」

 

 少し緊張した様子でミハルがソウゴに声を掛ける。

 

「あの、黒ウォズって人、ソウゴのことを『我が魔王』って言っていたけど、あれってどういう意味?」

 

 気になったことを質問する。彼なりにこの変な空気を変えようとする努力が見られる。

 

「ああ、あれ。俺、王様になるのが夢なんだ」

「へえー。うん? うん……?」

 

 ソウゴの予想の斜め上を行く答えに、場はまた違った感じの変な空気となるのであった。

 

 

 ◇

 

 

 ソウゴたちと離れ、暫く移動した後にゲイツの足が止まる。

 

「お前も聞いていたんだろう? 白ウォズ」

「流石、我が救世主。察しが良い」

 

 ゲイツの言葉と共に、白ウォズが張り付けた様な笑顔でゲイツの背後に立っていた。

 

「お前のことだ。俺に奴の力を奪えと唆す為にもう一度現れると分かっていた」

「良い慧眼だ。私が言わなくても彼からライダーの力を奪っていたらもっと良かったがね」

 

 ゲイツを救世主と称えながらも、何処か上からものを言う白ウォズを、ゲイツはどうにも信用出来ない。信用出来ないが、彼の力はアナザーライダーを見つけるのにとても有用であった。

 

「あのアナザーライダーを見つけたい」

「成程。見つけてどうする気だい?」

「倒すに決まっているだろうが」

「キミがかい? それとも彼がかい?」

「そんなことはお前には関係無い」

「関係あるさ。キミがゲイツリバイブへと進化するのを手助けするのが私の役目だ」

 

 オ―マジオウを倒し、ゲイツを救世主ゲイツリバイブに至らせる。それが、白ウォズの目的である。目的であるが、その為にゲイツの感情を逆撫でする様な行いを何度かしているのが、ゲイツが白ウォズに対して一線を引く理由であった。

 

「──と強く言いたいところだが、まあ、キミの希望通りにしよう」

「随分と簡単に引くな」

「言っただろう? 今回の件は私にとっても予想外のこと。事は慎重に見定めないといけない」

 

 白ウォズは薄い笑みを浮かべながら、手に持つノート型のタブレットを開く。

 

「ああ、そういえば言い忘れていた。キミは私に自分の所にアナザーライダーを呼び出させる様に、これに書かせるつもりなのだろうが──」

 

 白ウォズは開いたタブレットをゲイツに見せる。

 

『ゲイツ、アナザーライダーと遭遇する』

「既に三分前に書き終えていたんだ」

「なっ!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 直後に聞こえる唸り声。振り返った視線の先にはアナザーポセイドンが槍を構えて立っていた。

 

「私からキミへのレッスンさ。救世主たる者、色々な試練が必要だ。ハハハ」

 

 笑う白ウォズを睨み付け様と首だけ後ろに向けるが、既に白ウォズは姿を消していた。

 ゲイツは素早くスマートフォンを取り出し、ソウゴに連絡を入れる。

 

『もしもし?』

「アナザーライダーが出た! 場所は――」

 

 位置を伝えると同時にアナザーポセイドンンが走り出す。

 

「ちっ!」

 

 舌打ちをしながらゲイツはスマートフォンを放り棄て、ジクウドライバーを巻き、ゲイツライドウォッチのスイッチを入れる。

 

『ゲイツ!』

 

 それをドライバーのスロットにセットし、ドライバーを両手で挟もうとしたときにアナザーポセイドンはゲイツを間合いに捉え、その槍を振るう。

 ゲイツが後ろに下がると同時に胴体前を槍が通過していく。通過する槍は、ドライバーの縁に当たり、ゲイツの代わりにドライバーを回転させる。

 

「変身!」

『ライダーターイム!』

 

 解放されたエネルギーがゲイツを包み込み、ゲイツを仮面ライダーへと変身させる。尚も追撃しようとするアナザーポセイドンであったが、飛び出してきた『らいだー』の文字がそれを阻んだ。

 アナザーポセイドンの体に直撃する文字は跳ね返り、ゲイツの顔に収まり変身を完了させる。

 

『仮面ライダーゲイツ!』

 

 ゲイツはすぐさま腕のホルダーに填め込んであるライドウォッチを外し、起動状態にする。

 真紅の目。広げられた翼の様なヘッドパーツ。そのライドウォッチが記すライダーの名は──

 

『タジャドルコンボ!』

 

 ゲイツがジクウドライバーのもう一つのスロットにタジャドルライドウォッチを装填し、ドライバーを回転させる。

 

『アーマーターイム!』

 

 ゲイツの背後に筒状のエネルギーが発生すると、そこから三羽の、紅いタカ、クジャク、コンドルが飛び出し、飛翔しながら次々にアナザーポセイドンに体当たりをして怯ませる。

 アナザーポセイドンが堪らず後退すると、三羽はゲイツの背後に移動し、そこで姿を変える。

 タカは頭部装甲に、クジャクは胴体装甲、コンドルは脚部装甲へ変形し、ゲイツの体へ装着される。

 

『タカ! クジャク! コンドル! タジャドル!』

 

 燃え盛る深紅の翼と炎の力を宿したライダー。仮面ライダーゲイツオーズタジャドルコンボアーマーが深海の力に抗う為に立ち塞がる。

 




次回でテレビでいうと前編が終わる感じになります。
本編の話も混沌としてきましたねー。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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