仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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量よりも質を選んだ展開にしました。


アナザー✕✕✕2019(後編)

「てやあっ!」

 

 人気の無い廃工場近くで三人のライダーが戦いの火花を散らす。

 ジオウⅡがサイキョーギレードとジカンギレードの二刀流で正面からゲイツリバイブを斬り付ける。交差する剣閃。しかし、その刃を振り抜くことは出来なかった。

 ゲイツリバイブの装甲は、ジオウⅡの刃を通さずそのまま受け止めてしまう。

 ジオウⅡの攻撃を真正面から防いでいる内にアナザーローグは背後から仕掛ける。

 アナザーグリスと似たベルトに付いた折れ曲がったレンチを一回倒す。アナザーローグの右手が、紫色のワニの形をオーラに包まれる。

 

「はあ!」

 

 ゲイツリバイブの背後から右拳を叩き込む。ワニのオーラは顎を開き、ゲイツリバイブの背甲に噛み付いた。だが、ワニの牙はゲイツリバイブの装甲には通らず、逆にその硬さで牙は砕かれ、右手に纏わせていたオーラも連動して砕ける。

 

「ふん!」

 

 ゲイツリバイブは攻撃を受けたまま、のこモードのジカンジャックローをジオウⅡに打ち込む。

 

「うあっ!」

 

 一撃の重さに加え装甲を削り取る丸鋸の振動に踏ん張って耐えることも出来ず、ジオウⅡは後方に飛ばされる。そして、アナザーローグに至っては振り向くこともせず、後ろ蹴りで踵を腹部にめり込ませ、その状態で蹴り飛ばす。

 のこモードの必殺技と今受けた蹴りの一撃。どちらもアナザーサブライダーの中でも最硬の筈だというのにアナザーローグの防御を容易く貫いて、中の飛流に今まで味わったことの無い痛みを与える。

 ジオウⅡには、能力を対処出来るというアドバンテージがあったからこそ優位に立てた。しかし、ゲイツリバイブにはそのアドバンテージも効かない。必要なのは単純なポテンシャルのみ。だが、そのポテンシャルが圧倒されているのだ。

 

「おお!」

 

 アナザーローグは痛みに耐えながら立ち上がり、ゲイツリバイブに向かって拳を振り上げながら駆け出す。

 ゲイツリバイブは鬱陶しそうに振り返ると、アナザーローグはその胸部に拳を打ち込んだ。だが、ゲイツリバイブも打ち込まれると同時にジカンジャックローをアナザーローグに打ち込む。

 高速回転する丸鋸がアナザーローグの体を削る。先に仕掛けたアナザーローグが打ち負け一歩後退するが、すぐさま中段蹴りを放ちやり返す。

 それをジカンジャックローで難なく打ち落とし、アナザーローグの鳩尾に重過ぎる拳を捻じり込む。

 体の中のものを全て吐き出しそうな程の衝撃。意識が断たれなかったのは、単に飛流の精神力のおかげである。

 

『ライダーフィニッシュタァァイム!』

 

 ジオウⅡがゲイツリバイブに仕掛けようとしているのが聞こえる。ジオウⅡを、常盤ソウゴを倒すべきなのは自分である。それが他の誰かに奪われようとしているなど我慢ならない。

 何よりも倒すべき相手の前でいつまでも弱々しい姿を見せるなどという無様を見せる訳にもいかない。

 アナザーローグは、ベルトのレンチを勢いよく叩きながら跳躍する。揃えた両足がワニのオーラに覆われ、足を上下に開くとワニの口もまた開かれる。

 見ればジオウⅡもまた拳にピンク色の光を宿し、ゲイツリバイブに飛び掛かっていた。

 二人が意図せずに共闘する形となった前後からの同時必殺攻撃。仮面ライダーでもアナザーライダーでもこれを受けては無事では済まない。通常ならば。

 

『ジカンジャック!』

 

 ジカンジャックローに備わってあるスロットにゲイツリバイブウォッチを填める。焦りが無く緊急時だというのに丁寧と言える動作。彼は分かっているのだ。二人の技程度では自分を倒すことも止めることも出来ないと。

 

『トゥワイスタイムブレーク!』

「おおおおおお!」

 

 ジオウⅡの必殺の拳が、アナザーローグの圧砕する顎がゲイツリバイブに迫る。

 

『剛烈! スーパーのこ切斬!』

 

 ライドウォッチの力で強化されたのこ切斬を、その場で一回転しながら放つ。ゲイツリバイブを中心にして描かれる橙の円。だが、ジオウⅡの拳とアナザーローグの両足がその円に触れた途端、円は全てを削り、切断する鋸と化す。

 

「うああああああ!」

 

 光の鋸にワニの牙が喰らい付いた途端、ワニのオーラは砕け散り、アナザーローグは触れた時の余波で吹き飛ばされた。

 壁面に叩き付けられ、地面に倒れ伏すアナザーローグ。その体が光り、元の飛流の姿に戻ってしまう。

 彼にとって最大の誤算は、まだゲイツリバイブの力を見誤っていたことである。その見誤ったツケが、目の前に転がり出てきたアナザーウォッチで払うこととなる。

 アナザーウォッチに電流の様な光が奔ると壊れてしまう。

 

「そんな馬鹿な……!」

 

 飛流にとっては信じ難いことであった。アナザーライダーは、同じライダーの力でなければ完全に倒せない。しかし、ゲイツリバイブは、その絶対とも言えるルールを難なく破り、貴重なアナザーウォッチを破壊してしまった。

 もう飛流は、アナザークローズにもアナザーグリスにもアナザーローグにもなれない。

 飛流はゲイツリバイブを見る。彼はジオウⅡと戦っている。ジオウⅡもまた必殺技をゲイツリバイブによって相殺されたが、飛流の様にダメージを負っておらず継戦している。

 ジオウⅡもまたアナザーライダーを完全に撃破出来ると聞いている。

 ジオウⅡにゲイツリバイブ。ルールすら捻じ伏せる一線を画す力を持つ。飛流は、彼らとの実力の差を見せつけられた。

 

「まだだ……!」

 

 歯を食い縛って立ち上がろうとする。

 

「ここまでだな。思ったよりも粘ったと言っておこう」

 

 飛流の側に、気付かぬ内にスウォルツが立っていた。

 

「待て! 俺は──」

「お前の意見は求めん」

 

 まだ戦おうとする飛流にスウォルツが手を翳す。すると、飛流の時間が停められ身動き出来なくなった。

 

「ジオウ、ゲイツ。オーマの日に会おう」

 

 スウォルツによって飛流は連れ去られていく。連れられて行く最中、飛流の内で渇望が生まれる。

 もっと力を。圧倒的な力を。求める力は──

 時間停止を受けている筈なのに、飛流の眼球だけが動く。その目に映るのは、ジオウⅡを一方的に攻め立てるゲイツリバイブの姿であった。

 

 

 ◇

 

 

 ジオウⅡに対し、未来予知すらも上回る力で戦いを進めていくゲイツリバイブ。

 身を削り合う様な戦いに待ったをかけたのは黒ウォズであった。事が白ウォズの望む通りに運ばれていくことを危惧した黒ウォズは、ゲイツリバイブの一瞬の隙を衝いて一緒にジオウⅡから離れた場所へ移動する。

 黒ウォズは、そこでゲイツにゲイツリバイブの命を削る程のリスクを指摘し、同時に何故ジオウを倒す覚悟を決めたのか問う。

 ゲイツの口から過去でツクヨミが幼い頃のソウゴを倒そうとしていたことを知る黒ウォズ。そして、それがゲイツの揺るがない覚悟となっていることも知った。

 ゲイツリバイブの力を危惧し、彼を止める為に黒ウォズが戦いを挑むが、ゲイツリバイブの力は黒ウォズの想像を遥かに上回るものであり、惨敗を喫する。

 救世主としての力に危機感を覚えながら、黒ウォズは現状を変える為にある策を思い付く。

 その為の協力者として、タイムジャッカーのオーラとウールに協力を持ちかけるが、オーラには取り付く島もなく断られる。しかし、ウールとの協力を密かに結ぶことには成功した。

 新しい王を擁立して未来を変えるのがタイムジャッカーの目的である。だが、そんな中でスウォルツだけがその目的に反する様な行動をしていた。

 今回のアナザーゲイツの件もそうである。仮にアナザーゲイツがジオウを倒したとしても、それは白ウォズにとって望ましい未来が待っているだけでウールやオーラにとっては望ましくない。それはスウォルツも同様の筈である。

 同じ目的を持っていると思っていたが見ているものが違うのではないか、ウールはスウォルツに対し不信感を抱き始めており、今までの過去、これからの未来に強い不安を覚えていた。

 そして、時を同じくしてソウゴを探すゲイツの下に加古川飛流が現れる。

 

 

 ◇

 

 

「加古川飛流か……貴様に用は無い」

「お前に無くても俺には在る。──常磐ソウゴを消すのは俺だ!」

『ゲイツ』

 

 有無を言わさずアナザーゲイツへと変身する飛流。これ以上の会話は無駄と分かり、ゲイツもまた変身する。

 

「変身」

『ライダーターイム!』

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈!』

『剛烈!』

 

 重装甲のゲイツリバイブ剛烈へと変身したゲイツリバイブはすぐさま、のこモードにしたジカンジャックローを召喚し、アナザーゲイツへ切り掛かる。

 

「ふっ!」

 

 袈裟切りで振るわれるジカンジャックロー。それを斧で受け止めようとするが、刃が丸鋸に触れると、回転力によって腕ごと弾かれてしまう。

 片手を真上に上げ大きな隙を晒すアナザーゲイツ。ゲイツリバイブは、ジカンジャックローの突きを出すが、顔目掛けて放たれたアナザーゲイツの光矢を反射的に防いでしまい、その隙に距離を取られてしまう。

 相変わらずの地力の差に歯軋りをしたくなる。だが、今の戦い方では敵わぬと理解し、気持ちと共に姿も切り替える。

 

『斬月ゥ』

 

 アナザー斬月へと変身すると、ゲイツリバイブの追撃を大盾によって防ぐ。大盾の表面が削られるものの通常の攻撃ならば耐えられる。通常ならば。

 

『のこ切斬!』

 

 即座にジカンジャックローが唸りを上げる。回転が増した丸鋸が振り下ろされ、大盾でそれを受け止める。削られるどころか一撃で大盾に罅が入った。

 今の攻撃は数度耐えるのがやっと判断するアナザー斬月。その間にもゲイツリバイブはジカンジャックローを振るい続ける。

 大きくなる罅。回数にして五度目の攻撃で大盾が砕ける。

 しかし、それはアナザー斬月にとって想定内のこと。大盾で防いでいる間にベルトに付いた小刀を上向きに一度動かしており、アナザー斬月が持つ刀は緑色の輝きを発していた。

 大盾が砕けた瞬間に刀を振るう。刀から放たれた三日月状のエネルギーが、ゲイツリバイブに炸裂し、不動であった彼を数歩後退させる。

 

「よしっ!」

『スピードターイム!』

「何?」

『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風!』

『疾風!』

 

 ゲイツリバイブが、ゲイツリバイブライドウォッチを百八十度回転させた瞬間に姿が消えた。その直後にアナザー斬月は、二十を超える衝撃を一度に貰う。

 

「うあああああ!」

 

 倒れ、変身が解除される飛流。その側では砕けたアナザーウォッチ。また一つ、ゲイツリバイブによって破壊される。

 

「一体何が……」

 

 驚くしかない飛流の前に、消えたゲイツリバイブが現れる。その姿は別のものへと変わっていた。

 胸部の重装甲は、左右に展開し翼と成り、仮面の色も青色に変わっている。要塞を彷彿とさせていた姿は、今は鳥人の様に軽やかなイメージを与えるものとなっていた。

 飛流がジオウⅡとの戦いを最後まで見届けられなかったから知らなかった。ゲイツリバイブのもう一つの姿、ジオウⅡが未来を予知してもそれを上回る高速移動を可能としたゲイツリバイブ疾風。

 

『スピードクロー!』

 

 ジカンジャックローも丸鋸の刃が仕舞われ『のこ』の文字が『つめ』の文字に代わり、一対の青い刃が展開している。これによってアナザー斬月は引き裂かれたのだ。

 

「これが、救世主の力だっていうのかよ……!」

 

 ゲイツリバイブの力は、スウォルツから断片であるが聞かされている。未来の三人のライダーの力を得たことで手に入れた魔王すらも倒す力だと。それをまざまざと見せつけられ、同じ仮面ライダーゲイツの力を持つ飛流は劣等感を覚える。

 

「おおおお!」

『ゲイツ』

 

 その劣等感を振り払う様にアナザーゲイツへと変身する飛流。しかし──

 

『つめ連斬!』

 

 ──勝負は呆気無く終わった。

 アナザーゲイツが一動く間に、ゲイツリバイブは十以上動けるのだ。その差を埋められない限り、アナザーゲイツはゲイツリバイブに勝てない。

 四方八方から体に刻まれた十以上の斬撃を受け、気付いたときには倒れていた飛流はそう悟った。

 

「ジオウを倒すのは俺だ。お前は引っ込んでいろ」

 

 そう言い残して去っていくゲイツ。今の飛流にそれを止める力は残されていない。

 

「君の力じゃまだ足りないみたいだ」

 

 飛流の側に突然現れたウール。驚く飛流に、ウールは自分がスウォルツの仲間であると説明する。

 

「でも、このままじゃ君は、ジオウⅡにもゲイツリバイブにも勝てない」

「……どうすればいい?」

「ゲイツ以外にももう一人、未来のライダーがいる。そいつの力を奪えば……」

「未来の……」

 

 ウールは、飛龍にブランク状態のライドウォッチを差し出す。それを受け止ろうとして手を伸ばし──止まった。

 飛流の中に一つの考えが浮かぶ。

 

「どうしたんだい?」

「協力はする。だが、その前にいくつか聞きたいことがある」

「……何だい?」

 

 飛流から尋ねられた幾つかの質問を訝し気ながらも答えるウール。答えられた内容は希望通りだったものらしく、飛流の口元に笑みの形となる。

 

「それなら出来るってことだよな? 俺が──になることが!」

 

 飛流の言葉が衝撃的だったのか、ウールは瞠目する。

 

「不可能、いや、既に前例があるんだ。可能、かもしれない。でもいいのかい? スウォルツには何も言わなくて?」

「関係無い! 俺は常磐ソウゴを倒したいだけだ! その後のことなんてどうでもいい! 俺に協力してくれればお前の望む王様にも傀儡にでもなってやる!」

 

 ウールにとっては予想外の展開だが、寧ろ都合良いと言えた。いつもこちらを振り回すスウォルツに一泡吹かせられる。

 

「いいよ。僕は君に協力するよ」

 

 ウールは飛流にブランクライドウォッチを握らせ──

 

「これが協力の証だ」

 

 ──そのブランクライドウォッチを自らの胸に押し当てさせた。

 

 

 ◇

 

 

 ゲイツから決闘の連絡を受けたソウゴは、指定された場所へ向かおうとクジゴジ堂を出ようとする。

 そこで、ソウゴは順一郎から初めて叱られた。

 自分よりも相手を優先し、相手の望む様にしようとしているソウゴに寂しいなら寂しいと、ちゃんと言う様に、気持ちを押し殺さない様に、言いたいことも言えず痛みも分からない王様にならない様に。

 その叱咤を受けたソウゴの中で迷いが消え、ある決意が決まった。

 

 

 ◇

 

 

 過去で起きたソウゴと飛流の両親が失われた事故。そこでツクヨミは真実を知る。

 バス事故を起こさせたのがスウォルツであり、未来の王を子供たちの中から選別することが目的であったのだ。

 スウォルツに食って掛かるソウゴ。それを助けようとするツクヨミ。ゲイツが見た光景は、この一連の流れを切り取ったものであった。

 スウォルツを撃退しようとするが間に合わず、バスは爆発を起こす。それにツクヨミも巻き込まれる筈だったが、何故かバスの運転手として潜り込んでいた仮面ライダーディケイドこと門矢士の力によって無事切り抜けることが出来た。

 門矢士が生み出すオーロラを通り抜けた先は、巨大兵器により破壊されていく都市。

 絶体絶命の状況下にバス内の子供たちを置き去りにし、王の器を選ぶ為の間引きが行われる。

 

 

 ◇

 

 

 ウール、飛流、黒ウォズの三人の協力によって白ウォズからウォズミライドウォッチとビヨンドライバーを奪取することに成功する。

 結果としては、ウールも飛流も黒ウォズが仮面ライダーウォズの力を得る為に利用されている様に見えるだろう。しかし、その影で二人がほくそ笑んでいることを黒ウォズは知らない。

 

「祝え! 過去と未来を読み解き、正しき歴史を記す預言者。その名も仮面ライダーウォズ! 新たなる歴史の1ページである!」

 

 ゲイツリバイブ疾風の前で白ウォズから奪った力で仮面ライダーウォズへと変身してみせた黒ウォズが、自らの変身を祝福する。

 ゲイツリバイブとウォズとの戦いが始まるが、ウォズがまだ仮面ライダーの力に慣れていないことと、ゲイツリバイブとの力の差に軽くあしらわれてしまう。

 それを少しでも埋める為に、ウォズは未来の仮面ライダーの力を借りる。

 

『シノビ!』

『アクション!』

 

 仮面ライダーシノビの力が、ビヨンドライバーに投影される。

 

『投影!』

『フューチャータイム!』

『誰じゃ? 俺じゃ! 忍者!』

 

 紫の装甲。なびくマフラー。顔に収まる『シノビ』の文字。

 

『フューチャーリングシノビ! シノビ!』

 

 シノビの力を宿し、今まで以上の速度で動き出すウォズ。

 

「ふん!」

 

 しかし、移動した先にはゲイツリバイブが先回りし一撃を受けてしまう。すぐに煙幕を張って姿を隠して移動するが、そこでもゲイツリバイブが先回りをしていた。

 

「はっ!」

 

 ジカンジャックローの爪が、ウォズを斬り裂く。

 

「くっ!」

 

 よろめくウォズに、もう一撃与えようとした瞬間、ウォズの影の中から何かが飛び出し、ゲイツリバイブを斬る。

 

「ぐう!」

「何……?」

 

 ゲイツリバイブ、そしてウォズにとっても不意を衝く一撃であった。そして、姿を現したそれに不意打ちよりも大きな衝撃を受ける。

 黒を混ぜた紫の頭巾を被り、同色の軽鎧を纏っているが、胸部は着けていないのか、それとも元からその様な形なのか胸骨が浮き上がっている。両手には鉤爪。首には端が擦り切れた黒いマフラーというよりも布。

 額には鉢金。顔面中央には刃の歪んだ手裏剣が装飾されており、その顔は骸骨、或いは骸骨に薄皮を張った様な容姿であり、金色のゴーグルの向こうには見開かれた丸々とした目が不気味に輝く。

 二人は驚く。知らないからではない。知っているからこそ驚いているのだ。この不気味な姿をした怪人もアナザーライダーであり、それも未来で生まれる筈の仮面ライダーシノビのアナザーライダー、アナザーシノビである。

 倒した筈のアナザーシノビが再び現れたのだ。

 

「貴様、誰だ!」

「俺だよ」

「加古川飛流……!」

 

 アナザーシノビの姿から飛流の声が発せられる。

 よく考えれば不思議なことでは無い。アナザーゲイツはアナザーライダーの契約者から力を奪える。更にそこからIFの可能性も引き出せるのだ。

 未来の仮面ライダーなどまさにIFの存在。だからこそ、飛流は未来のアナザーライダーから力を奪い、我が物と出来た。

 尤も、これはある目的の為の前哨に過ぎない。わざわざ変身しているのも未来の力を体に慣らす為である。

 

「もう一度言っておく! 常磐ソウゴを倒すのは俺だ!」

「それは俺の使命だ! 邪魔をするな!」

 

 ウォズとゲイツリバイブとの戦いにアナザーシノビも加わる。

 飛流は感じていた。アナザーゲイツウォッチの脈動を。

 そして、確信した。アナザーゲイツウォッチは進化する。

 ゲイツリバイブへと。

 




加古川飛流を主軸にし過ぎてまるで主役みたいですね。戦う動機は逆怨みなんですが。
本編のアナザージオウも、パワーアップして姿形が変わり再登場することを密かに願っています。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ

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