賑やかとも騒々しいとも言えるゲームセンター内。一人の青年がゲームオーバーの画面を見て、苛立たしそうにゲーム台を叩く。
「負けっぱなしだね」
隣のゲーム台に座りながら、ウールが荒れている青年に話し掛ける。
「関係ねーよ。話し掛けんな」
突き放す様に言いながら顔を背ける青年。
「鼓屋ツトム。響鬼の弟子だろ?」
ウールのその言葉に、ツトムは顔色を変えながらウールを見た。
「……弟子はもう止めたんだよ」
もう話すことは無いと、ツトムは席から立ち上がる。
「響鬼をおびき出す為に、協力してくれないかな?」
ウールの言葉に、ツトムの足が止まる。彼にとって、それは聞き捨てならない。
ツトムは、訝しむ視線をウールに向ける。
「君の鬼になりたいって夢、叶えてあげるよ」
ツトムにとっては、ウールなど怪しさしかない。しかし、鬼にさせるという言葉に思考が一瞬迷う。甘言であったとしても、夢というものは人を惑わす。
硬直しているツトムに、ウールはポケットの中からアナザーウォッチを取り出し、スイッチを押す。
『歌舞鬼ィ』
起動したアナザーウォッチを、ツトムの体内に入れる。
「うあああああああああ!」
『歌舞鬼ィ』
アナザーウォッチから解放された力がツトムを包み込み、それが解けると彼をアナザーライダーへ変貌させる。
暗い緑色の体に朱色が走る体。両肩には鬼の顔の装甲が付けられ、左右角の長さと色が違う。右肩の鬼は朱色の長い角。左肩の鬼の角は短い金色の角。腹部には赤い巴紋が描かれたベルトを填めている。
顔の方は、額に半分欠けた鬼の顔の飾り。隈取りの様な紋様が浮き出ているが色も形も左右非対称。顔右半分は暗緑色、側頭部から生えた角も同色だが、顔の左半分は朱色で角は右よりも倍長い。
口部は長い牙が上下から生えているが人外の口部の中に人の口が見え、右側は口角が下がり、左側は口角が上がっているとこちらも左右非対称。
胸から腹部にかけて梵字の様な字体で『KABUKI』。背には一対の金棒を背負っており、その背にも『2019』の文字が刻印されていた。
口部の中に口があるせいで、鬼の面を被っている様に見えるアナザーライダー──アナザー歌舞鬼。その異形の出現でゲームセンター内は騒然となり、クモの子を散らす様に客たちが逃げ惑う。
アナザーライダーを誕生させ、自らが考えた計画の第一歩を終えたウールは、上機嫌でゲームセンターを後にする。
機嫌の良いウールは気付かなかった。ポケットの中からブランクウォッチが零れ落ちたことに。
床に落ちたブランクウォッチは、コロコロと床を転がっていく。
ウールのポケットから落ちたのも、床を転がっていくのもどちらも不自然な動きであり、まるで見えざる力で動かされている様。
我先に逃げる雑踏を避けながら転がるアナザーウォッチ。
アナザー歌舞鬼のせいで客一人居なくなったゲームセンター内。アナザー歌舞鬼も何処かに行ってしまう。
静かになったゲームセンター中央で、転がっていたアナザーウォッチがようやく止まる。
そして、独りでにスイッチが押される。
『斬鬼ッ』
誰一人居ない筈のゲームセンター内で、起動されたアナザーウォッチが拾い上げられた。
◇
アナザーG4との戦いを経てアギトライドウォッチを手にしたソウゴ。残すライドウォッチは後五つ。
それとは関係無く、その日ウォズは異様なまでの熱意に包まれていた。理由はその日四月二十八日がソウゴの誕生日だからである。
ソウゴには内緒で密かに誕生日パーティーを計画するウォズ。
臣下として王となるソウゴの誕生日を盛大に祝いたい。しかし、気持ちだけが先走りどう祝うべきか具体的な案が浮かばない。気持ちとは裏腹に答えの出ない現状に、ウォズは苦悩する。
普通に祝えばいいと思っているゲイツとツクヨミは、そんな彼に呆れていた。
とは言え、ウォズにとっては大事な誕生日かもしれないが、今一番優先すべきことは残りのライドウォッチを集めること。
そこに偶然順一郎が手掛かりを持って現れる。
皆の前に出したのは、ソウゴの小学生の時の卒業アルバムであった。
将来の夢に『王様になる』と書き、小さな頃から今までブレずに王様を目指していたことに、逆に感心するツクヨミたち。
だが、卒業アルバムにはソウゴ以外に変わった将来の夢を書く者がいた。
鼓屋ツトム。彼が書いた将来の夢は『鬼になる』。ヒビキという人物の下で修業し、鬼になる。そう書かれていた。
ヒビキという名に気付く。入手していないライドウォッチの一つが仮面ライダー響鬼。彼がライドウォッチの手掛かりなるかもしれないと考え、ソウゴたちは鼓屋ツトムを探しに行くこととなる。
その道中──
◇
ゲイツはソウゴに尋ねる。ツトムという人物は何故鬼なりたいのかと。
ソウゴがツトムから聞いたことは、鬼というものは、昔から悪者を退治し皆を守っている仕事であり、ツトムはその鬼の中でヒビキという人物を尊敬していたという。
人々を守る鬼というピンと来ないのか、ゲイツは半信半疑の様子。鬼という言葉にはネガティブなイメージがある故に仕方の無いことと言える。
「とにかく、俺達が探す仮面ライダーに間違いないということか──ん?」
「どうしたの? ゲイツ……うん?」
「お前も聞こえたか、ジオウ」
金属同士がぶつかり合い、そこに何かが破壊される音、そして獣の様な唸り声も混じる。
戦いを経験している者ならば、それが戦闘音だと即座に気付く。
急いで音のする方へ向かう二人。音の発生源に辿り着いた時、二人は見たことも無い光景を目にする。
「どういうことだ……?」
「アナザーライダー同士が戦ってる……?」
ソウゴたちの前で色も形も左右非対称のアナザーライダー──アナザー歌舞鬼と、似たような姿のアナザーライダーが戦っていた。
そのアナザーライダーは、暗い青緑色の体色をし、肩から腹に掛けて金色の弦をたすき掛けにし、腹部にも金の弦は張られたベルト。右膝にだけ金色の装甲を付けている。
頭部には弧を描きながら前に突き出る銅色の一本角。額には鬼の顔の飾り、顔には隈取。どちらも角と同じ色をしている。
真一文字に結ばれた口から覗く鋭い牙。
その背中に『ZANKI』『2019』の文字が刻印されていた。
「ザンキ……?」
一対の金棒を振り回すアナザー歌舞鬼に対し、アナザー斬鬼は平たく先の尖った楕円形の刃に長い柄が付いた剣らしき武器で対抗している。
振り下ろされた金棒を、剣一振りで二本纏めて弾くとアナザー歌舞鬼は胸を殴られ、もんどりを打つ。
「グウウ!」
受けたダメージを怒りに変え、アナザー歌舞鬼が立ち上がろうとすると、その口から炎が吐き出される。
動く途中に放つ奇襲。並の者ならばまず間違いなく炎を浴びせられる。
「ふんっ!」
だが、アナザー斬鬼はそれを見抜いており、炎に向けて剣を斬り下ろす。すると、炎は真っ二つに裂け、アナザー歌舞鬼とアナザー斬鬼の間に道が出来る。
「はああ!」
アナザー斬鬼は出来た道を走ると共に拳を握る。硬く握られた拳に紫電が走り、再び拳をアナザー歌舞鬼に打ち込んで瞬間、轟音と閃光が起こる。
落雷が発生したかの様な衝撃に、ソウゴとゲイツは反射的に身を守る姿をとる。
点滅する視界に徐々に視力が戻ってくると、体から白煙を立ち昇らせて四肢を着いているアナザー歌舞鬼が見えた。
「どういう理由で戦っているかは知らないが、二体とも纏めて倒すぞ」
「ううん……」
ライドウォッチを構えるゲイツに対し、ソウゴの方は消極的な態度。
「どうした?」
「あのアナザー斬鬼って、敵じゃない様な気がする」
「何を言っている! それが策略かもしれないんだぞ!」
「そう言われると、そうかもしれないけど……」
敵か味方か。どちらにしろ確証が無い。強引な手になるかもしれないが、相手の出方を窺う。
ソウゴもジオウライドウォッチを出し、ジクウドライバーに挿す。
「恐らくあのアナザーライダーたちは、響鬼に関わるライダーだ。響鬼ウォッチが無い今はジオウⅡウォッチでなければ倒せんぞ」
「分かってるさ。──でも、まずは知らないと。アナザーライダーが戦っていたのにはきっと訳がある」
「知る為に戦うか。いいだろう」
二人はライドウォッチが挿し込まれたジクウドライバーを装備。
『変身!』
「ん?」
掛け声に反応し、アナザー斬鬼がソウゴらの方を向く。
『ライダーターイム!』
『仮面ライダージオウ!』
『仮面ライダーゲイツ!』
いきなり飛ばされてきた『ライダー』と『らいだー』の文字を、剣で跳ね返してみせるアナザー斬鬼。
跳ね返ってきたそれを顔面で受け止めながらジオウとゲイツがアナザー斬鬼に飛び掛かる。
「おい」
低く渋みのある声。
ジオウの前蹴りを剣の柄頭で防ぎ、その反動でゲイツの右フックを剣の腹で受ける。ほぼ同時に放たれたそれを冷静に対処してみせるアナザー斬鬼。
「待──」
アナザー斬鬼が何かを言おうとするが、最後まで聞かずにゲイツの中段蹴りがアナザー斬鬼の脇腹を狙う。中段蹴りを剣の柄で止め、その隙を狙って拳を振り上げるジオウであったが、放つ前にアナザー斬鬼の掌打がジオウの肩に当たる。
直後、ジオウが立っていた位置に金棒が叩き付けられ、地面を割る。
「ガアアアア!」
「うおっ!」
アナザー斬鬼に気を取られて復活していたアナザー歌舞鬼に気付けていなかった。
やはり、とジオウは思う。先程の動きは、ジオウをアナザー歌舞鬼から守る為のものとしか思えなかった。
「ゲイツ──」
アナザー斬鬼への攻撃を一旦止めようと言おうとしたが、アナザー歌舞鬼の交差した金棒がジオウの喉に押し当てられる。
「ぐっ。ちょ、ちょ、ちょっと!」
そのまま前進するアナザー歌舞鬼。倒れる訳にはいかず、前進に合わせて後退せざるを得ないジオウ。
言いたいことを言う前に二人は引き離されてしまった。
「ジオウ!」
「──追い掛けなくていいのか?」
アナザー斬鬼が流暢な言葉で問う。殆どアナザーライダーは、理性を感じさせない唸り声か感情的でヒステリックな言動が目立つ中、アナザー斬鬼は落ち着きのある冷静なもの。
しかし、例外的だからといってアナザーライダーを放置することは、ゲイツの性格からして許せることでは無い。
「お前を倒したらな!」
「頭の固い奴だ……」
聞く耳を持たないゲイツにアナザー斬鬼は呆れた声を洩らす。
その戦いを高所から見下ろしていたウールは、アナザー斬鬼に怪訝と戸惑いを混ぜた視線を向けていた。
「誰なんだよ、アイツは? 誰が作ったアナザーライダーなんだ?」
折角、アナザー歌舞鬼を暴れさせて響鬼をおびき出そうとしていたのに、見覚えの無いアナザー斬鬼によって邪魔をされてしまった。
スウォルツ、オーラのどちらかが誕生させたアナザーライダーなのかもしれないが、ここまで露骨に邪魔する意味が分からない。
「──もう少し様子を見るか」
得体の知れないアナザー斬鬼の正体を探る為に、もう少し観察することにした。
◇
アナザー歌舞鬼の金棒に苦戦するジオウ。アナザー斬鬼にいなされるゲイツ。
状況を打破する為に二人は互いの視界外まで離されたが、息を合わせたかの様にライドウォッチを取り出す。
「古代には神秘の力だ!」
「鬼には封印だ」
『アギト!』
『カリス!』
アギトライドウォッチとカリスライドウォッチが能力を解放され、ジクウドライバーにその力ごと収められる。
『アーマーターイム!』
アギトのベルト──オルタリングの唸る音と共にアギトアーマーが召喚され、ジオウへと装着される。
『アギト!』
額に金色の左右対称の六本角。両肩にそれを模した装甲。胸部には金色の胸部装甲が追加され、顔面も『アギト』の文字に変わる。
『CHANGE カリス!』
両肩にはカリスラウザーと同形の装甲。胸部装甲は銀色のハート型。額には一対触覚。顔の上半分にカリスの複眼を思わせるバイザーが填められ、『らいだー』の字が『かりす』にチェンジする。
カリスアーマーを纏ったゲイツは、その両手に二本の曲刀を持ち、それでアナザー斬鬼に斬りかかる。
「色々とあるんだな」
アーマーに関心した素振りを見せながら、アナザー斬鬼は二本の曲刀を剣一本で凌ぐ。
上下左右からほぼ同時に迫る斬撃。時には避け、時には弾くアナザー斬鬼。
戦いながら、ゲイツはその動きに舌を巻く。
(巧いな、こいつ……)
能力差ではなく、経験を積み重ねた技術でゲイツの攻撃を防いでいた。それでいてゲイツに攻撃する意思を見せない。段々とだが、ジオウが言っていたことをゲイツも理解し始めていた。
「なら!」
とことん戦って見極めるつもりで、ゲイツは曲刀の柄頭を合わせる。二本の曲刀は一丁の弓と化し、光の弦は張られ、それを引いて離すことで光の矢が射ち出される。
弓が出来上がるのを近距離で見ていたアナザー斬鬼は、すぐに後方へ跳ぶ。それを追う様にして放たれた光矢。だが、距離が開いていたことで打ち落とす為の間合いと時間が生まれ、アナザー斬鬼は剣で叩き落す。
しかし、それはゲイツにとって想定済み。だからこそ即座に次手に移っていた。
『フィニッシュタァァイム!』
『カリス!』
二つのライドウォッチの力が、一回転するジクウドライバーによって全開放される。
『スピニング! タイムバースト!』
ゲイツの中心に竜巻が発生し、その中で宙に浮かぶゲイツ。竜巻を動き自らの意思によって操り、上空まで上がると両足をアナザー斬鬼に向け、竜巻を纏った錐揉み状態でキックを放つ。
漆黒の竜巻ごと向かって来るゲイツに、アナザー斬鬼は剣の構えを変える。剣の上下を入れ替え、柄の部分を下から片手で持ち上げ、剣の腹に手を当てる。
ギターを持つ様な構え。よくよく見ると柄の先端から剣の半ばまで金色の弦が何本も張られている。今まで剣と思っていたものは弦楽器であったのだ。
アナザー斬鬼の指先が弦を弾いた時、空気が震え、鳴り響く音。
弾いた弦は音となり、音は空気を震わし、震わされた空気は青白い火花を生み出す。
アナザー斬鬼の周囲に生じる空気の爆ぜる音。それは放電の音によく似ていた。
ゲイツのタイムバーストが、アナザー斬鬼に届こうとしたとき、音によって蓄積された力は雷となり、天に向かって伸びる。
「ぐうっ!」
竜巻と落雷。風と雷。古くから揃えて考えられるそれが衝突。雷鳴がゲイツの鼓膜を激しく揺さぶる。
雷に吹き飛ばされたゲイツは辛うじて着地し、アナザー斬鬼の方を見た。あるのは焦げ跡だけ。中心に居る筈のアナザー斬鬼の姿は消えて無くなっていた。
時間は少し遡り、ジオウとアナザー歌舞鬼の戦い。
アギトアーマーの力で、超人的な見切りによりアナザー歌舞鬼の二本の金棒を紙一重で躱しつつ、隙が生じればそこに鋭い反撃を打ち込む。
派手さは無いが、堅実な戦いでアナザー歌舞鬼を追い詰めていく。
「ガアアアア!」
思う様に戦えず、怒りで叫びながら金棒を突き出すアナザー歌舞鬼。
金棒の突きを脇で挟んでしまうジオウ。だが──
「ん?」
アナザー歌舞鬼が勢い良く引っ張る。金棒は挟まれたまま残り、柄だけ抜ける。しかし、その柄の先には冷たく光る刀。
「抜けたぁ!?」
金棒部分が鞘であったことに驚きながら、首目掛けて振るわれる刀を仰け反って避けるジオウ。
凶悪さを増した武器。連続して振るわれる斬撃を、すぐに気持ちを切り替えて冷静に避けていくジオウ。
金棒よりも攻撃の速度と鋭さが増したが、避けられないものではない。
三度ほど避けた時、アナザー歌舞鬼の隙が見える。そこを拳で狙おうとすると、アナザー歌舞鬼はもう一本の金棒を向け──
「開いたぁ!?」
──金棒を傘の様に広げてジオウの拳を防ぐ。
傘の様な金棒でジオウの拳を押し返し、ジオウがたたらを踏んだところに刀による横薙ぎ。
ジオウは瞬間的に下がり、胸部を僅かに掠めるだけに留めさせる。間一髪の判断と言えた。
傘を肩に担ぎ、刀を垂らす。歌舞鬼という名に相応しい姿である。もしかしたら、これこそが真の戦闘態勢なのかもしれない。
追撃を試みようとするアナザー歌舞鬼。しかし、横から突き出されたギターにも剣にも見える武器がそれを阻む。
「鬼の不始末は、鬼がつけるっス」
「──え?」
その武器を持って現れたのは両側頭部を刈り上げた四十代の男性。男は武器を地面に突き刺すと、左手首に巻かれた鬼の顔が付いた腕輪を掲げ、腕輪に付いた輪を引く。
鬼の顔が上がり、その下から現れる三本の弦。それを指の腹で弾くと音が鳴り響く。
響き続けるそれを顔の前に持ってくると男の額に同じ鬼の顔が浮かび上がる。
腕を高々と上げると雷が発生し、男に直撃する。すると、雷の中で男の姿が変わった。
纏っていた雷を、左腕を振り払うことで掻き消す。
深緑の体。銀の一本角と隈取。赤い弦が張られた胸当て。
「あれ?」
ジオウはその姿に既視感を覚える。あのアナザー斬鬼と似た姿であった。
◇
アナザー歌舞鬼は、現れた鬼によって追い詰められるも謎の妨害に遭って逃してしまう。それを追って行く鬼。
それと入れ替わる様にして現れたのはヒビキを名乗る男であった。
アナザーライダーについて知りたいヒビキ。ライドウォッチが欲しいソウゴたちは思惑が合致し、クジゴジ堂で情報を交換する。
生憎、ヒビキはライドウォッチを持っていなかったが、条件を満たせば彼らに預けてもいいと言う。
その条件は、ソウゴたちが鬼として相応しいか。
鬼としての特訓を受けさせようとするヒビキに、あまり乗り気ではないソウゴとゲイツ。
鬼とは鍛え抜いた人間が、大地を清め、邪気を払い、全ての生命を祝福するものだと語るヒビキ。
祝福という言葉に、ソウゴの誕生日をどう祝うべきは詰まっていたウォズが過剰なまでに反応し、全員を巻き込んで強引にヒビキの特訓を受けることとなる。
言われた通り、太鼓の特訓をするソウゴたち。それが何の役に立つのかいまいち分からないソウゴとゲイツ。反対に周りが見えなくなる程異様なまでに過熱し、尋常ではない熱気で太鼓の特訓をするウォズ。
ウォズの熱意に太鼓の特訓から追い出され、別の特訓を地道に行うソウゴとゲイツ。
そこにヒビキが来て、ソウゴに何故ライドウォッチを集めるのか聞く。
王様になれる。そして、それが自分の夢であると語ると、ヒビキは一笑する。
出来もしない夢なんて見ない方がいい。叶えられなくて絶望するだけだと言い残し、去ってしまう。
そこにツクヨミがやって来てアナザーライダーが現れたことを報せに来た。アナザーライダーは、あの鬼の男──トドロキと交戦している、と。
すぐに現場へと向かうソウゴとゲイツ。ウォズは太鼓の特訓に夢中になっていたせいで置いていかれた。
◇
アナザー歌舞鬼とトドロキこと轟鬼は、地力の差で轟鬼の方が有利であったが、ウールの横槍のせいで逆に追い込まれてしまう。
そこへ間に合うソウゴとゲイツ。
すぐにジオウⅡとゲイツリバイブ剛烈となってアナザー歌舞鬼との戦闘が始まった。
実力と連携によって難無くアナザー歌舞鬼を追い詰めていくジオウⅡら。
そして──
『ライダーフィニッシュタァァイム!』
『フィニッシュタァァイム! リバイブ!』
アナザー歌舞鬼を挟んで前後に立つジオウⅡとゲイツリバイブ。
先に仕掛けるのはジオウⅡ。アナザー歌舞鬼の周囲を『ライダー』の文字で囲み、逃走を封じると、その文字を全て右足裏に収め二色の光を放つキックでアナザー歌舞鬼を蹴る。
『トゥワイスタイムブレーク!』
蹴り飛ばされた先に立つのはゲイツリバイブ。
『一撃! タイムバースト!』
左拳が橙色の光を発し、その光を纏った拳を蹴り飛ばされてきたアナザー歌舞鬼の背に叩き込む。
橙のエネルギーが背から胸を貫き、ゲイツリバイブが殴り抜けると数本程木々を薙ぎ倒した後、何本目かの木に背を打ち付けた所でアナザー歌舞鬼の変身が解除される。
ジオウⅡは、アナザー歌舞鬼が同級生であったツトムと知り、変身を解除して慌てて駆け寄った。
だが、そこで起こる時間停止。
ウールが再び現れ、停止していたアナザーウォッチを再起動させる。
「まだ仕事は終わってないよ」
『歌舞鬼ィ』
「うあああああ!」
アナザー歌舞鬼の姿に戻ったツトムが暴れ出す。
変身を解除していたソウゴはアナザー歌舞鬼に殴り飛ばされ、ソウゴを守る為にゲイツがアナザー歌舞鬼に立ち塞がる。
「やめろ!」
声を荒げて現れたヒビキ。彼は鬼の顔が付いた音叉を取り出し、指に当て音を鳴らすとそれを額の前に持ってくる。
ヒビキの額に浮かぶ鬼の面。紫炎が全身を包み込み、ヒビキを鬼へと変える。
白の体に青紫の縁取り。額と頭頂部に生える金の角。
その姿は、ソウゴの知る響鬼とは異なるものであった。
変身したヒビキはアナザー歌舞鬼と戦う──
「何!?」
──のではなく何故かアナザー歌舞鬼を庇ってゲイツリバイブと戦いを始めてしまう。
「あれが響鬼? 前に見た響鬼と何か違う気がする……」
「あいつは響鬼でも何でもない」
ソウゴの呟く声に答えのは、トドロキであった。
「響鬼を襲名出来なかった、ただの鬼だ」
ヒビキの名を騙っていた。それが真実であった。
二対一となる戦い。アナザー歌舞鬼を守る様に白い鬼は戦う。アナザー歌舞鬼が重い一撃を受け、転がっていく。
「ツトム!」
アナザー歌舞鬼の変身者の名を知っている。二人が顔見知りの関係であることが分かる。
白い鬼は腰に装備していた撥を取り出す。先端には鬼の顔を彫られた石の装飾があった。
石に炎が灯り、撥を振るうと炎弾となってゲイツリバイブに命中する。
怯むゲイツリバイブ。白い鬼はアナザー歌舞鬼の前に立ち、盾にも矛にもなる気概を示していた。
「弟子が可愛いのは分かるが、お前のやっていることは間違っている」
新たに介入してくる声。だが、初めて聞く声では無い。この場にいるもの全員がその声に聞き覚えがある。
「──誰?」
林の中から三十代ぐらいの渋みと鋭さを兼ね備えた容姿の男性が出て来た。その男を見て、トドロキの顔色が変わる。
「な、何で……ど、どういうことっスか!?」
「──久しぶりだな、トドロキ」
「ザンキさん……!」
トドロキは激しく動揺しながらも男の名を万感の思いで叫ぶ。
「あんたは──」
「来い。少し鍛えてやる」
ザンキがアナザーウォッチを出す。スイッチが押され、発する音は──
『斬鬼ッ』
ザンキさんを出したのは、アナザーライダーVSアナザーライダーがやりたかったのと、もう一つやりたいことがあるので。
もう一つの方は次の話で出てくると思います。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ