仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

54 / 163
アナザーサブライダーなのに詐欺なタイトルとなりました。クウガはアナザーサブライダーが無理なので、代わりにフォームチェンジしていきます。


アナザークウガD2000

「どうなってんだそれ?」

 

 ベガフォームとなったゼロノスに顔を上下させながら思わず聞いてしまうクローズチャージ。上の顔と胸の顔どちらにも話し掛けているらしい。

 

「最初に言っておく。この胸は飾りだ」

「あ、そうだったのか。……何か声変わりしてねえか?」

 

 胸部の顔を指差すゼロノス。その声はデネブのものであった。ベガフォームは侑斗のイマジンであるデネブが憑依して成るもの。今の体の主導権はデネブにある。

 

『いちいち馬鹿なことしてるな! 敵に集中しろ!』

 

 敵を前にして気の抜けたやり取りをする二人に侑斗が怒鳴る。尤もその声はデネブにしか届いていないが。

 侑斗が怒鳴るのも無理はない。十数メートル離れた先には不気味な気配を放ちながら佇むアナザーローグとアナザーグリス。その背後には視界一杯に蠢く怪人たちの群れ。

 

「分かってる。油断はしていない」

「あいつら全員ぶちのめしてカズミンたちの居場所を吐かせてやる!」

 

 圧倒的な数の不利でも二人が臆することは無く、クローズチャージの方は逆に闘志を燃やしている。

 アナザーグリスが右腕を上げ、前へ振るう。それが号令となり、アナザーグリスたちの背後で待機していた怪人たちが一斉に駆け出した。

 大量の足音が地鳴りの様に迫る。

 

「おっしゃあああああ!」

 

 クローズチャージはその足音に負けない程の咆哮を上げ、怪人たちへ突進する。

 

『ツインブレイカー!』

 

 グリスと同じ武器を左手に装着すると、怪人集団の中で先頭を走っている骨が装飾されたマスクを被った怪人──マスカレードドーパントの顔面にツインブレイカーのパイルを打ち込み、殴り抜けた。

 マスカレードドーパンの体がその場で三回転した後、地面に顔面を叩き付ける。

 クローズチャージは、足を止めること無くマスカレードドーパンの背後に居た甲羅に胴体を生やした様な姿をしたインベスに前蹴りを放ち、何体もの怪人を巻き添えにして転倒させる。

 

『ビームモード!』

 

 ツインブレイカーをビームモードにし、ドラゴンスクラッシュゼリーをセット。

 

『シングル!』

 

 砲口の先をインベスたちに向け、引き金を引く。

 

『シングルフィニッシュ!』

 

 砲口から発射された水色のエネルギー弾がインベスたちに着弾し、数体纏めて屠る。

 

「うりゃああああああ!」

 

 クローズチャージはその場で一回転し、その際にエネルギー弾を連続で撃ち出す。周囲に群がっていた怪人たちにそれらが命中、怪人たちを爆散させる。

 クローズチャージが奮戦する一方で、ゼロノスもまた勇ましく戦っていた。

 

「ふん!」

 

 ボウガンから大剣に組み直したゼロガッシャーを振るう。その斬撃を受けてしまったのは黒のレザースーツにオレンジ色のターキーの様な形をした頭部を持つバグスターウィルス。

 一体目の胴体に刃を喰い込ませたまま、二体目に叩き付ける。剣の軌道にいた三体目も巻き込み、更にその先の四体目にバグスターウィルス三体の塊が迫る。

 四体目は咄嗟に両手でその塊を受け止めた。抵抗出来たのは一瞬だけで、すぐに四体目も塊の一部となり、ゼロノスがその状態からゼロガッシャーを振り抜くとダメ押しと言わんばかりに五体目のバグスターウィルスが振り飛ばされたバグスターウィルスたちに巻き込まれた。

 一振りで五体の怪人を切り伏せたゼロノス。バグスターウィルスたちが倒された隙間を埋める様に機械の兵士──ガーディアンとその重装甲形態であるハードガーディアンが現れる。

 ガーディアンはライフルを構え、ハードガーディアンは右腕のガトリング砲をゼロノスに向ける。

 しかし、ガーディアンたちが銃撃する前にゼロノスは両肩のキャノン砲から光弾を発射。連続して放たれたそれはガーディアン、ハードガーディアンを貫き、彼らが内蔵していた火器に誘爆を起こさせ、周囲の怪人たちを巻き込んで爆発した。

 

「すげぇ……」

 

 ベガフォームとなったゼロノスの豪快な戦い方にクローズチャージは脱帽し、その奮闘はクローズチャージの闘志を炎上させる。

 出会った然程の時間は経っていない。だが、味方であることが頼もしい。

 

「これなら──負ける気がしねぇ!」

 

 高揚の咆哮を上げながら、近く寄る怪人たちを叩き伏せる。

 突き、前蹴り、回し蹴り、アッパー。四肢を全てフル回転させ、迫る敵を殴り、蹴り、投げる。

 その時、飛翔する何かがクローズチャージの前を横切る。何かは横から迫っていた怪人に蒼炎を吐き掛け、怯ませた。

 

「お前……!」

『ギュアアアアア』

 

 四角い胴体を持つ小型で機械のドラゴン。変身ガジェットであると同時に自立行動メカであるクローズドラゴンが、クローズチャージの声に反応して鳴き声を上げる。主人を助ける為にビルドドライバーから抜け出てきた。

 

「──よし!」

 

 クローズチャージはクローズドラゴンを掴む。頭と首を収納させガジェットモードにすると、アタックモードにしたツインブレイカーに挿す。

 

『Ready Go!』

 

 クローズチャージの全身から燃え上げる様な蒼炎が噴き出し、それが形を変え龍と化す。

 蒼炎のドラゴン──クローズドラゴン・ブレイズが、周囲の怪人たちを薙ぎ払う。エネルギーで構成されたドラゴンの体に触れた怪人たちは無事では済まず、体の一部が溶けたり、燃えたりしていた。

 

『レッツブレイク!』

 

 ツインブレイカーに充填された力を引き金によって開放させる。本来ならば、クローズドラゴン・ブレイズを伴ったパイルによる強烈な突きを繰り出すが、そこに更なる力を加える。

 クローズチャージは跳躍する。飛び上がる彼の周囲にクローズドラゴン・ブレイズが飛翔する。

 最高点に達するとスクラッシュドライバーのレバーを押し、ドラゴンスクラッシュゼリーの力も開放する。

 

『スクラップブレイク!』

 

 態勢を変え、キックの構えになるとクローズドラゴン・ブレイズが大口を開け、その中にクローズチャージが収まる。

 クローズドラゴン・ブレイズと一体と化し、クローズチャージが降下する。

 右足には水色のエネルギーが収束し、クローズドラゴン・ブレイズによって加速することで破壊力が増す。

 その威力たるは、降下場所にいた十を超える怪人たちを纏めて一撃で爆散させる程。しかも、それだけでは終わらない。

 爆炎を破って現れるクローズチャージ。一体となったクローズドラゴン・ブレイズにより空中を疾走。次々に怪人たちを貫いていく。

 

「うおおおおおおおおお!」

 

 クローズチャージの咆哮。物言わぬクローズドラゴン・ブレイズの代わりに叫ぶ。

 クローズチャージが地面に降り立ったとき、その背後で怪人たちが爆発し、爆炎の花を咲かす。

 

「しゃあ!」

 

 大量の怪人たちを倒したクローズチャージ。その勇姿にゼロノスも感心する。だが──

 

「──ん?」

『どうした? デネブ』

「いや……何でもない。ただの見間違いだ」

 

 クローズチャージを見て戸惑う声を上げたことに対し、中の侑斗が尋ねるが勘違いであったと返す。

 事実、クローズチャージに変化は無く、今も勇ましく怪人たちと戦っている。

 だから、彼は見間違いと判断した。

 クローズチャージの体が薄っすらと透けて見えたことを。

 

 

 ◇

 

 

 ジオウ、ビルド、アクセルたちもまた怪人たちの軍団と矛を交えていた。

 遠く離れた場所に聳え立つティードの城。ティードがこの時代に君臨する為の場所であり、攫われたと思われるシンゴもまたそこに居ると推測される。

 故にティードを倒し、シンゴを救うにはそこを目指すしかない。だが、それを成すには目の前に広がる怪人たちを倒すしか無かった。

 百を超える怪人たちに挑むのはたった三人。しかし、その三人は逃げない。三人の仮面ライダーが選ぶ選択は前進のみ。

 降り注ぐ雨の中で仮面ライダーと怪人たちが死闘を繰り広げる。

 

「はあ!」

「たあ!」

 

 ジカンギレードとドリルクラッシャーの斬撃が、顔の無い黒い怪人──眼魔コマンドたちを斬り付ける。

 爆散する眼魔コマンドたちであったが、すぐに別の眼魔コマンドたちが現れた。

 

『エンジン! マキシマムドライブ!』

 

 アクセルは、エンジンメモリの力を充填させたエンジンブレードで機械と骨を融合させた様な見た目の怪人たち──ロイミュードを斬る。

 横薙ぎの斬撃。切り返して一撃。そして、振り返ってもう一撃。計三回の斬撃によってAの文字が完成し、斬られた怪人たちは爆発して消える。

 

 倒しても倒しも湧いてくる敵。生半可な力では倒し切れない。

 

「埒が明かない! なら!」

 

 ジオウはライドウォッチを取り出し、起動させる。

 

『ビルド!』

「え? ビルド?」

 

 ジオウが取り出したものがビルドの名を呼び、驚いて戦う手が止まる。そして、もっと驚くこととなる。

 

『アーマーターイム!』

 

 ジクウドライバーに挿し込まれたビルドライドウォッチが、ビルドアーマーを召喚。

 

『ベストマッチ! ビルド!』

 

 分解されたそれをジオウが装着する。

 馴染みのある赤と青の装甲。見慣れたボトルの形をした両肩。右手に装備されたドリル。ジオウの顔面には主張する様に『ビルド』の文字。

 

「お前、それ──」

 

 ビルドにとって、ビルドアーマーを着たジオウの姿は記憶にあるものであった。

 

「──後で話を聞かせてもらうぞ!」

 

 だが、それは後回しにして敵を倒すことに集中する。

 二本のドリルが敵を穿ち、削り、粉砕していく。

 

「はあ!」

 

 アーマーを着て性能が増したジオウの膝蹴りが怪人の一体に刺さり、すぐに右手のドリル──ドリルクラッシャークラッシャーで他の怪人たちと一緒に纏めて斬る。

 

「そこ! 右に斬り付けろ!」

 

 戦いの中でビルドが声を飛ばす。指示を受けたアクセルは疑問に思いつつ、目の前の敵を右に斬る。斬られた怪人はよろめき、他の怪人たちに体当たりをしてしまう。

 

「今度は左だ!」

「分かった! はあ!」

 

 ビルドの言葉に従い、ジオウは目の前の敵たちを左に移動させる様に攻撃する。

 

「そして、俺が!」

 

 ドリルクラッシャーで正面に居た敵を突く。そうすることで、怪人たちが一直線に並ぶ。

 

「勝利の法則は決まった!」

 

 ビルドドライバーのハンドルを回し始めるビルド。

 

「なら俺も!」

『フィニッシュタァァイム! ビルド!』

 

 ジオウも倣う様にジクウドライバーを一回転させる。

 

『Ready Go! ボルテックフィニッシュ!』

『ボルテック! タイムブレーク!』

 

 出現するグラフ型の標準固定装置。突き出す様に伸びるX軸が怪人たちの足元を纏めて拘束し、Y軸から伸びる放物線が怪人たちの胴体を挟み込む。

 二重の拘束によって身動き出来なくなる怪人たち。

 ジオウとビルドはジャンプして怪人たちを縛る放物線の上に乗ると横並びで滑走する。

 ビルドは右足裏に組み込まれた無限軌道を唸らせ、ジオウはドリルクラッシャークラッシャーを鳴り響かせる。

 

『はああああああ!』

 

 ビルドのキックが削り砕き、ジオウのドリルクラッシャークラッシャーが穿ち、貫く。

 放物線上に並んでいた怪人たちは、二人の一撃によって纏めて倒され、消滅する。

 アクセルの方も、二人の取りこぼしていた怪人たちを全滅させる。多勢に無勢の戦いであったが、三人の奮戦によって倒し切ることが出来た。

 

「後はあそこだな……」

 

 不気味に立つティードの城を遠目に見る。

 

「早くシンゴを助けに行こう!」

 

 急いで行く為に、バイクへと変形するバイクライドウォッチを腕のホルダーから外す。

 それを起動させようとしたとき──ジオウの手からバイクライドウォッチが落ちた。

 落ちたバイクライドウォッチは転がっていき、アクセルの爪先に当たる。

 

「……え?」

 

 しっかりと握っていた。だが、まるですり抜けるかの様に。

 アクセルは足元に転がったバイクライドウォッチを手に取りながら、ジオウたちを見た。ジオウ、ビルドの体が何重にもぶれ、透け始めている。二人の変化に気付くと同時に自分の変化にもアクセルは気付く。彼もまた足元から半透明になり始めていた。

 

「体が……!」

「彼の契約が切れ掛けているってこと?」

「このタイミングでか……!」

 

 ジオウたち仮面ライダーの姿は消えかけている。だというのに目の前怪人たちが消える様子は無い。

 アタルは仮面ライダーを空想の存在と言った。怪人たちが現れるのは仮面ライダーを呼び寄せる、リアルなライダーショーを見るためだと彼は考えていた。消えない怪人たちの存在が、その考えが間違っていることを証明していた。

 アタルがイマジンと契約したことで彼らはこの世界に留まっていられた。それが出来なくなれば、この世界から弾かれるだけ。

 

「最っ悪だ……!」

 

 目の前に倒すべき敵がいるのに。救いを待っている子供がいるのに。この世界の愛と平和の為にもう戦えないと察してしまったビルドが悔恨の言葉を血は吐く様に言う。

 

「く、うう……」

「ぐっ!」

「うう……!」

 

 体の消滅が加速していく。もう止めることは出来ない。救うべき世界を救えないまま、彼らこの世界から消滅した。

 

 

 ◇

 

 

「ぐう……!」

 

 クローズチャージは消滅し掛けていく自分の体の異変に驚く。

 

「何だこりゃあ……!」

「侑斗! 彼が消えていく……!」

『仮面ライダーを呼ぶのがイマジンの契約だとしたら、イマジンの契約が完了したんだ! クソ! こんな状況で!』

「でも、俺たちは何も起きていない!」

『俺たちはゼロライナーでこの世界に自力で来た! 恐らく呼び寄せられたこいつらとは違うんだ!』

 

 怪人たちは一掃したが、まだアナザーグリスとアナザーローグが残されている。消耗した体ではかなり厳しい相手と言えた。

 

「行け……!」

「え?」

 

 絞り出す様な声でクローズチャージは言う。

 

「アタルを見つけろ……! そのイマジンっていうのはお前たちの方が、詳しいんだろ?」

「──ああ」

「俺が時間を稼ぐ……! その内に行け……!」

 

 苦しそうにしながら、クローズチャージはツインブレイカーにドラゴンスクラッシュゼリーを挿す。空いているスロットにもう一本はフルボトルをセットする。溶岩が冷えることで出来る火成岩に似た真っ黒なボトル──ドラゴンマグマフルボトル。

 

『ツイン!』

 

 ゼロノスがアタルに会った所で事態が好転するとは限らない。しかし、クローズチャージの直感が二人を会わせることが最良であると告げる。全てを懸けるには根拠など殆ど無い考えである。だが、クローズチャージはそれを信じて今の全てを出し尽くす。

 

「早く……!」

「ごめん……!」

 

 ゼロノスは後退し、クローズチャージは前進する。

 

「おおおおおおおおお!」

『ツインブレイク!』

 

 回転するパイルが赤熱化し、回転に合わせて渦巻く水色のエネルギーに赤が混じる。

 特攻してくるクローズチャージに、アナザーグリスは黒い液体で周囲を見たしながら構え、アナザーローグも上体を前のめりにした構えをとる。

 

「おらあああああああ!」

 

 繰り出されるツインブレイカーの一撃。それを迎え撃つ為に跳躍するアナザーグリスとアナザーローグ。

 マグマの如き熱を内に宿したドラゴンの一咬み。カラスの羽の様に黒い液体を噴出させながら放たれるアナザーグリスのキックと、紫のエネルギーを鰐の形として両足に纏わせたアナザーローグのキック。

 三つの力が衝突。その力の余波を背に受けてもゼロノスは立ち止まることも振り返ることも許されず、ゼロノスはこの場を去っていく。

 地面に降り立つ姿は二人。アナザーグリスとアナザーローグ。クローズチャージの存在はこの世界から消滅していた。

 

 

 ◇

 

 

 仮面ライダーたちはこの世界から消え、怪人たちが跋扈する。

 この時代に君臨するというティードの野望は誰にも阻止出来ず、ティードの計画通り平成ライダーたちは架空の存在のまま手も足も出ずに、ティードの野望成就を異なる世界から指を咥えていることしか出来ない。

 ──とティードは思っているだろう。彼は大きな勘違いをしている。

 計画の最中に小さな計画の狂いが生じていたが、全て修正された。彼は今そう思っている。それこそが間違い。

 彼の計画は最初の段階から狂いが生じていたのだ。

 

 

 ◇

 

 

 2000年。1月29日。中央アルプス。九郎ヶ丘遺跡発掘現場。

 現代では存在しない文字が彫られた石の棺の中に眠るミイラ。そのミイラの腹部には石化したベルトの様な物が巻かれていた。

 彫られた文字を感慨深げに指でなぞりながら、ティードはベルトの前にブランクライドウォッチを翳し、スイッチを押す。

 実体の無い時計の針が巡り、一周し終えると何も無かったブランクライドウォッチに異形の顔が浮かび上がる。

 

『クウガァ』

 

 平成ライダーの原点である仮面ライダークウガの力。これを手に入れることが計画の第一であり、仮面ライダークウガが歴史から消えることで辻褄を合わせる為に異なる歴史が始める。

 クウガの顔が浮かぶアナザーウォッチを慈しみ様に指で撫でるティード。

 

「待て」

 

 鋭い声がティードに向けられる。

 

「仮面ライダー……ゲイツ」

 

 気だるい態度でその名を出すティード。

 

「今、ここでお前が行おうとしていることが今回の事件の始まりだった、という訳か」

 

 ティードを睨み付けながら、ゲイツは身に染みついた動作でライドウォッチとドライバーをセットする。

 消し去るべき筈の仮面ライダーゲイツが現れたことにティードは動揺を見せなかった。想定の範囲内と言わんばかりに。

 

「その口振りだと俺の計画は順調に進んでいるようだ。多少のトラブルは起きているみたいだがな。だからこそ、お前がここに来る。だが一足遅かったな」

 

 ティードの手の中には既にクウガの力と歴史がある。

 

「遅くはないさ──変身!」

『ライダーターイム!』

 

 ゲイツは駆けながら仮面ライダーへと変身する。

 

『仮面ライダーゲイツ!』

 

 変身完了と共にティードへ拳を打ち込むゲイツであったが、ティードが掌を突き出すと不可視の壁が出現し、ゲイツの拳を防ぎ、弾く。

 地面に倒れ伏すゲイツを見下ろし、ティードは高らかに語る。

 

「クウガ以来数多のライダーが存在してきた。だが、その歴史は間違っているらしい」

「何……!?」

「この歴史は歪で醜いとさ。なら俺がその歴史を破壊し、創り直し、君臨する」

『クウガァ』

 

 ゲイツの見ている前でアナザーウォッチを起動させる。

 

「平成ライダーの歴史を潰す前に、まずお前を潰してやる。仮面ライダーゲイツ」

 

 ティードは、アナザーウォッチを自分の体内に押し込んだ。

 

「自分でアナザーライダーに……!」

 

 ティードの全身から燃える様な赤いエネルギー、雷の様に迸るエネルギーが放出される。

 

「うああああああああアアアアアアアア!」

 

 人から人外へと変わりゆく咆哮を上げながら、ティードは遺跡の破壊と共にアナザーライダーへと変身する。

 

 

 ◇

 

 

 崩れ行く遺跡から脱出したゲイツ。外に出た彼が見たものは、天に向かって昇る赤と黒の色が混じった光の柱。

 やがて、その柱の下から地面を吹き飛ばして現れる異形。

 背中の羽を羽ばたかせながら地面に降り立ったのは十メートルもの巨体を持つアナザーライダー。

 甲殻を思わせる赤い体躯。体の半分程の長さはある逆関節の脚。幾つもの節がある長い腕、その先の手には鉤爪の様な指が二本しかない。手も足も昆虫を彷彿とさせる。

 頭部には金色の三本角。赤い複眼に大きく裂け、牙が並ぶ口。

 下腹部にはミイラが付けていたものと同じ形のベルトが巻かれていた。ベルト中央に埋め込まれた赤黒い石が陽光を受け、血の様な光を反射する。

 右肩に『KUUGA』。左肩には『2000』の刻印。

 

『ガアアアアアアアア!』

 

 足元に立つゲイツを威嚇する様に叫ぶ巨大な異形──アナザークウガ。だが、攻撃する前に横から現れたゲイツ専用のタイムマジーンがアナザークウガを殴り飛ばす。

 

「大丈夫!? ゲイツ!?」

 

 タイムマジーンから女性の声が発せられる。操縦しているのはツクヨミであった。

 

「ツクヨミ! 気を付けろ! 奴を甘く見るな!」

 

 ゲイツの言葉を重く受け止め、一瞬たりともアナザークウガの動きを見逃すまいとするツクヨミ。

 

『タイムマジーンか……丁度いい。この力を試してやる!』

 

 アナザークウガから理性のある言葉が出ると、近くにあった大木を引き抜く。

 警戒する二人の前で、アナザークウガは青色の光を発する。

 赤い複眼と甲殻は青に変わり、ベルト中央の石も黒を帯びた青色となった。そして、逆関節の脚が音を立てて伸び、倍の長さになる。

 握っていた大木の表面が波打ち、幹は青色の柄に、葉や木々、根は青い球が埋め込まれた歪な球体とある。ただの大木を専用の武器へ変化してみせた。

 

『いくぞ……!』

 

 アナザークウガは姿を変えアナザークウガ(ドラゴン)へ成ると、体を沈ませる様に腰を落とす。

 次の瞬間にはツクヨミの視界からアナザークウガDの姿は消え、タイムマジーンに凄まじい衝撃が襲い掛かった。

 




ゲイツマジェスティとアナザーディエンドの姿が公開されましたね。君たちどっかで見たことがあるよね? は禁句で。
アナザーゲイツが来るかもと予想していましたが、ディエンドの方でしたねアナザーライダー。まあ、どっちも既に出しちゃっていますが。
次回の話でライダー消滅後から2000年にゲイツが現れる間の話を書く予定です。少しでも早くアナザークウガを出したかったので後回しにしました。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。