見えない力に背中を叩かれた様に照井は跳ね起きる。起き上がった彼は周囲をすぐに見渡す。間違いなくそこは照井の家であり、さっきまで横になっていたのは自宅のソファー。
「夢だったのか……?」
額に流れる汗を拭う照井。まるでさっきまで戦っていたかの様に、体には熱が残っていた。
「どうしたの? 竜君」
照井の横顔を覗き込むポニーテールの女性。彼の妻である亜希子であった。照井の戦友たちが経営している鳴海探偵事務所の元所長の娘であり現所長でもある。
「ああ、少し変な夢を見ていたみたいだ」
「大丈夫? 珍しいね。竜君が居眠りしているなんて。最近、仕事が忙しいの?」
「いや、大丈夫だ、所長」
「もー。こういう時ぐらい亜希子って呼んでもいいのにー」
「他の呼び方はピンとこないからな」
結婚前からの愛称で呼び続ける照井に、亜希子は不満気な表情となる。喜怒哀楽をハッキリとさせる亜希子。殆ど無表情の照井とは対照的であった。対照的なタイプだからこそ自分と違うものを持っており惹かれ合ったとも言える。
「目覚ましにコーヒーでも飲む?」
「ああ、頼む」
亜希子がキッチンに向かうと、照井の表情は一気に険しくなる。
どう考えても夢の様な出来事であった。だが、あの世界で起こったことは夢とは思えない生々しい経験として残っている。
夢なのか夢じゃないのか、その境目が曖昧になってくる。
ハッキリとしない頭に喝を入れる為、亜希子が作ってくれるコーヒーでも飲もうとソファーからテーブルに移動しようとしたとき、ジャケット越しに固い感触を感じた。
ジャケットのポケットが膨らんでいる
照井は心臓の鼓動が早まるのを抑えながら、ポケットに手を入れる。凹凸のある物体に直に触れる。
中からそれを取り出す。時計の様な形をしているが、文字盤など無い。代わりに『バイク』という文字が描かれていた。
紛れも無く、あの世界で出会った常盤ソウゴの物。
夢が夢で無くなり、繋がりが出来た瞬間である。
◇
親子連れ、カップルなどが行き交う広場。その光景を一望出来る階段の上から戦兎と万丈は、それを見下ろしていた
誰もが笑顔を浮かべており、日常の平和を享受している。
愛と平和に満ちた世界。だが、それを眺める戦兎と万丈の顔は浮かない。愛と平和の為に戦う仮面ライダーだというのに、目の前の光景を素直に受け取ることが出来ずにいた。
「──なあ?」
「あれが現実だという確固たる証拠は無い。いつの間にか俺たちはあそこにいて、気付いたら戻っていた。今が現実ならあれは夢だった。それだけだ」
仮面ライダーが空想の存在とされた世界に気付かない内に移動していたかと思えば、仮面ライダーが存在しない新世界に戻っていた。しかも、彼らの拠点のベッドの上で目覚めたせいで、あの世界もリアルな夢の中の体験であったのではないかと疑ってしまう。
「なら、あれは夢で、全部忘れてこのままでいろってことかよ! 冗談じゃねぇぞ! 一人逃げたまんまでいられるかよ!」
万丈は、ゼロノスを置いてここに戻ってきたことを悔いていた。出会ったそれほど時間は経っておらず、言葉も殆ど交わしていない。しかし、協力し命懸けで戦った時間に時間の短長など関係無い。あの瞬間、紛れも無く仲間であった。
「──分かっているよ。そう怒鳴りなさんな、この馬鹿筋肉」
「馬鹿って言うんじゃねぇ! それと筋肉は馬鹿の前に付けろ!」
変なとこに拘る万丈に呆れつつ、戦兎は組んだ両手の上に顎を乗せる。
「今の俺たちにあの世界に行く方法は無い」
さんざん夢と言っていた戦兎であったが、実際のところはあれがもう一つの現実であると認めていた。
「だから待つ」
「待つって……何をだよ?」
戦兎の頭の中にジオウと彼が持っていたビルドライドウォッチが浮かぶ。異なる世界の異なるライダーの力を持つジオウ。彼ならばあの世界にもう一度行けるのではないかと推測していた。
「正体不明で怖いもの知らずな王様だよ」
「──誰だそれ?」
◇
──王。
声が聞こえる。
──魔王。
遠くから聞こえる自分を呼ぶ声。
我が魔王。
ハッキリと聞こえた声はよく知る人物のものであった。
ソウゴは目を開ける。ぼやけていた視界はすぐに焦点が合う。目に映るもの全てが見慣れた光景であった。
間違いなく我が家であるクジゴジ堂。そう認識した途端、脳もまた覚醒し、上体を起こす。自分でも気付かない内にソファーで横になっていた。
「我が魔王」
「うわっ!」
不意打ちで掛けられた声に驚き、ソウゴはソファーから転げ落ちる。
左側に長く垂らす前髪、同じくアシンメトリーのコートに灰色のストール。預言者であり未来の魔王の従者であるウォズが壁に同化する様にソウゴを見ていた。
「お目覚めかな? 我が魔王」
「もう……驚かせないでよ、ウォズ……」
「しかし、こんな時間に昼寝とは珍しいね」
「ちょっとね──そうだ! ゲイツとツクヨミは!?」
「ゲイツ君とツクヨミ君も一緒で、自室でお昼寝中だ」
「なら良かったー」
それを聞き安堵するソウゴ。この世界に戻ったのは自分一人だけで無かった。その態度が普通では無いと気付き、ウォズが問う。
「寝ている間に何かあったのかな? 聞かせてくれないか? 我が魔王」
ソウゴはウォズに自分が体験したことを話す。
「仮面ライダーが虚構の存在であり、その一視聴者が虚構の存在である仮面ライダーに会いたいと願い、君が事件に巻き込まれたという訳か。面白い夢だね」
ソウゴが言っていることを信じているのか信じていないのか判断し難い反応を見せるウォズ。
「まあ、君が無事で良かった」
付け加えられた言葉は本音に聞こえた。
「やっぱり夢だったのかな……」
ソウゴすらも半信半疑になってしまう。限りなくリアルに近い経験であったが、それを示す証拠が無い。
その時、ソウゴの大叔父である順一郎が鼻歌を歌いながら上機嫌で戻ってきた。久しぶりに時計の修理を依頼されたからである。
手先が器用過ぎるせいで時計屋なのによく家電の修理をする順一郎。家電を修理する度に評判と腕が上がるので、ますます家電の修理を依頼されるという循環になっていた。
そこに来た久しぶりの腕時計の修理。それも古い年代もの腕時計である。
ウォズはその腕時計を見て、一目で種類を当てる。今から五十年前の代物だという。
若いながらも博識なウォズに、順一郎は感心した後、修理の為に部屋の奥へ行ってしまった。
ソウゴは、その二人のやりとりに既視感を覚える。ちょっと前に似たようなやりとりを見た気がしたのだ。
「──あ」
そして、思い出す。アタルとシンゴの会話を。
『今度見られる仮面ライダーなら知っているよ! 仮面ライダークウガ!』
『見られる?』
『クウガ! その年で渋いなぁ! あ、もしかして結構前のライダーとかが好き? 仮面ライダーBLACKとかRXとか?』
『仮面ライダーBLACK? RX……?』
『あれ? ……違うの?』
『でもクウガか……俺、クウガが始まる前の日に生まれたんだよ』
『じゃあ、今日が誕生日?』
『え? 何で?』
あの嚙み合わない会話。それが意味することは──
「ねえ、ウォズ。仮面ライダークウガはいつの時代のライダーなの?」
「仮面ライダークウガか……」
ウォズは手に持つ預言の書『逢魔降臨暦』を開く。
「この本によれば、仮面ライダークウガは2000年のライダーだ。2000の技を持つ青年五代雄介が遺跡に眠っていた力を宿したことで誕生した」
「2000年……やっぱり」
誕生の年が放送の年だとすれば、シンゴは2000年以前に生まれた人物になる。ティードがシンゴを狙っていたのは理由があって2000年から2018年に連れてきたからと考えられた。
そして、アタルは言っていた。彼が仮面ライダーに傾倒していった理由は、彼が生まれた日に当時七歳であったアタルの兄が行方不明になったからだ。
情報の断片が符合し、一つの真実を形作る。
「ティードはシンゴを2000年から攫ってきた。そして、行方不明になったアタルの兄は……そうか! そういうことだったんだ!」
紡がれた真実が、ソウゴの口から零れ出る。
「……ちょっと待ってくれ、我が魔王。ティードとは?」
「向こうの世界のタイムジャッカーの名前。ウォズは知ってる?」
「……いや、初めて聞く名前だ」
「その本にも載ってないの?」
「──ああ、本当に初めて聞く名だ」
ティードの名を聞いた瞬間、ウォズの表情は僅かに険しくなる。だが、すぐにその険しさを薄笑いで消した。
「しかし、本当に仮面ライダーを空想の存在へと変えられるなら、そのティードという人物は只者では無い。タイムジャッカーを超えたタイムジャッカー、まさにスーパータイムジャッカーと言うべき存在だ。尤も、我が魔王の見た夢が本当のことだったらの話だが」
ウォズはソウゴがした体験をあくまで夢と言う。最初から信じていないというよりも、夢の中の出来事であった片付け、ソウゴにこれ以上首を突っ込ませない為に遠ざけている様であった。
「夢は夢として──」
「ウォズ」
「何かな?」
「やっぱり、俺は戻るよ。あっちの世界に!」
真実が分かってしまった今、もう夢だと言われて忘れることなど出来ない。あの世界で成し遂げられなかったことを、果たす為に。
「あっちとは、夢の世界に? はっ」
ソウゴの決意をウォズは一笑する。そんなことなど不可能だと言わんばかり。
「夢かもしれないし、夢じゃないかもしれない。でも! 夢でも現実でもどっちも救う! 俺はそういう王様になる!」
皆が笑って暮らせる為に、王様になると決めた。どちらかが不幸なままなど見過ごすことなど出来はしない。ソウゴの理想はどこまでも険しい道のりでありが、どこまでも純粋な思いで創られていた。
「その理想は結構、我が魔王。だが、現実的には不可能だ。夢かも現実かも分からない世界にどうやって戻ると言うんだ?」
ウォズはあくまで冷静な意見を述べる。言うだけならば誰でも可能。しかし、言ったことを現実にするのは限られた者にしか出来ない。
ソウゴは考える。ウォズの言っていることは尤もであった。こっちの世界とあっちの世界を結び付ける物か者。そのどちらかがあれば或いは──そこでソウゴは思い出す。あっちの世界で最初に手に入れた物のことを。
「そうだ、あれなら!」
ソウゴは上着のポケットに手を入れる。それは間違いなくそこに在った。
ポケットの中の物を、ウォズに見せる様にテーブルの上に置く。左右が緑と黒の異なる配色の仮面ライダーの顔が描かれたライドウォッチ。
「それは……
いつの間にか手に入れていたライドウォッチに、ウォズは目を見張る。
ソウゴはWライドウォッチに触れる。ウォッチが輝き始めた瞬間、ソウゴは確信を以ていつもの台詞を言った。
「何だか、行けそうな気がする!」
クジゴジ堂内が光に包まれていく。その光に影響された様にビルドライドウォッチもまた密かに光を放っていた。
◇
照井はバイクライドウォッチが光を放つ。その光を見た時、照井は今まであったことが夢では無いと分かった。
「すまない。緊急の仕事だ」
「え?」
亜希子が振り返ったとき、既に照井の姿は無い。
「え! 竜君! どこ行っちゃったの!? 仕事って何!? 私、聞いてない!」
◇
座っていた戦兎が突如として立ち上がる。それに乗じて戦兎の頭髪の一部も跳ね上がった。
「うお! どうした!」
「──来た!」
「何が来たんだ?」
戦兎の体が輝き始める。
「お前、何かすっげぇ光ってるぞ!」
戦兎の変化に万丈は驚く。
「行くぞ! 万丈!」
髪をガシガシとかき乱しながら、万丈の肩を掴む。
「行くって?」
「世界を救いにだよ!」
◇
アタルは呆然とした様子で座り込んでいた。外が騒がしいと思い、家の外に出たら怪人たちの集団に襲われた。
必死になって走り続け、命からがら辿り着いた場所はどこかの跨道橋下。そこで足も限界を迎え、走れなくなってしまった。
そこに容赦なく追い詰めてくる怪人たち。
アタルに憑いたイマジンが尋ねる。最早、手に負えない状況であると、これ以上どうするのかを。
今起こっている現実から目を逸らしたかったアタルは叫んだ。
「もうここまでにしてくれ! ライダーなんていないんだ! 居ないのが正しかったんだ!」
その瞬間にイマジンの契約が完了。アタルから憑りついていたイマジンが実体化して飛び出す。
赤を主色にし、そこに金のラインが入れてある体。右腕にはfの形をした銀のブレード、左腕には背鰭に似た形をした金のブレード。
頭頂部には二又に分かれた猫の耳の様な突起と、その後ろに角の様な突起があった。
丸型の白目に、鼻から上唇に掛けて嘴の様に突き出ており、開いている口には鋭利な牙が並んでいた。
悪魔染みた容姿のイマジンは怪人たちを一蹴。倒し終えた後、契約の代償をアタルに払ってもらった。
イマジンとの契約に払う代償は一つ、契約者が辿って来た過去の時間へタイムスリップさせること。
アタルのイマジンは、扉の様にアタルを開き、その中へ飛び込んで過去へ行ってしまった。
そこへ一歩遅れて到着した者たちが居た。侑斗とデネブである。イマジンの気配を探してようやくアタルの存在を見つけることが出来た。
「間に合わなかった!」
イマジンは既に過去へタイムスリップしてしまった。過去を改変される前に追うしかない。
侑斗は急いでアタルの頭上に一枚のチケットを翳す。何も描かれていなかったチケットに、先程のイマジンの姿と『2000.1.29』という数字が浮かび上がる。
「おい! この時間に何があった!」
アタルの肩を揺すりながらチケットを見せる侑斗。無気力状態のアタルは、侑斗の姿を認識し、その眼に僅かな生気を取り戻す。
「……あ、桜井侑斗」
「事情は全部あの万丈って奴に聞いた! お前がアタルだろ! 早くこの時間のことを教えろ!」
「侑斗! そんな乱暴なことをしちゃいけない!」
腑抜けた状態のアタルへ活を入れる様に揺さぶる侑斗。それを宥めようとするデネブ。
その時、跨道橋下内で薄暗さが掻き消される程の眩い光が発せられる。
「何だ!?」
反射的に手で守る侑斗。次の瞬間、何かが侑斗たちにぶつかり、地面へと倒れる。
『痛ったー!』
幾つもの声が重なり、跨道橋内で反響する。
「いたた、もう何? あ、戦兎! 龍我! 照井刑事!」
腕をさすりながらソウゴが喜びの声を上げる。
「最悪だ……」
「いてぇ……」
頭と頬をさする戦兎と万丈。
「……」
照井は無言であったが、険しい表情をしている。照井もまたどこかをぶつけているらしい。
文字通り衝撃の再会をするソウゴたち。
「何だここは? どうなっている! ジオウ!」
「何で私達、ここに居るの?」
いきなり見知らぬ場所へ連れて転送されたゲイツとツクヨミが戸惑う。
「あ! お前ら!」
万丈が声を上げながら、侑斗たちを指差す。
「お前、戻って来たのか……」
「良かった! 無事だった!」
デネブは万丈の帰還を素直に喜び、侑斗の方も万丈が無事であったことを知って声に僅かな安堵を滲ませる。
「アタル!」
座り込んでいるアタルを見つけ、ソウゴが呼び掛けるが反応が鈍い。
「命の心配は無い。ただ、イマジンとの契約が完了して過去に跳ばれただけだ」
「あんたが、桜井侑斗?」
「どいつもこいつも初対面なのに俺のことを知ってやがって……」
複雑な心境となる侑斗。
「その通りだ、我が魔王。彼は仮面ライダーゼロノスの桜井侑斗だ」
「また知らない奴が出て来た……」
予言書を片手に現れたウォズ。不審な眼差しを向けると同時に矢継ぎ早に出てくる初対面の者たちに少々呆れてしまう。
「ここは一つ、情報整理といこうじゃないか」
◇
ソウゴたちは、現状について把握しそれぞれの役割を分担させた。
戦兎、万丈、照井は現代に残り、囚われているシンゴを救い出す。
ソウゴ、侑斗、デネブは過去に跳んだイマジンの後を追う為に2000年に向かう。
そして、ゲイツとツクヨミは事件の発端となるティードの行動を阻止するというのが目的であり、歴史改変の起点となるソウゴたちと同じく2000年に向かったが、そこでアナザーライダーへ変身したティードに苦戦を強いられていた。
「きゃあああああああ!」
横から衝撃に、タイムマジーン内部のツクヨミは悲鳴を上げる。
「ツクヨミ!」
吹っ飛んだタイムマジーンが川の中に突っ込んでいく。すぐにでも彼女を救出したいゲイツであったが、背筋に感じる悪寒でその場でしゃがむ。
頭上を通り過ぎていく青い残像と、鼓膜が痛くなる程の風切り音。アナザークウガDが振るったロッドをゲイツは間一髪回避する。
『はあああああ!』
ロッドを切り返し、しゃがんでいるゲイツを狙う。
先端が地面に触れると、爆薬でも仕込んでいたかの様に土砂が巻き上がり、弾かれた石が離れた場所に並ぶ木々を抉っていく。二次災害ですら凶器と化すアナザークウガDの力。
しかし、目標であったゲイツは直前に跳躍しており、それを躱していた。
空中で弓モードにしたジカンザックスを構え、アナザークウガDの目を標的にし射る。
青い残像を残し、アナザークウガDが消える。タイムマジーンのときもそうであったが、巨体に相応しくない速度である。
着地したゲイツは見失ったアナザークウガDの姿を探す。そして、見つけた。
距離にして二十メートル先。ゲイツに凶相を向けている。アナザークウガDは人の胴体よりも遥かに太い木の幹を足場にし、長い足を発条の様に縮めて力を溜めている。
不味い、と考えた時点で一手遅い。溜め込まれた力が解放される、木の幹を踏み砕きながらアナザークウガDは一直線に飛ぶ。
速度を得た巨体はそれだけで凶器。更にロッドを突き出しており、ゲイツを串刺しにするつもりであった。
「ゲイツ!」
横から飛び込んできたタイムマジーンの体当たりによって、ゲイツはアナザークウガDのロッドを免れた。
タイムマジーンとアナザークウガDが揉み合いになって地面を転がっていく。
『邪魔をするなぁぁぁぁ!』
馬乗りになったアナザークウガDが、タイムマジーンの胴体をロッドで突く。その一撃で、タイムマジーンの体に紫電が走った。
もう一撃、与えようとロッドが振り上げられる
「ツクヨミ! 逃げろ!」
その時、頭上から何か音が聞こえる。ゲイツもアナザークウガDも空を見上げた。
頭上で並走するアナザーゼロライナーとゼロライナー。ゼロライナーの隣にはジオウ専用のタイムマジーンも飛んでいる。
イマジンを追っている筈であったが、何かしらの事情があってこちらに向かって来ている様子であった。
『ふん。邪魔者が付いているな。落とせ!』
アナザークウガDの掛け声に合わせ、地面が揺れ始める。すると、地面を掘り上げて現れる巨大なクワガタムシ。
仮面ライダークウガをサポートする存在であるゴウラム。それが、アナザークウガの影響によって同じくアナザー化し、アナザーゴウラムへと変貌していた。
アナザーゴウラムは、そのままゼロライナーに突撃し、大顎で掴むとゼロライナーを線路から脱線させ、地面に叩き付ける。
『良くやった。良い子だ』
アナザーゴウラムを褒めながら、アナザークウガDはロッドを放り棄て、タイムマジーンの片腕を捥ぎ取る。
青の目が緑の目に。腹部のベルトの石も緑へと変わる。長く伸びた脚は元へ戻るが、代わりに三本角が大きく伸びた。
アナザークウガは形態を変え、アナザークウガ
タイムマジーンの腕を両手で持つアナザークウガP。タイムマジーンの腕が変化し始め、大砲の様な大筒にボウガンの様な弓と、銃の様なトリガーとグリップが付いた兵器に変わった。
『羽虫が……!』
吐き捨てると共に砲口を上空のタイムマジーンに向ける。
アナザークウガDが速度と跳躍を上げる形態なら、アナザークウガPは感覚を上げる形態である。
五感で感じた大量の情報を処理し、未来予知の様に相手の動きを先読みする。
『落ちろ!』
風が砲口の中へと吸い込まれていき、砲身の側面に埋め込まれた緑の宝玉が輝き、それが限界に達したとき、砲口から不可視の矢が射られる。
誰の目にも映らない空気の矢は、正確無比にタイムマジーンを貫いた。
「ジオウ!」
物語もやっとここまで来ました。あと五話ぐらいで終わらせたいですね。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ