『ブースター!』
強化アダプターと接続されたアクセルメモリが挿されたドライバーから発せられた音声は、メモリとは異なるものであった。
照井を仮面ライダーアクセルへ変身させると、アクセルの赤い重装甲や脚部及び背部の車輪が再分解され、全身が金色に染め直され、肩、胸、腕、脚、そして背部に一際大きな噴射孔が設けられた軽装甲が装着される。最後に複眼状のモノアイがシャッター型の装甲に覆われた。
アクセルブースターへ強化した姿を見て、スカルはただ一言。
「行くぞ」
「はい!」
スカルは黒く短い銃身のハンドガンをどこからか取り出しながら駆け出し、アクセルブースターもその後を追う。
二人の行く先には、残された二体の怪人。何の因果かその二体は彼らと縁のあるマスカレードドーパントであった。スカルは真っ直ぐ怪人たちに向かって走り、アクセルブースターは跳躍する。
怪人の一体に接近するスカル。怪人はスカルに大振りの右を振るうが、大振りの一撃を体勢を低くすることで躱しつつ懐に飛び込み、顎下に黒いハンドガン──スカルマグナムを突き付け、マスカレードドーパントが自分に向けられた銃口に気付くよりも早く引き金を引く。
撃ち抜かれて消滅するマスカレードドーパントの背後から現れたもう一体のマスカレードドーパントがスカルに拳銃を向ける。
跳躍したアクセルブースターの各部装甲から炎が噴出され、空中を急加速するとマスカレードドーパントをすれ違い様にエンジンブレードで両断、マスカレードドーパントが引き金を引く時間も無く爆散する。
アクセルブースターの速度はトライアルと同等或いはそれ以上のものであった。地上を疾走するだけの加速の力が、極限まで高まったことで空をも制する。
スカルは爆風でずれた帽子の向きを直しながら、空にいるアクセルブースターを見上げる。空洞を思わせるスカルの黒い両目がどんな感情でアクセルブースターを見ているのか、本人以外は分からないが、少なくとも悪感情は込められていない。
二人は言葉を交わす事なく平成ライダーたちと戦っているアナザーRUクウガの下へ向かう。
◇
『CHARGE & UP』
侑斗がアルタイルフォームへ変身すると、アルタイルフォームの緑が変色し始める。まるで錆びついたかの様な赤錆色へ変わる。
「デネブ」
「ああ!」
デネブが両手を真っ直ぐ突き出しながら侑斗のゼロノスに向かって飛ぶ。デネブの体がその最中に変化する。突き出した両腕は、五銃口の二連銃砲身となり、体はトリガーやグリップへと変わる。大きさも数分の一に縮小しており、ゼロノスが抱えられる程の大きさになっていた。
ゼロフォームと称される姿となったゼロノスを、もう一人のゼロノスが戦いの最中に無言で見詰める。
無防備なゼロノス
「ボーっとしてんなよ」
武器と化したデネブ──デネビックバスターを両手で支えながらゼロノス
全て倒し切ったと思われた直後に、もう一体の怪人が現れた。他の怪人たちを盾にして銃撃から免れていたらしい。
ゼロノスZが気付き、デネビックバスターを構え直そうとする。だが、それよりも先に動いたのはゼロノスAであった。
瞬時にゼロガッシャーを組み立て、振り向き様にそれを一閃。怪人を一撃で葬る。
助ける必要が無くなると、ゼロノスZは鼻を鳴らしながらデネビックバスターを肩に担ぐ。
周囲の怪人たちを一掃すると再びゼロノスAはゼロノスZを見ていた。
「最初に言っておく」
相手が何を思っているのか察したゼロノスZが、ゼロノスAを指差す。
「切っ掛けはお前だったかもしれないが、選んだのは俺だ。俺が選んだことをいちいち気にする必要なんて無い」
突き放す様に言うゼロノスZ。
「誤解しないでくれ。侑斗は優しいから桜井侑斗が気負わないようにしているんだ! 侑斗は本当に優しいから!」
「デーネーブ! 余計な事言ってんじゃねぇー!」
デネビックバスターのデネブの顔部分をガンガンと殴って黙らせようとするゼロノスZ。やはり無言でそれを見続けているゼロノスA。
「お前も何か言えよ!」
矛先をゼロノスAに向けるがやっぱり何も言わず、無言を貫いたままアナザーRUクウガの方へ歩き出してしまった。
未来の自分が過去に過度な干渉をしない為か、あるいはただ無口なだけか、将来の可能性としてここまで寡黙な自分を見せつけられて複雑な気持ちになってくる。
「大丈夫! 侑斗は怒りっぽいだけで子供っぽくは無い!」
「そういうフォローは要らねぇよ! っていうかフォローになってねぇよ!」
デネビックバスターを叩きながら、先を行くゼロノスAをゼロノスZが追い掛けていく。
◇
背後の坩堝から、極低温のヴァリアブルアイスが一海に注がれる。白い冷気が溢れ出す中で氷塊と化す一海。
『激凍心火! グリスブリザード!』
氷塊が砕け散り、中から今までとは異なるグリスが現れる。
『ガキガキガキガキガッキーン!』
全身が金色から冷たい輝きのメタリックブルーへと色を変え、左手にはビルドのフェニックスロボフォームと同じ大型のパワーアームが装備されている。右肩の装甲にはグリスのマーク、左肩には城、クワガタムシ、フクロウのマーク。今はここに居ない彼の舎弟たちを示すマークである。
かつて命を賭して成った姿、グリスブリザードはその全身から凍える程の冷気を放つ。
幻徳の体を金色のラインが包み込み、地中から現れた鰐の両顎がそれを噛み砕く。
『大義晩成!』
噛み砕いた金のラインから変身が完了した幻徳が姿を見せる。
胸や仮面に入っていた罅は、金継ぎの様に黄金を注いで埋められ、黄金の蔓の形となって生まれ変わる。
黄金の荘厳さを更に鮮やかにする為に胸部中央には歯車と鰐を組み合わせた青い紋章。蔦と合わさって花の様に見え、背には純白のマントを靡かせる。
『プライムローグ!』
『ドリャドリャドリャドリャ! ドリャー!』
プライムローグ。ローグの名を打ち消し、プライムの名に相応しい煌びやかな姿で再誕する。
戦兎と万丈の前後に形成されたビルダー。それが作り上げた装甲が彼らを纏めて挟み込み、一つとする。
『ラビット! ドラゴン! Be The One! クローズビルド!』
『イェイ! イェーイ!』
ラビットラビットフォームを思わせる右上半身と左足。左の金の複眼と同じく金色の意匠が施されている。そして、左半身、右足はクローズの装甲で覆われ、右の銀眼に揃えて銀で彩られていた。
金と銀で飾られた姿。腰から下半身に掛けて裾の様な赤と青のローブを装着。より絢爛な姿となる。
戦兎と万丈が一心同体となったことで完成したビルドとクローズの究極の到達点──クローズビルドフォーム。
全員の変身が完了した時、グリスブリザードは気付く。
「あれ? 龍我は何処に行った?」
キョロキョロと視線を動かして彼を探す。
「俺ならここに居るぞ」
クローズビルドから万丈の声が発せられる。
「変身してたのはお前か。紛らわしい」
「なら桐生戦兎は何処に行った?」
今度はプライムローグが戦兎を探す。
「俺ならここだよ」
すると、クローズビルドから戦兎の声。
『えっ』
グリスブリザードとプライムローグは揃って呆けた声を出す。
「この姿は俺と万丈が肉体ごと融合することで変身出来るんだ」
「どうなってんだそれ!?」
「ちゃんと元に戻るのか!?」
戦兎と万丈が合体するなど全く考えてもいなかった事態に、グリスブリザードたちは焦った声を出す。
「どうなっているって……物理法則を完全に無視したものだからキチンとした説明は──」
「まあ、ちゃんと戻るから安心しろ」
グリスブリザードは何故かクローズビルド缶をジッと凝視する。
「──何を見ているんだ?」
「い、いや! 別に、『これを使ったらみーたんと一心同体になるのかなー』っとか思ってねえし!」
「……こういう時のお前は、本当に気持ち悪いな」
熱を上げているアイドルが好き過ぎるあまり変な欲望を洩らすグリスブリザード。それに心底呆れるプライムローグ。
「うるせぇ! っていうか何だこのひらひらは! 戦いの時に邪魔になるだろうが! 現に俺に触れてるし!」
「黙れ……! これは俺が望んで付けた訳じゃない……! 桐生戦兎の趣味だ! それとガンガン叩くな! 冷たいんだよ、お前は!」
小競り合いをし始めるグリスブリザードとプライムローグ。
「戦兎、お前ってこういうひらひらしたものを付けるのが趣味なのか?」
「そういう訳じゃ……っていうか今は関係無いでしょ」
妙な所に喰い付いてくる万丈。一旦乗り掛けて踏み止まる戦兎。クローズビルド内で漫才の様なやりとりがされる。
「何をやっているんだか……」
戦闘中だというのに騒がしいクローズビルドたちに呆れた眼差しを向けるビルド。その隙を狙って怪人の一体──ビルドたちの世界に存在するハードガーディアン──が背後から襲って来るがあっさりと避ける。すると、何を思ったのかハードガーディアンたちから距離を置いた。
離れたビルドを追い掛け様とするが、すぐ近くで言い争う声がハードガーディアンセンサーに届く。
ビルドとクローズビルドたち。どちらが近いか判断すると、ハードガーディアンたちはクローズビルドたちの方へ向かって行く。
機械音を鳴らしながらハードガーディアンたちがクローズビルドたちに迫っていく。
「ひらひらするの止めろ! 気になってしょうがねぇ!」
「そっちももう少し温度を上げろ! 鳥肌がたちそうになる!」
「そう言えば、ラビットラビットとタンクタンクも背中にひらひらが付いてたよな?」
「だから別に意識している訳じゃ無いって言っているでしょうが!」
だというのにクローズビルドたちの会話は止まらない。やがて、ハードガーディアンたちがクローズビルドたちを襲える距離まで近付き──その刹那、クローズビルドの、プライムローグの、グリスブリザードの腕が消え、ハードガーディアンたちが吹っ飛ぶ。
あるハードガーディアンは吹っ飛ばされている途中で全身が凍結して砕け、別のハードガーディアンは頭部が噛み千切られた跡を残して消失、残る一体には全身に十を超える拳型の凹みがあり、機能を完全に停止させられていた。
「やれやれ。お喋りしている割には、とっくに準備万端じゃないか」
ハードガーディアンたちをわざと向かわせたビルドは、彼らの圧倒的戦力を苦笑する。
「これが終わった後に白黒付けてやるからな! ヒゲマント!」
「望む所だドルオタポテト!」
「馬鹿な話はここまで。行くぞ、最後の戦いだ!」
「おい、勝手に終わらせんなよ! まあ、いいや。話は後ですりゃいいな!」
最後の戦場へ、クローズビルドたちは赴く。
◇
『ライダーターイム!』
二つのライドウォッチが回転することでジクウドライバーを介して力が解き放たれる。
ソウゴの背後に現れた時計盤を模した具現化したエネルギー。その文字盤を秒針が何度も周回し、ソウゴの周りに発生するエネルギー。同心円状のそれがあらゆる角度でソウゴを包み込み、その力を装甲へ変化させる。
黒を主としたスーツは銀色へ変色。首元から腹部に掛けてあった時計のメタルバンドに似た装甲は位置を変えて右肩から掛けるタスキの様になり、両肩の丸みのある装甲の内、右肩だけが鋭利且つ荘厳な装飾を施されたものへ変化した。
腰回りにも銀色の装甲が追加され、通常時のジオウよりも防御力が増していく。
『仮面ライダー! 仮面ライダー!』
ジオウの顔に『ライダー』の文字が填まり込む。
『ジ・オウ! ジ・オウ!』
背後の時計盤から秒針が外れ、ジオウの顔にある短針と長針を模したセンサー中央に装着され、時計の針が全て揃う。
銀色のライドウォッチによって成った新たなジオウの姿。ゲイツは気絶していて正解であっただろう。その姿が怨敵であるオ―マジオウに似た、或いは近付いた姿であった。
「これなら、何か行けそうな気がする!」
新たな姿となったジオウは、ジカンギレードを取り出す。そして──
「借りるよ」
──ゲイツの手からジカンザックスを抜く。
「ウォズ、ゲイツのこと任せたよ」
「それが我が魔王の望みとあらば」
ウォズは恭しく一礼する。ふと、ジオウはある違和感に気付いた。
「そう言えばウォズ、いつものあれは──」
ウォズは最後まで聞かず、ゲイツをストールで包み込むと自身も同じ様に包み、何処かへ移動してしまった。
「──行っちゃった。変なの」
新しい力を得る度に祝福の言葉を送るウォズだが、今回はそれをしなかった。祝福自体が変な行為だが、執心していたそれをやらないとやはり変に感じる。
「ま、いっか」
そんなことよりも平成ライダーたちのことを優先し、ジオウもまた戦線に向けて駆け出していく。
激戦へ自ら向かうジオウの背を、ウォズは離れた場所から見つめていた。
「祝え! という言葉は控えさせてもらうよ、我が魔王。今はその時では無いからね。そのウォッチを完全に使いこなす時、即ち『オーマの日』の時まで」
◇
暴れ狂うアナザーRUクウガ。腕を振り回し、黒炎を吐き、巨体で圧し掛かるなど無軌道且つ滅茶苦茶な攻撃。だが、平成ライダーたちは誰一人その攻撃を受けてはいない。それぞれが大きな戦いを生き抜いてきた猛者。アナザーRUクウガに遅れなどとりはしない。
『FINAL VENT』
赤い龍──ドラグレッダーがその音声に反応し、龍騎の中心にして舞う様に泳ぐ。構えた龍騎が跳び上がり、ドラグレッダーがそれに続く。
「ったああああああああ!」
ドラグレッダーの吐き出す火球をその身に受け、炎と加速を得たことで繰り出されるドラゴンライダーキックがアナザーRUクウガの横顔を蹴り抜く。
『スキャニングチャージ!』
横に振られたアナザーRUクウガを狙って連なる三つの輪。
「せいやぁぁぁぁ!」
その輪を通り抜け、鷹、虎、飛蝗、三種の力を宿したオーズのタトバキックがアナザーRUクウガの頬を蹴り飛ばす。
ライダーキックの二連撃。アナザーRUクウガの口から牙が飛び散るが、それを無視してアナザーRUクウガが黒炎を吐き出そうとする。
『ダイカイガン! オレ! オメガドライブ!』
「はあああああ!」
背に目玉の様な紋章を展開し、それを右足へ集束させたゴーストのキックがアナザーRUクウガの頭頂部へと叩き込まれ、開いた口を強制的に閉ざされる。
そこへ飛翔してくるのは右手にロケットモジュールを装着させたフォーゼ。アナザーRUクウガの下に潜り込み、左足に装着させたドリルで狙いを定める。
『LIMIT BREAK』
「ライダーロケットドリルキィィィック!」
ロケットの推進力を得たドリルの一撃が、アナザーRUクウガの顎下に打ち込まれる。上はゴースト、下はフォーゼによるキックの挟み撃ち。硬い筈のアナザーRUクウガの顔面が歪む。
『ガ、ガ、ゴボアアアアアア!』
行き場を失った黒炎がアナザーRUクウガの体内で爆発。アナザーRUクウガの胴体が一瞬だけ倍近く膨れ上がると内側からの膨により体を覆っていた甲殻が罅割れ、亀裂から重油の様な黒い体液が噴き出す。
すると、その黒い体液が怪人たちへと変わり、平成ライダーたちへ立ち塞がる。
必殺技の準備をしていたエグゼイドの手が止まり、怪人たちの迎撃に切り替えようとした時──
『輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド! イェイ!』
「そのまま準備を続けて」
ダイヤモンドの破片が槍の様に怪人たちへ突き刺さる。
「やあ、エグゼイド」
ゴリラモンドにフォームチェンジをした葛城のビルドがエグゼイドの隣に並ぶ。
「安心してくれ。今日は君の味方だ。また成分を取ったりなんてしないよ」
エグゼイドに話し掛けながらビルドはドライバーのハンドルを回す。
『ボルテックフィニッシュ!』
ゴリラの拳で地面を殴りつけると、一体がダイヤモンドへ変換され、それが隆起して怪人たちを貫いていく。
「今だ!」
大きなダイヤモンドの破片が上に向かって飛び出す。エグゼイドはそれを足場にして上空へ跳び上がった。
『マイティクリティカルストライク!』
ピンク、緑、黒、白など入り混じった激しい光がエグゼイドの右足から放たれ、それをアナザーRUクウガに打ち込む。
キックが入れば、空中で方向転換してもう一度キック。更に方向転換をしてキック。キック、キックの連撃。
『PERFECT!!』
限界まで打ち込まれるとキックのエネルギーが反応し合い、大きな爆発がアナザーRUクウガに起こった。
初めてアナザーRUクウガの巨体がよろめく。
『THUNDER』
『KICK』
『LIGHTNING BLAST』
カードに宿る不死生物の力がブレイドに宿り、アギトは頭部の角を展開すると同時に足元に紋章を浮かび上がらせ、それを右足に取り込む。響鬼は撥を打ち鳴らし、浄化の音で自らを清め、その右足を浄化の紫炎で燃やす。
三人は跳躍し、込めた力をアナザーRUクウガへ叩き込む。
雷撃、紫炎、そして進化の力がアナザーRUクウガを蹴り穿つと、アナザーRUクウガの体は明確なダメージを受け、体中の亀裂から黒い体液を噴き出させる。
それが再び怪人と化し、アナザーRUクウガを守る盾の様に立ち塞がった。
『スカル! マキシマムドライブ!』
『FULL CHARGE』
光弾とA字型の光矢、そして光の散弾が連射され壁となる怪人たちを一掃していく。
スカルという音声にWが慌てて振り返り、そこに立つスカルの姿を見て絶句する。
「今は前だけを見ていろ」
帽子を押さえながら光弾を撃ち続けるスカル。突き放す様な言い方であったが、Wにはそれだけで十分であった。Wは雑念を振り払う様にガイアメモリを引き抜く。
同じく電王もまたゼロノスたちの姿に驚く。
「おいおい! どうなってんだぁ!」
『侑斗が二人……? まさか、桜井さん!?』
電王の中で良太郎は混乱する。消えてしまった姉の恋人。義理の兄になったかもしれない存在。それが突然現れた。今すぐにでも駆け寄って話をしたくなる。
「野上! 説明は後でしてやる! 今はそいつを倒すことに集中しろ!」
ゼロノスZからの檄。その言葉で我に返り、戦いへ意識を戻せた。
『──ごめん、モモタロス。いくよ?』
「へっ! 気にすんな! クライマックスには変わりねぇからな!」
電王はライダーパスを取り出し、構える。
「──成程。大体分かった」
スカル、二人のゼロノスたちを見てディケイドは一言そう言って自己完結すると、ディケイドのクレストが入ったカードを出す。
Wは右腰のスロットにガイアメモリを挿し、電王はライダーパスをベルト中央に翳し、ディケイドはドライバーにカードを投げて挿入。
『ジョーカー! マキシマムドライブ!』
『FULL CHARGE』
『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』
Wは風と共に舞い上がり、電王は虹色に輝くエネルギーを右足に込めてジャンプし、ディケイドの跳躍と共に敵へ導く様にディケイドのクレストが描かれたカード型のエネルギーが何枚も連なる。
『ジョーカーエクストリーム!』
「行くぜ! 俺の超必殺技!」
「はあぁぁぁ!」
三つの力がアナザーRUクウガの胸に炸裂し、大爆発を発生させる。
その間に怪人たちを倒し切ったスカルとゼロノスたちが動く。
スカルもまた右腰のスロットにガイアメモリを挿し、ゼロノスZがデネビックバスターにカードを装填。
『スカル! マキシマムドライブ!』
『FULL CHARGE』
スカルの胸部が開き、頭蓋骨を模したエネルギーが炎の様に揺らぎながら飛び出し、上空へ上がっていく。
エネルギーが充填されるデネビックバスターを構えるゼロノスZ。そんな彼に、ゼロノスAが自らのカードを差し出した。
「──使えってか?」
ゼロノスAが頷く。ゼロノスZはそれを受け取り、再びデネビックバスターに充填する。
『FULL CHARGE』
二度充填されたデネビックバスターが発光し、電流の様に余剰エネルギーが漏れ出す。
「ゆ、侑斗! そろそろ限界……!」
「もうちょっとの辛抱だ!」
狙いを定め、引き金を引く。
デネビックバスターの銃口から赤と緑の光線が発射され、途中で交わり収束する。
「とおっ!」
上空でスカルが髑髏を蹴り飛ばす。口を開いたそれが、アナザーRUクウガの複腕の一本に喰らい付くと、そこにゼロノスZが放った光線が命中。爆発と共に複腕が一本消失した。
『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』
翳した指輪に反応し、ドライバーが詠唱するとウィザードの足元に魔方陣が展開する。
炎を纏いながら側転後、宙返りをして空へと舞うウィザード。
そこに待っていたかの様に逆さの状態で飛び上がっていたキバ。魔笛は鳴り響き、キバが夜と月を連れてくる。
「ウェイクアップ!」
封じられた右足の力が解放され、蝙蝠の様な翼が広がるとウィザードと共にアナザーRUクウガへ向かって一直線に飛ぶ。
ウィザードのキックはアナザーRUクウガの喉元を焦がし、キバのキックはそこへキバの紋章の形を刻み込む。
鳴らされるクラクション。それを聞いた二人が離れると、アナザーRUクウガの周囲を疾走する車。ドライブの専用マシントライドロン。
道どころか空中を走り回るトライドロン。その姿はアナザーRUクウガを囲う輪となる。
『ヒッサーツ! フルスロットル! スピード!』
トライドロンへの輪に飛び込む二人のライダー。ドライブとアクセルブースターである。
ドライブは走るトライドロンを足場にして弾かれる様に飛ぶとそこからアナザーRUクウガへ蹴りを打ち込み、またトライドロンを足場にしてキック。打ち込む度に加速していく。
『エンジン! マキシマムドライブ!』
エンジンブレードの刀身が金色のエネルギーの巨大刃で覆われ、ブースターの速度と共にアナザーRUクウガを斬る。
赤と金が交錯し、蹴り穿ち、斬り裂く。その速度はどんどん増していき、最後にはだだの線がアナザーRUクウガを貫いている様になっていた。
線を引く様に交差していく赤と金。その光が交わって橙に近い色へと成ると──
『ソイヤッ! オレンジスカッシュ!』
「せいはぁぁぁぁ!」
それを合図にして鎧武が飛び込んで来る。鎧武の前に並ぶ輪切りにされたオレンジ状のエフェクト。
それを通過して繰り出されてキックがアナザーRUクウガの背に命中。エネルギーが果汁の様に飛び散る。
『Exceed Charge』
『RIDER KICK』
円錐状の光がアナザーRUクウガの目の前で開き、そこに突入してくるファイズ。その隣に並ぶカブト。
赤い閃光が連なって放つキックがアナザーRUクウガを貫く。
『ゴ、ガ、アアアアアアアアア!』
頑丈であった金色の甲殻は砕け、剥がれ落ち、アナザーRUクウガは黒い体液に塗れていた。それでも最後の悪足搔きで体を振り回し、体液を撒き散らすと何百もの怪人たちを生み出す。
「おらおらおらおら!」
「ふん!」
その大群に臆する事無く突っ込んでいくのはグリスブリザードとプライムローグ。絶対零度の拳が怪人を凍結させ、最上の拳が砕く。
『シングルアイス! グレイシャルアタック!』
グリスブリザードの左腕が巨大化し、怪人たちを纏めて掴み取る。
『バリーン!』
瞬間凍結され、ガラス細工の様に砕け散る。
『プライムスクラップブレイク!』
プライムローグが拳を打ち込む度に鰐の頭部型のエネルギーが発生し、敵を問答無用で噛み砕く。
二人で十を超える怪人たちを一瞬で倒すが、それでも数の暴力で押し寄せてくる怪人たち。
だが、そこに現れる金色に輝く兎と銀色に燃える龍。兎は跳ね回り、その両足で怪人たちを蹴り飛ばし、龍は飛び回って炎で焼き、牙で砕く。
兎と龍を引き連れて空から舞い降りるクローズビルド。着地と共に左脚を一閃。赤い線が走ったかと思えば、複数の怪人たちが爆散。
続いて左拳が空を切る。突き出した後に遅れて聞こえる風切り音と破裂音。音速を超えて突き出された拳の余波で怪人たちがまたも吹き飛ぶ。
三人でも圧倒的力。しかし──
『スレスレスレスレスレスレスレスレ』
『ギワギワギワギワギワギワギワギワ』
重なる音声。無数の光弾と光矢がいつの間にか怪人たちの眼前まで迫っている。
『シューティング!』
『シュート!』」
光弾と光矢に撃ち抜かれる怪人たち。いつの間にかクローズビルドの側にジオウの姿があった。
ジオウの中央にある秒針がぐるりと一回転する。時間にすれば一秒程。途端、ジオウの姿が消え──
『ギリギリギリギリギリギリギリギリ』
再び重なって聞こえる音声。更には怪人たちの体に斬撃の痕が浮き出る様に現れた。
『スラッシュ!』
ジオウが姿を現した時、怪人たちが一斉に爆発する。
目にも止まらなぬ動き。これこそが今のジオウの新しい能力。
秒針は六十秒掛けて時計盤を一周する。しかし、ジオウの秒針は一秒で一周した。今のジオウは六十秒を一秒に圧縮することが出来る。他者が一秒を認識する間に六十秒間自由に動くことが出来るのだ。
時の王者としての片鱗を見せる能力と言える。
グリスブリザード、プライムローグ、クローズビルド、ジオウ、この四人によって怪人たちが瞬く間に姿を消していく。そして、そこに──
「はあ!」
クウガも加わり敵を蹴散らす。
自分の為に道を作ろうとしている彼らを黙って見ている筈も無く、共に戦い、一緒に道を切り拓く。
ジオウの秒針が二周する。これにより百二十秒が一秒へ短縮される。
『ギリギリギリギリギリギリ』
『ザックリザックリザックリ』
ジオウだけの時間。全てのものが緩やかに動く時の中で、ジオウはジカンギレードとジカンザックスの二刀流で怪人たちを斬り続ける。
『スラッシュ!』
『カッティング!』
時の流れが正常に戻ると、怪人たちは揃って爆散した。
全ての怪人たちは倒され、アナザーRUクウガを守るものは無くなる。
この瞬間こそ長かった戦いに終止符を打つ時。
『シングルアイス! ツインアイス!』
グリスブリザードとプライムローグが同時にハンドルを回す。
『グレイシャルフィニッシュ!』
グリスブリザードが先に跳躍すると、冷気を噴出させながら絶対零度の凍気を発する右足をアナザーRUクウガへ放つ。
アナザーRUクウガは右腕でそれを防御。だが、受けたせいで右腕が完全に凍り付く。
『プライムスクラップブレイク!』
時間差で放たれたプライムローグの一撃。両足で挟まれるアナザーRUクウガの右腕。顎の如く咬み付き、凍結して脆くなった右腕を噛み砕いてしまう。
最早、アナザーRUクウガに守る術は何一つ無かった。
クローズビルドはハンドルを回し、ジオウはライドウォッチのスイッチを押し、クウガは構える。
『Ready GO!』
『フィニッシュタァァイム!』
クローズビルドの背後に金の兎──ベストマッチラビットが現れ、後ろを向く。クローズビルドがその両足に乗るとカタパルトの様に空高く打ち上げられた。
ジオウの秒針が回る。三回転したことで、百八十分の一秒。その瞬間、アナザーRUクウガの周りを大量の『キック』の文字が囲んだ。『キック』の文字が次々とアナザーRUクウガに張り付き、その度に衝撃が起こる。
最高点まで達したクローズビルド。その背に銀の龍──ベストマッチドラゴンが出現すると、クローズビルドからアナザーRUクウガに掛けて金と銀のグラフが伸びる。
グラフはアナザーRUクウガを挟み、捻じれて螺旋状になることで完全に固定し、逃げられなくする。
クウガが飛び、クローズビルドはベストマッチドラゴンのブレスを受けてグラフを滑走し、消えていたジオウがアナザーRUクウガの背後に現れる。
「おりゃあああああああ!」
「
『ジ・オウ! タイムブレーク!』
全ての力を込めた一撃。クウガのキックはアナザーRUクウガの額に、クローズビルドの愛と平和への祈りを込めた左キックは胸部に、銀とマゼンタの輝きを発するジオウの両足のキックは背に叩き込まれた。
『ガアアアアアアアアアアア!』
膨大な力を撃ち込まれ、アナザーRUクウガは絶叫を上げる。
その時、ジオウの持つクウガライドウォッチが密かに輝く。それから起こったことは、ジオウによるものか、クウガによるものか、ライドウォッチの影響かは分からない。
クウガに重なるライジングマイティフォームとアメイジングマイティフォームの姿。アナザーRUクウガに刻まれたクウガの紋章は、燃え盛り、雷光の様な光を放つ。
クウガの紋章を起点にしてアナザーRUクウガの体に亀裂が伸びていく。
『ヘイ、セイ、ライダー……ウアアアアアアアアアアアアアア!』
アナザーRUクウガの断末魔の叫び。
全ての平成ライダーの力をその身に受け、アナザーRUクウガの巨体はその身に相応しい大きな爆発を引き起こす。
上空へ高々と打ち上げられる持ち主無きアナザークウガウォッチ。空にて砕け散り、この戦いの終わりを告げた。
作中ではジオウのオリジナルフォームに名前を出しませんでしたが、ジオウ以上ジオウⅡ未満の性能なので、ジオウ1・5みたいな名前だと思ってください。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ