「檀黎斗改め……檀黎斗王だぁぁぁぁぁ!」
檀ファウンデーション社長、檀黎斗による日本からの独立宣言。多くのマスコミの前で発せられたその宣言は、多くの者たちを混乱させた。
当然ながら、マスコミの中にはそんなことは不可能である、許されることではないと批判する者も居た。
しかし、檀黎斗王はどこからか取り出した銀色のメダルを批判する者へ投げつけ、そのメダルが入った者を怪人へと変え、無理矢理黙らせてしまう。
一連の流れをテレビで見ていたソウゴたち。ソウゴは、王を宣言する黎斗に同じく王となろうとしている者として興味を持ち、ゲイツ、ツクヨミは怪人を生み出したことにアナザーライダーが関わっていると察し、檀黎斗王の下へと向かった。
檀黎斗王の根城へと辿り着いたソウゴたち。そこで逃げている人を追う怪人たちを見つける。ジオウの力を以て少々手こずりながらも怪人を倒す二人。
そして、その騒ぎを聞き、檀黎斗王自らがソウゴたちの前に現れた。
◇
「お前が魔王か……」
「魔王? 私を前にしてそんなことを宣うかこの愚か者めがぁぁぁ!」
ゲイツの何気無い発言に激昂する檀黎斗王。その感情の不安定さに、ツクヨミは檀黎斗王の危うさを感じとる。
「あんたが王様?」
そんな彼に臆せずソウゴは問う。
「おお、そうだ。私は檀黎斗。だが強大な力を手に入れ、その名は過去のものとなった。今の私は檀黎斗王! 私が王だぁぁぁぁぁ!」
最早咆哮に等しい檀黎斗王の宣言。すると、檀黎斗王の体を包み込む様にして黒い力が彼に纏わりつく。
『バース……』
アナザーライダーとしての名を告げるその声の後、檀黎斗王の姿は煌びやか王から異形なる怪人と化す。
黒いU字型のバイザーに半透明の頭部。口から顎に掛けて覆うマスク。頭部の中には、コードの束の様なものが絡み合っていた。銀色の外骨格の様な装甲。両腕、両肩、両膝、胸、背中に球体が埋め込まれており、腹部には上下に分かれた球体が填め込まれたベルトを巻いている。
右胸に刻印された文字は『BIRTH』。檀黎斗王は、アナザーライダー──アナザーバースへと変身した。
アナザーライダーと化した檀黎斗王に、ソウゴもまた宣言する。
「奇遇だね。俺も王様になりたいんだ」
その発言を聞き、アナザーバースは哄笑する。
「笑止! 笑止! 笑止だ! 戯言を! 王は私で十分だぁぁぁぁぁ!」
腕を振り上げて襲い掛かろうとしてくるアナザーバースに、ソウゴ、ゲイツはベルトを装着。
『ジオウ!』
『ゲイツ!』
『ライダーターイム!』
同時に変身し、アナザーバースの攻撃を受け止めるジオウとゲイツ。両腕を受け止められたアナザーバースは、すかさず二人の胸部を蹴り飛ばす。
数歩後退したがすぐに態勢を立て直して武器を取り出す。
『ジカンギレード! ケン!』
『ジカンザックス! Oh! No!』
構えた武器で、アナザーバースを斬り付ける。斬り付けた途端、火花ではなくメダルが散る。
「ふううぅぅん!」
あまりダメージを受けていないのか、すぐさま反撃に移るアナザーバース。大振りの攻撃を避けながら、ジオウとゲイツはアナザーバースを斬る。
だが、やはりというべきかダメージは少ない。しかし、アナザーバースを苛立たせるには十分であった。
「王を傷付けるとは……この不届き者共がぁぁぁ!」
『ドリル──アーム』
右腕に填め込まれた球体が開き、そこから大量のメダルが放出され、アナザーバースの右腕を覆う。覆ったメダルは形を変え、右腕を巨大なドリルへと変化させた。
唸りを上げて回転し出すドリル。振り下ろされたそれを、ゲイツは受け止めると回転の力によってジカンザックスが弾かれ、開いた胴にドリルの先端が突き刺さる。
「ぐあっ!」
横回転しながら突き飛ばされるゲイツ。
「ゲイツ!」
ジオウがアナザーバースに向かって斬りかかる。
『ショベル──アーム』
今度は左腕の球体が開き、右腕と同様にメダルを覆わせ、掘削などで使用されるショベルカーのバケットを模した機械が左手に装着。開閉するそれでジカンギレードの刃を挟んで受け止める。
『キャタピラ──レッグ』
続けて両脚の球体が開き、両足にキャタピラを装着。片足をジオウに押し当てると同時に履帯を高速回転させ、ジオウの装甲を削る。
「うああああ!」
衝撃に耐え切れず、武器を手放して後方に転がっていくジオウ。二人のライダーが地面に膝を付いている姿に、アナザーバースは上機嫌で笑う。
「見たか! これこそが王の力!」
戦いで気分が高揚したのか、U字型の目が赤く光り、その中にある円形の目が浮き出る。更にマスクと思われた部分は、実は縦に配置された口であったらしく叫びと共に閉じていた歯が左右に開かれる。
「王に逆らった罰だ。この場でお前たちを極刑に処す!」
『ブレスト──キャノン』
胸部の球体が開かれ、そこから溢れ出るメダルが砲身を形成する。砲口に充填されていく赤黒いエネルギー。向ける先にはジオウとゲイツの姿。
このままでは危うい。そう思ったとき──
『タカウォッチロイドー!』
何処からともなく現れたタカ型の小型機械がアナザーバースに向かって飛び掛かり、その顔面に炎を吐く。
その炎に怯むと同時に、唾でも吐き掛けられる様な行為に怒りの矛先がジオウたちからタカウォッチロイドへと変わり、怒りのまま飛び去っていくそれの後を追う。
その際、アナザーバースからライドウォッチが転がり落ちる。
「王様、待ってー!」
ジオウはアナザーバースの後を追い、ツクヨミの制止にも一言『夕飯までには帰る』と返し、そのまま走り去っていってしまった。
ゲイツは落ちたライドウォッチを拾う。白い外装、そして2016という文字。
「2016年、これが奴の生まれた年だ」
ツクヨミもまたアナザーバースの背に罅割れたプレートに2016と思わしき年号を見ている。しかし、ツクヨミはどうにも引っ掛かるものを覚えていた。
だが、ゲイツすでに方針を固めており、2016年に跳び、今手にしたライドウォッチの力でアナザーライダーを倒すつもりでいる。
ツクヨミは、ゲイツに一考させる言葉が見つからず、彼の後を追うしかなかった。
◇
2016年。檀ファウンデーションの飛躍の年と言われてこの年に、アナザーバースの力を手に入れた檀黎斗は、実の父親を殺害し、社長としての座と会社の全ての権力を掌中に収めた。
その現場に現れるゲイツ。タイムジャッカーからゲイツたちの存在について聞かされていたアナザーバースは、自らの王道を阻むゲイツと対決する。
アナザーバースが生み出したミイラの様に全身に包帯を巻いた顔の無い怪人──ヤミーたちが次々と迫ってくるが、仮面ライダーと化したゲイツはそれを軽々とあしらう。
力や技術は、ゲイツの方が遥かに上だが、ヤミーには何故かゲイツの攻撃が効き難く、倒しても倒しても何度も立ち上がる異常な耐久性を見せる。
ゲイツによってヤミーが地面に倒れ伏す光景を、腕を組んで見物するアナザーバース。罵声を浴びせながらもっと戦う様に促す。
素手では埒が空かないと思い、ゲイツはジカンザックスを取り出し、そこにゲイツライドウォッチを填める。
『フィニッシュタァァイム! ゲイツ!』
『ザックリカッティング!』
赤い光と共に走る刃でヤミーたちを斬り裂く。斬り裂かれたヤミーたちは爆散。今度は復活することは無かった。
『クレーン──アーム』
「くっ!」
ヤミーを倒したゲイツに襲い掛かる先端に鉤爪が付けられたワイヤー。そのワイヤーを辿れば、右腕を振り回すアナザーバースの姿。
「王の手を煩わせるとは使えない駒共だぁぁぁぁ!」
ワイヤーを振り回し、不規則な動きでゲイツを攪乱させる。
鉤爪がゲイツの胴体に狙う。それに反応して防御しようとするが、アナザーバースはワイヤーに左手で掴む。軌道が突如変わり、狙いも胴体から頭部へと変わり、ゲイツは側頭部を鉤爪によって殴られる。
「ぐう!」
意識を奪う様な衝撃を、仮面の下で奥歯を噛み締めて耐え、ゲイツはジカンザックスを斧モードから弓モードに切り替える。
『You! Me!』
スリンガーを引き、放すことでジカンザックスの射出口から光弾が発射。数発放たれた光弾は全てアナザーバースに命中する。
ダメージは少ないが、衝撃によって転倒してしまうアナザーバース。起き上がり怒りを露にする。
「くあ! おのれぇぇぇぇ! 王に傷をつけるとは!」
感情のまま吼えるが、ゲイツはそんなことに怯む筈は無く、接近しながら再び斧モードにしてアナザーバースへその刃を叩き込もうとする。
『キャタピラ──アーム』
「何っ!」
前に見たときには両足に装着していた筈の履帯を、左腕に装着させ、ジカンザックスの刃を受け止めている。そして、回転する履帯の圧力にジカンザックスは弾かれる。
『ドリル──レッグ』
回し蹴りと共に右足に装着されたドリルが、ゲイツの脇腹に当たると螺旋の旋回で脇腹を抉り、ダメージを与える。
よろめくゲイツ。しかし、アナザーバースの追撃は止まらない。
『カッター──アーム』
右腕のクレーンが消え、替わりに巨大な二枚の両刃が装備され、二つの刃がゲイツの腕を挟んで逃げられなくする。
「とったぁ! ふはーははははは!」
高笑いと共にゲイツの喉元にキャタピラ付きの左腕を叩き込む。通常の打撃に、高速回転する履帯の威力加わり、ゲイツは大きく吹き飛ばされた。
「ゲイツ!」
悲痛な声がツクヨミから出る。だが、ゲイツはよろめきながらも立ち上がった。
ゲイツは手にライドウォッチを握る。それは、2018年にアナザーバースが落としたライドウォッチ。
ライドウォッチを九十度回転させライダーの顔を表示。現れたのは赤と水色の異なる色の目をしたライダー。
ライドウォッチの能力をアクティブ状態にし、スイッチを押す。
『ゾンビゲーマー!』
起動させたライドウォッチを、ジクウドライバーに接続させ、ベルトを両手で挟み、一回転させる。
『アーマーターイム!』
ゲイツの背後に転送されるライダーアーマー。尖りくの字に曲がる黒と白のヘッドパーツ。白い外殻は骨を彷彿とさせ、両肩にはデバイス状の装甲パーツ。ただし、左肩の基盤は半分折れていた。胸部装甲の左胸には、メーターらしき表示があるが、罅割れ、黒く染め上がっている。
『バグルアップ! ゾ・ン・ビ!』
左手ごと左半身を突き出し、右手ごと右半身を引いた構えをするライダーアーマーは分解され、ゲイツに次々と装着。最後に『らいだー』の文字が『ぞんび』へと替わる。
ライダーアーマーを纏った途端、体の痛みも疲労も全て嘘の様に消える。
「やっぱりエグゼイドに似てる……」
2016年に時間跳躍の時にも思っていたことだが、纏うとより一層仮面ライダーエグゼイドに酷似していた。
「はあ!」
新たなライダーアーマーの力を得たゲイツは、アナザーバースに向かって走り出す。
「まだ向かって来るか! 愚かな!」
『クレーン──ウイング』
アナザーバースの背面から二本のクレーンが現れ、その先端がゲイツに向かって発射される。
避けることなく最短距離を一直線に走るゲイツに衝突する二本の鉤爪。しかし、ゲイツは全く怯まずに走り続ける。痛みが無いかの様に。
「何ぃぃ」
今度はアナザーバースの方が驚かされる番であった。接近したゲイツにドリルを振り下ろすが、ゲイツはそれを肩で受け、その状態からアナザーバースの鳩尾に拳の連打を打ち込む。打ち込む度に『HIT!』のエフェクトが浮かび上がる。
「ぐぬぅ!」
続けて中段蹴りがアナザーバースの脇腹を蹴り抜き、怯んだ所にゲイツの肘が打ち込まれる。
首筋に肘が突き刺さり動きが止まると、ゲイツは握り締めた拳をアナザーバースの顔面に放とうとする。
「調子に乗るなぁぁぁぁ!」
『ブレスト──ショベル』
胸部から展開されたバケットが、ゲイツの胴体を挟み、締め上げる。
「はっはー! どうだぁ! うぐぁ!」
だが、構う事なくゲイツはアナザーバースの顔に拳を打ち込んだ。
痛みが無いわけではない。攻撃を受ける度にゲイツの体に激痛が走っている。だが、傷を負う度に無理矢理回復しているので耐えることが出来ているのだ。だが、生命は有限。傷が治る度にゲイツの体力が消耗されていく。
拳を打ち込む続けるゲイツ。締め上げ続けるアナザーバース。どちらが先に根を上がるかの根比べ。
生命力と耐久力との勝負であった。
そして、勝ったのは──
「ぬぐっ!」
呻き、顔を押さえてアナザーバースが後退する。ゲイツの生命力が、アナザーバースの防御を上回ったのだ。
『フィニッシュタァァイム!』
『ゲンム!』
すかさずゲイツはライドウォッチのスイッチを押し、力を充填させる。
『デッド! タイムバースト!』
ゲイツの足元から伸び黒い影。その影は、アナザーバースまで伸びると、影の中から無数の人型の影が現れ、アナザーバースを拘束する。
「何だ! 穢らわしい手で王に触れるなぁぁぁぁ!」
影を振り払おうとするが、拘束から逃れられない。
ゲイツは跳び上がり、宙に留まると、そこから縦に回転し始める。回転が極限にまで達すると黒いオーラが回転に混ざり、その状態でアナザーバースへ突進。
動きを止められたアナザーバースの脳天にゲイツの爪先が叩き込まれ、『GREAT!』の文字が浮かぶ。
そして、アナザーバースの背後へ降り立つゲイツ。次の瞬間、アナザーバースにしがみついていた影が一斉に爆発。
その爆炎の中に『PERFECT!!』の描かれるのであった。
◇
結局、ゲイツはアナザーバースを倒すことが出来なかった。
ライダーの力が間違っていたこともあったが、何よりも年代が違い、2016年を2010年と見間違えていたのだ。
ソウゴからの連絡もあって一旦2018年に戻るゲイツたち。
そこで見たのは、檀ファウンデーションの制服を纏うソウゴの姿。
ソウゴは言う。『あの王様の下で勉強したいと』
しかし、ゲイツにとってそれを見過ごすことなど出来ない。ソウゴが檀黎斗王に降ったと判断し、ここで倒すことを決める。
ゲイツはライドウォッチを突き付け、ソウゴに告げる。
「奴の軍門に降ったというのか。……なら話は早い。ここで貴様を倒すだけだ!」
上位フォームに変身したらどうなるのかまだ分かりませんが、取り敢えず出してみました。
まあ、変身アイテムもベルトも違うので別ライダーと言っても良いかもしれませんが。
先にどちらが見たいですか?
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