薄暗い狭い部屋で向かい合う一組の男女。
女は容姿端麗であり、その顔には妖艶な笑みを浮かべている。男の目には女の笑みは写らず、ただ視線を下げて俯いていた。
こうやって表現すれば高嶺の花を前にした初心な男と勘違いをするかもしれない。
二人の間を遮るガラスが有り、狭い灰色の部屋は面会室であり、女が囚人服を着て、俯く男の握る手が小刻みに震えていると知れば、見方も大きく変わるだろう。
「私は冤罪よ」
女の笑みが消えた。
「私は無実よ、無実なのよ」
俯いていた男は恐る恐る目線を上げる。その両眼を射貫く様な女の目線と合い、肩を震わせる。
「自分だけ、幸せになるつもり……?」
涙に濡れる女の声。男は黙っていることしか出来なかった。すると、女はすぐに表情を明るくさせる。
「責めてないわ。いいのよ。仕方が無いことなのよ」
凄まじい落差を感じさせる女の態度。男は再び目線を下げる。
男は恐ろしくて仕方が無かった。明るい声、態度と裏腹に極寒を思わせる程冷えた女の目が。
「すまない、祐子……」
男の絞り出す様な声。結局、面会の時間が終わるまで男は女の目をまともに見ることは出来なかった。
「私はやっていない……私はやっていない……」
独房にて祐子は叫び。自分がどれだけ理不尽な目に遭っているのか、どれだけ間違っていること起こっているのか、自分をここへ閉じ込めた者たちに溢れる程の怒りを送り付ける様に。
「素敵よ。貴女のその怒り」
乾いた拍手と若い女の声。
独房の外にいつの間にか女が立っていた。明らかに看守ではない服装。得体の知れない女に祐子は怯えることは無かったが、戸惑った様子で凝視する。
「誰、貴女?」
凝視していた筈なのに女の姿が視界から消え失せる。
「この牢屋と共に貴女自身を解放させてあげる」
背後から女の声。振り返ると壁に凭れながら懐中時計の様な物を手の中で玩んでいる。何時の間に、鍵は開いていないのに、誰、などの疑問が次々と浮かんで来るが、女は構わず祐子へと近付いて来る。
得体の知れない女から逃れようとするが、四方を囲まれた狭い独房に逃げられる場所は無く、すぐに壁に背を付けることとなる。
女は懐中時計──アナザーウォッチのスイッチを押し、それを祐子の腹部に当て、体内へと押し込む。
「う、ああああああああ!」
祐子の絶叫が独房内に響き渡り、アナザーウォッチから発せられた黒いエネルギーが彼女をアナザーライダーへと変貌させていく。
未来の王を擁立し、それを傀儡として未来を我が物としようとする女ことタイムジャッカーのオーラ。期待の候補として変異する肉体に苦しむ祐子を見ていた。
しかし、オーラはこの時、全く理解していなかった。本当に王に成れる存在というものは、良くも悪くも手綱を握れる様な存在で無いことを。
『イクサァ』
◇
闇夜に響き渡る笛の音。静寂に満ちた夜では遠く、彼方までその音が届けられる。
暫くすると何処からともなく飛んで来る三つの光。
青い狼の彫像。緑の半魚人の彫像。紫のフランケンシュタインの怪物の彫像。それらが人気の無い路地裏へ入ると、壁や置物に衝突し、地面に勢い良く転がっていく。
「がああああああああ!」
「うああああっ!」
「ぐががががあ!」
人の手で持てる大きさの彫像が地面の上で人の背丈はある三体の怪物へと姿を変えた。しかし、怪物たちは両耳を押さえて悶え苦しむ。未だに聞こえる笛の音。それが怪物たちを苦しめている。
「来たか」
「女、か……?」
青い狼男が苦しみながらも声の方を睨む。空には爛々と輝く満月があるが、その声の主はその光が届かない影の中に立っていた。黒い影は輪郭すら浮かばせない。
「今すぐ、この音を止めろぉぉぉ!」
「あ、頭が、頭が割れる……!」
「くる、しい……! 死、ぬ……!」
笛の音を止める様に恫喝するが、影の中の人物は聞く耳を持たない。
「喜べ。今からお前たちは私の物。私の駒だ」
平然とそう言い放ち、更に音を強くする。
半魚人とフランケンシュタインの怪物は、動かなくなってしまう。狼男は、音に必死に耐え、這いながら影へと向かって行く。
「何、者だ……!」
影へと手を伸ばす狼男。その手を踏み付けられ、踏み躙られる。影から現れた足は、ステンドグラスを彷彿とさせる多色の足を白骨の様な外装で覆われていた。
「躾のなっていない犬だ。私が直々に調教してやろう」
すると、這いつくばっていた狼男が強い力で引っ張り上げられる。見ると、仲間であった筈のフランケンシュタインの怪物が、狼男を掴んでいた。
「何、を……ぬっ!?」
両脚にしがみつく半魚人。両肩も押さえられており、身動きがとれなくなる。
「バッシャー……! ドッガ……! 正気に、戻れ……!」
音で正気を奪され、狂わされているのを悟った狼男──ガルルは、必死に呼び掛けるが反応は無い。
「さあ、私のペットになれ」
音が一際大きくなる。消え行く理性の中、ガルルの赤い瞳が最後に見たものは、巨大な十字架を背負った人影であった。
◇
クジゴジ堂内。ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズは常磐順一郎が初めて作ったアップルパイに舌鼓を打っていた。
三日も試行錯誤をして完成させたアップルパイ。パイ生地はサクサクとした歯応えが心地良く、少し進めばリンゴの甘さ、酸っぱさの絶妙な塩梅が舌を喜ばせる。数度噛めば焼き上がった生地の香ばしさとバターの香り、そしてリンゴの香りが鼻を突き抜けていく。
食感、味、香り、どれも隙が無く初めてとは思えない逸品。料理の腕もかなりのものだが、スイーツの腕もまたかなりのものである。
アップルパイの甘酸っぱさに刺激され、ソウゴの中にとある記憶が蘇る。
「この甘酸っぱさ……何と言うか……そう! 初恋の味!」
ソウゴの思わぬ発言に、皆が食べていたアップルパイを噴き出しそうになる。
「初恋!? ジオウ! お前、恋を知っているのか!?」
「当たり前だろ? 俺だって恋ぐらいするさ」
自慢げな表情をするソウゴ。ソウゴを除く全員からすれば意外という言葉しか出て来ない。
「そういうこととは無縁だと思っていた」
「何それ、俺がモテないって言いたいの?」
「モテるのか?」
「……あれは、俺が小学生の頃だった……」
「誤魔化した……そして、話すのか……」
強引に初恋の話を語り出すソウゴに、ゲイツは呆れた眼差しを向ける。
ソウゴは語る。初恋の思い出は小学生の頃、場所はとある公園。
当時、友達が居なかったソウゴは一人で遊んでいたが、その際に膝を擦り剝いて怪我をしてしまった。
怪我の痛みに泣いていると、通りすがりのセーラー服の女性がソウゴを慰め、怪我に絆創膏を貼ってくれた。
一人で遊ぶソウゴを不憫に思ったのか、その女性は日が暮れるまでソウゴと一緒に遊んでくれた。孤独だった彼にとっては、とても楽しい思い出である。
そして別れ際、女性は別れを惜しみ俯いているソウゴの顎下をその指先で優しく押し上げ、ゆっくりと撫でながら──
『さようなら、可愛いぼうや』
その時の思い出に浸りながら語り終えたソウゴ。本人は満足していたが、ツクヨミとゲイツは何とも言い難い表情をしている。人間離れした所もあれば、並以下なところも見せるソウゴの人間味溢れる思い出話にどう反応していいのか分からなかったのだ。
各人温度差がある中、静かに流れていくテレビのニュース。
『本日──刑務所から服役中の女性が脱走しました。女性の名は北島祐子──の容疑で有罪判決を受け、服役していたところ──』
しかし、アナウンサーが読み上げるニュースもソウゴの初恋話のせいで誰の耳にも入って来ない。──一人を除いて。
全ての明かりが消え、アップルパイを頬張っているウォズにだけ光が注がれる。
「この本によれば、普通の高校生、常盤ソウゴ。モグっ。彼には魔王にして時の王者・オーマジオウとなる未来が待っていた。うーむ、美味い……! 常磐ソウゴが手に入れなければならない残り4つ。だが、今回常磐ソウゴには別の意味での試練が待っていた。キーワードは……初恋。それにしても本当に美味なアップルパイだ……! ぜひ、お代わりを!」
◇
「いやあ、ご協力感謝します!」
「当然のことをしたまでです」
年配の警察官が、男へ敬礼をする。ひったくりの犯人を男が見事な身体能力であっさりと逮捕し、警察官に引き渡した為である。
「本当に凄かったですなぁ。素人の動きとは思えませんでした!」
「少し前までバウンティーハンターをしていたので」
「バウンティーハンター! 日本じゃ珍しい職業ですなぁ! もしかして海外の方ですか? かなりの腕なんでしょうな!」
「それ程でもありません。元々日本で暮らしていましたが、訳あって今は主に海外を拠点としています。今回は用事で偶々日本に帰ってきましたが」
警察官は男の格好を上から下まで見る。黒のジャケットとズボン。白のシャツにネクタイをキッチリ締め、衣服には乱れや皺など一つも無い。隙の一切無い姿は、男が常人でないことを表している。
「すみませんが、お名前を聞かせて貰っても?」
「いいですよ。私は──」
「久しぶりだな」
女の声。それを聞き、警察官の目が男の背後に向けられると、一瞬にして顔面蒼白となる。
「なっ!? あっ!?」
驚き過ぎて言葉を詰まらせる。
「何故、ここに……!?」
「知り合い、という言葉では済みそうではないですね」
警察官の只ならぬ様子に男は身なりの整った女──祐子を鋭く睨む。男もまた気付いていた。祐子から得体の知れない危険な気配が発せられていることに。
「お前の無能な捜査と根拠の無い勘のせいで私は無実の罪を背負わされた」
祐子は人差し指を警察官に突き付ける。
「お前に判決を言い渡す──有罪!」
『イクサァ』
途端、祐子の体を黒い力の奔流が包み込み、変貌させる。
ステンドグラスを思わせる体色の体を守る様に貼りつけられる骨に似た白い外装。顔には四分割された捻じれた十字架が角や牙の様に付けられ、血の様に赤い複眼と不揃いに並ぶ口牙をより禍々しく引き立てる。その背には自分の身長の大きさがある十字架を背負っている。
腹部には魔物の横顔の様なベルトが付けられており、赤い眼球がギョロギョロと動く。
「ファンガイア! いや──」
男が注目したのは異形が背負う十字架。水平部分に刻まれた文字。そこには『IXA』と『2019』の文字が左右に彫り込まれている。
「まさか、イクサなのか!」
男が見ている前で異形──アナザーイクサは背負っている十字架を構える。巨大な十字架を片手で持ち上げるその腕力。垂直の短い部分を持っているせいで十字架が逆十字架となる。
反対側が赤く輝き、細かく振動し始めるとアナザーイクサは変身のせいで腰を抜かしている警察官に斬りかかろうとする。
十字架の刃が警察官に届くと思いきや、男が直前に警察官の腕を引っ張ったことで十字架は空振りし、地面をバターの様に斬り裂きながら先端を埋める。
「早く逃げろ!」
男の大声で正気に戻った警察官は、慌ててこの場から逃げ出した。アナザーイクサがそれを追おうとするが、男が立ちはだかる。
「邪魔をするな。邪魔をするならお前も有罪だ」
「貴様、何者だ……!」
「私か? 私は女王だ」
さも当然の様に言うアナザーイクサ。
「女王……クイーンか」
男はそれを鼻で笑う。
「俺が知っている女王に比べると、品性が欠けているな」
男の挑発に、アナザーイクサは一笑する。
「女王に対して言い度胸だ。気に入った。死ぬ前に名を聞いてやる」
「素晴らしき青空の会会長、名護啓介」
「素晴らしき青空? そんなつまらないものより私を讃えた方が遥かに有意義だ」
「ただ青空を見上げることの素晴らしさを知らぬ者──」
名護はジャケットの中からベルトを取り出し、装着する。ベルト中央には紅玉の様なコアが埋め込まれた装置。側面にはホイッスルの様なアイテムが幾つも挿し込まれている。
「──その命、神に返しなさい」
名護は右手にナックルダスター型の機械──イクサナックルを握り、その側面に左掌を押し当てる。
『R・E・A・D・Y』
片言の機械音声が鳴り、右手を真横に突き出す。
「変身」
イクサナックルを胸の前に持ってきた後、ベルト中央の機械に接続させる。
『F・I・S・T・O・N』
コアから黄金の十字架が飛び出し、名護の眼前まで飛ぶと、十字架を基点としてアーマーが形成され、それが名護と一体化する。
白のアーマー。胸には太陽を思わせる円形のマーク。顔は十字架を思わせるマスクを装着している。
素晴らしき青空の会が作り上げたパワードアーマー『Intercept X Attacker』略してIXA。
人々を脅かすファンガイアと思しき存在と相対する。
「私の命を神に返せだと? 私の前では神ですら跪く!」
イクサへ斬りかかるアナザーイクサ。大剣が上段から振り下ろされる。しかし、イクサはその場から一歩も動かず、大剣の側面に素早く裏拳を当て、力の流れを狂わせてしまう。
「何っ!」
大剣が横に逸れ、またも地面に刺さる。その瞬間、イクサのマスクに光が走ると十字架が四分割され、中央から赤い目が現れる。と同時に熱波が発せられ、アナザーイクサを吹き飛ばす。
「くっ!」
熱波を受けて大きく後退させられるアナザーイクサ。イクサはその間に武器を取り出す。側面に赤い紅玉と黄金の両翼で飾られ、グリップ下にロングマガジンが装備された銃──イクサカリバー。
それをアナザーイクサに向けて撃つ。
白銀の光弾が幾つも連射されるが、アナザーイクサは十字架を盾にしてこれを防ぎ、アナザーイクサも十字架の側面をイクサに向ける。
側面部分が変形し、砲口が現れると、銀の弾丸が発射される。
それを躱し、銃撃するイクサ。弾丸を防ぎ、砲撃するアナザーイクサ。イクサの銃がサブマシンガンだとしたら、アナザーイクサの銃は大砲。手数ではイクサが上回るが、一撃の破壊力はアナザーイクサの方が上である。
周囲を破壊する銃撃戦が暫しの間、繰り広げられていたが、アナザーイクサがポツリと零す。
「飽きた」
「何だと……?」
アナザーイクサはベルトに手を伸ばし、そこにある魔物の下顎を押す。すると、笛の音が鳴り響く。
「ガアアアアア!」
「何ッ!」
背後からの奇襲。咄嗟にそれを避けるイクサ。立ち上がった彼は、襲い掛かってきた者の姿を見て驚く。
「馬鹿な!? 何故お前が……!?」
ガルルと顔見知りの様子のイクサ。驚いている余裕すら無くす無数の泡がイクサを狙う。
「お前も!」
バッシャーの泡を銃弾で打ち落としていくが、背後に殺気を感じて素早く横へ移動する。太い腕が通過し、ドッガの拳が大地を割る。
「どうなっている!」
ガルルが咆哮し、爪を振るう。
左右から来るそれを避け、足払いの下段を躱し、その場でターンしながらイクサはイクサカリバーのマガジンを押し上げると、グリップの直線状に赤い剣身が形成される。
ガンモードからカリバーモードとなったイクサカリバーで次々と振るわれるガルルの爪を防ぐ。
「まさか、操られているのか!?」
正気を感じられないガルルたちの様子に、イクサはそう結論付けた。
操っているのは勿論、高みの見物をしているアナザーイクサ。
「──少し痛いぞ」
ガルルの爪を弾くと、返す刃でガルルを斬る。
「グアっ!」
ガルルを怯ませると、バッシャーに突きを繰り出し、腹部を突く。
「うっ!」
最後にドッガに全力の上段斬りを放ち、肩から腹部に掛けて斬る。
「ぐっ!」
ドッガが斬られて前のめりになるとその背を踏み台にし、イクサを跳び上がった。
跳んだ先にはアナザーイクサ。イクサはベルト側面のホイッスル──フエッスルの内、金色のフエッスルを出して、イクサベルトに挿し、イクサナックルを押し込む。
『I・X・A・C・A・L・I・B・U・R・R・I・S・E・U・P』
胸部に仕込まれたエンジンがフル稼働し、胸のマークが赤く輝く。エンジンによって生み出されたエネルギーはイクサカリバーへ流れ込み、剣身を灼熱に染め上げる。
同時にイクサから太陽の如き白光が発せられ、アナザーイクサはその眩しさに思わず視界を閉じてしまう。
「はあっ!」
イクサカリバーから繰り出される悪を裁く審判の一撃──イクサ・ジャッジメント。
裁きの一撃に対し、アナザーイクサは──
「私を見下ろすな!」
──咄嗟に大剣を振るう。
イクサ・ジャッジメントは大剣によって軌道が変わり、アナザーイクサのベルトを浅く斬り付ける。
「女王の私に傷を付けるとは……! その名前、覚えたぞ!」
傷付けられた箇所を押さえながらアナザーイクサは逃亡。その後をバッシャーとドッガが追う。
「待て──うおっ!」
追おうとするイクサであったが、ガルルが腰の辺りにしがみつき、それを防ぐ。
「離しなさい! 離せ!」
「こ、これ、を……!」
ガルルがイクサに何かを出す。それはキバの顔が描かれた時計の様な物体。
「お前、正気に! それにこれは……」
「時間、が無い。それを、相応、しい、と思った奴に、渡せ……!」
「一体何が起こったんだ! あのイクサ擬きは何だ!」
「それと、星に、気を付けろ……星が、全てを、滅ぼす……!」
「星? 何を──」
「うううう……ガアアアアアア!」
ガルルは再び理性を失い、イクサの前で跳び上がり、両足で蹴り飛ばす。
「ぐあっ!」
植え込みの中へ消えていくイクサ。ガルルはアナザーイクサを追って消えた。
少し経った後──
「あれ? 誰もいない……」
「本当にここにアナザーライダーが出たのか?」
「間違いない筈よ。ほら、戦った後もある」
「どうやら入れ違いになってしまったようだ」
アナザーライダー出現を聞き付け、ソウゴたちがやって来たが、既に戦闘は終わっていた。すぐに変身出来る様にジクウドライバーとライドウォッチも持ち出していたが、無駄に終わってしまった──かと思いきや。
「君たち」
「え! 誰っ!」
いきなり植え込みから現れた名護に、ソウゴたちは驚く。
「君たちはこれと同じ物を持っている様だ」
名護は先程渡されたキバライドウォッチを見せる。
「新しいライドウォッチ!」
思わず触れようとするが、名護はそれを高々と上げて触れさせない。
「知っているみたいだ。だが、そう簡単には渡せない。これを与えるに相応しいか私には見極める義務が有る」
「見極めるって……どうやって?」
「君たち、私の弟子になりなさい」
『はあっ!?』
名護の唐突な言葉に。全員が口を揃えて声を上げてしまった。
◇
遥か上空、成層圏の向こう。音も空気も無い宇宙の中でそれを真っ直ぐ地球に向かっていた。
強大な力を持つそれは、更なる力を求めて地球に光を放つ。
光は力にとって触手の様なもの。求めるのは地球で最も強い力。
光は全ての人々の意思の中からある一つの答えを導き出す。
『仮面ライダー』。それこそが地球で最も強い力の名。
仮面ライダーを知り、純粋な力であったそれに体と名が与えられ、それに見合った姿へと変化していく。
力は静寂の中で産声の様に名を名乗る。
『わた、しは……仮面、ライダー……』
193と753は315です! サブライダーとしてこの人は外せません。
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ