仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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全員ほぼ新しいアナザーサブライダーです。
どれが何のアナザーサブライダーか当ててみて下さい。


アナザーサブライダーズ2019

 この世は地獄と化していた。一人の最低最悪の魔王の暴虐により。

 力無き人々は怯え、逃げ惑い、いつ来るのか分からない平和を只祈り、光の無い地下で震えながら身を寄せ合う。

 一方で、魔王の暴虐と支配を許せない者たちはレジスタンスとなり、それぞれが武器を手に取り自由を求めて魔王と戦う。

 しかし、その尊い意志も魔王が放つ配下の前では淡い光に過ぎず、圧倒的な力によって一粒の光も残さずに消し去られる。

 今もまた、希望の意思と光が消されていく。

 

「うああああああ!」

「撃て! 撃て!」

 

 立ち上がったレジスタンスたちは、調達したライフルから銃弾を吐き出し続ける。横並びになって連なる銃声は、数百メートル先まで届く轟音と化していた。

 人間ならば原型を留めないだろう銃弾の壁。だが、撃ち続けるレジスタンスたちの表情に余裕の色は無い。誰もが必死であった。だが、戦うことに必死なのでは無い。目の前から来る恐怖に抗うことに必死なのだ。

 

『エクスプロージョン……』

 

 銃声の轟音の中、聞こえてくる枯れた声。その声はレジスタンスたち全員の耳に届いていた。

 撃つのを止め、レジスタンスの一人が叫ぶ。

 

「逃げろぉぉぉぉ!」

 

 次の瞬間、彼らの足元が光り出し、コンクリートを突き破って爆炎が噴き上がる。

 

「うあああああ!」

 

 悲鳴を上げられた者は不幸であると言えた。まだ生き残っているからである。この場に於いて幸運な者は爆炎によって悲鳴すら残さずに消えていった者たち。

 何故ならば、この先の更なる絶望を見ずに済むからである。

 遠隔爆破によって隊列は崩され、銃声が止まる。代わりに負傷者の呻き声と戦いを呼び掛ける怒号が響く。

 そんな音すら掻き消す足音。一つだけでなく複数の足音が聞こえる。

 銃撃を集中させていた筈なのに、どの足音も淀みも無く一定の間隔であり、あれほどの銃撃を浴びせられても大したダメージでないことを意味していた。

 レジスタンスの一人が積み上げられた土嚢の端から恐る恐る足音の方を覗き見る。

 死と蹂躙を生み出すアナザーライダーたちが、こちらへ向かっていた。

 魔王の兵であり、この世界を地獄に塗り潰していく悪魔たち──アナザーライダー。

 その内の一体。元は白かったのであろうが、薄汚れて灰色となった継ぎ接ぎだらけのローブを頭から足元まで覆い、宝石の原石の様な琥珀色の顔を持つアナザーライダーが、手の骨の形をしたベルトに手を重ねる。

 

『エクスプロージョン……』

 

 レジスタンスが身を隠していた土嚢が一斉に爆破。彼らを隠す物が無くなる。

 

「く、くそ!」

 

 レジスタンスの一人がライフルを構えようとする。その途端、銃身が切断された。

 その側には、いつの間にか青光りする甲殻のアナザーライダーが立っている。

 頭部には前に突き出される一対の鋭利な角。口部にもまた巨大な大顎が備わっている。手には巨大な鋏を持っており、それによってライフルが破壊された。

 

「ひっ!」

 

 開いては閉じる角と大顎。巨大な鋏もあった背筋の冷たくなる恐怖を連想させる。

 攻撃手段の無いレジスタンスは逃げようとした。だが、怪人の腹部から伸びた複腕がそれを逃さない。

 

「ぎゃあああああ!」

 

 刃が連なった複腕が体に突き刺さり、そのまま怪人に引き寄せられる。角、顎、鋏、それがレジスタンスの目の前に迫る。

 

「や、やめ──!」

 

 最後の言葉を言い切ることが出来ず、レジスタンスの体は幾つものパーツに分けられた。

 凄惨な光景に他のレジスタンスは絶句し、慄く。それを皮切りにアナザーライダーたちの蹂躙が開始される。

 

 

 

「うああああ!」

「逃げろぉぉぉぉ!」

 

 頭上から降り注いでくる光弾の雨。着弾と同時に地面の破片とレジスタンスたちが吹き飛ばされる。

 それを発射するのは、緑に輝くU字型の仮面を付けたアナザーライダー。胴体から伸びる赤い砲身が天を向き、そこから次々と光弾を打ち上げている。体に不釣り合いな大きさと長さの為、砲身がアナザーライダーを貫いている様に見えた。

 撃ち出す度に大きな反動がアナザーライダーを襲うが、右腕よりも一回り以上巨大な左腕が、コの字型の左手を地面に突き立てることで反動に耐えている。

 

 

 

 重なる銃撃音。それを奏でるのは二体のアナザーライダー。

 赤と銀の厚みのある上半身が両手で抱える様にして撃つ最早大砲と呼べる銃。クワガタムシの顎の様な仮面から覗かせる目が、撃ち抜く獲物たちを無感情に見つめている。

 もう一体は、体から枯れ枝の様なものを生やし、白い点が無数にある緑の体にどす黒い紫の中華風の鎧を纏ったアナザーライダー。その手に握る腐った葡萄を束ねた様な銃からは赤黒い液体が弾丸として飛び出し、命中したものを有機物、無機物問わずに溶解させる。

 

 

 

 戦う者もいれば、戦意を失って逃げ出す者も居る。しかし、アナザーライダーにとって戦意の有無など関係無い。

 逃げる者たちを追い掛けるバイクのエンジン音。背後から迫るそれに耐え切れず、逃亡者の一人が振り返る。

 前面に髑髏が付けられたバイクに跨り、オフロードヘルメットに似た仮面を被るアナザーライダーが追い掛けて来ていた。

 仮面は所々が破損しており、罅割れたバイザーからは白い目が見え、ヘルメット中央にはモヒカンの様に鋭い棘が連なっている。

 そのアナザーライダーは片手でバイクを操縦し、もう片方の手に鎌を握っていた。その凶器を怖れ、走る速度を上げるが、バイクと人の脚、どちらが速いかなど子供でも分かる。

 振り返っていた逃亡者はその鎌が振るわれる瞬間が見えなかった。振るわれた時には、そこに在るべきものが宙を舞っていた為に。

 

 

 

 レジスタンスの武器は、何もライフル一つだけでは無い。国としての形を崩壊させられ、義憤に燃える元自衛隊などが基地から戦闘ヘリや戦車を操縦し、戦場に赴いている。

 大きな音を立てて回転翼を回す戦闘ヘリ。大口径の機関砲が下で暴れているアナザーライダーたちに照準を定めようとしていた。

 アナザーライダーたちは上空のヘリを気にも留めない。戦う以外の知能を持たないから──ではない。既に対処してあることを気に留める必要など無いからだ。

 操縦桿を操作し、機関砲から弾を吐き出す瞬間、操縦席内が蜂の巣と化す。

 割れたガラスの向こうには背部から白煙と炎を噴き出しながら宙でホバリングしている白い姿のアナザーライダー。

 全身に血管の様な青いラインを巡らせ、胸部には巨大な紫色の眼球。仮面にも同じく紫の眼球が有り、単眼であったが、Ψというギリシア文字の様な線で中央から区切られているので単眼にも双眼にも見える。

 両手には操縦桿と銃口が一体化した武器が握れており、操縦席を穴だらけにした弾丸はここから発射されたものと思われる。

 白いアナザーライダーは操縦桿から手を離し、親指で首を掻っ切るジェスチャーを見せると、操縦者を失ったヘリは墜落していった。

 

 

 

 落下したヘリが爆発炎上する横で、かつて戦車であった残骸が墓標の様に地面に突き立てられていた。一台だけでなく何台も。

 大地を走破する戦車に起こり得ない筈の破壊痕。如何にして出来上がるかは、残り一台となった戦車が教えてくれた。

 砲塔を回転させ、狙うべき標的を砲身が必死に追う。だが、砲口がそれに向けられる前に戦車は側面から襲われた。

 戦車を挟める程の大顎。木々すらなぎ倒す程の羽の羽ばたきで、そのまま上空へ飛び立つと、何十トンもある戦車が空へと運ばれていく。

 運ぶのは戦車を超える巨体のクワガタムシ。黒い甲殻と金の模様、黒味を帯びた無機物な赤い目。

 クワガタムシは空中で戦車を挟み上げ、形を変えてしまうと上空で大顎を開く。戦車は落下し、大きな音を立てて既に並んでいる残骸の仲間と化す。

 戦車を全滅させたクワガタムシ。すると、その姿が変化する。

 大顎は脚部に、甲殻は背面となり、後ろ足が両腕となると赤い胴体の中から収納されていた頭部が出てくる。

 生物として在り得ない変形をし、クワガタムシから赤い巨体のアナザーライダーとなると自らの勝利を祝うかの様に鳴き声の様な咆哮を上げた。

 

 

 

「グアアアアアアア!」

 

 獣の如き咆哮を上げ、緑のアナザーライダーが疾走する。

 両腕から爪が飛び出しており、すれ違うレジスタンスたちを次々に斬り裂いていく。

 アナザーライダーの気迫に怖れをなしレジスタンスの一人が逃げ出すが、背部から伸びた赤い触手がそのレジスタンスに巻き付き、引き戻す。

 

「グアアアア!」

 

 眼前に来たレジスタンスにアナザーライダーは大口を開いて叫び声を浴びせた。

 額には左右長さの違うせいで三日月の様な形になっている触覚。黄色の複眼の奥には白い目。右側の背部のみに赤い突起が不揃いで生えており、脱皮し損ねたカミキリムシを彷彿させる。

 

「は、離──」

 

 緑のアナザーライダーは懇願するレジスタンスの悲鳴ごとその命を噛み砕く。

 

 

 

「あ、ああ、ああ……」

「う、うごけ、な、い……!」

 

 何人かのレジスタンスたちが地面に縫い付けられた様にその場から動けなくなっていた。

 彼らの足元には蝙蝠を連想させる巨大な紋章が描かれており、そのせいで身動きが取れなくなっている。

 その上空では巨大な翼を羽ばたかせるアナザーライダー。蝙蝠に似たアナザーライダーであり、両腕は無く代わりに頭部側面から翼を生やしていた。オオコウモリに似た長い口吻の顔。緑の複眼全てにレジスタンスたちが映っている。額には緑の玉が縦に三つ並んでいた。

 蝙蝠のアナザーライダーが映し出す影の中ではありとあらゆる者たちが自由を奪われる。だが、奪われるのは自由だけでは無い。

 影の中のレジスタンスたちから急速に色が失われていく。やがて、ガラス細工の様に透けた体となるとレジスタンスたちは粉々に砕け散った。

 

 

 

 響き渡るは管楽器の音色。遠くまで木霊するそれは、戦場では不似合いと言えた。だが、聞かされている者、聞く者の姿はこれ以上無い程に相応しい。

 音色を出すのは、青い隈取をした金の三本角のアナザーライダー。鬼に似た仮面を被っており、鋭く並ぶ鬼の牙の奥に、人と同じ口部がある。

 鬼のアナザーライダーはその手に管楽器を持っていない。代わりに口の中に親指を挿し込み、残りの指を曲げて管に見立てる。親指に息を吹き込むと、不思議なことに管替わりの指から管楽器の音が鳴る。

 そして、管楽器の音を聞いたレジスタンスたちは、その身を異常に震わせる。自らの意思で震わせているのではなく、音によるもので体を震わせ続けているせいで、目や耳、口から流血し出しているが、音が続く限りその震えは止まらない。

 音が止まる時、それは彼らが絶命した時であろう。

 

 

 

 それは悪夢の様な光景であった。

 

「やめろ! やめてくれ! うあっ!」

「よせ! 来る──」

 

 レジスタンスたちが次々と撃ち抜かれていく。仲間の放った銃弾で。

 ライフルを構えるレジスタンスたち。その姿はおかしなことになっていた。

 襤褸切れの様な黒い布らしきものを頭から被っており、それが影になっているせいで仲間を撃つレジスタンスたちの表情が見えなくなっている。

 

「く、くそ……!」

 

 肩を撃ち抜かれたレジスタンスの一人が這ってでも逃げようとする。そんな彼の首根っこを掴み、後方へ投げ飛ばす者が居た。

 

「がはっ!」

 

 急な衝撃を首に受け、咳き込むレジスタンス。涙目で顔を上げた彼が見たのは、幽鬼を思わせる白いアナザーライダー。

 同士討ちをするレジスタンスたちが纏っているのと同じ襤褸切れの衣を羽織り、胸部には白く濁った眼球が埋め込まれている。

 顔には円形のゴーグルを填めており、ゴーグル内は緑色の液体で満たされており、その中で二個の白い眼球が泳ぐ様に上下に漂っている。

 アナザーライダーは羽織っている衣を引き千切る様に脱ぐ。衣の下には、また別の衣があった。

 それをレジスタンスに放り投げると、衣は意思を持っているかの様に宙を飛び、レジスタンスの頭に覆い被さる。

 

「や、やめ──」

 

 そこで言葉が途切れ、レジスタンスは肩の負傷を無視してライフルを構え、他の者たちと同様にかつての仲間たちを撃ち始める。

 

 

 

 レジスタンスたちの悲鳴と絶叫が絶えず聞こえてくる。レジスタンスのグループは、物影から反撃の機会を息を殺しながら窺っていた。

 武器は各人が持つライフル一丁のみ。アナザーライダーたちを倒すには心許ない。だが、リーダーの立場であるレジスタンスは振り返り、そこに並ぶ顔を眺めた。共に死線を潜り抜けた頼れる五人の仲間たち。彼らが居ればどんな逆境だろうと越えて行ける。

 仲間の顔を確認し、リーダーは視線を戻す──ことはせず再び彼らに目を向けた。

 違和感。仲間を見た時にそれを覚えた。

 眼鏡の男。バンダナの男。腕に包帯を巻いた男。色黒の男。長髪の男。そして、眼鏡の男。

 違和感の正体に気付く。五人ではなく六人、それも眼鏡の男と全く同じ容姿をした者が紛れ込んでいた。

 

「敵──」

 

 リーダーがライフルを構えるのを見て、他の仲間も武器を構え、偽物の眼鏡の男を攻撃しようとするが、それを上回る速さで偽物の眼鏡の男が動く。

 右腕が銀色に輝くと、ロケットの様な円塔形となる。本物のロケットの様に炎を噴き出し、それによって加速した右腕でレジスタンスたちを全員薙ぎ倒した。

 

「ぐあっ!」

 

 ロケットの一撃を受け、地に伏せるリーダー。足搔きの様に顔を上げる。すると、偽物の眼鏡の男の体が水面の様に波打ち、姿が変わる。

 全身は周囲の物が映る程の銀。そして、細い体付きは女性の体格に似ていた。波紋が生じる表面は、まるで水銀を人の形にした様な不安定さ。

 頭部らしき部分には猫の耳の様な一対の突起と、水色に発光する楕円形の両目らしきものがある。

 その姿は、最もポピュラーな宇宙人を連想させた。

 銀色のアナザーライダーはリーダーの顔を見ると、体を震わせ始める。銀色が肌色、黒、緑へと変わり、顔付きも人間のものと変わる。

 数秒後にはリーダーと全く同じ姿となっていた。

 

「なっ!」

 

 アナザーライダーの擬態に言葉を失う。

 リーダーの姿となったアナザーライダーは、丁寧にもライフルまで再現しており、銃口をリーダーに向け、躊躇無く引き金を引いた。

 本物と同じく弾丸は発射され、リーダーは永遠に沈黙。リーダーに成り代わったアナザーライダーは、後五回引き金を引くと、何事も無かったかの様に他のレジスタンスたちに合流していく。

 

 

 

 仲間を引き連れて走る、走る。武器も、疲労もどちらかも重く圧し掛かってくるが、足を止めることは出来ない。

 敵を恐れながら慎重に足を進めていき──

 

 ピチャリ

 

 一斉に銃口を向ける。あったのは水溜りだけ。過敏になり過ぎている神経のせいで自分が踏んだ水の音にすら過剰に反応してしまう。

 水溜りを踏んだレジスタンスは、仲間を見る。他のレジスタンスたちも気恥ずかしそうな表情をしていた。

 それが少しだけ可笑しくて、場違いだと分かっていても微笑を浮かべてしまう。皆も似たような表情をしていた。

 緊張感に満ちていた空気が良い意味で若干緩む。

 その瞬間、水溜りからサメの頭部が現れ、レジスタンスの喉元に喰らい付き、彼を水溜りの中へ引き摺り込む。

 あまりに突然のことに全員呆然とした。水溜りからサメが出たことも、浅い水溜りに大人が引き摺り込まれたのも、全部が非現実的過ぎて。

 すると、水溜りの中から何かが出てくる。

 濡れた青い体のアナザーライダー。右腕は肘から下がサメの頭部。左腕もサメの頭部。胴体もまたサメの頭部であり、そこに胴体を縮めたサメそのものが乗っかっている。

 サメの集合体。それ以外表現し様の無い姿。

 サメのアナザーライダーは、両腕をレジスタンスたちに突き出す。両手のサメが口を開き、水流を吐き出す。

 高圧力の大量の水を浴びせられ、レジスタンスたちは纏めて押し流される。

 水流で転倒するレジスタンスたち。周囲は水浸しになっていた。

 滴る水を拭いながら、レジスタンスの一人がアナザーライダーに銃口を向けようとする。

 

「……え?」

 

 そこにアナザーライダーは居なかった。姿を隠したのかと思ったが、すぐに仲間が引き摺り込まれた光景を思い出す。自分たちは、その時と同じく水溜りの上に立っている。

 

「逃げ──」

 

 残された仲間の内、二人が水溜りから口を開いた二匹のサメに頭を噛まれ、水溜りの中へ引っ張り込まれた。抵抗する暇すら無い。

 残されたのは一人だけ。

 急いでここを離れ、この存在について仲間に伝えなければならない。

 レジスタンスはすぐに水溜りから離れて走り出す。幸いにもアナザーライダーは追って来ない。

 このまま急いで仲間と合流し──

 

「がはっ!」

 

 ──レジスタンスの苦鳴が上がる。横から現れたサメがレジスタンスの胴体に喰らい付いていた。

 

「な、何で……?」

 

 水溜りなど周囲には無い。ならば、何処からサメが現れたのか。

 レジスタンスの目線がサメの体を辿っていく。そして、知った。サメが窓ガラスの中から飛び出していることに。

 

「そんな……」

 

 水溜りではなくガラスや鏡などの反射物を出入口にしていたことを理解するが、その時には、彼はガラスの中に引き込まれていた。

 

 

 

 特殊な能力によってレジスタンスたちを蹂躙していくアナザーライダーたち。だが、中には特殊な能力なども使わず、白兵戦のみでレジスタンスたちを圧倒するアナザーライダーたち存在した。

 力と技による分かり易い力量の差の見せつけ。その単純さは、レジスタンスたちの心をより絶望へ導いていく。

 高々と振り上げられた足が、レジスタンスの首に打ち込まれる。その一撃で戦闘不能となるレジスタンス。仲間のレジスタンスが形を打つ為にライフルを構えるが、銃弾が発射される前に接近される。動きに付いていけないのだ。

 目の前に立つアナザーライダーは、墓場から蘇ったのかと思わせる全身白骨の姿。頭から下まで全て骨。それなら風通しの良い隙間だらけの体になるが、その隙間を黒い靄の様なものが埋めている。骸骨の額には稲妻型の亀裂。亀裂はSという文字にも見えなくもない。

 接近した骸骨のアナザーライダーは、レジスタンスの胸に人差し指を押し当てる。途端、レジスタンスの体が一瞬震える。

 骸骨のアナザーライダーの指の第一関節が無くなり、レジスタンスの胸の指が通る程の風穴が出来ている。

 失われた人差し指の先は、数秒で再生し、元の五指となると、骸骨のアナザーライダーは次なる標的を探す。

 レジスタンスたちの間をすり抜ける様に飛んでいく短剣。旋回しながら飛ぶ短剣は、すり抜け様にレジスタンスたちを斬り付けていく。

 悲鳴、苦鳴を上げる中、飛んでいた短剣が持ち主の手の中へと戻っていく。

 両眼から角の様な紫色の複眼を伸ばし、胸からは青く輝く紋様が入った一対の布を垂らす。

 腰横にはスカートの様に広がるアーマーを付けており、そのアーマーには短杖、短斧、短銃を装備している。

 戻って来た短剣をアーマーに戻し、次なる得物を選ぶ。選択肢は多い。だが、迷う必要は無い。狩るべき獲物はまだ沢山いる。

 銃撃と斬撃。二つのコンビネーションが次々とレジスタンスたちを倒していく。

 上半身から伸びるパイプから蒸気の様な煙が噴き出し、よりその速度が上がる。レジスタンスたちの目には紫の色の残像しか見えていない。

 全てのレジスタンスたちが倒れた時、駆け抜けていたそれの動きも止まる。

 機械の様な意匠が施された白と紫の装甲。額には羽を広げた蝙蝠を思わせるヘッドパーツ。その下には紫のゴーグルが填められており、白い眼球が透けて見えた。

 両手に持つバルブが付いた短剣と銃身が短い銃を駆使してレジスタンスたちを葬ったそのアナザーライダーは、満足した後に眉間の間に指を這わす。

 レジスタンスたちの精一杯の反逆も、アナザーライダーたちの前では無駄な抵抗に過ぎない。

 彼らは待つしかない。この地獄を終わらせてくれる存在が現れるその日を。

 

 

 

「……随分と荒らされているな」

 

 世界から世界へと渡り歩く旅人であり、仮面ライダーディケイドである門矢士は、ビルの屋上から崩壊していく街を見て、表情を険しくする。

 別世界に着く度に首からぶら下げたカメラで撮影するが、流石に目の前の光景を写す気にはなれなかった。

 やがて、士は短く息を吐く。士の背後にいつの間にか誰かが立っていた。

 

「早速御出ましか」

 

 士がこの世界に現れたことを感知し、刺客が送り込まれたのだ。

 振り返り、その刺客を見た士は、一瞬だけ意表を衝かれた様な表情となる。

 

「よりにもよって、その姿か……」

 

 シアンと黒色の全身。四角い頭部には扇状に格子に似たパーツが刺さっており、頭部の側面からは水牛の様な角が生えている。胴体も頭部と似た形状をしており、両肩からも角が生えている。

 士にとって非常に見覚えのある姿であった。

 

「──にしても……くっ!」

 

 士は思わず失笑する。そのアナザーライダーの姿を見ると、ある怪盗の大失態を思い出してしまうからである。

 士は笑いの衝動を押し込め、殺気立つアナザーライダーに対し、マゼンタカラーのドライバー───ネオディケイドライバーを装着する。

 

 

 

「──今、君、笑わなかったかい?」

 

 世界を股に掛ける怪盗であり仮面ライダーディエンドである海東大樹は、気分を害した様な表情で目の前の存在に話し掛ける。何故か急に馬鹿にされた気がした。

 お宝を求めてこの世界に来た海東。この世界の惨状など特に気にせずにお宝の情報を集めようとした。

 すると、向こう側の方から海東に接触してくる。

 銀の体色。オレンジの右眼。頭部の左側だけ破損したエンジン、垂れたコード、流血の様に黒いオイルを流しており、半壊した様な頭部をしている。

 右手から先は斧の形になっており、腕には緑と赤のランプが埋め込まれている。肘から柄らしきものが伸びており、左手でそれを掴んでいた。

 海東の存在を許さないこの世界の支配者からの刺客は、海東の問いに対し、沈黙を続ける。

 

「やれやれ。聞かれたことに答えないなんて、見た目通りのスクラップということかい?」

 

 相手を小馬鹿にしながら、海東はシアンカラーの銃──ネオディエンドライバーを構えた。

 

 相手が居ることなど知らず、場所も違う二人。しかし、偶然なのか、それともそういう運命なのか。その時の二人の声は奇跡の様に揃っていた。

 

『変身!』

『カメンライド・ディケイド』

『カメンライド・ディエンド』

 

 

 

 

 この世の混乱の元凶。争いと悲しみを生み出す最低最悪の魔王は、独り玉座にて宿敵が現れるのを待つ。

 その存在を堕とし、地獄を味わわせ、憎しみと屈辱を晴らす為に。

 

「さっさと来い……! 常磐ソウゴ……!」

 

 怨念と共にその名を吐き捨てる。

 彼の前に並べられた三つのアナザーウォッチが強く輝く。その意思に反応し、それを養分として力を高めていく。

 邂逅と開戦の時は近い。

 




ゲイツマジェスティを見ました。アクアもそうですが、自分の妄想が大当たりすると驚きますね。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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