仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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また急に用事が出来たのでキリが良い所まで。続きは近い内に投稿します。
オーマジオウだから好き勝手やってみました。



アナザー2019 その1

 変化は突然であった。目の前に歪みの様な空間の穴が出来たと思えば、それがソウゴを潜らせ、荒れ果てた大地へと転移させる。

 驚き、振り返ったソウゴが見たのは、幾つもの時計盤が連なって出来た空間の穴と、その穴の向こうに見えるさっきまで自分がいた2017年の灯台。

 ソウゴが見ている前でそれは消えていく。思わず手を伸ばすソウゴであったが、伸ばした手が途中で止まった。

 金の装甲と黒いスーツに覆われた手。アナザーガオウとの戦闘後、変身解除をしたのにいつの間にかグランドジオウの姿になっている。

 場所と自分の変化に戸惑いながら周囲を見回し始めるグランドジオウ。

 

「ここは……ッ!?」

 

 息を呑み、その視線が一点へと集中させられる。いつの間にそこに立っていたのかは分からない。一度見てしまえば、視線を離すことなど出来ない威圧感と存在感。

 常磐ソウゴが辿るべき道の終着点──オーマジオウがそこに居た。

 

「若き日の私よ。全ライダーの力を手に入れたか?」

「オーマジオウ……!」

 

 全ライダーのレリーフを纏ったグランドジオウを一瞥するオーマジオウ。

 

「どれ程のものかと期待したが──まだ私には及ばないか」

 

 失望を混ぜた言葉に、グランドジオウは反論する。

 

「どうかな? ……俺は行ける気がする」

 

 かつて挑んだ時、手も足も出ずに叩きのめされた。オーマジオウを倒せないと思ってしまったソウゴは、ジクウドライバーを手放すことでオーマジオウに至る未来を消し去る選択をした。

 一度は捨てた夢だが、ゲイツやツクヨミのおかげでソウゴはまた王様になる夢を抱くことが出来た。もう二度と捨てない為に、オーマジオウへ挑む。

 オーマジオウはグランドジオウの言葉を受け、開戦の一撃を繰り出す。

 

「来い!」

 

 オーマジオウから放たれるトランプ型のエネルギー。人が収まりそうな大きさのそれが回転しながら四枚もグランドジオウに迫る。

 

「はっ!」

 

 腕を一振りしただけで、全てのトランプが弾かれ、後方斜め上へと飛んでいく。

 

「甘い」

 

 トランプ型のエネルギーには絵柄があった。それぞれヘラジカ、ホタル、タカ、シロクマ。それが生物の様に動き出すと、トランプの中から雷、炎、風、氷が発生し、グランドジオウを背後から撃つ。

 四つの属性をその身に浴び、衝撃で地面が爆発して砕け散るが、巻き上げられた土煙を突き破って無傷のグランドジオウが駆け出してくる。

 

「ふん!」

 

 オーマジオウは無事であることを当然とし、走って来るグランドジオウに緑と黒の混じりあった竜巻を発生させた。

 竜巻がグランドジオウを呑み込む。仮面ライダーWによって生み出された竜巻は、異なる二つの力の相乗効果により、風に切れ味が付与される。

 グランドジオウは四方八方から斬り掛かる刃の渦に閉ざされたに等しい。しかし、黄金の鎧は全方向から来る風の刃にも表面から削り滓一つ出さない。

 だが、それもオーマジオウにとっては想定の範囲内のこと。

 

「はあ!」

 

 竜巻の中で浮かんでいた緑と黒のWの紋章が、赤と銀に色を変える。すると、グランドジオウを吞み込んでいた竜巻が溶鉄に変化し、グランドジオウを覆う。

 赤熱化した鋼鉄。その温度は、数千度はあるだろう。そんな溶けた鋼鉄が、グランドジオウの姿が見えなくなるぐらい余すところなく覆い尽くす。

 だが、オーマジオウはそこで手を緩めない。伸ばしていた手の五指を曲げる。溶鉄が形を色と形を変える。飴の様に不定形であったグランドジオウに合わせた形になり、表面も冷えて銀色になる。

 瞬く間にグランドジオウの鉄像が出来上がった。ただし、冷えているのは表面だけであり、銀色の下では未だに数千度の超高温がグランドジオウを焼き尽そうとしている。

 若き頃に自分相手でも一切の情けと容赦の無いオーマジオウの攻撃。

 しかし、逆に言えばその容赦の無さがオーマジオウからグランドジオウへの評価と言えた。

 銀色のグランドジオウに亀裂が走ると、次の時には粉々に砕け散り、中から無傷のグランドジオウがオーマジオウ目掛けて飛び掛かる。

 渾身を込めて繰り出される拳。オーマジオウは上体を捻り半身となってそれを躱すと、続けて放たれた拳がそれを追い掛けてくる。

 手の甲でそれを叩き、防御が疎かになった体にオーマジオウは掌打を繰り出す。だが、グランドジオウまた引いた拳を再度放っていた。最初から回避など考えていない。

 互いの胸部に炸裂する掌打と拳打。打ち込まれたエネルギーが金色の光となって爆ぜる。

 

「くっ」

「うっ!」

 

 傲岸不遜の魔王は初めてダメージを受けた様な声を洩らし、風雷炎雪にも無傷であった若き魔王もまた掌打一つでそれ以上の痛みを感じる。

 打ち合いによって互いに地面を割りながら後退していく両者。足に力を込めて急停止すると、大地に過剰な力が掛かり地面が捲り上がる。

 

『ビルド!』

 

 レリーフを押すことで時間の扉から仮面ライダービルドを召喚するグランドジオウ。

 オーマジオウが左手を突き出すと、クウガの紋章が出現。

 

『クウガ!』

 

 その紋章から仮面ライダークウガが呼び出され、グランドジオウが召喚したビルドと戦い始める。

 最初の攻撃。今のクウガの召喚。グランドジオウは一つ確信する。

 オーマジオウの姿が消え、グランドジオウの前に瞬間移動をしてきた。目の前に立つオーマジオウに、グランドジオウは咄嗟に拳を打ち出すが、オーマジオウはそれを掌で難なく受け止めた。

 

「あの時! 手加減していたな!」

 

 グランドジオウが言うあの時とは、2068年の未来で初めてオーマジオウと対面した時である。オーマジオウを未来の自分であると認められず戦いを挑んだが、当時のジオウは手も足も出ずに敗れた。

 その際に、仮面ライダーの能力を発動する度にそのライダーのライドウォッチを起動させていたが、その気になればライドウォッチ無しで能力を発動出来ることを今知った。つまり、あの時の戦いはオーマジオウにとって一々回りくどい手順で戦うハンデ戦だったのだ。

 その事実がグランドジオウにとって強い屈辱感を与える。

 

「癇癪を起こした子供を宥めるのに、本気を出す者など居ない」

「ふざけるな!」

 

 荒廃した未来を憂い、怒り、それをどうにかする為に挑んだ戦いを癇癪の一言で片付けられ、グランドジオウは怒声を上げる。

 

「もうあの時の俺じゃない! 今日こそ決着を付ける!」

「──愚かな」

 

 二人が戦う中、ビルドとクウガの戦いも決着が付こうとしていた。二人のライダーは跳躍し、必殺の威力を込めたキックを空中で衝突させる。

 空中で起こる爆発。二人のライダーは爆発の中に消え──無かった。爆発を突き破り、クウガが地面に着地する。

 

「え!?」

 

 その光景にグランドジオウは驚く。赤い姿で戦っていた筈のクウガが、黒い姿に変わっていた。グランドジオウの持つライドウォッチと同じ様な黒い姿──アメイジングマイティフォームに。

 

「こんな事造作も無い」

 

 召喚したライダーを強化したことをさも当然の様に言うオーマジオウ。

 オーマジオウの新たな力を目の当たりにし戸惑うグランドジオウに、オーマジオウは拳を打ち込む。

 重い痛みと衝撃で我に返ったグランドジオウは、殴られながらも中段蹴りを返す。それを肘で難無く打ち落とすオーマジオウ。

 

「お前にも出来る筈だ。私はお前なのだからな」

「ッ! うるさい!」

 

 あくまでもオーマジオウを未来の自分であることを認めず、声を荒げる。

 オーマジオウを拒絶する様にオーマジオウ目掛けて横蹴りを繰り出したグランドジオウ。すると、オーマジオウが召喚したアメイジングマイティクウガがオーマジオウへ飛び込み、二人の姿が重なりあって一つとなる。

 その状態からグランドジオウと全く同じ体勢でオーマジオウは横蹴りを放った。ただし、蹴りを放つ足からは、雷光を思わせる光を放出するクウガの紋章が浮かんでいる。

 

「うあっ!」

 

 衝突する蹴りと蹴り。押し合いに負けたのは、グランドジオウの方であった。オーマジオウは片足を上げたまま不動。グランドジオウは大地を抉りながら下がっていく。

 

「くっ!」

 

 急いで体勢を立て直そうとするグランドジオウは、僅かの間オーマジオウから視線を外してしまった。

 体勢を立て直し、オーマジオウを視界に入れようとした時、既にオーマジオウはグランドジオウの眼前に居た。

 

「返して貰うぞ」

 

 グランドジオウの左大腿部に、オーマジオウは掌打を打ち込む。

 

『ドライブ!』

「えっ!」

 

 2014と描かれたフレームが現れ、開いたそこから出てくる仮面ライダー。

 メタリックレッドの装甲。リアウイングを飾られた頭部。ヘッドライトに似た両眼。襷の様に胴体に掛けられた車のタイヤ。

 車をイメージさせるその姿こそ仮面ライダードライブの特徴であった。

 

「何で……」

 

 グランドジオウは、自分の意思に反して呼び出されたドライブの存在に、戸惑いを隠せない。

 一方でドライブの方は、グランドジオウを守る為に構えるが、オーマジオウが手を翳すと、ドライブの体に黒い電流が走る。

 そして、グランドジオウが見ている前で構えた矛先をオーマジオウからグランドジオウに変えた。

 途端、ドライブが急加速し、グランドジオウに拳を叩き込む。

 

「ぐっ!」

 

 腕を交差し、それを防いだグランドジオウ。

 

『ヒッサーツ! フルスロットル! スピード!』

 

 聞こえてきた声に、グランドジオウは交差した腕を急いで解いた。

 グランドジオウを中心にして回る赤い残像。それは、ドライブの愛車であるトライドロン。地面ではなく空中を足場にして疾走し続けている。

 そこに飛び込むドライブ。旋回するトライドロンを壁面に見立てて着地し、すぐさま跳び、中央に立つグランドジオウにキックを放つ。

 

「うあっ!」

 

 ドライブのキックを受け、体勢を崩すグランドジオウ。ドライブの攻撃は一回では終わらない。グランドジオウを通過した先にあるトライドロンを足場にし、跳ね返る様にまたキックを繰り出す。

 

「うう!」

 

 三回、四回、五回と連続して繰り出される必殺のキック。三百六十度から襲い掛かって来るそれを、グランドジオウは身を固めて耐える。

 キックの数が十を超えた時、不意に攻撃が止まる。

 

『ドライブ! タイプデッドヒート!』

 

 新たな声。ドライブの姿が別形態と変わる。

 胸部装甲は前と変わらないが、それ以外は白いスーツへと変わり、頭部に白い色と口元を覆う赤いパーツが追加。右肩にもメーターが描かれた小型のタイヤが装着されている。

 タイプデッドヒートと呼ばれる形態となったドライブは、呆けているグランドジオウを拳で打つ。

 生み出される莫大なエネルギーは、拳に超高熱を与え、打ち込む度に爆風を巻き起こす。普通なら一撃受けただけで吹っ飛ぶが、デッドヒートの拳を受けてもグランドジオウは吹っ飛ぶことは無かった。

 何故ならば、グランドジオウが吹っ飛ぶ前にデッドヒートは次々と拳打をグランドジオウに浴びせ、グランドジオウが超高熱と爆風を認知した時には打ち込んだ数は百を超える。

 結果、蓄積された百発分のダメージがグランドジオウへ一気に襲い掛かる。

 

「うああああああ!」

 

 怒涛の如く伝わって来る灼熱の拳の破壊力。上半身に集中する力にグランドジオウは飛ばされる。

 

『フォー! フォー! フォーミュラ!』

 

 またも聞こえる声。真横に飛んでいた筈のグランドジオウは、その声が聞こえると同時に真上に上昇。

 何かによって突き上げられた、と認識すると同時に同じ速度で今度は地面に叩き落される。

 先程は見えなかったが、今度は残像だけだが見えた。青い影が凄まじい速度でグランドジオウを打ち落としたのだ。

 地面に叩き付けられたグランドジオウは、すぐに起き上がる。それを待っていたかの様に青い残像が次々とグランドジオウに攻撃を浴びせていく。

 あらゆる角度から攻めてくる攻撃。レリーフから仮面ライダーを召喚しようとするが、青い影が触れる前に攻撃し、それを妨害する。

 それでもグランドジオウは辛抱強く耐え、攻撃の隙を伺う。

 超高速の攻撃を全身に受けるグランドジオウ。不意に攻撃の手が緩んだ。

 意図を察する前に、グランドジオウはレリーフへと手を伸ばし──その手首を掴まれ、胸部に何かを押し当てられた。

 

『フォーミュラ砲!』

 

 その時、グランドジオウは初めて自分を攻撃していたドライブの姿を目視する。

 赤の装甲と白のボディスーツのタイプデッドヒートから、黒のボディスーツと青と白の装甲へと変わっていた。

 胸部にはF1カーそのものと言っていい空気抵抗を考え先端が尖ったカウルが突き出し、背部には巨大なエンジンとリアウイング。胴体に掛けていたタイヤと肩のタイヤは無くなり、代わりに両腕に小型のタイヤを装着。

 頭部は黄色のヘルメット状に変わり、サングラスを思わせる黒いバイザーを付けている。

 タイプデッドヒートを上回る性能を持つ形態──タイプフォーミュラは、片手に握っている物をグランドジオウに突き付けている。

 その見た目はトレーラー。ただし、運転席はスライドしてグリップとトリガーに。トレーラー後方には砲口が備わっており、それがグランドジオウに密着している。

 タイプフォーミュラの為に作られた専用武器──トレーラー砲。

 零距離でタイプフォーミュラはトリガーを引く。砲口から青いエネルギーの光球が発射され、即座にグランドジオウへ着弾した。

 

「うわぁぁぁっ!」

 

 密着状態から放たれたトレーラー砲の一撃は、最大出力で無いにもかかわらずグランドジオウに多大なダメージを与える。それは、最初にオーマジオウが行った攻撃よりも遥かに効果的であった。

 数十メートルも移動させられた挙句、膝を突く。

 しかし、それは事情を知る者から見れば当然のことと言える。何故ならば、グランドジオウが相対している仮面ライダードライブは、グランドジオウにとって『綻び』と呼べる存在なのだからな。

 だが、グランドジオウはそれを理解しないまま──或いは理解する余裕が無いまま──立ち上がりながらドライブのレリーフを叩く。

 

『ドライブ!』

 

 ドライブのレリーフからトレーラー砲が召喚され、それを装備する。タイプフォーミュラが放った時と違い、トレーラー砲側面に『FULL』の文字が浮かんでおり、いつでも最大出力の一撃が撃てる状態となっている。

 少なくとも互角に競り合うことは出来る。

 

『スピード砲!』

『ヒッサーツ! フルスロットル!』

 

 相手もまた必殺の一撃の為の準備に入っている。

 グランドジオウは遅れまいとトレーラー砲を構え、そこで動きを止め絶句する。

 

「う、そ……」

 

 目の前で広がる光景は──

 

『ヒッサーツ!』

『ヒッサーツ!』

『ヒッサーツ!』

『ヒッサーツ!』

『ヒッサーツ!』

『フルスロットル!』

『フルスロットル!』

『フルスロットル!』

『フルスロットル!』

『フルスロットル!』

 

 ──()()()()()()()が、グランドジオウにトレーラー砲を構える姿であった。

 タイプフォーミュラからまた姿が変わり、元の赤と白のストライプへ戻ったドライブ。黄色の複眼が収まった仮面の形状は、愛車であるトライドロンに似ている。

 左肩に填まったタイヤの側面には『type TRIDORON』の文字。

 このフォームこそ仮面ライダードライブの最終形態であるタイプトライドロンである。グランドジオウが見る前に、オーマジオウによって一足早く見せられる、もとい見せつけられる。

 

「どうした? 何を驚く? 何を恐れる? お前が纏う力はこれ以上だというのに」

 

 十人のタイプトライドロンの背後でオーマジオウは腕を組んで悠々と立っていた。

 

「王たる者、恐怖を露わにするな。何より、平成ライダーの力を継承したお前は決して逃げることは許されない」

 

 十の砲口が輝き出す。それは力が放たれる前兆。

 

「くっ!」

 

 グランドジオウはトレーラー砲のトリガーを引く。砲口から青いエネルギーが光線として発射された。

 

『フルフル! スピード! ビッグタイホーウ!』

 

 轟発と共に撃ち出されたのは、トライドロンに似たエネルギーの塊。それが十。グランドジオウが撃ち出した集束されたエネルギーも凄い筈なのに、その光景の前では水鉄砲程度の印象しか与えない。

 十のトライドロンは、グランドジオウのトレーラー砲の光線を割りながら直進し、グランドジオウに逃げる余裕すら与えずに着弾。

 太陽が落ちたのかと思える程の閃光。鳴り響く轟音は、数キロ先にある枯木から枯葉を全て振るい落し、着弾地点を中心に大地は陥没し、数百メートル先まで亀裂が伸びていく。

 撃ち終えたトレーラー砲を構えていたタイプトライドロンは一体を残して消え、その一体も元のドライブに戻る。 

 閃光が消え、音が遠くまで伝わった後、大きなクレーターの中心で変身が解けたソウゴが呻いている。あれほどの威力の攻撃を受け、変身解除だけで済んだ。望ましい形では無いが、グランドジオウの防御力が驚異的であると改めて分かる。

 

「うう……!」

 

 痛みとオーマジオウに勝てなかった悔しさにソウゴは唸る様な声を絞り出す。

 

「我が魔王!」

 

 空間に歪みが出き、中からウォズが出てくると倒れているソウゴを助け起こすし、急いでクレーターから平地へ運ぶ。

 

「大丈夫かい?」

「どうして……!」

 

 心配するウォズであったが、ソウゴの目はオーマジオウから離れない。

 

「何故お前が私に及ばないか不思議か?」

 

 条件は同じであった筈。全てのライダーの力も得てグランドジオウと成れた。ソウゴは、グランドジオウこそオーマジオウに至らない、もう一つの王としての自分の姿だと思っていた。だが、結果は完敗。オーマジオウに圧倒されるだけであった。

 

「それは、お前が全てのライダーの力を受け継いだ訳では無いからだ」

 

 その言葉に、ウォズの目がオーマジオウの側に立つ仮面ライダードライブへ向けられる。

 

「──そうか、仮面ライダードライブ。あのウォッチはゲイツ君がオーマジオウから手に入れた物」

 

 ウォズの言う通り、ドライブライドウォッチのみそれに関わる人物の手から渡って来たものでは無い。

 

「それが、どうしたぁ!」

 

 たったそれだけの差で負けたことに、ソウゴは理不尽にしか思えなかった。

 

「それが、どうしただと……?」

 

 たった一言。ソウゴが激情に任せて言った言葉。だが、それは、触れてはならない逆鱗に触れる一言であった。

 

「お前は……ライドウォッチを、平成ライダーの力を、ただの力としてか見ていないのか、愚か者っ!」

 

 発せられる声。空間が震え、大地が揺れる。ソウゴの激情を一瞬にして呑み込む、更なる激情がオーマジオウから放たれていた。

 死。それがすぐ側まで近付いて来ているのが嫌でも分かる。

 オーマジオウは、ソウゴへゆっくりと手を伸ばす──前にソウゴの体をウォズのストールが覆い、彼を何処かに転送させてしまった。

 ソウゴを隠したウォズは、地面に膝を突き、首を垂れる。

 

「我が魔王の失言、臣下である私が変わってお詫び致します。どうかお許しを。そして、どうかその矛をお納めください」

 

 俯いたウォズは特に表情を浮かべていなかったが、額からは一筋の汗が流れている。ウォズにとっては命懸けの行為であった。

 

「──若き頃とはいえ、己の無知と未熟さは恥よりも先に怒りを覚える」

 

 オーマジオウは上げていた腕を下げる。

 

「流石はウォズ。冷静且つ賢明な判断だ」

「……恐れ入ります」

 

 ウォズの行動を逆に讃えるオーマジオウ。緊張に満ちていたウォズの体から力が抜けていく。

 その時、波打つ虹色の光が全てを包み込む。木々も大地も空もその光に覆われていた。

 

「これは……!」

「何者かが、時間の流れを変えた……!」

 

 かなりの大規模な時間改変。それこそオーマジオウに近い力を持つ者にしか出来ない。

 

「調べる必要があるな。──ウォズよ」

「はっ」

 

 ウォズは自らをストールで覆い、時間改変の起点となった時間へ跳ぶ。

 独り残されたオーマジオウは、傍らに立つドライブを見ながら誰に聞かせる訳でも無く、言葉を零す。

 

「若き頃の私よ。お前が私と同じ場所に立つ為にどんな道を辿ってくるのだろうな」

 

 オーマジオウが手を翳すとドライブの実体が無くなり、消える。

 

「この身は歴史。そして、この身は墓標。──全ての平成ライダーたちの」

 

 

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