仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

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感想でディエンドはG3-Xのカードを持っていないという指摘を受け、慌てて調べたらその通りでした。でも、話の流れを変えたくないのでちょっと文章を書き足しました。
無理矢理な辻褄合わせで結果としてディエンドがパワーアップすることに。


アナザー2019 その5

「くっ……!」

 

 ソウゴはかつてない程の窮地へ追い込まれていた。目の前に並び立つアナザージオウトリニティ、ウォズギンガファイナリー、ディエンド。アナザージオウトリニティの強さは身を以って知っており、ウォズギンガファイナリーの強さは共に戦っていたからこそ深く理解している。

 唯一、ディエンドだけは直接戦ったことは無いが、グランドジオウ以外で仮面ライダーを召喚するという特異な能力を持っているので侮れない。そもそも、何故ディエンドがアナザージオウトリニティ側に付いているのかという疑問が生まれる。

 ソウゴの目がウォズギンガファイナリーの手に向けられる。その掌にはグランドジオウライドウォッチが握られている。三人相手でもグランドジオウの力があれば何とかなる様な気がしていたが、奪われてしまったので今ある力で抗うしかない。

 

『ジオウⅡ!』

 

 ジオウⅡライドウォッチを起動し、ウォッチを二つに分けると装着していたジクウドライバーに挿し、ドライバーを回転させる。

 

「変身!」

『ライダーターイム!』

 

 ソウゴの背後に現れる二つの時計盤から『ライダー』の文字が飛び出し、三人を牽制しようとする。

 

「ふん」

 

 アナザージオウトリニティはそれを嘲笑し、迫る『ライダー』の文字を持ち上げた右足によって文字通り一蹴する。

 

『仮面ライダー! ライダー! ジオウ! ジオウ! ジオウⅡ!』

「えっ、うわっ!」

 

 変身完了直後のジオウⅡの顔面に蹴り返された『ライダー』の文字が衝突。跳ね返された威力でジオウⅡが後方に飛ばされてしまう。

 顏をさすりながらジオウⅡが立ち上がると、ジカンギレードとサイキョーギレードを召喚し、構える。

 アナザージオウトリニティはそれを片目で見つつ、残りの目でゲイツたちのほうを見る。

 

「──もっと追い込んでから潰してやるつもりだったが……まあいい、こいつの前で倒すのも面白いかもしれないな。ウォズ!」

 

 名前を呼ばれ、ウォズがアナザージオウトリニティの傍に立つ。

 

「何でしょうか?」

「明光院ゲイツを倒せ。完膚なきまでにな」

「──それが新しき我が魔王のご希望ならば」

 

 ウォズはゲイツの方へ歩いて行く。

 

「ウォズ! 止まって──」

「お前の相手は俺だ!」

 

 アナザージオウトリニティがジオウⅡの目の前に瞬間移動すると同時に二本の剣を振り下ろす。

 ジカンギレードとサイキョーギレードを持ち上げてそれを防ぐが、がら空きになった脇腹に斧を叩き付けられ、肩に鉤爪を押し当てられると一気に引っ掛かれ、胸部を鎌槍で突かれ、三箇所を同時攻撃されて怯んだ所に追い打ちの光矢を射ち込まれる。

 

「うああっ!」

 

 腕二本ではアナザージオウトリニティの六本腕による同時攻撃を捌き切れない。ゲイツの身を心配するよりも己の方が危機的状況へ陥りそうになる。

 光矢を射ち込まれ、苦しんでいるジオウⅡへディエンドがダメ押しの銃撃を行う。

 

「うわああああっ!」

 

 数発の光弾が命中し、吹っ飛ばされてしまうジオウⅡ。彼が飛んで行った先にアナザージオウトリニティは余裕を持った歩みで追う。

 

「付いて来い」

 

 アナザージオウトリニティに命令されるディエンド。彼の性格を良く知る者ならば命令や指図されることを嫌い、強く反発すると予想するだろう。

 

「……はいはい。王様」

 

 心底嫌そうな口調。命令される嫌悪感を隠そうとはしなかったが、それでもディエンドはアナザージオウトリニティの命令に従い、アナザージオウトリニティの後を付いていく。

 三人が移動し、この場にはゲイツとツクヨミ、そしてウォズが残される。

 

「やあ、ツクヨミ君にゲイツ君。元気だったかい? ──とは言ってもこの歴史では私たちは初対面だったね」

 

 初対面だと理解しているのに、やたら馴れ馴れしく話し掛けるウォズ。

 ゲイツはツクヨミを守る為に彼女の前に立つ。

 

「お前がウォズという奴か?」

「そうだとも。その口振りからして、前の我が魔王から色々と事情を聞かされているみたいだ」

「眉唾物の内容だったがな」

「それならもう一つ教えてあげよう。実は、歴史が書き換えられる前、君とツクヨミ君は私の忠実な部下だったんだ」

「えっ……!?」

「ツクヨミ、こんな奴の話に耳を貸すな」

 

 あながち間違いではなかったが、ゲイツはウォズの言葉よりもその雰囲気で胡散臭い相手だと判断し、聞く耳を持たない。

 

「ここは俺に任せて逃げろ」

「でも……」

 

 ゲイツとソウゴを置いて一人だけ逃げることを躊躇する。すると、ゲイツの口から数字とアルファベットを組み合わせた言葉が出て来る。

 

「そこに行け。後で合流する」

 

 ゲイツが喋ったのは、位置を示す暗号であった。

 

「──分かったわ。ゲイツも、そしてソウゴも一緒に来てね」

「……善処する」

 

 ツクヨミは駆け出してこの場を去っていく。ウォズはそれを黙って見ているだけであった。

 

「ウォズ。お前はここで足止めだ」

「構わないよ。私は君を倒せと命じられただけだしね」

「──聞いた話だと、お前はジオウから加古川飛流に鞍替えしたらしいな」

「……ああ、その通りだよ」

「さっきの言葉をそうだが、やはりお前は信用出来ないな。どういう訳か知らんが、お前のその身の振り方には無性に腹が立つ!」

 

『ゲイツ!』

『ゲイツリバイブ! 疾風!』

 

 怒りのままに吐き捨てると、ゲイツライドウォッチとゲイツリバイブライドウォッチを腹部に装備しているジクウドライバーに挿す。

 

「その刺々しい態度──ゲイツ君、実は既に記憶を取り戻している、ということは無いかい?」

「変身!」

『ライダーターイム!』

『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風! 疾風!』

 

 ウォズの戯言を無視して変身したゲイツリバイブは、すぐさまつめモードにしたジカンジャックローを握り、低空を超高速で飛んでウォズへと迫る。

 ウォズはゲイツリバイブの速度に反応出来ず構えてすらいない。振り上げたジカンジャックローがウォズの首元を狙う。

 

「がはっ!」

 

 直前、ゲイツリバイブは自身の形で凹む程の勢いで地面に落下。上から見えない力で押さえつけられ立ち上がることすら叶わない。

 

「やはり、記憶を失ったままか」

 

 動けないゲイツリバイブをウォズが見下ろす。

 

「でなければギンガファイナリーの重力空間に馬鹿正直に突っ込んで来る筈がない」

 

 ウォズは宇宙の力を操り自分の周囲に何十倍もの重力を発生させていた。ゲイツリバイブは急激な重力変化に対応し切れず地面に叩き付けられる結果となる。ゲイツリバイブは、ウォズギンガファイナリーの能力を知らなかったせいでまんまと術中に嵌ってしまった。

 

「それが、どうしたぁぁぁ!」

 

 ウォズの教授する様な言葉にゲイツリバイブは強く反発する。このまま自分の策を成功させたなどと思わせたくないゲイツリバイブは、叫びと共にゲイツリバイブライドウォッチを回転。

 

『パワードターイム!』

 

 体中に漲る力が全身に圧し掛かる力を緩和させると、ゲイツリバイブは拳を地面に叩き付け、それを支点にして体を起こし上げる。

 

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈! 剛烈!』

 

 両翼が閉じ、厚みある胸部装甲と化すとゲイツリバイブ剛烈は重力を一気に押しのけて立ち上がる。

 

「──流石だね」

 

 その光景にウォズは素直に称賛の言葉を送った。ゲイツリバイブの力を、身を以って知っているウォズは、例え剛烈の力であっても身動きが取れない程の重力を発生させていた。にもかかわらずウォズの予想を覆してゲイツリバイブは目の前に立ち、そこからのこモードのジカンジャックローを突き出してくる。

 

「ふん!」

 

 ウォズは掌を前に出す。そこから球体状の力場を発生させ、ジカンジャックローを止めてみせた。攻防どちらにも使用出来る力場でこのままジカンジャックローを逸らし、もう一方の手で掌打を繰り出しゲイツリバイブは吹っ飛ばそうと考えていたが──

 

「おおおおおおおっ!」

 

 ゲイツリバイブは力場に構わず殴り抜けると、ジカンジャックローが力場を突き破り、ウォズの胸を突く。

 が、そのまま突き飛ばす前にウォズの方から後ろに跳び、ダメージが重くなるのを避けた。

 

「おっと。危ない、危ない」

 

 太陽が描かれた胸の装甲からは一瞬触れた丸鋸による摩擦で煙が出ており、ウォズはそれを手で払って消す。もう少し踏み込んでいたら大ダメージを負っていた。

 

「逃さん!」

 

 畳み掛け様とするゲイツリバイブ。ウォズはドライバーからギンガミライドウォッチを外した。

 

「ふん!」

 

 正拳の様に突き出されたジカンジャックローを、ウォズはマントを翻してながら体を回転させることで避け、ギンガミライドウォッチを操作。

 

『ワクセイ!』

『アクション!』

 

 次に横振りのジカンジャックローを跳び上がることで避けて、ギンガミライドウォッチをまたドライバーに填め込む。

 

『投影! ファイナリータイム!』

 

 着地と共にドライバーが操作される。ゲイツリバイブは着地の瞬間を狙おうとしていたが、ウォズはそれを見越しており周囲に出現した惑星たちがゲイツリバイブに攻撃を躊躇させた。

 

『水金地火木土天海! 宇宙にゃこんなにあるんかい! ワクワク! ワクセイ! ギンガワクセイ!』

 

 顔面に収まっていた『ギンガ』の複眼が『ワクセイ』と変わり、額にある地球の紋章も土星へと変わる。

 ウォズギンガワクセイフォームにフォームチェンジをしたのを見て、ゲイツリバイブは臆することなく吐き捨てる。

 

「たかが顔の文字が変わった程度で!」

 

 ゲイツリバイブはジカンジャックローのスイッチを連打。そして、トリガーを引く。

 

『のこ切斬!』

 

 丸鋸の回転数が数倍速まり、刃から火花の如く内包されたエネルギーが飛び散る。

 橙色のエネルギーを振り撒きながらジカンジャックローがウォズを真っ向から打ち砕こうとする。

 

「変わったのは見た目だけじゃない」

 

 ウォズは両掌を前方へと翳す。両掌から先程よりも遥かに力を増した力場が生み出され、ゲイツリバイブののこ切斬を難なく防いでしまう。

 

「何っ!?」

 

 今度は押してもそれ以上前に突き進むことが出来なかった。

 ワクセイフォームは、ただのギンガファイナリーの時と比べ力場──エナジープラネットを高度に制御することが可能。これによりギンガファイナリーでは自滅する可能性すらあった出力でも完全にコントロールができ、ゲイツリバイブを力で捻じ伏せる。

 ゲイツリバイブを抑え込んだ状態で、ウォズは密かに視線を別方向へ向ける。少し離れた場所でジオウⅡとアナザージオウトリニティ、ディエンドが戦っている様子が見えた。

 

(──さて、この場をどうするべきか……)

 

 

 ◇

 

 

「どうした! 常磐ソウゴ! お前の力はそんなものか!」

「くっ!」

 

 上下左右斜、あらゆる角度から攻めてくるアナザージオウトリニティの攻撃。防御するもそうすれば隙が出来た箇所を必ずアナザージオウトリニティは攻撃を与える。それもわざと浅い攻撃をし、ジオウⅡを嬲る。

 だが、反撃のチャンスが無い訳ではない。

 

『ライダー斬り!』

 

 マゼンタカラーの斬撃がサイキョーギレードから放たれ、アナザージオウトリニティの攻撃を一斉に払い除ける。

 全ての武器を弾かれ大きな隙を見せるアナザージオウトリニティ。しかし、全く焦る様子は無い。

 

『アタックライド・ブラスト』

 

 アナザージオウトリニティの背後から隙間を通る様にして軌道を変える複数の光弾が現れ、それらがジオウⅡに命中する。

 

「うわあああ!」

 

 アナザージオウトリニティに隙が出来ても、離れた場所に立つディエンドがそれを潰してしまう。

 

「僕にも事情があってね。悪く思わないでくれたまえ」

『カメンライド・G3』

 

 ネオディエンドライバーの引き金を引くと銃口から現れた光が重なり合い、仮面ライダーが現れる。

 青のメタリックな装甲。警察が人外から市民を守る為に人の技術のみで造った仮面ライダー、G3。だが、一体ではない。カード一枚から三体のG3が召喚された。

 ジオウの世界と呼べるこの世界に海東が現れた時、カードに変化が起こった。G3のカードが二枚に増え、絵柄も変化したのだ。

 この世界ではG3は複数存在すると認識され、その影響がカードに現れたとディエンドは推測する。

 

(僕にとっては嬉しい誤算だけどね)

 

 召喚されたG3たちは二体が専用銃GM-01スコーピオンでジオウⅡを牽制し、怯んでいる内に残りの一体がスコーピオンにGG-02サラマンダーと名が付いたグレネードランチャーを連結させ、発射。ジオウⅡの足元で爆発と爆炎が生じる。

 G3たちによって時間稼ぎをしている内にディエンドはネオディエンドライバーの銃身を伸ばす。

 

『カメンライド・G3-X』

『カメンライド・ギャレン』

 

 二枚カードを装填し、ネオディエンドライバーから二体の仮面ライダーが呼び出される。

 G3の強化発展型である仮面ライダー、G3-X。元々のG3のカードが変化し、強化されたものである。

 人の技術と不死生物アンデッドの能力を合わせることで生まれた、トランプのダイヤとクワガタムシをモチーフとした仮面ライダー、ギャレン。

 

「さあ、一気に行こうか」

 

 何をするのか察知してアナザージオウトリニティが跳び上がった。

 壁となっていたアナザージオウトリニティに退いたことでジオウⅡは見てしまう。G3-Xが専用ガトリング機銃GX-05ケルベロスを、ギャレンが専用拳銃ギャレンラウザーの銃口を向けているのを。

 ケルベロスから発射される無数の弾丸がジオウⅡを撃つ。G3たちもそれに合わせ、銃弾で蹂躙する。

 

「うああああ!」

 

 防ぐ暇も無く連発される銃弾の雨。そこにギャレンの銃弾も加わる。ケルベロスは狙いを定めずジオウⅡの身体に当てることを目的としていたが、ギャレンの銃弾は肩、腕、手首、膝などを正確に狙い撃ちし、ジオウⅡから戦う力を奪っていく。

 

「まだまだ」

 

 ディエンドも光弾もまたこの銃弾の嵐へ加わる。『アタックライド・ブラスト』の効果がまだネオディエンドライバーに残っており、銃口からは複数の光弾が発射され、それら全てがジオウⅡに命中する。

 

「ぐああああああ!」

 

 全身から火花を散らしながら叫ぶジオウⅡ。それでもその両手から武器を離すことは無かった。それを失えば、命すらも失ってしまうと分かっているらしい。

 ジオウⅡは弾を浴びせ続けられながらも、額にある針を回す。脳内に浮かび上がる未来の光景。

 予測された未来がジオウⅡにこの場を切り抜き、彼らを倒す術を与える。

 

「視えた!」

 

 途端、弾が止む。ディエンドが何故かジオウⅡに対し、右手を翳していた。

 

「させないよ」

 

 ディエンドの右手から放たれる不可視の波動。それを受けた瞬間、ジオウⅡの動きが止まる。何度も経験しているせいで分かってしまう。ディエンドが今放ったのはタイムジャッカーと同じ時間停止の力である。

 

「君が未来を予測することは知っているよ。でも、予測出来ても動きを止められたら意味は無い」

 

 ディエンドの言う通り、ジオウⅡの未来予測がこの時点で破綻してしまう。

 

「そして、僕は楽々とカードを入れられるという訳だ」

『アタックライド・クロスアタック』

 

 その音声の後、G3-Xはケルベロスの銃身側面にスコーピオンを連結させ、銃身中央にロケット弾頭をセットする。G3-X最大の火力を発揮する形態GXランチャーである。

 ギャレンがギャレンラウザーの後部にあるカードホルダーを扇状に開き、中から三枚のカードを抜いてギャレンラウザーのスリットに通す。

 

『BULLET』

『FIRE』

『RAPID』

 

 カード内に閉じ込められているアンデッドの能力がギャレンへと宿る。

 

『BURNING SHOT』

 

 ギャレンラウザーから吐き出される続ける炎の弾丸。身動き出来ないジオウⅡへ浴びせられ続ける。

 避けることも、防ぐことも、苦鳴を上げることも出来ないジオウⅡ。

 ギャレンが炎弾を撃ち終えたタイミングでG3-XはGXランチャーから弾頭を発射。その反動は撃ったG3-Xが耐え切れず後方に下がってしまう程。

 ジオウⅡにその弾頭が炸裂。派手な爆炎が一気に起こり、一気に消える。しかし、ジオウⅡは立ったまま。時間停止のせいで倒れることすら許されない。

 

「僕の新しい力はどうだったかな? 正直、ここまで簡単に勝てたのは初めてだ」

 

 ディエンドが指を鳴らした瞬間、ジオウⅡの時間停止が解除。

 

「うああああああっ!」

 

 時間停止中に受けていたダメージが一気にジオウⅡを襲い、彼を変身解除にまで追い込んでしまう。

 ディエンドが時間停止を使用した。遠くからそれを眺めていたオーラは、何も知らされていない為、驚きに満ちた険しい表情でそれを見ていた。

 

「う、く、ううう……」

 

 痛みと怪我に苦しむソウゴ。その傍にいつの間にかアナザージオウトリニティが現れ、彼を見下ろして苦しむ姿を楽しんでいた。

 

「ははははは! そうだ! もっとだ! もっとその姿を見せろ!」

 

 楽しむアナザージオウトリニティとは対照的に、ディエンドはその光景を冷めた視線で眺めている。

 新たな時間停止の能力を得たが、彼にはそれを喜ぶ気持ちは無かった。何故ならそれを得たと同時に鬱陶しい枷まで付けられたのだ。

 その時のことをディエンドは思い出す。

 

 

 ◇

 

 

「お前は俺が使ってやろう」

 

 スウォルツの力で動けないディエンドに、飛流はアナザーウォッチを取り出し、それを起動させて埋め込もうとする。

 

「お待ち下さい」

 

 それを止めたのは、スウォルツであった。

 

「この者の力は役に立ちます。理性を奪い、アナザーライダーとして使うよりも、そのまま能力を生かして扱った方が都合がいいかと」

「──成程。確かにな」

 

 仮面ライダーを召喚する能力。それは失うには惜しい能力と飛流が判断すると、アナザーウォッチを起動させないままディエンドの体内に埋め込んだ。

 

「ぐ、ぐあああああああ!」

 

 体内に入れらえる異物感。そして、毒々しい光がディエンドの身体を走り変身を解除させた。

 胸を押さえる海東に、飛流は顔を近付ける。

 

「そのウォッチは俺が念じれば何時でもスイッチが入る。アナザーライダーになりたくなければ俺に従うんだな」

 

 悔し気に睨む海東の視線を一笑し、飛流はスウォルツを見る。

 

「貴方にはするべきことがある。これは私に任せて、王はすべきことを」

「分かった。後は任せた」

「オーラ、ウォズ。お前たちもお供を」

「──だから命令しないで……!」

「言われなくともそうさせてもらうよ」

 

 オーラは露骨に反発するも言われた通りに飛流へ付いていく。ウォズもスウォルツに不審な眼差しを向けながらも同じく飛流の後を追う。

 

「──さて」

 

 スウォルツは海東の顔を覗き込む。

 

「お宝が欲しいのなら、俺が良い物をくれてやる。ただし、俺の役に立て」

 

 飛流の前で見せていた控え目な態度を捨て、傲慢に言い放つ。

 

「何だって……?」

「意見を求めるつもりは無い」

 

 海東の頭を掴み、自身の力は流し込む。

 絶叫を上げる海東。それを薄ら笑いで見ているスウォルツ。その様子を飛流に付いていった筈のウォズが、陰から険しい表情で監視する様に見ていた。

 

 

 ◇

 

 

 こんなことがあり、ディエンドは不本意ながらアナザージオウトリニティに従う立場になってしまった。強制的に従属するなどディエンドにとって屈辱だが、アナザーライダーになって理性無く隷属することの方がディエンドにはより屈辱的なので大人しく従っている──今は。

 このまま行けばソウゴはアナザージオウトリニティによって命を奪われるだろう。しかし、それはディエンドにとって面白くない。かと言って分かり易い妨害をすれば、即座にアナザーライダー化されてしまう。

 どうしたものかと考えながら横目でゲイツリバイブたちの方を見た。この場をどうにか出来るのは彼らしかいない。

 

(ま、頼んだよ)

 

 

 ◇

 

 

「──どうやら、かつての我が魔王はここまでの様だ」

 

 ウォズが不意に漏らした言葉に、ゲイツリバイブの目がアナザージオウトリニティの方へ向けられる。ジオウⅡは変身解除をさせられ、その傍にはアナザージオウトリニティがとどめを刺す為に立っている。

 

「ジオウっ!」

「このまま新しい我が魔王が倒すだろうね。君にとってはそちらの方が良いんじゃないかな?」

「何だと……?」

「所詮は彼も魔王。新しき我が魔王に手に掛かった方が、君の手間も省ける」

 

 見捨てる様に示唆するウォズ。だが、同時に挑発にも聞こえるものであった。

 

「──お前の指図は受けん!」

 

 ゲイツリバイブはウォズから離れると即座に疾風へと形態移行。

 

『スピードターイム!』

 

 そして、ソウゴへ向かって飛んで行く。

 

「歴史が変わろうとも、君は君らしいな」

 

 その姿を苦笑し、ウォズはドライバーを動かす。

 

『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』

 

 アナザージオウトリニティはソウゴへ剣を振り下ろそうと構えていた。しかし、そこに突風が駆け抜けていき、風が治まった後にソウゴの姿が消えていた。

 

「何処だ!?」

 

 急いで探すアナザージオウトリニティ。ゲイツリバイブがソウゴを抱えて飛ぶ姿を捉える。

 

「逃がすかぁぁぁ!」

 

 二本の剣を交差させ、それを振ろうとした時──

 

『水金地火木土天海エクスプロージョン!』

 

 花火の様に輝く様々なエネルギーがゲイツリバイブたちの近くに降り注ぐ。それがアナザージオウトリニティの射線を妨げ、同時に目晦ましになってしまった。

 技の後、既にゲイツリバイブたちの姿は消え、安全な場所まで逃げてしまっていた。

 

「くそぉぉぉぉぉ!」

 

 後一歩の所で取り逃がしたことを悔しがりながら、アナザージオウトリニティは変身を解いて飛流へ戻る。

 

「──申し訳ございません、我が魔王。彼らを撃ち落とす筈が、我が魔王の邪魔になってしまうとは……」

 

 同じく変身解除をしたウォズが傍に現れ、頭を下げる。

 

「──ウォズ、顔を上げろ」

「はい──うっ!」

 

 顔を上げたウォズの顔面を飛流が殴りつける。もう一度殴ろうとすると、その手をいつの間にか来ていたスウォルツが止めた。

 

「王よ。負けたとはいえ、八つ当たりはみっともないですよ?」

「負けただと!? 逃げられただけだ!」

「逃げられただけ、ですか……?」

 

 飛流が奥歯を噛み締める。ソウゴの全てを奪い、彼を孤独に追い詰めた筈なのにどういう訳かゲイツは彼を救った。その事実が飛流を苛立たせる。

 

「──次は無いぞ、ウォズ」

「……寛大な御心に感謝します」

 

 口元の血を拭いながらウォズはまた頭を下げた。

 

「それでどうする? アナザーライダーたちで奴らを探すか?」

「探すにしても、もっと簡単な者を探しましょう。──ツクヨミ、彼女と捕らえて奴らをおびき寄せます」

「──分かった。ならそれで行こう」

 

 飛流はアナザーライダーたちを召喚しながらツクヨミを探し始め、スウォルツは現れた時と同じ様に唐突に姿を消す。

 残されたのはウォズと海東、そして離れた場所にいるオーラ。

 

「災難だったね」

 

 海東は大して心配していない様子で言う。

 

「──ふっ。今の我が魔王は色々と厳しいのでね」

 

 殴られたウォズは特に気にした様子は無い。

 

「そうだ」

 

 ウォズは突然グランドジオウライドウォッチを海東へ放ると、海東は難無くそれを受け取った。

 

「何のつもりだい?」

「私は君の様にお宝には興味がないのでね。君に渡しておくよ」

「簡単に手に入るのは悪い気はしないが、貰う相手によっては不気味だね」

 

 海東は手の中でグランドジオウライドウォッチを弄びながら言った。

 

「君の好きにするがいいさ」

 

 ウォズはそれだけ言い残し去っていく。

 

「聞きたいことがあるんだけど」

 

 それと入れ違いでオーラが話し掛けてくる。

 

「聞きたいこと? 何かな?」

「あんたのその力のことよ」

 

 オーラは何時になく真剣な表情でそれを訊く。答えは薄々分かっている。しかし、訊かなければならない。答えによっては、自分たちの根幹を揺るがしかねないからだ。

 

 

 ◇

 

 

 ソウゴを助けたゲイツは、元の歴史の自分がどの様な存在であったかとソウゴに尋ねた。

 ゲイツの方から歩み寄ってくれるのを嬉しく思い、ソウゴは一気に喋る。

 初めて会った時、いきなり襲われたこと。こっちの話を全く聞かなかったこと。その度に衝突し合っていたこと。衝突し合う度に理解を深め、絆を深めていったこと。

 信頼し、仲間と呼べる存在になったこと。そして、ゲイツは歴史が変わる前も今もゲイツのままであることを。

 何もかもが変わってしまった世界。その中で同じものを見つけることが出来た喜びは、ソウゴにしか分からないことであった。

 そこにツクヨミからの連絡が入る。先に避難した筈の彼女だったが、アナザーライダーたちに見つけられ、追われてしまっていた。

 ツクヨミを救う為にソウゴたちは彼女の下へ向かう。

 一方でツクヨミは、アナザーライダーによって捕まっていた。そんな彼女の前に飛流が現れる。

 彼女をソウゴたちをおびき寄せる餌にすると言い連れて行こうとするが、それを阻止しようとする者が現れた。

 

 

 ◇

 

 

 銃声と共に二体のアナザーライダーの背中に銃弾が命中する。ダメージは大したことが無かったが、そのせいで手から力が緩み、ツクヨミを逃してしまった。

 急いで捕まえようとするアナザーライダーたちの顔に蹴りが入る。

 

「俺の推測通りなら、彼女をお前たちに渡すわけにはいかない」

 

 ツクヨミを守る為に現れたのは士であった。

 

「何だお前は?」

「通りすがりの仮面ライダーだ──」

 

 士の腹部には既にネオディケイドライバーが装着されており、ディケイドが描かれたカードを飛流に見せつける。

 

「──覚えておけ」

「ほお……面白い」

 

 飛流も三つのアナザーウォッチを起動させる。

 

「変身!」

『カメンライド・ディケイド』

『トリニティィ』

 

 仮面ライダーディケイドとアナザージオウトリニティが対面する。

 

「逃げろ」

 

 ディケイドはそう言ってアナザージオウトリニティへ駆け出す。

 

「追え!」

 

 ディケイドの拳を容易く受け止め、残りの手でディケイドを殴りつけながらアナザーライダーたちに指示を出すアナザージオウトリニティ。

 逃げて行ったツクヨミをアナザーライダーたちが追っていく。

 

「ふん!」

「ぐっ!」

 

 文字通り手数が違う故、アナザージオウトリニティの拳は面白い様にディケイドへと当たる。それに屈せず反撃を試みが、全て捌かれて何倍にもなって返ってくる。

 

「門矢士!」

「あいつ……!」

 

 ソウゴ、ゲイツも現れ、先に戦っているアナザージオウトリニティとディケイドに驚きながらツクヨミを探す。しかし、ツクヨミの姿は見えない。

 

「行くぞ、ジオウ」

 

 共に戦うことを自然に告げたゲイツを、ソウゴは驚いた顔で見る。

 

「ぼやぼやするな」

「──ありがとう!」

 

 共にウォッチを構え──

 

『変身!』

 

 共に掛け声を出して変身する。

 ジオウⅡとゲイツリバイブ剛烈となった二人は、苦戦しているディケイドを助ける為にアナザージオウトリニティの背に同時に拳を打ち込む。

 

「くっ!?」

 

 いきなりの攻撃で視界を後ろに向けてしまうアナザージオウトリニティ。そこにディケイドの拳が急所を打ち、アナザージオウトリニティの動きが鈍る。

 ゲイツリバイブとディケイドは二本ずつ腕を掴み、アナザージオウトリニティの動きを止めようとするが、残りの二本が彼らを殴りつけ拘束を解こうとしていた。

 

「ツクヨミはアナザーライダーたちに追われている!」

「ジオウ! ここは俺に任せろ!」

「──分かった!」

 

 ゲイツの気持ちを汲み、急いでツクヨミの下へ向かうジオウⅡ。

 アナザージオウトリニティは二人を振り解き、召喚した武器で彼らを斬り付ける。

 

「ぐっ!」

「くっ!」

 

 全て武器の矛先をゲイツリバイブたちに向ける。

 

「まずはお前たちからだ!」

 

 

 ◇

 

 

 逃げるツクヨミ。しかし、彼女の逃げた先は袋小路であった。隠れる場所も見当たらない。

 その時、何かがツクヨミの傍を駆け抜けていく。目の前にさっきまでいなかった筈のアナザーライダーが立っていた。

 甲虫の様な青い外骨格。頭部からは一対の鋏型の角を持ち、手には大型の鋏を持っている。

 羽ばたき音と共に背後にも何かが降り立った。

 蝙蝠の羽を背中から生やし、体の至る箇所にパイプ状の器官を備えており、そこから蒸気を吹かしている。蝙蝠型のバイザーを付け、鋭い牙をカチカチと鳴らしながらツクヨミを凝視していた。

 二体のアナザーライダー、アナザーガタックとアナザーマッドローグによってツクヨミは追い詰められてしまう。

 万事休すと思ったその時──

 

「ツクヨミ!」

 

 ──彼女を救う為に(ジオウⅡ)が参上する。

 

 




Q未来予測にどうやって対処しますか?
A時間停止させてその間に倒れるまで攻撃します。

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
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