アナザージオウトリニティは何もかも気に入らなかった。歴史を書き換え、ソウゴとは敵同然であったゲイツが彼の為に戦う姿が、突然この世界に現れ、さも当然の如くソウゴの手助けをする士が。
何もかもを奪った筈なのに徐々に失ったものを取り戻そうとしているソウゴが、腸が煮えくり返る程気に入らなかった。
その鬱屈した怒りは暴力という形でゲイツリバイブとディケイドに牙を剝く。
左右から挟む様にゲイツリバイブはジカンジャックローを突き出し、ディケイドは刃を出したライドブッカーで斬り掛かる。
だが、アナザージオウトリニティの六本の腕の前には二対一という数の差など不利にもならない。
ジカンジャックローの斧で叩き落し、鎌槍の鎌でゲイツリバイブを斬り、更に引っ掛けて前へ引っ張ると剣で迎え撃つ。
ディケイドのライドブッカーの刃も剣で受け、鉤爪を掲げることで鉤状のエネルギー体を発生させ、向きを変えながら輪投げの様にディケイドの身体へ被さり連なって拘束すると、動けなくなった彼を拘束ごとボウガンの光矢で撃ち抜く。
「があっ!」
「くっ!」
反撃を受けて後退させられる二人。怒りのまま力を振るうアナザージオウトリニティ。感情がそのままアナザージオウトリニティの力を増大させる。
しかし、怒るということは冷静さを欠くことを意味する。アナザージオウトリニティの攻撃は無意識に雑なものへとなり、視野が狭くなる。
それ故にアナザージオウトリニティは気付かなかった。吹き飛ばされる二人が目配せをしていることを。
『アタックライド・ブラスト』
カードを挿入した後、ディケイドはライドブッカーを剣から銃へと変え、銃撃を繰り出す。ライドブッカーは残像の様にマゼンタの光と共にブレ、一度の射撃で数発の光弾を撃ち出す。
散弾の様に面で攻めて来る光弾を、アナザージオウトリニティは六本腕を駆使して次々と撃ち落とす。
本来ならば一発でも命中してもおかしくない筈なのに掠りともしない。アナザージオウトリニティは、アナザージオウの未来予測によって未来の映像を見て光弾の軌道を全て読み切っていた。
ディケイドがムキになって何度も光弾を撃とうともアナザージオウトリニティにとは届かない。
──尤もそうなることはディケイドも大体分かっていたが。
『剛烈! スーパーのこ切斬!』
アナザージオウトリニティの耳に届く予期せる音声。
「な、に……!」
視線だけ動かし、それを見た。ゲイツリバイブがジカンジャックローを振り上げ様とする姿を。
ディケイドは敢えて攻撃することでアナザージオウトリニティに未来予測を先出しさせていた。未来予測が見ることが出来る未来の映像の時間は限られている。ディケイドが攻撃する未来を制限時間ギリギリまで見せることで、ゲイツリバイブが攻撃する未来を見させなくした。
ディケイドの戦いのセンスもあるが、感情的になり過ぎて視野が極端に狭くなっている今のアナザージオウトリニティには、視られる未来など限られている。
橙色の巨大な光輪が振り下ろされたジカンジャックローから放たれた。地面を削りながら回転して進んでくる見上げる程の大きさの光輪。
アナザージオウトリニティは二本の剣を連結させ両剣にすると、ドライバーに手を翳して両剣に力を送り込むと、光輪に対し黒とマゼンタの輝きを混ぜた両剣を振るう。
縦回転する光輪に対し、横向きに振るわれた両剣から広がっていく時計盤に似た力。ぶつかり合い、力と力が拮抗する。
単純な出力ならばアナザージオウトリニティの方が上。拮抗もいずれはアナザージオウトリニティに傾く。
しかし、それは一対一での話である。
『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』
ライドブッカーの銃口をアナザージオウトリニティに向けると、ディケイドとアナザージオウトリニティの間にディケイドの紋章が描かれた等身大のカードが十枚並ぶ。
そのカードへ光弾を撃ち出すディケイド。光弾はカードを通過していく度に大きさと威力を増していき、十枚目を通過した時威力が極限まで高まる。
「なっ!?」
咄嗟に両剣で光弾を受け止めるアナザージオウトリニティ。押されそうになるが、持ち前の力で踏み止まってみせる。
やがて、アナザージオウトリニティの目の前で光弾が爆ぜ、その衝撃によって両剣を離してしまう。
「くそっ!」
光弾が至近距離で爆ぜた際に発生した閃光で視界を焼かれる。数秒経過して回復した視力で見たのは、ゲイツリバイブとディケイドが並んで蹴りを繰り出している光景であった。
「があっ!?」
胸に二人の蹴りを受け、アナザージオウトリニティが吹っ飛んでいく。
「人の話を聞かないくせに、人と合わせるのは得意みたいだな?」
「偉そうな態度の割には、自分から囮になることが出来るとはな」
ゲイツリバイブとディケイドは互いに褒めているのか貶しているのか分からない台詞を交わし、鼻を鳴らす。
「お前らぁぁ……!」
二人から十数メートル離れた先で憤怒が込められた声を吐き出すアナザージオウトリニティ。ダメージらしいダメージを与えたが、倒すには程遠い。
「お前に合わせてやったんだ。今度はお前が合わせろ」
『スピードターイム!』
剛烈から疾風へ形態変化するゲイツリバイブ。
ディケイドはそれに応じる様にカードを出す。
「付き合ってやる。ひとっ走りな」
『カメンライド・ドライブ』
タイヤの形をしたエネルギーがリング状に連なり、中に居るディケイドを真っ赤なスポーツカーを彷彿とさせる仮面ライダードライブに変えると、何処からかタイヤが飛んで来て襷の様にディケイドドライブの胴体に収まった。
「はっ!」
ゲイツリバイブが飛翔すると一気に最高速に達し、超高速が彼の姿を隠す。
「ぐあっ!」
アナザージオウトリニティは青い残像が隣を通っていったと認識した時には、肩に裂傷と衝撃を受けていた。
痛みが脳に伝わった時に、背中をジカンジャックローの爪で斬り付けられ、前のめりになる。
アナザージオウトリニティが一つの動作を行おうする間に、ゲイツリバイブは五回攻撃を繰り出す。
体を削られる痛みを怒りによって鈍らせ、アナザージオウトリニティは次なるゲイツリバイブの攻撃に備え、迎え撃つ準備を進めていた。
どんなにゲイツリバイブが速かろうと必ず攻撃の間が出来る。アナザージオウトリニティは未来予測でそのタイミングを計ろうとしていた。
だが、その間すらアナザージオウトリニティに与えない。
「何処を見ている」
冷めた声と共にディケイドドライブがスライディングでアナザージオウトリニティの脇を通り抜けていく。そのすれ違い様にライドブッカーの刃がアナザージオウトリニティの脇腹を切り裂いた。
「うぐあっ!」
縦横無尽に駆け抜ける青い残像の中に赤の彩りが加えられ、アナザージオウトリニティを攻める。
アナザージオウトリニティの未来予測ではゲイツリバイブの動きに一歩遅れてしまう。またアナザーウォズの能力で瞬間移動させようにも動きを捉えなければ意味が無い。仮にアナザージオウトリニティ自身を瞬間移動させてもゲイツリバイブは追い付いてくる。実際、未来予測で瞬間移動後追いつかれて攻撃をされている光景が見えていた。
ならば必然的に狙う相手は絞られる。アナザージオウトリニティの三つ目がディケイドドライブへ向けられた。
だが、当然の如くディケイドドライブもまた自分が狙われることを予測している。だからこそアナザージオウトリニティへの攻撃後、次の一手に移っていた。
「ギアを上げるとするか」
ネオディケイドライバーにカードが装填され、内包された力が解放される。
『フォームライド・ドライブフォーミュラ』
ディケイドドライブの周囲にパーツが形成され、それらが装備されると上半身にF1カーを模した青と白の装甲、両腕に小型のタイヤを装着し、サングラス型のゴーグルを付けたディケイドドライブタイプフォーミュラへ変わる。
「はっ!」
ディケイドドライブの姿が消えた。同時にアナザージオウトリニティの胴体に火花が散る。
「ぐああっ!」
その傷を押さえる間もなくゲイツリバイブの爪撃が背中を抉る。
「うぐあっ!」
青と赤の残像が青一色となるが、天と地から同等の速度でアナザージオウトリニティへ仕掛けてくる。
アナザージオウトリニティもその気になれば同じ速度で動ける。だが、絶え間なく繰り返される超高速の攻撃が、その猶予を与えない。
『フィニッシュタァァイム! リバイブ!』
「何っ!?」
アナザージオウトリニティの背後に出現する『きっく』の文字。それが背中にゲイツリバイブの蹴りと共に打ち込まれる。
「ぐあっ!」
前方へ蹴り飛ばされるアナザージオウトリニティ。その先にも『きっく』の文字が待ち構えており、今度は真上へ蹴り上げられた。
「があっ!」
『きっく』『きっく』『きっく』。周りに文字が浮かび上がる度にアナザージオウトリニティの体は上空へ蹴り上げられていく。
そして、頂点で待っていたのは、やはり『きっく』の文字と右足を振り上げているゲイツリバイブ。
『百烈! タイムバースト!』
アナザージオウトリニティの背にゲイツリバイブの踵落としが炸裂し、高所から蹴り落とす。
そのタイミングに合わせ、ディケイドドライブはカードをドライバーへ入れる。
『ファイナルアタックライド・ド、ド、ド、ドライブ!』
青いエネルギーを纏いながら跳び上がると、背中のエンジンから炎が噴き出し、ディケイドドライブは空中を急加速。その速度のまま落ちてきたアナザージオウトリニティに右足を叩き付ける。
アナザージオウトリニティは真横に吹っ飛んでいき、近くの建物を突き破っていく。
「手応えはあったが……」
ゲイツリバイブがディケイドドライブの傍に降り立つ。
「まだ油断するなよ」
並のアナザーライダーなら数度倒せる程のダメージを与えたつもりだが、二人とも勝った気はしなかった。ディケイドドライブは、元のディケイドに戻る。この姿の方が一番慣れており、即座に対応出来るからである。
すると、建物の穴から瓦礫を蹴り飛ばしてアナザージオウトリニティが出て来る。多少足がふらついているが、しっかりと歩いていた。
「この程度で、俺を倒せると思っているのかっ!?」
胸のアナザージオウⅡの針が逆巻く。すると、アナザージオウトリニティの体の至る所に負っていた傷が修復され、手離していた二本の剣もその手に戻る。
「何て奴だ……」
「厄介だな」
アナザージオウトリニティの強靭さも勿論のことだが、今まで与えたダメージを一瞬で無に帰す時間改変による回復も凶悪そのもの。ゲイツリバイブ、ディケイドは仮面の下で顔を顰める。
「もうお前らの好き勝手にさせるか……!」
アナザージオウトリニティが右眼を閉じる。すると、左右に召喚されるアナザーゲイツとアナザーゲイツリバイブ。
「俺のアナザーライダーまで……」
自身のアナザーライダーが現れ、ゲイツリバイブは僅かに動揺した。
アナザーゲイツリバイブは、骨の様な外装を翼の様に広げる。骨の羽に皮膜が覆われていく。
「来るぞ!」
ディケイドが叫んだ瞬間にはアナザーゲイツリバイブは二人の背後に立っていた。それに遅れて二人の体に裂傷が浮かび上がり、火花が噴き上がる。
◇
ツクヨミが見ている前でジオウⅡとアナザーマッドローグ、アナザーガタックの戦いが繰り広げられていた。
アナザーマッドローグはダガーと拳銃を駆使し、アナザーガタックは巨大な鋏で真っ二つにしようとする。
二対一という不利な戦い。しかし、ジオウⅡはその状況下で互角、否、圧倒していた。
振り下ろされたアナザーマッドローグのダガーを手刀で叩くことで軌道を逸らし、続けてアナザーマッドローグは拳銃をジオウⅡの眼前に突きつけるが、引き金を引かれる前に頭を傾けることで発射された光弾を避けてしまう。
アナザーガタックが側面から鋏を振り翳すが、ジオウⅡはそちらに視線を向けずに蹴りを放ち、アナザーガタックはその蹴りを腹部に受けて転倒してしまう。
アナザーマッドローグは蝙蝠の様な高音の奇声を発しながら背中から翼を広げ、飛び上がると上空から襲い掛かる。
ジオウⅡはサイキョーギレードを構え、上から来るアナザーマッドローグの攻撃を防いだ。
ダガー、それに拳銃をサイキョーギレードに叩き付けるアナザーマッドローグ。打撃武器ではない拳銃は、その衝撃で歪んでしまい使い物にならなくなってしまった。
すると、アナザーマッドローグはいきなりサイキョーギレードの剣身に噛み付く。
「ええっ!」
アナザーマッドローグの奇行に驚くジオウⅡ。それを不気味に思い、サイキョーギレードを振り抜くとあっさりアナザーマッドローグは離れた。
アナザーマッドローグは歪んだ拳銃を投げ捨てると、胴体に癒着するように一体となった赤黒いドライバーのハンドルを回す。
ドライバーに挿してある紫と赤のボトルが点滅し、ドライバーから血管の様な二本のチューブが伸び、絡まり始める。チューブの中に紫と赤の液体が流れ、絡まったチューブに辿り着くと──
『クリエーション……』
濁った音声の後、チューブがサイキョーギレードに似た武器を創造する。出来上がったそれをアナザーマッドローグは掴む。
「コピー! ……じゃない?」
出来上がったサイキョーギレード擬きを見てジオウⅡは首を傾げる。刃部分は刃毀れし、剣身は血管の様な筋が入り、変な液体で濡れている。そして、ジオウの顔部分は気色の悪い髑髏が填め込まれていた。
誰がどう見ても醜悪且つ悪趣味な劣化品。
アナザーマッドローグはそれを見せつける様に掲げ、迫ってくる。
『ライダーフィニッシュタァァイム!』
ジオウⅡはサイキョーギレードの柄でジクウドライバーを押し、回転させる。
『トゥワイスタイムブレーク!』
ジオウⅡの輝く左拳が振り下ろされたサイキョーギレード擬きを砕き、アナザーマッドローグの腹を打ち貫く。複製品程度では、ジオウⅡの拳にすら勝てる筈が無かった。
アナザーマッドローグの撃破と同時にアナザーガタックが動く。
クロックアップによる高速移動によってジオウⅡの背後に回る。アナザーマッドローグを倒した直後のジオウⅡは、アナザーガタックに気付いていない。
頭部の角、折り畳まれていた口部の牙、胴体に隠してある複腕、そして巨大鋏。悪辣な処刑器具の如く全身を使いジオウⅡをバラバラに切り刻もうとする。
「──視えてるよ」
ジオウⅡは真っ直ぐに突き伸ばしていた左拳を、今度は引く。それに合わせてドライバーが再び回っていた。
引かれた左腕は伸ばしていた分だけ加速し、そのまま背後に肘打ちとして打ち出され、アナザーガタックの胸部に突き刺さる。
『トゥワイスタイムブレーク!』
肘先から放たれる彩色の光が、アナザーガタックの胸に大きな風穴を作る。
ジオウⅡは未来予測でアナザーガタックの動きを既に読んでいた。故にアナザーマッドローグの後に続けて攻撃を出せる形にしていたのだ。
アナザーマッドローグもアナザーガタックも決して弱くない。ただ、ジオウⅡが彼らよりも遥かに強かった。
ジオウⅡの前後でアナザーマッドローグとアナザーガタックが爆発し、焼失する。
二体のアナザーライダーを倒し、ジオウⅡはツクヨミの下へ向かおうとする。
「ツクヨミ」
ツクヨミも安堵し、ジオウⅡの下へ行こうとして──その動きが停止した。
「大人しくしてくれるかな?」
「ウール!」
タイムジャッカーのウールは、ツクヨミの傍に移動すると彼女が護身として構えていたファイズフォンXを奪い、その銃口をツクヨミのこめかみに向ける。
「動かないでね、ジオウ」
「くっ……!」
「スウォルツもそうけど、僕も興味があるんだよね、彼女に。時間を停めるのは僕たちの専売特許の筈なのにさぁ」
タイムジャッカー以外で時間停止能力を持つツクヨミに、ウールは興味とそれに同じくらいの不信感を覚えていた。
ツクヨミを人質にされ、ジオウⅡは動けない。
「ここは退いてくれないか、かつての魔王」
何とかして隙を見つけようとするジオウⅡであったが、その両者の間に横からウォズが入り込んできた。
「ウォズ……助けに来てくれたのかい?」
「我が魔王の機嫌を損ねているのでね。こうやって少しでも役に立たないと」
「──同情するよ」
ウォズの口元にある痣を見て、ウールは揶揄いではなく本心の言葉を出す。
「ウォズ…………」
「もう一度言う。ここは退いてくれないか? でなければ……」
ウォズはギンガミライドウォッチをジオウⅡに見せる。
「君とは……戦いたくない」
ジオウⅡは本音を零す。一度は矛先を向けられた。それでもウォズと戦いたくない。かれをまだ仲間と思っている為。
ジオウⅡの言葉に、ウォズは一瞬だが気不味そうに視線を逸らすと、ギンガミライドウォッチを仕舞う。言葉の代わりにウォズも戦うことが不本意であることを伝える。
「……私が為すべきこと、それは今も昔も変わらない」
そう言い残し、ウォズはウールたちの傍に行くとストールで覆い包み、消えてしまった。
ジオウⅡのみ残され、場が静寂に満ちた──次の時には余韻を吹き飛ばす破砕音と共にゲイツリバイブ、ディケイドが建物を突き破って転がり出てきた。
「二人とも!?」
急な出現にジオウⅡは驚く。
「ジオウ!? ツクヨミは! ツクヨミはどうした!?」
「ごめん……タイムジャッカーに連れて行かれた……」
「貴様っ!?」
ツクヨミを守れなかったことを怒り、ジオウⅡの肩を乱暴に掴むゲイツリバイブ。
「今はそんなことをしている場合じゃないだろうが」
ゲイツリバイブの様子に呆れながらディケイドが口を挟むと、ゲイツリバイブもそれで少し頭が冷えたのか掴んでいた手を離す。
「ふんっ、仲間を救うことも出来なかった。無様だな、常磐ソウゴ」
ゲイツリバイブたちによって出来た穴からアナザージオウトリニティがアナザーゲイツ、アナザーゲイツリバイブを引き連れて現れた。
怒りで血が昇っていた頭は、ジオウⅡの失態を聞いて一気に溜飲が下がる。
ジオウⅡの哀しみは、アナザージオウトリニティにとっての喜び。どこまでも対の関係にある二人であった。
アナザージオウトリニティに対峙する三人。突然、アナザーゲイツリバイブが居なくなるとジオウⅡらの体に斬撃の痕が残る。
「うっ!」
「ぐっ!」
「くっ……!」
先手によって態勢を崩されるジオウⅡたち。怒りに染まっていた時と比べ、ジオウⅡを追い詰めた様とするアナザージオウトリニティには暗い喜びで満ちており、怒りの感情以上の力を発揮している。
アナザーゲイツリバイブはアナザージオウトリニティの隣に戻り、疾風形態から剛烈形態に戻る。
「はあああ……」
アナザージオウトリニティが斧を掲げる。アナザーゲイツも同じポーズをとっており、アナザーゲイツリバイブは右手を上げていた。
「はあっ!」
アナザージオウトリニティが振り下ろした斧から縦に回転する赤黒い時計盤型のエネルギーが放たれる。アナザーゲイツの斧、アナザーゲイツリバイブの右手からも同様のものが放たれた。
大地を裂いて回転するそれがジオウⅡたちに命中し、爆発を起こす。
「く、ああ……」
「ぐう……」
「うっ……」
全身に青白い電流の様なものが走り、彼らが限界に近いことを表していた。
「一旦退くぞ!」
ディケイドはカードをドライバーに素早く装填。
『アタックライド・インビジブル』
ジオウⅡたちの姿が透明になり、アナザージオウトリニティの視界から消えた。
「むっ……!」
アナザージオウトリニティは試しに各武器から光を発し、周囲を無差別に攻撃する。全く手応えの無いことから逃げられたと察したが、それ以上深追いする気はなかった。ツクヨミが手元に居れば、遅かれ早かれ目の前に現れる。
「常磐ソウゴ、次に会った時がお前の最期だ……!」
◇
ウールとウォズによって加古川飛流の居城へ連れて来られたツクヨミ。彼女を待っていたのはスウォルツであった。
「よく来たな、ツクヨミ。──いや、アルピナよ」
「アル、ピナ……?」
「どうした? もっと喜んだらどうだ? 自分の本当の名が分かったのだぞ?」
「う、そ……」
記憶喪失の自分の名が簡単に告げられ、ツクヨミは呆然としてしまう。だが。すぐに疑問が出てきた。
「何故貴方が私の本当の名を……!?」
「兄が妹の名を知っているのは当然のことだ」
「兄……妹……? 貴方が……」
この事実にはツクヨミだけでなくウールも目を見開く。一方でウォズは静かに眉間に皺を寄せていた。
「驚くのも無理は無い。だが、お前は俺と同じ力に目覚めた」
「力……時間を停める力……!」
「その力は我が一族のみ与えられた特別な力だ」
「……その話、初耳なんだけど?」
堪らずウールが話に入ってしまう。
「言う必要が無いからだ」
スウォルツは一言でそれを切り捨ててしまった。
啞然とするウールを無視し、スウォルツは話を続ける。
「そして、王座は間もなく俺の物になる」
ウールは顔を顰めてスウォルツに詰め寄った。
「おかしくない? 僕たちの目的はオーマジオウに代わる王を擁立させることだろう? その言い方だとスウォルツが王様になりたいみたいじゃないか!」
スウォルツは高慢に笑い、ウールを見下ろす。
「だとしたら?」
「なっ!?」
「その話、私も詳しく聞きたいんだけど」
タイムジャッカーのオーラが海東と共に戻って来た。
「この海東って男、タイムジャッカーと同じ力を使った。力を貴方から貰ったって聞いたわ」
「何だって?」
自分たち以外に時間停止能力を分け与えるスウォルツに、ウールは不審な眼差しを向ける。
「あれ? それって言っちゃ不味いことだった?」
場の空気にそぐわない惚けた声を出す海東。しかし、周囲はそんな海東を見向きもしない。
「構わん。俺にとっては些細なことだ」
「それなら良かった」
「スウォルツ!」
自分たちの力を些細なことを言われ、オーラは強い剣幕でスウォルツに近付いていく。
「ちゃんと説明して貰えかしら?」
「──良いだろう」
そう言ってスウォルツは笑い、近くに立つオーラの頭をいきなり鷲掴みにする。
「うあああ、あああああ!」
オーラの中の光がスウォルツへ流れ込んでいく。
「まず、お前は三つ勘違いをしている。まず一つ、俺とお前たちは対等では無い。二つ目は、お前たちは選ばれたわけでは無い。俺が選んでやったのだ」
その間にもオーラの光はスウォルツへ注がれ、段々と輝きを失っていく。
「そして三つ目、お前たちに与えた力は、俺がその気になればいつでも奪えたということだ」
◇
スウォルツの下から逃げ出したウールとオーラはとある廃屋に身を隠していた。
オーラはスウォルツにより時間停止の力を失ってしまっていた。それによりウールたちはスウォルツに騙され、利用されていたことを理解する。
タイムジャッカーなどスウォルツが作り上げた幻想に過ぎなかったのだ。
「絶対仕返しをしなきゃ、気が済まない!」
報復を誓うウール。
「それには賛成だけど、下手に逆らえば君も力を奪われるよ?」
廃屋に海東が現れる。身構えるウールたちであったが、海東に戦う意志は無かった。
スウォルツに始末して来いと命令されたが、お宝を優先して考える海東は最初から従うつもりは無い。かと言って反抗の意志を見せたら埋め込まれたアナザーウォッチを起動させられる。表面上は従うしかない。
「おっと……」
海東はわざとらしくジャケットの内側から何かを落とす。オーラの足元まで転がっていったそれはグランドジオウライドウォッチであった。
「──しまった。折角のお宝を落としてしまったな……何処に行ったのやら?」
辺りをキョロキョロを見回し、グランドジオウライドウォッチを見て見ぬ振りをする。
「困ったなー。困ったが、まあ、仕方ない。拾った誰かが有意義に使うことを願うよ」
敢えてグランドジオウライドウォッチを渡した海東。敵か味方か分からない行動にウールたちは信じていいのか分からなくなる。
「──うん?」
海東は外に耳を傾ける。追手のアナザーライダーたちの声と足音が聞こえた。
「さて、変に勘繰られるのも嫌だし取り敢えず仕事はしようかな」
海東はネオディエンドライバーを出し、ディエンドのカードを入れる。
「変身!」
『カメンライド・ディエンド』
変身した海東は、天井に向けて発砲。その音を聞きつけてアナザーライダーたちが室内に入って来る。
「何なんだよ!? あいつは!?」
「ホント! 訳が分からない! ウール、逃げるわよ!」
理解不能なディエンドの行動を誹りながらウールたちは急いで逃げる。
「悪いね。まあ、頑張って」
逃げるウールたちの背中に無責任なエールを送るのであった。
◇
ツクヨミを探すソウゴ、ゲイツ、士は偶然にもアナザーライダーたちに追われているウールたちを見つけてしまう。
罠かとゲイツは訝しむが、ソウゴはそれでも放っておけないと言い後を追う。士は特に反対することなくソウゴに付いて行き、独りとなったゲイツは仕方なく二人に続いた。
三人が駆け付けるとオーラたちがアナザーライダーたちに襲われる直前であった。
一体は標本の如く白骨で形成された体のアナザースカル。もう一体は白いローブを纏い、琥珀色の削りだされた宝石の様な顔をし、五指に指輪を填めたアナザーワイズマン。
『変身!』
ジオウ、ゲイツ、ディケイドと成った三人はすぐにウールたちからアナザーライダーたちを引き離す。
その様子をディエンドが遠くから眺めていた。
「へぇー、士も居るんだ。なら、もう一仕事しようかな」
ディエンドは二枚のカードをネオディエンドライバーに挿し込む。
『カメンライド・ライオトルーパーズ』
『カメンライド・黒影トルーパーズ』
ネオディエンドライバーの引き金を引くと、ジオウたちの周囲に三原色の光が出現し、それらが重なり合うことで複数のライダーが召喚される。
「何これ!」
「海東め……」
驚くジオウとゲイツ。ディケイドは誰の仕業か把握し、鬱陶しそうな声を出していた。
単眼の様な銀色のマスク。体の各部に銅色のプロテクターを装着し、手には銃剣一体の武器を持つシンプルなデザインの量産型ライダー、ライオトルーパー。
両肩にゴツゴツとした、胸には重ねられた黒い鎧を付け、半円形のバイザーの付いた円形の頭部には三角の鎧を被っている。戦国時代の足軽を思わせる軽装、握っている長槍でよりらしく見える。これもまた同じく量産型ライダー、黒影トルーパー。
G3と同じく一枚のカードで三体召喚され、合わせて六体の量産型ライダーたちがジオウたちに武器を向ける。
「面倒だが、やるしかないか」
「いくよ、ゲイツ! 門矢士!」
「タイムジャッカーの為に戦うとはな……」
ジオウとゲイツはライドウォッチを、ディケイドはカードを構える。
『アクセル!』
『ウィザード!』
ライドウォッチをジクウドライバーにセットし、ライダーアーマーを召喚。
『アーマーターイム!』
ディケイドもカードをネオディケイドライバーに入れる。
『カメンライド──』
風が吹き、ディケイドを包み込むと彼を緑と黒の二色のライダーへ変えた。
『──W』
ジオウによって呼び出されたバイク型のライダーアーマーは周囲を走り回り、アナザーライダーたちやライオトルーパーたちを牽制。距離が開くと分解され、ゲイツのアーマーと一緒に装着される。
『アクセル! アクセル!』
『プリーズ! ウィザード!』
加速が生み出す高熱と魔法が生み出す炎、そしてディケイドWが呼び出す風がそれを激しく燃やし、アナザーライダーたちを吹き飛ばす。
「さあ、振り切っちゃうぜぇ!」
「──それ、締まらないから止めろ」
ジオウの微妙に違う決め台詞に、ディケイドWは少し呆れた様に言うのであった。
アナザーガタック
身長:194.0cm
体重:97.0kg
特色/能力:鋏による攻撃/高速移動
アナザーマッドローグ
身長:196.0cm
体重:105.8kg
特色/能力:飛翔/武器の模造
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ