ジオウアクセルアーマー、ゲイツウィザードアーマー、ディケイドWの三人のライダーが並び立つ光景。ディケイドWは手を払う様に打ち鳴らし準備が完了を告げる。
それを破壊すると言わんばかりにアナザーワイズマンが先手を打つ。
五指を腹部中央に備えた骨の手が付いたベルトの前に翳す。
『エクスプロージョン……』
くもぐった声の後にアナザーワイズマンが手を突き出すと、ジオウたちの足元に亀裂が生じ、そこから爆炎が噴き出してジオウらを呑み込んだ。
あらゆる場所を自在に爆発させるアナザーワイズマンの魔法が容赦なくジオウたちを焼き尽くす──かと思われた。
爆炎が時間を巻き戻される様に縮小していき、ジオウらの姿が爆炎の中から出て来る。
アナザーワイズマンが創り出した爆炎は、ゲイツのウィザードアーマーから垂れている呪文が刻まれた帯に炎も熱も全て吸い込まれてしまった。
爆炎が消え失せると、ジオウはアクセルアーマーをバイク形態へと変え走り出す。
周囲を囲んでいるライオトルーパーたちは銃剣一体型の専用武器──アクセレイガンを銃形態にして撃ってくるがそれ左右に避けて回避しつつ、急ブレーキ。後輪が浮き上がると脚部に付いてあるマフラーから炎を噴射しながら回転し、ライオトルーパー二体を蹴散らす。
残りの一体のライオトルーパーがアクセレイガンでジオウに斬りかかるが、ジオウは素早くバイク形態から人型へと戻り、両腕に備わっている一対の剣──エンジンブレードブレードの内の一本で防ぎ、余ったブレードでがら空きになったライオトルーパーの胴体を裂いた。
切り裂かれたライオトルーパーが光に還る。すると、黒影トルーパーたちが専用の長槍──影松を構えて突進してきた。
構えるジオウであったが、頭上を跳び越えて前に出てきたディケイドWが着地と共に足を振り上げ、突き出された影松を弾く。
蹴りを放った勢いのままもう一本の影松も回し蹴りによって穂先が跳ね上がった。
キックを繰り出す度に風が巻き起こり、三体目の黒影トルーパーはその余波を受けて思わず足を止めてしまう。
そこにすかさず飛び込んだディケイドW。黒影トルーパーは咄嗟に影松を突き出そうとするが、その前に右手が柄を掴んで封じ、その間に左拳が黒影トルーパーの顔面を打ち抜く。
急所を的確に打ち抜く一撃によって黒影トルーパー一体も光に戻る。
ディケイドWは次なる相手を決めようとするが、急に足を止め、旋回しながら後退する。首に巻かれた白いマフラーの端に何かが掠めていった。
ディケイドWが視線を動かし、発射した当人を見る。
帽子のズレを押さえる様に指先を額に当て、もう一方の手の人差し指を銃の様にして向けるアナザースカル。人差し指の第一関節から先の骨が無くなっている。
人差し指の第一関節の骨が断面から生え、すぐに再生すると、今度は両手の五指を広げた状態で指先を向けると、第一関節から先の骨が発射され、弾丸としてジオウらにばら撒かれる。
ジオウはエンジンブレードブレードで、ゲイツはジカンザックスで、ディケイドWは蹴りによって骨の弾丸を打ち落とす。
『サンダー……』
アナザーワイズマンが指輪を翳し、別の魔法を発動させると、その手から電撃が放射される。
しかし、伸びてきた電撃は赤い魔法陣によって遮られた。ウィザードアーマーの魔法による魔法の防御。
アナザーワイズマンはもう一度指輪をベルトに翳し、魔法を発動させようとするが、ゲイツの生み出した魔法陣から炎が吹き、アナザーワイズマンを焼くことでそれを妨害する。
アナザーワイズマンは焼かれながらも魔法で防御しようと試みるが、その動きを察知したゲイツが炎の勢いを強め、アナザーワイズマンを吹き飛ばしてしまう。
アナザーワイズマンが戦線から遠ざかった今、各ライダーたちは倒すべき相手を見定めて戦いを仕掛ける。
「はああああ!」
ジオウは両手を広げ、高速回転。独楽の様に回りながら移動する。キュルキュルと摩擦音が鳴り、地面から焦げたニオイと煙が上がる。
ライオトルーパーたちはアクセレイガンが撃ってくるが、回転するブレードによって光弾は全て弾き飛ばされると、回転したままライオトルーパー二体を斬る。
左右に立つライオトルーパーたちを真一文字に斬ると回転を止め、捻られた体から今度は逆回転をし、もう一度とライオトルーパーたちを斬るとダメージの許容量を超え光になって消える。
ゲイツがジカンザックスを強く握り締めると、刃部分が赤熱化する。赤くなった刃を振るえば軌跡に沿って炎が残り、線が描かれ、もう一度振るえば炎の線が交差しXの形となる。
切り返したジカンザックスを振り抜くと、炎のXが黒影トルーパーたちに向かって飛んでいく。黒影トルーパーたちは影松を盾にしてそれを防ごうとするが、炎のXに柄が触れると呆気無く焼き切られ、黒影トルーパー二体に炎の斬撃を浴びせると共に爆発。爆炎の中で黒影トルーパーたちは消えていった。
ディケイドWはアナザースカルに飛び蹴りを放つ。片腕でそれをガードするアナザースカル。腕を覆っている骨が防御の為に厚みが増しており、一回りぐらい膨れ上がっている。
ガードしても飛び蹴りの威力を完全に殺すことが出来ず、アナザースカルは数歩後退させられる。
アナザースカルを追って前に出るディケイドW。左拳を作りながら距離を詰める。
そのタイミングを見計らってアナザースカルは上体をのけ反らし胸部を張る。すると、体に張り付いていた胸骨が開き、骨の針となってディケイドWを串刺しにしようとする。
迫るディケイドW。迎え撃つアナザースカル。骨の針がディケイドWの体を貫こうとする間際──
「危ない奴だ」
──目の前まで来ていた骨の針を両手で掴むことで串刺しを免れるディケイドW。伸びた胸骨を下から蹴り上げ、纏めて蹴り砕く。
迎撃に失敗したアナザースカルは、骨を折られた胸の押さえながら後退りをし、再び指先から骨の弾丸を飛ばそうとする。
「はあ!」
アナザースカルに赤い衝撃波が直撃し、それを中断させる。衝撃波を放ったのはジオウ。エンジンブレードブレードを突き出すことで衝撃波を生み出し、飛ばしたそれを受けてアナザースカルの体から火花が噴き出す。
「もう一発だ、魔王」
「いっくよー!」
ディケイドWのリクエストに応え、衝撃波を繰り出すジオウ。その射線状のすぐ傍に立っていたディケイドWは、衝撃波が目の前を通り過ぎていくタイミングに合わせて──
「加速だ」
──疾風を纏わせた右足で衝撃波を蹴り、風の力が合わさった衝撃波はディケイドWの言う通り加速し、威力を強めてアナザースカルに命中。
強烈な一撃を受け、その場で膝を突いて動けなくなってしまうアナザースカル。致命的な隙を見せる。
「終わりにするぞ」
「言われなくても!」
ディケイドWはWの紋章が入ったカードを出し、ジオウはライドウォッチのスイッチを押し込む。
『フィニッシュタァァイム! アクセル!』
バイク形態となると地面が摩擦で焦げる程の勢いで急ターンし、アナザースカルの居る位置から逆方向に発進。瞬く間に数十メートル程の距離が開く。
十分な距離を稼いだらまたも急ターン。今度はアナザースカル目掛けて走っていく。
ディケイドWは取り出しカードをネオディケイドライバーへ投げ入れ、カードを読み込ませる。
『ファイナルアタックライド・ダ、ダ、ダ、W!』
ディケイドWを中止に旋風が生じ、それによってディケイドWは宙へ浮き上がる。
加速したジオウの体から炎が燃え上がると、バイクから人型へ戻り、エンジンブレードブレードの刃先を交差させて前に出す。炎がブレードを含む全身を包み込み巨大なAの文字を作り上げた。
『マキシマム! タイムブレーク!』
炎のAがアナザースカルに突撃。
空中に居るディケイドWはアナザースカルに向かって滑空。その際に体の左右が上下にズレ、左足が前に前に出る格好となる。
炎のAがアナザースカルを貫き、ディケイドWの左足がアナザースカルの頭部を蹴ると時間差で右足のキックも頭部を蹴り飛ばす。
二人のライダーが放つ必殺の一撃によってアナザースカルは打ち砕かれ、爆発の中で消滅する。
一方でゲイツとアナザーワイズマンとの戦いも決着を迎えようとしていた。
『フィニッシュタァァイム! ウィザード!』
ゲイツは側転をしながら跳躍。空中で体を捻りながらキックの体勢へ移行する。
立ち上がったアナザーワイズマンがゲイツの動きに気付いて慌てて魔法を発動しようとするが、アナザーワイズマンの四方の地面に小型の魔法陣が描かれており、そこから炎の鎖が伸びてアナザーワイズマンを拘束、魔法を発動出来なくさせる。
『ストライク! タイムバースト!』
右足を燃え上がらせたゲイツがアナザーワイズマン目掛けて上から降りて来る。すると、アナザーワイズマンの前に赤い魔法陣が展開された。
ゲイツがその魔法陣に右足を入れると、反対側から巨大化した炎の右足が現れ、アナザーワイズマンを踏み潰す。
巨大なゲイツの足裏でアナザーワイズマンが爆発するが、それすらも踏み躙られて音すらなく消えてしまった。
どちらも上手く力を扱う契約者が居れば強力なアナザーライダーになっていたが、所詮は側だけの存在。想定内かそれ以下の力しか発揮出来ない。尤も、これが本物だったのならジオウたちは苦戦を強いられていただろう。
「やるね」
その光景を眺めていたディエンドは、三人の戦いぶりに賞賛の言葉を送ると、もうここに用は無くなったので気付かれない内に去っていく。
アナザースカルたちを撃破したジオウとゲイツは、ウールたちに事情を聞こうとする。ディケイドはWの姿を解除し、周囲を窺っていた。ライオトルーパーと黒影トルーパーを出したのは間違いなく海東の仕業である。まだ近くに居るかもしれないと警戒をしていた。
海東という男は、こういった戦いが終わって気が緩んだ瞬間に最悪なことをしでかす人物なので気が抜けない。
「どうして君たちが襲われているの?」
「余計なことを……君たちには関係ないだろ!」
助けられたウールは複雑な表情をしていた。敵対関係にあるジオウたちに命を救われたという事実。敵として接してきたのに迷いも無くジオウが助けたことに感謝よりも反発心を覚えてしまう。
助けられて反抗的な態度のウール。怒りの一つでも覚えていいはずだが、ジオウの態度には気遣いと心配しか無かった。
「──行こう」
ジオウの器量を感じ、反発と共にそんな態度をとらざるを得ない自身に強い羞恥を覚え、居ても立っても居られずオーラを連れて逃げる様にこの場から移動しようとする。
「待って」
それをオーラが止める。
「貴方に頼みたいことがあるの」
「オーラ……!」
ウールは止めさせようとするが、オーラと目を合わせるとすぐに伏せてしまう。どんなに強気であっても心の底では自分たちの立場を嫌でも理解してしまっていた。
ウールは渋々といった様子で自分たちの身に何が起こったのかを教える。
全てはスウォルツが王になる為の企みであり、自分たちが利用されていたこと、ツクヨミがスウォルツの妹であることを語る。
スウォルツを倒すこと。それがオーラがジオウたちへの頼み。その対価としてジオウにアレを差し出す。
「これでスウォルツを倒せる?」
「グランドジオウライドウォッチ……! どうしてそれを……?」
ジオウは奪われたグランドジオウライドウォッチをオーラが持っていることに驚く。横目でそれを見ていたディケイドは、ディエンドの差し金であると察する、と同時にまた裏でコソコソと何かを企んでいると感付く。
出来るか、出来ないか、オーラはその意志をジオウに問う。
暫し、考えを巡らせた後、ジオウはグランドジオウライドウォッチに手を伸ばす。
「──分かった。約束する」
◇
加古川飛流の居城で対面するスウォルツとツクヨミ。
ツクヨミはまだ自分がスウォルツの妹であることを信じられなかった。
戸惑うツクヨミにスウォルツは更なる衝撃的な事実を告げる。
スウォルツとツクヨミは、この時間とは異なる時間軸から来た者であり、時間を操る力はその時間軸の王家のみに受け継がれていく力だと説明する。
本来ならば一族で最も力が強い自分が王家を継ぎ、王となる筈であるとスウォルツは考えていた。しかし、その予想は外れ王の座は妹であるツクヨミに与えられることとなった。
その現実は、スウォルツにとって到底受け入れられることでは無かった。故にスウォルツは強硬手段に出た。
ツクヨミから記憶を奪い、自分たち世界から追放したのだ。
段々とスウォルツの目から暗く、強い輝きが放たれ始める。嫉妬、怒り、興奮、傲慢、愉悦。そして、ツクヨミはスウォルツが自分に肉親の情を一切持っていないことをその目から読み取れた。
「まさか生きていたとはな……」
その言葉の通り、スウォルツはツクヨミの死を願っていた。
「だが、今となっては都合が良い」
生還したことへの安堵など無い。使える道具でも見る様な目。
「お前の力を頂くぞ」
暗澹とした瞳の奥に底知れない欲望を見た瞬間、ツクヨミは逃げ出していた。
逃げるツクヨミの背にスウォルツが掌を向けると、紫色の光の縄が幾本も伸び、ツクヨミの体に巻き付く。
動きと止めるだけでなく、光の縄を通じて虹色の輝きがツクヨミからスウォルツへ流れていく。
「うあああああああああ!」
絶叫を上げるツクヨミ。その声を聞きつけ、急いで部屋の中に駆け込んできたのはウォズであった。
彼は一目で事態を察すると、スウォルツに攻撃を仕掛けようとし──
「やはり裏切ったか、ウォズ」
「ぐあっ!」
目の前に突然現れたアナザージオウトリニティの拳を腹部に受け、崩れ落ちる。
倒れたウォズの背を、アナザージオウトリニティは容赦無く踏みつけた。
「王よ。助力、感謝します」
「何か派手なことをやっているな。──まあ、いい」
スウォルツにとって幸いは、アナザージオウトリニティはスウォルツの野心を聞いていなかった。ツクヨミのことも追及せず裏切ったウォズにのみ注目していた。
「我が、魔王……」
「白々しい!」
「うあっ!」
踏み付ける力が増し、ウォズは苦しむ。
「──裏切ったことは許そう、ウォズ」
そう言いながらもウォズを踏み躙っていくアナザージオウトリニティ。
「何故なら最初から俺はお前を信用していなかったからな!」
アナザージオウトリニティはウォズの脇腹を蹴り飛ばす。蹴られたウォズが壁面に体を打ち付ける。
「う、ぐう……!」
「お前には言っていなかったな。俺が狙っている標的は三人。一人は常磐ソウゴ。もう一人は明光院ゲイツ。そして、最後の一人は、お前だ──ウォズ」
「私、が……?」
「お前も明光院ゲイツと一緒に俺の邪魔をしてくれたのを、俺はちゃんと覚えているぞ! 俺に仕えたいと言ってきた時から決めていた! お前はボロ雑巾になるまで使い潰してやるとな! だが、予想よりも早くお前が動いたせいでそれももう終わりだ!」
言われてウォズは納得した。道理でソウゴに止めを刺すように命令したり、ゲイツに攻撃させようと命令をしたりする訳である。あれは加古川飛流からウォズへの嫌がらせだったのだ。
「敢えて……言うまいと、思っていたが……やはり……言わせて貰おう……」
「何だ? 命乞いか?」
「君は……王の器には程遠い……!」
「貴様……!」
激昂するアナザージオウトリニティであったが、何かが落ちる音でそちらの方に気を取られる。
「ツクヨミ君……!」
スウォルツに力を奪われたツクヨミが地面に倒れ伏していた。
ウォズはすぐにストールを伸ばし、ツクヨミを傍まで引き寄せる。そして、この場から転移して逃げようとするが──
「させるか!」
ウォズたちの周りに黒い帯が現れ、転移する筈が元の場所に戻ってしまう。アナザーウォズの能力でウォズの力を打ち消したのだ。
「ここまでか……!」
流石のウォズもこの絶体絶命の状況に覚悟を決めざるを得ない。
「うう……!」
その時、ツクヨミが呻きながら手を掲げる。すると、その手から波動が放たれスウォルツ、アナザージオウトリニティの時間を停めてしまった。
スウォルツに殆ど能力を吸収されてしまったツクヨミ。しかし、僅かに残った一欠けらの力を使い、時間を停止させたのだ。
停められるのはほんの一瞬。そして使えるのもこれ一回きり。だが、ウォズにとっては十分であった。
「ツクヨミ君! 感謝する……!」
ストールで周囲を覆い、今度こそウォズの転移は成功する。
何処に行ったのか分からなければ、アナザージオウトリニティも引き寄せられない。
「う、うおおおおおおおおおお!」
まんまと逃げられたことへの悔しさからアナザージオウトリニティは叫ぶ。その様子をスウォルツは冷ややかに笑っていた。
「──ところで、突然ですが一つお聞きしてもよろしいですか?」
「──何だ?」
怒り心頭であったアナザージオウトリニティだが、スウォルツの声には耳を傾ける。それぐらいは信用しているということである
「貴方には歴史を変える力が在る。その力があれば、貴方とジオウとの間に生まれた因縁の日、その日を改変することが出来る筈。何故しないのですか?」
「……ふん。そんなことか」
スウォルツの疑問をアナザージオウトリニティは一笑する。
「決まっている! 歴史を変えて奴がしたことを無かったことに出来るものか! 俺の怒りも憎しみも屈辱も滅茶苦茶にされた人生を全て無かったことにする? ふざけるな! 少なくとも奴を倒すまでは歴史を変えるつもりは無い!」
「──立派なご決断です」
頭を下げるスウォルツ。アナザージオウトリニティには見えなかったが、スウォルツは今にも笑い出しそうに表情を歪めていた。
(両親よりも復讐を最優先とするか。もし、万が一ジオウとの戦いで絆されたら、と考えていたがその心配は無さそうだ)
ツクヨミの力を得て強大となったスウォルツならアナザージオウトリニティを強制的に従わせられるが、今のアナザージオウトリニティの精神ならジオウの言葉に一切聞く耳を持たないだろう。
(加古川飛流……貴様には王の才能は無いが、代わりの才はあったな。道化の才能が。ふ、ふふふ、ははははははは!)
◇
クジゴジ堂から緊急の連絡が入り、ソウゴたちが戻ると、彼らを待っていたのは意識を失ってベッドに寝かされているツクヨミと負傷した傷を手当てされたウォズであった。
ウォズはソウゴたちにツクヨミに何があったのか、これまでのことを教えた。そして、ウォズが何故加古川飛流の下に居たのかも。
「我が魔王、私はスウォルツの不穏な動きを探るために加古川飛流に付いていた。だが、まんまと利用されて君を何度も傷つけてしまったよ。許してくれとは言わない。気が済むまで罰を与えてくれ」
目的の為とは言え、ソウゴを心身共に追い詰めたことに変わりは無い。
「──俺は信じていたよ」
ソウゴはウォズに笑い掛け、その肩に手を置く。
「君の行動には必ず意味があるって」
ウォズがやはり自分の信じた通りの人物であったことに、ソウゴは寧ろ喜んで見せる。
「……ありがとう」
その一言しかウォズは言えなかった。ソウゴの寛大さに許されたことに安堵しつつ、何処か拭い切れない罪悪感を抱えた様な表情をしながら。
一方でゲイツの方は大分混乱していた。スウォルツがツクヨミの兄であり、別の時間軸の存在だと知り、一気に重大な情報を聞かされてしまったせいである。
「──大体分かった」
説明を聞き、士は彼にとってお決まりの台詞と共に一人納得する。
「本当か!? なら説明しろ!」
「大体は大体だ」
「貴様! 実は殆ど分かってないだろ!」
士のはぐらかした台詞にゲイツは怒りを剥き出しにする。
「兎に角、黒幕はスウォルツだ。あいつが全てを引き起こしていたということだ。とは言え、奴を倒すにはまず加古川飛流を倒さなければならないがな」
簡単に話を纏めると、今のソウゴたちがするべきことがそれである。
「未来は誰にも渡さない。スウォルツにも加古川飛流にも」
◇
加古川飛流を倒し、スウォルツの野望を止める。その意志の下、四人は加古川飛流の居城を目指す。
鬱蒼とした森を抜けた先にある城。この世界でソウゴが初めて見た飛流の像も在った。
飛流の城は、ソウゴたちが来ることを予想していたのかアナザーライダーたちが入口周辺で並んでいる。
巨大なアナザーライダー。既にソウゴたちが倒したアナザーライダー、初めて見るアナザーライダー。並び立つアナザーライダーの中心に飛流が立っていた。
「逃げずに来たことは褒めてやる。常磐ソウゴ」
飛流は城壁からソウゴたちを見下ろしながらアナザーウォッチを構える。
「お前の存在そのものを消し去った時、俺の本当の人生が始まる!」
「──ごめん」
「何……?」
予想外の返答だったのか、飛流は聞き返してしまう。
「傷付けたのなら謝る。──でも、みんなの時間を書き換えるのなんて間違っている!」
ソウゴは飛流の理不尽な怒りですら受け止めるつもりであった。しかし、その矛先が自分だけでなく他に向けられるのなら話は別である。
「だから、俺は……君を倒して元の時間を取り戻す」
最早、飛流を止めるにはこの方法しかない。
「御託はいい。決着を付けるぞ!」
『トリニティィ』
アナザーウォッチを起動させ、飛流の姿がアナザージオウトリニティへと変わる。
それを合図にソウゴはジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチを、ゲイツはゲイツライドウォッチとゲイツリバイブライドウォッチを、ウォズはギンガミライドウォッチを、士はディケイドのライダーカードを翳す。
『変身!』
王たる黄金の力。
『グランドターイム! 祝え! 仮面ライダー! グ・ラ・ン・ド! ジオーウ!』
未来すら置き去りにする疾風の力。
『ライダーターイム! リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風! 疾風!』
宇宙と銀河を司る力。
『ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー! 宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー! ファイナリー!』
マゼンタに輝く破壊者の力。
『カメンライド・ディケイド』
四人のライダーの異なる力がここに集う。
とはいえ多勢に無勢。グランドジオウたちとアナザージオウトリニティたちの数の差は五倍近く離れている。
「祝ッ──」
『龍騎!』
『ファイズ!』
『ブレイド!』
『キバ!』
「え!?」
ウォズが何かを言おうするが、グランドジオウが仮面ライダーたちを召喚したせいでそれが中断されてしまい、ウォズは呆然とした様子で立ち尽くしてしまう。
ディケイドは仮面ライダー龍騎、仮面ライダーファイズ、仮面ライダーブレイド、仮面ライダーキバキバフォームを見て──
「分かっててやったのか?」
「何が?」
ディケイドの言っている意味が分からず、グランドジオウは首を傾げる。
「分かってやっていないのなら、大したもんだと言っておいてやる、魔王」
ディケイドはライドブッカーから四枚のカードを出し、次々とネオディケイドライバーに挿す。
『ファイナルフォームライド・リュ、リュ、リュ、龍騎!』
『ファイナルフォームライド・ファ、ファ、ファ、ファイズ!』
『ファイナルフォームライド・ブ、ブ、ブ、ブレイド!』
『ファイナルフォームライド・キ、キ、キ、キバ!』
龍騎の両肩に盾──ドラグシールドが装着され、手に青龍刀──ドラグセイバーも装備すると姿が変形し始め、龍騎の使役するミラーモンスター──ドラグレッダーの姿に。
ファイズの体が反転しながら宙へ浮き、両足を揃えると砲口が形成され、巨大な光線銃に。
ブレイドの背中にトランプのスペードが描かれたホルダーが円形に展開されると、武器である剣と一体化し、ブレイド愛用の剣ブレイラウザーを巨大化させた剣の姿に。
キバは両足を大きく開くことで足そのものが弓と化し、中央部分から矢が作られる。その姿はキバのベルトにぶら下がっているキバットバットと呼ばれる存在と同じものとなっていた。
「ええ!? 何これ!?」
「何だこれは!?」
「変形した!?」
「ほう? これが話に聞いていた……」
グランドジオウ、ゲイツリバイブだけでなくアナザージオウトリニティも変形する仮面ライダーたちに驚く。唯一、ウォズだけは知っている雰囲気である。以前、アナザーディエンドが似た様なことをしていたが、まさか本物も出来るとは思っていなかった。
変形した龍騎──リュウキドラグレッダーが火炎弾を吐き、ブレイドであった巨大剣──ブレイドブレードは青白い電撃を発しながら旋回。火炎弾と雷の斬撃によって迫っていたアナザーライダーたちを牽制し、後退させる。
「派手に行くぞ」
元ファイズであった光線銃──ファイズブラスターはディケイドの手に。キバであった巨大弓矢──キバアローはゲイツリバイブの手に、ブレイドブレードはグランドジオウが装備し、リュウキドラグレッダーはウォズの周囲を飛ぶ。
「何か色々と変形してたけど、痛くないの?」
「ちょっとくすぐったいだけだ」
「本当?」
「大体な」
適当な返事をしながら、ディケイドはまた四枚のカードを出す。
「一気に行くぞ、魔王!」
「うん! 何か行けそうな気がする!」
最初に入れる二枚のカード。
『ファイナルアタックライド・ファ、ファ、ファ、ファイズ!』
『ファイナルアタックライド・ブ、ブ、ブ、ブレイド!』
ディケイドが構えるファイズブラスターの砲口から赤色の光線が撃ち出され、射線状に立つアナザーライダーたちを消滅させていきφのマークを刻んでいく。
ブレイドブレードの剣身から雷による眩い青白い光が放たれ、グランドジオウがそれを両手で振り下ろすと、アナザーライダーたちの身の丈を超える高さの斬撃が繰り出され、一振りで目の前に立っていたアナザーライダーたちを滅ぼす。
「まだまだ行くぞ!」
『ファイナルアタックライド・キ、キ、キ、キバ!』
次の瞬間、ゲイツリバイブの姿が消える。そして、同時にアナザーライダーたちの頭上に現れる無数の赤い光矢。その光景の中でキバアローを引き絞るゲイツリバイブの姿も混じっている。ゲイツリバイブの速度と飛行能力以ってすれば可能なこと。
ゲイツリバイブが最後の一矢を射る。王の威光を秘めた光矢がアナザーライダーたちに降り、数え切れない風穴を開けていく。
「これで最後だ」
ディケイドが四枚目を翳すとリュウキドラグレッダーがウォズの頭上へ飛んで行く。
『タイヨウ!』
ウォズはギンガファイナリーからタイヨウの力へ切り替える。
『投影! ファイナリータイム!』
『灼熱バーニング! 激熱ファイティング! ヘイヨー! タイヨウ! ギンガタイヨウ!』
タイヨウフォームとなったウォズは跳躍し、螺旋の如く身を捩るリュウキドラグレッダーの中央へ入る。
「祝えっ!」
『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』
途中で遮られてしまった祝福の言葉を、この瞬間に解き放つ。
「我が魔王が偽の魔王を打ち倒し、時の王者としての資質を証明する瞬間を!」
『ファイナルアタックライド・リュ、リュ、リュ、龍騎!』
「そして、これこそが我が魔王へ送る祝福の礼砲!」
『バーニングサンエクスプロージョン!』
ウォズは空中で体勢を変え、キックの体勢となると、そこにリュウキドラグレッダーが背後から火炎を吐き出す。
リュウキドラグレッダーの炎を纏ったウォズ。そこにタイヨウフォームの力も合わさることで、さながら太陽そのものと化す。
灼熱の太陽が地面に触れた時、大爆発、大炎上を巻き起こし、周囲にいたアナザーライダーたちは一瞬で灰燼に帰す。
グランドジオウとディケイドの合わせ技みたいな展開を書いてみました。
メインキャラなどが、別のキャラクターの技を使うのって結構好きなシチュエーションなので。
アナザースカル
身長:205.0cm
体重:110.0kg
特色/能力:骨を操る
アナザーワイズマン
身長:208.0cm
体重:85.0kg
特色/能力:魔法を自在に操る
先にどちらが見たいですか?
-
IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
-
IFゲイツ、マジェスティ