「中々、壮観だな」
グランドジオウたちのファイナルフォームライドによる一撃によって大量のアナザーライダーたちが壊滅状態へ追い込まれた光景を城の中から見ながら、スウォルツは笑みを浮かべ、それを讃える余裕すらあった。
少し前のスウォルツであったのなら、その圧倒的な攻撃に多少の焦りを覚えていただろう。しかし、ツクヨミの力を奪ったスウォルツにとっては恐れるに足りない。せいぜい派手な花火を鑑賞する様な感覚である。
とは言え、その力のみで満足せず、また慢心するつもりも無い。王座を得るために長い時間を掛け、悟られない様に回りくどい手段を取ってきた。ここまで積み重ねたものを台無しには出来ない。
スウォルツを王座へ押し上げる最後のピース。それを手に入れるまでは油断は出来ない。故に──
「お前にも協力してもらうぞ?」
スウォルツの後ろでソファーに横たわる海東。その姿には全くやる気が感じられない。スウォルツが王になるという野心について海東は知らない。知っていたとしても今と同じ様な態度であっただろうが。
「僕の目的はお宝だけさ。それ以外には興味が無いね」
アナザーウォッチを体内に埋め込まれ、首輪を付けられている状況であるが、海東は最低限は従うだけで不遜な態度を改めようとはしない。
スウォルツは海東の態度に気分を害した様子は無く、高慢に満ちた態度で笑う。その笑いは海東の癪に障るものであった。
「お前に俺の力を与えてやった」
「確かに便利な力だけど、殆ど押し売りだったじゃないか。まあ、これからも使わせてもらうけど」
「仕方ない。もう一つ、お宝を用意してやろう」
「なら、力を貸そうかな」
態度を一変させ、ソファーから立ち上がる。
「ついでにもう一つ。お宝では無いが、お前に情報をやろう」
「情報?」
「聞いておいて損は無い」
その言葉を一応信用し、スウォルツの情報を聞く。
「──へえ」
スウォルツから齎された情報は、海東にとって確かに有用な情報であった。上手く利用すれば今の海東の目的を達成することが出来る。
「その情報、有難く使わせてもらうよ。それで? 僕は君の何に協力すればいい?」
「簡単なことだ。──少しの間だけでいい。門矢士の動きを止めろ」
「士の?」
「気が乗らないか? 確か門矢士とお前は仲間だったと聞くが?」
スウォルツの試すような言い方。返答次第では無理矢理にでも従わせると言外に匂わせる。
海東は肩を竦ませる。
「士とはそれなりに長い付き合いだ。けど彼も良く知っている」
海東は、トリガーガードに指先を掛け、器用に回しながらネオディエンドライバーを取り出す。
「僕がお宝を最優先する、ってことはさ」
◇
用意したアナザーライダーの軍団が、開始早々に三分の二以上倒され、壊滅状態にまで追い込まれた。その光景にアナザージオウトリニティは絶句してしまっていた。
グランドジオウたちが装備する各ライダーのファイナルフォームライドが光の粒となって消えていく。何度も繰り返し使える武器、技では無いらしい。
「ふ、は、はははははは!」
アナザージオウトリニティは哄笑する。アナザーライダーたちを一気に倒されたことへの動揺を悟らせない為に。
「……あいつ、また言っているな」
「あんなことをいつもやっているのか!?」
「うん。やっとウォズが戻って来た感じがする」
そんなアナザージオウトリニティの動揺を余所に、祝福を終えて満足気に戻って来たウォズを、グランドジオウたちがそれぞれの反応を表していた。
吊り下げられているアナザージオウⅡの額の針が逆回転し出す。アナザーライダーたちが爆発した痕が逆回しになっていき、消えた炎が再び灯り、その炎を覆い隠す様に爆散したアナザーライダーたちの破片が集合していく。
そして、グランドジオウたちによって撃破されたアナザーライダーたちは、アナザージオウトリニティの力によって全員復活した。
「何度やっても無駄だ! 俺が望めば何度でも歴史は書き換えられる!」
グランドジオウたちにまざまざと見せつける。お前たちのしたことは全て無意味であり、徒労であるという現実を突き付ける。
「だから?」
「な、に……?」
その現実をグランドジオウは一言で一蹴する。
「やりたければ何百回でも何千回でもやればいい! 俺たちはそれを覚悟して、飛流! 君を倒しに来たんだ!」
吼えるアナザージオウトリニティに、グランドジオウは覇気を込めた意志と共に宣言する。
「まあ、大した数じゃない。強さもな」
幾つもの修羅場を潜り抜けきたディケイドは、アナザーライダーたちの軍団を大したことないと事も無げ言ってのける。虚勢には見えず、本心からの言葉にしか聞こえない。
「その通り! 忠臣たる我らの力は一騎当千! そして、時の王者たる我が魔王の力は万の兵すらも平伏す! 偽りの魔王の兵士たちなど恐れるに足らず!」
「誰が忠臣だ!? 誰が!?」
「それ、俺も入れてないだろうな……?」
今まで加古川飛流に不本意な形で忠誠を誓っていた反動か、ウォズはグランドジオウの下で実に生き生きとしていた。反面、その異様なテンションの高さにゲイツリバイブとディケイドはうんざりしている様子。
何なんだこの光景は、とアナザージオウトリニティは思う。どれだけ強かろうと数の上ではこちらが上。しかも、不死身に等しい何度も復活する軍団である。
だというのに、グランドジオウたちには恐怖など一切無い。堂々と胸を張り、自分たちの勝利を信じている。完全なる絶望を突き付けているのに、それをいとも簡単に跳ね除けてしまっていた。
その先頭に立つグランドジオウ。おかしい、あってはならない。歴史を書き換え、常磐ソウゴから居場所も仲間も全て奪い取った。全てを失った直後のグランドジオウなど黄金の輝きは無く、金メッキの様なくすんだ輝きであった筈。なのに今のグランドジオウからは、見た目の黄金だけでなく内から放たれる輝きも合わさって目を覆いたくなるような本物の輝きを放っていた。
(どういうことだ……!? 何故だ……!? 全てを奪ったのに、何で奪ったものがそこにある!?)
気付けばグランドジオウの傍に当たり前の様に立っているゲイツリバイブ。ウォズとは違い、書き換えられる前の歴史の記憶を完全に忘れている筈なのに、当然の様にグランドジオウと共闘している。
孤独だった筈なのに仲間と共に戦うグランドジオウに尽きることの無い怒りと苛立ちが湧き上がってくる。しかし、アナザージオウトリニティは気付かない。否、気付かない様にしていた。無限に湧き上がる怒りも苛立ちも全てはある感情を覆い隠す為の幕に過ぎない。
アナザージオウトリニティは、心の片隅でグランドジオウへ畏怖の感情を抱いていた。
「やれ! 今度こそ奴らを始末しろ!」
アナザージオウトリニティが咆哮の様に叫ぶと、復活したアナザーライダーたちが一斉にグランドジオウたちへ走り寄る。
迫り来るアナザーライダーたちの集団に対し、グランドジオウたちもまた駆け出す。
両者の距離が一気に詰まっていき、零となった瞬間、グランドジオウの、ゲイツリバイブの、ウォズの、ディケイドの拳が先頭を走っていたアナザーライダーたちを殴り飛ばす。殴り飛ばされたアナザーライダーたちが後続にぶつかることで渋滞を起こし、アナザーライダーたちの進軍が一時的に止まる。
それを合図にして、戦場は一気に大乱戦と化す。
グランドジオウの黄金の拳がアナザーマッドローグの顔面を打ち抜き、すぐさま装甲のレリーフを叩く。
『ビルド!』
ビルドのレリーフから錨と電車を組み合わせた武器──カイゾクハッシャーと、ドリル型の剣──ドリルクラッシャーが出現し、ドリルクラッシャーでアナザーマッドローグの腹部を貫き、アナザーマッドローグがヨロヨロと後退して距離が開くと同時にカイゾクハッシャーを構え──
『各駅電車ー。急行電車ー。快速電車ー。海賊電車! 発射!』
カイゾクハッシャーから電車型のエネルギーが撃ち出され、アナザーマッドローグを貫通し、そのまま電車型エネルギーは周囲のアナザーライダーたちに体当たりをして蹴散らしていく。
ゲイツリバイブはつめモードのジカンジャックローを残像が残る速度で振る。爪の先に立つのはアナザーガタック。ジカンジャックローを上段から振り始めたかと思えば、いつの間にかゲイツリバイブは身を屈めて下段で振り抜いていた。しかし、アナザーガタックの体には傷一つ無い。
両手に持つ巨大鋏でゲイツリバイブを両断しようとその場から一歩踏み出すと、途端にアナザーガタックの体は細切れになって崩れてしまった。
空を飛ぶアナザーサイガが、足元で戦闘をしているウォズに狙いを定めると、銃口と化した器官から光弾をばら撒く。
「ふん!」
タイヨウフォームからギンガファイナリーへ戻っていたウォズが、降って来る光弾に掌を翳すと、そこからエナジープラネットの球体が発生し、光弾の軌道を曲げて傍にいたアナザー龍玄へ命中させる。
ウォズは視界の端にアナザーライダーが攻撃体勢に入ったのを捉えた。クワガタムシと菱形を合わせた様な頭部に緑の複眼。銀色の甲殻を、黒色を混ぜた赤い体に張り付けたアナザーギャレンが、両腕で抱える程の大きさをした大砲の様な銃を今にも発砲しようとしている。
ウォズは空に向けて手を伸ばす。手の先には浮遊するアナザーサイガ。反発を起こすエナジープラネットを反転させ、逆にアナザーサイガを引き寄せようとする。
体が引っ張られていることに気付いたアナザーサイガが背部から炎を噴射させ抵抗を試みるも、ウォズの引き寄せる力の方が強く、アナザーサイガはアナザーギャレンの射線状まで引っ張り出されてしまった。
射線を塞ぎウォズを守る盾と化すアナザーサイガ。しかし、アナザーギャレンは躊躇せずに弾丸を撃つ。自我の無い彼らには仲間意識など皆無であり、協力することも共闘することも頭の中に無い。
結果、無数の弾丸がアナザーサイガに撃ち込まれる。アナザーサイガをすり抜けてウォズまで届く弾丸も何発かあったが、どれもウォズを外れていきアナザーサイガに撃ち込まれる弾数の方が多かった。
ウォズが掌打で空を切ると、圧縮されたエナジープラネットが放たれ、アナザーサイガを呑み込み、その先にいるアナザーギャレンも巻き込むと爆発し、二体のアナザーライダーたちを纏めて倒す。
アナザーライダーたちを順調に倒していくグランドジオウたちであったが、敵も易々と倒されるだけでは無い。
突如としてグランドジオウたちの周囲が暗くなる。上空で何かが太陽を遮っていた。足元に描かれる影の形は蝙蝠。見上げた空ではアナザーダークキバが大口を開けている。
アナザーダークキバの額に連なる三つの宝玉が強く輝くと、口から黒と緑が混じった光線が吐かれ、グランドジオウたちを焼こうとする。
グランドジオウたちは四方に分かれそれを避けるが、避けた先で足元から炎が噴き上がった。
「くっ!」
両腕で庇うグランドジオウ。狭まった視界の中で何かが通り過ぎて行くのが見える。両腕を開くと、グランドジオウたちの周囲を飛び跳ねる巨体──アナザークウガが口から火球を吐き出し、散り散りになったグランドジオウたちに追い打ちを掛けていた。
ディケイドが火球を避けながらライドブッカーを銃形態にし、マゼンタの光弾を飛び跳ね続けるアナザークウガが宙に浮いた瞬間を狙い撃つ。
すると、アナザークウガは空中で体を変形させ、クワガタムシの姿になると薄羽を羽ばたかせて光弾を空中で避けてしまう。
「──よりにもよってそっちかよ」
ディケイドは変形するアナザークウガの姿に見覚えがあるらしく、やや不機嫌そうな声を出していた。
クワガタムシとなったアナザークウガ──アナザークウガゴウラムは、両脚が変形した大顎を開くと大顎が帯電した様に輝き、大顎の間に巨大な火球が生み出し、それを撃ち出す。
巨大火球が地面に当たると巨大な火柱が生じ、その衝撃波でグランドジオウたちは吹き飛ばされる。そこに容赦なくアナザーライダーたちが追い詰めてくる。
アナザーレーザーがバイクを走らせながら、手に持つ鎌をグランドジオウへ投げる。鎌は強烈な光を点滅させながら空中をジグザグに動き、グランドジオウを斬り付けようとする。
『エグゼイド!』
扉が開き、中から一方は橙を主とし、もう一方は水色を主とした鏡合わせの様な姿の二人のエグゼイド──ダブルアクションゲーマーレベルXXが現れ、右肩左肩を揃えることで顔となる肩装甲で鎌を弾き返す。
アナザーレーザーがもう一本の鎌を投げ放つと、水色のエグゼイド──ダブルアクションゲーマーレベルXXLが剣、銃、斧の三つが複合した武器──ガシャコンキースラッシャーでそれを弾く。すると、最初に防いだ鎌がブーメランの様に旋回し、橙色のエグゼイド──ダブルアクションゲーマーレベルXXRに迫っていた。
エグゼイド
『ガッチョーン! キメワザ! ガッチャーン!』
二人のエグゼイドの右足と左足が橙、水色の輝きを放つ。
『マイティダブルクリティカルストライク!』
同時にジャンプしたエグゼイドたちは、頂点に達するとそのままアナザーレーザー目掛けてキックの体勢で急降下。アナザーレーザーの胸部にキックを命中させると、空中でアナザーレーザーをバイクから蹴り上げる。
高く蹴り上げられたアナザーレーザーを追い、エグゼイドたちはブロック型の足場を次々に召喚しながら跳び上がり、アナザーレーザーよりも更に高い位置まで行くと再び二人揃ってキックを繰り出す。
アナザーレーザーの体は二人のエグゼイドによって蹴り砕かれ、空中で爆散して消える。
『会心の一発!』
そのフィニッシュ音声と共にエグゼイドたちも光となって消えた。
「……そうか!」
最初のディケイドの行動。そして、先程のエグゼイドたちの行動。何故、今まで気付かなかったのか。
「ゲイツ!」
「何だ!?」
名を呼ばれてアナザーライダーたちの相手をしながらも、グランドジオウの方を見る。
『オーズ!』
仮面ライダーオーズのレリーフから飛び出たものがゲイツリバイブの周囲に居たアナザーライダーたちを斬り飛ばし、ゲイツリバイブの手に収まる。
「これは……」
口を大きく開いた恐竜──ティラノサウルス。上顎、下顎に掛けて薄紫の透けた刃がある。メダガブリュー、という名の斧。同じ斧であるジカンザックスを扱っていたゲイツリバイブにはしっくりと来る握り心地であった。
それを手にしたゲイツリバイブは超高速で飛翔。次に彼の姿が現れたのは、アナザーダークキバの背後。
アナザーダークキバはゲイツリバイブの存在に気付いて振り返るが、既にそこに居ない。
「──悪くない切れ味だ」
またも背後から声。振り返ろうとするアナザーダークキバであったが、何故か振り返ることが出来ない。何故ならアナザーダークキバの上半身と下半身はゲイツリバイブがメダガブリューの一撃によって両断されていた。
その事実に気付かないままアナザーダークキバは空で爆発して消滅する。
「ウォズ!」
グランドジオウは続いてウォズを呼びながらレリーフを叩く。
『フォーゼ!』
フォーゼのレリーフから煙を噴射しながらウォズの下へ飛んで行く飛翔体。
ウォズはタイミングを合わせ、その飛翔体を掴み取る。
「ほう!」
宇宙ロケットを彷彿させる鋭利な槍身。鍔から柄に掛けて透き通った青色をしている。
「私の手の中に宇宙が来た! ということかな」
グランドジオウから与えられた武器──バリズンソードを誇らしげに掲げる。
そんなウォズの行動を隙と見たのか、アナザーギルスが跳躍しながら踵を振り上げ、アナザーネガ電王が腰回りの防具に付けた武器を取り外す。
一本角の青い隈取りをされた鬼の様なアナザーライダー───アナザー威吹鬼は親指を咥え、自分の手を楽器に見立てると軽く開いた手の中から超音波を発し、ウォズを攻撃する。
「君たちも宇宙の神秘に触れてみるかい?」
ウォズの背後の空間に穴が開き、ウォズがその穴の中に入っていく。攻撃最中のアナザーギルスとアナザーネガ電王、アナザー威吹鬼は、攻撃を中断することが出来ず穴の中に吸い込まれてしまう。
穴の向こうは真っ暗闇の中に星々が輝く宇宙空間。無重力でアナザーライダーたちはまともに動くことも出来ない。
「宇宙と銀河。これ以上無い組み合わせだとは思わないかい?」
ウォズがアナザーライダーたちに話し掛けるが、空気の無い宇宙では当然伝わらない。そのせいでアナザー威吹鬼など完全に能力を封じられてしまっている。
「このまま放置してもいいが、宇宙にデブリを残すのは心が痛む」
バリズンソードの槍身にエナジープラネットを纏わせると、ウォズは無重力空間を自由自在に飛翔。
アナザーギルスを貫き、アナザーネガ電王を貫き、最後にアナザー威吹鬼を貫きながら宇宙空間に穴──ワープゲートを開けて、中に入る直前にアナザー威吹鬼を貫通。爆炎を伴いながら地球へと帰還する。
「門矢士!」
「──ん?」
グランドジオウはディケイドに最も相応しいと思う武器を彼に向けて投げる。それを反射的に取るディケイド。
彼が手にしたのは、ディケイドライドウォッチの力で生み出された武器──ライドヘイセイバー。ディケイドにも合う武器の筈だが──
『ヘイ! 仮面ライダーズ! ヘイ! セイ ! ヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘヘヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘイ! セイ! ヘイ! セイ!』
「……」
騒々しいそれをディケイドは無言で見つめる。
ディケイドに武器を渡したグランドジオウの前に、右腕全体が戦斧と化した半機械のアナザーライダー──アナザーチェイサーが立ち、戦斧に埋め込まれた二つのランプを赤、緑と交互に点滅させながら、斧を振り翳している。
グランドジオウもサイキョーギレードを取り出そうとした矢先、顔の横を何かが通過し、アナザーチェイサーの額に突き刺さる。刺さったそれは、さっきディケイドに渡したライドヘイセイバーであった。
「おい、魔王」
グランドジオウはディケイドを見る。
「やかましい。もっと静かな物にしろ」
「ええー……我儘ー」
ライドヘイセイバーを気に入らなかったディケイドに文句を言われ、グランドジオウはそれに呆れつつ、『これならいいでしょ?』と言ってレリーフを叩く。
『ディケイド!』
「──分かっているじゃないか」
ディケイドの左手に握られるのはグランドジオウが出した二本目のライドブッカー。今度は気に入ったらしく、剣にしたライドブッカー二本で軽く素振りをし、風切り音を鳴らす。
そこにアナザーアビスがサメとなっている両手を突き出してくる。ディケイドは冷静に右のライドブッカーで両手を同時に斬り上げ、ガラ空きになった胴体を左のライドブッカーで薙ぐ。
腹部に多大なダメージを受け、動きが止まったアナザーアビスに、銃へと変えた二丁のライドブッカーの銃口を向け、埋め尽くす様に光弾を浴びせ、爆散させる。
「こういうのも悪くない」
ガンマンの様にライドブッカーを手の中で回すディケイド。心なしか機嫌が良さそうに感じられた。
グランドジオウが召喚した武器をそれぞれが使い、敵を倒していく。グランドジオウは、これもまたこの能力の使い方であると悟った。否、もしかしたら、これこそが真価なのかもしれない。
強い力を自分だけではなく仲間と分かち合うことで一の力が何倍にも膨れ上がり更に強くなる。王が皆を支え、皆が王を支える。これもまた王としてあるべき姿と思えた。
しかし、その光景を心底不愉快に捉える者が居た。
「常磐……ソウゴ……!」
掴んでいた塀の一部が握力で握り砕かれる。アナザージオウトリニティが見たいのは、グランドジオウたちが快勝する姿では無い。絶望に打ちひしがれる姿である。
アナザーライダーたちは頼りにならない。信じられるのは己の力のみ。
「常磐ソウゴォォォォォ!」
アナザージオウトリニティが吼える。すると、この場に居る全員に黒い帯状のエネルギーが巻き付き、アナザージオウトリニティを含めて何処かへ転送させてしまう。
「ここは!?」
グランドジオウの視界を閉ざした黒い帯が解けると、城ではなく森の何処かに居た。そして、目の前に立つのはアナザージオウトリニティ。
「飛流……!」
「常磐ソウゴ! やはり、お前は俺が直々に手を下す必要があるな!」
痺れ切らし、一対一の戦いに挑んで来るアナザージオウトリニティ。グランドジオウとしても望む所。
「今度こそお前から全てを奪ってやる!」
「飛流。俺は負けないよ」
「ほざけぇぇぇ!」
アナザージオウトリニティは両剣を振り抜き、時計盤型のエネルギーを放つ。
『キング! ギリギリスラッシュ!』
怨嗟に塗れた力を迎え撃つのは、王道を貫こうとする意志の力。対極の力が衝突し、光が天を貫く。
◇
「飛ばされたか」
ディケイドは短く舌打ちをする。いつの間にか見知らぬ場所に移動させられていた。飛ばされたのはディケイドだけでなくアナザーライダーたちも居た。
アナザーなでしこ、アナザーワイズマン、アナザーバースプロトタイプ。
そして、緑の液体に満たされたゴーグルの中に眼球を泳がせて、黒いボロボロのジャケットを羽織るアナザーライダー──アナザーネクロム。
アナザーネクロムは生皮でも剥がす様な音を出しながら上着を脱ぎ、放ると上着が生物の様に空中へ浮かぶ。それを何度も繰り返し、アナザーネクロムの周りに十を超えるジャケットが彷徨う様に宙を飛ぶ。
「──はあ」
ディケイドは溜息を吐き、両手に持っていたライドブッカーを地面に突き刺す。
「グズグズしていたら何が起こるか分からない」
ディケイドが新たに取り出すのはディケイドと同じ黒とマゼンタカラーのタッチパッド。
ケータッチと呼ばれるそれにカードを挿し込む。
「一気に決めさせてもらう」
カードを挿し込んだことでケータッチの画面に浮かび上がるある紋章。ディケイドはそれを順番に指で触れていく。
『W、オーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド』
各紋章に触れることで読み上げられていく仮面ライダーの名。そして、最後にディケイドの紋章に触れる。
『ファイナルカメンライド・ディケイド!』
ディケイドの前に一枚のカードが現れ、それが額に収まる。カードに描かれていたのは、未知なるディケイドの姿。そこから光のラインが伸び、ディケイドの姿を変えていく。
マゼンタをメインとした色は銀色に変わり、緑の複眼がマゼンタとなる。胸部の装甲には読み上げられた仮面ライダーたちのライダーカードが横一列に並ぶ。
最後にネオディケイドライバーを外し、腰右部へ装着、空いたベルトにはケータッチを装備することで変身が完了する。
Wからビルドまでの九人のライダーの力を操るディケイドの強化形態──コンプリートフォーム2nd。
変身を終えたディケイド
アナザークウガゴウラム
身長:9.23m
体重:6.4t
特色/能力:火球/変形による高速飛行
アナザーギャレン
身長:200.0cm
体重:104.0kg
特色/能力:銃を扱う
アナザー威吹鬼
身長:210.0cm
体重:140.0kg
特色/能力:音波を操る
アナザーネクロム
身長:204.0cm
体重:99.0kg
特色/能力:他者を操る能力
先にどちらが見たいですか?
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IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
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IFゲイツ、マジェスティ