ディケイドCF2ndが響き渡らせる剣同士の金属音に、アナザーライダーたちは一瞬だが足を躙り下がり怯んだ様な動きを見せる。
しかし、恐怖らしき感情を見せたのはそこまで。すぐにアナザージオウトリニティがアナザーライダーたちに下した命令に従い、ディケイドCF2ndに攻撃を仕掛け出す。
アナザーネクロムが手を突き出すと、アナザーネクロムの周囲を漂っていたジャケットに似た分身たちにアナザーネクロムと似た仮面が影の中から出て来ると、それで準備が完了したのか一斉にディケイドCF2ndへ襲い掛かる。
「短い付き合いだ。切られ方のリクエストぐらい聞いてやるが?」
迫る黒い大群にディケイドCF2ndは挑発する余裕も見せると、ライドブッカーの間合いに入った途端、先頭を飛んでいた分身を真っ二つにし、そこから体を捻りながらもう一本のライドブッカーで続けて別の分身を両断。
「日本式、フランス式、どれがいい?」
ディケイドCF2ndは足を止めず大群の中をライドブッカーで斬り進んでいく。相手に覆い被されば意のままに操ることが出来るアナザーネクロムのジャケットたち。だが、何十といるのに触れることが出来ず、ライドブッカーの刃で次々と斬り落とされていく。
「それともイタリアン式がいいか?」
軽口を言いながら二本のライドブッカーを振るう度にアナザーネクロムの分身を斬っていく。すると、分身の一体がディケイドCF2ndの左腕にしがみつき動きを封じようとする。その間にもう一体の分身が迫ってくる。
ディケイドCF2ndは焦ることなく左手のライドブッカーを剣から銃の形態に変え、迫って来ていた分身を光弾で撃ち抜いた。
「これはアメリカ式だな」
冗談を飛ばしながら右のライドブッカーでしがみついている分身の仮面を突き刺し、消滅させる。
前方から迫る分身を回し蹴りで仮面を蹴り砕いて、アナザーネクロムの分身たちはそれで全滅する。
ディケイドCF2ndは光弾を放ちながら走る。アナザーネクロムは新たな分身を出そうとしていたが、光弾が命中してそれを阻まれ、アナザーバースPも砲撃体勢に入ろうとしていた所に光弾が当たり、転倒。アナザーなでしこは右腕をロケットの形にして空へと逃亡する。
ディケイドCF2ndは、アナザーライダーたちを牽制している隙を衝いて魔法を発動させようとするアナザーワイズマンの姿を視界に捉えると、持っているライドブッカーを投擲する。
ベルトに指を翳す寸前であったアナザーワイズマンの手の甲に刺さり、脇腹辺りで縫い留めてしまう。
この間に、ベルトに収めたケータッチの中に描かれた仮面ライダーの紋章の一つに触れる。
『ウィザード!』
そして、続けてFと描かれたマークもタッチする。
『カメンライド・インフィニティー』
ディケイドCF2ndの胸部に並ぶカードが同じ仮面ライダーのものと化すと、隣にカードに描かれた仮面ライダーが召喚される。
ブリリアントカットのダイヤモンドを思わせる頭部。光を反射し、より煌びやかに輝く肩と胸を覆う装甲。見る角度によって銀色にも淡い水色にも見える。
ダイヤモンドの鎧の下に白銀のローブを纏うこの姿こそ、仮面ライダーウィザードの最強形態であるインフィニティースタイル。
ディケイドCF2ndは、ウィザードの紋章が描かれたカードをベルト側面に付けられたネオディケイドライバーに装填。
『ファイナルアタックライド・ウィ、ウィ、ウィ、ウィザード!』
ディケイドCF2ndがライドブッカーを構えると、ウィザード
ディケイドCF2ndとウィザードISがライドブッカーとアックスカリバーを武芸の如く脇や背中を通しながら回し始めると、その大きさは二倍、三倍と大きくなっていく。
二人が同時に跳び上がった時、二人の武器は身の丈を超える大きさになっていた。
ディケイドCF2ndのライドブッカーによるマゼンタの輝きを帯びた銀閃。ウィザードISのアックスカリバーの金剛の輝きを纏わせた赤閃。二つの閃きがアナザーワイズマンへと振り下ろされた。
巨大化しても落ちない振りの速度。逃れられない二重の斬撃によりアナザーワイズマンは真っ二つに割かれる。
アナザーワイズマンは爆発して消え、爆風で飛んできたもう一本のライドブッカーをディケイドCF2ndはキャッチする。
役目を終えたウィザードISの姿も消えるが、まだ戦いは終わっていない。ディケイドCF2ndの目には次なる敵──ロケットを噴射しながら突っ込んで来ているアナザーなでしこの姿が映っていた。
『フォーゼ!』
ケータッチに映るフォーゼの紋章に触れる。
『カメンライド・コズミック』
水色のロケットを模した頭部。目は対照的に赤色であった。
胸部には黒い枠の様な装甲で四分割されており左右にロケットの翼が付いている。四分割された中央は透明な装甲で覆われ、その透明な装甲はタッチパネル仕様になっており、その下には1から39の番号が振られている。その番号一つ一つがフォーゼの力の源であり、象徴であるコズミックスイッチの番号であり、ディケイドCF2ndが召喚したのは、四十個のアストロスイッチと一つとなった仮面ライダーフォーゼ最強の姿──コズミックステイツ。
アナザーなでしこの水銀の様な体が変化する。模様や色が体の中へ溶け込み、手足や頭も無くなる。捏ね合わせる様に体を波打たせると全身が元の姿の倍以上の大きさのロケットとなり、そのままディケイドCF2ndたちへ突撃する。
急加速してくるアナザーなでしこに慌てることなくディケイドCF2ndはドライバーにカードを装填。
『ファイナルアタックライド・フォ、フォ、フォ、フォーゼ!』
ディケイドCF2ndは二本のライドブッカーを平行にしながら上半身を捻り、力を溜める。同じ動きをするフォーゼ
巨大ロケットと化したアナザーなでしこに向けてディケイドCF2ndとフォーゼCSが剣を振るう。溜めていた力が解放されると、二人はその場で一回転。剣速が最高点に達した瞬間に、ライドブッカーがマゼンタに輝き、バリズンソードは水色の輝きを発する。
ライドブッカーから飛ばされる二本のマゼンタの斬撃。フォーゼCSが宇宙の力──コズミックエナジーを纏わせ、振るったバリズンソードからは水色の斬撃が飛ぶ。
弧状の三本の斬撃は、アナザーなでしこを真っ正面から切り裂き、斬撃が通り抜けていくタイミングでアナザーなでしこは爆散した。
ディケイドCF2ndは撃破の余韻に浸る事無く続けてケータッチのパネルを押す。
『オーズ!』
役目を果たしたフォーゼCSと入れ替わり、新たな仮面ライダーが召喚される。
『カメンライド・プトティラ』
紫色に染まった体。翼を広げた翼竜の頭部。両肩に付けられた一対の角竜の角と頭部を模した手甲。爪を備えた両脚は、あらゆる恐竜を蹂躙してきた暴君竜のもの。
胸部に辛うじて収まる巨大な円にはプテラノドン、トリケラトプス、ティラノサウルスの紋章が縦に三つ並んでいる。
恐竜のメダルを取り込むことで発動する最終コンボ。仮面ライダーオーズプトティラコンボ。
銃撃で転倒していたアナザーバースは召喚されたオーズ
『ファイナルアタックライド・オ、オ、オ、オーズ!』
ディケイドCF2ndは銃形態にしたライドブッカー二丁を揃え、カードホルダー部分に下から手を当てる。
オーズPCは手に持つ斧──メダガブリューのティラノサウルスの口を閉じさせ、柄の一部を開くと持ち方を変える。すると、柄頭の部分に備わった砲口がアナザーバースPに向けられ、斧からバズーカへ形態を変えた。
アナザーバースPの砲口から赤色の光線が撃ち出される。それに対し、ディケイドCF2ndたちは正面から挑む。
二つの銃口、一つの砲口から撃ち出されは、螺旋状に収束する破壊のエネルギー。二つのマゼンタの渦は一つに合わさって巨大化し、オーズPCが砲口から放つ紫のエネルギーと同等の大きさとなる。
二本の破壊の渦がアナザーバースPの光線に衝突すると、拮抗など一瞬も無く呑み込んでいきながら進み、最後にはアナザーバースPごと破壊の渦が喰らい、消滅させてしまった。
最後に残ったアナザーネクロムは、自らを守る為に大量の分身を作り出す。しかし、その行為はまだディケイドCF2ndの力を侮っている。本当に理解をしていたのなら、分身など作らずにさっさと背を向けて逃げるべきであった。
そうすれば、僅か時間だが存在する時間が伸び、今から起こることを直視せずに済んだ。
『ゴースト!』
ディケイドCF2ndが最後に召喚するのは仮面ライダーの名が呼ばれる。
『カメンライド・ムゲン』
純白の衣を羽織り、白銀の体には角度によって七色に輝き、腕や脚に∞の意匠が施されていた。
仮面ライダーゴーストムゲン魂。そう呼ばれるその姿のゴーストは、召喚と共に被っていたフードを下す。半透明の仮面を顔の上半分に被り、額からは虹色の角が生えている。
『ファイナルアタックライド・ゴ、ゴ、ゴ、ゴースト!』
カードをドライバーに挿入すると共にディケイドCF2ndとゴーストムゲン魂が同時に跳躍する。
跳び上がり、空中で体勢を変え、右足を突き出す。コンマの誤差の無い揃った二人の動きは、まさに一心同体であった。
ゴーストムゲン魂は、その背に名前の通り虹色に∞を出現させ、それを同じ光を右足にも宿す。
∞の文字を翼の様にしながらディケイドCF2ndと共にアナザーネクロムへ飛び蹴りを繰り出す。
アナザーネクロムを守る為に分身たちが壁になろうとするが、発せられる虹色の光によってディケイドCF2ndとゴーストムゲン魂に触れる前に消し飛ばされ、壁にすらならなかった。
触れずに開くアナザーネクロムへの道筋。アナザーネクロムは苦し紛れに背後に大きな目の紋章を浮かび上がらせ、その紋章と同じ暗緑色の光を右足へ集わせると、向かってくるディケイドCF2ndたちへ右足による必殺技の一撃を繰り出す。
空中で衝突し合う力と力。勝敗は──アナザーネクロムが呆気無くゴーストムゲン魂に貫かれて爆発の中で消滅してしまった。
アナザーネクロムから生じた爆炎を突き抜けてゴーストムゲン魂は消失。ディケイドCF2ndはそのまま地面に降り立った。
アナザーライダーたちを全て倒したディケイドCF2ndは、グランドジオウたちと合流しようとこの場を後にする──直前に背後の気配に気付き、咄嗟にライドブッカーを背中に回す。
発砲音と同時にライドブッカーの剣に衝撃を感じ、ディケイドCF2ndは前のめりになりながら木の陰に身を隠す。
「今のを防ぐなんて流石だね」
木の陰から顔を出すディケイドCF2nd。視線の先にはネオディエンドライバーの銃口を向けたディエンドが居た。
「会えて嬉しいよ、士。君の次の相手はこの僕だ」
ネオディエンドライバーからシアンカラーの光弾が発射され、ディケイドCF2ndが身を隠していた木の幹を貫通する。
倒れる木。だが、既にディケイドCF2ndは木の陰から飛び出しており、ディエンドに向かって走っていた。
ディエンドは走って来るディケイドCF2ndから距離を取りながら光弾を連射。しかし、ディケイドCF2ndは二本のライドブッカーでそれを全て撃ち落としていき、走る速度も緩まない。
何発目かの光弾を撃とうとした時、ディケイドCF2ndが一歩深く踏み込んだことで剣を間合いにディエンドを入れ、剣先でネオディエンドライバーを横に弾く。
ディエンドはすぐ銃口のズレを修正しようとするが、その僅かな間にディケイドCF2ndは距離を詰めていた。
「ふん!」
上段から振り下ろされたライドブッカーの刃がディエンドの肩を斬る。ディエンドは体から火花を出しながらも続けて迫っていたライドブッカーをネオディエンドライバーの銃身で弾いて防いだが、そこから更に繰り出されるディケイドCF2ndの前蹴りを鳩尾に受けてしまい動きが止まる。
下から斜めに上っていく逆袈裟切りを浴び、後退させられるディエンド。近距離で咄嗟に引き金を引く。
ディケイドCF2ndはそれをライドブッカーで防ぎ、続けて撃たれる前にネオディエンドライバーの銃身をライドブッカーで上から叩く。逸れた光弾は大地を撃ち、土が舞い上がる中、ディケイドCF2ndはライドブッカーを縦と横に交差する様に振るうとディエンドの体に十字の傷が刻まれ、ディエンドは堪らず転倒してしまう。
「……海東、この世界のお宝は諦めろ」
「はっ。この僕がそう言われて退くと思っているのかい?」
「……そうだな」
顔馴染みの好みとして警告したが、ディエンドは聞く耳を持たない。心中で嘆息しながらディケイドCF2ndはディケイドの紋章が描かれたカードを出す。
「少しの間寝てろ」
『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディケイド!』
ドライバーにそれを挿し込むと、ディケイドCF2ndとディエンドの間にディケイドの紋章が描かれたカード状のエネルギーが十枚連なる。
「はあっ!」
ディケイドCF2ndの跳躍に合わせてカード群も高く上がる。
頂点に達すると目の前に並ぶカードの中に飛び込んでいく。ディケイドCF2ndが通過する度にカードは消え、その力は右足へ集まっていく。
ディエンドも最後の抵抗と言わんばかり立ち上がってネオディエンドライバーを構えるがもう遅い。
「てぇあああああああ!」
全ての力を集わせた右足のキックがディエンドの胸部に直撃し、ディエンドを蹴り飛ばす。
「うあああああ!」
ディエンドが苦鳴を上げながら地面を転がっていき、最後は動かなくなる。
「残念だったな。俺の勝ちだ」
少し手加減をしたので命には別条は無い。ただし、前以って言った様に暫くの間は意識を失っているだろう。
ディエンドは取り敢えずこのまま放っておき、グランドジオウたちとの合流を急ぐ。
『ファイナルアタックライド・ディ、ディ、ディ、ディエンド!』
ディケイドCF2ndはあり得ない音声を聞いた。そんな馬鹿なと思いながらディエンドの方を見る。
カード型のエネルギーが円形に連なって出来た砲身がディケイドCF2ndの方に向けられていた。
「僕の勝ちだね、士」
何事も無いかの様に立っているディエンドが引き金を引くと、砲身を伝って多色のエネルギーの奔流がディケイドCF2ndに命中する。
「ぐああああ!」
飛ばされたディケイドCF2ndは大木に衝突し、それをもたれることで辛うじて立ったままで入られた。
「へえ。やっぱりその姿だと頑丈だね」
不意打ちと直撃でも変身解除されないディケイドCF2ndに感心した声を出すディエンド。
「海、東……!」
「おっと」
まだ戦おうとするディケイドCF2ndに、ディエンドは時間停止を発動させ動きを止めてしまう。
「色々と疑問に思うことがあるかもしれないから説明していこうか」
ディエンドはネオディエンドライバーを肩に載せながら、動けないディケイドCF2ndに説明を始める。
「やろうと思えば、最初にこうやって君を無力化させることが出来た。でも、それはしなかった。何でだと思う?」
当然ながらディケイドCF2ndから返答は無い。
「君に強烈な一撃をわざと貰う為さ。僕の中のこれを破壊させる為にね」
そう言ってディエンドは罅割れた今にも壊れそうなアナザーウォッチをディケイドCF2ndに見せる。
「これのせいで加古川飛流に従わざるを得なかった。屈辱的だったけど、流石に本物が偽者に成り下がる方がもっと屈辱的だ」
『ディ……エン……ド……』
アナザーウォッチは断末魔の様な音声を残して完全に砕け、壊れた。
アナザーディエンドウォッチだった破片を手から放り棄てるディエンド。まだ他のアナザーライダーならギリギリ許容出来たが、ディエンドが紛い物のアナザーディエンドに貶められる事だけは我慢ならなかった。お陰で大分辛抱することとなったが。
「スウォルツの言った通りだったね。君の力ならあのウォッチを破壊出来るし、ウォッチはある程度宿主のダメージを引き受けてくれる。あれのおかげで僕は君の攻撃にも耐えることが出来たのさ──まあ、少し痛かったけどね」
胸を擦るディエンド。枷となっているアナザーウォッチの破壊だけでなくそれを利用した不意打ちによってディケイドCF2ndはまんまと動きを封じられてしまった。
海東の、否、海東たちの策略によって。
「これでいいのかな?」
「ご苦労」
音も無くスウォルツが現れる。スウォルツは動けないディケイドCF2ndを見て笑うと、衣服からブランクウォッチを取り出した。
「お前の力を頂くぞ」
ブランクウォッチをディケイドCF2ndに当てると、ウォッチの中にディケイドの力が吸収されていく。
「お前の中にある破壊者の、いや! 真の破壊者の力を俺のものにする!」
その言葉に意味を察するディケイドCF2ndだったが、時間停止をされている彼にはそれに抗うことも出来ない。
全ての力がウォッチの中に取り込まれ、ディケイドCF2ndは変身が解けて士の姿になり、気絶してしまう。
ブランクウォッチに浮かび上がる悪魔の顔を見て、スウォルツは満足気な笑みを浮かべる。
アナザーウォッチから伝わって来る力がスウォルツを包み込む。黒とマゼンタを合わせた輝きの中でスウォルツを恍惚の表情を浮かべ、その額に紫の輝きが宿る。
「おおお……!」
その様子を少し離れた場所で観察するディエンド。時折、視線を倒れている士の方に向けている。ディケイドの力を奪うまで協力するのがスウォルツとディエンドの密約。それ以上のことをスウォルツがしようならば、ディエンドも一応止めるつもりである。
そんな不安に対してスウォルツの興味は既に士には向けられていない。仮面ライダーとしての力を奪ってしまえば、最早脅威として映らないのだろう。
光が収まったスウォルツは、ディエンドへ近寄っていく。
「お前にはお宝を渡す約束だったな」
すると、スウォルツの横に銀色のオーロラが現れる。ディケイド、ディエンドが移動の為に使用するのと同じもの。
その中に手を入れ、中から一枚のカードを抜き出してディエンドへ投げ渡す。
ディエンドが受け取ったカードは不思議な仕様をしており、灰色に塗られた輪郭だけが描かれた様々な像が出たり消えたりしている。
ディエンドはそのカードに書かれた英文字を見て、カードの力を理解する。
「へえ。大したお宝じゃないか」
◇
周囲には大量のアナザーライダーたち。上空にはアナザークウガゴウラムが飛び回っている。アナザージオウトリニティによって飛ばされた場所は、窮地と呼べるものであったが、ゲイツリバイブとウォズは怯むことなく、たった二人でアナザーライダーたちと互角以上に立ち回っていた。
「ふん!」
ゲイツリバイブは疾風の速さを以ってアナザーライダーたちの間を縫う様に駆け抜け行く。駆け抜けた後は、ジカンジャックローとメダガブリューの斬撃によって受けた傷に遅れて反応する。
ウォズは攻防揃ったエナジープラネットの力でアナザーライダーたちを降れることなく薙ぎ倒していく。更にバリズンソードの槍身にエナジープラネットを纏わせて振るうと、大地が爆発し、それに巻き込まれたアナザーライダーたちが打ち上げられる。
「俺は時間が書き換わる前、お前とも手を組んでいたのか?」
戦いながらゲイツリバイブは思っていた疑問を口に出す。ソウゴと仲間になれたのは何となく理解出来たが、ウォズという胡散臭い相手と一緒に戦っていたのが信じられない。
「ああ、ゲイツ君。君は私の忠実な部下として我が魔王の為に戦っていた」
「何……?」
「本当だよ」
一瞬間を置いて──
「嘘だな。適当なことを言うな」
──そう断言すると、空からアナザークウガゴウラムが火球を吐き出し、二人の会話を中断させる。
「うーん。半分は本当のことなんだけどね」
火球を避けながら小さく零す。レジスタンスとして未来で戦っていた時は紛れも無くゲイツは忠実な部下であった。魔王の為に戦っていたのではなく、魔王と戦っていたが。
『フィニッシュタァァイム! リバイブ!』
ゲイツリバイブがジクウドライバーを回転させると、アナザークウガゴウラム以外のアナザーライダーたちの頭上に『きっく』の文字が出現。
『百烈! タイムバースト!』
次の瞬間、アナザーライダーたちの顔面に『きっく』の文字が青い残像と共に打ち込まれ、次々と地面に叩き伏せられていく。
それを見たウォズは頭上に向けてバリズンソードを投げ放つ。バリズンソードの力によって宇宙へ繋がるワープゲートが現れると、ウォズはその中へ飛び込んでいく。
一瞬で宇宙に辿り着いたウォズは、ビヨンドライバーのレバーを前後に倒す。
『ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!』
「はっ!」
ウォズが手を翳すと、掌から発せられる力に隕石が引き寄せられる。直径にして十メートルはある。
『超ギンガエクスプロージョン!』
「さあ! 刮目せよ!
隕石にウォズがキックを打ち込むと、隕石が砕け、破片となってワープゲートを通じて地上に降り注ぐ。
キックを打ち込んだ際にギンガファイナリーの力が加わったことで細かい隕石群は最早大量破壊兵器と化し、地面に落下する度にクレーターと衝撃波を生み出し、大地の草木は捲り上がり、木々は薙ぎ倒され、地形が変わっていく。
当然、それに巻き込まれたアナザーライダーたちは無事では済まず、隕石の雨の中で爆発も爆音も掻き消されながら消滅していった。
自分の下で行われている大規模な破壊を無機質な白眼で見下ろしているアナザークウガゴウラム。その時、軽い衝撃を背中に受けると共にある音声が聞こえた。
『パワードターイム!』
アナザークウガゴウラムに背に降り立つのはゲイツリバイブ。
『リ・バ・イ・ブ! 剛烈! 剛烈!』
疾風から剛烈へ姿を変えたゲイツリバイブ。アナザークウガゴウラムが振り落とそうとするが、既にゲイツリバイブは行動を起こしていた。
『プ・ト・ティラーノヒッサーツ!』
奇抜な音と共にメダガブリューが斧からバズーカに変形。既に力を充填済みのメダガブリューからエネルギーを凝縮された光線が真下に向けて放たれる。
光線によって貫かれるアナザークウガゴウラム。すると、ゲイツリバイブはあろうことかそれを片手で持ち、振り上げる。
メダガブリューのバズーカ形態は片手で扱うものではなく、そもそもプトティラコンボだけが使用出来る。そういう制約がある筈だが、全仮面ライダーの力を継承したグランドジオウを経由して使っているせいか、それらを全部無視する。
メダガブリューが放つ光線をまるでレーザーカッターの様に使い、アナザークウガゴウラムの巨体を縦に両断。
『剛烈! スーパーのこ切斬!』
追撃の光輪を真横に振るうことでアナザークウガゴウラムの体を横一閃。
紫の光と橙の光が交差することでアナザークウガゴウラムの体は四分割された後に空中で大爆発を起こす。
爆炎を突き破ってゲイツリバイブはクレーターだらけになった地面に降り立つ。至近距離で爆発に巻き込まれたが無傷であった。
たった十数秒の間に地形が変わってしまった大地を見渡すゲイツリバイブ。その隣にウォズが並ぶ。
「無茶苦茶なことをする奴だな……」
「君に言われてたくないな。我が魔王程では無いにしろ、君もかなり間違ったライダーの力の使い方をしていたよ」
「そもそも正しい使い方など知らん」
「──まあ、そうだね。私と他の皆さんぐらいしか知らないだろうね」
「他の皆さん? 誰だそいつら?」
「そんなことよりも早く我が魔王の下へ。加古川飛流は、我が魔王一人で相手するには強過ぎる」
「あ、おい! 待て!」
一方的に話を打ち切ってグランドジオウを探し出すウォズ。ゲイツリバイブはそれを急いで追うのであった。
◇
グランドジオウとアナザージオウトリニティは衝突し合った光が収まったタイミングでほぼ同時に未来予測が始める。
二人は十数秒先の相手の未来の動きを読み取り始める。
通常時ならばたった数秒で終わるが、同じ未来予測の能力を持つ同士だと話は変わる。
グランドジオウの脳裏に浮かび上がる未来の光景。アナザージオウトリニティの動きに対し、それに応じた行動を考える。
すると、アナザージオウトリニティの脳裏の未来の光景には、グランドジオウのその動きが視えた。アナザージオウトリニティはそれを狙ったカウンターを考える。
グランドジオウの未来の光景にアナザージオウトリニティの新たな動きが追加された。こちらの動きを予測したアナザージオウトリニティの対処を見て、グランドジオウは最初の考えを止める。
途端にアナザージオウトリニティの未来の光景がガラリと変わる。故にアナザージオウトリニティは最初の攻め方を変えることに決めた。
そうなると今度はグランドジオウの未来予測が変わる。
未来予測者同士が互いの動きを測ることで起こる終わりの見えない予測の地獄。
裏の裏の裏を読み合い続けていたら、次の時には別の未来に上書きされ、零からやり直す。
実時間はたった一分未満に対しグランドジオウとアナザージオウトリニティの脳内では既に数時間以上経過していた。最早肉体ではなく精神力を比べ合いと成っている。
その影響は周囲にも及び始める。絶え間なく未来を修正し続けているせいか空間が歪み始め、地面や木々に傷が生まれ始める。実際に傷付いているのではなく、破棄された未来の光景が幻として現れていた。
空間の歪みが酷くなっていくと遂にはあり得たかもしれない未来のグランドジオウとアナザージオウトリニティの幻影まで現れ始める。
グランドジオウのサイキョージカンギレードがアナザージオウトリニティを貫く光景。逆にアナザージオウトリニティの剣がグランドジオウを貫く光景。グランドジオウの拳がアナザージオウトリニティを打ち砕く光景。アナザージオウトリニティの斧がグランドジオウを裂き、光矢が撃ち抜く光景。
それが現れては消え、現れては消えを繰り返す。
やがて現実の時間が一分を超えようとした時、空間の歪みが消え、幻影も全て消える。
繰り返された未来予測の中でどちらも勝利への勝ち筋を見出したのだ。
先制はアナザージオウトリニティ。彼がボウガンから光矢を無数に撃ち出した。
一本一本の軌道を予測済みのグランドジオウは横に一歩半だけ動き、右肩を前に出す。まるで光矢の方が避けているかの様にグランドジオウの傍を通過していき微かに掠る程度で済ます。
その動きもまたアナザージオウトリニティの予測しており、光矢を撃ち終えたアナザージオウトリニティは俊足を以ってグランドジオウの移動先に現れ、ボウガン以外のすべての武器でグランドジオウを攻撃する。
それも読んでいたグランドジオウはアナザージオウトリニティが接近する前に左腕のレリーフに触れていた。
『オーズ!』
アナザージオウトリニティの頭上に扉が現れ、開くと中からクワガタムシの頭部、カマキリの腕、バッタの脚を持った緑色で統一されたオーズ──ガタキリバコンボが飛び出す。
無数の分身を生み出す能力により数十のオーズたちがアナザージオウトリニティにキックの雨を降らそうとする。
為す術も無くアナザージオウトリニティはオーズたちによる無数のキックを浴びせられる。
ガタキリバコンボの爆撃染みた連続キックによって地面事粉砕されていくアナザージオウトリニティ。
その様子にグランドジオウの張り詰めていた緊張の糸が緩む──背後にアナザージオウトリニティが立っているにも関わらず。
ガタキリバコンボの召喚すらもアナザージオウトリニティが視た未来。最小限の攻撃を受けた後、ガタキリバコンボの群を影にして瞬間移動をしていた。敢えて受けることでグランドジオウの隙を衝こうとしているのだ。
無防備なグランドジオウの背中に両剣の一撃を叩き込もうとした直前、グランドジオウは突如振り返り、サイキョージカンギレードで両剣の一撃を受ける。
「何っ!?」
これすらも読んでいたのかと驚愕するアナザージオウトリニティ。打ち合った剣が弾かれ、アナザージオウトリニティは後退。グランドジオウも同じく後退するが、その中で弾かれたサイキョージカンギレードが自身の左肩を叩く。
『W!』
Wのレリーフから鋼鉄棍──メタルシャフトが射出され、後退していたアナザージオウトリニティの腹部に命中する。
「がはっ!」
痛みよりも違う衝撃がアナザージオウトリニティを襲う。それは、グランドジオウに未来予測で読み負けたという事実。
無限に息を止める潜水勝負の様な果てしない未来予測勝負。執念、精神でもグランドジオウに勝っていると思っていた。だが、現実は一手先を読まれて負けたのだ。
それはアナザージオウトリニティのプライドを酷く揺さぶった。
グランドジオウよりも劣っているなど断じて認める訳にはいかない。
「常磐ソウゴォォォォ!」
「俺を憎いならとことん憎めばいい! それを受け止めて、俺は勝つ!」
「何処までも鬱陶しいっ!」
アナザージオウトリニティの周囲からアナザーライダーが五体召喚される。アナザークウガ、アナザーネガ電王、アナザーワイズマン、アナザー龍玄、アナザーチェイサー。既に倒されたことでアナザージオウトリニティによって再召喚される。
当然ながらそれで倒せるとは思っていない。だが、彼らを動かせばグランドジオウの動きにある程度限定出来る。それによって今度こそ未来予測を上回り、グランドジオウの息の根を止めるつもりであった。
グランドジオウもあまり余裕が無い。戦い続きで怪我や疲労も大分蓄積している。これ以上の戦いが長引くと不利になるのはグランドジオウの方である。
「やあ、随分と盛り上がっているね」
アナザージオウトリニティが指示を出す寸前に声を掛けて止めたのは、ディエンドであった。
「──何をしに来た?」
「僕も混ぜて貰おうと思って」
「……いいだろう! 最後に役に立って貰おうか!」
ディエンドに埋め込んだアナザーウォッチを起動させようとするアナザージオウトリニティ。しかし、いくら念じてもディエンドが変化することは無かった。
「どういうことだ……? 何故、起動しない!」
「君がくれた厄介な首輪はもう壊してしまったよ」
「何っ!?」
ディエンドから告げられた事実にアナザージオウトリニティは驚く。
「海東大樹……一体何を……」
「そう警戒しないでくれるかな? 僕はただ……人を散々良い様に使ってくれた彼にお礼をしに来ただけさ」
ディエンドはスウォルツから貰ったカードを取り出す。現れたり消えたりしていた絵が五体で定まり、灰色の輪郭だった像に色が浮かび上がる。
「僕の新しいお宝、君たちで試すとしよう」
ネオディエンドライバーの銃身に挿し込み、ディエンドは空に向けて引き金を引く。
『カメンライド・ゲキジョウバン!』
召喚されるは五人のライダー。
牙が連なったV字型の仮面。銅色の肩、胴体も口を閉じたワニをモチーフにしており、胸部からは上に向かって牙が突き出ている。鋸状の刃が付いた剣を肩に担ぐのは、時をも喰らおうとするハイジャッカー──仮面ライダーガオウ。
黒と金の体にローブ。三角帽子を模した頭部も合わさり、その姿は魔法使いそのもの。宝石が埋め込まれた長大な斧を握る彼は金色の魔法使い──仮面ライダーソーサラー。
仮面ライダー鎧武と似た姿をしているが、纏う鎧は橙色ではなく暗く赤い色。天下統一の野望を抱き血染めの刃を構える鎧武者──武神鎧武ブラッドオレンジアームズ。
シルクハットを思わせる頭部。赤い体は宝石で彩られ、黒マントを風に揺らす。伝説にして究極の大怪盗──仮面ライダールパン。
その身に宿る悲しみと憎しみが炎となって全てを燃やし尽くさんと燃え盛る。燃える体に見上げる程の巨体。仮面ライダーでありながら仮面ライダーを知らない歪んだ巨人──仮面ライダーコア。
五人の仮面ライダーの後ろでディエンドはグランドジオウに声を掛ける。
「君は彼との戦いに集中したまえ──他の連中は僕が引き受ける」
ディケイドCF2nd
身長 199.0cm
体重 102.0kg
パンチ力 47.4t
キック力 72.8t
ジャンプ力 ひと跳び80.4m
走力 100mを2.5秒
カメンライド・ゲキジョウバン
ライダーカードの一種。ネオディエンドライバーへの装填により仮面ライダーたちが同時に召喚される。
召喚される仮面ライダーはランダムだが、召喚する数はディエンドの任意で決められる。
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