仮面ライダージオウIF―アナザーサブライダー―   作:K/K

96 / 163
とにかく色々と繋げてしました。


アナザーマッハ2019(後編)

「ウールが居ない!?」

「ええ。気付いたら居なくなっていたの」

 

 ツクヨミから齎された報せにソウゴの顔色が変わる。

 朝までは確かにクジゴジ堂に居たが、昼近くになってツクヨミがウールに声を掛けたところ返事が無く、不審に思い探してみたらクジゴジ堂から居なくなっていたと言う。

 

「馬鹿め! 状況が分かっているのか……! アナザーライダーとロイミュードがウロついている時に一人で勝手な行動を……!」

 

 ゲイツが怒りを露わにするが、それはウールの身を案じてからの怒りなのが分かる。ウールに対し何も思う所が無ければ、そもそも怒りもしない。

 

「兎に角探そう! 一人じゃ危険だ!」

「行こう! ネクストライドロンを出すよ!」

 

 英志とソウゴはすぐにクジゴジ堂から出ていく。

 

「──さて、我々も行くとしようか」

 

 残されたウォズたちもソウゴらに続く。

 

「まさか、タイムジャッカーの為に奔走する日が来るとはな」

「我が魔王と一緒に居ると本当に退屈しないね」

 

 宿敵の為に動くことにゲイツは顔を顰めるが、止める気は無い様子。ウォズはこういった破天荒な展開も楽しんでいる様に振る舞う。或いは、最早諦観の域にまで達しているのかもしれない。

 ソウゴたちがクジゴジ堂から出た後に用事で出掛けていた順一郎が帰って来る。

 

「ソウゴ君と英志君は出掛けたの? 外に車が置いてないけど。にしても英志ってお金持ち? いつ見てもすっごい高そうな車だよね? 最新式なの?」

 

 緊迫した空気に対し、緩い感じで日常的な話をしてくる順一郎。

 

「順一郎さん。ちょっと出掛けてきます」

「あ、そうなの。じゃあ、皆のお昼ご飯作って待ってるね」

 

 順一郎に軽く頭を下げ、ツクヨミたちもウールを探す為にクジゴジ堂から出る。

 

 

 ◇

 

 

 道路を走るネクストライドロン。フロストガラス内部には顔画像が次々と浮かび上がり、人の横を通過する度に更新されていく。入力しておいたウールの画像を参照にして通行人の顔を認証しているのだ。

 しかし、それでもウールは見つからない。なるべく人の多い通りを走っているのだが。

 

「早く見つけないと……!」

 

 英志の声に余裕が無い。親譲りの正義が彼を焦られていた。新しいドライブとして戦っているが、精神面はまだ未熟な部分が目立つ。それは運転にも出ており、英志は無意識に荒い運転をしていたが、その度にネクストライドロンのAIが運転を修正していてくれた。

 ソウゴの方は心境を声に出すことはしなかったが、かなり険しい表情をしている。庇護を求めてきたウールを助けられないのは、ソウゴの王様としての矜持が許さない。

 その時、ソウゴのスマートフォンが鳴る。相手は誰か表示されていなかったが、予感がしてソウゴは通話ボタンを押した。

 

『ジオウか?』

「ウール!?」

 

 通話相手がウールだと知って、英志は急ブレーキを掛けてソウゴの会話に耳を傾ける。

 

「今、何処に──」

『オーラを見つけた!』

「オーラを!?」

『怪我をしているみたいなんだ! すぐに安全な場所を連れて行く!』

「待って! 俺たちもすぐに行く!」

『待ってられない! いつアナザーライダーが襲ってくるか分からないんだ!』

 

 引き留め様としたがウールは聞く耳を持たない。

 

『場所は──』

 

 ウールは口早に今の場所を教えると一方的に通話を切ってしまった。

 

「ウール? ウール! 英志! ウールとオーラの場所は──」

 

 聞かされた場所を言うと、英志はそれをネクストライドロンに素早く入力。フロストガラスにそこまでの最短距離が表示される。だが、ここからだと十分ほど掛かってしまう。

 

「時間が掛かり過ぎる!」

「大丈夫! 十分も必要無い! 三分以内に到着する! あと、ちゃんとシートベルトを締めておいてくれ!」

 

 ネクストライドロンの走行先に水色の光が走ると、それが空に向かって伸びていく。すると、ネクストライドロンは地面から空中へと走行の場所を移動させ、車も信号も道路も無い空の道を時速八百キロ以上で疾走。

 

「うおおおおおおおお! 凄っ!」

 

 タイムマジーンのビークルモード以上の速度に、ソウゴはシートにしがみつきながら悲鳴の様な声を上げるのであった。

 

 

 ◇

 

 

 ウールが負傷したオーラを見つけたのはとある廃工場であった。

 空から降りて来たネクストライドロンのタイヤが地面に触れると急ブレーキが掛かる。慣性が働き、ネクストライドロンのタイヤが地面に大きな弧を描いて停車すると、中からソウゴと英志がドアから飛び出す様に出て来た。

 

「あそこだ!」

 

 目の前にある廃工場に向かって二人は全力で走り出す。ネクストライドロンで移動の際にゲイツたちにもウールたちの居場所を伝えてあるので時期に追いつく。今はウールたちを保護することを最優先にする。

 

「ウール! オ……」

 

 そこでソウゴの言葉が止まった。共にいる英志も絶句する。目の前で起こっている光景が信じられなくて。

 

「なん、で……?」

 

 途切れ途切れに発せられるウールの言葉。彼の口の端から流れ落ちる鮮血。

 

「悪く思わないでね?」

 

 冷たい眼差しでそれを見つめるオーラ。彼女の手から伸びる赤黒い光の刃がウールの胸を貫いていた。

 オーラが光の刃を引き抜くと、ウールは地面に倒れ伏せ、そのまま動かなくなる。

 

「ウール……?」

「そんな……!」

 

 死。その一文字がソウゴらの頭を埋め尽くす。

 

「居たの?」

 

 今気づいたと言わんばかりの態度で冷めた言葉を二人に掛ける。

 

「どうして……? 何でこんなことを……? ウールは君のことをずっと心配してたんだぞ!」

 

 あまりに理不尽な結末に、英志は哀しみと怒りを混ぜた感情を投げ付ける。

 

「スウォルツから二人で逃げるなんて無理。でも、私は死にたくない。生き残るのは私」

 

 オーラが取り出したのはアナザーウォッチ。それに宿る力の名は──

 

『マッハァ』

 

 発動したアナザーウォッチを体内に入れ、オーラはアナザーマッハに変身する。

 

「アナザーライダー……! じゃあ、最初から彼を……!」

「これで私はもう一度時間を操る力をスウォルツから貰える」

 

 自分の行ったことに何一つ反省も後悔も見せないオーラ。英志は無言のまま腕に巻いていたネクタイを締め上げる。腕に食い込む程強く締められるネクタイが、英志の怒りをそのまま表していた。

 

「……ってんだよ」

「……何か言った?」

「何やってんだよ……」

 

 ソウゴも英志も人生に於いてここまで怒りを覚えたことは無かったかもしれない。

 

「何やってんだよっ!」

 

 まるで最初から用意されていた様にソウゴの腹部にジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチが装填されたジクウドライバーが巻かれていた。

 

「おおおおおおおおおっ!」

 

 怒りの咆哮を上げ、ソウゴは走る。『変身』という掛け声も無く、ソウゴの怒りに反応して彼をグランドジオウへと変えた。

 

「ふん」

 

 アナザーマッハは走って来るグランドジオウの姿を鼻で笑い、重加速を発動する──前にグランドジオウの拳を顔面に受け、何十メートルも殴り飛ばされた。

 

「──え?」

 

 何が起こったのか分からないまま立ち上がるアナザーマッハ。すると、何故か眼前にはグランドジオウの拳。またも殴られ、何十メートルも転がっていき──

 

「──え?」

 

 気付くとアナザーマッハは立ち上がっており、すぐ目の前にはグランドジオウの拳。

 顔面を撃ち抜かれながらアナザーマッハは気付く。今居る位置が殴り飛ばされる前の位置だということに。

 意図してやっているのか、それとも怒りのまま衝動的にやっているのかは分からない。

 グランドジオウの額にあるジオウのレリーフが指を逆回転に回す。すると、殴られたアナザーマッハが元の位置に戻った。

 グランドジオウは間違いなく時間を操っている。

 四度目の同じ光景。流石のアナザーマッハも来ると分かっているので、高速移動を以って拳が来る前に後ろへ下がる。

 

「逃がさない」

 

 アナザーマッハの背後にはドライブTNが既に移動しており、下がって来たアナザーマッハの背を全力で蹴り付ける。

 

「あ〝あ〝っ!」

 

 悲鳴を上げて下がった時以上の速度で元の位置へ戻っていくアナザーマッハ。それを出迎えるのは、やはりグランドジオウの拳。

 

「うわああああああああああっ!」

 

 ありったけの感情を込めて放たれら拳は、衝突の瞬間に黄金の光を発し、アナザーマッハの胸部を打ち砕く。

 その一撃によってアナザーマッハは動けなくなってしまう。

 アナザーマッハは決して弱くはない。だが、怒れる魔王と未来の戦士を相手にするには力不足過ぎた。

 グランドジオウはサイキョージカンギレードを、ドライブTNはブレイドガンナーを構える。

 ドライブTNはドライバーのキーを捻り、シフトブレスにあるスイッチを押す。

 

『ネクスト!』

 

 ブレイドガンナーの剣身に水色のエネルギーが充填される。

 グランドジオウがサイキョージカンギレードを強く握り締めると、その意志に剣が反応する。

 

『サイキョー! フィニッシュタァァイム!』

 

 剣身が光に包まれ、長大な刃と化すサイキョージカンギレード。

 

『キング! ギリギリスラッシュ!』

 

 グランドジオウとドライブTNが同時に走り出す。

 

「うおおおおおおお!」

「はあああああああ!」

 

 アナザーマッハの横を通る間際にグランドジオウが振るうことで光の刃がアナザーマッハを斬り付ける。その長さ故にドライブTNを巻き添えにし兼ねなかったが、ドライブTNは目の前にサイキョージカンギレードの光刃が迫ると、地面を滑走して光刃の下を潜り抜け、そのままブレイドガンナーでアナザーマッハを斬る。

 アナザーマッハの左右を走り抜け、立ち位置を入れ替えたグランドジオウとドライブTN。その二人のライダーの間で斬撃を受けたアナザーマッハは全身から火花を噴き出した挙句、爆発する。

 その爆発の中からアナザーウォッチが飛び出し、空中で砕け散った。

 終わった、そう思った時、爆発の中から哄笑が上げられる。

 

「あは、あはははははははは!」

 

 爆発が消えると、そこにはオーラが平然と立っている。正確に言えば立っているだけで、体は煤で汚れ、体の一部から火花が──

 

「全ては私たちの予定通り!」

「予定、通り?」

「その体……もしかして、君は!?」

 

 ドライブTNが何かに気付くとオーラの体が変化し、機械の体──ロイミュードの姿となる。

 

「ロイミュード!?」

「そんな!? 何で!?」

 

 前に襲って来たロイミュードと同じ姿だが、胸のプレートには『108』の文字が刻まれているという違いがあった。

 

「貴方たちには、お礼を言うわ! これで私が、私たちが進化する為に必要なエネルギーが手に入った!」

 

 ロイミュードの姿でオーラの声を出すのは不気味であったが、それよりも気になる言葉が幾つも出て来る。

 

「進化……?」

「私、たち……?」

「こういうこと」

 

 聞こえて来た声は、もう聞くことは出来ないと思っていた人物のもの。

 

「ウール……」

 

 刺されて絶命したと思っていたウールが何事も無かったかの様に起き上がり、オーラの傍に歩いて行く。

 

「まさか、ウールも……!」

「そう。私と同じロイミュード」

 

 ロイミュード108が代わりに答えてくれる。

 

「じゃあ、ずっと僕たちを騙して……」

「そんな……」

 

 今までのことが全てまやかしであり、こうなる様に仕向ける為の演技であったことを理解し、全身の力が抜けていく。怒りも哀しみも湧いて来ない。

 

「さあ、私たちが一つになることで超進化体に──」

「残念だけど、私たちじゃない。超進化体になるのは私だけだ」

「え?」

 

 ウールが手を伸ばすと、そこから光の触手が伸び、ロイミュード108のコアであるナンバーを貫いて破壊してしまう。

 

「な、ん、で……」

 

 そこから言葉は続かず、魂を砕かれ、ロイミュード108は物言わぬ物体となってしまった。

 ウールは姿を変え、ロイミュードとなるが、胸のプレートにはナンバーが無い。彼こそがドライブTNとグランドジオウを襲ったロイミュードであったのだ。

 ロイミュードがロイミュード108に触れる。すると、二体のロイミュードの体が同化し始め、一体のロイミュードと化す。

 金と黒が複雑に絡み合い、捻り合った様な見た目をした全く別の姿。ロイミュード108が言っていた超進化体という姿らしい。

 

「予定通り超進化体の体を手に入れたな」

 

 ロイミュードが笑う。その声は少年のものではなく、暗く、嫌らしい響きをもった粘着質な声に変わっていた。

 

「ロイミュードの超進化体……! こんなことになるなんて……!」

 

 ロイミュードを知っているドライブTNは、その姿に戦慄する。一方で、グランドジオウは別のことが気になっていた。

 

「今までのウールとオーラが偽者だったのなら、本物の二人は何処にいる!」

 

 グランドジオウは叫ぶが、ロイミュードの方は自分の体を眺めており、全く聞いていない。

 

「答えろ!」

「私に何か用?」

 

 その声と同時にグランドジオウとドライブTNの動きが止まる。悠々とした態度でオーラが二人の前に姿を現す。失った筈の時間停止を携えて。

 

「何だ、折角このロイミュードの力を試そうと思っていたのに」

「どうでもいいでしょ、そんなの。それよりどうすんのよ? アナザーマッハ、倒されちゃったじゃない」

「何の問題も無い」

 

 余裕に満ちたロイミュードの態度にオーラは鼻を鳴らす。

 

「──そう言えば、ウールが何処にいるか知りたがっていたわね」

 

 オーラは服のポケットに手を差し込み、中からある物を取り出す。

 それは、ウールがいつも頭に巻いていた羽根付きの髪飾り。

 

「もういないわよ」

 

 それだけ言って髪飾りを仕舞ってしまう。そして、ロイミュードを睨み付ける

 

「あまり、勝手なことをしないで──」

 

 

 ◇

 

 

 ウールがオーラの為に買い物へ行っている最中に、突然スウォルツの方からオーラへ接触しに来た。

 

「スウォルツ!」

「オーラ。お前に最悪な知らせと、とても良い知らせがある」

 

 オーラの口上を真似るスウォルツ。オーラは睨むだけでそれ以上の抵抗はしなかった。しても無駄だからである。

 

「俺は今、色々と忙しい。手が必要だ。もし、お前が手を貸してくれるのなら過去は水に流そう。力も返してやる。それが良い知らせだ」

 

 オーラの返答も聞かず、スウォルツは一方的に喋る。

 

「断るなら同じ話をウールにもするつもりだ。俺にとってはどちらでも構わん。早い者勝ちだ。そういう意味では運が良いな、オーラ」

 

 スウォルツは小馬鹿にする様に笑うとオーラは歯ぎしりをするが、それだけであった。

 

「……どうせ意見なんて求めていないんでしょ?」

「話が早いのは良い。俺を手伝うと言うのなら、まずは最初の仕事だ」

 

 スウォルツは邪悪に笑う。

 

「ウールを始末しろ」

 

 そして──

 

「よくやった」

 

 オーラの足元で横たわるウールの姿を見て、スウォルツは満足そうに言う。

 ウールはオーラに話があると言って油断を誘った所で、心臓への一撃を貰い、何が何やら分からない内に絶命した。

 オーラはしゃがみ込み、ウールの頭から髪飾りを取るとスウォルツへ見せつける。

 

「これで満足したでしょ?」

「ああ。これからやることに本物は邪魔だったのでな」

「本物?」

 

 スウォルツは銀色のオーロラを出現させ、そこから二体のロイミュードを召喚する。どちらも同じナンバー『108』が刻まれており、活動停止状態であった。

 

「何よこれ、ロイミュード? 機能停止したガラクタじゃない」

「問題無い。ウォッチの力を使えば動き出す」

 

 スウォルツはアナザーマッハのアナザーウォッチをオーラに見せる。

 

「だが、恐らくそれでは力が足りないだろう。この過去と未来のロイミュード二体には超進化体にまで成って貰わないと困る」

「なら、どうすんのよ?」

「こいつの力を借りろ」

 

 そう言ってもう一つのウォッチをオーラに渡す。ウォッチには何も描かれていない。

 

「何これ?」

「起動すれば全てが分かる」

 

 不審に思いながらウォッチを起動させる。ウォッチが発した音声は──

 

 

 ◇

 

 

「──蛮野」

 

 名を呼ばれたロイミュードは、一笑する。

 

「それにしても! 全く苦痛だったな! 馬鹿共との茶番は!」

 

 今までの鬱憤を晴らすかの様に蛮野と呼ばれたロイミュードがグランドジオウたちを罵倒する。

 

「コピーした記憶通りに動けばいいが、どいつもこいつもつまらない台詞を吐く馬鹿ばかりだ! 理解出来ん! 私の唯一無二の偉大な頭脳が馬鹿で汚染されるかと思ったぐらいだ!」

 

 どういう生き方をすればここまで性格が悪くなるのか不思議にさせ思えてくる。

 

「だが、お前たちの単純さの御陰で必要なエネルギーは手に入った! そういう意味では馬鹿も役に立つということだ! しかし、それだと私の頭脳の優秀さを示すのではなくお前たちの低脳さが浮き彫りになっただけだがなぁ! ははははははは!」

 

 幾ら本物の性格をコピーしていたからといって、蛮野をウールだと思って接してきたのが悔しくなる。たった数秒で最低の人格の持ち主だと分かってしまったからだ。

 

「好き勝手言うのは良いけど、結局どうするのよ? アナザーマッハの代わりは?」

「安心しろ。──もっと良いものを見つけた」

 

 蛮野の目がドライブTNへ向けられ、ロイミュードの体から金色の光を放ち、それをドライブTNへ浴びせる。

 金色の光はドライブTNの全身を覆い、やがて元の体へ戻っていく。

 ロイミュードの体に変化が起こる。

 全身を艶の無い真っ黒な装甲が覆い、凹凸の激しい歪められた頭部には捻じれた一対の角。全身に亀裂が生じているが、そこから金継ぎの様に金色の光を放っている。袈裟懸けの様に胸部装甲が大きく抉れて亀裂になっているが、その下から電子機器、回路、ワイヤーを覗かせており、臓器、血管を彷彿とさせる。

 腹部には破損したメーターの様なベルトを装着しているが、その中央にウォッチが填め込まれており、ウォッチには黄色の光の中に黒い光でシンプルな目、鼻、口が描かれている。

 

『ダァァクドラァイブ』

 

 右肩、左肩にある『DARK-DRIVE』『2035』の刻印を、アナザーダークドライブは愉し気に見ていた。

 

「素晴らしい。これが未来の力! 私の偉大な頭脳と合わされば、最早敵など存在しない!」

 

 一人興奮するアナザーダークドライブにオーラは冷めた言葉を掛ける。

 

「興奮するのはいいけど、まだやる事があるでしょ?」

「──いや、予定変更だ。スウォルツにそう伝えておけ」

「はあ?」

 

 アナザーダークドライブはベルトに挿してあるキーを回す。亀裂部分から金色の光を放出し、それをグランドジオウとドライブTNに照射。

 照射した光は亀裂の中に巻き戻っていく。アナザーダークドライブが両手を左右に伸ばすと、亀裂の光が伝わっていき、その手の中にワイヤーフレームで形成されたブレイドガンナーとサイキョージカンギレードを生成。

 時間停止で無防備な二人に対し、ブレイドガンナーから金色の斬撃を飛ばし、追い打ちでサイキョージカンギレードを一閃させる。

 

「うああああ!」

「くうっ!」

 

 直後に時間停止が解除されて二人は吹っ飛ばされてしまう。

 使い終えた武器を用無しとして投げ捨てる。

 

「私にはやるべき事がある。──あの邪魔者を確実に消さないとな」

 

 廃工場の壁を突き破って一台の車が出現。ネクストライドロンの外装を全て剥がし、装甲の代わりに回路でも張り付けたかの様な見た目をしていた。

 アナザーダークドライブはそれに乗り、制止するオーラを無視して走り去ってしまう。

 オーラはアナザーダークドライブの勝手な行動に舌打ちをし、グランドジオウたちを一瞥した後に廃工場から消えた。

 残される二人。最悪のことが起こり過ぎて立ち上がるすぐには立ち上がれなかった。

 裏切りと死。それが二人の心に傷を負わせる。

 だが、事態は彼らに感傷の時間すら与えない。

 

「うっ!」

 

 突然、ドライブTNが苦しみ出す。

 

「英志! えっ!」

 

 ドライブTNに手を伸ばしたグランドジオウは、その手を途中で止める。グランドジオウの装甲がぶれ始め、元のジオウの姿と交互に入れ替わっている。

 グランドジオウライドウォッチを見る。ウォッチもまた薄っすら透けたり、実体化をしたりを繰り返していた。

 嫌な予感を感じ、グランドジオウは恐る恐るドライブTNを見て、言葉を失う。

 ドライブTNの体は点滅する様に透け始めていた。

 

 

 ◇

 

 

 玉座に座る一人の男。何かを感じ取り、閉ざしていた瞼を開く。

 

「勝手なことをする奴が出たな」

 

 男が言葉を発すると、音も無く左右に二人の男が並び立つ。片方は優男、もう片方は太めの体系の男。

 

「大目に見てたけど、これはやり過ぎだねー」

「──潰すか?」

「ああ。俺たちの許可なく歴史を変えることは認めん」

「だね。じゃあ、行こうか」

「おう」

 

 玉座の隣に立っていた男たちが移動を始める。

 

「待て」

 

 玉座の男が呼び止めると、二人は足を止めた。

 

「持っていけ」

 

 すると、男たちの手の中にいつの間にかライドウォッチが握られている。

 

「これを使うってことになると、ジオウたちと接触するかもしれないけどいいの?」

「構わん」

「潰してもいいのか?」

「まあ、せいぜい遊んでやれ」

 

 玉座の男は自らも手の中でライドウォッチを弄びながら笑う。

 二人の男は玉座の男の期待に応える様に、ライドウォッチを起動させた。

 

『ザモナス!』

『ゾンジス!』

 

 




やーい! お前の爺さん蛮野天十郎! っというわけで黒幕としてこのマッドサイエンティストを出しました。次回は戦国時代編となります。


アナザーマッハ
身長:205.5cm
体重:96.6kg
特色/能力:重加速とそれを応用した加速

先にどちらが見たいですか?

  • IF令和ザ・ファースト・ジェネレーション
  • IFゲイツ、マジェスティ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。