士達は声を上げた方を見た。
「お前か!近頃ライブハウスを襲撃しているヤツは!」
シャツにベストを身につけ黒いハットをした男性が言った。
「みんなが楽しんでいる場をこんなにして、不粋だねぇ、君は。」
髪の毛にいくつかヘアピンをつけ、ハットの男とは対象的にカジュアルな格好をした青年が続けて言った。
「お、お前らは何だ!」
怪人・ドーパントが言った。
「俺達は、風都の平和を守る!」
「「仮面ライダーだ!!」」
二人はそう言うとそれぞれUSBメモリを手に持つ。
二人の腰には赤いベルトが巻かれていた。
「嘘!?」
美空は思わず口にした。
サイクロン!
ジョーカー!
「「変身!!」」
先にカジュアルな格好の青年が自身のベルトに緑色のメモリを装填する。するとそれはもう一人のベルトに現れ、ハットの男性は続けて自身の黒いメモリを装填した。
サイクロン!ジョーカー!
するとハットの男性を木枯らしが覆い、中から仮面ライダーが現れた。
その姿は身体の左半分が黒で右半分が緑色をしていて、首元で銀色のマフラーがなびいていた。
「「さぁ、お前の罪を数えろ!!」」
「か、仮面ライダーWか!?」
ドーパントは狼狽えた。
「行くぜぇ…。」
左手をスナップすると、仮面ライダーWはドーパントに攻撃を仕掛ける。
Wはドーパントをホールの外へ連れ出した。
「ほんとに他にも仮面ライダーがいるんだ…。」
突然のことで、美空は驚きを隠せなかった。
「会場はパニックになっちゃったけど、今なら佐藤太郎に接触できそうだね!」
U幸太郎が言った。
「よし、行くぞ。」
士達は佐藤太郎を探しに行った。
美空は近くで先ほどのカジュアルな格好をした青年が気を失っているのを見つけた。
「え!?ちょ、大丈夫ですか!?」
美空が声をかけたとき、女の人が現れた。
「大丈夫大丈夫!あたしが連れてくから、貴女は早く逃げて!」
「は、はい。」
女の人は青年を背負うと、仮面ライダーの後を追うように外へ出ていった。
Wはドーパントの攻撃をかわし、次々と一撃を与えていく。ついにドーパントは膝をついた。
「メモリブレイクだ、翔太郎。」
「オーケーだ、フィリップ。」
それはまるで一人で会話しているようだった。
Wはベルトから黒いメモリを抜き取り、右側のホルダーに装填した。
ジョーカー!
マキシマムドライブ!
するとWを中心に竜巻が起き、その身体は宙に浮いた。
「「ジョーカー・エクストリーム!!」」
風の勢いに乗りWはドーパントへ飛び蹴りを仕掛ける。途中、Wの身体はセンターで別れ、黒い身体と緑の身体でそれぞれ蹴りを入れた。
「うわあああ!!!!」
ドーパントは爆発し元の人の姿に戻った。それと同時にメモリが身体から抜け落ち砕けた。
「ったく、せっかくのツナ義ーズのライブだったってのによ。高かったんだぜ、チケット代。」
ハットの男・左翔太郎は愚痴をこぼした。
「翔太郎ー!」
「おぉ、亜樹子。」
青年・フィリップを担いで女性・鳴海亜樹子が追い付いてきた。
「どうなってんの、あたし聞いてない!」
亜樹子は言った。
「それは僕たちも一緒だよ、あきちゃん。」
フィリップは意識が戻り、自分で立ち上がった。
「中々興味深いバンドだったね。今度、全曲検索してみよう。」
「なぁ、フィリップ。今日のライブ代、払い戻しって出来るよな?」
翔太郎はフィリップに尋ねた。
「それは無理だね、翔太郎。」
フィリップは呆気なく答えた。
「だよなぁ~。」
「なぁ、亜樹子。ドーパントも絡んだことだし、今日のライブ代、経費から落とさねぇか?」
今度は亜樹子に尋ねた。
「そんな訳ないでしょ!ほら、事務所に戻るわよ!」
「俺のポケットマネーがぁ…。」
三人は鳴海探偵事務所に帰っていった。
「な、な、何だったんだ…。」
太郎は必死の思い出楽屋まで逃げることができた。
立弥はまだいなかったが、そのうち来ると思っていた。
「でも、仮面ライダーかぁ…。」
太郎の脳にはWの戦いが鮮明に焼き付いていた。
「カッコよかったなぁ~…。俺も成れたりしねぇかな。ツナ義ーズ佐藤太郎・仮面ライダーとなり世界を救う!ぜってぇ売れる!バカ売れだ!」
ガチャッ
楽屋のドアが開いた。
「遅ぇよ立弥、今すげぇこと思い付いたん、だ?」
そこにいたのは立弥ではなかった。
首にトイカメラを提げた男とメガネをかけた男、それと小柄な若い女がいた。
「だ、誰?」
太郎は尋ねた。
「佐藤太郎、お前を迎えに来た。」
士が言った。
「迎えに、ってマネージャーまだ来てないけど。」
「違う。」
「…あっ、もしかして俺のファン?悪いねぇ、サインならお断りだぜ!」
「それも違う。」
「じゃあ、何なんだよ。」
美空が答えた。
「貴方に世界を救ってほしいの。」
「…はぁ?」
太郎は耳を疑う。
「君に仮面ライダーになってもらいたいって訳。」
U幸太郎が言った。
「仮面ライダー?成れるの?マジ!?」
こいつはバカだ。士は思ってしまった。
「なるなるなる!何すればいいんだ!?」
太郎は言った。
「私達の世界に来て、悪と戦うの。」
美空が言った。
「私達の、世界?」
太郎は聞き返した。
「私はこの世界の平行世界からやってきたの。私達を救うために、貴方には私達の世界に来てほしいの。」
美空が言った。
「は?へーこーせかい?そこへ行く?何ワケわかんないこと言ってんの?」
太郎は言った。
「だいたいそんなとこ行ったら、ツナ義ーズはどうなっちゃうの?やっと軌道に乗ってきたんだぜ!?」
「お前さっきライダーになるって言ってたじゃないか。」
士が言った。
「成りたいよ!だってツナ義ーズが仮面ライダーってめっちゃかっけぇじゃん!」
こいつはバカだ。ウラタロスもそう思ってしまった。
「バンドも大事なのはわかるけど、世界を救うことだってものすごい大事なことだよ?君が仮面ライダーとして悪と戦ってくれたら、すごいカッコいいと思うんだけどなぁ~。」
U幸太郎が説得する。
「待った。さっきから言ってる悪って何?え、さっきの化け物のこと?」
太郎が尋ねると三人は静かに頷いた。
「バカ言ってんじゃないよ。無理に決まってるっしょ、そんなこと!危ないから!」
「時間がないんだ、頼むから一緒に来てくれ。」
士が焦るように言った。
「知るか、んなもん。だいたい何なんだあんた達は!へーこーせかいだの悪と戦えだの。け、警察呼ぶぞ。」
すると、太郎は自分のスマホを取り出し電話を掛けようとした。
「さっきから、ネチネチネチネチ何やってんだ!めんどくせぇ!!行くぜ行くぜぇ!!!」
どこからか声がした。
「今度は何!?」
その途端、太郎は意識を失った。
「「「あ。」」」
三人は声を出してしまった。
気がついたモモタロスが佐藤太郎に憑いてしまったのだ。
「ちょ、ちょっとセンパイ?いくらなんでも強引じゃない?」
U幸太郎はM太郎に言った。
「しゃーねぇだろ。こうするのが手っ取り早くていいだろうが!」
しかし、時間がないのは事実だった。
「ま…。とにかく用は済んだ。さっさと戻るぞ。」
士達はデンライナーへと戻ろうとした。
「あ、待って。」
美空が呼び止めた。
「どうした。」
ここは新世界。つまり、戦兎や万丈がいるはず。
でも…。
「…。ううん。何でもない。」
デンライナーは美空達を乗せ、元のA世界へと走って行った
モモタロスがどうやって佐藤太郎に取り憑くのかの話です。
ゲストで仮面ライダーWこと左翔太郎、フィリップ、鳴海亜樹子を出させてもらいました。
正直な所、Wは出すつもりなかったです。
C世界は歴代ライダーの時間軸としての設定を固めるために、そして、ディケイドの代わりに戦闘シーンを描くために、設定しました。
ゲストのため、士達との絡みは一切ありません。
完全個人的な趣味です。笑
次回は別のストーリーです。お楽しみに。