全く…。
せっかくの休日。
最近大ヒットしてるという、パンクバンド・ツナ義ーズ。
彼らが風都コンサートホールでライブをすると聞き、俺とフィリップ、亜樹子の分のライブチケットを買ったってのによ。
どこの誰かは知らんが、ドーパントになって暴れてくれたお陰で、ライブが台無しになっちまった。
ドーパント故に、俺達、仮面ライダーWが黙って見てる訳にも行かないから戦った訳だが。
ドーパントの男に聞くと、彼は元々バンドマンとして活動していたらしいが、中々軌道に乗れずそのまま解散してしまったそうだ。プライドも高いため、自身の音楽よりも売れているバンドに嫉妬心を抱いていたそうだ。
独りよがりも甚だしいが、気持ちがわからんでもなかった。ただ、だからといってガイアメモリに手を出すのは論外だ。
その後、男は風都警察の御用となった。
しかし、しかしだ…。
ライブチケット代が戻ってこない!!
1枚8000円もし、私費は降りんと亜樹子の一点ばりのせいで3人分をポケットマネーで払う羽目になった。
故に、最後まで観られなかったことが、ひじょーに腹立たしかった。
お陰で気分は最悪。
街の為にドーパントを倒したとはいえ、何とも言えないもやもやが心の中に残ってしまった。
「何を恐い顔をしているんだい?」
相棒のフィリップが声をかけてきた。
「あん?何でもねーよ。」
と言ったものの、おそらく不機嫌さが顔に出てただろう。
「さしずめ、ライブチケットの払い戻しが無いことに凹んでいるんだね。」
フィリップはニヤっと笑って言った。
「うるせぇ…、うるせぇ!高かったんだぞ、チケット代!!俺のなけなしの金で買ったってのによ!!もう最悪だ…。」
「まぁまぁ翔太郎くん。珈琲飲んで落ち着いて。」
亜樹子はそう言うと珈琲を差し出した。
「ん、サンキュー…。」
珈琲を口にしたとたん、余りのマズさに吹き出してしまった。
「まっず!!おい、亜樹子!!いい加減、我流で淹れるのマジでやめろ!!」
「えー、うそぉ?…うぇ。」
亜樹子も不味そうな顔をして言った。
「おっかしいなぁ。最近、隣街に出掛けた時に見つけたカフェ・nascitaで飲んだ珈琲が美味しくて、豆買ってきたんだけどなぁ。」
「豆の問題じゃねぇよ。」
俺は事務所のど真ん中に置かれたとんちんかんなコーヒーメーカーを差して言った。
「でも、お陰で元気が出たじゃないか。」
フィリップが言った。
「これを元気とは言わねぇよ。」
俺は呆れて言った。
「そう言えば、その隣街の方でマスカレイドの目撃情報があったらしい。」
フィリップが言った。
「マスカレイド?」
風都以外でのドーパント。ミュージアムが絡んでいないとしたら…。俺は嫌な予感がした。
「まさか、財団Xか?」
「確証はないけど、おそらくはそうだろうね。」
財団X。俺達を含め数々のライダー達の前に立ちはだかる謎の組織。相変わらず何が目的なのか見当がつかない。
「何を企んでいるのやら。」
「けど、僕たちが街を離れる訳にはいかない。気にはなるけど、どうすることも出来ないさ。」
「まぁな。」
ガタッ
事務所のドアが開いた。
「よぉ、翔太郎。何だか浮かない顔をしてんな。」
風都警察署の刃野幹夫、ジンさんが訪れた。
「ジンさん聞いてくださいよぉ。」
俺はツナ義ーズの事を話した。
「なるほどなぁ。ドンマイだな。ハハハ!」
「それで、何か依頼ですか?」
フィリップがジンさんに尋ねた。
「ん、それなんだがな…。」
このジンさんが持ち込んできた事件。
これがまさか、あの時の悪夢が再来するとは誰も予想してなかったんだ。
新作予告
「仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線」
近日更新予定
サイドストーリー編にて仮面ライダーWが登場していました。
実は、新作の為の伏線でした。笑
登場予定なかった、というのは半分嘘でした。すんませんm(__)m
※ただ、新作執筆途中だったため、本作に出すかどうか迷ってはいました。
次回作は本作よりも長編になる予定です。長編になるほど文才の拙さが露見するかと思いますが長い目で見ていただけたらと思います。
タイトルにあるように、もう一人の主役ライダーはドライブです。
そして、サブタイの"ライダー捜査線"の意味とは?
皆さんに楽しんでもらえるように執筆していきますので、どうかよろしくお願いいたします(>_<)