仮面ライダービルド アナザーワールド   作:ラズベアー

5 / 15
第5話

デンライナーはA世界に戻り、士達を降ろしたあと、時空の彼方へ去っていった。

 

「ねぇ…本当に上手くいくの?」

美空は不安そうに士に聞いた。

「どうだかな…。オーナーの理論なら、やれることもないが。」

士も自信があるわけでは無さそうだ。

「でも、美空ちゃんの世界を守るためにもやってみるしかないね。」

「可能性が0でないならば、やってみる価値はあるだろう。」

幸太郎も群青色のイマジン・テディとともに士達に同行してきた。

「…で。」

一同は一人の人物に目を向けた。

「あ?何じろじろ見てんだ。恥ずかしいじゃねえか。」

そこにいたのはモモタロス、ではなかった。

オールバックにした髪の毛に赤いメッシュが入っていて瞳が赤くなっているが、美空には見覚えのある男性がそこにいた。

「そいつに憑依する必要、あったか?」

士は面倒臭そうに言った。

「しょうがないよ。あの様子じゃ、事情を話した所で通じなさそうだったし。」

幸太郎もやれやれといった感じだった。

「でも、今の僕達にとって"彼"はキーマンだ。何かあった時にはモモタロスが守ってくれる。」

「ケガしねぇ保証はねぇけどな。」

男に憑依したモモタロスが言った。

「改めて、作戦を確認しよう。」

テディが確認し始めた。

 

デンライナーのメンバーと士達が考えた作戦。

 

それは、C世界に存在するツナ義ーズ佐藤太郎をA世界へ連れ出し、そこで葛城巧の人格を佐藤太郎に植え付け、擬似的に桐生戦兎を生み出す。ということだった。

また、御堂がスマッシュを操るデータの存在を仄めかしたことから、葛城巧に関するものはネオファウストが持っていると踏んだ彼らは、侑斗と海東をそこへ潜入させ調査を始める手筈になっている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…だが、土台無理な話だ。そもそも、C世界のビルドと記憶を共有させるなんて、馬鹿げてる。」

侑斗が言ったが、美空はあることを思い出した。

「待って、思い出した。」

「何をだ。」

士が尋ねた。

「戦兎は、一度葛城巧の人格が甦った事があったの。その時に、万が一に備えてあるものを隠したっていってたわ。」

「あるもの?」

幸太郎が聞き返した。

「うん。ただそれが何かも、どこに隠したのかもわからないの…。」

美空は肩を落とした。

「可能性があるなら、パンドラ・タワーだろうね。」

しばらく黙っていた海東が口を開いた。

「どうして?」

「御堂が言っていた、データとやら。恐らく葛城巧の研究データか何かだろう。そこに葛城巧が何かを隠していても不思議じゃないさ。」

当然のように海東は答えた。

「葛城巧が隠したあるもの。それに賭けるしかないか。」

士が言った。

 

「どうやら…。結論が出たようですねぇ。」

オーナーが言った。

「では…。目的地は?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「考えてもしょうがない。行くぞ。」

「私も連れていって。」

美空は士達にお願いした。

「…乗れ。」

士は止めることもせず、美空をバイクに乗せ、一同は再びパンドラ・タワーへ向かった。

 

タワーへ着くと目の前には無数のガーディアンが待ち受けていた。

「あれは、政府のガーディアンじゃないのか。」

佐藤太郎に憑依したモモタロス(M太郎)が言うと、

「きっと元からネオファウストとしての機能を持っていたのよ。似たようなこと、前にもあったし。」

美空が答えた。

すると、何もない空中に突然映像が浮かび上がり、御堂光明の姿が写し出されていた。

「異世界ライダーの諸君。君たちの目的は分かっている。まさか、平行世界から佐藤太郎を呼び寄せるとは。」

「しかし、残念だがここで潰させてもらう。命が惜しければ引き返すことをお勧めする。」

御堂は不敵の笑みを浮かべた。

「悪いけど、あんたの思い通りにはさせないよ。僕たち仮面ライダーがいる限り!」

幸太郎が答えた。隣で士も頷いた。

「非常に残念だ。せめて武運を祈ろう。さらばだ、ライダー諸君。」

そう言うとモニターは消滅した。

「面倒だが、一気に片付けるぞ。」

士、幸太郎、M太郎が変身しようとしたとき、汽笛と共に空からデンライナーが姿を表した。

「センパーイ、無茶させちゃダメだって!」

「大事な身体なんや、大切にしとき!」

「わーい、ひっさびさに楽しむぞー!」

「あまりこの様な場は私に似つかわしくないのだが、やむを得ん。」

「カメ公!クマ公!ハナタレ小僧!手羽!」

デンライナーから、4体のイマジン達が降りてきた。

「じゃあセンパイ。ここは僕たちに任せて先に行って!」

「…。行くぞ。」

士達はイマジン達にこの場を託し、先に向かった。

「では行くぞ、家来達よ。」

白いイマジン・ジークが言った。

「せやから、いつからお前の家来なったんや!」

黄色いイマジン・キンタロスが反論した。

「まぁまぁ、キンちゃん。さっさと片付けよう。」

青いイマジン・ウラタロスがなだめた。

「へっへーん♪」

紫のイマジン・リュウタロスはやる気満々だった。

彼らの腰にはベルトが巻かれていた。

 

「「「「変身!!!!」」」」

 

 

「スマッシュを生み出すということは、きっと葛城巧のデータか研究資料を使っているはずよ。」

「ということは、スマッシュを研究している研究室があるはずってことだね。」

「うん。」

「その研究室を探しに海東と桜井侑斗は潜入しているはずだが、どこにあるんだ。」

迫りくるスマッシュを蹴散らしながら、士達一行はタワーの中にあるはずの研究室を探す。

「門矢、こっちだ!」

どこからか侑斗が現れた。

侑斗の後に続くと、そこには美空にとって見覚えのある空間に出た。

「ここって…。」

「間違いないか。」

士が美空に尋ねた。

「うん。でも本当は西都にあった研究室よ。こんな所にあるなんて。」

「恐らく似せて創られたものだろう。残念ながらそれらしいお宝は見当たらなかったけどね。」

物陰から海東も現れた。

「お宝お宝って、ちっとも目的をこなしちゃいない。」

侑斗は呆れていた。

「僕のお陰でこの部屋を見つけたんだ、感謝したまえ。」

「さすがはコソ泥といったところか。」

士は皮肉を込めて言った。

「とにかく葛城巧に関するデータや資料を探そう。」

テディはそう言うと手当たり次第コンピューターに手をつけた。

「面倒臭せぇな。その辺探せば見つかるだろ。」

M太郎も適当にコンピューターを触り始めた。

「モモタロス、あんまり触らない方が…。」

幸太郎が止めようとするが、M太郎は聞く耳を持たなかった。

 

「貴様らああああ!!」

御堂の怒声と共にラビットスマッシュ、タンクスマッシュが士達を襲った。

「ちっ。もう気づかれたか!」

「神聖なる部屋に土足で入る所か勝手に触るなど、万死に値する!!」

御堂は怒り狂っていた。

「その慌てよう、やっぱりここに葛城巧に関する何かがあるんだね。」

幸太郎が問い詰める。

「あぁそうだ!そこにはかつて葛城巧が研究してきたデータもある!おまけにこうなることを見越してか、自信の精神データもバックアップしてあるのだ!」

「えらくあっさりと答えたな。」

士は少し気が抜けた。

「故に、故にだ!貴様らのような汚れた者どもが触っていいものでは…。」

 

ドカアアアアン!!!!

 

大きな爆発音と共にM太郎が吹き飛んでいった。

「痛ててて…、しまった!!」

憑依が取れたモモタロスと横たわる佐藤太郎の姿があった。

「ぬわあああああああああ!!!!」

御堂は絶叫していた。

「許さん、ゆるさんぞ俗物どもがぁ!」

そう言うと御堂はアシッド・ハンターへと変わり二体のスマッシュとともに士達へ襲いかかる。

「あった、あったぞ!」

同時にテディも叫んだ。

「もう少しだ、奴らを足止めしてくれ!」

「やるしかないか。」

「モモタロス、力を貸して!」

士、海東、M幸太郎、侑斗は並び、それぞれ変身アイテムを携えた。

「行くぞ!」

 

「「「「変身!!!!」」」」

 

カメンライド・ディケイド!

カメンライド・ディエンド!

ストライク・フォーム!

アルタイル・フォーム!

 

4人のかけ声が部屋に木霊すると、それぞれ仮面ライダーの姿に変わった。また、モモタロスは剣の姿へ変わりNEW電王の手に収まった。

 

「俺たち/僕たち、参上!!」

「最初に言っておく、俺はかーなーり、強い!」

 

4人のライダーはそれぞれ迎え打つ。

気がつけば、ディケイド、NEW電王がアシッド・ハンターと。ディエンドとゼロノスが二体のスマッシュと戦っていた。

 

「美空君、そこのカプセルの中に太郎君を!」

テディがネビュラガス注入カプセルを指して言った。

「え!?」

「ネビュラガスとそのカプセルを媒介にして、太郎君に葛城巧の人格データを植え付ける。時間がない、急いで!」

「わ、わかった」

美空は、側にいる佐藤太郎の方へ向いた。

しかし、そこに佐藤太郎の姿がなかった。

「うわあああああああああ!!」

離れた所で情けない叫び声が聞こえた。

物陰に佐藤太郎は隠れていたのだ。

「ちょ、太郎。何してんの早く来て!!」

美空は佐藤太郎を引っ張るが、

「嫌だ嫌だ!何でこんな目に遭うんだ!?」

佐藤太郎は涙目になりながらその場から動こうとしない。

「早くしないと、世界が消えちゃうのよ!」

「んなことないっしょ!何世界が消えるって?俺…、俺ツナ義ーズの佐藤太郎だよ?こんなとこにいちゃいけない人間だよ!!」

美空から離れようと必死になっている。

「いい加減にしなさい!」

パァン!

美空の平手が佐藤太郎の頬を赤く染めた。

「ふひっ?」

「確かに、貴方はツナ義ーズの佐藤太郎よ!でも、桐生戦兎でもあり、仮面ライダービルドなの!」

「いや、ただのバンドマンなんだけど。」

「貴方がビルドになって世界の平和を守るの!貴方が必要なの!!」

美空の涙ながらの訴えに、佐藤太郎も他人事ではないと感じ始めた。

「お、俺に世界の平和を守れって?無理っしょ!いや、無理だから!」

「無理じゃない!!貴方にはそれができるの!!」

「俺が、世界を、守る?」

佐藤太郎は段々と妙な自信がついてきた。何より目の前に可愛い女の子が涙ながらに訴えている。今までの人生の中で経験したことがなかった。

「ほ、本当に俺に世界を守る力があるのか。」

「そう!」

すると、佐藤太郎は立ち上がった。

「お、俺は!ツナ義ーズの!佐藤!太郎だあああああああ!俺に不可能はねええええええ!!」

そう叫ぶとカプセルの中に身体を入れた。

「よし、すぐに始めるぞ!」

テディが装置のスイッチを入れる

「誰だか知らないけど、このあとちゃんと焼き肉おごれよ!」

「わかったから!」

「始動!」

装置の中にネビュラガスが充満していく。

「う、うわあああああああああ!」

「ママああ、ママああああ!!」

佐藤太郎の叫び声が上がる。

「しばらくの辛抱だ、がんばれ!」

すると、美空があることに気づいた。

「わたし、行かないと!!」

そう言うと近くにあった空のフルボトルを手にし、ディエンド、ゼロノスの後を追った。

 

「ぐっ」

「うわっ」

ラビットスマッシュとタンクスマッシュの猛攻に二人のライダーは防戦一方となる。

「いたっ!」

美空の声がした。

「バカっ何で来た!!」

ゼロノスは叫ぶが、それと同時にラビットスマッシュは瞬時に美空へ距離を詰めた。

ディエンドは銃を向けるが、

「間に合わない!」

「させるかぁ!」

美空とラビットスマッシュの間に何者かが立ち塞がった!

「デネブ!!」

緑のイマジン・デネブのお陰で美空は無事だった。

「遅いんだよ、デネブ!」

「ごめん侑斗、道に迷った!」

気の抜けるような言い訳だった。

「でもここに美空が来たのはいいタイミングだった。」

「ここからは本気で行くぞ、ゼロノス。」

そう言うとディエンドの手元には新たなデバイスが握られていた。

「当たり前だ。来いデネブ!」

 

G4・リュウガ・オーガ・グレイブ・歌舞鬼・コーカサス・アーク・スカル

 

ファイナルカメンライド・ディエンド!

チャージ&アップ!

デネビック・バスター!

 

ディエンドは身体と頭頂部に9枚のカードが浮かび、ゼロノスは緑から錆びた赤色へ姿が変わった。

それからデネブは銃へ姿を変えゼロノスの手元に収まった。

構わずスマッシュはライダーに攻撃を仕掛けるもそれぞれかわされ、ライダー達も確実に一撃を与えていく。

「これで終わりだ。」

ディエンドは新たにカードを装填した。

 

アタックライド・劇場版!

ディエンドの回りに八体の仮面ライダーが現れた。

ファイナルアタックライド

DDDディエンド!

フルチャージ!

 

ディエンド・ゼロノスの射撃と共に、八体のライダー達も各々の必殺技をスマッシュへぶつける。

スマッシュ達は為すすべもなく、ライダーの攻撃を受け爆散した。

「今だ!」

ディエンドのかけ声と同時に、美空は手にした空のフルボトルを差し出す。

すると、爆散したスマッシュ達から光の粒子が浮かび、フルボトルへ吸収された。

「お願い、ベルナージュ!」

美空は祈るようにフルボトルを握った。




第5話

いよいよ佳境に入ってきました。

C世界から佐藤太郎を拉致するという物凄い力技になってしまいましたが、実は個人的な佐藤太郎への救済措置でもあります。

ビルド本編にて、佐藤太郎はバイトのつもりで葛城宅へ訪れたところ、騙されて殺されてしまいます。
しかし、仮面ライダージオウ・ビルド編でまさかのツナ義ーズがフィーチャーされてるのを見て、佐藤太郎にも救いの道がないか考えました。結果、本作のような扱いにしました。

C世界の葛城巧でも良かったと思われますが、A世界とC 世界に同一のビルドを誕生させるには、桐生戦兎と同じ条件にする必要があります。
つまり、戦兎は元々葛城巧の肉体だったがエボルトにより佐藤太郎の肉体へと変えられてしまった存在のため、同じ条件に合わせるならば、A世界のビルドも佐藤太郎にする必要がある。という設定です。その佐藤太郎の肉体に葛城巧の人格を植え付けることで、戦兎に近づけようとするのが、本作のメインとなります。

今回の戦闘は、ゲストとしてモモタロスを除くイマジン達の戦い(でも活躍はカットしました、ごめんなさい。)
ディエンド&ゼロノスとラビット&タンクスマッシュの戦いです。
映画・超電王にてディケイドと電王がクロスオーバーしましたが、作中の理由からゼロノス不在かつディエンドもゲスト登場だったため、実はこの二人ちゃんと絡んだことがありませんでした。そのため、個人的趣味により2号ライダー同士組ませてみました。
そして、超電王トリロジーにて披露されたディエンド・コンプリートフォームを本作でも登場させました。

最後に、美空がベルナージュに祈る場面があります。ビルド本編最終回では、バンクルは美空の腕から外れベルナージュは消滅(?)しています。美空自身もそれは承知していて、一縷の望みにかけて祈っているという設定です。奇跡は起こるのでしょうか。

第6話はディケイド&NEW電王とアシッド・ハンターとの戦いです。お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。