仮面ライダービルド アナザーワールド   作:ラズベアー

7 / 15
最終話

頂上につくと、今にも化け物はパンドラボックスに接触しようとしていた。

「士、これを使いたまえ。」

ディエンドはディケイドにあるカードを渡した。

ビルドの絵柄のカードとファイナルアタックライドのカードだった。

「ビルド、ちょっとくすぐったいぞ。」

「え?」

 

ファイナルフォームライド・ビルド!

 

ビルドはその姿を変え真っ赤なウサギに変化した。青い大砲を背負い、手足にはキャタピラがついていた。その姿はまさしくラビットタンクだった。

「Oh,no!何だこれ!?どういう物理法則でこんなことになるんだ!?」

ビルド・ラビットタンクは困惑していた。

「いいから、やつを止めるぞ!」

ビルド・ラビットタンクは素早く跳躍し、その巨体で化け物に体当たりした。

化け物も口やしっぽからエネルギー弾を放ち反撃するも、脚力を生かした跳躍でかわしたり、足のキャタピラでかわしたりし、背中の大砲を撃ち込む。

ついに化け物はバランスを崩し、地に伏せた。

「今だ!」

 

ファイナルアタックライド

BBBビルド!

 

ビルド・ラビットタンクの大砲から巨大なエネルギー弾が放たれ、化け物に直撃し爆発した。

「やったか。」

元に戻ったビルドが言った。

しかし、爆煙の中から、ボロボロになりながらも化け物はなお立ち上がろうとしていた。

「なんてしぶといやつなんだ。」

「仕方ない、大サービスだ。」

そういうと、ディエンドは四枚のライダーカードを取り出し、装填した。

 

カメンライド

クローズ!

グリス!

ローグ!

マッドローグ!

 

いくつものホログラムが重なり合い、4人のライダーが現れた

 

「今の俺は負ける気がしねぇ!」

「心火を燃やして、ぶっ潰す!」

「大義の為の、犠牲となれ…。」

「難波重工のために。」

 

「これは…。」

ビルドは驚きを隠せなかった。

「これで決めてこい、ビルド!」

ディケイドは言った。

「…。わかった!」

 

ボルテック・フィニッシュ!

ドラゴニック・フィニッシュ!

スクラップ・フィニッシュ!

クラックアップ・フィニッシュ!

エボルテック・アタック!

 

5人のライダーのキックが化け物に直撃する。

ついに化け物は爆散し、その姿は二度と現れることはなかった。

 

全員地上に戻ってきた。

美空には信じられない光景だった。かつての仲間達が目の前に現れたのだ。

「かず…みん…?」

美空が尋ねるが、

「かずみん?俺は北都の仮面ライダー、紅カズミだ。」

「え?」

グリスは確かに"カズミ"と答えたが、猿渡一海ではないようだ。

「てか…。」

グリスは美空のことを見つめた。

「な、何?」

「か、かか…。」

「かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ひっ!?」

突然グリスは雄叫びを上げたかと思うと、頭頂部から蒸気が吹き出した。

何というか、別人でもかずみんらしかった。

「はっ、北都のライダーって馬鹿みてぇだな!」

クローズがグリスへ言った。

「あん?何だとゴルァ?」

「やんのか、上等だ!」

グリスとクローズは互いのマスクをぶつけメンチを切り出した。

「ちょ、やめてよ万丈!」

美空は思わず止めにかかった。

「万丈?誰だそいつ。俺は長瀬、長瀬リュウガ。東都の仮面ライダーだ。」

やはり、美空は思わぬ答えに戸惑ってしまう。

「じゃあ、貴方は?」

「西都の仮面ライダー、魅上ゲントクだ。」

「難波重工の用心棒仮面ライダー、鷲尾ナリアキ。」

 

「すまないね、美空。彼らは君の知る仲間に似ているけど全くの別人だ。」

ディエンドは答えた。

「…ううん。大丈夫。ありがとう、みんな…。」

美空はみんなにお礼をいった。

空からデンライナーが現れた。

「僕たちはもう行くよ。」

「またどこかで会おうぜ!」

電王達はデンライナーに乗り、時空の彼方へ消えていった。

「葛城巧。」

士は巧を呼んだ。

「これからどうするんだ。」

「ネオファウストやスマッシュはまだ消滅していない。平和を取り戻すには、まだ時間が掛かりそうだ。」

「でも、それぞれの国にライダーが現れた。きっと平和が訪れる日は、そう遠くないはずだ。」

巧は答えた。

「そうか…。」

そう呟いた士の後ろに銀色のオーロラが現れた。

「時間のようだね。また会おう。門矢士君。」

「また近い内に会うかもな。」

「士さん!」

美空が言った。

「本当にありがとう。」

美空の顔は初めて会った時とうって変わってとても輝いていた。

士と海東は笑顔を見せると黙ってオーロラの奥へ消えていった。

 

「石動美空。」

「…何?」

「僕たちがこうして会うのは、これが最後だ。」

「え、どうして?」

美空は尋ねた。

「僕は仮面ライダービルドだけど、桐生戦兎じゃない。君の求めていたものとは違う答えになったんだ。」

「どんなに頑張っても、僕は桐生戦兎にはなれない。だからこそ、君に失望させたくないんだ。」

「…。」

美空は黙って聞いた。

「だけど、これだけは忘れないで欲しい。君の身に何かあったとき必ず君を守ってみせる。消えるはずだった僕がここにいるということは、きっとそれが僕のやるべきことだと思うから。」

「…そっか。」

「うん。大丈夫。みんながこの世界を守ってくれるって信じてるから。」

美空は何だか清々しい気持ちになった。

「ありがとう。」

巧も思わず微笑んだ。

「それじゃあ、また。シーユー!」

そう言うと、巧はバイクにまたがりどこかへ走り去っていった。

ディエンドに召喚されたライダー達も、それぞれの帰る場所へ戻っていった。

 

 

 

「政府官邸から、パンドラ・タワーならびにスカイウォールの残骸付近でスマッシュの活動が活発化していると発表がありました。ガーディアンを投入しスマッシュの数は、以前より減少傾向にあるとのことでした。市民の安全を保証しているとしており、地域の復興も進んでいるとー」

「嘘ばっかり。」

 

海辺に佇むカフェ・nascita。

報道番組を見ていた美空は呟いた。

 

決して多くはないが、ここnascitaにも客が来るようになった。

政府の発表通り、スマッシュの目撃情報が減ったことで外を出歩きやすくなったからだろう。

 

でも、それは政府の力だけじゃない。

 

人知れず、人々の平和のために戦う戦士達がいる。美空はそれを知っていた。

美空は店の外へ出て屋上に上がった。

空を見上げると、雲一つない快晴だ。

 

こんなに、きれいだったっけ。

 

美空は不意に涙を流してしまった。

しかし、それは悲しみからではない。

透き通るような美しい空。それはまるで希望に満ち溢れているようだった。美空の涙はそれを表しているようにスーっと流れたものだったのかもしれない。

 

そして、美空は青空に向かって叫んだ。

「ありがとう、仮面ライダー!」

 

 

nascitaより遠く離れた建物の上、仮面ライダービルドの瞳は世界を見渡していた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…。という夢を見たんだ。」

万丈龍我は飲んでいたコーヒーを吹いた。

「あ、おい!汚ぇじゃないか!ちゃんと片付けなさいよ!」

桐生戦兎は怒って言った。

「しょうがねぇじゃねぇかよ!何だその夢!」

万丈は噎せながら言った。

「誰だよ、長瀬リュウガって。」

「俺が知る訳ないだろ。」

二人はテーブルを拭いて片付けた。

 

ここは、カフェ・nascita。

石動親子が経営している。今日も客で満席となっていて、桐生戦兎と万丈龍我はフロアの端の方で話をしていた。

「しかしまぁ…。夢の中とはいえ、美空達が元気そうなら良かったな。」

「つーか、佐藤太郎が仮面ライダー?あいつは死んじまったし、生きてるとしたらこの世界の住人だし、あり得ないって。」

万丈が笑って言った。

「…。本当に夢だったんだろうか。」

戦兎は呟いた。

「あ?」

「夢にしては、その全てが鮮明なんだ。丸で夢の中での出来事を自分が体験していたような…。」

戦兎はこの違和感が何なのか考えていた。

「夢ってそんなもんじゃねぇのか?」

万丈が言うと

「じゃあ、昨日自分が何の夢見てたか覚えてるか?」

戦兎が尋ねてきた。

「そりゃあ…。」

「…。」

「覚えてねぇ。」

万丈は必死になって思いだそうとしていた。

「ほらな。夢ってそんなもんなんだよ。」

戦兎はやれやれといった様子だった。

「けどよ、戦兎。お前自身はここにいたのは間違いないんだぜ。」

万丈は言った。

戦兎と万丈は適当な理由を付けて、nascitaに住み込みのアルバイトとして雇ってもらっている。

同じ部屋で寝泊まりしている二人だからこそ、万丈は戦兎がどこかへ出かけるとこを見たことがなかった。

「まぁな…。戦っているとしたら、身体中めちゃくちゃ痛いし。」

戦兎は軽く肩を回してみるが至って健康であった。

「結局、ただの夢だったんだよ。」

万丈はそういうとコーヒーを口に含んだ。

 

すると店のカウンターから惣一の話し声が聞こえてきた。

「おいおい大変だぞ、美空!」

「何お父さん。」

美空は聞き返した。

「ツナ義ーズ、佐藤太郎行方不明により電撃解散だってよ!」

「ええ!?」

美空はびっくりして声を上げた。

と同時に万丈はコーヒーを吹き出した。

「だっ、お前、いい加減にしなさいよ!」

「げほっげほっ…。き、聞いたか?ツナ義ーズの佐藤太郎が行方不明って!?」

噎せながら万丈は言った。

「あぁ。やっぱり夢じゃないのか。」

 

その時だった。店の外で爆発音が聞こえた。

戦兎と万丈は急いで店の外へ出た。

爆発音の所に着くと、数人のスーツ姿の男達がトラックを襲撃していた。

「何やってんだあいつら。」

「只事じゃなさそうだけど…。」

しかし、怪物事件ではない。ライダーとなって出る必要がない。

暫くすると、警察が辺りを囲み始めた。中には武装した警官もいた。

「ただの犯罪なら、警察の仕事か。」

万丈がそう言った時だった。

スーツ姿の男達は、おもむろにUSBメモリのようなものを取り出した。

「何だあれ…。」

 

マスカレイド!

 

スーツ姿の男達はそのメモリを喉元に突き刺した。すると、男達はドクロのようなマスクを身につけ、警官隊を襲い始めた。

警官隊は為すすべもなく倒されていく。

「何だあいつら!この世界は平和だったんじゃないのか!?」

万丈が言った。

「きっと、融合するためのB世界にも何かの驚異があったんだ。」

戦兎が答えた。

「マジかよ。」

「ほら、突っ立ってないで行くぞ!」

 

二人はスーツ姿の怪人の中へ飛び込んでいった。

「何者だ!」

スーツ姿の怪人の一人が言った。

「俺達は愛と平和のために戦う、正義のヒーローだ!」

戦兎が答えた。

「え、それマジで言うの?そんな大々的に言っちゃうやつなの?」

「え、万丈引くなよ。乗れよ!俺だけ恥ずかしいじゃないか。」

二人のやり取りにスーツ姿の怪人達もどうしたらいいのか分からなくなっていた。

「最悪だ…。出落ち感ハンパねぇ…。」

「いいから行くぞ。」

落ち込む戦兎をよそに、万丈はドラゴン型のデバイスとフルボトルを握っていた。

 

Wake up! Close-Z Dragon!

 

万丈はフルボトルをドラゴンに挿入し、ベルトにそのまま装填した。

そして、ベルトのレバーを回すと前後に青いアーマーが現れた。

 

Are you ready?

 

「変身!」

 

Wake up burning!

Get Close-Z Dragon!!

イエーイ!!!

 

アーマーが万丈を挟み込むと、仮面ライダーの姿になった。

「仮面ライダーだと!?」

スーツ姿の怪人は構えた。

「ん。俺達の事を知ってんのか?まぁいいや。負ける気がしねぇ!」

そういうと、仮面ライダークローズは怪人に立ち向かって言った。

「ちょちょちょ、万丈!勝手にいきやがって。」

しかし、戦兎の両手にもフルボトルが握られていた。

「さぁ、実験を始めようか。」

そして、フルボトルを振ると、ベルトに装填した。

 

ラビット!タンク!ベストマッチ!!

 

ベルトのレバーを回すと万丈と同じく赤と青のアーマーが前後に展開された。

 

Are you ready?

 

「変身!」

 

鋼のムーンサルト!

ラビットタンク!!

イエーイ!!!

 

アーマーが戦兎を挟み込み、仮面ライダービルドになった。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

 

 

世界が変わっても、人々の愛と平和のため、仮面ライダー達は今日も戦う。

 

 




最終話

いかがだったでしょうか。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました(^^)

まず、ビルドのファイナルフォームライド
ビルド・ラビットタンク。

イメージとしては、ビルド本編ラビットラビットフォームになる為のウサギ型ユニットを人並みに大型にし、その手足にタンクタンクフォームの両腕の青いキャタピラ、その背に大砲を備えたもの。だと思って下さい。
ディケイドと絡ませる上で、ファイナルフォームライドは必須だと思い、何か良いものがないか考え、設定しました。

そして、ディエンドによるクローズ、グリス、ローグ、マッドローグの召喚。
これが出来るなら、始めからビルドも出せたんじゃないか説があるかと思います。
これは、ディケイド本編同様、ビルド世界にたどり着いた時点では、士と海東はビルドに関するライダーカードは所持していません。というかブランク状態でした。
葛城巧=ビルド復活によって、そのブランクカードがビルド達の力を得て、終盤にて使用可能となった。ということです。

そして、例の如く皆さん別人です。
長瀬リュウガ、紅カズミ。
察して頂けるでしょう。笑

魅上ゲントク。
氷室幻徳役"水上"剣星さんと某ジャンプ映画で演じたキャラから取って使いました。

鷲尾ナリアキ。
難しかったです。越智友己さんはビルドが初連ドラ出演のため、中々それらしい名字が思い浮かばず、難波繋がりの鷲尾兄弟からお借りして設定しました。

そして、ビルドと4ライダーの登場。
実は、ディケイドのカメンライドがそれを示していました。(下手くそな伏線ですみません。)

第1話のD剣。
ディケイド(赤)と剣(青)でビルド。

第2話のD龍騎、そしてディエンド召喚のアギト
龍繋がりからクローズ。

第3話のDキバ、ディエンド召喚のイクサ、ダークキバ
中の人繋がりでグリス。
コウモリ繋がりでマッドローグ。

第6話のD響鬼
紫のライダー繋がりでローグ。
ローグの伏線が難しかったです。ワニのライダーなんて今までいませんでしたからね。笑
ビルド本編の猿渡ファームの人々の台詞、パープルの仮面ライダー発言から響鬼採用しました。

本作後半のC世界の話。
ご本人達を登場させることで、本作の設定に説得力を持たせる狙いで執筆しました。
オマケ要素として、映画平ジェネFINALによって平行世界は歴代ライダーの世界線じゃないか説を尊重し、それを匂わすかのようにマスカレイドドーパントを登場させました。
風都以外でのマスカレイドドーパント。それが何を意味するのか、察して頂ければ幸いです。

拙い文章力でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

本作本編はこれにて終了となりますが、番外編としてぼちぼち投稿していこうと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。