仮面ライダービルド アナザーワールド   作:ラズベアー

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Lの嫉妬/ツナ義ーズ絶好調(第5話)

今日も絶好調だった。

ライブステージも満席だった上に、女性ファンからの黄色い声援。

そして、ファンと共に叫ぶあの言葉。

 

「夜はー?」

焼き肉っしょおおおおおおおおお!!!!

 

佐藤太郎は感無量だった。

相棒の岸田立弥と立ち上げた、パンクバンド・ツナ義ーズ。その名の通り、太郎は赤い繋ぎを、立弥はオレンジの繋ぎを着てライブを続けて早三年。

インディーズとして活動していたが、みるみる内にヒットしていき、今では大型ライブステージを巡るツアーまで行うまでに至った。

 

「アニキぃ、今日も絶好調でしたね!!」

ワゴン車の中で、立弥は太郎に話しかけた。

「ったりめぇよ!見たか立弥!何人か失神して倒れてたぞ!」

太郎は得意気に言った。

「見たっすよ!俺達の熱い想いが観客に響いたんすね!」

「まさかこんな日がくるとは…。思えば、今まですげぇ苦労してきたなぁ、立弥。」

太郎はしみじみと言った。

「そうっすねぇ。繋ぎの色でどっちも赤いのにしようとして、揉めに揉めましたもんね。」

「そこじゃねぇよ、バカっ」

「しゃっせ。」

「どうすりゃ、俺達の魂の声が届くのか。考え過ぎて、立弥、お前頭爆発しちゃってアフロになっちまったもんな!」

「そこじゃねぇっすよ、バカっ」

「しゃっせ。」

 

「「ガッハハハハハハ!!」」

 

「っしゃあ、マネージャー!次行っちゃってぇ!」

太郎の合図と共にワゴン車は次のライブへ向けて出発した。

 

そして、それを遠くから見ている人影があった。

 

「あれが佐藤太郎か。」

門矢士は美空に尋ねた。

「う、うん。」

石動美空は頷いた。

「なんかこう…、思ってたのと違うような何というか…。」

野上幸太郎は何とも言えない気持ちになった。

「顔はいいが、悪魔とも言われた天才科学者があんなヤツに変えられたとなると、不憫に思えるな。」

士は哀れむように言った。

「そうなの…。戦兎として見慣れてるからカッコいいと思っていたけど、リアルの佐藤太郎ってあんな感じだったんだ。」

美空もガッカリしていた。

「ま…。まぁ、彼を見つけることは出来たんだし、早速行動と行きますか。」

イマジンと呼ばれる青いイマジン・ウラタロスが促すように三人に言った。

「というか、何でお前がついてきたんだよ!」

士は帰れと言わんばかりに言った。

「そりゃあ、彼を口説く為に僕は必要不可欠だと思うけどなぁ。」

「まぁ、ウラタロスの交渉力は役に立つと思うし。」

幸太郎がフォローを入れるも、

「女限定じゃなかったか?」

士が間髪いれずに言った。

「もちろんそうだけど、事が事だからワガママ言ってる場合じゃないことくらい、僕だって分かってるさ。」

「し…、信じていいのね?」

美空が確認する。

「もちろん、美空ちゃん。」

疑わしかったが、幸太郎の言葉もあり信じることにした。

「とにかく後を追うぞ。」

士達一行は佐藤太郎の後を追いかけた。

 

しばらくすると、ツナ義ーズを乗せたワゴン車はライブ会場であろう場所についた。

すでに会場付近にはファンであろう人集りが出来ていた。

「何これ、すっごい数。ツナ義ーズってこんなに人気あるの!?」

美空は驚きを隠せなかった。

すると、ワゴン車は搬入口近くに停まると中からツナ義ーズが降りてきた。

 

「ツナ義ーズよ!!」

「佐藤太郎様だわあ!!」

「焼き肉食べさせてえ!!」

「きゃーーーーー!!」

「立弥キモイーー!!」

「アーニキィー!!」

 

ファンの熱烈な歓迎を受けて、太郎は答えた。

 

「ファンのみんなー!!フッフッフゥウウウウウ!!会場の中で待ってるぜぇ!!合言葉忘れんじゃねぇぞー!!」

「焼き肉ぅー!!」

ファンの一人が叫んだ。

「まだ早ぇよ、バカっ!!」

「しゃっせ。」

 

「「「「ガッハハハハハハ!!!!」」」」

 

「じゃあな!!」

そういい、ツナ義ーズは会場へと入っていった。

 

士達一行は唖然としていた。

「…。どうやって入ろうか。」

やっとのことで幸太郎が口を開いた。

「…そうだな。」

士は我に返り辺りを見渡す。思いの外、外の警備が厳重で、複数人で忍び込むには難題だった。

「早速、僕の出番だね。幸太郎、身体借りるよ!」

そう言うと、ウラタロスは幸太郎に憑依した。幸太郎の瞳は青くなりメガネを掛けていた。髪型も右側を掻き上げるように髪を耳に掛け、青いメッシュが入った。

「ええ!?こ、幸太郎さんのなかにイマジンが入った!?」

美空はさらに驚いていた。

「イマジンの特徴さ。」

幸太郎に憑依したウラタロス(U幸太郎)が答えた。その声は幸太郎のものではなく、ウラタロスの声だった。

「おい、いきなりで大丈夫か?」

士は心配そうで言った。

「大丈夫っ、警備係のおじさんに中に入れて貰えるように話してくるから。」

U幸太郎は裏口の警備係に話しかけに言った。

「ほんとに大丈夫なのかな…。」

「まぁ、アイツに任せるしかないか。」

U幸太郎を待ってる間、美空は辺りを見渡した。

すると、あるものが目に映った。

「ねぇ、士さん。この町ってあんなにおっきい風車があるんだね。」

「え。」

そう言われ、士は美空が指した方向を見た。

それは高層ビルよりもさらに高い建造物だった。美空の言うように風車のようなものがゆっくりと回っている。

「まさか…。」

士はさらに辺りを見渡す。よく見ると町の至る所に風車のモニュメントがあり、掲示板などに風車を象ったマスコットキャラクターのポスターが貼られていた。

「ここは、まさか…。」

「おーい!」

U幸太郎の呼び声が聞こえた。

 

U幸太郎の計らいにより、士達は無事に会場へ入ることが出来た。客席はひとつも空席を作っておらず、それがツナ義ーズの人気具合を表していた。

しばらくして、会場内にブザーが鳴り響いた。

「本日は、ツナ義ーズライブツアー・燃えよ!ツナ義ーズ!にご来場いただき誠にありがとうございます。」

「ツナ義ーズのライブに先立ち、様々なアーティスト達が応援に来て下さいました。まずは、Ryu-Ta.feat.風都ジャーニーズです!」

「え?」

 

りゅうた…?

 

士達は聞き違いだと思ったが、始まったイントロから確信に変わった。

 

いーじゃん、いーじゃん、すげーじゃん!

いーじゃん、いーじゃん、すげーじゃん!

 

ラップが始まると共に若者達が登壇し、ブレイクダンスを披露した。ホール内は三人を除いて拍手が鳴り響く。

「みーんなー!今日は遊びに来てくれて、ありがとー!!」

一人の青年が叫ぶ。

その声は、紛れもなくリュウタロスだった。

「あのバカ、何してんだ!!」

士は思わず叫んだ

「リュウタ…。」

U幸太郎は頭を抱えた。

「…どういうこと?」

美空には意味がわからなかった。

 

「続きまして、演歌"だぶるあくしょん"です、どうぞ!」

「は?」

嫌な予感がしたが、その予感は的中してしまった。

黄色い着物を着た中年男性が演歌を歌った。

 

俺の、俺の、俺の強さにお前が泣いたぁ~。

 

キンタロスだった。

「何してんだアイツら!」

士は嫌になってきていた。

「あぁ…。」

U幸太郎は両手で自分の顔を覆った。

「…何、何なの?」

美空にはやはり意味がわからなかった。

 

休憩時間となり、士達は舞台裏へ行った。

「何してんだ、お前ら!」

裏で待機してたリュウタロスとキンタロス(どちらも人間に憑依している)に士が怒声を上げた。

「だってだってぇ。面白そうだったし、亀ちゃんだけ外出てズルいよ~。」

リュウタロスは駄々をこねた。

「それに、僕のお得意洗脳で何とかなってるし!」

「そう言う問題じゃないだろ…。」

士は呆れた。

「それに、亀ちゃんはともかく、モモタロスはこの後活躍するじゃん!」

「そう言うこと言うんじゃない!」

「あれ、モモタロスは来なかったの?」

美空がリュウタロスに聞いた。

「うん、唐辛子入りプリン食べさせてきたから。」

「どういうこと?」

「もういいだろ。」

士が止めた。

「ぐがっ…。」

キンタロスは座りながら寝ていた。

「ハァ…。」

士は深いため息をついた。

「ほ、ほらほら。そろそろ後半始まるよ。リュウタ、キンちゃん連れてデンライナーに帰りな。」

「はーい。」

 

客席に戻るとまもなくライブが再開した。

 

「それでは、お待たせしました!ツナ義ーズです、どうぞ!!」

 

アナウンスの直後、太郎と立弥は上袖下袖から飛び込んできた。

「こんにちわぁ!佐藤太郎でぇす!」

「岸田立弥っす!」

「今日は盛り上がっていきまっしょー、フッフッフゥウウウウウ!!」

ライブが始まった。

上手いのかどうかわからないが、会場の空気感が一気に変わった。

 

何曲か歌い終わり、佐藤太郎が話し出そうとした時だった。

「こんなの、音楽じゃねぇ!!」

一人の男性客が叫んだ。

「へ?」

突然のことで太郎も声が出なかった。客席にもどよめきが広がった。

「何だ?」

士達はその男性客の方を見た。

男性客はステージに上がるとマイクを手に言った。

「最近の野郎のは音楽なんかじゃねぇ。ただ叫んでるだけでちっとも面白くない!」

警備係がステージに上がろうとしていた。

「それなのに、そんなものが世間に認められて、俺の音楽が認められないなんて許せないんだよ!」

「こんなステージ、めちゃくちゃにしてやる!」

警備係が男性客に飛び付こうとした時だった。

 

ライアー!

 

男性客はUSBメモリのようなものを自分の腕に差した。するとその姿は怪人へと変わった。

怪人は飛び付いてきた警備係をなぎ倒し、ツナ義ーズに詰め寄る。

「うわあああああああああああ!!!」

情けない声をあげ、太郎と立弥は腰を抜かしてしまった。

客席にいた人達も、我先にと逃げるように会場を出ていこうとしていた。会場内はパニックに陥ってしまった。

「ドーパントか!」

士は怪人の正体を知っているようだった。

「え、どうして怪人が!?」

美空は驚いた。ここ新世界は平和だと思っていたからだ。

「やはり、C 世界は歴代ライダー達が戦ってきた世界か!」

士とU幸太郎は変身しようとした時だった。

 

「そこまでだ!」

 

客席から二人の男性が立ち上がっていた。

 

 




サイドストーリーは短めにしようと思っておりましたが、思いの外長くなってしまい、前後編という形を取りました。

本作は、士達がC世界のツナ義ーズ・佐藤太郎をどのようにしてA世界へ連れてきたのかという設定です。

ゲストはウラタロス、キンタロス、リュウタロス。
本作本編であまり活躍が描かれなかった彼らに登場してもらいました。

そして、舞台は風都!?ドーパントも現れる!?
そして、客席に立つ二人とは!?

わかりますよね。笑

後半もお楽しみ下さい。
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