今回知識不足を実感してました。
結局俺たちはお互いに読んだことのある本を一冊選び、それを相手に読ませて感想を語り合う。という事になった。発案者はもちろん雪ノ下である。
「そろそろ選び終えたかしら?くれぐれも変な本は読ませないで頂戴ね」
「当たり前だ。まずこの場でラノベとかシリーズ物をチョイスするのは間違ってるだろ…」
そう。相手が材木座とかではなく雪ノ下であることだし、長居する訳にもいけないのでここはそこまで長くもなく、且つ分かり易い本がベストであろう。
程なくして、席に着きコーヒーと紅茶を注文。お互いの本を渡しあって読み始めた。
※ ※ ※
そうして時間は進み、しばらく読み進めて来たが、これがなかなかどうして面白い。俺が雪ノ下に渡したのは推理小説モノで、逆に渡されたのは短編の恋愛モノ。こいつこんなものを読んだことがあったのか…と初めは驚いたがどちらかと言うと主人公とヒロインのお互いの心境描写が強く描かれており、かなり物語に入りやすい本だった。
俺は目を上げ、雪ノ下の方を向いて様子を確認してみようと思い覗いてみてみたのだが…なんというか、綺麗、だった。
雪ノ下の本を読んでいる姿は部室で何度も見ているし、そこまで何かを思う事はなかったのだが、正面からとか、場所が違うからとか、そのようなものではなくて。ただ俺は、その瞬間、一体何秒かは分からないが、雪ノ下雪乃に見惚れていた。
「何かしら。あまりジロジロ見られるとその、気が散るのだけれど」
「す、すまん」
どうやら俺の視線はあっさりとバレていたらしい。コッソリと見ていたはずなんだがな…。
そうして数時間が過ぎ、静かなカフェに二冊の本を閉じる音が響いた。最初に口を開いたのは、俺。
「どうだった?」
「推理小説にしては犯人が分かり易すぎたけれど犯人への到達の経緯が細かくて面白かったわ。そっちは?」
「ああ、お前もこの系統を読むんだなって思った。ヒロインの想いがハッキリしていて良かったと思う。俺には一生無さそうな体験だろうけどな…」
「まあ貴方はそうでしょうね。ヒキガエルくん?」
クスクスと楽しそうに言われれば俺も何も言い返せない。楽しそうならそれでいいのだが。
「さて、こんな時間になってしまったけれどお昼はどうする?」
言われてみれば時刻はすでに昼過ぎを回っており、意識した途端腹が空いてきたような気がする。
「サイゼでいいんじゃねえか?」
すると雪ノ下は「はあ…」とため息をついている。美味いじゃんサイゼ。
「貴方に聞いた私も馬鹿だった気がするけれど…いいわ。私の家で済ませましょう」
爆弾発言である。俺。少し混乱中。
「いいのか?その、家でご馳走になるなんて」
「本当なら貴方のような犯罪者予備軍を家に招くなんてしたくないのだけれど、今日は気分が良いから許可するわ」
雪ノ下は笑顔でそう言うもので、俺にはご馳走になる選択肢しか無かった。
そうと決まれば、店を出て雪ノ下家への道を並んで歩く。修学旅行の時はあんなに離れていたのに、本当に今日は機嫌がいいらしい。
※ ※ ※
しばらく歩き、何度か訪れた雪ノ下のマンションへとたどり着いた。
道中、今日の雪ノ下雪乃の事を何度も考えていたことは、誰にも言えない秘密である。
毎回どこで切ったらいいのか分からないので1,000文字くらいで適当に切ってます。
書きすぎるといつの間にか数時間とかありますしね…。
もう少し続きの気になる切り方になるよう、精進します。