常闇踏陰。鋭い目つきに赤い瞳の黒い鳥のような顔をした少年。
鳥部分は顔のみで、首から下は普通の人間と変わらない。首に赤いチョーカーを3つ重ねてつけている。実直な性格でやや古風なしゃべり方をしており、書き文字がかなりの達筆。若干中二臭い所があり、自室のセンスにも出ている。
そう、僕のヒーローアカデミアのキャラだ。その常闇踏陰に気が付けば転生していた。
夜に眠って朝起きたら、もう姿が変わっていた。一年間頑張ってみたが、どうやっても戻れなかったのでこのまま生きていくしかない。それに僕のヒーローアカデミアの世界は色々と問題があるが、とても楽しみではある。
そんな訳で"個性"の発動までは身体を鍛えて過ごした。常闇踏陰の弱点は近接戦闘だ。しかし、どうせなら
まずは影を実態化させて人型にできるか試す。その後に人形に憑依させて操作を学ぶ。しかし、これだけでは駄目だ。なので、自らに憑依して人に使っても問題ないようにする。ここまでで9年の月日が過ぎた。
俺の誕生日祝いということで両親とショッピングモールに出掛けたら、
複数の犠牲の中、俺は逃げることもできずにただ見詰めているだけだった。彼女は身体中を穴だらけにされながらも、暴走しているのか、とまることがない。
「きゃはっ、きゃははははははははははっ!」
金色の髪の毛の少女は闇で大剣を作り出し、ヒーローを文字通り薙ぎ払う。背中に漆黒の翼が生え、右手に聖者の十字架を変形させた漆黒の大剣、左手に球状に集めた闇の力を構えている姿に圧倒的な武力を感じる。
実際に大剣は地面を粉砕し、闇の力を集めた球体は建物をえぐり取る。
大火災が発生し、どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。もしかしたら、あの火災がそうなのかもしれない。
こんなことを考えていると、彼女がこちらを見詰めてきた。気付かれたと思って恐怖に身体が震える。だが、ふと彼女の瞳から涙が流れるのがみえた。その時に心を決めた。この世界は僕のヒーローアカデミアだ。なら、やることは一つだ。
「死ねっ」
「断る!」
振るわれる死をもたらす恐怖の大剣逃げるのではなく、恐怖心を押し殺して前に進んで適当に振るわれた大剣を避け、彼女に抱き着く。すぐに彼女は俺を剥がそうとするが、その前に"個性"を使う。彼女は身体中に穴が空いていて、そこから闇が溢れ出ている。
俺と彼女の"個性"の相性はいい。なぜなら、俺の
「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
絶叫をあげながら身体中から闇を溢れ出させる彼女の闇を取り込み、暴走しそうになるのを必死に耐える。身体中から激痛が走り、相手の闇が俺を侵食してくる。
周りにヒーローが沢山現れるが、彼女が球体を飛ばして排除する。ここは一種の安全圏だ。だが、相手の方が支配権が強く、このままでは俺が逆に取り込まれる。そう思った時、彼の声が聞こえてきた。
「HAHAHA、私が来たっ!」
その声と共に衝撃がくる。視線をやるとオールマイトの拳が大剣と衝突していた。
「その少年を返してもらおう!」
「Aaaaaaaaaaaaaaa!!」
「正気ですらないか! 少年、直に助ける!」
「俺は気にせずに戦ってくれ!」
「それは無理だな。なぜって? 私がヒーローだからだ!」
激しい戦いの中、必死にしがみ付く。彼女も俺が盾になっていることがよくわかっているようだ。だったら、こちらも相手の支配権を得ることに集中させてもらおう。
しばらくそうやっていると、彼女の記憶が流れこんでくる。それは誘拐され、実験体として様々な"個性"を付与されて作り出された少女達の記憶。オールマイトを殺すために悲惨な実験の記憶だ。
彼女は周りを黒く染める"個性"、思念をあつめる"個性"、凶暴化する"個性"など様々な"個性"がまじりあわされている。その大元は、黒く染める"個性"だ。この"個性"に混じり込むことでえげつない"個性"が生まれたようだ。
彼女の心は憎悪に染まっている。身体中を弄り回され、拷問を受けて殺された子供達の怨念が思念を集める"個性"によって集まり、壊れた彼女に負の"個性"と負の"個性"が遡上効果を集め、常闇のような"個性"へと変化したようだ。
俺にできるのは彼女を暴走から救うことぐらいだろう。どうせ転生しただけで本人でもないが、ヒーローを目指した彼にならって頑張ろう。
心の片隅で三角座りをしているような同い年くらいの少女を抱きしめて、一緒にいてやる。それぐらいしかできない。
彼女がこちらに気付いたようで、狂気に染まった瞳で見詰めてくる。俺も見詰めかえす。暴れ出す彼女を必死に押さえてオールマイトが終わらせてくれるのを待つ。次第に俺と彼女の心もまじりあい、身体の境界線もなくなっていく。意識もなくなっていった。
次に気付いた時は暗闇の世界だった。そこで俺は俺よりも大人な16歳ぐらいの少女と対峙する。心の中の世界のようで、容赦ない攻撃にさらされても痛みだけで死ぬことはなかった。ただひたすら戦っていくだけだ。
大剣や球体で何度殺されようとも、諦めずに限界を超えて戦っていく。心の世界なのだから、意思一つでどうとでもなる。ただ、負けずに自分を認識しなければいけないだけだ。
何年何十年も戦って会話をしていれば、彼女の暴走も収まってくる。彼女は集合体の意識に引っ張られているようなところもあるので、怨念一つ一つと交渉し、解決し、和解していく。
もはや同一に近い存在なのだから、相互理解を深めて逆に支配権を得ていく。支配権が増えるとだんだんと暴走もしなくなっていく。
こんな感じで過ごしていると、ようやく一人の少女になった。その少女の容姿は目が赤色で髪の毛は金色のロングストレート。白黒の洋服を身につけ、スカートはロングだ。暴走していた時は16歳ぐらいだろう。
「負けた。もういい」
「俺の勝利だな」
「もう好きにしろ」
「では、好きにさせてもらう。これからは一緒に生きてもらう」
「私を殺さないのか?」
「殺さない」
「そうか。なら、お前の中にいるとしよう」
「ん?」
不思議に思うと、すぐに視界が変わっていく。
「起きる時間のようだ。これからよろしく、
「どういうことだっ!」
クスクスと笑う声に押され、意識が覚醒する。
気が付いたらベッドの上で生命維持装置に繋がれていた。視線を横にずらすと、鏡に俺の、というよりも常闇踏陰の姿がみえる。どうやら、生き残れたようだ。そう思うと、急に腹の上に重さを感じてそちらに視線をやる。そこには7、8歳くらいで身長120から130くらいだろう黒色の靄に覆われた少女が楽しそうに俺に跨っていた。
「重い」
「私は重くない」
「というか、誰だ」
「ひっどいな~私のことを散々犯してぐちゃぐちゃにしたのに」
泣くふりをする幼い少女はすごい人聞きの悪いことを言ってくれる。慌てて否定しようとすると嘴を押さえられる。
「殺しちゃうよ?」
「……お前か」
「そうだよ。名前はないから、
「そうだな……だったら、ルーミアだ」
「ルーミア?」
「俺の好きなゲームにでてくるキャラだ。常闇の妖怪ルーミア。それでいいだろう。どうせ"個性"は似ていた」
「うん、それでいこう。私はルーミア。いいね。闇なのに光というのも皮肉が聞いていて素晴らしいよ」
俺がそう決めたからか、彼女の姿が変わっていった。赤色の瞳をした金髪ボブの美少女で身長が120から130くらいに変化した。頭部には赤いリボンもあり、白黒の洋服を身につけ、ロングスカートはかわらない。東方プロジェクトにでてくるキャラだが、彼女も気に入ってくれてよかった。
「記憶を読んだかぎり、こんな娘か。じゃあ、近い子をメインにして……完成。あ、あー」
「別に名前だけでもいいのだが……」
「どうせなら、前の自分とわかれるのがいいからこれでいいのだ~」
「そうか」
話していると、こちらに看護婦や医者が駆け寄ってくる。俺は急いで立ち上がろうとするが、その前に彼女が押さえてきた。
「これからよろしくねー」
そういって、キスしてくる。その瞬間、彼女の身体が崩れて闇に変わって俺の中に溶けていった。
その後、やってきた看護婦と医者か診察され、警察がやってきて事情聴取を受ける。その時に知ったが、どうやら俺は三年間も眠っていたようで、気が付けば12歳になっていた。
また、"個性"も変化した。
偉い先生の話では、彼女と俺の"個性"の相性がよかったせいか、互いの"個性"が融合してしまったらしい。これは俺のせいであるようだ。彼女の体内で、相手の闇を取り込んで実体化させようとしたのが原因らしい。
ただ、問題のルーミアは俺以外の相手には容赦ない。俺から離したりしたら、暴れ回る。逆に近くだとある程度大人しい。そして、何より捕まえることもできない。俺の"個性"で実体化しているだけであり、彼女は闇その物となってしまったからだ。その"個性"は珍しく、研究しようとした連中は容赦なく手足が喰われたりする。彼女は実験体とかにされると本気で激怒して暴走する。勝手に研究しようとした連中は自業自得だろう。俺から制限をするつもりもない。
どうにかご機嫌取りをして収まってはもらったが、大量のケーキを警察に奢らせることになった。さて、ルーミアの情報を伝えて、彼女に関しては無罪放免とはいかないが、すでに人から歩く"個性"へと変化したのでどうしようもない。ましてや、俺の意思にかかわらず実体化できるが、その力は一応俺の方で制限がつけられるので監視ということで決着がついた。彼女は戸籍などは存在しないことになったが、もとからないのでたいしてかわらない。
12歳から一年間を使ってリハビリを頑張った。その間にオールマイトもきてくれた。彼から聞いた話ではルーミアを監禁して実験体にした連中はすでに倒して滅ぼしているらしい。なので、もうルーミアを連れて家に帰ってもいいらしく、楽しい生活の始まりだ。両親も娘ができたと喜んでくれた。一人の娘として扱われるルーミアもとても嬉しそうで、色々な服を着せてもらっている。
俺はといえば、念の為に中学は政府が作った更正施設にある場所に外から通うことになった。ルーミアの監視と"個性"として扱う場合のコントロールのためだ。ルーミアの本気は対オールマイト前提とされているだけあって、かなり強い。しかも現状では何時でも実体化を解けるので、攻撃された瞬間だけ解除したり、相手の体内で実体化させたりというチート技が使える。子供バージョンではそこまでいかないが、それでもかなり強い。逆に俺はルーミアに全てを持っていかれたので、ルーミアを通してでしか力を使えない。つまり、ルーミアに嫌われたらそれまでだ。互いに力を封じ合っての殴り合いの喧嘩になる。そもそも喧嘩はほぼないが、戦闘訓練は毎日やっている。
ルーミアが我が家にきてから月日が経つのが早いもので、高校受験の日になっていた。受験する高校は原作通り、第一志望が雄英だ。ただ、原作と違って推薦入試を求められたが、断って一般を受ける。
受験の日の朝、何時ものように一緒に寝ていたルーミアが起こしてくれる。彼女は何時も俺の隣に潜り込んでくる。そもそも常に一緒だから仕方がないだろう。
そんな彼女は俺の上に乗ってゴロゴロしてから、起き上がる。
「おはよう、お兄ちゃん」
「ああ、おはよう」
「ご飯たべよー」
「そうだな」
今いる場所は雄英の近くにあるホテルだ。受験のためにでてきているわけだ。シャワーを浴びて着替えるが、子供の姿のままのせいか、ルーミアは普通に一緒に入ってくる。俺にはルーミアを止めることはできないので、好きにさせるしかない。説得しても無駄なのだ。俺の"個性"だから一緒にいるとのことだ。
「洗って~」
「うむ」
髪の毛を洗ってやるが、流石に身体は洗わない。その後は着替える。俺は制服だが、ルーミアは出会った時の服を着ている。ホテルから出て、食事をしていると、ルーミアの姿が幼女から少女へと変わる。ルーミアには三段階ある。通常の幼女のルーミア。16くらいの少女のEXルーミア。20くらいの大人なLUルーミア。LUは大人になり、狂気に染まった状態に近く、最初に出会った時よりも凶悪だ。EXは髪の毛が伸びたり、伸びなかったりするが、出力は伸びた状態の方が強い。
「今日は本気をだしていいのよね?」
「ああ、構わない。蹂躙しろ。ただし、EXでだ」
「しかたないね」
少女の姿に変わったルーミアとラウンジで食事をしてから、一緒に登校する。私服姿の美少女のルーミアと更生用学校姿で目立っている。
筆記試験を受けるための教室では当然、ルーミアの席はないので俺の後ろから抱き着いてぶらぶらしている。文句は言われたが、先生のいうことなんて聞かない。なので、このまま受けることになった。ただ、喋らないことだけは約束させた。
筆記が終わり、実技となった。ルーミアは隣の席に座って飽きたのか、彼女は俺の肩を使って眠ってしまう。周りから強烈な視線がくる。
さて、プリントをみると敵は四体。一体はポイントが書かれていないが、これは妨害用だ。そこはちゃんとまだ覚えている。すでにかなりおぼろげだが。どちらにせよ、ルーミアにとっては雑魚だ。
質問で眼鏡の奴が何か言っていた。残念ながら思いだせない。まあ、いいだろう。
そのまま実技試験の会場に移動する。移動した時も寝たままなので、お姫様抱っこで移動してやる。放置したら絶対に大暴れ確定だからだ。
バスで試験会場につけば巨大な街のオフィス街が作られている。ここで試験をするらしい。
「起きろ」
「ふわ~おっきぃ~」
寝ていたから、髪の毛は短いままだ。その状態で眠そうに目を擦っている。
「それでは、試験スタートです」
いきなり試験の開始が告げられた。俺はルーミアのリボンを外す。すると彼女の髪の毛が銀色に染まり、頭部にリボンでできた赤い輪が現れる。背から赤黒い割れた骨のような翼が展開される。手には黒色で刀身が深紅の大剣がある。彼女の手と首輪に鎖があり、それは俺と繋がっている。音速で飛び出した彼女は一太刀で笑いながらロボット共を蹂躙する。素手ですら鉄を砕いていく。
それと鎖は闇でできているので実体化もしていないので邪魔にはならない。ルーミアにはロボットは任せて、こちらはレスキューを開始する。確か、救助ポイントがあったはずだ。
襲われて逃げている人を助けたり、怪我人を運んだりしているとルーミアが戻ってきた。
「太陽が邪魔~」
「ならば隠せばいいだろう」
「そーだなーでも、めんどいー」
「ところでロボットはどうした?」
「全部潰したよ~」
「開始から7分か」
「だから、太陽がねー」
「まあ、それならば仕方あるまい」
懐から菓子をとりだして、ルーミアの口に放り込んでやる。美味しそうに食べ居る姿をみていると、巨大なロボットがでてきた。そいつをみたルーミアは大剣を投擲して同体に風穴をあけ、そこから闇を溢れ出させて浸食させ崩壊させていく。周りからはその絶対的な力と彼女の身から溢れる怨嗟からはじまる負の感情によって恐れられる。
「弱い。弱い。弱すぎる~。退屈だ~他のも食べていーかー?」
「駄目だ。これで我慢していろ」
「わかった~」
飴を与えて彼女の頭部にある赤い輪を掴む。それを髪の毛に結んでやるとリボンとなって髪の毛の色が元に戻る。髪の毛が銀色になっている時は残虐性がかなりあがっている。後で発散させなければならない。今回、この試験を使えば解消できるかと思ったが、どうやら満足すらできなかったようだ。
「帰りにパフェでも食べに行くか」
「本当か~」
「ああ、確か遊園地とかもあったはずだ。いこう」
「デートか。デートだな。よし、いこう。今すぐいこう」
「試験が終わってからだ」
「まだかな~まだかな~」
楽しそうにくるくると回りながら、剣を振り回すルーミアは危険極まりない。しかし、力が封印されたせいで大剣からは変わっているので問題ないだろう。いや、コンクリートの瓦礫をバターのように斬ってはいるが。