常闇のヒーローアカデミア   作:ヴィヴィオ

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第10話

 

 

 

 さて、休日はルーミアと一緒に修行したり、家の中でゆっくりと過ごした。体育祭の様子を録画で見たりしたのだ。それはもう、酷い感じだった。ルーミアがオール・フォー・ワンを倒した影響か、かなり暴走していた。体内にいた大量の怨霊と狂化スキルの影響だろう。鬱憤が溜まっていたのかもしれない。どちらにせよ、迷惑をかけた者達には謝らないといけない。菓子折りを注文しておく。

 制服でルーミアと一緒に登校する。その登校中でもルーミアのことがかなり噂になっている。少女モードのルーミアをみるだけで、誰もが道を開ける。まるでモーゼが海を割るような感じだ。ルーミアは気にせず、俺の腕に抱き着いて嬉しそうにして、俺以外をみていない。

 

「やれやれ……」

「うん?」

 

 これからが苦労しそうだ。かなりはっちゃけてしまったのだから、仕方ない。

 

「もう少し真面目にできなかったのか?」

「楽しんだだけだよ?」

「戦いのやり方だ」

「成長を促すようにはしたよ?」

「轟と心躁か。どちらにせよ、謝りにいかねばなるまい。特に爆豪にはな」

「あの人嫌い~」

「好き嫌いはこのさい置いておく。悪いことをしたのなら、謝らなければならない」

「ルール上は問題ないよ?」

「ルール上は問題なくても、それ以外が問題だ。それにナハツェーラだったか。アレはやりすぎだ」

「う~」

 

 散々説教はしたが、やはり俺以外はどうでもいいようだ。すでに感覚が人間からかけ離れたのも原因だろう。そもそも、子供の集合意識である上に、俺の記憶から常闇の妖怪ルーミアとして全てを構成してしまったせいもあるだろう。つまり、俺のせいだ。

 

 

 

 雄英高校の教室に入ると、こちらに視線が集まってくる。

 

「お、元に戻ったんやね!」

「本当ね」

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。心配をかけたな」

「おお、戻ったんだな」

 

 挨拶をしてから、中にはいる。すぐに囲まれて、色々と話していく。俺は基本的にルーミアに任せっきりだったからな。

 

「キシャ―!」

「うわ、威嚇されとる」

「嫉妬ね」

「お前達は怖くないようだな」

「ああ、怖い時もあるけど、常闇君と一緒やったら、大丈夫やしねー」

 

 確かに俺がいたら安全だな。

 

「あっちの姿もしってるからよ。今日は小さくならないの?」

「それは後だな。まずは爆豪に謝ってからだ」

「ああ、アレはねー」

「ああ?」

「体育祭のことだ。すまなかった。これはお詫びの品だ」

「いらねえよ!」

「だが……」

「いや、菓子はいらないから、ちょっくら放課後に面を貸せ。休みの間、ずっと対策を考えてたんだ。その実験台になりやがれ。てめえの力もみたいからな」

「わかった。いいだろう。放課後だな」

「あ、わたしもいきたい!」

「いいわね」

「それなら俺も頼む」

「轟君!」

 

 轟が教室に入ってきた。轟にも謝らないといけない。

 

「ああ、謝るのとかはいい。むしろ、俺は感謝しているからな。それと、申し訳ないと思うなら、放課後にちょっと見て欲しいもんがある。常闇が無理でも、ルーミアを貸してくれたらいい」

「構わないか?」

「いいよー。でも、同じ場所ならだよ」

「それでいい」

「では、それでいこう。俺は職員室にいってくるから、ついでに許可を取りに行ってくる。その菓子は二人がいいなら好きにしてくれ」

「お願いねー」

 

 ルーミアと共に先生達に謝りにいく。それとルーミアの"個性"に捕らえられた人達にも先生を通して見舞いの品を渡してもらう。

 

 

 お昼に一般科に移動し、心躁を探す。一般科を移動すると、特に人が逃げていく。そんな中で彼に出会った。

 

「お前は……誰だ?」

「常闇踏陰。ルーミアの保護者だ」

「ああ、なるほど。それで"個性"を返してくれ」

「いいの?」

「ああ、もう一度洗脳の"個性"で頑張ってみるよ。俺の努力が足りなかったようだしな。それに、洗脳は俺の大切なルーツだから……」

「なるほど。それは確かに大事だ。ルーミア」

「うん。はい」

 

 ルーミアと心躁が握手をして、"個性"をやりとりする。これで彼に"個性"が帰っていった。

 

「やっぱり、こっちがしっくりとくる」

「心躁もすまなかったな。ルーミアが随分と失礼なことをした」

「いや、俺も進むべき道がみえたから、問題ない。それにヒーローになれるって言ってもらえたからな」

「そうなのか?」

「努力すればね。気概はあるよ~一回殺されたからね」

「それは凄いな」

「一矢報いただけだ。それよりも、頼みがある」

「頼みか?」

「そーなのかー?」

「俺を鍛えて欲しい」

「やだ」

「戦い方ぐらいいいじゃないか」

「めんどいー」

「いや、それ以前だと思う。まずは身体を鍛えないといけないし……」

 

 心躁の身体をみると、少しは鍛えているようだが、全然たりない。これでは技術以前の問題だろう。

 

「確かに戦う前にそれが必要だろう」

「訓練メニューから頼めないだろうか?」

「……」

「どうした?」

「今日、放課後に集まるから、ブートキャンプしてあげてもいい。実験台になる覚悟があるならけどねー」

「それでもいい。頼む」

「辛いぞ。ルーミアは容赦という言葉も知らない。限界を超えることを平気で要求してくる」

「それでいい。俺はお前達から遅れているんだからな」

「わかった。なら、鍛えてあげるー」

「ありがとう。じゃあ、放課後に」

「ああ。それと、これはこの前、迷惑をかけたお詫びだ。食べてくれ」

「ありがとう」

 

 心躁と別れて教室に戻り、放課後に皆で集まる。ほぼクラス全員が放課後の訓練所に集まった。先生は相澤先生とリカバリーガールにきてもらった。

 

「んじゃ、まあ……まずは常闇、やろうぜ」

「いいだろう。だが、少し待ってくれ」

「あ?」

「もう一人くる」

「悪い。遅れたか?」

「たしか、一般科の人……」

「ルーミア、あちらは頼む」

「りょうかーい。みんなー今から、ルーミアちゃん式ブートキャンプをはっじっめるよー参加する人はこっちー」

 

 ルーミアの姿が小さくなる。その姿でやるようだ。

 

「爆豪、少し離れてやろう。邪魔が入らないようにな」

「いいぜ」

「じゃあ、俺があっちをみますんで」

「はいよー」

 

 さて、奥に移動した俺は影から刀を取り出してくる。その状態で爆豪と対峙する。

 

「うし、やるぞ」

「ああ、来い」

「んじゃまあ、スタート」

 

 直に地面を蹴って縮地で接近する。

 

「速いが、あのクソガキで慣れてる!」

 

 爆破で対応されるので、小刻みに刻んで移動する。爆豪はスロウスターターだ。ならば、速攻あるのみ。

 

「そんなもん、対応済みだぁ! あのクソガキに瞬殺されたからな!」

 

 爆豪は懐から試験管みたいな物を取り出して、放ってきた。嫌な予感がして即座にさがる。その瞬間、大爆発が起きた。

 

「それの中身は汗か」

「ああ。この籠手の中に溜まるにしても、時間が遅すぎるからよ。別に用意することにした。体育祭じゃ、速攻で削られたからな」

「なるほど、これは厄介だ。だが、撃ち返せばいいだけだ」

「はっ、こっちの自由に爆破できんだよ!」

 

 さしずめ爆弾か。これは非常にやっかいだ。こちらを近づけさせないように戦ってくる。冷静にこちらの攻撃手段を判断して、理詰めのように殺しにかかっている。どうやっても爆破に防がれる。相手の範囲が広い上にこちらの動きを予測してくる。

 

「やっぱり、お前はあのクソガキほどじゃねえな」

「当たり前だ。あくまでもルーミアが俺の"個性"なのだから」

「はっ、そうかよ」

「だが、舐めてくれるなよ」

「へぇ……」

 

 マントを用意し、突撃する。全力で突撃し、限界を超えて縮地を使う。爆発のダメージはできるだけ回避し、それでもくるダメージはマントで防御する。

 

「溜まった」

「ちっ」

 

 爆撃が来る。それを全力で加速して斬る。だが、流石に爆発を斬ることはできなかった。吹き飛ばされ、転がっていく。すぐに態勢を立て直して再度加速する。だが、目の前に二発目がきていた。

 仕方ないのでマントを盾にして回転しながら防ぐ。身体の大部分が焼けたが、動けないことはない。そのまま突撃して喉元に刀を突き付ける。しかし、同時に俺の顔にも爆豪の手が添えられている。

 

「爆豪の勝ちだな」

 

 爆発の方が速い。それで距離を取られる。これは俺の負けだ。それにしても、こいつ……戦いの組み方が上手くなっている。どれもこちらを誘導してくるようにやっている。戦術を組み立てだしているということだ。

 

「届かないか」

「俺の爆破の方がはええな」

「その試験管がなければどうにかなったのだが……」

「そのための対策だからな。だが、あのクソガキには届かないだろうが……もう一手必要だ」

「なら、いっそ薬品とまぜてしまえ。煙幕にもできるだろう。爆発が使えない時のことも考えると、薬品は良い手だと思うぞ」

「あ? そうか、それも手だな。サポートアイテムでどうにかするか」

「まあ、その辺は申請しろ。常闇、火傷は大丈夫か?」

「放っておけば再生する」

「わかった。あっちは……なんだあれ? 轟か」

「あ? 兎か?」

 

 移動すると、ルーミアの方で轟が氷の兎と火の犬を作り出していた。女子達が騒いでいる。

 

「轟、それはなんだ?」

「体育祭でルーミアに"個性"を奪われて、ドラゴンに襲われた。だから、俺もそれをできるようになると思って、二日前から親父と一緒に小学校の講師の姉貴を巻き込んで、徹夜で動物の構造を覚えた。流石に親父みたいに火の鳥はまだ作れねえけど、小動物なら俺でもなんとかなった」

「待て、二日でか?」

「ああ、二日だ。おかげで眠い」

「ちっ」

 

 本当に才能マンだな。この二人、成長速度が異常だ。もう一人はどうかと見れば、そちらはルーミアが、緑谷と心躁の二人を鍛えていた。それもとんでもない方法だ。筋力増強の"個性"を複数与え、筋肉組織をわざと壊させる。続いて"個性"を回収。回復系の"個性"で、超回復させている。それが終われば以下エンドレス。心躁の"個性"を使って強制的な訓練を行わせている。

 

「まさにブートキャンプか」

「ねえねえ、うちもなんか強くなる方法ないんかなー?」

「麗日ならー武器もったらいいよ。無重力にできるんでしょ? だったら、巨大武器を持って攻撃の瞬間だけ戻せばいいよ」

「おーでも、ずっと発動してられんのよ」

「なら、銃とかいいんじゃない?」

「銃かー」

「銃と弾丸も無重力にしたら、威力強くなるよ」

「なるほど」

「あと、麗日もブートキャンプすればいいよー。反動も押さえ込めるし、巨大武器を普段から持てるようになるしねー」

「やりたくないけど、爆豪君にボロ負けしたし……たのめるかな?」

「いいよー」

「くっ、私はどうすれば……」

「八百万は"個性"に頼り過ぎ。やっぱり鍛えるべき。それと超高カロリーのアイテムを作ってもらったらいいよ」

「なるほど……」

 

 どうやら、人を育てるのを楽しんでいるみたいだ。"個性"を取りあげ、"個性"を与え、訓練の効率化をはかる。

 

「おい、常闇」

「なんですか、先生」

「お前ら、卒業後にここにこないか?」

「このブートキャンプはやばいですか」

「ああ、やばいくらい効率的だ。定期的でもいいから、教師に招きたいレベルだ」

「だが、心躁も必要ですが……」

「両方呼べばいい。とりあえず、明日に運動能力を計る。一週間くらい繰り返してデータを取るぞ。その後、B組にも適応させる。ヒーローにも取り入れるのもいいかもしれない。問題はルーミアが協力してくれるかだが……」

「体育祭ではやり過ぎだとしかったので、表向きは違うかもしれませんが、気にはしてくれているみたいです」

「ああ、そうだな」

 

 その後も定期的にブートキャンプを行うことにした。轟や爆豪も参加した。相澤先生が爆豪を説得したのもある。

 

 

 

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