常闇のヒーローアカデミア   作:ヴィヴィオ

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第5話

 

 

 

 ルーミア

 

 

 

 夜。食事を取ってから外で軽くマスターと少女モードで戦闘訓練を行う。大剣と刀を使って戦いながら、技術を磨いていくの。それが終わったら、一緒にお風呂に入って全身を洗ってあげる。幼女モードではなく、少女モードでやると怒れられてしまうけど、背中を流すくらいなら大丈夫。

 幼女モードではお兄ちゃんの上に座りながら、ゆっくりと湯船に浸かる。それから、一緒に眠る。

 一緒に寝ないと怖い夢をみるから、絶対にお兄ちゃんと眠る。そうじゃないと、閉じ込められていたコンクリートの部屋に戻ってしまう。そこでは七十人を超える子供が集められ、毎日実験が繰り返されて声が枯れるまで泣き叫び続ける。夜になると死体を処理場に運ばされて、片付けをさせられる。最後に残ったのは半数以下になる。それでも、どこからか毎日百人まで追加されていく。ヒーローが助けてくれると思っていたのに、全然助けてくれない。

 私も友達になった子を処理したり、殺し合わされたりしていった。毎日の実験で身体の中を弄り回され、沢山の"個性"を入れられていく。その中で私は壊れて、私達は混ざり合っていった。そして、生まれたのが今の私の原型。私達は度重なる実験で身体が崩壊しだし、最後だからと様々な"個性"を与えられた。そして、狂化も与えられて暴走し、与えられた役割通りにショッピングモールへと送り込まれて暴れた。これでやってきたヒーロー達に助けてもらえると思ったけれど、そいつらは弱すぎた。崩壊しながら、闇をまき散らす私の相手にならず、あっさりと死んでいく。そんな中で助けてくれたのはヒーローじゃなくて、私と同じぐらいのマスターだった。

 マスターが飛び出してきて、私達の攻撃を避けて抱き着いてきた。そこから身体の中にとっても太くて硬い物を入れられて、身体の中からかき混ぜられて私達も相手を取り込んで溶かしていく。

 そして、闇の中で戦って説得してもらい、皆が認めたらマスターの好みの身体に変えられた。その後はとても幸せな毎日がすぎている。

 私達にとっての王子様(ヒーロー)はマスターで、それ以外の存在はどうでもいい。いや、お義母さんやお義父さんは大切だね。

 起きて隣に寝ているマスターに軽くキスをしてから、布団から出てロフトから降りる。それからキッチンに移動し、朝食を用意していく。小魚から出汁を取って作ったお味噌汁と鮎の塩焼きを用意する。鮎は串を刺してしっかりと焼いておく。飲み物は牛乳で、マスターが身長を気にしているから用意する。後は栄養を考えてパプリカや玉葱、レタスなどの色とりどりのサラダを用意する。

 朝食の準備ができたので、授業の準備ができているか確認してから服の準備と着替えの準備をしておく。部屋の中は暗く、太陽の光は入ってこないけど、私達には問題ない。これが一番落ち着く。一応、天井の灯りに黒色のフィルターを取り付けているので、灯りをつけてもいい。私は太陽の下では体調が悪くなる。頭がぼーとして思考能力が低下するから嫌い。幼女モードと呼ばれる状態なら、それでもいい。アレはほぼ本能に従って動いているから。それでも常闇を利用して太陽の光を集めてレーザーみたいにできるし、空を闇で覆ってしまえば何の問題もない。

 

「っと、そろそろ時間かな」

 

 姿を小さくしてマスターの、お兄ちゃんの上に飛び乗って起こす。今日は飛び乗る前に手が伸びてきて抱えられちゃった。

 

「おお~」

「おはよう」

 

 しばらく遊んでもらってから、寝汗を流すためにシャワーを浴びて、用意した制服に着替えてから、朝食を食べてから通学する。今日はお兄ちゃんに肩車してもらいながら、傘を差して登校する。

 何時もと違う高さを楽しんでいると、門の前にいっぱい人が待っていた。その人達はカメラを構えていて、生徒に話を聞いていた。

 

「なにあれ?」

「マスコミだろ」

「あれがマスゴミって奴?」

「かもな」

 

 俺は気にせずに進んでいく。すると、誰かが入ってしまったのか、門が締まってしまった。

 

「ふむ」

「帰る?」

「それはできない」

「そっか。じゃあ、開けちゃう?」

「できるのなら頼む」

「りょうか~い」

 

 私は降りて、てててと走っていく。

 

「小さな女の子?」

「迷子か?」

「筋力増強×3」

 

 門の前に到着したら、殴る。殴ろうとしたら、後ろから抱き上げられて上に投げられた。そのままお兄ちゃんの背中に座る。

 

「どうしたの?」

「門を壊すのは駄目だ」

「そうなのかー。どうする~?」

「連絡して開けてもらう」

「は~い」

 

 携帯を取り出して連絡しだす。マスゴミの人達が何か言ってきているけれど、お兄ちゃんが無視しているから、私も無視する。それよりも、私は変な視線を感じるので、そのまま後ろに倒れてみると後ろに変な奴がいた。アイツは私と同じ感じがする。

 

「あは♪ みーつけた♪」

 

 飛び降りて地面を蹴り、飛び上がる。相手は即座に闇を広げて逃げようとする。それに対して容赦なく弾幕を放つ。弾幕は地面をえぐり取っただけで相手はすでにいなかった。

 

「ルーミア、どうした?」

「アイツがいたっ、アイツがっ!」

「アイツ?」

「黒いの、真っ黒くろすけっ! 殺してやるっ、殺してやるっ!」

「落ち着け。大丈夫だ」

 

 すぐに追おうとしたら、抱きしめられた。

 

「追えるのか? 奴はワープ系の"個性"だろう」

「……無理……」

「なら今は諦めろ。次のチャンスはある」

「わかった……」

 

 お兄ちゃんの腕に噛みつきながら、気分を押さえる。

 

『おい、どうした?』

(ヴィラン)です。例の誘拐犯の関係者と思われる者がいました」

『了解した。今は入ってこい。今、開ける』

「了解。行くぞ、ルーミア」

「うん」

 

 改めて門が開いていくので、中に入る。それを邪魔をしてくる。こいつら、殺そうかな?

 

「あの、先程のは!」

「オールマイトと今の事について!」

「退け。邪魔だ」

「そうはいきません。説明してもらわないと!」

「貴様等に説明する義務も理由もない。それともお前達は警察かヒーローか? それなら警察手帳か免許を出せ」

「こちらには報道の自由というものが……」

「そうか。では会社と名前を教えろ。業務妨害及び人権侵害などで訴えさせてもらう。こちらはお前達のせいで授業に遅れているのだから。わかるか? 雄英高校のヒーロー科の授業だぞ。それがどれだけの価値があるのか理解できるか? すくなくともヒーローを雇う分と同じだけの金額は請求できるぞ」

「ねーねー、こいつら食べていー人間?」

「やめておけ。お前が喰らうべき連中は後からくる。それは確信した」

「そーなのかー。なら、我慢するのだ~」

「良い子だ。それで、決まったか? ああ、そうだ。写真を取って後で調べればいいか。こいつらも撮っているのだから、何の問題もないな」

「おー」

 

 携帯を取り出して私も彼等の写真を容赦なくとっていく。

 

「後で調査会社に依頼すればいい」

「楽しみだね~楽しみだね~どんな顔するかな~とっても楽しみ~」

 

 引きつった表情をする連中の中を進むと、彼等は大人しく下がっていく。生放送なら、確実に放送事故だと思うよ。ヒーローを目指すのなら、こんなことはしないんだろうけど、お兄ちゃんと私の実力なら、別になくてもどうとでもなるしね。

 私達はそのまま校舎に入って授業を受ける。何人か休んでいるけど問題ない。私は悪くない。

 

「今日はクラス委員長を決めてもらうつもりだったが、休みの生徒がいるからいい。カウンセリングはしっかりと受けておけ。それと昨日のVTRみたが、爆豪はもちろんのこと、もっと協調性をみがけ。緑谷は腕とか壊れないようにしろ。それと常闇とルーミア」

「んにゃ?」

「はい」

「次の授業でも頼むかもしれんが、その前に俺を一度その闇の中に入れてくれ。どんな感じか確かめてから、授業に入れるか判断する」

「まかせて」

「心得た」

「それと例の件だが、ルーミアを警備にあたらせるように頼む。ただし、殺さないようにな」

「わかった。いいな?」

「うん。まかせて~」

 

 その後、先生を取り込んでフルコースをしてあげた。

 

「なるほど、これはいい。効率的だ。死を直面した絶望的な状況でこそ、ヒーローになれるかどうかの真価を確認できる。テストにも使えそうだ。それとアドバイスをやろう。人を恐怖に陥れるのなら、お前達の記憶を叩き付けてやるだけでも充分に効果的だ……」

「そーなのか!」

 

 先生から教えてもらったことで、私の闇はレベルアップした。(ヴィラン)共、覚悟しておくといい。私達にしてきたことをそっくりそのままかえしてやる!

 

 

 

 お昼にお弁当をお兄ちゃんと食べてから、警備に一人でふらふらと飛んでいると警報が鳴り響いた。見てみると、門を超えていっぱい人が入ってきてた。アレは(ヴィラン)だよね。だったら、容赦する必要はないから、やっちゃおう。

 

「ふふふ、実験台になっちゃえ。私は常闇の妖怪ルーミア。人間の(ヴィラン)なんかに遠慮する必要はないんだから!」

 

 身体中から闇を吹き出させ、門を超えてきた者達を全て飲み込んで、雄英高校の生徒や先生だけ放り出して、人体実験された時の記憶を再生して(ヴィラン)共に叩き付ける。

 

「まっくろくろすでておいで~でないと……なんだっけ。まあ、いいや! とりあえず、広げて取り込んで選別すればいいしね!」

 

 

 

 

 

 

 

「おい、黒霧。なんだあの化け物は……お前の親戚か?」

「似たようなものとはいえますね。彼女の"個性"から考えて、知っているものはいます。しかし、彼女は死んだはずです。とても生きて居られる身体ではありませんでした」

「……先生、カリキュラムは手に入れたが、これはどうすればいいんだ?」

『もし、彼女が生きているとしたら大変興味深い。しかし、アレが全ての力を扱えるのなら、対オールマイト用の脳無一体では話にならないだろうね。なんせ、オールマイトが弱体化している前提で作ったのだから』

「襲撃はなしか?」

『いや、やるべきだ。彼女かどうかはともかく、脅威になるのだから調べるべきだ』

「捨て駒を使ってだよな、先生」

『そうだ。君のプランを聞こう』

「まずはチンピラどもに脳無を貸し与えて向こうで暴れてもらう。俺と黒霧は遠くから観察する。何時でも逃げられるようにして、アイツがやばい奴かどうかを確認する。こんな感じでいいか?」

『ああ、それでいい。もしも、彼女だと判断できたのなら、脇目もふらずに逃げなさい。絶対に戦ってはいけないよ。アレはね、全盛期の私がオールマイトを安全な位置から殺すために作っていた存在だ。つまり、こと殺しに関しては全盛期の私やオールマイトを超える。もっとも、失敗作だったのだが……』

 

 

 

 

『スクープ! 複数の記者が雄英高校の敷地に侵入し、(ヴィラン)の襲撃と勘違いした生徒の"個性"が暴走。複数人が"個性"に囚われて再起不能となった。雄英高校側からの説明では、事前に警告を行っており……生徒の行動には問題なかったと説明。むしろ、許可なく防壁を超えて私有地に侵入したので、(ヴィラン)として扱うのは当然のことであるとの声明を出した。また、その"個性"を体験した記者の話では、延々と続く人体実験を追体験させられたと……それについて、雄英側は個人のプライバシーに関することなのでコメントできないとのことでした。ですが、人体実験については警察も把握しているとのことで、おそらく人体実験の被害者の記憶を記者達に転写したのではという専門家の意見があり……』

 

 

 

 

 

 


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