自由教師の相澤(の奥様)先生   作:小指すまっしゅ

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途中で奥様視点を試験的に入れています。
少々読みにくいかもしれませんが御容赦ください。

あと戦闘描写するとキャラクターの感情が表現出来ないのが悩みです。


奥様は容赦が無い

 相澤消太には妻がいる。

 プラチナブロンドのロングストレートヘアに快晴を思わせる空色の目を持つ、自分と同じプロヒーローにして教師(・・)。笑顔を絶やさず八重歯がチャームポイント、そして快活にして竹を割ったような性格は相澤にとっては騒がしく思っている反面好ましいと何処か感じていた。

 

 だがそれも行き過ぎれば災害だ。

 

「ねぇねぇダーリンが受け持ってる生徒ってどんな子達なの? 誰も除籍して無いんだから将来有望なんでしょ。聞かせて聞かせて、ねぇ聞かせてよぅ、ねぇってばぁ!」

 

「お願いだから落ち着いてくれ。あと勝手に髪を梳かして纏めるのも髭を剃るのも止めろ。髪はともかく髭を移動中剃るのは危険だ」

 

 累は常に忙しない。動かないと死ぬのではと思う程に動く。現在も相澤の身嗜みを整えつつ、これから受け持つ生徒について聞き、1-Aの教室へ向かっている。

 

「じゃあ最新の電動シェイバーで!」

 

「そんなもの何で持って来た!? 後で職員室に戻してくるように…」

 

「必要かと思って…」

 

 そんな夫婦漫才が廊下で繰り広げられ、あっという間に教室前に到着した。驚きの大きさを誇るスライド式ドアの前で相澤は累へと振り返り待てのポーズをとった。

 

「ここで待っていろ。呼ぶまで入るなよ」

 

「はーい!」

 

 嫌な予感をひしひしと感じつつ、いつもより小綺麗になっている相澤は教室へと入った。するとどうだろう。場は騒然となり、一気にどよめいた。

 初日の事もあり会話は少なかったがA組の生徒の思う所は同じだ。と言うか少し声に出している者も居る。

 

((なんかいつもより爽やかだ──!!?))

 

 相澤は朝の職員会議からずっと累に世話を焼かれていた。目付きの悪さは健在だが、それ以外を見るといつもより何倍も清潔感があり、何処か清涼感のあるオッサンに羽化したのだ。

 

「はい黙る。俺に何回時間の貴重さを語らせる気だ?」

 

 相澤は教室内をざわつかせる理由はきちんと理解している。だからこそそこには触れないようにしているし、生徒たちにも触れさせない。よって直ぐに累の紹介に入ろうと生徒たちを黙らせた。

 

「なんかざわついてるけど大丈夫?」

 

「呼ぶまで待てって言っておいただろうが!?」

 

(誰か居るぅ──!!?)

 

 累は言うなれば餌を前にして待てを指示され、徐々に前のめりになり少しでも刺激を加えれば即刻飛び付くような落ち着きの無い犬だ。事実ドアを前にして徐々に手が取手に伸び、徐々にスライドし、徐々に顔を覗かせていた。堪え性が全く無い。相澤、お前の嫁だろどうにかしろ。

 

「もういい、早速だが自己紹介だ。お前らよく聞けよ」

 

「やぁやぁ1-A諸君おはよう。今日からここの副担任になった相澤累先生だよ! 名字呼びは紛らわしいから呼ぶ時は累先生って読んでね。よろしくちゃんだよォ!」

 

「「副担任!?」」

 

 各々で反応が大きく違う生徒達を俯瞰する累は内心思った。

 

(まともに戦えそうな奴が少ない…)

 

 少しばかりゲンナリしだした累を見て相澤はそれ以上にゲンナリした。累が期待する生徒は学生時代の自分やオールマイト並とまでいかなくともそこそこ食いついて来れそうな生徒だ。普通に居るわけない…

 

 しかし最低ラインの戦闘力も有していない生徒も少なくない現実は累のモチベーションを下げる。ついでに累の様子を見て相澤もモチベーションを下げている。

 

「はいじゃあ通常のホームルーム始めるから。飯田、手を下げろ質問は受け付けん」

 

「累先生の名字って相澤先生と同じだよね。もしかして!」

 

「うん当たりぃ、相澤先生は私のダーリンなのです!」

 

「お前ら…」

 

 相澤は何時になっても話の進まない現状とその元凶に苛立ち、そして爆発した。そして容赦なくマフラーで拘束する。絶えずニコニコとしていた累もこれには冷や汗をかく。

 

(流石にやり過ぎた…)

 

 この後累はめちゃくちゃ廊下で立った。

 

 

◇◆◇

 

 

 累が廊下に立っている間は滞り無くホームルームは進んでいった。時折廊下から謎のプレッシャーが掛かってくること以外は至って普通である。ただ相澤に清潔感と言うギャップが生じている事で笑いを堪える男女が数名いた事はここで言っておく。

 

「まさか相澤先生にあんな綺麗な奥さんが居るなんてな…」

 

「人妻かぁ…オイラは余裕だ」

 

 ダラダラと涎を垂れ流す峰田。これには上鳴も「マジかお前」と引いている。流石に略奪愛は守備範囲外なのだろう。そして峰田はある意味ヴィランだった。いや犯罪者(ヴィラン)が正しい。

 

「でもこの学校の先生ってことはプロヒーローなんだよね。デクくんはどう思う?」

 

「夫婦で活動してるヒーローも居るから可笑しくは無いけど…」

 

 イレイザーヘッドと一緒に活動した女性ヒーローに累のような人物が居ただろうかと緑谷はそう思っていた。だがメディアへの露出が少ない以上自分が知らない事もあると思考を断った。

 

「副担任だと言うのに碌な紹介も受けられなかったからな、まぁどちらにしても授業が始まれば分かる事だろう」

 

 クラス内で累への疑惑が高まる中鐘が鳴った。1-Aの生徒はそれぞれそそくさと次の授業の準備を終え、教師を待つのだった。

 

 しかし生徒たちが累の事を知るのはそう遠くない。

 

 

☆★☆

 

 

 頭が割れる程痛い。

 ダーリンから勝手に行動しまくった罰としてこめかみを拳でグリグリと執拗に仕置きされたのが原因だなこれ。まぁ自覚有るから甘んじて受けました愛のムチ。

 

 そしてそんな私がいる場所は女性職員の更衣室。

 では私が何故更衣室に居るのか、簡単ですヒーローコスチュームに着替える為です。リクルートスーツでヒーロー基礎学なんて教えられないからね。

 

「相変わらず私のコスチュームは着脱が不便だわ」

 

 私のヒーローコスチュームはタフクイーンと言う学生時代の思い付きで何となく付けて何となく定着したヒーローネームに基づき純白のドレスにティアラ。ただ身体中に巻き付けられた包帯があると言う事実。着脱の難は大体これのせい。

 

 顔まできっちり巻かれた包帯のお陰で身バレの心配は無かったな。まぁ教師として授業出ちゃうからダーリンと同じく多くに認知されるんだろうけど。

 

「さてやるか…」

 

 ちょうど次はヒーロー基礎学。

 オールマイトと一緒に授業だぜい。正直食い甲斐がある生徒はほぼ居なかったから私が出しゃばる必要性は無いけどダーリンの受け持つ生徒だし折角だから磨けるだけ磨いて前菜程度にしたいな。

 

「あ、来たねタフクイーン」

 

「女子更衣室で出待ちとはびっくりですオールマイト。ごめんなさい私はダーリンが居るの!」

 

「人聞きが悪いなキミ!?」

 

 相変わらずツッコミはオーバーでアメリカンだこのNO.1ヒーロー。

 

「はぁ、胃が痛いよホント…私胃とか取っちゃってるけど……」

 

「はい今の発言アウト! 口から重要機密漏れてますよ、生徒の前では絶対言っちゃいけないですからね」

 

「ぐぬぅ……」

 

 ぐぬぅ、じゃねぇようっかり屋さんが。

 

 

☆★☆

 

 

 グラウンドに戦闘訓練と称して集められたA組。目の前にはオールマイトとヒーローコスチュームを纏った累が居た。だがそれが累だと認識する者はオールマイトを除いていない。

 

「はいじゃあね、今回も始めていきましょう戦闘訓練。今回は見ての通り私の補佐に累先生ことタフクイーンが居るからビシバシいってみよう!」

 

「す、すみませんオールマイト、質問よろしいでしょうか?」

 

 半ば予想通りの反応を示した事に内心ほくそ笑みながらオールマイトは質問を許可した。と言うか内心ほくそ笑むと言ってもこの男は常に笑顔な訳で普通にほくそ笑んだでも別に良いのではと少々思う。

 

「本当にタフクイーン先生は累先生なのですか? と言うか言ってよかったのでしょうかその情報は!?」

 

 タフクイーン自体はそれなりの知名度がある為に名や外見等は広く認知され、活躍も耳にする事も少なくない。よって生徒たちはタフクイーンの存在を知っていた。

 だが、累は常に包帯ぐるぐる巻きなので素顔を披露した機会が無かった。つまり累=タフクイーンと言う事実を知るのは深い交流を持つ者くらいという事になる。

 

 まぁ簡潔に言えば『それ言っていいの?』という事になる。

 

「言っちゃったけどよかった?」

 

「私は別に言う機会が無かっただけで本気で隠してた訳じゃないしぃ。うん、いいよ!!」

 

 思った以上に軽い。身バレとか別に怖くねぇ、怖いのはダーリンのガチ説教くらいだと言わんばかりに堂々たる返しだ。

 

「今回実施する授業は鬼ごっこだ」

 

「鬼ごっこ?」

 

 鬼は累が務め、逃げるのは勿論生徒たち。市街地を逃げ回り制限時間まで逃げ切るか腰に巻き付けられた布を取られるかで勝敗が決まる。オールマイトはモニターからそれぞれの行動を把握し採点、あとはやり過ぎた場合の対処を請け負う。

 

「何か質問はあるかな?」

 

「この訓練の目的はなんですか?」

 

「追われる者の心理を実感して貰うことが今回の目的だ。逃走中のヴィランを如何に上手く追い立てるかは追われる者の気持ちになって考える事が重要になってくるからね」

 

 オールマイトの説明に納得の声を上げる中、爆豪勝己だけはタフクイーンを睨んで居た。累もそれに気付き、質問を促してみた。すると爆豪はただ一言『どこまでやっていいのか』と言ってきた。

 

 累は思わずヒーローらしからぬ顔になった。爆豪の発言に嬉しさが込み上げてきた。だから累は思わず個性を発動して言った。

 

「殺す気で来て良いよ!」

 

 髪は婆娑羅髪の様に刺々しくなり、紅いオーラを纏った状態で言うものだから完全に生徒たちの精神を圧迫した。紅く変化した目がギラギラと光る。

 

「はいじゃあ60秒カウントするから逃げて、危なくなったら私も出てくるからね。大丈夫だ怪我はしても死ぬことは絶対ないさ、HAHAHA……たぶん!!」

 

「なぁたぶんって言ったよな、言ったよな! おい爆豪なんて事言ってくれたんだ累先生完全にヤル気スイッチ入ってるぞ!」

 

「るっせェぞクソ髪。要はぶっ倒しゃあいんだろうが!」

 

「相手プロだぞ!?」

 

 カウントダウンが始まると一斉に散らばっていったA組。それを見届けたオールマイトはやり過ぎないように累に声をかける。

 

「くれぐれもやり過ぎないように!」

 

「まだ食べ時じゃないから大丈夫ですって!」

 

 思わず笑顔が真顔になるオールマイトは胃のあたりを押さえてモニター室に向かって行った。もしかしたら今なら全摘した筈の胃が綺麗に再生されてるかもしれない。

 

 

『58、59、60! 鬼ごっこ開始!』

 

 オールマイトのカウントダウンによってゴーサインが出された。累もその号令に習い行動を開始する。と言っても生徒を探す訳じゃない。既に一人の生徒が隠れず真っ直ぐ向かって来ている。

 

「先手必勝、死ねやァ!」

 

 口調でお察し爆豪勝己だ。背後からの奇襲を選択するあたりクレバーだが、自分の隠密スキルが乏しい事が勘定に入っていなかった。

 

「私に奇襲をしたいのなら叫ぶのはおすすめしません」

 

 見た目の荒々しさを裏切る至って冷静な指摘。その後爆豪の放つ右の大振りを─

 

 ──爆発も無視して顔面を殴り抜いた。

 

「グボ、ガァ!?」

 

 爆豪も受け流す、避ける、受け止めるならば直ぐに対応し追撃出来ただろう。だが累は爆発にも怯まず顔を殴りつけて来た。故に爆豪は追撃を諦め受け身をとり、体勢を立て直した。

 

(だが痛み分け…だ?)

 

 殴られながらも持ち前のタフネスで耐え抜き、小さくない爆破をお見舞いした。そのはずが累は焦げ跡一つも見え無い。個性に自信を持っている爆豪はこれには思わず目を見張る。

 

「爆豪勝己、個性『爆破』、直情的に見えて判断力と持ち前の反射神経を駆使し近接戦闘でも柔軟な対応を見せる。今のはよく爆破を当てに来れましたねぇ」

 

 人差し指を立てて「いい子です花丸をあげましょう」と何時ものおちゃらけた様な語調で言う。まぁそんな真似をすれば爆豪の目が異形化よろしく恐ろしい程釣り上がるのは当然だろう。

 

「まだまだこんなもんじゃねぇ!」

 

 爆破による加速で一気に距離を詰め、正面に累を包む程の爆破、からの細かい爆破で背後を取り、勢いをそのまま蹴り下ろす。

 

 累はその際抵抗もせずひたすら受け身に回っていた。爆破は気合いで弾き飛ばし、背後から迫る蹴りも最低限の力で弾き、受け流す。

 

「個性のコントロールも今の時期にしてその精度、これからが楽しみと言うべきか…」

 

「なにをごちゃごちゃ言ってやがる!」

 

 爆豪は追撃の手を緩めない。喰らった一撃は重かった、意識が飛ばなかったのは自分だから。しかしあの一撃は様子見、二撃目こそ喰らったら確実に持っていかれる。爆豪は挑発こそしたもののプロたる累に対し油断や慢心はしなかった。

 

「爆破の威力が上がったきた、か。スロースターターなのね」

 

 凡そ分析が終了した累はここで初めて構えを取った。そしてこれまでとは比較にならないプレッシャーで、けれど気安い口調で言うのだ。

 

「奇遇ね私もスロースターターよ」

 

 震脚による揺れと粉塵。それだけでも累の膂力の程が伺えた。しかし勿論それだけで累のバトルフェイズが終わるわけじゃない。

 

「何を呆けて居るの爆豪くん」

 

 そう口に出す頃には爆豪の頭を鷲掴んでいた。

 

「顔ばかりごめんねぇ」

 

 爆豪の顔面をコンクリートに勢いよく叩き付ける。抵抗を試みるも単純な力に押し潰されるしかなかった。

 

「まだ立ち上がりそうね」

 

 最初の打たれ強さを鑑みて少々オーバーキル気味でも累は攻撃を続ける。見事なジャイアントスイングを決め、建物をぶち破ろうとしたその時─

 

 切島が爆豪を受け止めた。

 

「だからやめとけって言っただろうが」

 

 呆れ半分に真っ向勝負を挑んだ爆豪の根性への賞賛の気持ち半分に注意する切島。その切島の胴体にはテープが巻かれて居る。どうやらビルの上に続いているらしい。

 

「上げろぉ!」

 

 上には瀬呂や他の生徒の姿が見える。どうやら数名で引き上げているようだ。

 

「意外な連携。優秀な司令塔でも居るのかしら…」

 

 思ったより噛みごたえがあると累は笑みを深めた。

 その頃オールマイトは何処か引き攣った笑みを深めた。

 

「彼等が入学してそこまで経ってないのにあのスパルタ。うん緑谷少年が吐かされるのも遠くない!」

 

 オールマイトは心の中で彼女が恩師の様にならない事を願った。




戦闘描写は苦手です。
出来れば相澤とひたすらイチャつかせたい!

そこの所等を感想や評価で声が欲しいです。
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