魔法少女リリカルなのは~魂の灯火~   作:ドラゴマキナ

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ep1邂逅

/なのはside

 

 

 

信じられない光景だった。

 

 

 

魔力を感知し、向かった先の路地裏に。

 

私の友達で、一般人であるはずの人がいた。

 

 

 

夜凪蒼也君。

 

 

 

ちょっとツンツン気味の頭に、見慣れた顔。

 

間違い無い、蒼也君だ。

 

 

 

 

 

そして、蒼也君の前に、バラバラになった何かの身体があった。

 

少し嫌な気分が喉の奥から込み上げて来るのを我慢する。

 

そのバラバラになったものは、魔力となって徐々に霧散しつつあった。

 

 

 

蒼也君の右手から何かが落ちて音をたてた。

 

見ると、それはカッターナイフ。

 

……カッターナイフ?

 

見た所何の変哲も無い、本当にただのカッターナイフ……それで、あの怪物をバラバラにしたの?

 

「……えと、蒼也、君」

 

何でだろう。

 

「これ……蒼也君が、やったの?」

 

私、軽く冷や汗が出てる。

 

 

 

「……夢、じゃないなら……そう、だよ」

 

 

 

蒼也君の声も震えている。

 

夢、という言葉に反応して、つい私は自分のほっぺたを強くつねってしまった。

……うう、痛い。

 

「……夢じゃないみたい」

 

だよね、と蒼也君はぎこちなく頷き……数回深呼吸をしてから、カッターナイフを拾い上げてポケットに入れた。

 

……カッターナイフで……どうやって?

 

解らないけど、とりあえず蒼也君に私と同じ……魔導士としての力が有るのかな?

確認しよう。

やっぱり、手っ取り早く判断出来るのは、これ。

 

 

 

(ねえ、聞こえる?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

/蒼也side

 

 

 

 

(ねえ、聞こえる?)

 

いきなり、頭に響いてきた声。

 

訳も解らず、目の前にいるクラスメートであり友達……高町なのはを見る。

今の声……なのは、だよな。

 

 

 

(聞こえるなら、頷いて欲しいの)

 

 

 

また聞こえた……。

訳も解らないまま、とりあえず頷く。

 

すると、なのははうん、と頷いた。

 

 

 

 

 

「デバイス持ってないし……魔導士じゃない、のかな?でも、素質は持ってるんだね」

 

 

 

 

 

……何の、話だ……?

 

 

 

「ねえ、ちょっと私について来てくれないかな?話があるの」

 

「話?」

 

訝しげな僕に、なのはは少し微笑んで言う。

 

 

 

 

 

「うん、蒼也君がもしかしたら持ってるかもしれない不思議な力について、ね」

 

 

 

 

 

「!?」

 

不思議な、力……。

 

……まあ、そりゃそうか。

 

普通の一般人が、カッターナイフなんかで化物を倒せる訳ないし……。

 

ふと化物の亡骸の方を振り返る。

 

さっきから徐々に消え始めていたそれは、もう完全消滅していた。

 

 

 

「あの……化物は?」

 

「うん、それについても話をさせて欲しいんだけど……どうかな?」

 

 

 

……断る理由も無い、か。

 

 

 

「……うん、解った」

 

「ありがとう!じゃ、ついて来て」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、連れて行かれたのはとあるアパート。

 

あるドアの前で呼び鈴を鳴らし、少し待つ。

 

と。

 

ガチャ

 

「いらっしゃい、2人共。さ、上がって」

 

金髪、赤眼の美少女が出迎えてくれた……ってあれ!?

 

 

 

「ふ、フェイト!?」

 

 

 

フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

 

なのはと同じく、僕のクラスメートであり友達だ。

 

って、ここフェイトの家だったのか……。

良いのかな。男が女の子に連れられて女の子の家に遊びに行く構図になってるんだけど。

 

そんな思いはさておき、靴を脱いで揃えておき、それから女子2名について行く。

 

 

 

「いらっしゃい、なのはちゃん。それと、あなたが蒼也君ね。いらっしゃい」

 

 

 

すると、緑がかった髪の女性、黒髪の、僕より年上であろう青年が出迎えてくれた。

 

 

 

「自己紹介させて貰うわね。私はリンディ・ハラオウン」

 

「僕はクロノ・ハラオウンだ。クロノ、で良い」

 

「えっと、夜凪、蒼也です」

 

 

 

そうやって、簡単な自己紹介をした後で。

 

なのはが、さっきの事……僕となのはが出会った時の事をリンディさんに話した。

 

「……なるほど。……蒼也君、ちょっとカッターナイフを見せてくれないかしら?」

 

頷いて、ポケットから鬼の解体に使われたものを取り出して渡す。

 

「……そうね……何の変哲も無い、普通のカッターナイフね」

 

一通り確認してみた後で、リンディさんは改めて僕に聞いた。

 

 

 

「蒼也君……あなた、どうやってその化物をバラバラにしたの?これだけじゃ、出来そうにないのだけれど」

 

 

 

……まあ、普通はそうだよね。

て言うか何故倒せたか、というだけならむしろ僕が聞きたいけど。

 

 

 

んー……まずは実演した方が早いかな。

 

 

 

「えっと……何か、壊れて良いもの有ります?」

 

それを聞いて、これなら、とフェイトが差し出してくれたのはおそらく使用済の単1の乾電池。

線は……よし、視えるね。

 

「ねえなのは、この乾電池をこのカッターナイフで斬れるかい?」

 

「え?えーと、無理じゃないかな?」

 

そう言いながら、カッターナイフの刃を乾電池に当ててみるなのは。

案の定、その刃は乾電池を斬れやしない。

 

 

 

だけど、僕なら……。

 

 

 

その2つを受け取り、乾電池の方を良く視てから……。

 

 

 

そこに視える線を、カッターナイフでなぞる。

 

 

 

それだけで、乾電池は真っ二つになった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「……!?」」」

 

……やっぱり、みんな驚くよね。

 

 

 

「……これが、僕の不思議な力とやらです。僕には……線が視えるんです」

 

「線?」

 

「そう。で、その線を刃物でなぞれば、何でも……斬れる」

 

「な、何でも?」

 

なのはにうん、と頷いて続ける。

 

 

 

 

 

「僕が視てるこの線は、要するに『死』なんだ……僕は、線が視えてるモノ全てを刃物で『殺せる』。窓ガラスだって、机だって……試してはいないけど、多分人間だって……。一応、このおかしな眼を僕は『直死の魔眼』って呼んでますけど」

 

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

みんな、唖然としてるな……まあ、当然だろう。

 

僕が持つだけで、日頃使う様な刃物でさえも凶悪な武器に姿を変える。

どんなに硬かろうと、刃で線をなぞれば斬れてしまう僕の前では無意味になってしまう。

 

「……これは……凄まじいわね……」

 

リンディさんは難しい顔をして考え込み、クロノは頭を抱え込む様にしている。フェイトとなのはも、程度の違いこそあれ、似た様な感じだ。

 

「……これは……下手をするととんでもないレベルのレアスキルでは……」

 

「……そうね……」

 

クロノとリンディさんの会話に出て来た単語に首を傾げる。

レアスキル?何それ?

 

「あ、そうだ。蒼也君にも、私達の事伝えとかないとね」

 

そんな僕の様子に気付いたのか、なのはが色々な事について教えてくれた。

 

 

 

 

 

魔法や、それを扱う魔導士の存在。ごく稀に魔導士が持つ、「レアスキル」という固有の珍しい能力。

様々な「次元世界」の存在や、その秩序、平和を維持する為の「時空管理局」という組織。

現在では失われた古代の技術の結晶、ロストロギアについて。

 

 

 

 

 

……な、何というか……凄いなぁ……。

そんな世界で働いてたんだ、なのはもフェイトも……。

 

「えっと……じゃあ、たまに早退してたのって……」

 

「うん、そうだよ。仕事の都合でね」

 

僕の疑問に、フェイトが苦笑しながら答える。

へえ……ほんと大変なんだな……。

 

 

 

ふと、考えを決めたらしいリンディさんが僕に声をかけてきた。

 

「蒼也君、あなたなのはちゃんの念話が聞こえたのよね?」

 

「あ、はい」

 

念話が聞こえるとはつまり、僕の体内に「リンカーコア」なる物があり……そして、僕に魔導士の素質がある、という事らしい。

 

 

 

「そう、じゃあ少し時間を割いて貰えないかしら?あなたの検査をしたいのよ」

 

「あ、大丈夫だよ。別に蒼也君の身体に何かする訳じゃ無いから。ちょっとどうなってるかを見せてもらうだけ」

 

リンディさんの言葉に、思わず顔をしかめてしまっていたらしい僕に、なのはが説明をしてくれる。

ですよね、となのはに聞かれ、その通りよ、とリンディさんは頷く。

 

 

 

 

 

「そして、その結果にもよるのだけれど……私達『時空管理局』を、手伝って欲しいの。どうかしら?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

意外な提案だった。

さっきも言っていた様に、僕の能力は大変危険……クロノが言っていた様に、「下手をするととんでもない」。

 

そんな奴に、協力を求める?

 

「……良いんですか?こんな得体の知れない能力持つ奴を……」

 

聞いてみると、だからこそだ、とクロノは答えた。

 

「得体の知れない能力だからこそ、身近でその能力を監視しないといけないからな」

 

ああ、なるほど。

確かに、一理あるかな。

 

 

 

……ふむ。

悪くないかな。

 

 

 

 

 

「そうですね、こんな力で役にたてるかどうかは解りませんけど……良ければ、協力させてください」

 

 

 

 

 

こうして、僕は時空管理局とやらの手伝いを始める事になり……新たな世界に足を踏み入れる事となった。




どうも、相変わらず下手のように思えるドラゴマキナです。

蒼也が時空管理局と関わりを持つ場面でした。
でも実際、今の蒼也は相当危険なんですよね、魔眼殺しも持ってませんし。

ある意味ロストロギア級だと俺は思います。
だって防御不可だし。
なんともハイリスクなチートですね。

さてさて、感想やアドバイスお待ちしております。
出来れば、厳しい意見も(まだもらっていないけど)お手柔らかに……何せ、豆腐メンタルなもので。
それでは。
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