合宿へ
アキ改め明久side
それから数週間が経ち、僕の女性化は解除された。やっぱり男の姿の方が落ち着いていられる。
僕たちのFクラスはだいたい変わった。窓や黒板、畳等に加えて、清涼祭のお金で購入した卓袱台を揃えたからだろう。
「さて諸君、いよいよ明日から合宿を行う事になった。我々Fクラスは現地集合となる以上!!」
「「「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」」」
西村先生の言葉に僕たちは苦笑いをしてしまう。確かその場所は・・・母さんが経営する宿だ。
ということは・・・・ライカ?
『何でしょうか?』
母さんからメールか何か来てる?
『はい来ておりますが・・・後で確認をしますか?』
うん、お願いするよ。そして放課後となり、僕達はどうやって行くのか考えている。雄二は翔子さん達に乗せてもらう事になったみたいだけど・・・。
僕はメールを確認をしてみた。なになに「困ってる息子達を助けるためにじぃを迎えに来させるからよろしくね」・・・だって。
「まじですか・・・・・・」
じいを呼ぶってことは大きい車で来るってことだね・・・。僕は、なのはたちにメールの件で相談することにした。
「じいって明久・・・あんたの家って何なのよ・・・・」
「えっと『吉井カンパニー』って知ってるかな?」
「「「「「ええええええええええええええええええええええええええ!!」」」」」
思った以上に、みんな驚いてた。アリサ曰く吉井カンパニーは様々な部門で話題になっているという。彼女の父親のデビットさんの会社も吉井カンパニーと事業提携を結んでいるそうだ。
父さんへ・・・僕は会社の事は凄いと思ってたけど、そこまで大きくなってたなんて知りませんでしたよ。
さて翌日、僕たちが家の前で待っているとでかい車がやってきた。
「明久君・・・あれって・・・!」
「間違いないよ、僕の知っている車だから」
車が家の前に到着をすると、中から知っている人物が降りてきた。
「お久しぶりです、明久坊ちゃま。」
「じぃもお疲れ様、姉さんやあの子たちは元気?」
「はい、玲様や妹様達も元気にお過ごししておりますよ。」
「そうか・・・よかったよ」
「明久君、お姉さんがいるのは知ってたけど妹さんっていたの?」
「あ・・・うん、ちょっとした事情でね・・・って、あれ?」
僕は他に誰かが乗っているのに気づいた。なんかモゾモゾ動いてるし・・・。
「坊ちゃま?」
じいの不安をよそに、僕がそのベールを外してみると・・・。
「「お兄ちゃん!!」」
「ふぁ!?」
なんでや!!なんで妹たちまで来てんねや!!
「なんでいるの!?零(れい)に鈴(すず)!!」
フードを取ったら可愛い僕の義妹たち、零に鈴がいた。可笑しいな、母さんに連絡をしておこう。
『はーい、もしもし?』
「母さん、僕だけど」
『どうしたの?』
「なんで鈴と零がいるの?」
『・・・なぬ?』
母さんの素の反応からして、零たちがこっちに来ている事は知らないって事だ。じいは・・・じいも驚いているって事は二人で勝手にした事だね。
「とりあえず二人とも挨拶なさい」
「「はーい!!」」
二人は降りてきて挨拶をする。
「初めまして、私は吉井 零といいます。」
「同じく!!吉井 鈴だよーーーよろしくね!!」
二人の義妹たちはちゃんと挨拶と握手を済ませた。さて、そろそろ行かないとまずいな。
「じい、そろそろ。」
「はい、坊ちゃま。皆さまお乗りください、合宿場までお送りいたします」
乗りこんだ後に、僕は合宿行く前日のことを思い出していた。あの日、僕はいつも通りに上履きを開けると何かが入っていたんだ。
「ライカ・・・」
『大丈夫です。爆発物の類の反応はありません。』
僕は安心するが、いったい誰が手紙なんか・・・Fクラスに到着後、僕はそれを開ける。その中に入っていたのは・・・三つだ。
一つは女になってしまったときの写真、傍から見たら合成写真に見えるかもしれないけど、まぁこれは事実だ。二つ目はなのはたちと一緒にいるところだな。
最後の三つめは・・・合成写真だな、間違いないね。
手紙の内容は、これをばらまかれたくなかったら関わるなというものだ。目的語がないので、「関わるな」と言われてもどうしようも無い。
「康太・・・」
「明久か・・・どうした?」
「頼みがあるんだ。実は・・・」
──青少年説明中──
「なるほどな・・・分かった、俺の方でも探してみる。一応念の為に工藤達から情報を漁ってみる。」
「すまないね康太、お礼は?」
「お前の女装で良い。お前のは売り上げが上がる。」
「・・・・・・・・・・」
僕はこの時本気で女になろうかと考えてしまうほどだった・・・。取り敢えず脅されている件は康太と僕で処理するとしよう。
さて話を戻そうか・・・今、僕達は渋滞に引っかかっている。
「坊ちゃま、申し訳ございません。まさか渋滞にかかるとは思ってもおりませんでした」
「別にじいが悪いわけじゃないよ。西村先生には連絡をしておくから。」
僕はスマホで報告をした後、お昼ご飯を食べることにした。因みに、ノーヴェたちはジェイルさんが送っていくことになってるよ。
さて渋滞が収まり、僕たちは目的のホテルに到着する。降りて、西村先生と話をしてから、僕達は雄二たちが待っている部屋の方へと向かった。
「おう明久、遅かったじゃないか」
「渋滞に引っかかってしまってね。やっと到着したんだよ・・・あー、疲れた。」
「お疲れだな」
「ありがとう、須川君。」
僕が休憩をしていると、どっどどどどうどとってな感じの音が近づいてきた。何の音?
「あんたたち!!大人しくしなさい!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
島田さんと姫路さんが入ってきた。その後ろにはもう一人女子が立ってるけど・・・いったい何事だ?
「なんだ!?」
「全員大人しくしなさい!!さぁ覚悟はいいかしら?」
「待つのじゃ!!一体何の話かわからん!!」
確かに僕達は理解が追いつかない。
「しらばっくれても無駄よ!!あんたたちが犯人だってことはわかってるんだから!!」
犯人?
「おいおい、いったい何の話だ、そりゃ!?」
雄二が立ちあがり対応をする。
「惚けるつもり!?脱衣場にカメラを仕掛けたでしょ!?」
「「「「「「は?」」」」」」
本当に頭が痛くなってきた・・・。
「これを見てもまだそんなことが言えるの!!」
島田さんが投げたのは高性能のカメラだ。いったいいつ僕たちが仕掛けることができるというのやら。
「言っておくけど、島田さん、証拠はあるのかな?僕たちがそのカメラを仕掛けたって証拠が・・・」
「そ・・・それは・・・・・・」
「ないよね?」
「・・・・うるさい!!皆!!やってしまいなさい!!」
島田さんの号令と共に女子たちが僕たちに襲い掛かる。とくに島田さんと姫路さんは僕に攻撃をしてきた。
「ぐああああああああああああああああああ!!」
関節攻撃を受けて僕の骨がびきびきという音が聞こえてきた。ま・・・まずい・・・。
「やめろ!!島田!!」
「やめるのじゃ!!」
「うるさいわね!!これで終わりよ!!」
ぐううううううううううううう!!その時、僕は意識を失ってしまった。
明久side終了
なのはたちは騒がしいなと思い、明久たちの部屋の方へと向かっている。
「ぐあああああああああああああああああ!!」
「今の声!!」
「アキ君の声や!!」
なのはたちは走っていき、部屋に行くとそこでは気絶をしている明久に関節技を決めている島田と姫路の二人の姿があった。
「・・・何をしているのかな?」
「「!!」」
二人は明久の関節攻撃をやめて、なのは達の方を見ていた。
「何よ、あんたたち!?」
「そうですよ!!邪魔をしないでください!!」
「邪魔をしないでですって・・・何もしてない明久達を寄ってたかって・・・あんたたちに言われたくない!!」
「こいつらは脱衣場にカメラをセットをしたのよ!!それが証拠よ!!」
「何言うとるんや!?アキ君はわたしらと一緒に一番最後に到着したんやで!!その間にカメラをセットするなんて無理や!!」
なのは達が言い争っている間に、明久が立ち上がった。
「・・・明久君?」
なのは達が驚く中、彼は島田と姫路を睨んでいた。
「お前達・・・いい加減にしなよ・・・!」
「「!!」」
「お前らの勝手な行動が!!ほかのみんなの迷惑になってるのがわからねぇのか!?あ゛ァッ!!」
「な・・・なによ吉井のくせに!!」
島田は走りだして明久を殴ろうとしたが・・・彼は島田の手を掴んで思いっきり投げ飛ばして叩き付けた。
「が!!」
「よ・・・吉井君!!何をするのですか!!」
「は?やられたのは僕の方でしょ・・・だから反撃をさせてもらった。それだけ・・・雄二、悪いけど、先生達を呼んで来てくれないかな・・・?康太はカメラのチェックを」
「「わ・・・分かった。」」
雄二達は西村先生を呼ぶ為に部屋から出た。明久は暴れた女子達を催眠魔法で眠らせた・・・二人以外は。
「・・・さーて、君達にはきっちりと反省をしてもらうよ、島田に姫路・・・!君達がやってきた事は一年前から保存している。僕にやってきた暴力を、だよ?それが先生達に知られたらどうなるか分かってる?」
「な・・・何よ吉井のくせに!!」
「そうですよ!!それを渡してください!!」
姫路は取り返そうとするが、彼女も投げ飛ばされた。なのは達はこの空気に何も言えない。
あの明久が攻撃をしているからだ。
「僕はね、ずっと我慢をしてきた・・・君達が・・・いつかは変わるって事を、信じてた・・・だけど、二年になっても全然変わってない。それどころか悪化の一方だ!僕の堪忍袋も限界なんだよ!!はっきり言おうか・・・僕は、君達みたいなのが大嫌いだ!!」
「「!!」」
「あ・・・明久君・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
彼は西村先生が来たのを確認をする。
「吉井!!大丈夫か!?坂本たちから事情は聞いている。シャマル先生にも診てもらうんだぞ!?さぁ、お前ら、今から特別授業だ!!」
明久は西村先生が二人を連れて行く様子をじっと見ていた。
「アキ・・・・・・」
「・・・ごめんよ、アリシア、みんな・・・」
彼はそういって部屋を後にする。
明久side
「・・・やっちまった、くそ。」
こんなにキレたのは久々だ・・・普段は我慢が出来たが・・・あいつらの行動につい我慢が出来なくなってしまった。いつかは変わってくれる事を信じるつもりだったのに・・・・・・!
『マスターは悪くありません!!あいつらが悪いのです!!』
「ライカ・・・それでも彼処で切れてしまったのはいけない事だ。二人に手を出さずに信じ抜く決意を僕は破った・・・僕は・・・」
僕は魔力を感じて後ろを振り返った。
「アミティエさん・・・・・・」
「明久君・・・事情はなのはさん達から聞いています」
「そっか・・・・」
「本当に、今まで、よく我慢しましたね。」
「・・・アミティエさん」
「なんですか?」
「僕は、間違って、いたのかな・・・」
「明久君・・・貴方は正しいと思いますよ、貴方は私たちが普通の人じゃないと知った時も普通に接してくれました。私は嬉しかったんですよ?あの時、あなたに恋をしたのは間違いないって」
「え?」
「・・・なのはちゃん達も貴方の事が好きだって事は分かっています・・・でも言わせてください。私アミティエ・フローリアンは吉井 明久の事を異性として大好きです。」
・・・いきなり此処で告白か・・・だけど・・今の僕は・・・
「アミティエさん、嬉しいですよ・・・でも僕はなのは達も好きなんです。それでも良いんですか?」
「えぇ、勿論です。これは私の決意でもありますから・・・」
「・・・ありがとう」
鏡で見たら、僕は顔が真っ赤になってるだろうな。
・・・ん?今度は何の音かな?
「「「「うおおおおおおおおお!!女湯をのぞけええええええええええええ!!」」」」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
僕達はFクラスの男子達が女湯の方へと走っていくのを見つけた。あいつら、一体何ばしよっとか。
僕達は急いで向かう事にした。
次回「女湯の戦い、明久・・Fクラスの男性たちをフルボッコタイム。」