「……知らない天井だ」
目を覚ました明久は、辺りを確認した。彼のそばには実体化したナハトヴァールとリインフォースがついていた。
「明久!!」
「主、目を覚ましたか」
「そうだ、僕は……」
明久はなぜ自分が病院に運ばれたのか思いだした。嫌な予感がしてナカジマ家から外へ出たこと、そこに現れたのは戦闘機人の如く改造された島田たちだったこと……そしてその犯人がかつて自身が逮捕したドクターライチだったことを。
「まさか奴が……奴が島田さんたちを……」
彼は右手に握りしめていた。
「主……お前のせいじゃない」
「……だとしても僕は自分を許せない……奴は僕に復讐をするために彼女たちを殺した。僕のせいだ…………!」
「……………………」
病室の沈黙を破るように扉が開いた。
「明久君!!」
「なのは?みんなも!」
勢いよくドアを開いたのは、息も絶え絶えななのは達であった。おそらく学校を終えて、そのままミッドチルダの方へとやってきたのだろう。彼女たちは制服を着たままだった。
「大丈夫なん、アキ君!?また襲われたって聞いて……」
「………………ありがとう」
「どうしたのよ?」
「…………ドクターライチ」
「「「「「「!!」」」」」」
その名になのはたちは反応した。過去を知らないシュテル達は首をかしげていた。
「奴が脱走してた。そして島田さんたちを殺して改造兵器にして、僕に襲いかかってきたんだ」
「な!!島田さん達が!?」
「僕の責任だよ、これは…………」
明久は窓を見ながらそう呟いた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ライカも黙って彼の様子を見ていた。夜になり、他の皆は一旦自宅の方へと帰った後、明久はブライトことジェイルに連絡をしていた。
『…………そうかドクターライチ…………彼がかい』
「えぇ、ジェイルさんならドクターライチのことを知っているかと思いまして」
『あぁ知っているとも。奴も私同様に作られた存在だからね……だけど彼は、武力や兵力で力押しをするタイプだからね。だから手駒が必要だったんだろう。おそらく彼女たちの明久君の復讐心を利用して改造したんだね』
「そうか…………ありがとう、ジェイルさん」
『あぁ君も早く傷を治してくれ。娘たちも私も君のことを心配しているからね?』
「ありがとうございます……」
通信を切り、彼は懐から何かを出していた。それは小さいころの明久の写真だ。だが一緒に写っているのは恵梨香と違う女の子であった為、ライカが聞いてきた。
『マスター、その方は?』
「あぁ彼女は恵梨香と出会う前の幼馴染だよ。懐かしいな……」
一緒に写っている女の子の髪の毛は青く、恥ずかしそうに明久の手をつかんでいた。今頃何をしているだろうなと思いながら明久は写真をしまう。そして、彼は目を閉じて夢を見る。
『明久……行っちゃうの?』
『ごめんね〇〇〇……お父さんとお母さんについていかないと……』
『やだやだ!明久とお別れしたくないよ!』
『僕もそうだよ。それなら約束をしよう』
『約束?』
『そう約束……いつかまた再会する時のおまじないってね。だから……その時はまた一緒に遊ぼうよ!!』
『うん!!』
(そうだ、僕はいつかまた再会をするって約束をして……)
彼は目を覚ました。彼女と再び会えることを信じて……。さて場所は変わって、ここはドクターライチのラボ……彼はFFF団の更なる改造及び島田達三人娘の最終調整をしていた。
「さすが吉井 明久!我が改造兵団相手にここまで戦えるとは思ってもいませんでした。でも改造されて兵器として実力を上げた彼女たちに彼はどこまで戦えますかね!?楽しみですよ、ふふふふふふっはっはっはっはっはっは!!はははははははははははははは!!」
彼は笑いながら新たな兵器を生み出していく、自分をあの牢獄に入れた明久を倒す為に。
戻って、病院の屋上。明久は目を覚まして夜空を見ていた。彼の左手のブレスレット…ライカが光りだす。
『マスター……大丈夫ですか?』
「うん、大丈夫だよ、問題ない。心配なのは、島田さん達やFFF団だ」
『………………』
「彼女たちに残されたのは僕に対しての復讐心のみ……それが彼女たちの戦闘力を底上げしてる、と僕は戦って思ったんだ」
『マスターはどうするのですか?』
「……どうするか、か」
彼は夜空をもう一度見上げる。おそらく彼女たちを助けても二度と同じような生活を送ることは難しいと思う。
(僕は彼女たちを撃てるのか?だけど、そうしなかったら…………!)
一方でシュテルたちの家。
「…………ねぇシュテルン。」
「どうしました、レヴィ?」
「僕たち……明久のために力になれないのかな?」
「突然どうしたんじゃ?」
「だって、僕たち明久とクラスが違うから、あんなことになってるなんて知らなかったよ…………」
「そうね……あっらそういえばアミタ」
「なんですか?」
「あんた、合宿の時に抜け駆けして明久に告白したんですって?」
「「「「!!」」」」
「ブッ!!」
突然のキリエの発言で、アミタは飲んでいたお茶を吹きだしてしまう。
「げほげほげほ!!キリエ!!なんでそれを!って、あ…………」
「へぇーーーアミタ、その話、僕聴きたいな?」
「そうですね…………私も興味深いです」
「そうじゃな。我も聞きたいぞ……」
「そうですねーーーーー」
アミタがぎぎぎと首を動かすと、目の光が失ったシュテルたちが、彼女に近づいていた。彼女は冷汗をかいたのは言うまでもない。
さて、病院の屋上では……明久は部屋の方へと戻ろうとしていたが、すぐにセットアップを始めた。
「………………………」
彼の体は回復しきれていないため、ライカをシューティングモードにして構えた。
(魔力反応がない……けれどこの気配…………)「そこだ!!プラズマシュート!!」
『Plazma Shoot』
振り向き様に放たれた電撃の光弾が当たった感触がした。すると透明化していた敵が現れてそのまま倒れる。
(なるほどステルス機能で魔力や気配を消していたんだね……だけど!!)
彼はライカをランサーモードへと変えて、カートリッジを装填し、地面に突き刺した。
「ライトニングスパーク!!」
範囲内にいた敵は、ステルスが解除されて倒れていく。彼はすぐにブレードモードにチェンジする。
「炎…一閃!!」
炎の斬撃が飛ばされて、近づいてきた一人を斬り伏せた。明久は近づいて連中の機械類などを調べていた。
「ライカスキャン開始」
『了解です』
ライカのスキャンが開始され、連中の機械などが解析されていく。すると、倒れていた敵が突然動きだしたので、彼は強化魔法を使用をする。
「ライジングシューズ!!」
素早く回避して、飛んできた針を回避をした。現れたのは、かつてのリーダー格の男だった。
「………………まだやる気ですか」
「私はライチ改造兵団暗殺部隊隊長『ゲルスルク』!吉井 明久……我が主の命令だ……貴様を殺す!」
ゲルスルクは腰の刀を抜いて襲い掛かってきた。刀を回避した明久は、ライカをツインバレットモードへと変えて、トリガーを引く。マシンガンの弾がゲルスルクに襲い掛かるも、彼は鎖鎌をまわして弾いていった。
彼は病院の屋上の建物の裏に隠れて、セットし直さ。そして、ツインバレットモードを構えた明久は、突撃して弾丸を放っていく。
「ちぃ!!くらえ!!」
ゲルスルクは手裏剣を投げつけるが、明久はクロスファイアーシュートを放って相殺する。そのまま勢いのまま、カートリッジを装填してチャージした。
「くらえ!!プラズマバスター!!」
ツインバレットモードから放たれる二門のプラズマバスターがゲルスルクに命中して彼を吹き飛ばした。
「ぐ…………!」
彼の体から火花が飛び出る。明久は彼らがロボットだと察する中、彼は何かのスイッチを取り出した。
「もはやこれまで…………ライチさま万歳!!」
スイッチを押すと彼はほかの部下たちも巻き込んで爆発した。証拠隠滅のために自爆を選んだ。
「失敗した者は自決せよ、か。ライチの奴……!」
そして明久は意を決して病院を出ることにした。体の方は魔力で回復させ、誰にも言わずにドクターライチを探して飛び立った。
次回 明久が病院から消えたことを知りなのはたちは学校を休んで明久探索するために向かう。
一方で明久は自ら囮になりライチたちを一気に倒す為にうごいていたのだ。
次回「明久の行方。」