明久は二課でお世話になるということで、下着や服などの生活必需品を買うために翼と共に買い物をすることになった。現在彼は翼を待っている。
「少しはやく来ちゃったかな……それにしても翼と一緒に買い物か。あの頃以来だな……」
『そうですか』
「まぁ僕も記憶がごっちゃになってきてるから、困ってたけどね。とりあえずナハトとリインの服も買わないと……」
『かたじけない、主』
『明久、すまない……私まで』
「ううん元々の原因は僕にあるからね。いずれにしても僕らの世界に帰れないのはつらいな。なのはたちも僕を必死に探してると思うし、単位も怖いんだけど……」
『マスターは大丈夫だと思いますけど?』
彼らが話をしていると、向こうから伊達メガネをかけて走ってくる女性が近づいて来た。風鳴 翼である。彼女は有名なツヴァイウィングの一翼だから変装をしないと外を出歩けないのだ。
「ごめん、明久……ぜぇ……ぜぇ……!」
「ちょっと、大丈夫!?」
「うん。時間がなかったから、急いで走ってきたの。」
「そこまで走ってこなくても僕は逃げないのに」
「駄目!!明久との時間は大切にしたいの!!」
翼の気迫に明久は押された、流石の彼もまさかここまでとは思っていなかったのだろう。兎にも角にも、二人は買い物に向かうことにした。
「パンツとかも買わないといけないね?」
「あぁそれに、リインやナハトの二人にも服が必要なんだ」
「リイン?ナハト?」
明久は彼女達のことを説明していなかったことに気付く。
「そうだったね。ナハト、リイン、出ておいで」
彼が光り出したと思えば、二人の女性が出てきた。翼は驚いていたが、すぐに冷静になった。
「なるほど明久の仲間ってことかしら?」
「そのとおりだ。私はナハトヴァール。明久…いやマスターのユニゾンデバイスになる。よろしく頼む」
「私はリインフォースという。昔、明久に助けてもらった身だ」
(やっぱり明久は優しいな。昔から変わらない……)
こうして四人での買い物となった。ナハトヴァールたちがブラジャーを買っている時に、翼の目からハイライトが消えたとだけ書いておく。
明久side
さて買い物が済んだ。僕は弦十郎さんが用意をしてくれた部屋へ行く前に、とあるマンションへとやってきた。奏さんについてきてほしいと言われたからだ。
「奏さん、ここは?」
「まぁ入ったらわかるさ」
彼女の後に続いて、僕が入ったら……そこはまるでごみ屋敷のような汚部屋だった。そして、そこには青い髪をした女の子がいた。
「あ、明久!?なんで私の家に!!」
「…………翼」
「ひぃ!!」
彼女は僕の顔を見て怖がっているけど、これはOHANASIをした方がいいね。さて僕は彼女の肩をつかんで笑顔で告げる。
「少しOHANASIをしようか?」
「ひいいいいいいいいいいい奏えええええええええええええ」
「あーその翼、悪い……」
「いやあああああああああああああ!!」
──青少年説教中──
「全く!」
奏はその様子を見ながら、明久は怒らせない方がいいなと肝に銘じた。翼の方は涙目になりながら彼の説教を聞いていた。
数分後
「今日はこれぐらいにしておくさ。とりあえずまずは片づけから始めようか?」
「「はい。」」
二人は僕の指示を聞いて翼の部屋を片付けていく。まさか翼がここまで「片づけられない人」になってるとは思ってもいなかったよ。
「あっ、翼それはそっちだよ」
「え!?違うの?」
「…………」
頭を押さえながらも、片づけは続く。奏さん曰くお部屋の掃除などは二課の緒川 慎次さんがしていたらしい。今度何か手料理を持っていった方がいいかな?
「とりあえず、翼はまず自分の部屋を片付けられるようにしておかないとね。いつまでも緒川さんにやってもらうわけにはいかないし……。ある意味、これも訓練だな……まったく」
数十分という時間をかけて、翼の部屋は先ほどの汚部屋から元の綺麗なお部屋へと戻った。途中から、僕は分身魔法イリュージョンを発動させてそれぞれで分担をしてごみを捨てたりもした。
「はぁ、疲れた〜」
「ごめんなさい明久……」
「もういいよ。今度から気をつけてくれれば…」
「だって仕事とかがあるから……それで……」
そういえば、翼は芸能人で学校も通っていたっけ?確か今は高校一年生って僕よりも年下になってる!?いや違うあっちとこっちの時間がわずかにずれているってことか……まぁこう考えるか……元々翼は僕よりも年下だ、なんてね。
「どうしたの、明久?」
「何でもないよ」
とりあえず母さんたちが来るまで待つことにするかな?どうせやることがないからね。
明久side終了
一方で研究室。
「…………………」
櫻井 了子は、部屋のコンピューターでツヴァイウィングコンサートで現れた明久の戦いを見ていた。
「奴はあのデバイスという奴で戦っているが、それ以外でも魔法ってものを使ってノイズたちと戦っていた。だがなぜ奴はノイズを倒すことができる?通常はシンフォギアを纏わないとノイズを倒すことができないはずだ。ならばなぜ?まぁいい、いずれ奴を排除し、デバイスだけを奪う。そうでなければ、私の計画は潰されてしまうだろう」
了子はそう呟きながら、コーヒーを飲み、次の計画を出していた。そこに書かれていたのは「雪音 クリス」という少女の名前、そしてソロモンの杖、さらにネフシュタンの鎧と…………。
一方で吉井カンパニー地下ルーム。
「………………………」
美菜は地下ルームに来ていた。そこでは、買いとったある次元戦艦を改装をしているからだ。名前は「アースラ」…かつてリンディ・ハラオウンたちが乗っていたものだ。度重なる激務や型落ちを理由に時空管理局が処分を決定したと聞いた美菜子たち吉井カンパニーが買い取り、外装などを外して、新たに付け直しているところだ。
「これはこれは、副社長!」
「お疲れ様、どうかしら?」
「えぇだいぶ古いので付け替えなどで時間などがかかりますね……なにせエンジン部分なども限界を迎えております」
「そう。どれくらいかかるかしら?」
「最低でも五か月はかかりますね」
「そうわかったわ。(やはりそれくらいかかるか……。でも明久のためよ、あなたを必ず救って見せるわ!!)」
美菜は愛息の安否を気にしながらも、今はアースラの改装を急がせることにした。
「…………ラミアセットアップ。」
『Set-Up』
彼女の服や下着が消えていき、彼女のFカップの胸などが解放されて行く。そしてアンダースーツなどが生成されて、バリアジャケットが作られて行き、彼女の手に弓型のデバイスが装備される。
これが美菜の新しいデバイス…“ラミア”と呼ばれるインテリジェントデバイスである。カートリッジシステムも搭載されており、弓以外にも二刀流に変更可能となっている。
「どうかしら?」
『問題ありません』
「ありがとう、ラミア」
彼女は、再びバリアジャケットを解除をして、服を生成し、元の姿に戻る。
次回 明久は二年という年月が経ってしまう。彼はこの世界で色々と調べながらノイズたちをツヴァイウイングの二人と共に戦っていた。
次回「二年というのはあっという間さ。」