美菜たちの活躍で巫女フィーネの野望は食い止められた。そして彼らは基地へ帰り、明久が先頭を歩いていたが……突然明久が倒れた。
「明久!?」
「明久お兄ちゃん!!」
翼とクリスが駆け寄っていき、響と奏は慌てて医療ルームに運んで行く。明久が倒れたと聞いて全員が彼のところへと走る。
「明久君、無事か!?」
弦十郎は彼に声をかけるが、彼は熟睡しているようだった。「一体何があったのか」…と全員が考えていると、美菜はあることに気づき、了子にレントゲン写真を撮るよう指示する。
「……これは!!」
「了子君、どうした……!?」
弦十郎は了子からもらったレントゲン写真を見て怒りをあらわにしていた。
「なんだこれは!?」
「おじさま?」
全員が気になって、彼のレントゲンの写真を覗くとなのは達は仰天した。そこに映し出されていたのは、明久の骨に罅が入っている写真だった。
「そんなどうして!?」
「シャマルさんが治したのに!!」
「どういうことだ!?」
「翼さん、落ち着いて!!」
なのはの胸倉をつかんだ翼を響が離させる。
「離せ、立花!!」
「今は争ってる場合じゃありません!!話してくれませんか、明久さんのことを……!」
「美菜さん……」
「わかったわ」
美菜は全て話した、明久は通っていた文月学園で理不尽な虐待を受けていたことを・・・・・・その話を聞いて、弦十郎達は怒りの火を灯していた。
「なんて奴らだ!!」
「あぁ許せない!!明久お兄ちゃんをここまでボロボロにするなんて!!」
「そいつらはどこだ!!あたしがブン殴ってやる!!」
「それはできないよ……あの後、時空犯罪者に改造された彼女たちを明久君が倒してしまったから……」
「「「「………………………」」」」
「明久君はそれを知りながら俺達に協力をしてくれていたということなのか……くそ!!」
弦十郎が壁を殴ると、めしめしと罅が入った。なのはたちも一年早く彼を見つけていれば、とついつい思ってしまう。
「うう…………」
「明久!?」
「明久君!!」
「や…やめてくれ、許してくれ、島田さん……姫路さん……みんな、があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「明久君!!明久君!!」
「明久!!明久!!」
「……トラウマになるほど苦しめたのか、彼女達は!!」
「アキヒサ……お兄ちゃん……」
クリスは涙を流す。それは奏や響達も同じだった。彼が苦しんでいるのに何もできない自分たちが情けない、と……
「くそ!!あたしはノイズを倒すことしかできないのかよ!!明久は……明久はあたしを助けてくれた……!あたしが絶唱を使おうとした時に、あいつはあたしや観客のみんなを救ってくれた。なのに、あたしは……あたしは……!!」
「それなら私も同じです!!私はライブ会場を生き延びて、嫌がらせを受けてた時、明久さんが止めてくれたって聞きました!私は明久さんには二度も助けてもらったのに……!」
「あたしは、パパやママを助けてもらった。ううう……アキヒサお兄ちゃん……」
「はっ!?」
「「痛ッ!!」」
明久が勢いよく起き上がったので、翼とフェイトの頭にごっつんこしてしまった。三人は頭を押さえている。
「「「うううう・・・・・・・・・・」」」
「明久君、大丈夫か?」
「おじさん……そうか、僕は倒れてしまって……」
「……レントゲンを見せてもらった。あの骨の罅の入り方は尋常じゃないぞ。君は無理をして戦ってたんだな……奏がLINKERをつかって戦う以上に危険だったんだ。 」
了子はフィーネの状態になり、明久のレントゲン写真を見せた。彼自身も状況を受け入れて、目を閉じていた。
「けど明久君、無事でよかった。」
「……あぁごめんね、みんな。心配かけちゃって」
「本当にみんな、心配したんだよ?」
「返す言葉もございません、ハイ」
明久はふっと笑いながら、病室を見ていた。アミティエたちも彼が起きたので安堵していた。
だが明久の悪夢は終わったわけではなかった。実はワームホールに吸い込まれたのは明久とDr.ライチだけではなかった。島田たちの残骸も一緒に吸い込まれてシンフォギア世界に降りたっていた。
そして島田たちは再起動しようとしていた……それは新たな戦いの始まりともいえるだろう。運の悪いことに、その隣には、かつて明久がプラズマフレイムブレイカーで破壊した完全聖遺物も同様に再生していたからだ。
そして、動きだそうとしている人物がいた。
アメリカ
「いいねーーマリアちゃん!」
パシャッと撮られるピンク髪の少女は、最近人気浮上中の歌姫であり、名をマリア・カデンツァヴナ・イヴという。
「突如現れた機体のニューフェイス」とも「世界の歌姫」とも呼ばれていた。現在彼女はモデルの仕事をしている。
「はい、OK!マリアちゃん、よかったよ!!」
「ありがとうございます」
「これで今日の仕事は終わりだよ!!お疲れ様!!」
「お疲れ様でした!!」
マリアは挨拶をして控室に寛いでいると、お茶が渡された。
「はい、姉さん、お疲れ様」
「ありがとう、セレナ」
彼女にお茶を渡したのはセレナ・カデンツァヴナ・イヴ……かつて明久に助けてもらった女の子で、彼女もマリア同様に成長をしており、今はマリアのマネージャーを担当している。
「……もうあれから6年が経ったんだね、姉さん。 」
「…………そうね、もうそんなに経つのね」
彼女達は写真を見ていた。そこに写っているのは、当時FIS研究所にいたマリアとセレナ、切歌や調、そして明久である。
「でも姉さん、明久兄さんかもしれない男の人が日本に現れたって聞いたよ?」
「本当!?」
「うん、ノイズを倒す謎の鎧戦士。詳細はちらっとだけどこれを見て」
そこに写っていたのはライトニングアーマーを装着している明久の姿だった。さらにもう一つはフレイムアーマーを装着している明久の姿であった。
マリアはその姿を見て頬を涙が伝う。
「ああ……あああ、明久兄さん生きていたのね。」
「姉さん、確か三か月後に日本に行くんじゃなかったっけ?」
「そうよ、日本の人気のツヴァイウィングの二人と合同コンサートをするためにね」
「なら会えるかな、明久お兄ちゃんに!」
「会わないといけないわ、セレナ!だって私たちにとって明久兄さんは大事な大事な人だから!!」
マリアたちは三か月後を楽しみに仕事をこなしていく。
次回 フィーネが起こそうとしていた事件から三か月がたち、明久はツヴァイウイングのマネージャーとしてなんでか行くこととなり合同コンサートをする人物と会う為に一緒に行く。
次回「世界の歌姫。」
(あれは!?)